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ポトチャリポラパ/コミック/2003年
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2003年/10月
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2003年/10月/31日
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「父への手紙」山川直人(同人誌)

・東京中野にある「タコシェ」で購入。山川氏のサイトでも、タコシェでも通信販売可能です。

・短編集です。1994年(1993年?)発表ということで、商業出版第一作目の「赤い他人」の次って感じなんですかね。
・いや、「ガロ」の人って思っていたけど、本当にガロに描いていたんですね。たくさんあります。

・絵が微妙に現在のとちがいますし、山川氏の描く範囲内で絵柄を意識的に変えておられますね。

・埋立地に住んでいた男と妹が、たった1人になってもまだそこに住んでいる母親を引き取りに行く。産廃の埋立地なので公害被害がすごいから。「父への手紙」。これは今の絵にもっとも近い。

・あと、頭がよすぎる男。どこにも非の打ちようがない男。でも、どの仕事も長続きしない。頭がよすぎて、仕事になれた瞬間、すべてがわかってしまい、シラケてしまう。

・妹が突然タヌキになってしまう「タヌキ」

・ガロ系のマンガ家の18番である、夢の話的な「ほら穴」

・そいで、ラストを飾る話。おれはこれが好きだなあ。死後の世界。先にしんだ夫が妻を待ってる。そして、天国の団地で2人で住む話。ラスト、ベランダで夕日をみつめてる2人のシーン(頭にはワッカがある)で、なんだか、泣けたなあ。

・あまりほのぼの感がなくてブラックなネタが多い。若かったのかしら?と思ったり。
(16:33:47)

「この星の空の下」山川直人(同人誌)

・これまた、タコシェで買いました。山川直人がたくさん読めてとてもうれしい10月です。

・そして、3冊買った本作が最高傑作じゃないでしょうかね。それは、おれがこれまで読んだものすべてあわせても。

・これまた短編集です。主人公のフランシーヌ淳子(インタルードでそういう名前ですが、それが本名かどうかはわかりません)がはなやかさを出している表紙です。1999年発表です。

・もう、ほのぼの100%の「恋する街角」。
・孤独なコンビニ店員の妄想「火星人ヨシオ」
・フランシーヌ淳子3部作「乙女の祈り」。実はこのキャラ、画期的。山川氏の女性は1パターンしかなかったもんねえ。この女性らしさを「武器」にするような、ちょっとメンヘル入ってるようなせん病質キャラ(美人)は画期的ですよ。2002年発表の「インタルード」(この後やります)で、完成されます。おれがマンガ編集の人なら、このキャラをメインにした連載を山川氏に依頼するなあ。

・殺人事件を解決する探偵といった、そうか、西岸良平氏と共通点って多いよなあとの思いを新たにする「珈琲殺人事件」
・ハードボイルドな「探偵事務所」。こういう路線もいいですねえ。

・山川氏の持ち味である、「暗さ」が前面に出た表題作「この星の空の下」。せつない。

・そして、ベストは「バスタオル」。雨が降り続け、街が水没した。それで、彼女に会いにいくために泳いでいく話。おれは、この「街が水没する」ってネタに非常に弱い。めちゃくちゃ弱い。

・ということで、バランスもいいし、バラエティに富んでいるし、これぞ山川節!ってのがタンノウできます。なにか1冊ならこれをどうぞ。オススメ
(16:51:01)

「インタルード」山川直人(同人誌)

・最新短編集になるのでしょうか。
・まず、突出してキャラが立っている「フランシーヌの午後」が最高。上記「この星の空の下」でも登場してました、フランシーヌ淳子さんが大活躍するマンガ。サイコーですよ。高飛車ですが、愛嬌も十分あるし、本作で完成された感じです。すばらしい。

・SF長編(いや、他作品と比べればページ数が多いってことなんだけど)の「早すぎた男」
・東ヨーロッパの映画みたいな「写真屋さん」
・あとは2pで、ホームページで発表していたショート群も味わいあるなあ。まあ、「味わい」でいえばすべてがそうなんだけどねえ。

・いやあ、タンノウした。シアワセだなあ。
(17:04:49)

「印度で乱数特別編」駕籠真太郎(同人誌)

・「タコシェ」で購入。
・作者のサイトでも通販できそうです。

・えーと、商業誌と同人誌の境界がもうひとつわからんくらいやりたい放題な駕籠さんですけど、やっぱり、同人誌だと、タブーからもう1歩足を踏み込んでますね。
・なるほどなあ。詳しく書いたほうがいいのかなあ。

・まず、特撮&アニメパロがありますね。[駅前」シリーズの手法をパロディに流し込んだような。
・えーと、裸の女性にメカノモトをムリヤリ食わせて、ビックリドッキリメカを口から出させて、相手のメカ(裸の女)を食い殺したりとか。もちろん、リアル描写で。

・そいでもってラストの「超大作RPG FINAL CHINESE 8」。まあ、多くは語りませんが、写真や図版を多用した召喚モンスターは、商業誌には載せにくいだろうなあと思いました。

・でも、1000円は高いなあと思いました。
(17:30:10)

「純にもぬかりはある-自選最低作品集-」早見純(同人誌)

・タイトルどおりの最低作品集です。もともと最低と呼ばれるような作者の自選最低作品集ってなんだろう?と思って手にとったのが運の尽きでしたね。
・これが本当にサイテーなんだよ。すごいね。早見氏のすごさを再確認しましたよ。エリを正しつつ。

・さすがです。

・ということで、終わらせたいところですので、以下は補足というか蛇足というか。

・可憐な少女が、裸になって受け入れ態勢になっているのに、横でセンズリぶっこいてる男を灰皿でボコボコに殴ったり。
・授業中たまらなくなってトイレに行ったら清掃中で、困った少女が理科準備室のフラスコで用を足し(念のためいっておきますと大のほうです)、ホッとしてると、潜んでいた変質者に犯されたり。
・彼のことを考えて道を歩いていたらトラックに轢かれて上半身と下半身がセパレーツになった少女の話。

・と、まあ、こういった内容です。
・どれもこれもにおい立つような絵柄ではあるところが最低に磨きをかけてますねえ。
・あ、タコシェで買いました。
(18:42:11)

「いぬちゃんのちょっといい話 2000〜2003」かとうけんそう(同人誌)

・1995年から2003年までのあいだ「CDROM Fan」という雑誌で連載されていた1pの世相をギャグめかしたマンガですね。その2000〜2003版です。1995〜1999版はまだ出てないみたいです。よくわかりませんが。

・例によってかとうけんそう氏のサイトで通販できるみたいです。しかし、こういうのは住所を晒すことになるんで、ヒトゴトながら大丈夫かな?と思ったり。まあ、かとう氏の場合、高円寺にある「マニュアルオブエラーズ」のサイトなんで大丈夫です。さすがタレントさんですね。

・と、そのサイトをみると、上記の1995〜1999版はほとんど読むことができる状態ですね。なあんだですよ。

・昔はまたちがうスタンスだったみたいですが、2000〜2003版は、当時の事件や世相を反映した内容になってますね。
・「どこでもいぬっしょ」(「どこでもいっしょ」と「シーマン」なんかの育成ゲームブーム)からはじまって、「わんわん警察の不祥事」(警察の不祥事)、「犬印犬乳」(雪印牛乳)、「どうぶつ教科書検定」(教科書検定)、「皇犬子の新宮誕生」(皇太子の新宮ですね。アイコさんですよ)、「どうぶつワールドカップ」(ワールドカップですね)、「たまたま川のいぬちゃん」(多摩川のたまちゃんですね。もうさぶいです)、「戦争反対いぬ」(イラクへの爆撃ですね)までと。まあ、2003年入ってすぐお終いって感じですか。

・ぬるーい犬ダジャレが炸裂してます。でも、いぬちゃんで、かとう氏だから許せる感じ。とくなキャラクターですね。

・そういえば、おれがかとうけんそう氏を知ったのは、竹中直人氏が「笑っていいとも」のテレフォンショッピングで、彼をつれてきたからなんだよなあ。今でも交流はあるんだろうかねえ?
(19:13:04)

「たからさがしえほん」細川貂々(同人誌)

・と、タコシェでいろいろと同人誌を買いましたが、初見でジャケ買い(まあ、パラパラ立ち読みして決めたのですが)したのは、本作だけだったりしますね。意外と純マンガがないんですよねえ。

・エッセイコミックです。オトモダチの「ぐーす」ちゃんに連れられて骨董市に出入りするようになって、小瓶にハマった作者のガラス瓶コレクターマンガです。

・例によって、サイトがあります。おれは絵にほれました。イラストレイテッドな線に、レトロ趣味が漂うという、ありがちなものではありますが、その世界、そして瓶に対する愛情が伝わってきますね。

・「ハケ」ってのがあるんですね。昔のゴミ捨て場らしいんですが、その場所を掘ることで、昔のガラスなんかを掘り出せるそうですよ。

・あと、相方の「おおうちぐーす」氏のオルゴール時計のマンガも巻末に収録。モノだけでいうなら、おれは、オルゴール時計のほうが興味あるなあ。目覚ましのベルのかわりにオルゴールがなる時計のことですね。イキなもんあったんですね。知りませんでした。

・商業誌でもいろいろ描いてる方ですので、絵はご覧になった方がいるかもしれませんね。上記リンクで、買うことがきるところを紹介されてるので、興味のある方はどうぞ。
(19:27:16)

2003年/10月/26日
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「ウッディケーン」3巻 横内なおき(講談社)

・最終巻。「もう終わったの?」と、おれとともに楽しみにしている上のガキも尋ねてくるくらいあっけない感じ。

・ただ、これは、ちょっと地味だったのはまちがいないことで、主人公の性格が地味、パロディネタが希薄なのでギャグが地味、キャラも渋い設定が多かったので地味と、地味な要素がテンコ盛りであった。
・まあ、あくまで前作「サイボーグクロちゃん」と比較してのことだが。

・ただ、2巻のときもいったけど、本作はたいそうな意欲作だったと思う。かなり練りこんだSF的な設定に、エコロジー的な問題を絶妙に盛り込んで、あくまで子供向けのはちゃめちゃギャグという着地点。なおかつ、前作でやっていたガンダムネタやその手のネタを極力避けて、「話」を読ませようという思いが伝わってくる。
・そういった意味では確実に作者のターニングポイントたる作品になっている。

・正直、地味だから、長くないなとは思いました。ただ、もう2〜3巻はあるかなーって。

・次回作を期待してます。
(16:42:01)

「焼きたて!! ジャぱん」9巻 橋口たかし(小学館)

・最近は女子があまり登場しないのでおもしろくないなあと思いました。
・あと、パンを食べる→回想→「うまい!」ってなるところの回想が長すぎると思いました。

・今度はカワイイ女子がたくさんでるといいなあと思いました。

・つい、小学生の感想文みたいになってしまいました。飽きがきてる傾向なのかもしれません。
(16:45:58)

「ハラハラドキドキ」1巻 清野とおる(集英社)

・ああ、「青春ヒヒヒ」の人だな。このときは、「絵が汚い」と思ってスルーしたんです。それじゃいけないなと思ったので今回は買ってみました。

・えーと、河原で怪しげなことをしてる「ハトババア」にちょっかいを出したら呪われて、腹に人面瘡ができてしまう少年と、同じく人面瘡ができた同級生との人面瘡ラブコメです。
・一応、もう一度ハトババアをみつけて元に戻してもらうという目的があるんですけど、まあ、あまり考えないで、ギャグを楽しむと。

・ギャグは怪奇ギャグってジャンルになるんでしょうかね。まったくそういうところを感じませんが。いきなり、年金のCMマンガみたいになったり、後先考えてない感が濃厚です。

・主人公の彼女がいいですね。作中では「プッツン娘」と称されてますが、カワイイですね。なにも考えてなくて、いつもニコニコしてて、それでいて、まったく意表をつく行動したり。

・楽しく読ませていただきました。読みきりもよかったです。
(17:10:52)

「えの素」9巻 榎本俊二(講談社)

・6年にわたる大河連載もトートツに最終巻だったりします。まさに竜頭蛇尾。
・あとがきでも描かれてますが、一時期は、実写映画化だの、CGアニメ化だの、ものすごい盛り上がりがあったんですよ。まあ、6年っても、実質2年近くは休んでましたし、休み明けは、ついに雑誌上では往年のキレを取り戻せないままでしたからねえ。2週連載して1週休むなんて、変則ローテーションでしたし。

・で、9巻ですが、オーラスにふさわしい、一大スペクタクルマンガとなりました。往年の同僚である、二比のインポの原因を探るために、二比の体内へと旅する郷介と田村さん。郷介は葛原さんに帰ってきたら結婚しようとプロポーズされ承諾されている。野望と陰謀の渦巻く二比の体内への旅、待ち受ける苦難、そして、郷介の運命は!

・って感じですか。アメリカ編からいつの間にかその二比インポ治療編になってましたよ。

・排卵シーンをあれだけスリリングに描けるのは榎本氏くらいでしょうねえ。卵子がポンと出てくるんですよ。相変わらず、しびれるようなアクションシーン。タミーのアクションがとくにすばらしかった。

・とりあえず、お疲れさまと。あと、スゴイ次回作を期待してます。
(21:25:46)

2003年/10月/23日
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「長谷川キューの祐実に恋して!その全記録」長谷川キュー(同人誌)

・同人誌です。「タコシェ」で買いました。けっこう平積みでしたので、以下をお読みになって興味を持たれたら、どうぞ、行くなり通販するなりしてみてください。ちなみに作者のサイトです。「ひまわり研Q所

・本作は、安達祐実(以下「アダチ」ってことで。「祐実」って出しにくいんですよ)のファンがその想いをマンガに叩きつけたものです。「公開ファンレター」としてます。おれとしては「公開ラブレター」じゃないの?と思ったりします。

・アダチ主演の観劇ルポは、えらい細かいです。オニのような細かさ。だから、逆にどこがおかしいのかまったくわからないところなんかもある。ほら、演劇みていて、その流れでの「笑い」みたいのってあるじゃないですか。それ。

・その絵は「そのときの気持や見え方を重視するって感じで、いわゆる似顔絵じゃないんですよ。まあ、いわゆる似顔絵もあります。作者はエロマンガも描いてるそうで。アフタヌンの四季賞で佳作ももらったそうで(おれ、読んでる可能性あるなあ)。
・絵も含め、すべて、マンガとしてのクオリティはさすがです。

・そして、白眉は、アダチのスキャンダルあったじゃないですか。黒田アーサーとの熱愛発覚。これを受けての作者がすごかった。まさに余すところなく率直に描いてます。「キショ!」って意見も某サイトでありましたが(あれだけ同人買って読んで感想をサイトでアップしてるアンタも十分キショいよ)、おれはこの率直さにかなりココロを打たれました。

・よくファンサイトありますね。ものすごい冷静にちょっと距離を置いて書いてるサイトより、やっぱり想いを率直に書いてるほうが、その対象のよしあしや個人的な好き嫌いはともかく、気持は伝わるな。

・で、本作でのアダチへの想いがまた尋常じゃないんだ。だから、作者も、最初のほうの観劇ルポとかは、おとなしめだったんですよね。このスキャンダルを受けたあとの「まんが日記 8・05大失恋!」は、もう、かなりイってるんですよ。いやあ、たしかに、「キショ」ってのもわかるんだけど、1人の女性に身もココロもいかれてる男の、ある点での純真さってなものがえらいインパクトなんですよ。

・で、確実にアダチに対する興味が湧きます。おれも、意味もなくアダチの公式サイトを見に行ったりしましたし、中古でCDも買いましたよ。そういう力は確実にあります。

・まあ、上記作者リンクに見本がありますのでぜひ読んでくださいよ。

・ということで、自虐系サイト的「ははは」と読むもよし、「人を愛するってどういうことだろう?」などと哲学的に読んだりするもよし。個人的にはファンサイト運営者に読んでもらいたいなあと。
(23:26:42)

2003年/10月/21日
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「堀田」1巻 山本直樹(太田出版)

・んー、ストーリー性の薄いエロ連作としての長編という感じでしょうか。短編が3編収録されてましたが、おれはそれと本作とのちがいがわからなかったです。目次をみてわかったくらいで。

・オビに巨匠とありましたが、本当、なにを描いても「山本直樹」って、いい意味での変わってなさは、巨匠と呼ぶにふさわしいものがあると思いますね。

・今回、ポイントは、奇妙なシチュエーションのエロですかね。「IKKI」でやってた「安住の地」は奇妙な場所でのエロでしたけど。
・曲がりくねって永遠に続いてる畳敷きの廊下がなんかあるのかしら?随所にカットインされてます。

・他所の世界に飛ばされた兄がマンコでつながってるとか(向こうがセックスすると、チンポが飛び出してくるってスンポウさね)。

・ウサギの着ぐるみを着用してる女性といたすとか。

・ベタですが、「不思議な国のアリス」的というか。

・安心のクオリティではありますね。もう、ベタなエロコメみたいのは描かないんだなあと。最近は熱心なファンではなくなりました。安心のクオリティってことは、どれを買ってもいっしょだからねえ。「あ、山本直樹読みたいかな」って気分のときに買います。「堀田」を買ったときはそういう気分でした。

・前も書いたけど、おれ、山本直樹のエロじゃ勃たないんだよねえ。だから、純粋に山本直樹ワールドに浸りたいときってことになるんですよ。
・2巻も買います。
(18:28:21)

「噺家探偵 菜ヶ島ゆう子」高雄右京(大都社)

・うーん、この作者のを買うのははじめてなんですけど、これをはじめてとして買ったおれは不幸かと思われる。

・寄せ集め的な短編集。大都社の18番ですね。してみれば、大都社って、パンの耳料理専門店みたいな感じの出版社ではありますね。1冊1本の長編だったら、名作もちらほらありますが、こういう寄せ集めはやっぱりどうしてもコレクターズアイテムな感じになるみたいですね。

・ということで、まったくワケがわかりません。

・少女がキュートなエロコメ短編集です。萌え度が高いのは作者の存在理由ですが、ウエストの「太さ」がいい感じですね。下腹がポコっと出てたり、ロリなポインツは余すところ無く押さえてますね。

・おれはタイトル作が気になっていたんだけど、私立探偵部と落研に入ってる少女が事件の謎を解くってあらすじでしたね。悪い意味でグズグズで終わっていきました。これ、もっと設定煮詰めて、謎解きとかも、それなりに入れて1本の長編に膨らませればあるいはおもしろいものになったような気がしたんですけどねえ。

・結論は、1行目です。絵は好きですけど、作者は、もっとおもしろいもの、ドーンと儲けるために長編連載とかやらんでも十分って感じを受けますね。現状で十分オイシイくらいに。

・なんかのまちがいで、そういうのが連載されてコミックになったら、またお目にかかることもあるでしょう。それまではサヨーナラということで。
(18:41:46)

「電脳やおい少女」2巻 中島沙帆子(竹書房)

・隠れオタクの女子大生と、そのネット仲間の、バンザイやおいライフを描いた4コマ。

・美形で、やさしい彼氏と、親友にもいえない趣味。これを隠してあたふたするサマをほがらかトーンで。

・これが、「月刊まんがくらぶオリジナル」に連載されているとは思えないマニアックさと、反面、「月刊まんがくらぶオリジナル」だからなあと思わせる配慮が同居している。そのバランスというか、サジ加減が非常におもしろいんですよね。
・で、2巻では、前巻よりもちょっと濃い目の味付けになっている。その反面、最初にかならず、「やおい」についての注意書きが書いてあったりする。

・家にはやおい本の山だから、彼氏もいれない。PCはそれ系の壁紙とアイコンで埋め尽くしてあるから、壊れてても自分でなんとかしなければならない。そういうのをみて「イマドキ、シャイなコだなあ」と大ボケしてますます故意の炎を燃え上がらせる彼氏。でも、彼氏の親友は、彼女の趣味を知ってると。

・ほかにネット仲間として、ばりばりのOLとか、高貴な家で慎ましやかな妻、バツイチ(離婚の原因は、夫がチャットのジャマをするから)などなど。2巻では、同級生のモロオタク(女)とか登場します。

・これが、4コマな絵とあいまって、本当、イチゴ大福とか、プリンまんとかのミスマッチな美味さがあるんですよ。

・で、ぶっちゃけ、彼氏とは合わないから別れて、あの彼氏の親友(オタク趣味をからかってる)とつきあったほうがいいんじゃないかなあと。

・相変わらずオマケのエッセイも描き下ろしのエッセイ4コマもおもしろいし、1巻発売時にもあった、期間限定のサイト(作中のキャラが作ってる、架空のやおい物語のファンサイト)もアゴが外れるくらいよくできてます。この手のパロディサイトじゃ最高峰じゃないかい? あの、「読みにくさ」も相まって、おれはよく知らないんだけど、「ああ、やおい系のサイトっぽいなあ〜」と。
・ちなみにサイトのURLはコミック内にあります。1ヶ月で消えるのでリンクいたしません。だから、買うなら今ですよ。

・かなり広い範囲、とくにネットサーフィンしてまで、「おもしろいマンガ」を探してるムキにはオススメ
できますよ。

・あー、でも、ファンとしていわせてもらえば、ネタがループしてきてるのが気になるところ。
(19:46:35)

2003年/10月/13日
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「π パイ」3巻 古屋兎丸(小学館)

・オビに、500円出せばだれにでもオッパイ(美乳らしい)をみせると噂されてる(ソース:鈴木紗理奈)光浦靖子氏がコメントをされてる大バカオッパイマンガの3巻目です。

・毎回、いい意味でムチャクチャなんですが、3巻はバイクマンガになってました。
・暴走族のヘッドで、女食いまくりの男と、首都高でバイクレースでございますよ。

・成立しないバカげたネタを、圧倒的な画力で押さえつけて成立させているというパターンは本作が真骨頂かもしれない。バイクでレースなんてありきたりながら、そのスジのファンには定番の王道パターンを、「ちゃんと」みせている。いや、おれ、知らないんですけどさ、その手のあまり読まないし。でも、迫力はあったよ。ムチャクチャだったけど、成立してるし。

・ただ、このままでいくと、なにも残らないような気がします。それも望むところなのかもしれませんが。そういった点では心配ですが、4巻ではなにを仕掛けてくるんだろう?的な楽しみはまだまだ持続しています。
(16:01:29)

「二十面相の娘」1巻 小原慎司(メディアファクトリー)

・てっきりつぶれたものと思っていた「コミックフラッパー」連載の作品。「菫画報」の人ですね。コミックで買うのははじめてかもしれません。

・まず、ギャグがないことに驚きました。えらいシリアスに展開してます。

・二十面相が活躍する時代。彼は予告して盗みを行い、人をけして傷つけることはしない。
・彼が、継母にいじめられてる娘をさらって、物語ははじまる。

・エグイ人間関係、さまざまなたくらみや思惑、そしてアクションと、江戸川乱歩な世界の中、展開していくわけです。

・んー、オチは?ってどうしても思ってしまうんだよなあ。えらいストイックにシリアスしてるんだもん。もうちょっと力をぬいた配分でもよかったんじゃないでしょうかね?ぶっちゃけ、この絵では、この話、荷が重いよ。絵と話のバランスが取れてないというかね。
・それでもって、いろいろとオーソドックスなんですね。それもあらためて思いました。画面構成、背景描写、コマ割り、などなど。「菫画報」なんかは、内容がトッピだったので、そう感じませんでしたが。それとも、あえて、そういう王道を目指しているのでしょうか。
・ああ、書いてるうちにどんどん思いつくのですが、どことなく石ノ森章太郎氏の感じがあります。

・トータル評価:普通。ということで。ものすごいイヤないい方させていただければ、高橋葉介氏の絵で読みたいなあって。
(16:18:42)

「鋼鉄の少女たち」3巻 しけたみがの&手塚一佳(角川書店)

・少女戦争マンガ。3巻目。
・んー、2巻目のときに、絵が軽いと書きましたが、ちょっと訂正ですね。この世界には合ってますね。この絵だから、硬軟入り乱れて展開する話についていけるんですね。
・今回は、戦争風景より、戦い後の悲惨な状況に重点がおかれてますね。囚われの身であるメインキャラのレタは仲間の無事とひきかえに自分を愛人として傭兵として身を挺する。

・かと思えば、敵味方入り乱れての戦車レースみたいなほのぼの編があったり。それもまた次に続いてるし。

・女だけの兵舎のアケスケなモブシーンとか、エロカンケイがおもしろかったですね。

・すいません。正直にいいます。キャラ見失い警報がガンガン鳴ってます。かなりヤバイです。
(16:31:24)

「少年名探偵 虹北恭助の冒険 高校編」はやみねかおる&やまさきもへじ(講談社)

・よくわかりませんけど、人気の「みすてり小説」の待望のマンガ化だそうで。
・これが、単純なコミカライズじゃなくて、原作者描き下ろしのストーリーになっておりまして、小説本編は中学編なのか、その先編なのかも知りませんが、話自体はこれ単体で読んでも十分におもしろかったです。それなりに原作を読んでないと「?」なものもありますから、たぶん、「原作ファンならニヤリとできる」的なところも多いです。こういうのって逆に原作知らないと「は?」になるってことなんですけどね。本作は許せる範囲内です。

・で、あれなんだ。原作の挿絵を描いてる人によるマンガ化なんだ。こりゃ、原作ファンはたまらんだろうなあ。

・学校に行かずに古本屋で1日本を読んでる恭助。だけど、彼は魔術のような「推理力」の持ち主だった。で、幼馴染の響子さんといろいろな事件に巻き込まれるというアレです。

・「高校編」というだけあって、某「じっちゃんの名にかけて」とか某「謎はすべて解けた」とか某「海賊王におれはなる」とかとちがって血なまぐさい事件は一切ないです。
・パターンとしては、響子さんを巡って、ライバルのミステリ研の部長と推理勝負とか、そういうの。

・絵だよね。かわいいし力のある魅力的な絵だと思います。また、内容とベストマッチ。まあ、上記の理由で合わないほうがおかしいんだけど、とてもいい感じです。表紙絵で決めたんだし、カラーもいいけど、モノクロのほうが筆が冴えてる感じすらしますし。

・話もバラエティに富んでますし、単に「解かれる」ためだけのミステリーじゃない、物語に組み込まれたものになってます。そのまま原作に移行しても違和感のないつくりではあると思いますよ。

・よくできてます。
(17:02:42)

「ワイド版 風雲児たち」17巻 みなもと太郎(リイド社)

・17巻はシーボルトの娘イネの苦悩からはじまり、ジョン万次郎の数奇な運命、天保改革の崩壊、平手造酒の生涯というラインナップですよ。
・個人的には、間宮林蔵の生涯が印象深いですね。ヒーローですね。

・あとは、長期間にわたって悪役をやっていた鳥居燿蔵も最大のピンチ(マンガ上ではね)を迎えてます。「妖怪(耀甲斐)と恐れられた。」なんてありまして、まだまだ長生きしそうですが、彼こそが妖怪のはじまりだったワケなんですね(くわしい解説)。水木しげるもビックリです。

・まあ、それはそれとして、マンガのほうもかなり現在に近くなってきて、大ゴマが目立つようになりましたね。ここいらのコマ割の歴史書としても意義あるものかもしれません。あと、女性描写も興味深いものがあります。そういわれれば、時事ネタも少なくなってきましたね。ここいらの時代の流れには非常にビンカンに対応されておられます。そういう姿勢には感服します。
(17:32:18)

「みずしな孝之のミズシネマ」みずしな孝之(集英社)

・映画エッセイマンガですね。「月刊少年ジャンプ」に連載しているみたいで。
・毎回1本の映画をみて、それをネタにほんじゃらかんじゃらと。まあ、「いい電子」におけるゲームをそのまま映画に移行した感じですか。

・本作でも自虐的に繰り返してる「ワンパターン」てのは、本当、そうだよなあと思う。
・旅行記である「実録サボテンキャンパス」、ゲームの「いい電子」、映画の本作と、みずしな氏のスタンスはみんないっしょですよね。みずしな氏がボケ役で、担当編集がツッコミ。
・まあ、エッセイコミックだからして、本人が出てくるし、本人が作品によってコロコロ性格や容姿がちがうってのもおかしな話だし、それはそれでアリなんだろうけど、それで、「ワンパターン」だって思われるということは、つまり、作品をけなされるより、あるいはもっとキツイことなんじゃないかなあ。すなわち、作者の人間性に踏み込んだ問題になるんだしさ。
・で、たいていの場面で、みずしな氏は「お客さん」ですね。「ボクなにも知らないの」ってスタンスでボケ、担当が「ちがいます!」みたいなツッコミ。

・よって、取り上げる映画はミゴトなほど話題作ですね。「キャストアウェイ」からはじまって、「ロード・オブ・ザ・リング」「スパイダーマン」「トゥームレイダー」。で、描き下ろしで「S.W.A.T」まで。
・ということからも、月刊ジャンプがみずしな氏になにを要求してるかってのがよくわかる。実際、みずしな氏はミゴトに応えてると思います。すなわち「いい仕事」してますよ。ただ、それが、映画ファン、みずしなファンに対してはどうか?って問題があるとは思いますがね。
・とくに、「あらすじ」をマンガ内で描かないといけないってシバリがキツイんじゃないかなあ。だから、似たような構成になってしまう。別枠を取って、担当編集に書かせたらいいのに。
・と、いろいろとダメ出しが思い浮かんでしまう、そういった点では「惜しい」作品だと思います。本当にダメなものにはダメ出しは出ませんからね。
(19:47:59)

2003年/10月/10日
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「狂四郎2030」17巻 徳弘正也(集英社)

・うわ、会ったよ。狂四郎とユリカ。まさかの展開。
・17巻では、一旦、設定なんかを整理しなおしている。同じ場所にいるということで、2人の間にさまざまな思いが交錯してて、なおかつ、それを読者に提示している。設定の復習。そいで、怒涛のクライマックスに向かうのか、また一波乱あるのかわからんけど、その流れのビッグボーナスであり、物語的のひとつのクライマックスとして、狂四郎とユリカの予期せぬ出会いがあった。それが17巻のクライマックスにもなっている。ここには素直に感動してしまいました。

・ただ、オビのコピーは蛇足だよねえ。

・で、本作は微妙に読者の思惑からずれたところで展開していってますよね。おれも前に「2人が出会うと終わる」みたいなことを書いたけど、出会ってもなお終わらないんだもんなあ。

・まあ、ひとつでも、予想できることは、ハッピーエンドならまだまだ続く。バッドエンドならもうそろそろ終わる。
・出会ってもわりと絶望的だもんねえ。2人が生きてく先がないもん。だから、ハッピーエンドなら未来のための整備が必要だってことですよ。

・とはいえ、あと5巻くらいかねえ。それ以上になったら読者のテンションが落ちるんじゃないかい?
(12:00:05)

「彼岸島」4巻 松本光司(講談社)

・とんでもない展開になってきたなあ。えらい大掛かりだ。
・吸血鬼の棲む島に上陸した主人公一行はいきなり囚われの身になるが、1人の捨て身の行動で逃げおおせることができた。で、先にいってる兄と再会。1人犠牲になった友人を救うために再度潜入する一行、それは吸血鬼が仕掛けたワナだった。

・と、前作「クーデタークラブ」から、松本氏はリアルなのが信条かと思ったけど、その思いを覆すような展開。そりゃ、吸血鬼の棲んでる島があり、本土から「食料」として人間をさらってきて生殺しにするなんて荒唐無稽でしかないよ。でも、その端々に妙なリアリティが漂ってるからこそ、それが不気味に感じられるんであってさ。たとえば、エサとなる人間を飼うシステムとか、丸太やバットを武器にしてるところとか、日本家屋を基調とした島々の風景とか。

・だけど、4巻では、吸血鬼が血を吸わないと変態してしまうとか、島の首領が超能力の持ち主とか、「えええ?」って設定が次から次へと。

・それがおもしろいかおもしろくないかでいうと、正直「微妙」。その判断は次巻以降だよなあ。突然、バタバタと展開するって感じがするし。
(13:23:41)

「ガタピシ車でいこう!! 迷走編」1巻 山本マサユキ(講談社)

・迷走編になり、これまで風(の巻)林(の巻)火(の巻)山(の巻)だったのが、今度は東西南北になるみたいですね。だから、1巻は「東の巻」です。

・あいかわらずのオンボロ車改造バカ(加えてビンボー)が多数でる、ちょっとメインストリームとはちがう車バンザイマンガとなっております。これはもう変えようがないんですよね。よくネタが続くなあと思いますが。

・本作の女性キャラは想像上の人物かと思ってましたが後日談みたいのを読むと、実在してるんですね。爆乳で、人がよくて騙されやすい桃子さんっているのかあ。みてみたいなあ。ついでにオッパイ触ってみたいなあ。すぐに触らせてくれるみたいだし。などと。そこいらはウソなんだろうねえ。

・で、たぶん、「ガタピシ車」シリーズといえば、たぶん日本一オマケが多いコミックなのかもしれない。それは迷走編でも健在で、リバーシブルカバー、ステッカー、「単行本限定描き下ろし連載」、文章の書き下ろしも鬼のようにある。
・ちなみに今回「単行本限定描き下ろし連載」はなんとSFですよ。まったくクルマにカンケイないハードSF。ものすげえスケールも大きいですし。ちょっとビックリ。
・おれとタメ年なんですよね、山本氏。おれとタメ年ってことは、こういうSFを描きたくならないとウソですよね。今のヤングが剣と魔法の物語を書きたがるのといっしょですよ。おれらがガキのころはこういうのが氾濫してたもんなあ。

・ということで、日本一オマケの多いコミックということで、コレクターは買え。車好きも買え。マンガ好きも買え。あと、往年のSF好きも買え。
(14:26:16)

2003年/10月/9日
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「FLY とんでもテレポートガール ユミ」1巻 西川淳(ぶんか社)

・なんとなく直感で買ってみたけど、なかなかいいヒキ。

・女子高生のユミは自分でコントロールできないテレポート体質。ハッと気づくとありとあらゆる場所に瞬間移動している。そのために、どこに行くのにもサバイバル用品をいつも常備してる。そして、あっという間に冒険が始まってしまう。

・これが、妙に下世話で庶民的なのと、テレポート先の破天荒さ、あと、女性向けホラーマンガ誌(って男性向け女性ホラーマンガ誌ってねえわな)で連載ってのが、相互作用していて、独特の味が醸し出されている。

・ジャンプ先は、吹雪のヒマラヤ。ルーマニアのドラキュラ館へ潜入してる傭兵部隊との熾烈な戦いの真っ最中とか。

・ベタな少女マンガギャグの文法にのっとりながらも、次のページで脈絡ないテレポートのインパクトやダイナミックさ、ワキキャラも味があるし、かなり楽しんで読ませていただきました。
・2巻次第じゃ、オススメしてもいい感じ。
(22:11:35)

「機工魔術士」3巻 河内和泉(スクウエアエニックス)

・2巻イマイチだったけど、3巻で持ち直したな。やっぱり、こうでないと。
「こうでないと」の「こう」とはなにか?

・某所(すんませんどこか忘れました)でみつけたいいフレーズ「寸止めエロ」。

・やっぱり、ユウカナリアと優香のエロ要員と、彼女らをオカズに妄想にふけるハルヒコという図式を忘れないというのは鉄の掟だなあと思いました。だからこそ、ユウカナリアの「Hしよっか」ってセリフやパンツに指をかけるってしぐさにグーっとくるわけですよ。

・ちなみに男キャラのオカダってのもなにがいいのかよくわかりませんが、いい感じではありました。

・しかし、うろたえすぎですよねハルヒコ。

・そいでもって、他すべてのストーリーはどうでもいいです。この寸止めエロをぜひ極めて欲しいなと。
(22:52:40)

「最強伝説黒沢」2巻 福本伸行(小学館)

・話題騒然の2巻ですね。なぜにこうも話題騒然なのかよくわからんが。

・と、なると、あげあしを取りたくなるのが当サイトの方針であるけど、手堅いわな。

・2巻は、ヤンキーに拉致られてボコボコの黒沢がクライマックスなんですけど、これからボコりにいくメンバーが車内でGBAで遊んでいるってのがスゴイよなあ。

・でも、おれ的には、福本画の女性が案外カワイイことだな。「クロマティ高校」か福本伸行かってくらい、女性キャラが出てこないのに画期的ですよ。ちなみに、ヤンキーの女性でした。

・そして、ちょっとマニアなことをいうとさ、福本氏は、「モーニング」デビューしたんですよ。これが、今と絵は同じライン上にあるんですけど、内容はまったくホノボノだったのですね。そう、ベクトルこそちがえど、「黒沢」に通じるものもあったんですよ。書きながら気がついたなあ。そうか、「黒沢」は原点回帰なのか。デビュー作のタイトルも思い出したよ。「ワニの初恋」だか。
・でさ、そのデビュー作にも女性キャラがでてきたんだよ。「ワニの初恋」ってことだし。ワニってがさつな男が女にホレてがんばるって話だったかな。
・そのときの女性と、「黒沢」に登場した女性が、また全然ちがうんですよ。なんていうかな、今のほうがしっくりくるんですよね。福本の画法の中の女性ってことなんですよね。これは、やっとここまで達したのでしょうかね?
・ おれ、一応、ブレイク以降の福本は「天」以外はたぶん読んでると思うんだけど、やっと、印象に残る女性が登場したなあって気がします。

・黒沢自体はどうでもいいので、もっと女性キャラを出してほしいなあ。なんか興味深かったし。男はもう、イヤんなるくらい描ききってると思うから、今度は、アレですよ、女性を描いてほしいですねえ。

・次回作は、女性が主人公でひとつ! 読みきりでもいいです。
(23:38:53)

2003年/10月/7日
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「ナノトリノ」1巻 ふくやまけいこ(ワニブックス)

・久しぶりに買うなあ、ふくやまけいこ。

・なんといっても絵ですよね。こちらに迫ってくるかのような絵の迫力。

・もちろん、話もすばらしい。映画好きな方でらして(映画鑑賞エッセイマンガみたいのもある)、ストーリーもさりげなくこってる。「何がジェーンに起こったか」なんて、たしか、「ぱふ」だかで、その年の短編マンガ賞をもらってたし、実際、今すぐハリウッドが映画化してもおかしくないくらいのクオリティだと思うよ。(今、正確なタイトルを調べるために検索をかけたら、プレミアついてるのな。うっしっし)

・ということで、本作ですが、和風ファンタジーな話になってますね。
・へんぴな村だけど、神「ギシン」さまに守られており、いつでも平和で暖かな毎日を送っている。その村ですくすくと育った姉妹、菜野と鳥野が、都からのSOSの手紙を受けて、ギシンさまと都へ旅する冒険物語ですね。

・いいですね、アユノ国のアユ姫なんて、ベタなのも登場しますし、ここいらは、美空ひばりなんかの時代モノを参考にしたような感じでしょうかねえ? まあ、あとがきに元ネタの紹介ありましたけどさ(シックスストリングサムライだそうです)。

・あまり、深く考えずに姉妹や謎の女剣士も登場するし、そういうのに「かわいー」でもいいですよね。

・表紙のバッジみたいな処理もすごくいい感じです。昔はこういうキラキラしたキャラバッジって雑誌の懸賞賞品の定番でした。

・下のガキ(5歳)が、まだ字もロクに読めないのに、ものすごい熱心に絵を眺めていました。5歳にもわかる絵の魔力ですよ。
(17:24:17)

「まだ旅立ってもいないのに」福満しげゆき(青林工藝舎)

・はじめて読んだのは「あかまつ」という「まんだらけ」が出して1号しか出てない(たしかそうだったような)、エロ雑誌にあったエロマンガ。てっきり、そういう路線かと思ったら、そういうのはみんな省いているのね。の、第一作品集。

・青林堂〜青林工藝舎〜エンターブレイン(コミックビーム)の流れですね。青春短編不条理仕立て。

・秘密基地を作った子供と女子高生の「子供が終る子供が泣く」
・通り魔のニュースをみて、自分もやろうとして、中年男の通り魔と、包丁で切り合う「みか月さん」
・中年探偵を騙す「モウカル・ハナシ」

・と、単純に「不条理仕立て」と書きましたが、そうじゃない話も多い、バラエティに富んだものです。ただ、登場する主人公がみんな似たようなので(ひょっとしたら、手塚治虫のようなスターシステムを採用してるのかもしれない)、通した印象がそうなるって感じですか。

・あと、特徴的なのが女性ですね。かわいくて肉感的だけど、どこか距離をおいてるふうに感じる。これは作者の女性観が現れてるのだろうか? なんだか、「怖い」って気持が伝わる。そして、そうだったとしたら、怖いって感覚は非常によくわかるんだ。女性は怖い。

・ベストは行きづりの3人で銀行強盗をする「僕たちは残尿感を感じる為だけに生まれてきたんじゃないんだ」。このラストも非常にいいと思う。おれも何回かこの「主人公」みたいなことをしたなあ。まあ、なにをしたのかは内緒にしておきます。

・おもしろいけど、後々じんわり落ち込んできます。そういう暗さを秘めてますね。
・次は思い切ってエロエロのやつがいいなあ。
(18:35:59)

「殴るぞ」4巻 吉田戦車(小学館)

・なんだか、安定期な吉田戦車4コマ。

・オペ途中先生の仲間「〜途中」が増えました。
・相変わらずのカワウソのお手伝いやフィジカル君や気配り犬などのレギュラーも健在。

・個人的には「遊歩道」を遊びながら歩くところとカンチガイしてるオッサンのネタで笑った。

・このまま100巻でもつづきそうだし、次の巻でふっと最終回だったり。どちらにしてもそう不思議でないところが吉田マジックというところか。
(19:02:39)

2003年/10月/5日
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「あずみ」30巻 小山ゆう(小学館)

・あずみさん流浪の旅に出るの巻。しかもお供というか、ハンデを2人抱えてます。柳生の手下に追いかけられ、爆矢撃ちまくりです。
・それに加え、どこぞで彫刻家を目指してる男と、あずみさん「急所」がたくさんできました。前も書きましたが、あずみさん自身はどうやっても死なないくらいの無敵状態ですので、窮地に陥るための仕込みということになりますね。

・さ、次の巻では、歪んだ顔の弟との対決があるのでしょうか。

・ところで、いい機会なのでここで書きます。小山ゆう氏のマンガを読むたびに、「プロだなあ」と思います。彼は基本的に「おもしろい」というベクトルのみにココロを砕いておられます。これはプロとしての姿勢の表れです。それがアタリマエではありますし、すべてのマンガ家(非プロでも)が目指すべき地点ですが、その方向には大別して二通りあると思うのです。
・それぞれに優劣はつかないと思いますが、小山ゆう氏の場合、「100%マンガの内容だけで勝負」してますよね。この純度が高いほどおれはプロ度が高いと思います。「これでメシを食っていく」という覚悟を感じられます。

・その見分け方に最近気づきましたのです。コミックの「オマケページ」ですよ。あれは基本的に描き下ろしであり、原稿料は発生しないもんらしいです。つまりは完全にサービスです。つまり、やらなくてもいいことなんですね。コミックならではの楽しみを提供したいという作者の善意やらなんやらのために描いてるものなのです。だから、まったく描かなくてもいいんですよね。実際、描かない人は多いですし、そういう人がコミックの編集の都合でページが余ったりした場合、マンガ内のカットを添えたり、まったく白紙だったり、タイトルのロゴだけ入っていたりしますよね。これはプロ度の高い人ですよ。

・おまけを描くってのも考えようではプロという見方もあります。余すところなく楽しんでいただきたいという想いもあるでしょうし。
・でも、描かない小山氏のほうによりおれは「プロ」度を感じたりします。

・このおまけページってのも人によっていろいろとスタンスがちがうのでみていて楽しいですよね。

・荒川弘(鋼の錬金術師)氏なんかは「楽しくて仕方がない」っていうし、浜岡賢次(元祖浦安鉄筋家族)氏なんかは「めんどうくさくてしょうがない」っていうし、たとえば、「あずまんが大王」みたいに、一見捨てカットのようで、なにげに描き下ろしにして、ちょっとしたネタになってたり。
・「ONEPEACE」なんかが代表的な読者との交流の場。エロマンガに多い、同業者のコミック発刊おめでとうページ。

・一度、自分のもってるコミックの「おまけページ」の有無を確認してみるといいかもしれませんね。まあ、それがわかったところでどうなるわけでもありませんが。
(16:29:39)

「てんちょおのワタナベさん」1巻 刻田門大(芳文社)

・アキバのPCショップを舞台にしたほのぼの4コマ。一見、オタクネタばりばりのようでかなり薄め(たぶん、編集に抑えられてるんだろうなあと)。

・ポイントはタイトルどおり店長のワタナベさんですね。小4の姪よりコンパクトで、小学生どころか幼稚園児に間違えられるくらいのチビッコ。加えてメガネっ娘。まあ、年齢26歳だが。で、みかけヤンキーで実はファンシー大好きなマナさんと、主人公というか、読者の「眼」になってるバイトが基本かな。

・載ってる雑誌のレベルに合わせてるのか、PCショップネタは本当のチンマリしたもので、基本的にはワタナベさんのドジっぷりをみて「萌え〜」となるのが吉ですかね。ロリ要素はあまりないです。客もアキバ=オタクみたいなわかりやすいのが多いし。
・こういうのヴィジュアル4コマっていうんでしたっけ。

・まー、かわいいっすね。同じ芳文社のビジュアル4コマでいえば、「トリコロ」より好みかな。ただ、本作で少し正気になりましたから、これからはちょっとビジュアル4コマは絞ろうかと。
(17:41:14)

2003年/10月/4日
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「ONE PEACE」30巻 尾田栄一郎(集英社)

・ということで、まだまだ続く空島編。まあ、ラス前ってところですかね。
・だれでもわかっていたと思いますが、雷(エネル)はゴム(ルフィ)には無効。まあ、その先を考えているだろうことは、対クロコダイル戦でわかってましたし、そのとおりに展開してますが。
・しかし、やはり、ルフィの戦闘シーンはグッと画面がしまるね。
・で、今回はあくまでスペクタクルをメインにもってきてまして、各シーンもちがいますね。冒険的というか。

・30巻のラストはちょっと「ラピュタ」を思い出したりして。しかし、今回、ゲストキャラが弱いわ。「こいつ誰だっけ?」ってのが多い。
(22:33:20)

「HUNTERxHUNTER」18巻 富樫義博(集英社)

・あっと驚き。オビのコピー「天才富樫義博が描く」ですって。パクリの天才ってことかしら? ウソですが。

・そう、考えると、富樫義博ってどことなく椎名林檎に似てるかもしれないなあ。双方に共通してるものが多いけど、最大の類似点は、そのアンテナの確かさと、フットワークの軽さかもしれない。
・けして、メインストリームにならずに、流行を飲み込んで、最良の位置取りをする。だから、その流行自体が下火になる前に「次」の足場を確保しているために、その流行と一蓮托生にはならずに、一線をキープし続けられる。その点では2人とも天才。あえてカンムリをつけるなら「世渡りの天才」。
・サザンオールスターズの桑田圭祐氏もそのセンスを持っているが、彼らの場合、メインストリームになって、巻き込まれたりするからねえ。

・で、18巻。永遠につづくかと思われた「G・I編」終了。なんだか、かなり仕込んだわりには、サッサッサと終わった感触。このムラっ気や飽きっぽさが天才だからこそなんですね。システムを作り、その穴やトリックを作り出した時点でもう富樫氏的には終わっていたのかもしれない。あと、カードバトルとかRPGとかちょっと古い感じもありますしねえ。

・そいで、今度は「エイリアン」ですか。ここいら巧いなあ。
(22:58:34)

「並木橋通り アオバ自転車店」9巻 宮尾岳(少年画報社)

・自転車のあるオムニバスヒューマンドラマです。毎度毎度ですが、9巻はかなりキレがよかったです。

・とくに非レギュラーキャラが登場するのがよかった。
・組み立て式自転車を子供のために作ろうと悪戦苦闘する不器用お父さんの「Awkward PaPa」
・学校の備品を破壊しまくる女子高生がやった一世一代の答辞「アオゲバトウトシ」
・ダメオヤジを恋人に紹介しなくてはならない男がとった行動は「春の三交差」

・レギュラーキャラは、ずっと病気療養していた自転車店の妻の人が帰ってきましたよ。おれ、最初のほうで、てっきり死んだのとばかり思っていたよ。あと、じいちゃんも。

・で、妻の人が戻ってきたので、「え?最終巻」とあわてて巻末をみてしまいましたよ。そうしたら、ちゃんと10巻につづくでよかったよかった。
(23:27:50)

「慈恩 幕末秘剣」2巻 森田信吾(リイド社)

・普段は花売り。でも、その天秤棒には仕込み刀入り。そして、みたことのない剣術で並み居る敵をバッサバサと。
・ってチャンバラ活劇ですね。2巻目。

・2巻目は慈恩と同門下の悪人・昴弾蔵登場ですよ。こいつはかなりキーポイントになりそうですね。2巻はずーっとこいつが悪巧みの限りをつくしてました。主人公戦うの最後だけだもんなあ。

・でも、相変わらず、骨があり、肉があり、皮膚がある、人間がチャンバラをする「重み」が感じられるし、あくまで、勧善懲悪のストレートのアクションも理屈抜きの迫力です。

・おもしろいですよ。
(23:44:49)

2003年/10月/3日
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「ギャングスタードライブ」戸梶圭太&大西和文(秋田書店)

・金につられた高額のバイト。それは誘拐。しかも組長の娘。ということではじまるアクションマンガ。

・うーむ、単巻でまとめたけど、かなり消化不良でしたね。たぶん、作者も無念だったことでしょう。

・ワケもわからず巻き込まれた男女ペア。追いかける組側の刺客。漁夫の利を得ようとするチンピラ。そして組長。この4つどもえで丁々発止が繰り広げられる予定だったんでしょうね。

・絵もいいし、アクションやスピード感、そして各キャラも立っている。
・もうちょっと見せ場とかも用意してたんだろうねえと思うと惜しいなあと。
・こういう1本スジの通ってるアクション映画みたいなマンガって実はあまりないんですよね。ウケないみたい。それでも挑戦した作者も編集もエライなとは思います。

・ただ、全体的に少しづつ「足りない」感じはありました。
(18:26:40)

「ケロロ軍曹」7巻 吉崎観音(角川書店)

・5人目が登場しました。
・って、今気づきましたが、6巻でちょっと終わりそうになり7巻のはじめでリセットがかかり、またはじまるのって「ドラえもん」のパロディか? うわーすげ。

・と、吉崎氏は、なんていうか、こしゃくな人であるねえ。彼はいわゆる「オタク」っぽいといわれる禁じ手みたいのをかなり多用している。パロディ、楽屋落ち、マニアウケなど、そういう最近では嫌われてる手法をあえて多用している感じがする。7巻でもわかるのやらわからんのやらも加えて山盛りでパロディがある。まあ、これが売りでもあるし、足もひっぱってる気もする。そして、それでいて一定のおもしろさを生み出している。そこがこしゃく。

・だから、ありそうでないアニメ化なんだろうねえ。でもまあ、それに対して、ポジティブに開き直ってるから、妙なさわやかさがあるのかしら。

・パロディに関しては「ヨシザキャー:ケロロ軍曹マニアックス」を参照のこと。

・このパロディが鼻につくようになったら「卒業」かなあと思ったり。でも、もって来るところ(=ネタ元)が巧いんですよね。
(19:05:02)

「つゆダク」5巻 朔ユキ蔵(小学館)

・「死亡遊戯」なセックス勝負も無事に終わり、またテレビ局編、また7つの星を集める編になりました。

・3階は家族がうるさい編、4階はユーレイ、5階は性感帯を一瞬で見極めて攻撃する。
・この5階がおもしろかったね。射精させられてもとめどなく性感帯を責め続けられて男は女性の快楽の域に達する。
・女性の快楽がわかるというネタは、弓月光氏の第2期黄金時代を迎える出世作「みんなあげちゃう」でもありましたね。あのときは女性と男性を機械で入れ替えるってパターン。
・女性の快楽は男性の200倍だってさ。たとえるならADSLとアナログくらいのちがいでしょうか。そらもう、バンバンダウンロードできますよ。

・それはそれとして、死亡遊戯パターン、前記の「みんなあげちゃう」でもありましたね。で、セックス勝負の元祖であると思われる「やる気まんまん」。これらと本作とのちがいがおもしろい。

・たとえば、フェラチオ名人、フィンガーテク(やる気まんまん)、ロリータ、近親相姦(擬似)、花電車(みんなあげちゃう)なんかみたいな、曲芸じみたワザを武器にしてる女性が本作では登場しないんですね。あえていえば、最後の人がそれにあたるかもしれないけど。そういうんじゃない、もっとメンタリティーなところで勝負するあたり、作者が女性ということが関係あるのかもしれないなあ。
・こういう1芸に秀でたものを倒すってパターンは女性とは相容れないのかもしれないなと思ったり。こういう男女のセックス観のちがいがおもしろい。よくわかりませんが。前には、チツの内部に毛が生えてる女性とかあったもんなあ。

・つづいて、MHKとの対決がはじまりましたね。
(20:01:51)

「グレイトフルデッド」久正人(講談社)

・「yama-gat site」で知りました。というか、存在は本屋で確認してましたが、買う気になりましたと。
・単巻モノってけっこうギャンブリック。なおかつ、通常のコミックサイズはなおさら。たいていが打ち切られたものだからね。ほとんどのものが「1巻で終わらせるつもりはなかったのに終わった」モノばかりだからね。

・本作はそれでもおもしろかったなあ。

・舞台は中国上海、時代は清朝末期。中国のゾンビ、キョンシーを退治する話ですね。

・昼は娼婦として精液を体内にため、それを力に「変身」するという感じ。普段は気弱でおどおどしてるのに、変身(高揚ると表現)すると、めっぽう強くなるんだな。その落差がまたいい。

・エピソードは4つ。どれもこれも練りこまれてる。歴史、キョンシー、アクション、ホラー、グロ、いろいろなものが練りこんであります。
・警官がキョンシー、死んだ後に金銭を持っていく「紙銭」というネタを軸にしたエピソード。コオロギ同士を戦わせる地下賭博。海外のキョンシー(しかも有名人)との対決。の4つ。

・絵が最大の特徴ですね。ハイキーとローキーを極端に行き来する、ライティングがはっきりした画像。クセがあり、好き嫌いもはっきりしてるかもしれない。

・そして、おれ的に最大の弱点は、主人公キャラがいやらしくないことかなあ。せっかくいい設定なんだし、もうちょっとエロい女性描写でもよかったんじゃないかなあって。
・ちなみにあの娼婦部屋描写。かなりリアルみたいですね。韓国の娼婦部屋もあんなだったそうです。ぼくは残念ながらいってないので本当かどうかわかりませんが、説明のとおりだなあと思いましたよ。

・たぶん、作者、次の作品ブレイクしそうな気がする。完成に近づきつつある佳作。そんな感じ。
(23:03:15)

「スキャンティータイム」梅乃木裕二(蒼竜社)

・エロコメです。成年コミックマークなしですが。

・裏のコピー「「美少女コミック業界」の裏ガワが丸見え!?」にほだされてしまいました。

・美少女漫画編集の美人のお姉さんが主人公の話です。
・ショタっぽいマンガ家志望に「エロを描きなさい」「ぼくは経験がないんです」「じゃあ教えてアゲル」って感じですよ。

・これがねー、ギャグのノリがかなり特殊なんですよ。この主人公のお姉さんからして、実はソバ屋の出前もしてるって、どこをどうしたらこんな設定生まれるんだ?って思いましたよ。後半はその設定はなくなりましたから、編集の方々もクエスチョンマークだったんでしょう。
・ただ、うまく転がってるところもあるんですよ。金持ちの怒りを買って、印刷できなくなるってピンチに、なんと、イモ判で、雑誌を刊行するってギャグなんかは、こりゃ、いろいろムリあるけど、よく押し切ったなあと感心しましたよ。ちなみにカバーとった表紙はそのイモ判の雑誌の表紙。

・そいでもって、編集ネタなんてあまりないんですよねえ。せっかくの設定がほとんど無意味ってのがまたすごいというかなんというか。

・で、肝心のエロは、あんまりだったかなあ。つやつやした巨乳な感じ。ラミネート加工してあるような。微妙に垂れてるのがリアルな気もするけどさ。
(23:24:55)

「キャプテンバスティ」山下うり(司書房)

・「紅い旋風 キャプテンバスティ」の前作ですね。1999年4月の奥付になってます。でも、絶版だそうです。古書店100円購入。

・と、続編と基本線はいっしょですね。ただ、こっちのほうがややエロに比重があって、ギャグは薄めかな。

・いや、なんか、エロいなあと思います。山下氏の絵は。

・キャラの初登場シーンとかありますけど、あまり考えなくて良かったんだなあということがわかりました。

・ということで、ギャグもエロも楽しみました。
(23:36:46)

「ペット」4巻 三宅乱丈(小学館)

・3巻では、「これまでのあらすじ」みたいのがあった気がしたけど、4巻では「もう、話知ってる人だけでいいや」みたいな感じで、そういうのがなかったなあ。

・読んでいくと、これが、キャラとかみんな思い出すね。よくできてる証拠だわ。

・超能力で人殺しをしているエスパーたちの物語です。ものすげえ「台無し」って説明ですが。

・キャラ同士の思惑がヘンなふうに混ざってきて、ぐじゃぐじゃになってますが、全然さばいててわかりやすいです。これはおれ的にはものすごいホメ言葉ですよ。おれは人1倍、マンガのキャラを見失いやすいタチですし。
・だから、本作みたいのがあるとおれは自信を持てるね。

「マンガ内のキャラを見失うのは作者がヘタだから」

・とね。

・おもしろいです。読んでしまいます。こういうやおいっぽいニオイが濃厚な男同士の愛憎物語に、じめじめメソメソしてる、超能力モノと、おれ的には苦手要素が満載なのにおもしろいです。
(23:52:27)

2003年/10月/2日
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「臥夢螺館」上下巻 福山庸治(講談社)

・1993年に「モーニング」にポッと掲載されたんだよな。そのころ、福山氏はモーニングで、「マドモアゼルモーツアルト」(舞台化したなたしか)、「ドンジョバンニ」と、長編を描いていたんだわ。そのからみで、はじまったホラー長編なんですよ。その後、インターネットの「e-manga」だかにその場を移して、2003年に完結したと思ったのですよ。実に10年。ちなみに「ダウンタウンDX」も今年10年だそうです。今やってました。

・で、上下巻ドーンとした読み応え。
・ただ、読んだあと、「なにこれ?」ってなるんですけどね。

・福山庸治ったら、台湾でもファンが多いくらいの短編の名手なんですよ。まあ、しゃらくさい言葉でいえば、マエストロって感じ?
・本当に名作が多いんですよ。「Bbのソナタ」「青い木白い花豊かな果実」「ロンよりチョンボ」などなど。

・でも、おれ、正直なところ、上記の「マドモアゼルモーツアルト」も「ドンジョバンニ」も、中篇の「夜は散歩者」も、初の長編である「オオカミが出た日」も、「あれえ?」って感じだったのですよ。この「あれえ?」を言葉に展開して「いいわけ」すると長くなりそうなので省略しますが、ピンと来なかったんですね。たとえるならウッディアレン監督でウッディアレンが登場しない作品のような感じかな。よくわかりませんね。

・で、本作もそれです。それは「モーニング」で読んでいるときにわかっていたことなんですけどね。

・法律相談所の緑川がアパートの大家から依頼を受ける。半年家賃を滞納している店子を追い出そうというものだった。部屋の扉にはおびただしい数の錠がついていて、窓から様子をうかがうと「なにか」がいる。それではじまる悪夢ですよ。

・必要最低限の説明、的確で適切な描写、そして、あくまで不気味でスプラッタでエロティックでありながらも、「上品」に話は進んでいく。そして、アパート、オフィス、電車、最後に病院でクライマックスと。

・傍目でみると文句のつけようのない上質なホラーだけど、なんか「合わない」んだな。
・ふと、イマサラながら、マンガという媒体でホラーをやることの難しさを感じたりして。

・ここいらはだからセンスとか合う合わないの問題なんですね。おれは、シャレっ気のある福山短編が好きなんだなあということで。どうしてもひっかかるものがあるんだな。文句はないけど、肯定できないというか。モヤモヤしたものが残ります。
(23:59:10)


「For-get-me-not フォゲットミーナット」1巻 鶴田謙二(講談社)


「For-get-me-not フォゲットミーナット」1巻 鶴田謙二(講談社)



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