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ポトチャリポラパ/コミック/2004年
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2004年/6月
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2004年/6月/29日
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「江豆町 ブリトビラロマンSF」小田扉(太田出版)

・1読して、XTCのアンディ・パートリッジのインタビューを思い出す。

・つまり振り子の法則です。そのベクトルは各人あると思いますが、小田扉氏に即するなら「団地ともお」や「そっと好かれる」「男ロワイアル」の野木おやびんシリーズなどの、非ストーリーなマンガを描いた反動がきたのだなあと。
・なにかを表現する人は、いろいろなことを表現したくなります。それですよね。

・江豆町という架空の町を舞台とした、緻密なストーリー長編です。

・このどこにもない町での、各人にスポットを当てたオムニバスのようで、各人は微妙につながる。そりゃあ、あまり広くない町の話ですからね。
・老人に託されて、身代わりをやる青年。虫を部下にしていた海賊船長。奇妙な祭り。なぜかある刑務所になぜかいる重犯罪人。生徒の家がわからないからずっと家庭訪問にいけない熱血先生。老人たちが書いている新聞。

・そして、彼らは様々に交錯しつつ、50年ぶりに開催される「ドリームバリュー」に導かれる。

・おれの好きな、「のほほん感」は随所にありますが、ストーリーの濃さが、おもにネームに反映されたため、「団地ともお」なんかのファン(たぶん、1番多い層かと)にはちょっと面食らうんじゃないかなと思いました。

・そして、かなり密度が濃いのですが、それを「進行」させたり、引っ張るというところに使ってないのが、実になんていうか小田扉氏らしいなあ。
・ただし、そのせいで、かなりおいてけぼりくらう人もいるんじゃないかなと。

・つまりファンタジーなんでしょうねえ。

・個人的には地図の話が好きだったなあ。

・おれは「団地ともお」や野木おやびんシリーズのほうが好きですけどね。でも、こういうのが書きたかったんだなあと思われるのも非常によくわかる。そして、ちゃんと、「こういうの」が作品としておもしろくなってるところに、小田氏のすごさがわかりますね。
(15:45:53)

「げんしけん」4巻 木尾士目(講談社)

・TVアニメ化決定! わーぱちぱちぱち。
・オタクマンガの決定版!ってことですか?

・おもしろいですよ。

・別にこれで終らせてもなにも問題ない気がします。チマタにはたくさん感想がありますしね。

・だから、あと、いいたいこと。

・リセットしないマンガなんだね。基本的にマンガのストーリーってのはリセットします。もちろん、要所でのセーブはありますが、たとえば、1エピソードが終ると、人間関係などの設定は元通りになるというの。
・これがものすごいわかりやすく表れているのが、ギャグマンガね。「ツッコミ」として、ハンマーで殴られたりしてますが、次のコマでは殴られた人が平気な顔してるでしょ? つまり、それ。たとえば、「犬夜叉」でも「ONE PEACE」でもいいや。1つの戦いが終ったら、また同じような位置関係に戻るじゃないですか? 犬夜叉のほうはキャラ同士でくっついたりとかありますね。それはセーブですけど、極力、進行しないじゃないですか? カップル成立したからって、もう引退とかないじゃないですか。
・これが極限まで進むと、「サザエさん」現象になるわけです。カツオは永遠に小学生ですよ。いまやおれはアナゴさんより年上ですよ。
・で、「げんしけん」。3巻で放火騒ぎがあり、部室使用禁止になりました。で、4巻の最初では、延々と各人の部屋を放浪してまわっているというパターン。
・最終的には部室に戻るんですけど、なんか、ヘンに長いなと思ったし、そのときのデキゴトが4巻全てに影響してるって感じがしたんですよね。それに、かすかな違和感が。

・その後も、学生のサークルっぽく、なおかつ、オタク的なネタがユルユルと展開してますね。ここいらの話題や展開は素直に上手いなあと思いました。お約束のニューキャラも登場しましたけど。

・お、ここで、トーンを変えようかな。

・ニューキャラの荻上さんいいネ! どうも、昨今の細分化された萌えで、おれは頑なで、ココロを閉ざしてて、なおかつ、ツメが甘い感じの女性に萌えるってことがわかってしまいましたよ。「辣韮の皮」での塩釜港さん、「ラブロマ」の星野姉、まあ、なぜか「エヴァ」の綾波はイマイチなんですけどね。
・だから、4種のいずれかが入ってるしおりがおれのには荻上さんでサイコーですよ。ウキィー!
・いまんところ、まだ、キャラつかみきれてないみたいですけどね。

・また、トーン戻そうかな。

・新キャラでいえば、男でも1人いました。ああいう、オタクのうっとおしいところ描くと上手いなあと素直に思いました。「ああ、いるいる」って思うし、その男キャラはおれがもっとも嫌いなタイプだよ。

・腐れ縁でいる、春日部さんがえらい馴染んできてますね。セルフツッコミされてますが。けっきょく、「なあなあ」にはみんな負けるし、どこでもだれでも馴染むんだなあという真理が見え隠れしたりね。
(16:30:23)

「第一〇七生徒会記録」むつきつとむ(実業之日本社)

・復刻だなあ。実業之日本社の萌えエロはみんな復刻なのかなあ。

・山の中にあるでっかい完全寮生の学校を舞台にしたドタバタエロコメ。

・作者の趣味だろうけど、でかい学校って設定はまったく生きてなくて、歴史ある学校で、そこに棲まうモノノケさんのタグイが登場してアヘアヘみたいな展開が多いですね。

・基本キャラは、生徒会長のメガネっ子処女と、寮住まいがイヤで学内に野宿しては「生活のため」に盗みや悪さをしてるカップルですか。この3人がアヘアヘな目に遭ったりするんですね。

・ちょっと時代を感じる絵ですし、表紙の絵ともちがいますね。

・学園+モノノケ+霊現象のカップリングってのは根強いものがあります。ファンが多いんでしょうね。エロ抜きでもよくあるパターンですし。

・丁寧なデキだとは思います。もっとエロバリエーションが欲しかったかなと。
(16:47:16)

2004年/6月/27日
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「不安の種」1巻 中山昌亮(秋田書店)

「新耳袋」って怪談集があるじゃないですか。かなり巻数を重ねて、さまざまにメディア化されてる有名な怪談集。
・あの本って、カバーをめくると、オールカラーの写真が表紙になっています。それは中の話に準じたものです。だから、読み終えたあとに、カバーをめくって2度オイシイというシカケになっているのです。

・本作は、マンガではないと思うのです。1話2p〜10pで、ただ「起こったこと」が描かれてます。それが延々続いてます。だから、ストーリーというものはありません。だから、「オムニバスホラー」とありますが、ホラーではないと思うのですね。だって「それ」をみてしまった人をただスケッチしてるだけですからね。
・それが「怪談」なのかどうかの境界線である感じは、「新耳袋」と同じです。

・たとえば、女性が風呂の洗い場で髪の毛を洗ってます。ふと、視線を感じたので、あたりをみると、浴槽から目まで顔を出してみてる人がいました。

・話はこれだけです。この後に続くわけではありません。この前になにかあるわけでもありません。それを3pで描いてます。

・1巻では「フタの章」と銘打ってます。同時発売の2巻は「ぼーの章」です。

・さて、作者、中山氏、なるほど、「これ」が描きたかったのだな。というのをすごく感じました。

・出世作である「オフィス北極星」などでも、ちょっとデフォルメのききすぎた描写を好んでます。「レネゲイト」では真正面のホラーを描いてます。どっちも「これって人間か?」ってくらいデフォルメされたのも登場します。ほとんどギャグくらいデフォルメされたの。えーと、それをホラーに転換したのです。

・ただ、おれは「これ」が描きたかったんだなと思います。

・おれは現役マンガ家でも随一の絵の上手い方だと思います。本作でもなにげにあらゆる手法を駆使されてます。そして、「それ」を描いております。つまり、「それ」描写が先にありきなんだなと。

・短いですが、心臓がキュっとなるものが目白押しです。1巻では「道に棲まう」がおれ的には1番ですね。これを4pで表現できるマンガ家は中山氏だけでしょう。

「新耳袋」好きな方はド真ん中です。そして、最近、退屈と思ってる方は1読してみると世界が変わってみえるかもしれません。

・ごめん。端的な感想。「こわいよおおおお」。
(19:36:33)

「不安の種」2巻 中山昌亮(秋田書店)

・1,2巻同時発売がもうひとつわかりませんが、2巻目。2巻目は長いのが多かったですね。どこに連載してるのかわかりませんが、1回分が大体10pで、その中に2〜3編入ってるって構成なんですが、2巻は10pめいっぱい使ってるのが多かった。

・で「ヒマつぶし」が圧巻。これは見開きを2回使ってるだけあって、圧倒的な迫力がありましたね。心臓と金玉がキューっと。絶対にこれはやらないでおこうとココロに誓いましたよ(タイトルどおり、だれでもできるコトです)。

・なぜだか、2巻目から、あった日付と地名が登場するようになりました。「昭和50年 千葉県松戸市」とか。それがまたいいようのない不安を喚起しますね。

・1巻、2巻と、裏カバーにあった「この物語は8割がフィクションです」って言葉も逆にいやな感じがしますね。じゃあ、2割はなんだ?と。

・とにかく、絵の持つ力に押さえつけられて読むのを止めることができないし、スルスルアタマに入っていく。そして短いものだから再読しやすい。読むたびにイヤな気持ちになる。

・実にイヤなマンガだ。
・その画力をこんなことに使う、中山氏はイヤなやつだ。
(20:03:16)

2004年/6月/26日
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「青春特急!! 電車でGO!学園」隅井章仁&おぎのひとし&克叉礼夫(講談社)

「あの名作ゲーム 電車でGO!が学園を舞台にコミック化!!」と、オビを丸写し。

・ということで、電車の学校である「電豪学園」を舞台とした学園電車コメディですよ。
・1冊の中に3人のマンガ家によるマンガ、ゲーム「電車でGO!」開発秘話、電車トリビアなんかが、詰め込まれてます。

・マンガは3編ありますが、基本的に話はいっしょの気が。
・電豪学園(今気づきましたが、電豪の豪は「GO!」のシャレですね)の生徒である女の子が、いろいろなトラブルを乗り越え、お客さんのために終点まで着くのが電車なのね!って開眼する感じ。
・ただ、重要なのは、「山手線編」「山陰本線編」「新幹線編」と路線別になってるところなのかもしれませんね。カンですが。

・絵は基本は萌え系だけど、3人3様の味わいがありますね。
・個人的にはもっともサッパリしてるおぎのひとし氏の絵が好きですか。山陰本線ってのも乗ってみたいなと思ったりしましたし。

・それぞれ、細かい設定なんかもちりばめられていて、電車マニアの方には「ぬるい」と思われるかもしれませんが、こっちは素直に「へー」と感心したりしました。

・ただ、マンガ単品として考えるとどうかな?と思ったり。
(19:48:49)

2004年/6月/24日
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「つっぱり桃太郎」4巻 漫*画太郎(集英社)

・死ぬかと思うくらい笑ったなあ。
・たぶん、個人的には漫*画太郎氏の作品で最高。ここしばらくないくらい。1番最近でコレくらい笑ったのはなんだろう? 「魁!クロマティ高校」の浅い巻かもしれないなあ。フレディやゴリラが新鮮だったころ。

・ということで、漫*画太郎版「桃太郎」、最高にヒートアップです。

・鬼が島に殴りこんだのはいいけど、あまりにも敵をナメすぎていたために返り討ちにあった桃太郎が、命からがら、島に1人で住んでるババアに助けられ、そして、ババアとともに、鬼がわが世の春とばかりにやりたい放題してる本土に敵討ちにいく。
・まずは伝説どおり、犬、猿、キジのおともを探す。でも、どこにいるかわからない。「桃太郎ツアー」をやってるみやげもの屋の娘 がどこにいるか知ってる。でも、彼女は鬼に捕まってる。そこは鬼が100匹以上住んでる要塞。だから、桃太郎とババアは芸者になりすまし潜入する。

・おお、毎巻、あらすじを書くことができるのがすばらしい。そして、そのストーリーもバッチリおもしろい。その上、笑えると。

・読んだ人にしかわからないでしょうが、「タトゥー!」ですよ。おれのツボはこれだなあと思った。過去に、唐沢なをき氏で最初に笑ったのも、「金春」での「ウキー!」だったし。「マカロニほうれん荘」のトシちゃんの「チョー!」がルーツになるのかな。

・とにかく、ババア最高。

・そして、「まんゆうき」以来久々の萌えキャラとして、みやげもの屋の娘が登場ですよ。「苺マシマロ」みたいなかわいらしいのが登場してます。これが「タトゥー!」をより美味しくしてますよ。

・あー、ハラいてえ。読み返したらまだおかしいわ。

・これだけ笑ったことだし、こういうの個人の感性ってことも知ってるのですが、本「コミック」は個人の感性、まあ、おれのそれを最重要視しますのでオススメと。
(19:11:15)

「金色のガッシュ!!」16巻 雷句誠(小学館)

・おー、前に、「この巻がピークだろ?」って書いたのって何巻だっけか? 16巻もちょっとピークだなあ。
・ギャグも涙も「燃え」もかなりいい感じ。いいマンガだなあおい。
「石像のチョップ」でかなり笑う前には、レイラがココロを開いたところで泣いてって、非常に笑いと泣かせが高速でいったりきたりしてます。ちょっとした吉本新喜劇ですよ。全然ホメてる感じがねえな。
・各キャラもすばらしく「立って」ますし、スピィーディーな展開のわりに「なにが起こってるのかわからない病」もないし、すげえいい感じで16巻、泣いたり笑ったりしながら過ぎていきます。

・これまでの、個人戦から総力戦になるんだから、これがおもしろくないとウソです。それはわかっているんですけど、ちゃんと、その個人戦よりおもしろく仕上げてるのができそうでできないし、スゴイなと。

・たとえば、現在の「ONE PEACE」と比較すると圧倒的にこっちがおもしろいですし、最盛期の「ONE PEACE」と比べてもタメはれるんじゃないかな。
・現在の王道少年マンガでもトップクラスだと思いますよ。まさか、ここまでおもしろいマンガになるとは1〜3巻まとめて買ったときは思いもよりませんでした。
(19:36:26)

「美女で野獣」5巻 イダタツヒコ(小学館)

・オビコメント「荒川弘がハマった!!」かあ?
・それは、あんた、他にたとえるなら、くりぃむしちゅーのライブビデオにアンジャッシュが「まあまあおもしろいっすよ」っていってるようなもんだぜ? いいのか?イダタツヒコ? まあ、いいんだろうなあ。と、有名人ならなりふりかまわず、大部数を出してるマンガ家は漏れなくすばらしい人という、とてもわかりやすい小学館らしいコメントでよろしいですな。
・イダタツヒコ氏の全ての著作の総発行部数は、ハガレンの1巻分にどれだけ及んでないか?って話しですからね。

・それはそれとして5巻もおもしろかったですね。

・今回は平常運転気味でした。大きいものったら、香港での大長編と、新キャラ登場ですかね。

・新キャラは、この手の女性が多いマンガでは定番の、美少女の外見を持つ男ってパターン。
・見開きカラー(推測)に、全裸の女性に襲い掛かられるってな、どことなく「けっこう仮面」をホーフツとさせるような(まあ、隠し具合がギャグになってる感じがホーフツなのかな?)のがすごかったですね。

・4巻あたりから、エッチシーンをうまくギャグに昇華してますよね。5巻クライマックスの水道管破裂シーンもすごかった。ちょっとエッチだったし、おかしい。

・ここいらのサジ加減がいいですね。女闘美とギャグとシリアスとストーリーと萌えのブレンドの比率がミゴト。
・お菓子なんかの「より美味しくなりました」ってのを実践されてる感じ。

・だから、かなり職人芸なんですよ。それでいて荒川弘がオビコメントかよ…とは思いますが、そこいらの屈託のない感じも好感触ではあるんですけどねっ!
(21:34:15)

2004年/6月/22日
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「Holy Brownie ホーリーブラウニー」3巻 六道神士(少年画報社)

・3巻ですね。
・細かい設定とか忘れてますが、小さな妖精(に入ってるちがうもの)が困ってる人間に救いの手を差し伸べる話です。
・ギャグマンガの人なので、ギャグでスゴイことになったり、エロいことになったりします。

「エクセルサーガ」(途中で購読断念)とかも思いますが、本作も、「オタクむけ」って感じがビンビン伝わってきます。そういった意味じゃあ、逆に正統派なのかもしれないですね。今は、パッと見、区別がつきづらい作品が多いですし、実際問題境界線があいまいですからね。

「オタク」という人種は大雑把に2種類のマンガの読み方があると思う。1つは、本来はちがう読者向けの作品をオタク的視点から読み解く。まあ、「少年ジャンプ」のはほぼそういうカタチですね。 もう1つは、「仲間」のニオイをさせてる作品。六道氏はまちがいなく後者。オタクがオタクのためにオタクなマンガを描くという図式。

・まあ、この「読み方」、現在は複雑怪奇なことになってますが、スタートはこんな感じだし、今でも大雑把に分ければそんなもんでしょう。

・で、本作、そのギャグの間とか、展開が、なんか、懐かしいんですよね。徳間書店の「リュウ」とか思い出すというか。「プチアップルパイ」か? はたまた白夜書房の「ブリッコ」とか? ちょっと「レモンピープル」もあるかなあ。

・と、魅惑の80年代エロ&ギャグの創世記のニオイがあるんですよね。

・大金持ちのところに、「のぞみをかなえてあげる」と女神様風に現れたら、肉奴隷にされたり。
・とても容姿の醜い金貸しの女性にシンデレラよろしく、美貌を期限付きであげたり。

・昔話をアレンジするのもよくありまして、竹取物語、人魚姫とかもありますよ。

・ということで、たいていヒドイ目にあって「あーあ」でオシマイになる感じ。その軽さ(とくに人命が軽い)がすばらしくいいですね。

・3巻ではラストの「トゥームレイダー」のララ嬢クリソツのトレジャーハンターの話がよろしかったな。

・エロはこの際、そう重要視するところでもないけど、もうちょっとエロいとうれしいかと。
(19:21:19)

「軽井沢シンドロームSPROUT」4巻 たがみよしひさ(秋田書店)

・有名な古典「軽井沢シンドローム」の続編でありますが、本編よりも、満身創痍で作られてた奮闘記であるあとがきマンガが最高であったなあ。

・本編は、てめえら、さかりすぎってくらいあちこちでヤリまくり人生の小僧(大学生)がヘラヘラしてるマンガです。いつの間にか、軽井沢シンドロームに出ていた方々の年齢を軽く飛び越してるのですからね。というか、たがみ氏もわりにそういうところシニカルに描いてる感じがします。「金・女・車」と、目の色変えて飛びついてる主人公をやや引いたスタンスで描いてるというか。正直、それどころじゃないみたいですからね。

・でもって、一応本命の彼女と別れてしまった主人公。さてさてどうなる?ってのが4巻のあらすじでございます。

・まあ、一応買うけど、5巻はどうなるんだろう? そもそも作者は本作品を完結させる力が残ってるのだろうか?そういう意味じゃスリリングですね。

・しかし、軽井沢って寒そうなところでございますね。本当、それこそ前作の軽井沢シンドロームより寒そう。
(19:30:35)

「門前市噺」1巻 村野守美(リイド社)

・江戸時代なんですかね。大きな寺や神社の前の市。だから門前市。まあ、現代でいえばフリマか。ただ、門前市はかなり生活がかかってるわけで。夜は、盗賊などの襲撃をけん制するためにも、焚き火の前で寝ずの番をする。そこで、人知れず話された話が、「門前市噺」。
・そういうものを集めた、オムニバス読みきりマンガということです。

・鬼の話。妖怪を釣上げた話。チエで盗賊からお金を守った話。サギに遭った話。
・まー、「日本むかし話」的なのが多いかな。オビには宮本武蔵と佐々木小次郎の対決の真実なんて描かれてますが、こっちのほうがむしろ、シリーズでは異色作です。

・村野氏のかわいい絵が全編に渡ってあります。キャリアはおれの人生よりあると思われますが、全然、絵がブレてないのがスゴイですね。

・CG処理かどうかはわかりませんが、トーンワークはトップクラスの方と遜色ないですしね。ちゃんと、それなりに時代に沿ってる絵ではあります。基本は変わりませんが。

・と、ちょっとひねった日本むかし話も、短いページにうまくまとまっており、えもいわれぬ余韻に浸ったり。

・たまには、こういったのもいかがでしょうか。
(19:55:50)

2004年/6月/20日
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「難波鉦異本(なにわどらいほん)」2巻 もりもと崇(少年画報社)

・大阪新地の遊女・和泉と、その弟子のようなささらのコンビが送る、コメディタッチの時代劇。遊女だけあってエロシーンもありと。

・とはいえ、第8回手塚治虫文化賞の新生賞なんてのも受賞してまして、そういうところの折り紙もバッチリついてきてます。こういうお堅い賞の受賞経緯は本当よくわかりませんね。まだ、講談社漫画賞とかのほうがわかりやすい。

・ま、それはともかくとして。

・えぐい、遊女と、それに入れ込む男とのかけひきあり、ちょっとトボケたメルヘンっぽいのあり、歴史の重みを感じる因縁的なものあり、遊女同士の小競り合いあり、チンポが家出したり。

・手を変え品を変え、いろいろなものを提供する、サービス精神にはアタマが下がりますよ。また、この手を変え、品を変えってのは、かなり「変え」てますからねえ。話のみならず、構図やら、タッチやらまで変わってる。基本は変わってないんですけどね。

・そこにややアクやくどさを感じる方がいるかもしれないなあ。大阪を舞台にしてるだけあって、コテコテなんですよね。

・2巻では、エロシーンが多かったですね。新生賞を受けてのエロシーン増加なら、やるなもりもと氏って感じなんですけど。

・しかし、昔の女遊びは金がかかったものですねえ。シミジミ思います。
(15:59:40)

「さらく〜る」1巻 みた森たつや(実業之日本社)

・実業之日本社で萌えエロってのはめずらしいなと思い手にとりましたよ。
・これはでも復刻なんですね。大きい版型で3巻まであるのを確認しました。
・この後に買った「第一〇七生徒会記録」も再販だったんですよねえ。再販本ってのを知らずに買うと、カバーの絵と、中身と全然ちがって愕然とすることがありますが、アダルトビデオでもあることだからガマンしろということなんでしょうか。まあ、非エロの再販本でもあることですね。

・ただ、本作は再販だけど、さして違和感はありませんでした。いつのころのものかわかりませんが、絵も現在のそれと比較しても遜色ありませんでしたしねえ。
・そして、なにより、おもしろかったです。

・魔法使い見習のさらくーるがツボからでてきて願いをかなえようとしましたが、男はヘンなツボだったので叩き割ってしまったのです。でもって、割ったツボからあふれた魔力がその男に渡ってしまったので、「返せ!」と。返してもらうにはSEX!(さま〜ずの三村風に)。
・そういう感じのマンガです。今のところ1巻では、メインはさらくーると男のアヘアヘ同棲マンガといったオモムキですが、少しづつ、キャラが加わって、けっこうおもしろい展開に転げていってますよ。
・エロ描写はもちろんですが、そのストーリー展開のほうも巧みです。男の過去に迫ったり、恋愛感情が芽生えたり、同じ魔法使いが登場したりと、飽きさせないように、かつ、エロいように(実用に耐えるように)、様々な工夫をこらし、情熱をかたむけております。

・素直に2巻を楽しみにしたいなと思いました。
(16:39:14)

「沈夫人の料理人」2巻 深巳琳子(小学館)

・昔の中国(いつだか忘れました。宋とか?)を舞台としたグルメマンガです。2巻目です。

・サドの奥様(沈夫人)が、マゾの料理人をいたぶっては、料理を作らせるマンガです。ものすげえ誤解を生みそうなあらすじ紹介ですが、そのとおりなんだからオドロキです。

・もちろん、首輪をつけたり、ロウソクをたらしながら、「料理をお作り!」ピシャーン!ってな展開ではないです。当時は、まだ、SMってのは存在してなかったでしょうしね。もっと、メンタルな点で、気弱な料理人が、いじわるな奥様にムリ難題を押し付けられて、苦悩しながらも料理を作るというものですね。毎回マメに料理はもちろんレシピも登場します。

・今回、1巻であった、料理に関するムリなネタが少なかったのが残念でしたかね。ひとつ、「音痴が治る料理」ってのはありましたけどね。

・でもって、1巻でできたパターンを丁寧に再現してますね。ああ、「こういう線」でいくのかと。
・毎回読みきり(たまに前後編)。
・夫人が料理人をいじめる。
・美味い料理を作る。
・夫人は料理人を許す。(というか、娯楽としてのいじめなので、許すもなにもないんですけどね)
・めでたしめでたし。

・ってループですね。

・双方幸せそうでいいですよね。ハタからみて「?」ってのがまたおもしろいんですが、そんなもんですよね。カップルが電車でいちゃついてると、まわりは「バカじゃねえの?」と思うけど、カップルたちは幸せでしょうしね。その理屈ですよ。料理人のほうが本格的に目覚めてないのがまたちょっとした悲哀を誘ったりね。
・そんじょそこらのSMエロマンガより、隠微な世界が広がってるという、邪な視点でみても可ってところがすばらしいですね。ゾクゾクくる人って多い気がする。潜在的な自分でも気がつかないSM気質を掘り起こしてくれるというかな。
(17:01:58)

2004年/6月/17日
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「ジュゲムジュゲム」4巻 ケイケイ(講談社)

・おもしろいわあ。
・女性が登場人物の8pショートギャグ。

・主人公の多くはOL。毎回キャラも立場もちがって、彼氏とつきあっていたり、フリーだったり、別れたてだったり、別れたがってたり、他人のそれを観察していたり。

・4巻では別れるって話が多かったですね。

・別れた男のことが忘れられない。5年経って、いろいろな男とつきあったりもしていたけど、結局、5年前のあの男のことが忘れられない。だから思い切って電話してみる。

・いつまでも結婚しない男に愛想をつかして別れ話を切り出す。

・いつまでも結婚しない男とずるずるつきあって、これはダメになると思ったから別れ話を切り出そうと決心する。

・別れたいから、わざと男が嫌うようなことをいって、向こうから別れ話を切り出させようとする。

・貧乏は好きだけど貧乏くさい男はイヤといってる友達の話。

・男の愛を測ろうと、ムリをいってみたら、とんだことに気がつき別れる。

・こんな話がテンコ盛りです。

・同じショートギャグということで、おれは敬愛する中崎タツヤ氏とよく比較してしまうのです。女性は中崎タツヤ氏を読むと、非常に男心がよくわかると思いますよ。それと同じ理由で、本作が、おれにとっては、もっとも「女心」がわかる教科書です。
・双方とも共通点はそれぞれの性の欲望を非常にうまく描いていることですね。女性がなにを求め、なにをイヤがるのかは、ケイケイ氏のマンガを読んでいるとわかるような気がする。それと同じで、中崎タツヤ氏は男性のそれだ。

・ただ、いわゆる「コイバナ」以外の話もおもしろいのが多いですよ。
・たとえば、昔のガキのころのような遊びがしたくてしょうがない彼女。彼にたのんでかくれんぼをする。彼が鬼で、彼女を探す。だけど、彼女は公園の掃除道具が入れてあるロッカーの下に隠れる。彼氏はみつけるけど、そこにいる彼女に「み〜つけた」といえない。これなんかは、どっちの立場も非常によくわかりますね。
・あと、3億円の話。ま、宝くじ買って、3億円あれば、ビンボーくさい気持ちから解放されるって。シミったれた服着てても「本当は買えるけど、ラフな服が好きだから別にいいわ」って気持ちの余裕ができる。パソコンなんざ欲しくもないけど、「買えない」ってのと「買えるけどいらない」ってのでは天と地ほども気持ちがちがうってのをとうとうと説教したりね。

・そいでもって、誰もが思うけど、実行しにくいネタ。「通勤電車の逆方向に乗る」ってやつが4巻最初にありますよ。

・まー、基本的に、登場人物はすべて「シアワセ」を求めて必死なんですよね。そこでいろいろ理性的だったり、本能のおもむくまま行動したり、いろいろなんですよ。

・個人的にベストは「それはプライド?」って話。彼にひどいフラれ方をしたOL。半年も反芻してはムカムカしてどうしようもない。さて、そこで彼女がとった方法は?
・いや、正直、おれも同じようなことしました。はははーだ。あと、ちなみに「正しい愛情表現って?」の恋愛熱が高いと止まらなくなるってのも笑えませんでしたね。

・って、まあ、そこいら、「同じ」って思うのは男も女もないです。でも、ちがうんですよ。その差異が「男」と「女」の間に流れる深くて長い川なのかしら?と。

オススメ何回も読み返したりするからコストパフォーマンスは高いっすよ。
(17:41:29)

「完全版 男の生活」中崎タツヤ(白泉社)

・人生で必要な多くのコトガラを中崎タツヤから学んだ。と、おれは思っています。

・本作は失敗だったので、「コミック」に取り上げるつもりはなかったのですが、まあ、「ジュゲムジュゲム」でひきあいに出したことだし。

・かなり前に出てた、同名書の1巻2巻の合本です。「ブックオフ」でもよくみかけます。2冊で200円なので、本作を買うことはありません。しかも、完璧な合本ですので、未収録作品とか、そういうのは全くないです。すなわち、すでに旧版を持ってるおれにはただのダブりですよ。

・さて、本作は、なんていうか、ちょっと前の中崎氏をタンノウできますね。今は、やはり、ちょっと枯れたところがありますから、それに比べればギラギラしてます。

・独身男がヒマのつれづれにアタマに浮かぶようなことが描いてありますよ。

・公園のベンチに座っていると、女子高生と思しき女性が、家に帰れないので電話をしたいから10円で自分を買ってくれとか。
・子供ができたことを肉まん食べながら聞く、男にムカついて肉まんを捨てて「私と肉まんどっちが大切なの?」と聞いたり。
・結婚話を切り出した女性に対して、「今部長の娘と縁談がまとまりかけている。もし失敗したら結婚しよう」ともちかけてぶっとばされる男。
・女性のレンタルビデオ店員に、欲しいアダルトビデオのタイトルをたずねて、まわりの男から拍手される男。

・うーん、すばらしい。基本的に「マンガ」というところでの飛躍や誇張があるけど、基本的に、男の欲望に忠実な登場キャラの清々しいくらいのわかりやすい言動行動に目からウロコですよ。
・そして、ここでの男キャラはだいたい「女はわからない」って思ってるんですよ。これまた、男の偽らざる気持ちといったところでしょう。

・そういうのが大体460pくらいつまってるコミックです。

・前記の理由でオススメはしませんが、中崎タツヤ氏の深遠さは、ある点で、福本伸行氏にも通じるところがあります。彼も男の欲望を描かせたらスゴイ人です。おれは福本氏のすごさと中崎氏のすごさは同じだと思っています。
(18:20:15)

「鉄腕バーディー」5巻 ゆうきまさみ(小学館)

・ひょっとして、ゆうきまさみ作品史上、もっとも複雑な話じゃないかい?
・かなり混迷の度合いを深めてますよ。もう、あらすじかけないくらい、様々な立場の方の思惑が錯綜してる状態です。

・もともと、話が複雑になりがちな作者ではあるんだけど、ここまでやったのはすごいなあと。地球を舞台に様々な宇宙人がいろいろな目的のためにいるという世界ですよ。そして、「戦争」になります。つまり、5巻は「話」全体を考えるに、かなり重要な仕込みの巻ですね。
・でもって、多人数を同時に動かし、その手際がいいのは、現役マンガ家でもトップクラスのゆうき氏も、かなりリキ入れて、「わかりやすさ」を表現してますね。もともと大人数を動かすことにかけては天才くらいに思えますしね。1コマで4人が喋ってるってのはけっこうすごいことじゃないかと思うんですけど。
・あくまで、アクションマンガ。たまにお色気。そしてスケールの大きさ。そういうのをバランスよく配合しつつ、6巻からはじまる「戦争」の前夜祭を描いてます。

・でもって、お色気のほうもがんばっておられますねえ。今回、SEXシーンもありましたしねえ。SEXというよりFUCKといったオモムキですけど。また、ゆうき氏、そういうの描くのが楽しそうな感じですね。相変わらず、エロくはないんですけど、誰かにいわれてというより、自発的に楽しんでエロ要素を入れてるような気がします。

・ノってますよ。
(18:34:55)

「狂四郎2030」19巻 徳弘正也(集英社)

・いや、こっちは最終章として、盛り上がってまいりました。
・最終章になってからずっとハラハラドキドキです。なぜなら、どうなっても「アリ」な気がするから。
・これまでのパターンからして、アンチハッピーエンドになってもおかしくない。でも、最終章だし、ここでいうアンチハッピーエンドは、狂四郎か、ユリカのヒーロー&ヒロインの死を意味するわけだしね。しかも、ずっと会っていなかった2人はここにきて出会い、そして、直接情交してる。そこにきて死とするか、それともキレイに終るか?は、どうしようもなくわからないんですよね。

・徳弘氏はどっちの場合もちゃんと、読者を満足させながら描ききると思えるからなんですね。ここがタチ悪い。

・徳弘氏はどうも古いタイプのマンガ家のようで、たとえば、編集から「このまま、最終章で終らせてもいいですけど、このキャラで続編描きましょうよ。「狂四郎2031」ってのはどうです?」とかいわれたら、「そうしましょう」とばかりに、つづくような終わり方もできますし、「映画化が決まりましたので、ラストはキッチリつけましょう」といわれたら、「そうしましょう」とばかり終らせることができる方と思うんですよ。それで、終り方なんか、変幻自在でしょう。
・だから、どうなるかわからんので最後までハラハラドキドキと。今はかなり混乱してる状況です。

・個人的にはハッピーエンドにしてほしいなあと思います。甘いです。
(18:59:08)

「必殺!! 闇千家 死末帖」1巻 白川晶&森田信吾(集英社)

・どうも、時代劇マンガってのも、ひとつのジャンルとして成立しているみたいですね。あちこちの出版社で出してるわな。
・本作は、「時代劇ファン」という雑誌(みたことねえや)に連載されていたものですよ。

・というか、森田氏は時代劇モノしかやらんのかなあ? 刑事モノとかいけるんじゃないでしょうか(前に短編でありましたけどさ)。

・今回は原作付きということで、かなり細かくなってますね。

・剣の達人。だが、その剣のせいで妻を亡くし、封印し、デスクワークを続ける男。ある日、謎の男に、その腕を江戸のために奮わないかと乞われる。

・まー、あと、必殺仕事人げな話になっていくわけですよ。

・圧倒的に強い主人公、敵のエグいところ、チャンバラの派手さは、従来の森田時代劇のままです。爽快(人によるか)なアクションは保証されています。

・原作のキモは、その設定の細かいところです。奉行所といえ、万能ではない。たとえば、神社内での犯罪は関与できないとか。現代でも通じますけど、エライ人はムリとかな。だから、超法規な裁きが必要と。

・ここいらは、ボーダイな解説にもいかんなく発揮されており、歴史ファンにはたっぷりとコラムなどで楽しめるシカケになっております。

・あと、女性がエライ目に遭うので、必然的に、あの手の描写が多いことも特徴かな。とくにSM系の責め苦が多いですね。ラストの悪党なんざ、臨月の女ばかりかっさらって、わざと流産させて、その胎盤を食らうことによって、精力剤にしていたり。

・一応、本筋として、妻の死の真相ってのがあり、それがうまく話を引っ張る材料になってたり、そのことで剣を封印している主人公の迷いみたいなものが描かれてるのも新機軸かな。

・ほんの少し、描写にブレがあるようにおみかけしました。
(20:04:08)

2004年/6月/14日
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「魔法遣いに大切なこと 太陽と風の坂道」1巻 山田典枝&よしづきくみち(角川書店)

・謎のマンガ。

・魔法使いのマンガです。今のこの現代に、魔法使いがいる世界です。
・魔法使いは、生まれてすぐ判別されますが、職業選択自由なので、魔法使いになってもならなくてもいいのです。で、19歳以上になるまでは特例として魔法を使えますが、それ以上になると、専門職としての「魔法使い」にならないと魔法を使ってはいけないのです。
・そういう世界です。

・で、本編は長崎を舞台とし、魔法を使える高校3年生の少女の青春グラフティです。いろいろとあって魔法が嫌いです。さりとて、なんのとりえもないウジウジ少女です。そいでもって転校生にカゲのありそうなイケメンが。

・んー、「魔法が在る世界」「地方都市のラブストーリー」、これがフレンチドレッシングのように分離してるマンガです。主人公は1回目の初っ端に、バイクに乗ったイケメン転校生に轢かれそうになり、それを避けたために、バイクが壊れたのを治そうとして、魔法を使いました。失敗しました。それ以外魔法使ってないです。あとは、ウジウジ少女の青春グラフティin長崎です。長崎弁バリバリです。巻末には舞台としたところのガイドまであります。

・ぶっちゃけ、少女マンガです。まさに本編はちょっとベタなくらい少女マンガとして展開していきます。おれのとくいなフレーズであるところの「魔法」がなくても成立するマンガです。まあ、普通の少女マンガとして。少女の悩み。カゲのあるイケメン転校生のカゲ。それに徐々に惹かれるウジウジ少女。でも、ウジウジしてるから、「カモ〜ン」みたいなことはないわけです。

・だから、謎のマンガです。ただ、「魔法」のところも「少女マンガ」のところもよくできてます。作画もマック処理でしょうが、リアルな背景に負けない繊細で丁寧な作画ですね。長崎県民なら、そこがどこか一発でわかるくらいの背景もいい味わいを醸し出してます。

・で、どうなるの?と思いました。このままウジウジ少女のラブストーリーとして進行するのでしょうか? あるいは、魔法を軸にして発展するのでしょうか?
・本作はかなり人気があるみたいです。それはよくわかります。高クオリティですからね。ただ、「どうなるの?」ってことがひっかかります。
・まあ、ひっかかるから、2巻も買います。
(17:44:33)

「探偵儀式」1巻 清涼院流水大塚英志箸井地図(角川書店)

・井上陽水奥田民夫のように、くっつけるのが正確な作者名だそうです。原作:清涼院流水、脚本:大塚英志、作画:箸井地図ということだそうです。

・大塚英志氏はともかく、他の2人は知りませんね。

・未来。すべての事件は探偵を通さなければ鳴らない世界。警察は探偵の助手でしかない。国営の探偵ということになりますか。

・さて、そんな世界で、孤島に探偵97人が呼び出される。そして、「探偵儀式」がはじまる。ってのがあらすじかな。

・なんだか、思い切った設定、思い切ったキャラ、思い切ったストーリー展開で、スゴイですね。絵もそういうはっちゃけたストーリーに感化されて、はっちゃけた描写してるしなあ。

・たとえば、首を吊ることで天啓がくるのを待つ探偵。いつも持ってる本に、事件の真相が書いてある探偵。死体とキスすることで死体の声を聞くことができる探偵。

・そして、最大の謎、「探偵儀式」での、「うっそーん」ってな事件。「魔法遣いに大切なこと 太陽と風の坂道」とはちがった意味で謎だらけのマンガです。ちゃんと収拾つくのでしょうか?

・絵がとくに気に入りましたね。シンプルでいて力強く、それでいて繊細なところもあります。
「オチ」を見届けたいと思いました。
(18:17:32)

「ナツノクモ」1巻 篠房六郎(小学館)

・おお、出版社を移してもこれでいくか。
「空談師」で名をはせた篠房氏の最新長編。「空談師」同様、仮想現実でのストーリーですね。

・ネットゲームをより加速させ、行きつくところまできてしまった世界ですね。住むことができるところですよ。そいで、カウンセラーまでいる。現実に馴染めない人が暮らしてる空間まである。もちろん、モンスターと戦う地下迷宮もある。
・そこで、商売をしてる男がいる。「壊し屋」。その男の話ですね。

・この仮想空間を舞台とした物語は前作「空談師」の世界に準拠している。キャラや世界観まで一新されてますが、基本設定は同じですよ。
・そして、「空談師」より、深く、複雑です。だけど、わかりやすくなってます。これは誰の成果だろう。篠房氏か、小学館の編集か。

・同じ小学館で、同じテーマのマンガ「ルサンチマン」があります。これと比較するとまたおもしろいですね。「ルサンチマン」は現実のモテない男と、仮想空間でのモテる男のギャップが味わいでした。「ナツノクモ」では現実を描くということはあまりたいしたことじゃないみたいですね。ただ、「大事」な要素ではありますが。そっちのほうの顔を描写することはないです。

・1巻では、つかみから、本編へとまたがるような展開になってますね。

・篠房氏は、この世界をとても大事にしてるってのがわかりますね。また、大事にする価値のある世界だと思います。

・正直、「ルサンチマン」は実現しそうですが、こっちのほうはどうなんだろうね?
(20:06:33)

2004年/6月/11日
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「女神の赤い舌」3巻 ウヒョ助(小学館)

・ハイテンポだなあ。とてもいいです。とりあえず、3巻で1ループ終った感じですね。

・突然出会い、突然別れた恋人が忘れられない大道芸人の主人公。ある日、スキャンダル雑誌で、タイの奥地にある新興宗教の教祖として、映ってる恋人をみつける。そして、タイへ。
・タイにいってからはおかしなことばかり。そして、恋人がやってる宗教集団はとてつもなくヤバイものであった。現地で出会った仲間といっしょに恋人奪還と、施設にもぐりこんだが、逆に捕まってしまう。そして、アレがアレで脱出には成功するが、アレがアレだったので恋人との再会はアレだったと。と、アレが多いですがあらすじです。

・ちょっとモダンホラー要素も入ってます。宗教団体が人智を超えたアレですので。

・そして、特筆すべきはつい1行目に書いてしまったけど(おれはたいてい1行目に1番書きたいことを書いてしまう)、テンポがいいことです。3巻では、主人公らの脱出劇と、暴走してしまった恋人が、大暴れしてる巻ですよ。しかも、かなりすごいヴィジュアルではあります。ありそうでないライン。まあ、ぶっちゃけ「ナウシカ」にアレしてるもんですけど。

・そういう人智を超えた戦いですけど、とてもクリア。ありとあらゆる点でクリアに物語は展開します。これがおれにはとてもすばらしくいいところです。迫力重視でなにが起こってるのかわからない。画力がおぼつかなくて、あまりにムリをしていて、なにが起こってるのかわからない。いたずらに画面内の情報を多くしすぎてなにが起こってるかわからない。
・本作ではそういうことがいっさいないです。「今、このコマで表現しなければならないもの」を過不足なく伝えてます。それが「クリア」の意味です。

・問題ないです。オススメ
(17:36:26)

「MOONLIGHT MILE」8巻 太田垣康男(小学館)

・すげえおもしれえ。これまでで1番だ。一時期、購入を止めようとして、BBSで「もったいない」といわれ、購入をつづけていてよかった。すげえおもしれえです。

・ちょっと先の未来です。宇宙モノです。すでにアメリカは月に大規模な基地を作り、活動してます。しかし、そこで、内部犯行のテロが行われてます。さて犯人はだれ?
・ものすげえスケールが大きいですが、密室殺人なんですよね。

・犯人探しに挑むのはシリーズ通しての主役、今まで数々の修羅場を潜り抜けてきた、宇宙のプロフェッショナル・ゴローと、宇宙専門のTVショウのアイドル・マギー。1年の月基地レポートにきた矢先に事件は起こりましたからね。このコンビで謎を解くと、まあ、大掛かりな番外編でもあるんですが、このマギーのキャラのよさもあり、大変娯楽性が高くなっており、ワクワクして読み進むことができましたよ。

・相変わらず「どこでみてきたんだよ?」って精緻な、宇宙生活描写で、トリックの方も宇宙ネタをからませ、さらに、それぞれ細かい思惑なども錯綜してるという、いつもの展開ではあるんだけど、マギーがそれらの緩衝材になってとても楽しいんですよね。公称20歳、実は28歳で、ビッグになるという野望を持ってるという腹黒さもあるが、人前じゃ、パープーのフリをしているっての。

・ん、これだけ買っても、とりあえずあまり緊密に話がつながってないのでなんとかわかるとは思いますが、オススメはしにくいです。ただ、これまでファンの人で、8巻がまだなら早く買ったほうがいいですよ。
(17:51:52)

「竜宮殿」2巻 松永豊和(小学館)

・細かい人なんだなあ。そういうことを思いましたよ。

・ウサギの着ぐるみ兄弟が竜宮殿という廓に迷い込んでの物語です。2巻では竜宮殿のヒストリーを紹介してました。そいでもって「脅威」である、魚男の暴走がよりエスカレートです。
・エスカレートといえば、精緻な絵も、2巻ではさらに暴走してすごくなっています。やや「ハイキー」な白い画面で、ダイナミックでスケールの大きい描写を惜しげもなく投入してます。

・マンガを描いた経験はないんですが、「ここはこう描いたらおもしろいんだろうなあ」ってアタマに浮かぶけど、様々な理由(画力がない、時間がない、めんどくさい等)で断念してるような絵をそのまま描いてる感じです。

・そして、実はそれは思ってもみなかったんですよね。もっと、ほのぼのってまでいきませんが、メルヘンな感じで展開していくのかと思ってましたので、このヒストリーでのダイナミックさや、暴走してる魚男のムチャ、復讐に燃えるウサギの兄など、予想外の「燃える」展開になってますよ。

・実は2巻は買うのに、ほんのちょっとだけ抵抗があった。1巻読んだら、「ああ、こういうのね。わかったわかった」ってな気分になっててねえ。
・それはまちがいでした。もう、おれ内では「バクネヤング」を超えたね。オススメ
(18:14:12)

2004年/6月/10日
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「ONE PEACE」33巻 尾田栄一郎(集英社)

・新章が本格的にはじまった巻ですね。
・おれ内で評価が急下降だった前の「空島編」に比べて、新章のフォクシー海賊団との仲間をかけた3本勝負編はなかなか楽しい。
・しかも、かなりテンポよく、33巻で3本勝負の3本目までいってるのもいい感じ。

・ただ、「空島編」あたりから散見された、「なにが起こってるのかわからない病」が、本編でも散見されている。以前はまったくそういうことがなかったのに、なにがどうして、こうガチャガチャしてわかりにく画面構成になったんだろう? なにかを意識しすぎてるんだろうか? とにかく、書き込みが多すぎて逆に見辛いって本末転倒気味なことになってるような気がする。

・でも、オールスターキャストでの全体的に漂うギャグ戦の3連発は、ジャンプを背負って立つ重みや風格を感じましたよ。
「アフロとかしてくだらねえ!」と吐き捨てるのはカンタン。でも、それを正面きってやっている尾田栄一郎ってスゴイのかもしれない。

・とりあえず、この3本勝負、勝ったら負けたところから船員を1人分捕れる「花いちもんめ」方式なんですが、ラスト勝負、ルフィが勝つとして誰をもらうのだろう? それが新キャラってことになるのか?
(18:21:56)

「HUNTERxHUNTER」20巻 富樫義博(集英社)

・相変わらず、濃いネームに薄い作画ですね。煮詰まって濃くなりつつある内容。枯れたオモムキさえあるサラサラした作画。
・昆虫軍団との対決になってますが、前回、命からがら逃げ出して、修業してまっせ編が20巻ですか。

・これが1巻まるごと修業してるんですよね。こんなこと、最近では破格じゃないかい? これを許した編集もスゴイと思うけど、描ききった。まあ、「描ききった」なんて書くと、「あれは殴り書きだろ?」みたいなこといわれそうだけどね。

・1回の濃さもそうだけど、全体の構成もミゴトですね。ときおり、本筋の現状、伏線も張りながら、修業が続くんですよ。
・まあ、修業ってのは、最近ではパターンになってて、ちょっとワンパターン?とか思ったりもしますが、それぞれ修業時に新キャラをかませたりと、ここいらの工夫もさすがですね。ナックルはいいやつだ。

・かなりフラフラな連載状況であることは漏れ聞こえてます。でも、おもしろいじゃん? おれは、他に読むものがいっぱいあるし、連載誌は読んでないので、いつでてもウエルカムな状態だからそう思うのかもしれませんが、なるべく一生懸命がんばってほしいものだなあと思います。さすがに絵の点ではフォローのしようがありません。でも、それ以外の切れ味はベテランの腕でもあり、「いいものを描きたい」との現われですよね。逆に話のミゴトさはどう読んでも貶す要素がありませんよ。まあ、昆虫もののホラーって変わったテイストなのかと思ってたら、いつもの戦争大会になるのか〜ってのはありますけどね。

・まあ、先が長そうなので、気合を入れて、がんばってほしいものです。
(19:20:16)

「ピューと吹く!ジャガー」7巻 うすた京介(集英社)

・7巻はジャケットがよろしかったですね。夏っぽくて。それでいて内容が冬のものばかりってのもすごいなと。まあ、本人も書き下ろしの文章でつっこんでましたけど。このまま、レゲエとかのCDジャケットになるんじゃないかい?

・とりあえず、出世作「マサルさん」とタイで並びましたね。今後は記録を伸ばしていくのでしょう。

・7巻はゴム美さんで大爆笑したので肯定です。飽きた方は読むの止めれば?ってなもんですよ。この手の不条理系は、作者も読者も嗜好や指向が変わってくるので、あわなくなる時は多々あります。それで「最近、つまんねえなあ」というのはお門違いではあるんですよね。

・まあ、そういうことなんですが、「ジャガー」に関してはとても安定してると思いますね。たまにムラがあるところも含めて安定してる。
・個人的にはうすた氏はどうしても相容れないセンスの相違みたいのがある。7巻でいえば、本人は描けたことでシアワセがってる「あおすじ吾郎」なんてのは、だいぶ、ダメ。「ああいうのやりたがるんだろうなあ」ってのわかるような気がするけど、個人的には、イマサラだよなあと。「天才バカボン」のころじゃないんだし。

・ということで、このまま「こち亀」ほどもつづきそうな、8巻で終わりなような。
(19:43:34)

2004年/6月/9日
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「RIDE BACK ライドバック」1巻 カサハラテツロー(小学館)

・ああ、カサハラテツローも小学館かあ。と、最初は思いました。小学館はプレイステーションみたいだ。もしくはパナソニックみたい。ヨソで評判なのは、「ほな、いただきましょ」という感じか。

・それはそれとして。

・ライドバックというモノが最初にありき。カンタンにいうと乗れるロボットですね。手がついていて、2足走行するバイクのようなものですかね。
・これに話がついてきます。時代は2020年の未来。舞台は大学。ライドバック部。将来を有望視されていたプリマドンナさんが失意のまま大学に入りライドバックに出会う。そして物語がつむがれる。

・ほぼ全編にわたり、ライドバックがこれでもかと描写されているために、非常に疾走してる感じを受けます。1950年代〜70年代のデモ活動に明け暮れ、警察と衝突する大学生。その渦中に飲み込まれながら、いろいろと謎が深まっていくという感じですかね。

・ダンスの経験を活かして天才的なライドバックのドライブテクをみせる、ワンピースの可憐な少女。ライドバックの運転席からはためくスカート。これを描きたかったんだろうなあと思わせたり。普通、ライドバック部に入ったらパンツルックになるだろうに、いつもひらひらのワンピースなんだもんなあ。

・あと、やっぱり、マシーンの人なんですかね。機械関係の描写がいいんですよねえ。それこそ、未来のケータイから、警察車両まで、なんつーか、そのヴィジョンがカサハラ氏の中でガッチリしてるんですよね。「おれの2020年はこうだ」って感じでね。

・あー、こういう書き方してると、メカだけのマンガかと思われるかな。それは本意じゃないなあ。「エースをねらえ」ばりのスポ根風味もあるし、部長や顧問はなんだか深いヤバイところに関わってるし、ライドバック自体にもいろいろとある(軍事利用とかね)んで、ライドバックを核として、いろいろと多層的に多角的に盛り込んでますよ。
・んー、描かないでおこうかと思っていましたが、「パトレイバー」に近いものがありますね。あれも、レイバーという作業用ロボットがある未来を描くというマンガでしたよね。

・そいで、1巻の終わりには主人公、デモに巻き込まれた親友を救いに大学の外にライドバックとでてしまいますよ。だから、2巻以降は、大学のドラマじゃなくなるかもしれませんね。まあ、必要以上に複雑にするのは反対したいところですがね。
・期待してます。
(11:42:34)

「π パイ」5巻 古屋兎丸(小学館)

・オッパイ大好き男のオッパイマンガ。
・とかいいながら、古屋氏、ちょっと飽きてきてないかい? 5巻はわりにネタの仕込みがない凡庸なデキでしたね。
・毎回、「おれが**マンガ描いたらこうなるぜ」とばかり(だいたいが、本書からしてその構造であるんだけどね。「おれがエロコメ描いたらこうなるぜ」)に、様々な要素がまじってました。バイク公道レース、テニス勝負などなど。それらをオニのような描写でムリな展開をてごめにするように描き倒してきた。
・それがないのがさびしい。そして、それがないと普通なんだなあと思った。

・これが、たまたま5巻はつなぎだったためにそうなったのか、これから、この普通なり(っても基本の絵は非常に高水準)に安定した感じのエロコメになるんかはわからんけどさ。5巻の最後に登場した、時代錯誤なヴィジュアル系で、なんかネタになるかもしれないから期待したいところですがね。
(12:23:26)

2004年/6月/7日
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「金平守人のかいつまんでななめからバッサリ」金平守人(宙出版)

・おれには「コミックビーム」の巻末指定席の方で、こないだ、回収騒ぎも起したどてらい奴というイメージの金平氏ですが、こういう仕事もなさっているのですね。

・エロゲーのアンソロジーに描いたものを集めたものです。

・もう、おれには書くことがないくらいです。一応、パロディチックな仕様にはなってますし、「ぷろろーぐ」のところに「一応元ネタわかんなくてもなんとなく楽しめるように描いたつもり」などとありますが、ギリギリの線で、元ネタ知らないと楽しめないデキになっていると思います。元がアンソロジーに載ったものですしね。浅くするわけにもいかないんでしょう。

・でもって、各方面、とくにゲームメーカーへの気配りがすぎて、「金平劇場」方面のブッチ切れ方は弱いです。

・まあ、本人もプレイしてないって開き直ってそのゲームの設定集とか読んででっち上げ、なおかつ、それを暴露してたりの、相変わらずのマンガ界のカンニングぶり(まあ、逆なんですが)は健在ですね。来年読むと「カンニングって誰?」ってことになってるかもしれませんけどね。

・ひとつ勉強になりました。やっぱり、アンソロジー(とくにゲーム)をまとめた的なコミックはアンタッチャブルでいいんだなと。
(17:44:02)

「山田シリーズ」1巻 吉田戦車(小学館)

・吉田戦車キャラで1番有名なかわうそが「山田」として活躍するショートコミックです。
・山田ことかわうそが(名字は拾うんですよ)、つらい労働でためた20万を持って大活躍します。途中で20万円はカードになったり、国宝になったりもします。
・なんか、ヘンな構成になっているんですよね。2pと4pのショートが変わりばんこになっているというかね。

・内容は信頼の吉田ブランドなんですがね。

・特筆すべきは装丁ですね。代表作「伝染るんです」をホーフツとさせるような、かなり常識破りなものになっており、その「伝染るんです」の不安定な感じを受け継いでいるようです。表紙がないんですよね。それは買った人にしかわからないことですが。買ってカバーをめくってみてください。まあ、例によって祖父江慎ワークスです。

・個人的には同時発売の「殴るぞ」のほうがおもしろいな。
(17:54:17)

「殴るぞ」5巻 吉田戦車(小学館)

・いつの間にか、吉田戦車最長連載? さしあたっては4コマだとそうなるんじゃないかな?最大巻数であることはまちがいないような。まあ、「ぷりぷり県」とタイですね。

・こっちは4コマです。相変わらずの、和歌子や気配り犬などのレギュラーキャラに、壁掛けという意味でのフック船長。お尻にフックがあって、ものをひっかけるようになってる。壁に必死にでしがみついてるし。そのほかにノンキャラが登場するもの。

・ワンパターンだよなあと思う。冷静に考えると同じようなネタばかりだ。たとえば、「伝染んです」の4コマと、本作の4コマが1本テレコになってても誰も気づかないでしょう。それはもう吉田氏でも意外に気づかないんじゃないかな。

・そうでありながらも面白かったりするんですよね。それはすでにマンガ界において「吉田戦車」というジャンルが確立してるからではないかと思うからです。そして、追随者がいない、だれもマネできないところにいるから。
・たとえば、日本語の揚げ足取り的なネタで4コマを作るという技術はあります。「がんばれ!!酢めし疑獄/施川ユウキ」などでもみられます。たとえば、「生き証人」という言葉から、「生き刑事」「生き部長」「生き犯人」「生き市民」などと展開したり、「アニメ」をすべて「ジャパニメーション」と言い換えたり。
・ただ、そこで、カニを食べるときの擬音に「にょごにょご」を使うセンスは吉田氏だけなんですよね。

・そして、それが非常に安定して支持を受けている。考えてみればスゴイことです。

・5巻は北海道限定の綿棒のオミヤゲってネタが好きです。
(18:34:21)

「Dr.風水先生 このは」1巻 寺田とりのり&C-SHOW(角川書店)

・オビに「パロディ満載!」とあったのでかなり躊躇しました。なぜなら、パロディがわからん場合、けっこうムカつくからです。疎外感ってのがあります。なぜ、てめえが金出してないようがわからんもんに金を出さなければならないのだ?という怒りに結びつくからです。

・でも、買ってよかった。あまり心配するほどの濃い深めの物語の根幹に関わるようなパロディはなく、むしろ、なぜ、それを売りにするんだろうか?って思うくらいです。逆にパロディを期待した人には物足りなく感じるかもしれませんね。

・同級生で幼馴染疑惑があるメガネの転校生美女は風水をアレして、悪と戦うアレだったと。魔女っ娘ギャグとでもいいましょうか。主人公の男はいつの間にかそれの家来みたいになり、いろいろとヒドイ目に遭うと。

・テンションが高いですね。ドタバタのメタクタで展開します。主人公のメガネがムチャする方で、それ以外が最後にはメチャクチャになる1話完結読みきりです。

・けっこうついていけないところが多いですが、意外にイヤじゃないって感じですかね。

・また、ハイテンションに紛れてますが、小ネタが多いですし、ベースの設定もしっかりしてるのがまた。テキトーなようにみせかけて、「モンゴル相撲」ネタを天丼(何回も繰り返すってお笑い用語)したり、丁寧な点もありますね。

・ドチャドチャのゲチャゲチャな展開のわりに、作画もしっかりしてますから、「なにが起こっているのかわからない病」もないですしねえ。

・2巻も期待してみようかな。
(19:46:47)

2004年/6月/5日
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「ルサンチマン」1巻 花沢健吾(小学館)

・たしか、ゲーム雑誌の「CONTINUE」で紹介されていたんだよなあ。ゲームマンガではあるからなあ。

・2015年の未来が舞台です。これを書くためにはじめて知りました。ほんの明後日の未来ですね。
・ほとんど、今と変わらない。だけど、ある点でものすごい進化がある。それはゲームです。
・30歳、彼女いない歴=年齢の印刷工の主人公は、飲み友達に教えられ、ゲームをやる。それは、現実と寸分たがわぬ世界に繰り広げられるギャルゲーだったりする。
・そして、彼は、そこで出会った「プログラム」である女性にホレるワケですね。


現実を直視しろ。
おれ達には
もう仮想現実しか
ないんだ。

・つまり、それほどの世界であるということなんですね。
・今のMMORPGっていう、多人数がネットで同時に接続して遊ぶRPGの先にあるものですね。本作より先にいくと「空談師」なんてのがあるかもしれない。

・って、このネタ自体は、PCのパソコン通信(インターネットではない)のころからありましたわな。フィリップKディックの小説とかな。とり・みき氏は短編でも長編でも、PCでのMMORPGの未来なマンガを描かれてる。

・本書は、その地続きのリアルが売りですね。それが笑いやら涙を誘うワケです。仮想現実の自分と、現実の自分。とくに10年そこそこである未来が非常に秀逸。よくマンガである、ギャグめかしたものが少ない。「20世紀少年」における「ユーロドドンパ」みたいなふざけたやつな。
・たとえば、主人公がPCを買うのは渋谷だったりする。秋葉原はオシャレな街になってるそうです。ケータイのデザインもダイアル式のところはともかくモニターが分離するところなんかよくできてる気がする(ちなみに未来のケータイでいえば、「ライドバック/カサハラテツロー」のも秀逸かも)。そしてPCのスペック、値段なんかも「ああ、そうなるだろうなあ」って渋いところだったりする。主人公の住んでいる和風な部屋にセッティングしているところなんてのもかなりいい感じ。

・実は、おれが好きな、背景がいろいろと物語ってるマンガだったりするのです。あとがきがわりの設定資料をみると、ものすげえリアルな場所設定があることがわかります。印刷工場なんてのもそうだわな。働いてないとわからないリアルさがある。まあ、作者、実際に働いていたそうですが。

・主人公が出会ったプログラムであるところのギャルが、たとえば、公園で出会った少女とかだと、成立するんですよね。まあ、そういう設定のマンガをひとつあげるなら、「女神の赤い舌/ウヒョ助」なんてのは出会いがソレです。

・だからどうということではないです。これが、仮想現実でのラブコメっていうのに主眼を置くと、案外と足元さらわれるんじゃないかなーって思ったのですね。ポイントは2015年の「現実」描写にあるんじゃないかなと思ったりね。おれが1番気に入ってるところもそこだし。
・逆に、いわゆるヴァーチャルな世界はもうちょっとなんかあってもいいんじゃないかなあと思ったりね。「現実」ほど芸がない。まあ、主人公、金がなくて、「シンプル」シリーズの「島」と「家」を買ってますからしょうがないんですけどね。まあ、それは「なんでもあり」なんだから、この先いろいろと工夫できそうですね。

・ということで、背景に期待したいマンガです。
(18:28:36)

「ダブルフェイス」4巻 細野不二彦(小学館)

・マジックが趣味のさえないサラ金のサラリーマンとみせかけて、実は悪を退治するDr.WHOO。という、細野版「必殺仕事人(殺人はしませんから、「ハングマン」のほうが正しいんだけどね)」も4巻目。

・4巻は、着物詐欺、権力者、非合法カジノ、マーキング窃盗、セクハラ教師など、相変わらず、現代犯罪者コレクションで、なおかつ、それに手品ウンチクが加わり、ドラマがあるという、実は、代表作である「ギャラリーフェイク」よりも力を入れてるのではないかと思うくらいさね。

・そして、コミックの万引きよ。基本的に1話完結なのが、前後編になってみっちりこってりやってますよ。「コミックマスターJ」のときも思ったけど、やっぱ、ヒトゴトじゃないからかなあと思います。前後編にするためにいろいろな工夫を盛り込んでいて、微妙に悪の矛先を変えたりしてるのも、やっぱり、上手いわなあ。ちゃんとガキどもも罰を受けるんですけどね。

・SMクラブのプレイと思わせて虐待するなんていいアイディアだなあと思いましたよ。そういう無用の知識がいっぱい覚えられますよ。
(19:19:36)

2004年/6月/3日
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「素晴らしい世界」2巻 浅野いにお(小学館)

・完結巻。
・1話読みきりの青春群像オムニバス。個々のキャラは薄く関係あるような気もするが、とりあえず考えなくてもOK。

・2巻では1巻より「ジャンプ」してました。少年ジャンプじゃなくて、飛翔のほうのジャンプ。
・すなわち、実験作というか、習作的なものが多く見受けられた。
・そいでもって、この「世界」をより多角的に語ろうという意欲を感じられた。ただ、そのジャンプは失敗に終ってるものが多かったと思われます。

・1番は「月となると」ですかね。これは若者が登場しない話ですが、ビックリするくらいセリフやらなんやらにリアリティが感じられません。

・オビによると作者は「弱冠23歳」だそうです。彼はその年齢以上の登場人物を動かせないんじゃないかな?と思ったりしましたよ。その前の中年妻子持ちの雑誌編集が主人公の「おやすみなさい」にも違和感あり。

・んー、いい風に解釈すれば、その年齢の中の「ヤング」を描いてるといえます。すなわち、1人暮らしっぽい、屋台のラーメン屋のおっさんが若かったころの心残りを清算する。自分の中で消えつつある若さやがむしゃらといった気持ちが蘇る雑誌編集とかな。

・まあ、これがジャンプして、なおかつ失敗したところです。あるいはさらにホメてみますと、作者はジョンレノンやボブディランのように自分のことしか歌えない(描けない)人なのかもしれない。

・そして、後半、読みきりのはずの話が微妙につながっていき、表題作へとつながっていきますよ。そこいらの「ジャンプ」は成功したのかどうかは、おれは判断が下せません。トートツだなと思いました。よかったとも思いました。これで終わりかよとも思いました。どっちかというと、この後半のネタで単行本2巻もたせることはできなかったのかよ?と思いました。

・でも、個人的には、描き下ろしの「ウイスキーボンボン」が1番好きです。

・そして、読み終わると、おおむね1巻のときに「コミック」で書いたこととほぼ同じ感想にたどりつきます。

・すなわち、次回作に期待。

・よしもとよしとも病(江口寿史病でも可)を患わないようにして、「ちゃんと」描き継いで欲しいなあと思いました。
(14:24:52)

「ブリッツ・ロワイアル」2巻 高見広春&富沢ひとし(秋田書店)

・あっとおどろき最終巻。コミック版の「バトルロワイアル」は終る気配すらないのに。実際は予定どおりかもしれないですが。

・ブリッツ・ロワイアルは「バトルロワイアル」の世界を借りたオリジナルです。中学生同士が殺し合うアレの続編な感じですよ。
・今度は1クラスの軍隊みたいなカタチで、入った学校を無事卒業するというものですが、未だに生還率0%です。そして、実地訓練として、家に立てこもる兵隊さんをやっつける課題をやってました。ここまでが1巻のあらすじですよ。

・全体的なトーンとしては、第二次世界大戦の日本軍っぽいんですよね。でもって、覚醒剤げなクスリが登場したり、独特な不穏な空気が流れている。その濃密さ、ワケのわからなさは、富沢マンガの世界と近く、とても怖楽しかったです。一応、話も完結してますしね。

・ただ、これでいいの?って感じは濃いですね。もうちょっと延ばせたでしょう。謎らしきものもちょっとコトバ足らずでしたしね。

・そして、1巻でも書きましたけど、この世界のつづきをまた誰かが描くとおもしろいかなと思いましたよ。
(14:52:34)

「無敵番長バクライガ」1巻 清水栄一&下口智裕(少年画報社)

・無敗の番長がロボットに乗って番長連合と戦う、ロボットアクション学園番長マンガ。
・はじめてみますが、どこかで読んだことがあるような感じが濃厚です。いいふうにも悪いふうにもとれますね。
・たとえば、アニメ「トップをねらえ」ってのがありますよ。「トップガン」と「エースをねらえ」とロボットアニメのパターンを合わせたようなものです。かように、ロボットアクションになにかを加味するってのはわりに見聞きします。ただ、このタイミングでやるってのはもしかしたら新鮮なのかもしれません。はじめてこういう感じを体験される方もいるかもしれません。

・でも、おれはさほど詳しくないとはいえ(アニメはあまりみませんし)、いくつかあげられますしね。あと、ゲームでもあります。

・そんな中に提示するところの勇気と自信はすごいと思いますし、実際、それだけのものではあると思います。シナリオも作画もコってますよ。あとがきマンガによると、原作者と作画者というのではなく、いわゆる「サルまん」方式で描かれてるそうです。かなり、切磋琢磨した血と汗と涙の成果が随所で感じられます。

・題材が題材なだけあって毎回スケールは特盛なのに、こういう場合特有の「そこになにが起こったのかわからない」病はほとんど発症してませんし、設定も奥深いものがありますし、毎回の戦いのバリエーションもコってます。絵も迫力十分です。

・ただ、なんていうかなー、ものすごいカンタンなコトバで片づけると、「イマイチ」。
・前記のとおり、「ありがち感」が濃厚なものです。こういう場合、「がんばってるなあ」じゃなくて、「超おもしれー」じゃないとかなりツライんですよね。

・つまり、かなり不利な立場でのスタートということになるんですよね。でも、果敢にチャレンジした。「おれらはこれが描きたい」って思いだけでのチャレンジですよ。それには少し感動しました。

・2巻はおもしろくなるんですか? というか、そもそもあるんですか? 1巻のラストがいかにも「スケールの大きい話を書こうとしたけど、打ち切りになったので、思わせぶりなエンディングでとりあえずケリをつける」みたいな感じがあったのです。もちろん、2部につづくとのアナウンスもありましたけどね。ただ、おれにとって2部はどうかな?と思ったりもしたりなんかして。
(15:10:45)

「がんばれ酢めし疑獄!!」5巻 施川ユウキ(秋田書店)

・最終巻。4コマギャグです。
・5巻にしてついにほとんどギャルゲーかというくらい女性キャラばかりになってしまいましたね。4コママンガの「かわいい」化現象はどこまでつづくのか。まあ、かわいいのは歓迎ですけどね。

・コトバ系のギャグの人だと思うのですよ。だから、連載している「少年チャンピオン」における「浦安鉄筋家族」の真逆に位置するところですね。本作とでちょうどバランスを保たれるくらい、どちらも極端な気がします。

・コトバで落とすギャグの人はどうしても「静」の人という感じがします。本作も「のん子」シリーズのように、まったく1コマ目と4コマ目の状況が変わってないというものがあります。たとえば、のん子ちゃんが広いところにいます。「だだっ広い」というコトバについてただ思ってるだけの4コマです。「だだっ」がヘンに感じるかもしれないが、実は「ピロイ」のほうがおかしいと。でも、状況は広いところで、ただ、のん子ちゃんが立ってるだけというものです。状況はなにも変わってない。そういうものが多いです。

・コトバの人だけあって、コラムやらも満載ですが、それがどれもおもしろかったりします。しかも、描き下ろし(この場合、書き下ろし)も多いみたいです。

・ということで、最終巻なのは残念ですが、いい意味でどこでなに書いてもいっしょの人なので、また、どんどんいろいろと書いてほしいものです。
・あと、キャラものであるけど、まったく話はつながってませんし、説明や設定もほとんど考えなくていいので、むしろ5巻からでも楽しく読むことが可能ですので、買って読めばどうよ?
(17:55:01)

「ちとせげっちゅ!!」1巻 真島悦也(竹書房)

・んー、竹書房もいいかげんヴィジュアル4コマの波にどっぷりなのでしょうか。
・小学校の隣にある役場の職員にラブラブの小学生ちとせちゃんのはっちゃけ4コマです。

・4コマってのは1冊は薄いですけど、1回のページ数が少ないので、コミックになるのは時間がかかるみたいです。だから、1冊の間に絵が変わることが多いですね。本作はその中においてもかなり変化が激しいような気がします。

・で、4コマってのは、それに特化していくと、途中で「萌え」がナリを潜めていくみたいですね。動かしやすい顔=萌えってことじゃないみたいですね。

・とりあえず、いろいろな要素を含みつつ、頭ひとつ飛びぬけることのないまま、ヴィジュアル4コマと、そうでない4コマの中間点に位置しながらも、ほがらかに展開していきますね。

・とりあえず、平均点(ってもよくわからんけど)以上のものとお見受けしました。今後の課題は、どこかでアタマ飛びぬけるような魅力を手に入れることでしょうかね。今はキッチリ真ん中って感じですね。突破口が見当たらないです。いろいろとキャラを作ってみたら、意外のブレイクスルーなのが作れるかもしれませんね。もちろん、今のレベルをキープするだけでも全然OKでしょうけどね。まあ、それならおれは2巻はいらないなあと。
(18:10:14)

「花鳥波絵巻 ナノトリノ」2巻 ふくやまけいこ(ワニブックス)

・姉妹と、謎の生物と、謎の女性の時代冒険アドベンチャー。基調は江戸時代だけど、基本的になんでもありかな。
・今回もハラハラドキドキのアドベンチャーで、謎の女性・お仙さんの隠れている謎が徐々に明らかになってきたかな。

・相変わらず絶対無比の武器であるところの、「生きた絵」を駆使してモノクロなのに、カラフルに話が進行していきます。本当、こんな絵が描けたらなあと思いますよ。それでいながら、話が絵の添え物になっていないんですよね。まあ、非常に健全な話なのですけどね。たとえば、「犬夜叉」みたいなおどろおどろした感じなんかがあればいいかなと思ったりもしますが、それはふくやま氏のキャラじゃないですからねえ。

・けっこう先は長そうですね。
(18:24:18)

「保健室のメカニカル」陸乃家鴨(少年画報社)

・エロマンガですね。
・流しの保健室医でメカフェチの方が、いろいろな人にエッチな目に遭ったり遭わせたりするマンガですね。

・メカフェチだけあって、古いハイテク商品に目がなくて、機械いじりするだけでコーフンして大変なコトになって、それで、余計に大変なコトになるってパターンが多いですか。

・絵もていねいだし、いろいろと練った設定(流しの保険室医なんかの)、中盤から登場するナースロボなど、がんばっておられるのだけど、いかんせん、エロ方面で弱いのが最大の弱点かな。ほかに、おれ的にはもっとギャグがキレてるのかと思ったけど(例:「ほすぴたる/唐沢なをき」、「いけないドクター/細野不二彦」)、それもおとなしめであったしな。

・まあ、佳作といったところでしょうか。もっと、エロかコメ(ギャグ)かに、重点をおけばいいノリが生まれたのではないかなあ?いろいろと欲張りすぎたのかしら?
(18:38:48)


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