深緑の候、
深大寺あたりを散歩する。
2022年6月
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JR三鷹駅南口前 ロータリー |
梅雨入りしてから、毎日じめじめした日が続いています。そんな折、雨の日に楽しく散歩できる場所はないかと色々と考えていたら、何となく頭に浮かんだのが武蔵野の面影が残る場所。「武蔵野」の定義ってビミョーに色々あるみたいだけど、自分的には東京の西側の辺りで、野や丘や林や湧水なんかがあって、でも山は無くて、そして所々で野鳥のさえずりが聞こえる所って感じでしょうか。小雨に濡れた木々の茂みを見ながら歩くのって、梅雨時の鬱陶しさも忘れて、結構気持ちが穏やかになるもんなんです。 |
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小田急バス2番乗り場 |
そして、そんな散歩にぴったりの場所があるんです。それは深大寺あたり。東京の調布市にある都内ではお馴染みのお寺、深大寺の周辺なんです。アクセスは色々だけど、今日はJR中央線三鷹駅南口のバスロータリーから。小田急バスの2番乗り場で、調布駅北口行きの路線バスに乗車です。 |
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深大寺入口停留所 |
およそ20分程の「路線バスの旅」で到着したのは、深大寺入口停留所。ここから散歩のスタートです。今日は朝からどんよりと厚い雲に覆われて、今にも空からポツリポツリと落ちて来そうなんだけど、それでも今日の天気予報は1日曇り。小雨に濡れる緑の中の散歩を目論んで来たのではありますが、まぁ、お荷物になる傘は差さずにいられるし、身体や靴も濡れなくて済むので、これはこれで良しとしよう。 |
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深大寺入口交差点を右折 |
バスが走ってきた方向へ通りを100mほど後戻りすると、武蔵境通りと深大寺通りが交わる深大寺入口交差点あります。これを右に折れて、深大寺通りへと入って行きましょう。 |
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ここからが参道です |
交差点の傍らに建っている石碑からも分かるように、ここより深大寺の参道が始まります。 |
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深大寺通りを進む |
深大寺通りへ入って来ると、深大寺名物の日本蕎麦店が何軒か見えて来ました。「深大寺そば」という固有名詞・・・ いや、ブランド名(と、言っても良いくらい)があるほど、このエリアの蕎麦店はどの店もみな美味いと人気です。 |
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深大寺水車館 |
通りの左手に水車小屋を見つけました。水車の大輪を回している水路は、この場所から北東へ80m足らずの場所にある湧水が水源の、逆川(さかさがわ)という川から引かれたものです。元々この場所には明治時代に造られた水車があったそうで、地域の人々の生活に大きな役割を果たしていたんですが、それを再建したものが現役のこの水車小屋なんです。現在では深大寺水車館として、東京都調布市が管理や運営をしています。 |
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展示回廊へ |
水車小屋の奥に設けられた回廊は展示室になっているので、ちょっと覗いて行く事に。それにしても、今日の様なしっとりと湿った6月の空気と光の中に映えるこの樹木の緑って、なかなか味わいがあると思うんですが、今日はこれから武蔵野の面影が残るこの深大寺界隈の至る所で、こういう風景をたくさん見る事が出来るだろうと思います。 |
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回廊展示室内 |
回廊内では古い農具や様々な資料の展示で、昭和の中頃までのこの地域の暮らしぶりを知る事が出来ます。 |
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水車小屋の先を左折 |
水車小屋を過ぎると間もなく、深大寺通りから左手へと分かれる小路があります。これを左折して深大寺通りを外れ、この小路を進んで行きましょう。 |
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大黒・恵比寿像 |
右手に大きな石仏がありました。ちょっとユーモラスな面立ちの、大黒天と恵比寿尊です。 |
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深沙大王堂 |
すぐその先、小路の正面突き当りにあるのが深大寺の深沙(じんじゃ)大王堂。ここに安置された本尊の深沙大王像を略して、深大寺の名前が付けられたと言われています。 |
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突き当りを右へ |
深沙大王堂に突き当たったら右手に折れると、道行く人の数は俄かに急増。そして昼時とあってか、この先参道沿いに並ぶ蕎麦店の店頭では、何処も入店待ちをする客の列が出来ています。 |
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道行く人が急増 |
旨さで大人気の深大寺そば。その歴史は古く、江戸時代の初め頃まで遡るそうで、当時の文献にも深大寺そばの事が記されているらしい。そして旨さの秘密の一つは、この辺りに湧き出る湧水にあったようです。
武蔵野台地を太古の多摩川が長い年月をかけて削って出来た崖、国分寺崖線。関東ローム層の赤土を始め、何層にも重なったこの崖の地層で濾過された湧水は名水の呼び声も高く、ソバの実の栽培や蕎麦の加工・調理など、蕎麦づくりには最適・最高の水だったんです。 |
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山門前を過ぎて |
その国分寺崖線を背負う様に建立された寺院が深大寺。そして左手に、その山門が見えて来ました。だけどここへは取り敢えず今は寄らずに、横目で眺めながら山門前を通過。 |
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深大寺通りへ合流 |
間もなく前方に深大寺通りが現れました。深大寺水車館のすぐ先で深大寺通りを外れてから300m余り、再びこの通りへ合流です。通りを越えた向こう側には、これから向かおうとしている神代水生植物園が見えているのですが、その前にちょっと寄って行く場所があるんです。 |
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不動堂 |
それがこの深大寺の開運不動堂。深大寺通りと交わる直前で左手に分かれる石段を上ると、このお堂があります。深大寺は江戸時代の初期と末期に二度火災に見舞われるのですが、火災で焼失した後の明治17年にこの不動堂は再建されました。 |
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不動の滝 |
そして不動堂に隣接した崖から流れ落ちるのは、不動の滝。2頭の龍の口から流れ出るこの水も、既述の国分寺崖線で生まれた湧水なんです。 |
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神代水生植物園 |
深大寺通りを渡って、神代水生植物園の正門前に到着です。この施設は、今日の散歩の最後に寄ろうと思っている東京都立神代植物公園の分園なのであります。本園は入園料金が必要なんだけど、ここはなんと入園無料の太っ腹。 |
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湿地帯を歩く |
昭和60年開園になるこの水生植物園もまた、国分寺崖線の湧水によって出来た湿地帯を整備して造られた施設なんです。 |
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花菖蒲田ゾーン |
南北におよそ300mほど、東西におよそ60mほどの細長く広がった谷状の地形で、嘗ては田圃だった土地でした。 |
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アジサイも咲いてます |
季節柄、花菖蒲田ゾーンでは沢山のハナショウブが咲き乱れています。そして水生植物じゃないけど、季節の花アジサイも満開。 |
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かつてお城がありました |
実はこの水生植物園には、もう一つの顔があるんです。低地の湿地帯に造られた植物園のエリアの、西側で隣接している高台の古城のエリアがそれ。
戦国時代この場所には、深大寺城と呼ばれるお城があって、築城者は不明なんだけど、上杉氏の流れをくむ戦国武将が築城したと考えられているんだとか。 |
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深大寺城跡 |
そして当時の遺構も幾つか残されていて、画像はその一つ。発見された柱穴の位置を示すために配置された、石柱なんです。しかし本来の目的とは違って、来園者の休憩用の腰掛けになってたりしてます。 |
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空堀 |
これは深大寺城のお堀を復元したもの。この城のお堀は水が引き入れられた水堀ではなく、空堀でした。実際にはもっと深くて斜面の急なお堀だったらしい。 |
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ソバ畑もありました |
古城のエリアの一角に、深大寺そば組合と地元の深大寺小学校が共同で栽培している、小さなソバ畑がありました。因みに、過去においてはこの辺り一帯にはソバ畑が広がっていたんでしょうが、現在ソバの栽培はこの他にされている場所はないので、したがって深大寺そばの各店舗では、美味しい蕎麦の原料を国内各地から取り寄せているようです。
ところで、今では大人気の深大寺そばでありますが、ソバの栽培の歴史は古くても、美味しい蕎麦店が現在の様に深大寺の門前に建ち並んだのは意外にも昭和の時代に入ってから、しかも戦後の事なんだって。 |
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通りの向こう側には参道が |
それ程広くはない神代水生植物園。30分ほどでグルっとひと回りして来ました。正門を抜けたら深大寺通りを隔てた向こう側に見えている、深大寺の参道へとまた戻る事にしましょう。 |
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深大寺参道を戻る |
参道を深大寺方向へと戻ります。右手に見える小川は、さっき寄って来た深沙大王堂の裏手辺りの湧水を水源とする既述の逆川で、川の流れはこの先、神代水生植物園内を貫いて野川、多摩川へと合流し、東京湾に注ぎます。国分寺崖線から生まれたこの名水こそが、深大寺そばの長い歴史を支え続けて来たんですね。 |
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深大寺山門 |
さっきはスルーした、深大寺の山門まで戻って来ました。1695年の建立になるこの山門を抜けて、境内へ。 |
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本堂 |
天台宗の寺院、深大寺。その歴史は古く、開山は奈良時代の733年。東京都内では浅草の浅草寺に次ぐ古刹なんです。 |
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鐘楼 |
この鐘楼は明治3年の建立。最初の鐘楼が幕末の火災で焼失したために、再建されたものです。 |
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元三大師堂 |
こちらも火災によって、慶応3年(1867年)に再建された元三大師堂。毎年3月3日と4日に、このお堂が中心となって催されるだるま市は、いつも10万人を超える人達が参拝に集まるのだとか。 |
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おびんずる像 |
こちらは元三大師堂前に鎮座まします、お馴染みおびんずるさん。お釈迦様の弟子の一人で、人の病気を治す力を持っているんです。だから、自分の身体に悪いところがあれば、この像の身体の同じ部位を撫でると、病はすっかり良くなるらしい。思うに、何処のお寺のおびんずるさんも決まって必ず、顔ばかり撫でられてすり減って、のっぺりした顔をしているんです。我が国には顏の悪い人がとっても多いんだね。
おびんずるさん自身もしっかりマスクをして、コロナ対策は万全でありました。 |
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開山堂参詣道 |
元三大師堂脇の、この開山堂参詣道で崖を登って行くと、境内の裏手になる国分寺崖線上の台地へと至ります。 |
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開山堂 |
開山堂がありました。この場所が深大寺境内で、最も高所という事になります。緑に囲まれた静寂な場所にある荘重な雰囲気のこの堂宇。だけどイメージと違ってその歴史は意外に新しく、昭和58年の建立なんです。 |
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北門を抜けて |
開山堂のそのすぐ先にある北門を抜けて、深大寺をあとにしましょう。 |
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神代植物公園 深大寺門 |
北門前の小路を隔てた向い側にあるのは、神代植物公園。さっき寄って来た、神代水生植物園の本園にあたります。入園料は一般500円。
今日は植物公園の深大寺門から園内へ。 |
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雑木林の道を歩く |
ここ神代植物公園は、昭和36年開園になる東京都立の公園。開園面積は50万平方メートル余りで、東京ドームでおよそ10個分にあたります。 |
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芝生広場 |
園内ではおよそ4,800種類・10万本の樹木が植えられていて、四季の花々が一年中尽きることなく咲乱れているんです。 |
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春バラの時期です |
取材時は正に春バラの開花時期。一年中で一番の、バラの見頃の時期であります。なんてグッドタイミング。
人気の広大なバラ園には、沢山の入園客が集まっています。何時までもじっとバラを見つめている人あり、記念撮影やスケッチをしている人あり。 |
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噴水の向こうには大温室が |
こちらはバラ園の中心に設けられた大噴水。そして噴水越しの正面に見えているのが、平成28年に改装された大温室です。 |
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沢山の熱帯植物が |
この温室では熱帯のスイレンやラン、ベゴニア等を始めおよそ1,300品種もの植物が栽培されているんです。 |
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正門を抜けて外へ |
東京都内ではありながら、森林浴や季節の花々の鑑賞をたっぷりと堪能できて、心身共にとっても癒されました。正門を抜けて、この辺りで神代植物公園を外れましょう。 |
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神代植物公園前バス停 |
植物公園の正門前にはバス停があって、JRの三鷹駅や吉祥寺駅、京王線の調布駅などへと出る事が出来るんですが、その前に一つやり残したことが。そうなんです、美味しいお酒でも一杯やりながら、遅い昼食を食べて行こうかと。もちろん深大寺そばを。
それじゃぁ、行ってきます! |
★交通 |
JR中央線 三鷹駅下車 |
★歩行距離 |
約 4.5 km |
周辺地図
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