旧中山道・巣鴨から板橋へ
2006年10月
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巣鴨駅前 |
JR巣鴨駅北口の前をはしる広い大きな道は国道17号線。江戸時代の五街道のひとつ、中山道です。東海道がお江戸日本橋を発ち、海側を通って京の都へと向かったのに対して、中山道は内陸から京都を目指しました。今日は、その中山道の旧道を歩いて行こうと思います。
目の前の横断歩道で国道17号線を越えたら、右方向へ。先ずはお馴染みとげぬき地蔵を目指して、アーケードの商店街を歩いて行きましょう。 |
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マクドナルド巣鴨店 |
巣鴨のとげぬき地蔵と言えばシルバー世代の人気スポット。「おばあちゃんの原宿」として今や超有名です。商店街の中にあるここマクドナルド巣鴨店も、それを考慮して座席の多くにはシルバーシート
(お年寄り優先席) の表示が。店内はシルバー世代で満員状態、思うに利用客の平均年齢が世界一高いマクドナルドなのでは・・・ |
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真性寺のお地蔵さま |
アーケードが終わったあたりの、左側にある寺は真性寺。ここにもお地蔵様が居るんですが、とげぬき地蔵とは違います。ここのお地蔵さまは、東海道の品川寺、水戸街道の霊巖寺などと共に江戸六地蔵に数えられていて、八代将軍徳川吉宗も狩りの途中に度々この寺へ寄ったとされているんです。 |
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旧道(左)と国道(右)) |
真性寺の少し先で、国道から左斜め前方へと分かれて行くように延びるのは、巣鴨地蔵通商店街。この通りが、中山道の旧街道という事になります。そして、主にテレビの番組で年輩者にインタビューをする時などは、決まってこの辺りの場所が使われています。 |
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縁日の商店街 |
ここでは4、14、24日の、4の付く日が縁日です。そして今日は14日。沢山の屋台や人で賑わっています。 |
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ファッションバック1,000円均一! |
そんな訳で、とげぬき地蔵に行くなら4の日が絶対にオススメ。さてさて、ちょっと露店でも覗いてみましょうか。 |
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おもちゃの露店 |
通りを行く人たちはさすがに年輩者も多いですが、そればかりではありません。連日のメディアへの露出が、幅広い年代の人たちを呼び込んでいます。 |
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花売り |
ところで、あまり話題にされない地味な話をここでひとつ。
松本清張の小説で、映画やドラマなどにも度々なった「砂の器」。この物語の原作には、ここ巣鴨と地蔵通りの縁日のシーンが出てきます。 |
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呉服屋 |
ある殺人事件を捜査する警視庁の刑事で、この物語の主人公である今西栄太郎が、仕事からの帰宅後妻を伴って、自宅のある滝野川から都電で、隣町の巣鴨へ出掛けます。 |
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車椅子まで売ってます |
二人はとげぬき地蔵に詣ったあと夜店をひやかして歩きますが、このとき物語では4の日の夜の、縁日の情景が模写されてゆきます。 |
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ヘアネット。パッケージがノスタルジックです。 |
同じ頃、近くの巣鴨駅前を通る国道の大通りで、車同士の追突事故が発生します。 |
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シルバー世代向けランジェリーショップです!! |
今西刑事が捜査する殺人事件の犯人で、著名な音楽家である物語のもう一方の主人公、和賀英良は、偶然この交通事故に巻き込まれて負傷し、救急車で病院に運ばれてしまいます。 |
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なんと刺繍入りのGジャン。
どんなおばあちゃんが着るんでしょうか。 |
と言う事で、映画やドラマ等ではあまり見られないシーンなのですが、原作では割と重要な場面として、昭和30年代頃のとげぬき地蔵の周辺が描かれているんです。 |
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高岩寺 |
巣鴨地蔵通商店街を150m程歩いて行くと右側に、とげぬき地蔵尊を本尊とする高岩寺が見えてきました。 |
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高岩寺境内 |
寺の境内ではご覧のように、何やら沢山の人たちが長い時間、順番待ちをしています。まるで、ディズニーランドの人気アトラクションを待っている人の列のようです。 |
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洗い観音 |
お目当てはこれ、洗い観音です。自分の身体の中で悪い所や治したい所があれば、この観音様の同じ場所をガーゼで洗うと治ってしまうらしい。ところでこの観音様はとげぬき地蔵尊とよく勘違いされますが、本尊のお地蔵さまは非公開です。 |
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伊勢屋 |
地蔵通り商店街では、庶民的で美味しそうな飲食店がたくさん並んでいるので、食いしん坊にはたまりません。 |
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すがも園 |
そんな中、塩大福が大人気。塩大福を看板にしている主な人気の店と言えば、伊勢屋、すがも園、みずのの3店舗ですが、どの店の店頭も沢山の人だかりです。 |
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みずの |
3店舗とも、塩大福のほかメニューも豊富で、店内では食事が出来るようになっています。 |
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マルジ |
こちらは人気の洋品店、マルジ。おばあちゃん用下着のババシャツや、もんぺとスラックスの中間のモンスラ、足袋と靴下が一緒になったタビックスなどが有名。店内はユニークな商品で溢れています。 |
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赤パンツ |
これも人気商品の赤パンツ。へそ下のツボに赤い色の布をまとう事で、健康が促進されるんだそうです。店内は赤、赤、あか、あか・・・ 真っ赤っかです。 |
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もんぺ |
かすりのもんぺと思われるものを発見。でもあまり人気は無いようで、赤パンツコーナーのような賑わいは見られません。 |
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タレントショップ |
なんと、タレントショップもあります。今日はご本人も、店頭で愛想よく接客してました。 |
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ライブハウス |
演歌専門のミニライブハウス! 入場やライブを見るのは無料だそうで、中ではCDなどを販売しているようです。 |
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庚申塚 |
信号のある小さな交差点の右角に、庚申塚がありました。江戸時代この場所は、街道を利用する旅人たちの休憩場所として賑わったらしい。
全長約800m程の巣鴨地蔵通商店街も、この庚申塚の交差点までです。 |
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都電荒川線 |
庚申塚の交差点を過ぎるとすぐに踏切があります。都内で唯一残っている都電、荒川線の踏切です。踏切のすぐ近くは庚申塚駅。とげぬき地蔵へのアクセス駅にも利用されています。 |
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庚申塚駅ホーム |
庚申塚駅のホーム内では、なんと甘味処が営業をしています。いっぷく亭と言うこのお店、あんみつやおはぎ、焼きそばも等もやってます。 |
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東京種苗株式会社 |
都電の踏切を過ぎると、行き交う人の数もグッと減少。そうしているうちに、通りの右側に古い木造の建物を発見。野菜などの種を商う会社のようです。江戸時代この辺りは種屋街道と呼ばれていたそうで、野菜などの種を扱う商家が集まっていたんだとか。ここも、その名残でしょうか。 |
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亀の子束子西尾商店 |
その先、広い大きな東京都道の明治通りを越えて更に進むと、またもやレトロな建物が。これは、亀の子たわしの本社工場でした。 |
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埼京線の踏切 |
巣鴨駅前をスタートしてから2km余り。JR埼京線の踏切が正面に見えたら、そのひとつ手前の信号を左折。いったん旧街道を外れましょう。 |
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近藤勇の墓所 |
100m程歩いた先の左側にあるのが、新撰組局長近藤勇を供養する墓所です。幕末の戊辰戦争のなか官軍に捕らえられた近藤勇は、1868年4月25日にこの近辺で斬首、処刑されたのでした。 |
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近藤勇の供養塔(墓) |
墓所内の案内板によると、その後胴体がこの地に埋葬され供養塔が造立されたとありますが、これについては諸説あるようです。供養塔には新撰組副長の、土方歳三の名も共に刻まれています。
墓所の目の前はJR板橋駅。散歩のゴールとしても良いのですが、今日はまだまだ時間に余裕があるので、更に先へと進んで行く事に。 |
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国道に合流 |
そんな訳で、来た道を引き返して旧街道に戻って来ました。
JR埼京線の踏切を越えて、そのまま街道沿いに進んで行くと、その先500mほどで、旧街道は国道17号線に一旦合流します。 |
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国道を越えて再び旧道へ |
横断歩道で国道の広い道を渡ると、国道を分けて右前方へと延びて行く商店街があります。これが旧道。そしてこの辺りは、嘗ての中山道六十九次のうち、日本橋を発って最初の宿場町、板橋宿があった場所なんです。 |
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観明寺の庚申塔 |
国道を越えて間もなく、商店街沿いの右手にある寺は観明寺。境内には1661年造立の庚申塔が残されています。因みに、この付近には戦前まで板橋遊郭があって、賑わったらしい。 |
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仲宿交差点を右へ |
観明寺を過ぎたら300m程進んだ先にある、旧中山道仲宿交差点を右折して、板橋と王子を結ぶ王子新道へと入りましょう。この先からは、暫し旧街道を外れる事になります。 |
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東板橋体育館 |
王子新道を歩く事500m足らず。信号のある交差点の左側前方に東板橋体育館と、それに隣接する加賀西公園が見えて来ました。江戸時代、この付近に加賀百万石前田家の、約22万坪にも及ぶ下屋敷があった事から、現在では加賀という名前が、この辺りの地名に使われているんです。 |
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圧磨機圧輪記念碑 |
ここ加賀西公園内には圧磨機圧輪(あつまきあつりん)のモニュメントがあります。これは、嘗てこの付近にあった旧陸軍の板橋火薬製造所で、明治9年から39年まで、火薬を製造するため実際に使用されていた圧輪なんです。 |
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体育館前の通りを進む |
この後は王子新道を外れて、公園前の交差点を左折。東板橋体育館を右手に置いて通りを歩いて行きましょう。 |
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東板橋公園 |
300m程進んだ先、通り沿いの左手にある大きな公園は東板橋公園。公園内には、放し飼いの動物と遊べるこども動物園もあります。入園無料。 |
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東板橋公園前 |
東板橋公園を過ぎて、静かな住宅街の道を、そのまま道なりに進みます。 |
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突き当たりを左へ |
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文殊院 |
200mほど歩いた先の右手に、真言宗の寺文殊院の山門が見えて来ました。ここには、板橋遊郭があった頃の遊女の霊が供養されています。 |
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突き当りは旧街道 |
文殊院を過ぎると間もなく、旧街道の商店街に突き当たりました。これを右折して、旧中山道散歩の再開です。 |
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石神井川と板橋 |
街道を横切って流れる川がありました。これは石神井川。そして、川に架かる橋は板橋。板橋という土地の名前はこの橋が由来ですが、板の橋とは名ばかりで、現在のものはコンクリート製です。 |
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石神井川緑道 |
板橋の橋の袂には石神井川緑道という、全長150m程の小ぢんまりとした緑道公園あるので、石神井川の川岸へ近づけない代わりに、こちらの水辺で小休止。 |
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縁切榎 |
板橋を越えて旧街道を歩いて行くと、300m足らずの右手に縁切榎が見えています。
江戸時代のこと。誰かとの悪縁を切りたい時、相手にこの榎の皮を煎じて飲ませると願いが叶うと信じられていました。現在の榎は何代か代替わりをしたものですが、悪縁を絶って良縁を結んでくれるという事で、今では隠れた人気スポットになっているんです。 |
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正面は環状7号線 |
その先で旧街道は、都道318号環状7号線の広い通りにぶつかります。左に折れると都営地下鉄三田線の板橋本町駅へ。今日の散歩のゴールに到着です。 |
★交通 |
JR山手線、都営地下鉄三田線、巣鴨駅下車 |
★歩行距離 |
約 6.0 km |
周辺地図
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