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ポトチャリポラパ/コミック/2005年
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2005年/5月
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2005年/5月/31日
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「サイダースファンクラブ」1巻 小坂俊史(竹書房)

・最近は出版社がちがっても、同じ月に同じ作者の単行本同時発売ってなワザを多用しますわね。
・4コマ王子こと小坂俊史氏も「ハルコビヨリ」の2巻と本作を5月に同時発売です。この場合、どちらも竹書房ですけどね。

・売れないガールズ3ピースバンド(ドラム、ギター、ベースの3人のバンド)で、プロのサイダースさんの奮闘を描いた4コマです。一応プロ、でも、知名度が低いってのがミソになっております。
・というか、ちょっと冷静になりましたが、小坂俊史氏の作品の多くがそれですね。女性が主役。ビンボー。ヘタレでショボ&セコな日常。唯一の例外が「せんせいになれません」ですかね。ただ、この作品もヘタレでショボ&セコですけどね。

・で、この音楽関係のネタがとてもいいです。たぶん、4コマの完成度やクオリティが高いのは「ひがわり娘」だと思いますが、本作がおれは一番好きです。
・ライブで客が少ないから、親とかにサクラとしてきてもらったら親戚一同で客の約半分だったり、よくライブ後でピックを投げるってパフォーマンスがありますが、サイダースの場合、寝ている客を起す、授業中のチョークみたいなもんだったりね。

・ライバルバンドで、サイダースよりは売れてるウォルナッツや、バニースタイルのイロモノバンド・バニーズとのやりとりも楽しいねえ。
・3人のキャラも、売れたがるギターに、ロック好きなベース、で、なぜかオカルト好きなドラムという3人に、弱小プロダクションの社長兼マネージャーという布陣でね、たぶん、これまでの4コマではあまり取り上げられなかったネタが多数あってとてもいいです。たとえば、学園祭。学園祭に出場する側の視点ってないでしょ? ライブ場、スタジオ、ツアー、レコーディング、アルバム発売、バンド存続の危機。それらをちゃんと4コマにして笑いに変換するネタを抽出してるあたり、王子の貫禄ですよ。北朝鮮でいうなら、正男が王子になるんでしょうか。まったく関係ないこと書くなよ。

・ということで、愛すべき3人。愛すべき世界がそこにはあります。
・小坂氏のほうは、ジッタリンジンから、パーフリで、ガールズバンドと、ネオアコ方面からの侵入で、なるほど、サイダースもそんな感じはありますし、どこか、サイダースの演奏もそういうキュートな音が聞こえてきそうです。わかりやすいところで、少年ナイフとか、ああいうあたり?

オススメ。バンド4コママンガの金字塔です。「マンガライフMOMO」における「BECK」です。たまにある表紙のバンドパロディもいいね。小坂氏にしては「趣味」配合が多目だったりするのがまたいいのかも。
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「NHKにようこそ」3巻 滝本竜彦&大岩ケンヂ(角川書店)

・えーと、つまり、3巻にして、ちょっとみえてきた、「ひきこもりのバイブル」なんですが、主人公のダメ人間が、オタクで、ひきこもりが陥りやすい苦難に陥ってるのをゲラゲラと笑うものってあたりで落ち着いてるのでしょうか。

・なぜ、オタクと呼ばれる人種は自分に似た境遇の人がひどい目に遭う話が好きなのだろうか? この歴史ってのはかなり古いし、根が深い気がするんですけどね。それこそ、今、ベストセラー作家の吾妻ひでお氏が描いていたころよりもさらに古いものがありますからね。そして、それは、たとえば、いしいひさいち氏が描いていた「バイトくん」や、さらには、トキワ荘の面々と過ごした青春の日々な藤子不二雄Aの「まんが道」とは異なるものがありますよね。
・そして、また、お笑い芸人のヒロシ(こういう書き方をしておかないと後でなにかわからなくなるから)氏のやってる「自虐ネタ」ってのとも微妙にちがう感じ。

・どうも、似たような人がいて、「彼は大変だよねー。おれはちがうけどさ」ってどこか他人行儀な感じ。
・だから、彼がネトゲで廃人になったり、親のスネをかじりまくったり、マルチにハマったりしてても、別に平気。「バカだねー」とやや距離を置いて笑っていられる。たぶん、現役バリバリのネトゲ廃人も笑ってると思う。「いるいるこんなやつ」って。

・なぜか? これはマンガでフィクションだから。そして、それをフィクションたらしめてるのが、あの4巻ではフィギュア(が特典でついてくる)になる女の子ですよ。こんな女は世界中のどこにもいないから、これはフィクションということで安心してみていられるわけですよ。まあ、基本的に。恐ろしいことにたまにいますからね。「この女性はどうして今この場に居るんだ?」ってくらいのコがなんかのバグでいることありますからね。あまつさえも誰かとつきあってたりもありますからね。そこいらをわりに現実的に整合性を持たせた形で合理的に存在させたのが「げんしけん」かね。

・本作ではまだ謎の少女で、おれはこれがかなり重要なのかと思っていたけど、どうやら、整合性を持たせきれないからじゃないか?って思いはじめてきたですよ。というか、これほどまでも様々な女性がまわりに寄ってくるニートなんざいない。それがいろいろな問題ありの女性であろうと。

・で、ドツボにハマる寸前でちゃんと回避してるのもマンガ的ですね。たとえば、罠だったんですが、ネトゲで「オフで会いたい」ってので現実の自分の姿に気づくってのは、ありがちですが、たぶん、現実でそれがあるとしたらいいわけして延期するのがたぶん正解の対処で、そこで叫びつつPCのケーブルを引き抜くようなことはしないと思うのですよ。そういうオタクの行動をマンガ的に誇張したってところもあります。

・まあ、それが恐ろしいところでもあるんですけどね。すべてのバッドエンディングを寸前で回避しながら、オタクが陥りがちな地獄観光をするってな趣向ですからね。

・そういうギャグマンガとして接することにしました。
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「ああ探偵事務所」8巻 関崎俊三(白泉社)

・シリーズ初の2巻にまたがるエピソード「ストミュー」編は、思わぬ方向に転がって終りました。んー、個人的には、センテンスが長いわりにあまり効果的じゃなかったかなあと。

・ストリートミュージシャンがいました。彼のことを忘れられないキャバ嬢が探偵事務所に探してくれと依頼しました。調査の結果、彼は刑務所に服役してることがわかりました。そして、さらに調査の結果、彼の担当の刑務官がとんだサイコ野郎だったので彼の命が危ないことになりました。だから探偵は刑務所に潜入することにしたのです。

・その後編ってことで実に8巻を1冊分。やや長いかなーっと。いや、おもしろかったんですよ。だけど、もっともっとコンパクトに効率よくまとめることができたんじゃねえか? クライマックスのライブなんざ2回にわける必要があるか?とか。

・ただ、今回特筆すべきは、キャバ嬢の依頼人が、ストミューの人がヤバイことをしり、探そうと探偵事務所を飛び出そうとするときの間がとてもいいことです。29pから32pまでのコマ運びがなんだかおれのツボでした。単純にこのキャバ嬢もナイスキャラでしたしね。

・長いこと。あと、ヘンなキャラや格好で笑わせるってパターンはもうちょっと控えたほうがいいかなと思いましたが、キャラの萌え度っていうか、味わいが増したのでいってこいでチャラでしょうか。
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「よにんぐらし」1巻 宇仁田ゆみ(竹書房)

・家族4人で暮らしてるスケッチ的なショートストーリーです。
・一姫二太郎で元ヤンキーっぽいワイルドなお父さんに、元OLのお母さんのアパート暮らし。

・夜、トイレに起きる。そして、家族全員の寝相の悪さを直してるうちに、トイレにいくことを忘れてまた眠ってしまう。
・4さいのおねえさんは弟や、メイの世話をしてます。「おねえさん」だから。だけど4さいだから爆発してしまいます。

・日常に流れるとるにたらないエピソードをすくうって例のやつです。あちこちで見受けられるものです。この手のは突き詰めると、好きかきらいかってことになりそうです。それをできる限り万人のソレにするための努力は大事です。最大公約数を増やす努力ですね。もっといえば「好き」になってもらう努力。
・宇仁田氏はあとがきにもあるように地味に丁寧にすくって紡いで編み上げてますね。おれはもともと好きですけど、単純にこのマンガが好きだし、この家族が好きですね。とくに長女の4歳の子がカワイイね。というか、このころまでが最高だわなあ。4歳ころまでの我が子がカワイイと思えない人は子供を作るなと思うわ。

・ぶどうを渡すと静かになるとか、「ああ!そうそう」ってネタもたくみに織り交ぜてるし、それでいて、育児ネタだけにとどまらない展開(基本的にお母さん目線でストーリーは進行してます)もあるし、巧みですねえ。
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「トリバコハウス」2巻 宇仁田ゆみ(祥伝社))

・最終巻。読むの遅くなりましたが。

・なんでもやってもらえる、「父・娘」な恋愛をしていた女性がひょんなことから逃げ出しました。そして、トリバコハウスと呼ばれる学生寮でかくまってもらってるうちにそこの1人と恋愛関係に陥りました。そして、トリバコハウスの住人も巣立つときがくる。という全2巻のあらすじでした。
・オビにあるように、「父・娘」ななんでも与えてもらい、決めてもらう関係のトリカゴにいた女性は、全てが対等で共同作業な、トリバコに住み、そして、ついには大空へと羽ばたいていくのですよ。そう、恋愛は推進力ではありますが、1人の女性の成長物語なのですよ。

・主人公は、最初、なんだこのふにゃふにゃしたの!ってのが、徐々にスキルアップしていくわけです。

・この主人公、そして、彼女の元恋人、彼女をしつように狙う仕事場の同僚みたいな、イヤなキャラのリアリティが際立ってるなあ。とくに仕事場の同僚、彼氏がいるとわかったトタンに手のひら返しで、全無視で、仕事が大変な彼女の状況を知りながら辞めていくって、なかなかスゴイキャラでしたよ。で、いるんだよ、こんなやつ。
・それに比べると、逆にトリバコハウスの気のいい学生たちは恋人も含めて、かなりいない感じ。男性マンガ家が描く女性と、女性マンガ家にとっての男性の、どこかに潜む「ウソ」(あえてこの表現で)ってのは興味深いものがありますね。それは「願望」が混ざってるから「ウソ」ってのもありますしね。その「ウソ」はコトバを換えると「萌え」になったりもありえますし。
・そして、「萌え」という視点で考えると、まさに逆「ラブひな」な感じですよね。ステキな男子がたくさんいる中で女子1人だもんねえ。

・まあ、大団円というには、ちょっと「あれ?」って感じが残りますが、一応終わりです。外伝とかで多少続いてるそうですがね。
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2005年/5月/27日
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「ワイルドマウンテン」2巻 本秀康(小学館)

・おお、本領発揮か。中野区ワイルドマウンテン町町長の菅菅彦を中心としたワイルドマウンテン町物語ですよ。
・中野区に隕石が落ち、山ができてしまったので、ワイルドマウンテン町ができたのですね。だから、東京23区に異様に緑豊かな場所ができたのです。そこに集う人々の人間模様です。

・という説明はあまりよろしくないな。ポイントは町長なんですよ。この愛すべき妄想狂の童貞気質満点の自己中心男がすべてなんですね。とてもウツワの小さい男が、地球防衛軍の隊長だったり、ワイルドマウンテン町の町長だったりするメルヘンですよ。メルヘンなラブコメかな。あとSFかな。

・ジャンルの境界線をふわふわと気球のようなものでただよいつつ物語が進行していきます。もともと、本秀康ワールドにはそういうところがありますが、たとえば、離婚した母親が子供を引き取るとか、未亡人の相手をするとか、妙にどろどろした町民たちの人間模様があったり、特撮ヒーローショー、地球防衛軍、謎の壁画など、物語のふり幅はかつてないくらいはげしく大きい。

・その中にいてとても等身大で矮小な男である菅彦が目立つわけですよ。主人公名だけあってそのセコイ判断や考えに物語が大きく関わってきたりもするんだけどね。そして、その矮小な菅彦の目下の望みは彼女を作ることというからすごいじゃありませんか。

・ということでスケールが大きいのか小さいのかわかりませんが、この後も目の離せない好調2巻目でございました。
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「すぱすぱ」4巻 三宅大志(角川書店)

・いやまあ昨今の乳首描写解禁ムードは本作にもやや影響してきてますね。
・なんか知らんけどモテモテの男を眺めるマンガです。ええなあって思いながら。

・あとなにもねえよなあ。2回くらい読み返したけどなにもないです。あと2巻くらいこの寸止めエロエロワールドが繰り広げられるみたいですよ。よかったねえ。おっぱいもみたいねえ。ふわわー。いっちゃーん。と、連想ゲームじゃないんだから思いついた単語をタイプしていく必要はないですね。

・だんだん目がでかくなる現象が起こってませんかね?
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「HEAVENイレブン」5巻 大和田秀樹(秋田書店)

・最終巻です。なんだろう? ちょっと迷いが見受けられた5巻です。
・スゴイバカでスゴイ才能の持ち主が腕力だけで押し切るマンガばかり描いてていいんだろうかねえって悩みと、「萌え」ですね。

・前者はなんやかやいうて毎度毎度たどってる感じで、最終的に「おれはこれが得意だからいいんだ」ってことになってると思います。問題は「萌え」ですよ。どうも「萌え」を見失ってる感じですよね。
「目と胸を大きくすれば萌えだろ?」ってノリになってる。で、ドツボになってるねえ。そこをでかくすりゃ美人なら今現在でも朝丘雪路はトップグラビアアイドルじゃないですか。

・4巻くらいまでで著しく萌えってきたのに、また戻った感じですね。いやむしろ悪くなったのかな。「たのしい甲子園」での阪神の熱狂的なファンの野球部マネージャーはかわいかったものなあ。

・うーむ。この先、どうなるんだろう? まあ、ともかく、5巻はイマイチっぽい感じになりましたよ。ぶっちゃけ、4巻マイナス「萌え」ってことなんですけど。

・せっかく「萌え」スキルを得たんだし、次回作はそれを生かしつつもまた「熱い」やつをお願いしたいところですね。そろそろまた「野球」やるのはいかがでしょうかね? そろそろ一巡でしょ?
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2005年/5月/25日
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「XX in 乳」奴隷ジャッキー(エンジェル出版)

・はい諸兄、エロマンガの話がはじまるよ。

・こう、ペンネームってのは大変ですね。その作家自体のイメージを固定したりしますからね。
・そういうことで、100行くらい「ペンネームおもしろ話」を省略しまして、こう、いかにも内容を窺い知れる方ではありますよね。

・SMの人っぽいペンネームですよね。実際「陵辱回廊」みたいなバッチシなタイトルもあるそうで、そっちが本線じゃないかなと思ったりするんですが、本作はあとがきでも「コメディタッチなエロマンガが満載」となったのです。

・ポイントは「おバカ」ですかね。出演者がみんなハイテンションなバカが全速力で駆け抜けていくマンガが多いですね。とくに男はほぼすべてバカですね。愛すべきバカ。カワイイバカ。で、女性はオッパイがデカイバカが多いかなあ。

・おしりを叩かれるとイッてしまう女子と乳繰り合う「スパン女王」。男子トイレでケツをたたくと、「おお、コーフンする」ってまわりの男子もみんなケツを叩きまくるなんて名バカシーンがあります。(これはSM要素がありますねえ)

・学園祭の売上No.1のお礼にメイド姿で男子生徒全員に奉仕する生徒会長の「コスこす in いいんちょ」

・婦警さんネタの「はぐれ婦警純情派」。そして、嵐の晩に井戸に飛び込んだ人魚といたす「マーメ井戸」は、あの、貝のブラジャーを外してますよ。みどころですよ。

・巨乳アナウンサーが先輩アナウンサーのセクハラでエッチなスタイルで突撃インタビューする「じょしアナ in 乳」。
・究極のバカップルがむさぼりあう「霧島さんのき・も・ち」

・こういう感じですかね。人魚の貝ブラなどのように、オッパイがらみの「見せ場」が多いですね。あと、口元に特長ありますね。「フェラ口」での唇の感じが新しいかも。ギャグになりかかってるくらいだけど、ちゃんと「エロ」に留まってます。

・良くも悪くも「ハイテンション」。あるいはこれがエロを阻害される方もいらっしゃるかもしれません。「ついてけんわ」って。あと、団体戦が多いです。団体戦っても、男子複数vs女子1ってのが多いですが。

・なーんか、100円の古本エロマンガばかり読んでいたので「最近のエロマンガはたいしたもんだなあ」と思いました。
(14:47:46)amazon

「Yell」羽田としのり(FOX出版)

「オレンジでりばりぃ」やアニメ化が決まった「あまえないでよっ!!」の作者・宗我部としのり氏の別名義のエロマンガですよ。多いですよね。あずまきよひこ氏が序ノ口譲二とか、山本直樹氏が森山塔氏。浦沢直樹氏が氏賀Y太とかねえ。最後のはウソですけど。

・で、メジャーといったらあれですが、上記の「あまえないでよっ!!」にしても「オレンジでりばりぃ」にしてもエロ要素が濃厚だから別におかしくないわけですよ。だから、ああ、こういう乳首描くのかってのがわかるくらいでねえ。みやすのんきチックですよね。

・巧いですね。マンガの巧い方です。たとえば、手塚治虫のエロマンガ(「奇子」とか)がちゃんとエロいのと同じで、本作も問題なくエロいですよ。

・必ず各ポイントに「エロみどころ」をきっちり用意してらしてね。それにもっていく話の組み立てもバツグンに巧い。

「Greatest cheering」はチア服の女子と選手控え室でいたす話です。表紙も彼女ですね。遅刻してきた控えのピッチャーである彼を探しに行ってヤられるわけですが、彼女はずっと応援していて汗やらなんやらでムアっとしてる。その後、お決まりのみつかりそうになるってのがあり、アナルをいじるというポイント(実はなにげに羽田氏のポイントかもしれない)を押さえつつ終る。

「早送りな関係」はいつもエロビデオを借りてるレンタルビデオ屋のおねーちゃんが出演してるビデオを借りてしまい「モザイクのむこう側をみせてあげようか」なんて誘われるわけですよ。それでいて、ユニフォームのエプロンもうまく使ってる。

「胸のうちきかせて」では爆乳、「こいぬこばなし」ではロリと、各話、いい意味で「なにもない」女子は登場しません。しかも、ダブりもなし。シチュエーションも展開も、粋を凝らしてる。そして、必ずポインツもある。それらはその女子の特性を最大限利用してる。
「こいぬこばなし」の「犬みたいにおねがいしてみろ」なんてズキューンとこられた方が多いと思いますよ。

・これぞ良質なエロマンガの見本って感じですね。だから、良質すぎて、「おれはブルマがないとダメなんだあああああ」ってそういうどこかに特化した思いみたいのは弱いですね。

・トップクラスだけど突き抜けた点がないというかね。10人に聞くと10人はエロいと答えるでしょうが、本書はバイブルになる人はどれほどいるんだろうかって。そういった点では、よりいろいろと展開できる、現在の宗我部としのりになったほうが絶対に正解ですね。

・いつか、「あまえないでよっ!!」のメンバーが「羽田としのり」名義でエロエロな目に遭うってセルフパロディなんかがあるととてもおもしろいものを読むことができそう。
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「お吟 美少女的淫魔獣人伝」真鍋譲治(宙出版)

・あの真鍋譲治氏の初の成年コミックマーク付き作品集だそうですよ。おれの場合、真鍋譲治=アウトランダーズですが、たぶん、その後もいろいろと有名な作品があるんでしょうね。正直興味ないんで追い求めませんが。

・おれなんかの感覚だと、だから、ほとんど20年ぶりの真鍋譲治さんで、「あらあらずいぶん絵柄が変わったんだなああ」って感じですよ。ナツカシマンガのノリなのでもうしわけないですが、ちゃんと「もうしわけない」という意を表明したのでOKだと思います。

・いや、あと、よく知らんところでいろいろと描いていましたのですね。でも、ずっと現役らしいですよ。その感じはとても強く感じられます。

・山の診療所兼住居にいる先生のもとに降りてきては、エッチして、化かす、メスギツネの話ですね。
・獣人としては、かなり軽度で耳とシッポくらいかな。ここいらもいろいろとサジ加減がありますからねえ。まあ、本作のはコスプレでまかなえる感じですか。で、キツネだから化かすってパターン。あとほど、猫も登場したりしますね。

・よくわからないんですよ。同人誌初出のものを商業ベースで出すってことなんですが、とても、「普通」なんですね。あえていえば獣人だけど、とっても「普通」。

「おお、真鍋譲治がとてもエロマンガを描いてる」

・ってことがかなりポインツですね。だから、おれみたいに「アウトランダーズの真鍋がエロか」程度だと弱い。「どうせなら、アウトランダーズのラムちゃんみたいやつがエロエロしてるのがいいなあ」と思ったりね。まあ、真鍋氏、「アウトランダーズ」を「うる星やつら」のパクリっていわれるのが死ぬほど嫌いだそうですけど。

・まあ、それはそれとして普通。普通にエロ。ああ、さとう珠緒! さとう珠緒って戦隊ヒーロードラマ出身で、脱いだじゃん? そのパターンが近いかも。
・もちろん、プロの仕事だし、ベテランの仕事です。作画ほかのクオリティはもうバッチシです。ケモノエロが好きな人にもかなりアピールしそうですよね。

・でも、ぼくには普通でした。また20年くらいしたら真鍋の作品を手に取ってみよう。
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「ULTRA SWORD」林家志弦(コアマガジン)

・林家志弦初の「成年誌系初単行本」です。「成年コミック」マークはナシです。

・封印した悪い人が復活して、悪い人は能力を蘇らせようと花嫁を探しかどわかそうとしてます。それを守る4人の剣士。悪い人以外は女子高生ですか。

・で、ギャグです。配合してる割合で内容を決めるなら本作はコメディ、あるいは、ギャグマンガです。下ネタ系か。
・笑えます。「ふたなりは邪道!」などのエロネタでのギャグも強力ですが、ドタバタでみせる、ハイテンションの展開がとてもおもしろい。「はやてxブレード」ばりですね。こう、ボケとツッコミの会話で笑いながらかなりいろいろな情報をむりなく展開させるって技術がスゴイんですよね。
・あと、殴りますよね。昨今の少年誌のギャグマンガでもやらないくらい、ドツキ漫才なのも心地いいですね。

・エロはねえ、ギャグのための推進力かもしれないなあ。エロというフォーマット上で展開するからこそ決まるギャグが多いねえ。そいでもってこれがまた下品なんだ。時代は下品だからね。バッチハマってるですよ。って、2004年の9月に1刷になってまして、おれのなんか3刷目なんですけどね。でも、下品は「今」きてますからね。勝手口からはげしくノックしてますからね。「今」がサイコーですよ。未読のお客さんで、「今」読んでる人、これ、トクしたね。サイコーだよ。

オススメ
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2005年/5月/22日
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「DEATH NOTE」6巻 大場つぐみ&小畑健(集英社)

・おれ内では「読み出すとおもしろいけど、その読み出すまでがおもしろくない」マンガです。
・一番の要素は文字が多いことです。ぼくは字を読むのがあまり好きではないからです。
・せっかく小畑健先生の美麗な絵があるというのに、ふきだしでページの半分が埋まってしまうような文字の多さはとてももったいないと思います。ぼくは絵で説明がつくところは極力言葉をいれなくてもいいんじゃないかと思うのです。
・だけど、この原作の大場つぐみ先生はすべてを言葉にしないと不安で死んでしまうとばかりにコトバをつめこみます。そして、小畑先生はその意図を汲んでるのか、ちゃんと律儀に文章のスペースを割いてます。

・ほとんど6巻まで「コミック」で同じようなことばかりを書いてる気がしますが、やはりもっとアクションが欲しいと思いますし、アクションのための展開になってほしいなと思います。

・そして、けっこう先が読めない展開になってます。ただし、それはゴールを設定してないからこその先が読めない展開です。どうなるとゴールなのか?ってのがないまま、ハラハラドキドキって感じです。まるで「人生」のようですよ。なーんちゃって。
・あと、まるで浦沢直樹のマンガのようです。だから売れてるんですね。

・デスノートという名前を書いた人が死ぬノートの話です。日本が大好きな中国人の若者の間でもこのデスノートが流行ってるそうですよ。もちろん、海賊版のデスノートですけどね。
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「マシュマロ通信」8巻 山本ルンルン(JIVE)

・8巻になりましたよ。しかも、ほとんど毎月のように出てるわ。この8巻あたりから刊行ペースが開いてる感じを受けますが。

・おしゃべりする羊のヌイグルミのクラウドがサンディ一家に居候して巻き起こるドタバタコメディ。
・という、藤子不二雄の流れにおける「居候ギャグ」とみるなら、このクラウドはマレにみる「イイコ」キャラではありますね。お手伝いはするし、子供っぽいあどけなさはあるし、なにより、かわいいし、基本的におとなしいし、いいやつだしね。誰もが欲しがるようなキャラですよ。でも、マンガということで考えるとフックが弱い。まあ、そのフックの弱さは別に弱点じゃないんですよね。だいたいクラウドを中心に展開しない話のほうが多いですしね。クラウドはどちらかというと画面のハシッコにいる存在ですよね。つまり、バラエティにおけるアシスタントガール的。イイコで遊んでいたりしますよ。

・ただ、8巻ではクラウドや彼らの住んでいる街に出没するおかしな動物であるウサギイヌの秘密に迫った回などがあります。

・こう、各回における表紙の背景画(人物ナシ)や、上記の「ないしょの世界」などをみてると、山本ルンルン氏の律儀さが伝わってきます。この丁寧さがおもしろさの秘密でもありますね。「ホームアローン」の回における、クラウドが1人で留守番する回の背景の雄弁なことといったらないですよ。黄昏時に目を覚ましたら誰もいない家をコレ以上ないミゴトさで描写してますよ。

・あと、「ないしょの世界」では読者から、クラウドやウサギイヌのような変な生き物を募集して、それをマンガ内でドカンと描いてますが、この読者のデザインを山本ルンルンのそれにするのはなぜかとてもエキサイティングに感じました。「大賞」のクマなんかすごかったなあ。

・8巻ではパンジーがかわいかったですね。パンジーもなにげにいじめられキャラですね。
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「シガテラ」5巻 古谷実(講談社)

「稲中」以降でいえば、最長になるんかしら。
「クイックジャパン」かなんかでのインタビューによると、かなりエルビスコステロな方で、自分の描いたものをとても否定される人みたいで、おれが大好きな「グリーンヒル」なんかは最悪みたいな評価をされてますよ。そういった感覚でいうと、本作は気に入っておられるのでしょうか? なんせ、5巻ですからね。

・17歳のモトパシリが彼女ができてハッピーなはずが、そうでもないマンガです。

・ギャグめかしているけど、同時にとても読者にストレスを与えたりもしてます。ここいらのサジ加減はとても美味いです。おれにはストレスの配合が多めに感じますが。

・たとえば、モトパシリの主人公の前にモトいじめっ子が現れたりします。よりパワーアップしてかかわりたくない方向で。
・たとえば、主人公の彼女の前に大事なものがなにもないヤケクソになってる39歳無職が現れたりします。

・そういう、なんていうかな、漠としてだれもが感じる不安が具現化してるマンガというかねえ。

・4巻のときより「やめて〜」って感じは少なくなったけど、ものすごいヤバイ橋の上にキャラがいるんだけど、あまりドラマチックじゃないマンガですよ。アクションマンガの波乱万丈とちがう、なんていうかな「侵食」ってイメージのヤバさはずっと漂ってます。登場人物全員死んだり殺したり殺されたりしててもおかしくない危うさというか。

・ひとついえるのは「イヤなマンガ」ってことですよ。
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「猿ロック」6巻 芹沢直樹(講談社)

・安定株でしょうか。
・イマドキやらないボケネタ(マンヘルだと思っていた場所が歯医者だったってオチ)のあと、小6の少女を探すネタ。中学生のサバゲチームと渋谷チーマーとの抗争ネタと。やっぱり、こういう大ネタはバリエーションとして大変なのでしょうが、盛り上がりますわな。ぶっちゃけ焼き直し感がややありますけどね。

・でも非常にがんばってます。とくに作画とか。ブレや荒れがないのはたいしたもんですよ。
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「並木橋通りアオバ自転車店」14巻 宮尾岳(少年画報社)

・毎度おなじみ自転車のあるオムニバスハートフルストーリーマンガ。14巻です。堂々としたもんだ。

・14巻では折りたたみ自転車特集といったオモムキがありましたね。これまでも折りたたみ自転車は手を変え品を変え多数登場しましたが、3連発でドンドンドンときてたのが圧巻でしたね。しかも、みんなニュアンスがちがう「いい話」として仕上がってる。
・そして、その3つに、準レギュラー女性キャラ編をかませていって、5連発と、14巻「も」かなり完成度が高い1冊になってますね。ここいらの構成の妙ね。

・とくにエリザベスとナツキ編がとてもよろしかったね。青春で熱血でギャグでエッチでねえ。
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「ナッちゃん」15巻 たなかじゅん(集英社)

「アオバ自転車」と同じく1話完結の特殊ジャンルマンガです。
・父の跡をついで鉄工所を守るナッちゃんのナニワド根性鉄工マンガです。

・ただ、15巻はちょいと息切れぎみかなと。
・なぜか、延々出演されていたガイジンのオッサンがうっとおしい。別に際立っていいキャラでもないしな。

・今回、「おおすげえ」ってな鉄工ネタもなかったしね。

・いつの間にか恒例になった巻末のコスプレ劇場は女学生編とスペオペ編。最近、チカちゃんはこれでしか出演しなくなったのでさびしいですね。本編でも出演させてほしい。同じメガネっ子の高田さんばかり出演されます。
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「ガタピシ車でいこう!! 迷走編」4巻 山本マサユキ(講談社)

・全8冊で終る予定でしたが、このまま次は「暴走編」として続くことになりましたボロクルマバンザイマンガです。

・アレですよね、マンガ内連載描き下ろしマンガとかなくなりましたよね。イマサラかもしれませんが。忙しくなられたのでしょうか。

・本編は相変わらずの「マジでこんな人いるの?」ってクルマ好きが大挙して登場しますよ。

・ミニの内装を総革張りにしたら、梅雨時期カビてファーみたいになったり。
・戦車に改造したり。
・屋台のときは美味いけど、それで貯まった金で店を出すととたんにダメになるラーメン屋。
・崖っぷちにある非許可のフレンチレストラン。

・やっぱり「これ」は楽しいですね。片山まさゆき氏が麻雀マンガじゃないとサエないように、山本マサユキ(そういや"マサユキ"つながり)氏もガタピシなクルマがでてこないとダメみたいな感じがしますね。ほら「妹あいどる」なんてのがありましたしねえ。

「暴走編」も楽しみにしてます。
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「岳」1巻 石塚真一(小学館)

・山岳マンガ。1話完結。凄腕の登山家で民間救助ボランティアの三歩が山で遭難した人を助けるマンガ。

・山描写が全てですね。よくまあと思うくらい山は危険と恐怖と素晴らしさに満ちてるね。

・で、その山描写が同時に問題をはらむかもしれないなと思ったりしました。
・山マンガというと、パッと村上もとか氏や、谷口ジロー氏という、マンガ界でも「鬼」クラスの絵が巧い人が描いてます。そこでちょっとおもしろい現象というかな。

・吉村作治氏という早稲田の教授がいますよ。エジプトで有名な人ですよね。バラエティで、彼も含めて何人かに「スフィンクス」を描いてもらうというネタがありました。
・そのときに、彼はいいました。「この中じゃもっとも「正確」に描きました」って。その根拠が、鼻の部分は崩れ落ちてるなどの現在の姿に忠実だからと。

・つまり、そういうことですよ。本書の山描写は吉村作治チックなんですね。たとえば、なだれの後のシーン。おれは「杏仁豆腐かよ」と思いました。
・でも、その描写はたぶんとてもリアルだと思います。おれも雪国に住んでるでね。雪はたまにウソっぽい風景や光景をみせてくれますよ。

・ただ、その描写「も」要素のひとつだけですよ。全ての点で本当に山に登った人じゃないと描くことのできないと思わせる説得力に満ち満ちてますよ。雷が「横」からくるシーンの怖さとかは非常によく伝わってくる。

・そして「遠くの声」ではかなり涙ですよ。
・そういえば、「助かった」瞬間ってのもよく描写してますよね。次の瞬間そこに救助隊がいるんですね。そんな感じだとおれも思うねえ。遭難したことはないんだけど。

・本書を読んで山に行きたいと思うかな。
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「ハルコビヨリ」2巻 小坂俊史(竹書房)

・うれしはずかしの「はずかし」の方を盛りだくさんにした同棲4コマ。2巻目。
・同棲してるんですが、かなり色っぽい方向を意図的に避けてます。まあ「まんがクラブオリジナル」で描いてるものですし、「みこすり半劇場」じゃないですし、そもそも4コマ王子はそんなものを描かないのです。

・でも、今、ふと思ったけど、女性が主役の4コマが多いねえ、王子。王子は女好きなんですね。

・で、王子が生み出した数ある女性キャラの中でもっともワイルドなのがハルコさんなのではないかと。もっとも同棲に向いてないキャラではありますよね。まあ、それがおもしろみにつながっているですが、ひょっとしていわゆる非モテの女子からは「こんなガサツな女が同棲できるのはクヤシー」と思われてるのでしょうか。おれが女だったらそう思うかもしれません。あるいは、「ハルコさんでも同棲してるんだし、私にも赤い糸でつながってるダーリンがどこかに」と思うのかしら。

・ネタとしては、コタツから双方が出られない。梅酒の容器で大量の梅ゼリー。カバーめくった表紙にもある「がさつクッキング」はヤキソバとカレー。ヤキソバのマヨネーズかければなんとなるってのはすばらしいですね。スカしたバーでカニのネタなんかはさすがだよなあと円熟した技術を感じましたよ。あと、ケンカしてて石焼いも屋がくるってネタもかなり。

・でも、そんな2人はなんやかやいって楽しそうと最終的に思わせる力量が4コマ王子の王子たる所以なのかもしれないなあ。

・ということで楽しかったですよ。
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2005年/5月/20日
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「コミックマスタージェイ」12巻 余湖裕輝&田畑由秋(少年画報社)

・次で終わりみたいですよ。ものすごいあとがきのほうで宣伝してます。
・落ちそうな原稿を神業でフォローするスーパーアシスタントのマンガですね。ブラックジャックみたいの。
・昨今の流れのように、時事ネタにリンクして3話分。CG作画、ハリウッド映画にパクられるマンガ、ネットウソ日記、と、このままこのパターンでうまく続けられそうですが、マンガは、「未来編」に突入してしまい、次巻の「結末編」みたいのに流れ込みました。

・本作は、何回か「終るの?」ってノリになっておきながらうやむやになって「まだつづくの?」って展開が何度かあり、これで終わりっていっても「オオカミ少年」じゃないけど、「へえ、また終るんだ」って感じがあるのですねえ。

・とはいえ、なんやかやいうて12巻までつきあっているしおもしろいマンガです。典型的な「1回読み(1回読んで気がすんで読み返さない)」の本ですが、インパクトがあるので1回分が濃い。そういうタイプです。

・やっぱ時事リンクネタがいいですね。これで延々続くほうがよかったなあ。答えの出ない問題意識を無駄に煽る話が多かったですけどね。まあ、連載マンガの1話で結論が出るかい!って話が多いのでそれはしょうがないけどさ。

・正直「やっと終るか」って感じもあります。
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2005年/5月/14日
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「フライ,ダディ,フライ」上巻 金城一紀&秋重学(小学館)

・秋重学による金城作品のコミカライズ第2弾です。しかも、映画化が控えておりそれにもリンクした感じ。

・娘が暴行された。暴行したのは高校ボクシング界で注目されてる男。型どおりにあやまる男。主人公・鈴木一(オッサンサラリーマン)は復讐を誓い、包丁片手に高校に殴りこみに行く。だが、高校をまちがえ、なおかつまちがえた高校の生徒に返り討ちに遭う。
・そして、娘目当てにその生徒たちはオッサンを鍛え、復讐を手伝おうとする。オッサンは会社に40日の有給を申し出る。そして「ひと夏の冒険」がはじまるわけだ。

・オッサンたちを鍛えるのは、秋重コミカライズ第一弾「レボリューションNo.3」で主役だったゾンビーズ。その武闘派・朴舜臣(在日朝鮮人です)がオッサンとマンツーマンで鍛える。まー、映画だと、岡田准一クンがやるようですがねー。

・いや、作画のほうもね、「レボリューションNo.3」よりもマイルドな舜臣になってるのねー。岡田クンがやる映画版のほうに、ややおもねってる感じですかね。

・とてもいい感じです。例によって原作は読んでませんが、前作はコミックも原作も体験済みですが、それらより数段いい感じです。原作もコミカライズもどっちもよくなったからいいんでしょうね。

・47歳のオッサンである鈴木一と高校生ながら数え切れないくらいの修羅場を潜り抜けてきた舜臣との師弟関係が徐々に友情のようなものになっていく感じ。「夏」を感じる秋重描写のさわやかなこと。あくまでテンポよく、なおかつ、無駄なく、進行していきます。

・上巻ラストページでちょっとグッときてしまいました。そして、下巻では闘うのでしょうね。

・楽しみです。むしろ映画をみにいきたいくらい。岡田クンでもこの際目をつぶろう。
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「はたらくカッパ」逆柱いみり(青林工藝舎)

・これは、前作「赤タイツ男」より前に描かれたものかしら? 奥付をみると2001年に発表されたものらしいが。

・そう思う最大の根拠が女性描写ですね。昔の逆柱いみり氏のマンガに登場していた女性が主役です。そして、最近作ではもれなく登場してるネコカッパ。

・仕事の面接にいった彼女がひょんなことからネコカッパの海賊団の潜水艦に捕らえられました。そして、そこで炊事係として暮らしてます。ある土地に上陸しました。そして、食材を買いに行きました。そういう波乱万丈の物語です。

・物語の最初の1/3は海底冒険みたいでしたが、後半は「いつもの」やつでした。市場でこんにゃくみたいな顔色の男と、ヘビヤクザに追いまわされて、あとはパノラマ絵巻チックに展開です。
・ただ、今回は動きが大きいですね。そういや、名作「ケキャール社顛末記」はこれよりも動いてましたね。というか、こっちの流れのほうが合ってるかな。ちなみに「毛蛙」で「ケキャール」と呼ぶことを本作で知りました。

・なるほど、「赤タイツ男」での熟成に比べると青さがあります。なんていうか、いろいろとネームで説明したり、動きがあったりね。ただ、当初のシベリアっぽい寒々とした情景描写とか、マグロのようなデカイ魚が上から、断崖絶壁のガケにスベリ落ちていく坂道、軍艦や潜水艦でのアクションシーンなど、珍しい見所も多いので楽しかったです。昨今の「いみり観光」は南国や南国風のヘルスセンターが多いですしねえ。

・楽しかったです。おれにとっては「るるぶ」を読んだりするのに似てるかもしれないです。
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2005年/5月/9日
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「ビジュアル探偵明智クン!!」1巻 阿部川キネコ(芳文社)

・以前「鬼堂龍太郎・その生き様」1巻 田中圭一(集英社)の感想を書いたときに、今時代は「下品」にきてる?と推測したがどうやら確信したぜ。時代は「下品」だ。

・というと、本編の主人公・明智クンはメソメソと泣きそうですね。彼は下品というより気持ち悪いんですね。作者もそのように描いてるつもりだそうですし、トモダチのふくやまけいこ氏もキモチ悪いと太鼓判。ただ、オビの桑田乃梨子氏だけが絶賛だそうです。

・すぐに脱ぎたがるビジュアル探偵の明智クンと、彼を殴るために存在する助手のみっちょんが展開する探偵4コマです。

・まあ、ほかにも気持ち悪い探偵ばかり登場するので、みっちょんは殴りっぱなしです。身体は大人、心は子供の探偵とかね。

・で、怪盗に宝石を盗まれないようにニセモノとすりかえておいて、ホンモノはまたぐらに保管して「とれるものならとってみなさい!」みたいなネタがつづれおりのバカ4コマです。

・いやあ、時代でしょうね。もともと、かなり長期にわたって連載されているので、昨今の下品ブーム(おれ内だけじゃないでしょ?)に安易に乗ったんじゃないんですが、今、まさに、時代は「下品」ですから!

・ただ、4コマとしては、キツイというか、普通のギャグマンガで展開するネタだろ?ってのが多かったですね。明智クンの好きな下品ギャグマンガ(うんころベエ)のマンガ家のマンガ内マンガとかさ。シューベルトの「魔王」をパーティーで熱唱する明智クンとか。

・下品パワーじゃあ田中圭一氏には遠く及びませんが、さすが、「〜萌えろ!杜の宮高校マンガ研究部〜辣菲の皮」の人だなあ。まとめ方が上手いです。キャラのたて方、ときおり挿入されるマニアックなネタなど、やっぱり上手い人だよなあ。マンガ巧者って感じですよ。

・意外と女子はガーンとツボの方がいるんじゃないかなあ。だから、奥さん爆笑するかと思って渡したけどあまり反応はよくなかった。下品だからイヤってことじゃなくて、「普通におもしろい」んだそうです。

・んー、女子にガーンとくると思うのです。って根拠は、マヤミネオの作品がウケてるからってことだけかもしれない。すぐに脱ぎたがるきゃしゃな気持ち悪い男子が登場するマンガが好きな方はいいですよ。

・2巻が楽しみです。2巻が出るころ、「下品」ブームが終ってたとして、本作品はどのように感じるのかわからないからです。
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2005年/5月/6日
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「ウチら陽気なシンデレラ」3巻 真田ぽーりん(少年画報社)

・うう? 非常におもしろいのだが。
・それこそ、これまでの、本作。KRCOMICSでの「なんちゃってアーティスト」なんかに比べても、「みちがえるくらい」とカンムリをつけてもいいくらいおもしろかった。

・たぶん、おれの心境の変化ってのがもっとも大きいのかと思うですが、それ以外になんか理由があるか探ってみて、それを感想にかえさせていただきますよ。

・4人の娘さんたち(全員成人女性)とオッサンが働いてる掃除会社の4コママンガです。ナイスバディにロリ、清楚にはガサツと4人キャラがたっております。彼女らをメインとして話が進行していきます。

・3巻では、ストーリーと構成に変化が見受けられます。ストーリーとしては、これまでずっとテナントビルにいたのが、不景気のあおりを受けて、いろいろなところで仕事をするって展開になり、デパートとか、マンションとかね。ここいらはちゃんとその場その場での特長やネタがありますね。それがまた新鮮。そして、それで古巣のテナントビルに久しぶりに帰ってくるってネタも新鮮。
・そして、構成。いわゆるヴィジュアル4コマチックな、4コマで軽くストーリーがつづき、4コマの枠を超えた大ゴマ展開が後半にはちょこちょこ見受けられました。もともと、しっかりした画力の方ですので、それがうまく決まります。しかも、やや「おずおず」といった感じで、「いい?」って探りつつおしとやかにやってるのがいい。なんか、ページめくって1ページドーンみたいな「雑」なやつじゃないの。えーと、後半の「幕張サボテンキャンパス/みずしな孝之」みたいのがその悪い例。

・あとは線の思い切りがよくなったですかね。キャラがさらに前面にきたような。かんたんに線が太くなったってことなのかな。でも、より、「生きてる」感じはしました。実はこれが一番かしら。

・従来どおり、特殊なネタ視点も健在だし、上記の変化がいい具合に作用してますね。とくに舞台の変化が大きいかな。虫と鳥のネタやら、ベテラン掃除オバチャンの思い切りのよさ、コスプレネタなど、バラエティに富んでいたね。ただ、わからないのやら、わかりにくいのも相変わらずちらほらありましたけど。

・そうなんだな。全体的にテコ入れされてるんだなあ。1,2巻までが「1」だとしたら3巻から「2」になったような。えーと、ゲームとかの感じね。ドラクエの1と2の差というか。

・ということでとてもおもしろく感じたのですね。「萌え」からは遠いのに、萌えの文法でいて、なおかつ、そこいらの萌えよりはおれは断然おもしろい。当然萌えないけど。ぶっちゃけると、「萌え」と「おもしろ」だったら、考えて考えて後者を取るおいらですだよ。

・とかいって、これは純粋に4コマのおもしろさともちょっとちがうよなあ。んー。ただおもしろいのはまちがいないんですよ。やっぱキャラ萌えがあるんかなあ。アケミさんのドッジボール2個みたいなオッパイとか。まあ、3巻ではりなってロリキャラが光ってましたけどね。

・んー? オススメ
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2005年/5月/4日
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「いい電子」5巻 みずしな孝之(エンターブレイン)

・女の子描写がドンドンよくなるけど、ほかはどんどんつまらなくなりますねえのしなっち新刊。もう、おれ的には、芳文社のKRCOMICSクラスですよ。

・えーと、ゲーム雑誌に連載してるエッセイコミックってあたりですが、なんつーかな、実に「ファミ通」なマンガですね。そして、おれがファミ通の購読を止めたのはこの湯加減だとカゼをひいてしまいそうだからだったんだよなと思い当たりました。
・ただ、おれ的には、みずしな孝之=幕張サボテンキャンパスで、その1巻目あたりからつきあってるのですが、基本的に、みずしな氏は芸風作風を変えてませんよ。「移ろい行く」というのがベースにあるみたいで、軸がブレまくってるのがみずしな氏の特長ですよ。

・この作品の刊行スパンは1年1冊ってことになってますが、その1巻の間にもいろいろと画風や作風やギャグ質などが変化してます。ただ、それを通しての感想は1行目なんですけどね。松村天ちゅう紅やら滝沢クリスタルがカワイイわ。

・んー、まあ、もはやこれ以外のみずしな作品の興味はナッシングもいいところだし、年1だからまた買うと思いますが、どうなんでしょう? 舞台とかやるのも大事ですが、私生活のほうでの冒険じゃなくて、マンガのほうでの大きな冒険、たとえばストーリーマンガとか、を描かれてみてはいかがでしょうか? それならおれは読んでみたいな。あるいは正面きっての萌え4コマとか。
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「ドーナツブックス」38巻 いしいひさいち(双葉社)

・もしかして、おれがもっとも長期にわたり買ってるマンガかもしれないなあ。1巻って1983年に発売されてるし、安かったってことでそのまま買い続けて20年以上ということですよ。すげえなあ。

・で、最近はわりに刊行ペースがゆったりしてて(だいたい双葉社自体が不安定でしたからね)、しばらくぶりのシリーズでしたね。
「選集」ということで、実はいしいひさいちに関してはこれだけでいいんですよね。ジャストこれだけ。ほぼ網羅でございます。

・最近は、朝日新聞の「ののちゃん」関連のいしいひさいちばかり読んでいたので、本作である遠慮のない毒がとても新鮮でおもしろかったです。とくに「金正男の世界の街角から」はとてもよかったし、その母体である「PNN(ぽっきりニュースネットワーク)」シリーズもとてもいいです。

・あと、「おれおれ詐欺」ネタの女子高生の描き方、突如あったオチはあいまいでしたがフィルムノワールのような質感を持ったタッチでの4コマ(白と黒の描写が極端にデフォルメしたような感じな)もあったり、あらゆるところでアグレッシブに変化や実験やトライされてます。すげえことだよなあ。ほとんど、「バイトくん」とかのころからすると、おれが生まれるあたりからマンガ家って世界ですからねえ。それよりもキャリアのあるマンガ家さんも多いですけど、いしい氏ほどアグレッシブに展開されているのは類をみないですね。

・そして、たぶん、恐ろしいことですが、この「ドーナツブックス」の1巻から4コママンガにおいてトータルランキング首位はゆらいでないような気がします。そのときどきに売上や知名度で負けたりはあるけど、いろいろな要素をリストアップした総合得点ではもう22年間1位の座を守り続けてるような気がします。ものすごいシュプールを描いたスベリ具合でしたが、近年映画化された4コママンガ原作ってのもいしいひさいちの「ホーホケキョとなりの山田くん」くらいじゃないかい?

・ということで、このバイタリティとモチベーションがどこからきてるのかそういうことを知りたいと思ったですよ。でも、めったにインタビューとか受けないそうでねえ。謎に包まれた人物だそうで。

・あきらかな指針です。4コマを描く人は、いしいひさいちという北極星が天に瞬いてることに感謝しつつも、自分の位置を確認しながら4コマの大海に帆を張って進むことができるのですよ。おれって詩人すぎ。
(13:57:25)amazon

「ご町内回覧板」横山えいじ(イーグルコミックス)

・実はベテランなんですよねえ。寡作な方であまり作品を発表してませんが。

・で、SFマガジンとか、ハヤカワ文庫のカバーとかしてるので、SFモノにはナジミの多い方という位置付けでしょうか。星雲賞もとっておられますしね。

・だけど、そろそろだれかはっきりと「そんなおもしろくない」ってことを声高にいう人がでてきてもいいんじゃないかなあ。

「いや、おれは好きだけどね」ってつけくわえたくなる作家ではあるんですよね。その洗練された絵と、SFモノの目じりを下げさせるネタなんかがねえ。

・で、本作はその「SF」が非常に薄味ですので、本来の「そんなおもしろくない」度がかなり高いのですね。
・回覧板がある日常というのをインフレーションさせて生まれる「ご町内回覧板」。おかしな町内の住民コレクションな「ご町内の皆サマ」(実はこっちのほうがページ数が多い)というものです。

・ヤクザの家に回覧板がまわってくる。そこに手入れに入った刑事が回覧板をもらいうける。
・回覧板に連載してる小説家に小説を取り立てるけど、別の町内会は4コママンガの連載をはじめるために、マンガ家を確保するために小説家をほおっていってしまう。
・誘拐犯が誘拐した家に脅迫電話のかわりに回覧板をよこす。

・まあ、そういった感じです。どうです?昨今のカルシウムが欠乏してる若者には、「流動食かよ」って感じがするでしょ?

・品がいいけど味がしない精進料理的な味わい。でも、これがスキってことはつまりおれもまだSFモノってことなのかしらねえ。
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「撲殺天使ドクロちゃん」1巻 おかゆまさき&桜瀬みつな(メディアワークス)

・なんだこりゃ。
・よくわからんのです。ライノベのコミカライズというところでしょうか。

・で、絵がねえ、ちょっとすごかったね。20歳の娘さんで、原作の方も胸の開いた服を着ていたとかそういうことを一生懸命書いておられたことからもちょっとどれくらいすごい絵かおわかりいただけるのではと思いますが、そんな絵なのに連載するだけの力があるような気がしますですよ。

・さえない学生さんの机から天使が現れました。天使は現れるなり、トゲ付きの鉄棒で学生さんをミンチにしましたが、次の瞬間呪文を唱えたら元に戻りました。そういうマンガです。

・いやまあそれってひょっとして映画館のイスのつもり? ってな描いてあるものをこっちでかなり補完しなければならないのが多いですね。ジャスト絵が下手。横山えいじ氏の対極に位置する感じですか。

・ただ、なんかエロいんですよ。これがポイント高い。一応、ドクロちゃんはナイスバディの設定ですが、男性が描くところの盛りが多目の具沢山って感じじゃないナイスバディなんですよ。
・まあ、エロ=画力じゃないですわな。これはマンガの神秘なところですよ。
・と、そういうのを目当てにみてもらわれるとおれは詐欺になるんで、あくまで刺し身ツマ程度に。基本はド下手な絵ですから。

・しかし、本作のような、どこにでもどういう風にも受けられるマンガって多くなりましたね。とりあえず、キャラを並べて、それを読者に覚えてもらってから、「じゃあどうしよう?」って読者の動向をみながら決めるようなマンガ。いや、もともとはそれだったんですけど、それがよりロコツになったというかね。使うのか使わないのかわからない設定をたくさん出して、挙句に「片付けられない女」状態ですよ。そんなマンガばかりだよ。あっちもこっちもゴミ屋敷だ。

・と、本作はどうなるんでしょう? 次まで様子をみたいです。
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「とうとうロボが来た!」Q.B.B.(幻冬舎文庫)

・2000年に出ていた青林堂版に特別編を収録した完全版です。おれはこの前に出たバージョンを持っていたのでかなり新鮮に読むことができて幸せでした。

・名作です。それこそ子や孫に語り継いでいきたいレベルのものです。

・小学生の新吉の波乱万丈の物語です。イタズラばかりしている新吉は、ある日友達が犬を飼っているのをみてとても犬が欲しくなりましたが、マンション住まいなのでムリです。そんなところに父親の転勤の話がきました。新吉も転校です。福島に転校するのです。だから、犬も飼えることになりそうです。さて、どうなるどうなる?といった話です。
・これが、かなり意外ですが、本当に波乱万丈にダイナミックに展開していきます。もちろん、話のスケールってことではあまり大きくありません。でも、ハラハラドキドキですよ。

・カバー裏のあらすじにも、BOSE(スチャダラパー)氏の解説も、新吉のやんちゃ坊主っぷりを絶賛してますが、「物語」感も相当なものがあります。引越しのとき、新吉のトモダチが見送るために、新吉の乗ったタクシーを必死で追うシーンなんかはスゴイですよ。

・それで、Q.B.B.のすごいのはキャラの目線や思考や行動がキャラの年齢のそれってことなんですよね。これはまあBOSE氏も解説で書いておられますが、様々な立場の人が「わかる!」となるのは、様々な立場の人が新吉の年齢だったことがあるというのが理由です。その当時、なにを考えてなにを喋ってなにをやっていたかを忠実に再現してるから「わかる!」ってことになるんですよ。これはできそうでできないところで、たとえば、「ちびまる子ちゃん」のまる子は当時の小学生であり、さくらももこの分身でもあるけど、同時に「現在」のさくらももこの視点も担ってるんですよね。そうすることで、ちがった効果も生まれるので一概にバカにしたものではありません。ただし、本作品では、小学生目線100%です。それを捕らえてるカメラは大人のそれですけど、中での新吉はジャスト小学生です。そして、ほぼ新吉の主観で物語は展開します。それがとても「わかる!」ってことになると思うのです。

・Q.B.B.は久住昌之氏と久住卓也氏の兄弟ユニットです。このサジ加減は兄弟だからこそできたことだろうなあと思います。「3大特別付録マンガ」ではその2人の幼いころと思しき話が展開されてますしね。その感覚をいつまでも忘れずに持ってるQ.B.B.がすばらしいんですね。わが国の宝ですよ。

・ラストの胸がすく感じ、鼻の奥がツーンとなる感じ。オススメ
(20:29:08)amazon

2005年/5月/3日
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「夜ニモマケズ」2巻 マジコ!(角川書店)

・絵が好きなので買いました1巻でした。
・で、完結巻でした。絵がやっぱりいいわあ。

・ビンボー兄妹がいました。学校に住み込みで働くことになりました。ところがその学校の夜間部は人間以外が通いにくる魔界の学校だったのです。という設定はわりとぶっ飛んだまま2巻は駆け抜けて、完結しましたよ。

・最近、ちょこちょこみかけるハイテンションでキャラクターが突っ走っていくタイプのラブコメで気が抜くとすぐデフォルメやSD化してしまう1コマごとにキャラの絵やタッチが変わるようなタイプでひたすらにぎやかしく芸能人かくし芸大会のようにドンドンパフパフしてるタイプのマンガです。少女マンガで多いかしらね。桑田乃梨子氏、私屋カヲル氏など、もっと適当なたとえがありそうな気もするんですけど、そういう感じでいきます。

・で、特筆すべきは絵ですよね。繊細でいて簡潔な線。そして神経質で丁寧な仕上げ。主人公の女の子の「少女!」ってエロさのない線が逆にいい感じでさ。
・それでトータルの品位をかなり底上げしてる感じ。すべりがちなギャグや、絵的じゃなくて話的にわかりにくい構成や展開をかなりフォローしてます。

・次回は魔界とかいろいろといれないでもっとシンプルな話にするか(芸風や画風はこのままでサイコーです)、原作をつけると、絵のすばらしさが生きるんじゃないでしょうかねえ。がんばってください。萌え系青年誌でも通用すると思いますので、「この原作に絵をつけてくれる人がいないかにゃー」って編集の人はチェキだ。

・作者の名前は覚えておこっと。
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「SOUL EATER」3巻 大久保篤(スクウエアエニックス)

・ファンタジー+ヤンキーバトルってラインで落ち着いたのかしら。ボク的にはとても大事なオッパイがかなり激減の3巻ですので評価も激減です。
・個人的にはオッパイを描く力がある人はもっとオッパイを描くといいんじゃないかと思うのですよ。それこそ、今、流行してる言葉でいうと「もったいないおばけ」が出るですよ。

・とはいえ、3巻にして超王道のメジャー路線をひた走ってます。「武器」と「使い手」の「コンビ」が魔女を倒して魂を食べるって話でしたっけ? そういうのから、徐々に逸脱して、いつしかちがう敵と戦うようになってきてますし、当初、どう転んでも血なまぐさい展開になりそうなのが、あんまり残虐な展開にならずに、なおかつオッパイがすくなく展開してますよ。

・とても上手な絵と、いろいろなところからの「ええとこどり」な世界観が相互作用で、「SOUL EATER」な世界を作り出してます。
・ただ、その独自な価値観なために、スゴイことがもうひとつこっちに親身になって伝わらないんですよね。それはカレの絵をもってしてもダメです。それがよくわかる本書でしかみない造語「虫酸ダッシュ」ってのに凝縮して現れてます。
・伊集院光氏が「ヴィクトリーニュー太郎」とか「江サマー」「でくのバー」などというのに似てる「虫酸ダッシュ」ですが、それがハマるかハマらないかってのは感性のちがいもありますし、どこかしらで経験値不足が作用してるのかしら?と思ったりします。なんか、スベりがちな感触が。あとオッパイも不足ね。だって、しょうがないじゃないか。オッパイがみたくて買いはじめたなんだからさ。矢口真里が好きだからモーニング娘。のファンだった人が、彼女が脱退した今どうよ?って話じゃないですか。

・いや。実際問題オッパイ抜きでもおもしろいんだけどね。すごい人気があるっていわれると「そうかもしんまい」と古いギャグをぶちかます用意もありますよ。

・だけど、おれは4巻以降未定です。買わない度80%ってところです。
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「刑事でポン」池上正人(宙出版)

・惜しいマンガだよなあと思いました。例によってまったく前知識なくカンで買ってみました。「スーパーバイオレンスハードボイルドギャグ」「業界初?」というオビのコピーに気をとられました。

・惜しいのはギャグのキレに画力がついていってないところです。とくに序盤はキツいものがあります。
・やっぱ世の中で大事なのはバランスと調和ってことでね。マンガでいうと話と絵のバランスってのはやっぱり取られてないとダメなんですよね。これがどっちかだけぬきんでるとやっぱりチグハグしたものになりますからね。アンガールズのネタをドランクドラゴンがやってもあまりおかしくないじゃないですか。
・というか、本作の場合、かなり素で、普通に、「ここはもっと上手い絵だともっと笑えるのになあ」って思うところが多いのですよ。あるいは、絵がアレすぎてギャグとして成立してないのもあります。サイコロトークネタのサイコロがカドにささって止まるってのはわかりにくいことこの上なしです。

・ヘッポコ刑事ギャグが超基本なんですけどね。だから、死んだりとかいうネタが多いですね。やっぱり、刑事ギャグってのは不謹慎だから笑えるのでしょうかね。ブリティッシュ刑事の位牌ネタなんかはかなりおかしかったです。

・そう、そして、ギャグのキレも絵のキレもすごい勢いで向上していきます。6話目くらいからはとても決まるようになってきます。アンガールズがジャガジャガジャガジャガ〜のネタをやってるイキオイです。あと、どんどんナンデモアリになってきます。

・そのギャグは昔ながらの「思いついたので入れてみました」とばかりのギュウギュウな感じです。圧縮ギャグとでもいうのでしょうか。大昔の少年誌で描いていたとり・みき氏のがそのパターンです。ギャグの種類はちがいますけど。ああ、少年誌でたとえると「サンデー」といったノリかなあ。まあ、大昔のね。

・ちなみに作者と「コミックビーム」でおなじみの元祖自虐マンガ家の金平守人氏とは知り合いのようです。宙出版のマンガ家と金平氏はもれなく知り合いか?

・そして、2ちゃんねるネタの多さ。ふと思いました。昔のギャグマンガ家はそのネタ元にテレビを多く用いましたし、未だに、そうしてる方も多いです。そのノリで、今は2ちゃんねるなのかなと。

・惜しいよなあ。
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「赤いアホ汁」ピョコタン(三才ブックス)

「緑のアホ汁」と2冊、全世界同時発売だそうですが、赤は突撃レポートマンガ集です。

・なんか思うところがあって名著「アホ汁」を買ったのはいつのころからだろうか。ピョコタンは大きく分けて2種類の芸風があり、本作のレポートマンガと、いわゆるギャグマンガです。「アホ汁」「超アホ汁」なんかはそれらが混在してますし、小学館から出たのはギャグマンガだけかと思います。

・同じ作家の作品なのにこれほど評価に差が出るのは珍しいですが、おれは、レポートマンガは大好きで、普通のギャグマンガは凡庸以下といったところです。

・日本一不味いラーメン屋「彦龍」のオヤジとナカヨシになるほど通ってみたり(後でサイトまで作ってます)、コンビニでパンツや雑誌を温めてもらったりと、その視点と突撃っぷりには感動したものですが、本作でもそれはかなり有効です。

・あやしげな絵画を売りつけるギャラリーに潜入してみたり、タマちゃんと仲良くなるために荒川で泳いでみたり(あの騒動の最中に)、現在は閉鎖された日暮里の駄菓子問屋(いってみたかったなあ)にいったり、コンビニで1泊してみたり、「笑っていいとも」に出演したり(ちゃんと出演してます)、東大生の部屋をリフォームしたり、そういうマンガです。

・サイコーです。しかもオールカラーです。写真などの図版が非常に豊富なので倍率ドンでサイコーです。本当に、このアホな突撃の数々をやっているという証拠にもなってます。

・ただ、毎月の突撃レポートにムラはありますねえ。「お手軽」までいいませんが、イマイチなのも多いです。でも、トータルですばらしいものです。
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「緑のアホ汁」ピョコタン(三才ブックス)

「赤いアホ汁」と2冊、全世界同時発売だそうですが、緑はギャグマンガ集です。

・買うときも考えたんですよね。おれはピョコタン氏のギャグマンガを全然評価してないので。でも、赤と緑で対になってるし、買っておかないと!って思ったし、もしかしたらおれにも面白く感じるようになってるかと思ったので買いました。冒険しましたよ1000円。

「モーニング」「週刊少年サンデー」「毎日中学生新聞」などと、かなりメジャーにも描いてらっしゃるピョコタン氏ですよ。それぞれあまり縁がないみたいですが。

・これがどうでしょう? おおひなたごうのラインが近いのかしら。意外に下ネタがないしなあ。コッたネタ、ひねったネタがあるんですよ。でも、ぶっちゃけ「シーン」と。不条理と、幼児がまざってる感じはおれに合わないんですかね。

・しかし、最後にあったギターを弾くとウンコが出る病気に侵された男の物語「ギターウンコ」の衝撃的なラストはちょっとよかったなあ。まったく予測不可能でしたし。
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2005年/5月/2日
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「先生がいっぱい」3巻 安田弘之(小学館)

・最終巻の「生徒そっちのけ学園マンガ!!」ですが、この最終話、サイコーでしたね。かなりいろいろなものをちょうだいしました。「安田さん、ありがとう!」って、かけよって握手を求めたい感じですよ。

・と、この「サイコー」はかなりパーソナルな部分が大きいので後回しにしまして、3巻全体の感想というラインから向かいたい。

・先生という「職場」で展開するいろいろな話です。だから、生徒は「取り扱い商品」でもあるわけですね。「先生」版「ショムニ」(江角マキコ主演でテレビドラマ化もしましたね。高島礼子主演で映画化もしてますが)という見方もアリですね。

・メインで登場する女性が3人なんだけど、こいつら揃いも揃ってサドなんですね。考えてみれば「人にものを教える=教育」なんて不遜なことをしたがるやつがマゾなワケがないんだね。だから、非常に理に適ってるかな。まあ、それだけじゃないんですが。
・で、主人公の熱血若手男性教師が先生方や生徒に振り回されてヘロヘロになるさまを笑ってみる学園マンガです。これが基本でしょうね。

・で、まあ、ドロドロまでいかない「ドロッ」とした人間関係も描かれていたりねえ。

・1巻では化学の元ヤン先生(美女)、2巻では主人公で現国のトカチン、で、3巻では音楽教師で奥が深くて2重構造になってる(ものすげえ裏表があるってことです)マドンナ先生がわりにフィーチャーされていたかしら。

・で、最終話ですよ。熱血先生のなれの果てみたいに「時は過ぎて」オチな最終話なんですが、これがしみたね。というか、ガキの年齢で逆算すると、おれとトカチンは同い年なんですよね。
・まあ、ぶっちゃけ、「長いものにまかれ、なぁなぁでオッサンになるってのも悪くない」というオチなんですが、いや、このメッセージはなんかありがたかったです。
・だけど、そう思える人はどれくらいいるのかわかりません。だから、「パーソナル」としました。ただ、ピンとこなかったヤングはこのメッセージがいつかすくいになるときがくるかもしれないので、3巻だけでもいいから持っておいてみよう。そして10歳オッサン(オバハン)になるたびに読み返してみよう。ある日、本作のメッセージを読み取るときがくるかもしれない。こないかもしれないけど。
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「π パイ」9巻 古屋兎丸(小学館)

・最終巻です。もしかしたら最後までオビがあったのでは? ということでオッパイマンガも大団円ですね。最後にでてきた某国の王様はここ10年でもっとも世界中のあらゆる媒体でキャラクター化された人物だったりしてねえ。

・オッパイに魅せられた男がそのために命を削るマンガですね。

・いろいろと複雑な構成やら構造でありながらオッパイを中心としたエンターテインメントが展開されており、実は普通に古屋兎丸氏の最長作であり、なおかつ、最高傑作だったりするんじゃないかい?

・ということで、王道でありながら実験。王道でありながらパロディ。王道でありながらメタ。実にまわりくどいボーイ・ミーツ・ガールだったりするのかもしれない。

・まあ、うまく着地した感ありだし、もしかしたら、エッチなラブコメの歴史を上書きしたかもしれないですよ。さすが、最後までオビがあっただけあるなあ。
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「風雲児たち 幕末編」6巻 みなもと太郎(リイド社)

・ということで、なにげに佳境になってるんですかいの。日本歴史大河ギャグマンガですが。幕末編になったらギャグは控えるようになりましたよね。

・6巻では吉田寅次郎がペリーの船に乗り込んで直談判したり、そのとばっちりで佐久間象山が幽閉されたり、坂本龍馬が苦悩したりしてますよ。幕末っぽいですよ。

・もともと幕末編が本道だったそうですが、ややテンポがゆったりしてきてるような気がします。腰を据えた展開というとホメコトバになりますが、以前のようにぎゅうぎゅうにつまった内容が繰り広げられるという、頭の中でフトン圧縮袋が割れてプクーっとふくらんでいくような感じはなくなったね。あまりの情報量に目がくらむ感覚ね。そのかわりドラマチックになった感じか。坂本龍馬と岡田以蔵とのヤリトリとかな。
・この前作品にあたる「風雲児たち」をおれはリイド社からつい先日まで刊行されていた豪華版で買っていたのですが、みなもと氏は「世につれ」る方でして、根本はともかくマンガに関する技法はかなり変化しておられます。そのからみで、21世紀のみなもと太郎スタイルということになるのでしょうね。

・一番重要な共通点である「おもしろい」は変わらないです。よかったよかった。みなもと太郎氏が10人くらいいて縄文時代から第二次世界大戦くらいまでの歴史を全部マンガにしてほしいものだなあ。
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2005年/5月/1日
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「瀬戸の花嫁」7巻 木村太彦(スクウエアエニックス)

・おや? 担当編集が替わったのでしょうか?

・人魚の娘が嫁にきた中学生ハーレムマンガです。

・木村太彦氏は本作でこれまで頻繁に使っていた「オタクギャグ」をやや封印気味にして、より万人ウケのするそれにシフトチェンジをはかっていたとおれは認識をしていたのですが、どうも、その揺れ戻しがあったのでは?と思われるんですね。

・まあ、ぶっちゃけ、オッサンらが娘の気持ちをわかるためにギャルゲーのキャラになるというネタで、シュワルッツネガーげな男がセーラー服キャラになったり(口癖は「はちゃー」)、顔に傷がある任侠の組長がネコミミだったり、渋い若頭が妹キャラだったりするというものです。
・まあ、ベタもベタだし、今となったら万人受けのギャグではありますし、少なくとも連載雑誌の読者なら全員がわかるでしょうや。
・ただ、なんつーか、「戻ったなあ」と思ったりもしましたし、それをオビにまで特記するほどのギャグかなあとは思いましたよ。

・個人的には、メガネをとったら美人の委員長が、メガネをとったままで主人公に告白したけど、近眼だから主人公の許婚のヒロインに告白してしまい、それをごまかすために逆ギレするってネタが最高でしたね。すげえ苦し紛れ。

・まあ、全体的には相変わらずおもしろいし、話を盛り上げて大ゴマのギャグで落とす技術が一段と向上してますね。
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「ギャラリーフェイク」32巻 細野不二彦(小学館)

・最終巻。長かったなあおい。けどおおむね最後までおもしろかったのはすごいことですよね。素直にゴクローサマということは最初に書いておくのが礼儀でしょう。長い間楽しませていただいたのですし。

・さて、分厚い32巻は久しぶりに大長編200p弱で最終エピソードを駆け抜けましたよ。読み応えがありました。しかも、最後のネタに相応しい「モナ・リザ」。しかも、最後だからか、これでもかこれでもかとネタを盛り込んでありましてね。昔は1エピソードに「これでもか」ってのは多かったですが、最近は1エピソード1ネタみたいなコンパクトにまとまっているのがメインになってましたしね。
・もちろん、細野氏が苦労して集めて、話に溶かし込んだネタを「へー」と読んですっと頭から忘れ去るという贅沢にもほどがある使用法なんですけどね。

・ただ、最後のエピソードは中途半端な大団円で、オールキャスト風でいて三田村館長すら話にからんでこないのが残念でしたよね。続編を狙ってるのかしら。純粋にエピソードのひとつとしてみるとすればかなり大きくて派手なネタだったですが。

・すでに期待しなくても「ダブルフェイス」とか「ヤミの乱波」とか、次回作も好調なのでなにも心配する必要がないですが、働きすぎとちがいますか?
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「ONE PEACE」37巻 尾田栄一郎(集英社)

・ンマー!どうなんでしょうね。
・だいたい全体的な流れとして長くなってます。まあ、それは基本的なパターンでもあるんですけどね。37巻の後半はほぼ回想シーンです。

・冗長ではない。どちらかというと過剰か。たとえるなら、ワープロソフトのフォントの多さみたいなもんかな。「そんないらねえし、一生使わない」と思わせるフォントとかあるじゃないですか。ただ、それを「いらない」と取るか「たくさんあっていい感じ」と取るかのちがいで評価が変わりますよ。まあ、おれは前者なんですがね。

・たとえばもっとすっきりするという選択肢は取れなかったのか? 海上を走る列車と船大工の島というエピソードは別々に展開できなかったのか? それとCP5(9)とのからみ。ニコロビンやウソップとのからみは同時進行の必要があったのか? ゴーイングメリー号は? イタズラに複雑にしただけではないのか? チビッコは理解できるのか? 様々な選択肢の中、もっとも欲張りなものを尾田氏はチョイスしたと思います。「仕事もキミもどちらも大事さ」ってかよ。

・ま、漢字2文字で37巻の感想を表すとするなら「煩雑」。ひらがな5文字なら「ややこしい」。富山県の方言だと「しょわしない」。
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「ラブロマ」4巻 とよ田みのる(講談社)

・4巻目ですよ。もともと、いつ終ってもいつまでも終らなくてもいいマンガとはいえすごいことです。しかも、生き馬の目を抜くのかどうか買わなくなって幾星霜の「アフタヌーン」に連載してますからね。どういう位置付けなのかはわからないんですが、ある程度浮いてる感じはします。あるいは、どの雑誌でも浮いてるか。

「なつかし新しい直球ラブコメ」だそうです。オビによると。

・3巻までで無敵のバカップルになったので、後は、イベントを差し込んでいけば、割合とキャラ力で進行しますし、それに新規キャラとの化学反応も豊富と、まあ、学園ラブコメの王道をひた走ってますよね。しかも、毎回いい場面をちゃんと用意してるんだ。

・かけひきと騙しのない直球カップルということで、ややもすると陳腐な展開になりますが、それがまんまと決まるんですよね。それが「コメ」の力ってことですかね。
・全校生徒の前で熱愛宣言したり、生徒会長に立候補したり、ヤキモチを焼く自分に自己嫌悪したりね。こういうのに、いちいち「ここまでいうか?」みたいな過剰なところが笑いになったり、感動につながったりする。このバランスが本作品のマネのできない秘密ってことでしょうね。

・あと、脇キャラもいい味を出してるね。この味の引き出し方がうまくなってきたなあ。4巻には脇をメインにした話もありましたしね。これからも単行本1巻に1本くらいの割合で混ぜていくと、作者のスキルアップにもつながるので、講談社のためにもなるので、編集はしのごのいわずにやらせてやれよ(コミックあとがきでいろいろあったことを知りました)。

・おれは相変わらず好きです。
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