わさび納豆
スーパーの特売で「わさび納豆」と言うのを買ってきた。わさびの風味が納豆のねばねばに溶け込み、噛みくだく程に味覚嗅覚を伝って全身に広がって行く、絶妙且つ感動的な味だった。
後日まとめ買いすべくスーパーに行ったが、既にもう店頭に並んではいなかった。そして、他のスーパー、食料品店からも手に入れることは出来なかった。
諦めかけていたある日ひらめいた。家にあったいつもの普通のパックの納豆を器にあけて、付いていたねりからしは使わずに、冷蔵庫から取り出したおろしわさびのチューブを胸の鼓動を抑えつつ絞り、醤油をかけてまんべんなくかき回した後、炊きたての白飯の上に載せて期待と不安の中それを口に運んだ。
あの味だっ。間違いない。
その時私は感動に震えた。 |
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