【 初物(ふきのとう) 】


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 ここ雪国でも春の気配が感じられるようになった。せせらぎも水量が増えてきたし、 雪の下では「ふきのとう」が育っているんだろうなぁ。
 ふきのとうといえば・・・・
 今時はすっかり季節感がなくなってしまったけど、以前はそういったことがそこここにあって・・・、思うに、ふきのとうは雪国の 「初物」の代表だと・・・。


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 じいちゃんが言っていたんだけど、ふきのとうは苦いんだよ。だから、子供は食べられないんだ。
 なのに、僕はふきのとうを採りに行くんだよね。採りに行くといっても、家の回りの土手やあぜ道なんだけど・・・。
 ふきのとうは雪の下で大きくなっていて、 せせらぎ沿いの土手の雪がざーっと崩れたりすると、「僕、ずーっとここにいたんだよ」とでも言いたげに、 少し恥ずかしそうに顔を出すんだ。
 雪が消えた後の地面から顔を出す草の芽なんかと違って、手品で何かがぱっと出てくるように・・・、 「ばあぁ」って、春の日がまぶしそうに顔を出すんだ。

 僕はその事を知っているから、下のほうが溶けて穴があいているような所を見つけると、スコップを構える。
 どこを突ついたら、うまく雪が崩れるかをちゃんと考えなくちゃいけないんだよ。何故って・・・、 崩れた雪でふきのとうが覆い隠されてしまうと掘り起こすのが大変なんだ。
 僕の言いたいこと、わかるでしょ!

 「ふきのとうは雪の下で大きくなっている」といっても、今の季節は、雪解けの後のように沢山あるわけじゃない。 せいぜい2個か3個見つけるのがやっとなんだ。
 そうやって見つけたふきのとうを家に持って帰ると、じいちゃんが喜ぶんだよね。「初物を食べると寿命が延びる。」って・・・。誉められるとうれしかったよ。
 誉められると嬉しいから、また誉められたくて・・・、明日もふきのとうを採りに行くんだ!。


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 だけど、おいらがふきのとうを採りに行ったのは、じいちゃんに誉められるからだけじゃないんだ。
 その頃は除雪が行き届いていなかったし、降雪量も多かった。 数ヶ月間は雪に囲まれて過ごしていたわけで・・・・、久しぶりに土や緑を目にした時は感激するのだった。

 今は当時と比べればとても過ごしやすい。ありがたいことである。
 一方で、土や緑も再開に感激するほど懐かしくはないし、初物という概念もなくなってしまった。ふきのとうも・・・・。

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