→トップへ/→コミックインデックスへ

ポトチャリポラパ/コミック/2005年
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2005年/6月
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2005年/6月/28日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「げんしけん」6巻 木尾士目(講談社)

・限定版の豪華マンガ家参加による「同人誌」が話題になった6巻ですよ。
・そして、かなりピークげですよ。

・終わりが「ある」大学生オタクサークルマンガでぇございます。アニメ化もしてます。みてません。

・表紙もそうだったし、中身もかなりそうでした。6巻は荻上というオタク指数がかなり高いのに近親憎悪的にオタクヘイトしてて、なおかつ、マンガ描く腕ももってるオナゴがフィーチャーされてます。

・でも、おれは斑目に注目していきたい。

・同人誌で平野耕太氏が言及されてるとおり「1番の萌えキャラ」ですよ。「萌えキャラ」とくくるから微妙に思うのであって、1番ブルースを感じるキャラですよね。オタクの光と影の影を背負ってます。

・6巻収録の「フタリノセカイ」
・斑目はオタクだけど美形の男とつきあってる都合上サークルに出入りしてる非オタクの女子にホレとるのよ。だから、それぞれ抱えてるブルースの中でもせつないんですよ。斑目ほど、ほかは男女問題に揺れてないから。

・トモダチの彼女と2人で寿司を食うという話です。斑目は思い込んでいたかったのです。彼女はオタクとは無縁の、自分とはちがう星の人だと。だけどね、別に彼女だってゲームしたり、オタクの話がわかったりしますよ。長年オタクとつきあってるんだしね。つまり、ちがう星の人じゃないと。これにショックを受けるわけです。

・そして、ここいらの処理を読んで思い出します。ああ、おれは「げんしけん」以前の木尾士目のマンガがキライだったなあと。「五年生」とかね。これが「げんしけん」を経由したために読むことができるようになった。

・浅野いにお氏のマンガとちがうところは、そのときの表情をマンガチックでありながらも表現してるところです。ここが実は、「げんしけん」で最高にありがたいところです。
・騙されてコスプレさせられる荻上。変装してまでコミフェス初日で同人誌をあさってるところをみられたくなかったのにバレた荻上。おとなげなくわざとらしくあいさつする斑目を受ける春日部さん。

・そして、「フタリノセカイ」でも白眉なのはラストページの2人の表情です。2人で寿司を食べました。そして帰りの電車に乗ります。並んで立ってましたが、座席が空いたので、ひとくさりあり、斑目が座ることになりました。そのあとの2人の顔は絶品ですね。お互いに自分の位置関係を修正してる表情です。それは、知り合いがだれもいないときの「よそゆきの顔」であり、そのための安堵の顔であり、そして、お互いにあまり意識してないですが、「さびしい」という顔ですよ。この絶妙の距離感をみごとに描写してます。

・その斑目ほかのメンバーも卒業です。この先、どうなるんだろう?「究極超人あ〜る/ゆうきまさみ」のように、新キャラをどんどん投入しては旧キャラも別に減らないまま、ライフ・ゴーズ・オンな展開になるのかしら。

・ここまで書いたのを全部ナシとして、荻上萌えた!おれが本作を全肯定したのは荻上の存在があるからだ!ほかの女はいやや!荻上だけだ!サイコーサイコー! 7巻以降は主人公笹原とラブラブ展開になるんだろうか?

・あと冷静なツッコミ。この手のオタクマンガの最高にファンタジーなところは、登場女性キャラが全員美人ってことですよね。これがビックリするくらいそうだよな。ほかのジャンルのマンガに比べてもかなり美人率が高いような気がする。久我山みたいな女性のほうが本当は多いはずなのに。
(17:21:19)amazon

「ほっぷすてっぷじゃんぷッ!」6巻 岡田和人(秋田書店)

・すっかりヘヴィな展開になった6巻です。冒頭、ヒロインの親友がレイプされんだもんな。ヘヴィですよ。

・その後も、これまでのすちゃらかしたノリよりはやや重く進行してますね。

・カエルにかまれてカエルマンになった女子高の用務員の奮闘記ですが、カエルマンが2人になりましたし、いろいろと収拾がつかなくなってきてますね。

・そいで、すっかり乳首解禁になったので、下着のシワ描写が少なくなったかな。

・レイプした映像をケータイのムービーに撮ってSDカードで売るってのは、「今そうなの?」って感じがしておもしろいですが、SDカード代を入れるとソンじゃないかなと。

・7巻では活躍しそうな幼馴染の野球少年があまり好きになれないキャラです。
(17:38:15)amazon

「ダズハント」筒井哲也(スクウエアエニックス)

・伝説のWEBコミックの本邦初単行本化ですって。
・最近、金脈はWEBにあるんでしょうかね。

・おもしろかったです。なんつーか、1巻モノの見本のような完成度があります。本作をWEBで公開するって意味がよくわからなかったりするくらいです。

・前科もちということでイビられておもしろくない毎日。チャット仲間からおもしろいゲームがあると誘われる。それがダズハント。
・参加するとケータイとPDAと架空口座の貯金通帳。

・そして、ゲームがはじまるわけです。ゲームは加速して、思わぬ収束を向かえ、物語も終わると。

・ま、カバー裏にも書いてあることなんで、もうちょっと踏み込みますが、ゲーム参加者で殺し合うというものです。相手の番号を奪えばそれが賞金になる。それを繰り返すわけですね。そのストリートファイト描写と、物語自体の謎(誰が主催してる?等の)も込みで鮮やかですね。

・WEBコミックというと「SINK/いがらしみきお」なんかもありますが、どういう作画をされてるのかわかりませんが、やっぱりWEBでみたほうがしっくりきますね。とくにカップリングのオールカラーコミック「多重夢」なんか。

・あと、まあ、仕方ないのかな。事情はよくわかりませんが、「ダズハント」のような作品だったら、「絶対」、背景をきちんと描いたほうがおもしろいですよ。パチンコ屋の戦いなんかはとてもカッコよかったのですが、「あんたそりゃあパチンコ台なのかい?」って省略具合にややシラけました。うまく背景は省略してるほうなんですけどね。

http://www.h5.dion.ne.jp/~pn221/index.html

・ここで本作は読むことができます。

・名前は覚えておくべきでしょうね。「リセット」も機会があれば。でも、それよりもっと「本気」になったものが読みたいかな。
(18:30:59)amazon

「ジェノサイド」2巻 中島かずき&小林拓己(双葉社)

・かっこいい。久しぶりに豪胆な打ち切りをみたなあ。「サルまん」でネタにあった「巨人の星」が10週で終わったときのような清々しささえあるよ。
・と、書いたのは1巻を絶賛していたからだなあ。

・一応、あわててまとめようとはしてましたけど、こういうときスケールが大きい展開をしてるマンガは身動きがとりにくいわけで、結局、「未完」でしたよ。

・なにせ、真田十勇士と里見八犬士との戦いでしたのにメンバーがそろう前に終るんですからね。作者はいかほどの大河ドラマになることを予想されていたのだろう?

・まあ、終ってない以上はダメですよね。残念でした。

・打ち切りになったのは、「アクション」でやるには荒唐無稽すぎたせいなのかしら? 少年マンガチックすぎてね。あと、エロ忍法が少なかったのも残念でしたね。

・個人的には、仮にどこかでこのつづきが描かれても、もう読まないかもしれないなあ。なんとなく「あや」がついたというか。
(18:59:28)amazon

「ラブやん」5巻 田丸浩史(講談社)

・オビに書いてあったで、「そういわれてみれば」と思ったのですが、本作はニートとかひきこもりばかり総登場のダメ人間のマンガなんですが、「ニート」っていうのはちがう感じですよね。不思議なことに。
・あとは、世間一般的にいうところの「オタク」が総登場するんですが、それもたとえば「げんしけん」の彼らのような、質感がないですよ。げんしけんの男衆はバースデーパーティーもしないだろうし、そのプレゼント交換会にそろいもそろってオナホールってなことも絶対にしないでしょうしね。せいぜい、エロゲの貸し借りくらいで。

・で、実は、どっちが「現実」に近いんでしょうかね。オナホールを自分のチンポ好みにカスタマイズする不労の28歳はいそうですよね。本作の主人公カズフサはラブやんという恋のキューピッドにツッコまれてるからこそのボケキャラなんですけど、1人で淡々とオナホールのメンテをやってる図式は、とても笑えませんよね。

・んまー、そういう独身男子のワールドに女子らもシフトしてるのが、本作、女性キャラが多いわりに萌えないんだろうなあと思いますよ。でも、それがまたいいんですよ。田丸センセのマンガにはいつも濃厚な「漢」のニオイが漂ってこそですからね。

・ということで、珍しく、「漢」の世界が揺らぐような展開のまま5巻が終りました。モエチャンが好きな男子が、ちょっとアレで、着ているTシャツが「ふたりはきわきわ」ってのがややツボりました。

・しかし、どう終るのだろう?
(19:30:51)amazon

2005年/6月/27日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「焼きたて!! ジャぱんですよ!」18巻 橋口たかし(小学館)

・悪ノリここに極まれリな、パングルメマンガですね。ここまで悪ノリするとなにか別の意味すら生まれそうですよ。
・パンを作る。食べる。美味さを表現するために「リアクション」を取る。そのリアクションがどんどんバカで派手で大げさになっていき、ついに18巻には、「ごはんですよ!」をぬったトーストがあまりに美味かったので、タイトルまで変わってしまったということなんですよ。
・カバー裏のあらすじにも「権利関係的にもハラハラドキドキの第18巻発進」となってますよ。というか、桃屋には協力をとってますけど、それ以外にも鬼のようにいろいろな実在のものをパロディ化してて(しかも、いい意味でも悪い意味でもナンセンスなもの)「大丈夫か?」と心配してしまいますよ。アンパンマンやらペプシコーラやら島耕作やら。

・でもって、あきらかに作品の楽しみに組み込まれてますが、読者にも作者にも「これでいいのか?」と思ったりはします。次号への引きが食べたときじゃなく、料理の種明かしじゃなく、どういうリアクションをするか?ってことになってるのは、かなり「これでいいのか?」と思うのです。

・ここまでアホやってるからかえって痛快ってのと、アホかってのが微妙に行き来してます。今回の感じで企業協力地獄になると寿命を縮めることになりそうとも思います。
(08:40:08)amazon

「魁!!クロマティ高校」13巻 野中英次(講談社)

・13巻のサブタイトルは「打撃・走塁編」です。なんでもいいです。
・実写映画化決定です。表紙は実写映画でも好演されておられる(らしい)マスクド竹之内役の板尾創路センセです。
・アニメ化、ゲーム化につづいて実写映画化だそうです。でも、作者はアニメをみたことがないそうです。
・そして、本編はほぼ70%が相撲部編です。いっこも「打撃走塁」カンケイねえじゃん。というツッコミを改めてしてみたら新鮮かもしれません。

・あとは、まったくギャグのない、「最近のバラエティを斬る」みたいな作品もありましたね。てめえのアニメはみないけどバラエティはみてるのね。

・だから、ダメってことではないんですよ。どうして、それで一定量のおもしろさを確保できてるのかが謎に思うほどおもしろくはあります。ただ、フレディやゴリラの最初の登場ほどのインパクトはないなあとも思いますが。

・マンガ家さんの中には、全然マンガを読まない方がいらっしゃいます。中崎タツヤ氏とか。どうも野中氏もそんな感じだなあ。
(18:42:28)amazon

「俺フェチ いちごちゃん気をつけて!」1巻 桑原ひひひ(角川書店)

・んー? 別に「俺フェチ」にこだわる必要はないんじゃないか? まったく別物としての仕切りなおしですよ。

・中1女子が主人公のラブコメです。可憐な美少女なんですが、好きな人の前だと、ものすげえ怖い顔になるんですね。
・で、好きな人ができたのですが、どうしてもその人の前だとダメなので進展しないんですが、実は両思いなのです。でも、向こうも、自分の前だと怖い顔をしてる少女をみて「ダメかぁ」と思ってる。

・ラブコメじゃないですか。

・でも、ラブコメとはいいきれない不穏なテンションがあちこちで張り詰めてます。あ!これが「俺フェチ」を捨て切れなかったワケか。「スターウォーズ」のロボットといっしょで、あのなぞの生物も引き続き登場だし。

・ああ、あとがきでもあったように「男キャラ」ばかりなんですよね。主人公も担任の先生もみんな「男」なんですよ。あーと、ココロは男って感じで。

・あとはボインが登場してほしいくらいかな望みは。
(19:21:11)amazon

「ドリムゴード」4巻 中西達郎(マッグガーデン)

・ずーっと「ドリームゴード」だと思ってたよ。ごめんなさい。
・物語はいよいよ佳境に入りまして、次で終わりだそうです。
・ついにおれ的にはぶっちぎられた感じです。置いていかれました。もともと2巻くらいから怪しい感じでしたが。
・すべてに渡って突出したストーリーなんですね。架空の時、架空の町、架空の人々、と、とっかかりのないところではじまった群像劇です。なんとなく「バットマン」のいないゴッサムシティみたいなノリ(時代的にはずいぶん未来ですが)で、無敵のヒーローがいないところでの宝物探しの話。
・そして、謎だらけ。すべてにトリックが仕込んであるように謎また謎。で、いながら、横紙やぶりの展開や演出が随所にありまして、それでもエンターテインメントという、とてもよくわからない状態のまま話は進行していきます。

・本作は完結してからイッキに読んでみてどうだったって感じの本ですね。5巻なら読み返すのにやぶさかじゃない量ですし、浦沢直樹みたいに「直樹ちゃーん、もっとつづけようよ。あと、またキャバクラいく?」って後ろから編集長に肩をもまれながら延長延長また延長って展開でもなく終わりから逆算してあり、あまりムダのない展開ではあります。アホほど設定や外伝的な展開も全部込みで考えてるみたいですが。

・だからもうストーリーについて語るの放棄。

・1巻から読んでいて4巻になると、とても絵が進化してる気がします。とくに人物。1巻のときは背景がすごいスーパーアシスタントが描いた意欲作って感じでしたのが、人物もともなってきています。ただ、自信がついたためか、最初からの計算かわかりませんが、人物のバストショットなどのアップが目立つようになりましたね。

・ただ、すべてが詰め将棋のように進行してる本作において、この期に及んで人物を描こうとするのはあまり意味がないんじゃないかなと思ったりしましたよ。絵が進化とかいって、1巻のときの人物がひどかっただけで、やっとまともになってきたってだけの話だし。

・5巻までそろったら読み返してみよう。5冊、おれの部屋で探すのは1大プロジェクトだけど。
(19:54:23)amazon

「ふわふわ。」3巻 黒岩よしひろ(竹書房)

・現代を舞台としたくの一が登場するエロエロマンガは3巻にしてなんだこりゃ?な展開へと。

・今まで、守ってくれて、なおかつ、憎からず思っていたくの一がくの一であることを知り、この恋もウソだとショックを受けた主人公は会社も休みがちになり、公園でたそがれていると少女と出会って仲良くなるけど、それは敵の妹だった。

・なんだこりゃ?

・ま、その後も超展開が待ち構えてます。そして、エロもあります。エロ忍法もあります。ある点では、人間の想像力は無限の可能性があるという評価が可能です。

・今回は病弱な妹との淡い恋物語がメインだったので、エロ忍法が少なめだったのが残念でした。
(20:06:48)amazon

「ひかりのまち」浅野いにお(小学館)

・ああ、憎まれ口をきいちゃおうかな。

「ヴィレッジヴァンガードの店員にすげえ影響を与えてそうな作品」

・というか、実際、「浅野いにおを同じ時間に生きることができて幸せです」というポップとともに本作や、前作「素晴らしい世界」をプッシュしてました。
・あと、作者もファンも、フィッシュマンズ好きそー。今ならボノボとか?って感じの。サブカル大好きっ子御用達ってな感じがビンビンしましたよ。

・そんな「新世代読みきりシリーズ!」です。
・それを旧世代が読んで思ったことだよ!

・ひかりのまちと呼ばれるマンションがいっぱい建ってていっぱい人が住んでいるところで様々な人物に焦点をあわせる読みきり連作。というか、読みきれてない感じが濃厚だし。

・人が自殺する死に様を見届ける仕事をしてる少年。少年の好きな女は以前ストーカーにめった刺しにされた過去があり、日がな1日、そのストーカーがまたくるのをバス停で待っている。そして、そのストーカーはストーカーで事情があって、もう戻れない一歩を踏み出そうとしてるしって、微妙にゆるやかにルーズに、各話はリンクしていく。この「微妙」「ゆるやか」「ルーズ」な感じがヴィレッジバンガードの店員ほかの研ぎ澄まされたアンテナにヴィヴィッドに反応したワケっすよ。ヴィヴィヴィ婚ですよ。

・と、憎まれ口をきいた旧世代としては、実は、とてもおもしろかったのです。なんだそりゃとお思いでしょうが、旧世代特有のテレ隠しと思っていただいてファイナルアンサーです。

・前作「素晴らしい世界」よりは、かなりまとまりがあります。前作は2巻の後半から謎の奇病が蔓延みたいな、とってつけたような感じがどうにも気に入らなかった。

・課題として、そのときそのキャラはどんな顔してるのか?ってのをごまかさないで描くことができるような技術や才能や情熱を身につけることができるよう努力されるとさらによくなるんじゃないかなあと。
・あと、あいまいが多いね。様々な解釈を持たせたり、深読みを喚起させますが、おれは基本的にキライ。あいつはけっきょくどうなったの?って話ばかりでモヤモヤします。

・ここで、さらにとってつけたオッサンみたいなことをいって締めます。

「ま、こういう風に苦言を呈したってことは、キミに期待してるからなんだよ」
(20:28:09)amazon

2005年/6月/20日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ネコネコパンチ!」大見武士(少年画報社)

・こう、長々とマンガを読んではサイト上で感想を垂れ流すなんてことを続けております。自サイト以外も含めると8年とかやってます。
・強気で断定的なジャイアン的な視点がウケてるのかもしれません。おれはあまり意識してないんですが、「自分勝手すぎ」みたいなことを2ちゃんねるで書かれたことがありますよ。

・基本的に、ヨソの感想サイトはほとんど参考にしてないし、交流もないネット内ニートっぷりなので、いわゆる世間一般の盛り上がりってのは、書店で推測するだけなんですよね。それにしても意味があることともあまり感じてないですし。
・そして、気になるのですね。そらまあ人間ですからね。自分の意見の正当性を求めたくもなるわけです。そんなジレンマの中、「コミック」はフゴフゴと書かれていくわけですよ。

・当サイトではおもしろいと思ったマンガには「オススメ」マークをつけております。大見武士氏の前作「ギリギリズム」はオススメをつけました。なんかずっと「よかったのかな?」と思ってました。正直ノーマークの作家さんをジャケ買いしたものだし、その後バカスカ売れたって噂もとんと聞かないしと。

・で、2作目ということになりますか。本作ですよ。

・ずっと落とされ続けていた上でやっと入ることができた就職先はキャットファイトのファイター職でした。ふぶきとつくしはタッグを組んで次々と襲い掛かる敵やエロエロなワナにどう立ち向かうのか?ってエロプロレスコメディマンガです。

・これが初の長編になるのかどうかわかりませんでしたけど、ひとつわかりました。前作をオススメしたワケです。今ごろですが、本作にも共通することですから書きます。

・大見氏作成のキャラは「人懐っこい」。もちろん、エロくみえるように描かれているのでそういうところは重要ですが、それを上回る愛嬌を感じます。とくに女性キャラってこともなく男性キャラも同様に愛嬌がある。なんやかやうまいこといって闘わせる社長やエロエロバンザイの社員に、いやだいやだいいながらもファイトに熱くなるふぶき&つくし。
・エロもそうだけど、妙なほのぼのやさわやかさも漂ってきて、やってることはアレなのになぜか非常にサッパリしてる後味なんですよね。まあ、エロ題材で抜いてもいないのに後味サッパリなのは是非があると思いますが、おれは是ですよ。

・と、書くとエロが弱いと思われるかもしれませんが、そういうことでもないです。ただ、「それ」しかないマンガとはちがうってことがいいたいだけで。

・さ、「ネコネコパンチ!」で検索され、当サイトにいらっしゃる方が多いです。なにを希望されているのかはわかりませんが、おもしろいので買えば? あと、当サイトもぜひお気にいれ。
オススメ
(17:56:15)amazon

「スパイシー・カフェ・ガール」深谷陽(宙出版)

・なぜに唐沢なをき氏がオビで絶賛してるのかが謎なんです。
・最近はどうなってるのかさっぱり謎ですが「コミックバンチ」で1話掲載され、そこそこ人気がありまた載せたら今度はダメだったというものに2話分描き下ろしてコミック化です。コミック完全版だそうです。

・アジア女性を描かせたら日本一の作者が日本を舞台に描いてる話です。
・求職中の主人公がふと立ち寄ったタイ料理の店がバカウマでそのまま働くことになる。料理人の寡黙なマスターと韓国人のウエイトレスに主人公。あるときウエイトレスが「デートしないか」と誘ってくる。

・そういう話からはじまり、アフガンから逃げてきた少女をかくまう話。3億円をめぐるロシア女性の話。そしてエンディングと。

・不思議な感触があります。日本にいながらにして国際色豊かに展開します。日本にみえないエスニック色があちこちにちりばめられてます。日本人以外が描いた日本みたいなワンクッションおいたような日本描写。
・それでいてかなり日本ぽくない話が進行しますからね。赤木圭一郎とか、小林旭、宍戸錠的な大昔の無国籍な映画の舞台みたいな感じもしますよね。
・そこでアクションも豊富、謎解きも、泣かせまである。「諸君、完璧ですよ、このマンガ!」と唐沢氏は書いてました。そこまでは大げさにしても、とっても大当たりのVシネマシリーズをみつけたといったニュアンスはあります。
・THE娯楽作。まあ、カタカナの「ゴラク」ってマンガっぽいニオイを感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そこいらはエスニックなアジアンテイストがニオイ消しになっており、品をかもし出しております。

・ということで、1100円+税以上の価値はかなりあります。オススメ
(19:00:09)amazon

「仮面のメイドガイ」1巻 赤衣丸歩郎(角川書店)

・大富豪の遺産相続権を持っているためにいつも刺客に命を狙われることになったパイオツのでかい女子高生が、弟と2人で住んでる家に、大富豪のじいちゃんからメイドが送られてきました。男と女ね。で、ボディガード兼メイドってことで、あと、オッパイボーンなどのドタバタギャグマンガです。

「ククク…さぁどうご奉仕してやろうか ご主人」

・こんな感じで、実は文武両道でスーパーメイドなんだけど、ややデリカシーに欠ける男メイドのコガラシとオッパイのでかい女子高生がモメてるのがメインですかね。

・1巻はわりと平穏学園生活だったと思います。体重が気になる主人公のダイエット作戦。ラブレターがくる話。

・そして、おれ的にとても斬新だったのが、テストの話です。主人公は剣道部でして、文武の武はすごいんですが、文のほうがからっきしのバカなんですよ。とくに数学。

「オッパイが大きい女は数学が苦手」

・この定義で押し切るですよ。つまり、なにをやっても勉強できない主人公がとった最後の手段はサラシを巻いて試験に臨むことです。オッパイが小さいと数学ができるってことで。こんなの今までみたことねえなあ。

・と、どんどんキャラに色がついて、すちゃらかになっていくサマがとても楽しいんですよ。あと1話の早い段階でシャワーシーンがあった主人公ですが、どう考えてもその後ぐんぐんオッパイが成長していきますよね。「頭の弱い巨乳美少女」ってキャラが立っていってますよ。

・主人公をはじめ女性キャラもとてもカワイイし。主線が太めの元気のいい絵は全体的におれの好みだし。いいですよ。

オススメ
(19:31:21)amazon

「西校ジャンバカ列伝 かほりさん」3巻 神原則夫(竹書房)

・正直買おうかどうしようか迷っていたのですね。だって、「モーニング」で短期連載されていたマンガがとてもつまらなかったので。
・だけど、「かほりさん」は別だろうということで買いました。別でした。作者本人に描いてる差はないのかもしれませんが別ではありますね。
・なーんか、おれは本作で啓蒙されるんですよ。「そうだったのか!」って世の理を垣間見たような気になるんですよ。

・すげえ命張って麻雀やってるおかっぱの女子高生かほりさんの登場する麻雀ギャグマンガです。

・はっきり書きますよ。ギャグマンガとしてはとてもダメです。笑えません。イマドキ?ってくらいの時事ネタ。しかも、使用法が昭和のときのまま。最近は時事ネタの足がむちゃくちゃ速いです。すぐに腐ります。そういった意味じゃ、鮮度No.1なのは雑誌掲載時という、その姿勢もイマドキ?って感じです。
・たとえば、麻雀で負けて殺した死体を鶏インフルエンザの死体に紛れさせて証拠隠滅とかね。

・そういうのはともかく。なんていうかな、かほりさんの「覚悟」ぶりに感動を覚えるわけです。麻雀にかなり覚悟してるんですよ。

・徳を下げたくないので、悪いことをしないという姿勢。徳が下がると配牌が悪くなり裏ドラが乗らなくなる。
・これには感銘を受けます。もう毎巻そんなことやってて毎巻感銘を受けてますがね。

・あと、3巻では、その人の人生の残り裏ドラがみえるって小学生がいるってネタがおもしろかったね。いいことするとカウントがあがり、逆は下がる。
・そのとおりです。そのとおりとかいいようがないと思うし、おれも徳を下げないようにしようと思います。

・女性キャラも増員されていい感じです。50歳の「フレッシュギャル」とか、援交やってるみどりとか、えりプロとかよかったねえ。味わいのある女性キャラですよね。そうなんだよな、それなりに絵も洗練されているんだもんなあ。

・ま、次は買いませんけど。なんか、かなりネタループしてるし。秋田市。
(22:34:48)amazon

2005年/6月/17日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ジオブリーダーズ」11巻 伊藤明弘(少年画報社)

・11巻より新装表紙ってことですが、なんかヘンだったな表紙絵。というかぶっちゃけ、伊藤氏のカラー原稿はいつもどこかヘンな気がするボクです。カラーだとヘンな人は多いので気にはしませんが。

・10巻では、はじめて主要メンバー(神楽内に)に入院患者が出て、えらい緊迫したムードで、「次巻につづく」状態でしたが、そのまま11巻ではまた戻った感じが。

・しかし、なにげに長期連載の「サイバー化け猫退治マンガ(こういう大雑把なくくりが賛否両論を呼ぶ感想サイトです)」だからして、PC描写に時代とか感じますよね。で、ゆるやかにさりげなく推移してる感じ。そらまあ仕方ないですよね。ここしばらくの現代を舞台にした長寿連載のネックはケータイとPCですからしてね。MOだったのが、DVDRAMになっているような気がする。

・それでも、すべてのキャラがめまぐるしく「動き」ながら、「ちゃんと」展開しているサマは、PC描写の推移なんかと比べ物にならないくらい洗練されている感じがします。推測です。ジマンじゃないけど読み返してませんから。でも、読みやすくなってきてるっては思います。

・高見ちゃんがカッコよろしかったです。
(16:59:39)amazon

「バンパイア」1巻 徳弘正也(集英社)

・なるほど、「狂四郎2030」のヒットのおかげで徳弘氏はまた「狂四郎」を描くことにしたのか。

・人がバンパイアと呼ぶ不老不死の女性マリア。彼女の不老不死に人間は気づきそして惹かれる。彼女は身を守るために超能力をもったパートナーを探し出す。そして彼女を捕らえようとするものと闘う。
・ときは2004年。彼女が選んだパートナーは、家族を惨殺されたため口がきけなくなり、そのかわりに念動力を手に入れた少年だった。

・ということです。「狂四郎2030」とは共通点はイッコもありません。でも、おれは「狂四郎」をまた描いてると思いました。
・その作風というか芸風というかね。あきらかに「ジャングルの王者たーちゃん」や「シェイプアップ乱」とはちがいますよね。本質のところでは同じ徳弘ブランドのままですが、本作は、作者も読者も編集も「狂四郎」を通過し、認知した後の、徳弘ブランドになりましたね。
・たとえるなら、「名門!第三野球部」以降のむつ利之。「機動警察パトレイバー」以降のゆうきまさみ。「MONSTER」以降の浦沢直樹。そういうノリですね。レベルアップやランクアップという表現はしたくないですが、その立ち位置を「シフト」しましたよね。

・相変わらず下品なギャグはあるし、エロもあるし、あちこちにどうしても書き込まないと気がすまない「しみ」もある。でも、「狂四郎」以降の「それ以外」もあるわけですよ。
・そして、おれは多くの読者と同じであろう、「それ以外」がおもしろいと思うのです。だから、「それ以外」があるなと推測して本作を買いました。ビンゴでした。
・そして、それは、「狂四郎」とはまたちがった「それ以外」だったのです。超能力を得た少年が覚醒していくサマ。前の戦い(1946年とか)のときが随所にインサートされ、様々な人間模様が折り重なってるサマ(それこそが、サブタイトルである「昭和不老不死伝説」にもつながるんじゃないかな)と、あと、マリアがエロいしねえ。その身体の異常な回復能力のために処女膜が再生するので毎回処女ですよ。すげえ設定。

・単行本おまけのエッセイコミックもいい味。
(17:37:27)amazon

「鉄腕バーディー」9巻 ゆうきまさみ(小学館)

・ゆうきまさみ氏の弱点は、とてもおもしろいマンガを描くことだと思うのです。
・すなわち、凡百のマンガ家が「鉄腕バーディー」を描くと、こうまでも長ったらしい、ノンビリしたテンポで連載が続けられなかったからですよ。連載自体が読者人気の低下で打ち切りになるか、作者自身のモチベーション低下で連載不可能になるか。

・おれも、たぶん、「ヤングサンデー」で読んでいたら「だらだらしすぎ」と思いそうですが、単行本で読んでますからね。
・これが9巻になってバーディーの味方キャラが登場して、画面がとてもいい意味でユルくなったんですよ。まあ、ユーモラスなキャラでね。それを9巻にして登場させて画面をリフレッシュさせるあたりの、緩急の使い分けの巧みさよ。

・マンガの上手さをみわけるポイントとして、セリフのないコマってのがあります。おれが今思いついたんでマンガ評論とかには書いてないかもしれませんが。
・基本的に、マンガはムダなものを描かなくてもいいメディアですよね。どんなバカみたいなネタを便所のラクガキみたいな絵で殴り書きしてるようにみえても、それにはたくさんの工程を経て作られた「意味」があるんですよね。
・つまり、マンガ内のすべては作者の意図したものがあり、それを読み取ることがマンガを読むということになるわけです。
・いきおい、マンガが下手な人は盛り込もうとするあまりに画面を必要に書き込んだり、すべての行動を文字であらわそうとしがちです。
・だから、逆にいうと、文字のないコマってのの意味を汲み取るってのはかなり重要になってくるわけですし、毎回の決まったページ数において進行を妨げる要因になるのが、文字のないコマだったりもするんですよ。だから、「DEATH NOTE」は親のカタキのように文字の情報量を多くして、読み応えをかもし出したりしてるんだし、「ONE PEACE」はしつように描きこむことで、その世界をより深いものにみせようとしてるわけです。

・本書でいうと「来訪者#8」。ゴメスに囚われて屋根裏部屋にいる千明。非常に静かに展開する。なぜなら、そういう生活をしてるからですね。ゴメスの家族と顔を合わせないようにこそこそと行動する。ゴメスとの食事でも極力会話をしないようにする。本当は1コマ1コマみていきたいところなんですが、持ってない方もいらっしゃいますからね。
・そして、対比するかのように新キャラが入ってにぎやかしくなったつとむの部屋の様子を挿入して、再び千明。そして、波乱が起こりそうな最終コマ。
・基本的に「#8」ではなにも起こってません。ゆうき氏はかようになにも起こらない話を描くのがバツグンに上手い。もちろん、なにも起こってないわけではありませんが、緩急でいうと「オール緩」みたいな印象を与える回。それが次の波乱やアクションにとてもプラスになるための計算であることはいうまでもありませんし。そして、それがさらに大きなアクションへの布石になる。
・つまり、大きい緩急、小さい緩急、読者が気づかないくらいの緩急、それらをたくみに組み合わせて効果的に利用してる。

・そして、それはなかなかほかのマンガ家にマネのできないゆうき氏だけの上手さだったりするんですよね。
・だって、連載1回分を犠牲にするわけです。いろいろと躊躇してしまいがちですよ。それが後で効果が出てくるとわかっていても、もしかしたらアンケート順位が下がったりするかもしれないなどの恐怖に襲われたりするわけですよ。だから、実はとてもアナーキーであり、勇気のあることだったりするんですよ。もちろん技術も必要。

・そして、なにより、必要なのは、その「なにもしない」回を載せることが必要と思う意思ですよね。

・ただ、そのおかげでなんかダラダラしてみえるって弊害は確実にあるんですけどね。それすらも「味」としてるゆうき氏にはなんもなんもですよ。
(18:53:45)amazon

「軽井沢シンドロームSPROUT」5巻 たがみよしひさ(秋田書店)

・その後の軽井沢シンドロームです。5巻では、ダメ中年としてくすぶっていた、前作の主人公であるところの耕平ちゃん復活の巻ですね。
・ああ、そうか、耕平ちゃん復活で、昭和の亡霊が復活したんですか。イマドキこれはねえだろ?って新キャラ登場です。キレやすい若者で暴走族です。

・前にニュースで読みましたが、昨今の暴走族ってのは、三々五々に集まって暴走行為をしたらシャンシャンシャンで解散ってな、なかよし暴走OFFってなノリらしいそうです。そういうのと、なんかあるたびにナイフで切りつける特攻服を着たバンダナ(しかもMURDERってロゴ入り)を巻いてるのに前髪が垂れてるようなのと、どっちが「アリ」か?ってことですよね。

・まあ、「軽井沢」という実在の町に良く似てる架空の町を舞台にした時代を超越した話だから問題はないのかもしれないなあ。

・ということとは別に、長野の金持ちのガキなら、東京の大学にいても週末とか余裕で帰ってこられるんだなあとも思った。そのあたりの事情はかなり「へえ」なことかも。

・そして、二郎、みるく、久美子の忘れ形見、などなど、懐かしいメンツがいるだけで楽しくなってきたりなあ。それぞれちゃんと「今」を生きてるってのがおもしろいし。

・かなりシャレになってない感じがするたがみ氏自身の様子であるところの巻末描き下ろしエッセイコミックもすごいです。かなり満身創痍状態。慢心相違と最初変換されてましたがそれでもいいかもしれない。

・しかし、軽井沢はこわいところだなあと思ったり。頭のおかしな若者が大挙しておられます。
(19:41:21)amazon

2005年/6月/13日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「すももももも 地上最強のヨメ」1巻 大高忍(スクウエアエニックス)

・自分の好きな食べ物をミキサーに入れて混ぜたら、それがたまたま黄金のレシピだった、ミックスジュースのような味わい。かなりあら絞りだけど。

「これが新世代のNo.1ラブコメ!!」だそうです。
・挌闘家の息子でありながら、非暴力主義でヘタレのいじめられっ子に「許婚」があらわれます。そして、同居です。と、図式は典型的な押しかけ女房ラブコメですね。でもって、許婚はアホほど強いです。この無敵具合は「Dr.スランプ」のアラレちゃんなみです。龍を出せるくらい強い感じです。

・でもって、ガッシュベルと出会ったころの清麿みたいに、頭脳明晰だけどどこかへタレで口先だけの主人公が、彼女の一途なところにほだされてどんどん変わっていくわけですよ。いじめられていたグループに「NO」といえるようになったりね。

・ということで、いろいろな影が見え隠れします。メコスジが見える女子に、男子は「バキ」「餓狼伝」のキャラみたいな敵などが登場したり、少女マンガな下ぶくれデフォルメだったり、いつもサカってるようにしかみえない委員長(一応恋のライバルキャラか)とか、「やっぱり」微妙に崩れてるパースなど。

「セックスしてください」

・このセリフが1番の発明かもしれないね。それを主人公は「フン断る」と一刀両断するんですけどね。
・一応、すごい勇気を振り絞りながらのセリフなんですけど、このマンガ全体に通用する、どっかおかしい?ってのにマッチした非常にいいセリフです。
・そうなんですよね、「異常」っていうより、不自然なんですよ。たとえば、「セックスしてください」の意味は、格闘一族の血を絶やさないための子孫つくりという意味もありますし、純粋な愛情表現でもあります。でも、そこで、「子種をください」だの「抱いてください」ってのはやっぱりちがうんですよね。そっちのほうがスムーズですが、この場合は「セックスしてください」なんですよね。しかも、チビッコみたいな(そのわりに胸があったりなかったり)コがいうのがおもしろいところに入る感じですよ。

・正直、粗いです。いろいろ混ぜすぎて重いところもあります。そういったところもミックスジュースっぽいです。繊維質たっぷりな感じです。ただし、フレッシュですよ。このフレッシュな感じは、この後、いろいろとこなれていっても持ち合わせてほしいところですねえ。
(17:45:30)amazon

「やわらか忍法SOS」2巻 帯ひろ志(講談社)

・たぶん、小学生男子の間には「ボンボン」「コロコロ」「ブンブン」(これは女子か)あたりのジャリマン論争が全国で細々と繰り広げられてる気がします。なぜ「細々」かというと、「コロコロ」が圧倒的だからです。ファミコン発売時の家庭用ゲームハードシェア率のようなものですよ。しかも、なにげに20年とか、それ以上、単独トップでしょ。

・で、「ボンボン」派には、対コロコロにはウィークポイントかもしれないけど、別の意味でキラータイトルだったり、別の方面でウィークポイントなのかもしれないのが本作でしょう。まあ、小学生チンポを勃たせにきてるエロエロ忍法マンガですよ。
・おれあたりは、山田風太郎の小説でアレだったのですが、本作で、「くの一」萌えを刷り込まれてる人は多いでしょうねえ。忍者屋敷にいっても1人だけ隠微な気分になったりねえ。日光江戸村の忍者ショーで1人カチンコチンになっていたり。

・これが37歳にもエロいよなあと思わせるところが多い、かなり、「いいのか?」指数が高目ですよ。ガキの配慮を考えるあたりおれも大人じゃん。

・普通の小学生だった快太が忍者の修業をすることになったエロギャグマンガです。

・2巻ではいきなり、風呂場で、犬と泡踊りですよ。しかも、犬を股間に敷いて、親指で指しゃぶりの甘えん坊ポーズですよ。もちろん全裸ですよ。
・ま、よくあるでしょうが、オッパイを揺すって催眠術。パンツやブラジャーにもぐりこむ七面鳥(クリスマスネタ)。甘酒飲んで酔っぱらって脱ぐ。竜宮城(という名前のぼったくりキャバクラ)でサカナ役の女性の胸フリ尻フリダンス。

・なーんか、おれなんかは、古きよきダイナミックプロ風味がとてもいい感じでありながら、ダイナミックプロのはオールヌードだったけど、こっちのほうがいやらしいよなあと思ったりねえ。
・これが女性の方も昔の王道で、「萌え道」にはあまり立ち寄ってなくて、今風ではないですが(身体つきは今風かも)カワイイことには変わりがありません。ぶっちゃけ、ちょっと描写が不安定なのがまたいい効果だったり。

・一瞬で駆け抜けてく、「お、エロい?」ってのが少年の日の郷愁を呼び覚ましますよ。そんないいもんじゃないか。
(18:43:42)amazon

「かる〜まミルク」かるま龍狼(竹書房)

・かるま氏の最新作はかなり、万人向けなところで描いたものみたいです。たとえるなら、ジャッキーチェンのハリウッド進出第1作目的な。「バトルクリークブロー」だっけ?

・バイトをしてはそこのスタッフやらお客さんと1戦交えては失敗してクビになる「バイト一発」
「鬼ヶ島のオニオニ」では鬼のいる世界でのエロエロなやつ。
・この2本入りの豪華版ですね。

・絵、巧いよね。なんだか、あらためてそう思うわ。とくに「バイト一発」。主人公は仕事への熱意はあるんだけど、どうしても、エロ方面に向かっていって1発やってしまってクビになるってパターンですが、たとえば、ビルの窓拭きのバイト。当然ビルからぶら下がってる。で、先輩の女性が落ちそうになるのを助けるうちに命綱がからまって性器が露出して挿入までしてしまうと。それらを絵で表現するのはとても難しいことだと思われますよ。
・そうなんだよね、かるま氏はウソみたいな女体などですが、ちゃんと骨があって、関節などがあるって、デッサン力があって、それを頭の中で3D展開して、それを描画できる腕があり、ちゃんとエロくも描ける天賦の才によるタマモノなんですね。
・また、マゾ?と思うくらい、後半は描くのがツラそうな描写にチャレンジされてますよ。ウォータースライダーの中で引っかかってる女性を助けるうちに水着が外れて、挿入しながら滑り降りるとかね。

・あと、1種類あれば御の字の女性描画パターンもたくさんありますしね。描き下ろしでの「鬼ヶ島で一発」での女性も新しいパターンだったなあ。エロ人妻描写がまた。

・その描画力をもってして軽いタッチのエロを描いてるのが最大の強みなんでしょうね。わりと全体的に薄めの軽めでした。でも、とてもいいですよ。
・このまま、万人向けにいくのか、それともたまには深いところ(人妻姫とか)もえぐっていくのかはわかりませんが、着いていきたいものだと思っております。
オススメ
(19:07:03)amazon

2005年/6月/11日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「快速!FREE NOTE Book!!」2巻 すがわらくにゆき(ワニブックス)

・進化し続ける、新感覚コミック誌であるところの「コミックガム」という読んだことのない雑誌で1ヶ月4pで連載されているショートギャクマンガの決定版です。「ギャクマンガ」ってなんでしょう?オビに書いてあるんですが。自虐の虐? 逆転の逆?

・まー、1巻はとても楽しかったです。2巻は、その延長で楽しいですが、連載内短期連載みたいなカタチで4〜5話にわたるものがあり、新機軸でした。

「そらタマ」は飛行機が落ちてジャングルで遭難してる姉妹のジャングルライフ。「漫画家夕焼け物語」は月産4ページののんきマンガ家ののんきライフと。

・個人的にはカエルが冬を迎えて冬眠の準備をする話「蛙の冬の巻」がよろしかったな。冬近くの夜の寒さがとてもよく伝わってくるマンガだと思います。

・あとは美女吾郎というキャラを使いすぎかな。

・そして、6年以上寝かせておいた「コミックビーム」で連載していてバックれた感じで突如掲載が無くなった「魔術っ子!海堂くん!!」のコミック未収録分が入ってまして懐かしかったです。というか、コミックビームってなにげに長いねえ。ビックリ。
・海堂くんは、後半のかなりヤケクソってる無軌道暴走っぷりがユカイツーカイです。

・ということで、新旧とりまぜておトクな一冊になっております。「1」のときほどインパクトとかなかったですが手堅くおもしろかったな。
(19:33:13)

2005年/6月/10日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「苺ましまろ」4巻 ばらスィー(メディアワークス)

・いい感じ。
・本作を読むと、おれはロリコンかなと思うくらいさね。
・小学校高学年の少女4人と高校生の少女1人が泣いたり笑ったりしてるマンガですね。ギャグっていえるほどのドギツイネタもあるんだけど、基本はキュート&ほのぼのなんでしょうかね。

・顔がカワイイのはアタリマエなんですが、着ている服がかわいすぎるのが逆に不自然ではありますね。「ファッション雑誌毎月チェックしてまっせ!」感が、やや引く。今、「コミック」用に読み返して気がついたことですが。
・これがおかしな話ではありますが、「実際にいる」感を強めているようです。実際にいたほうがいいとは思います。こんなカワイイんですから。でも、実際にはいませんから。だから、なんていうかな、現実と地続き過ぎて、引く。だって、実際にいない少女をかわいく描くために、実際にいるばらスィー氏は、実際にありそうな服を、雑誌などを参考に着せてるわけですからね。たぶん、くわしい人はブランドを特定できるくらい精緻に描かれてますし。
・これが、やや、「アレ」な理由だったのかと、今、思い当たりました。

・そして、全く覆しますよ。4巻は、そういう「ロリー」視点が従来より弱まってきた感じを受けましたよ。各キャラがマンガ的に立ってきたような。だから、マンガ的なおもしろさは増してますねえ。

・とくに表情か。叩かれたときの「ハート口」とか。いままでは殴られたりしても、後姿などで「お茶を濁してきた」んですけど、様々な状況を表情で描く努力をされており、それが功を奏してますよ。とてもカワイイです。

・ただ、それはこれまでの「カワイイ」ってのとはやや異質の「カワイイ」なんですね。どっちがどっちてことはないですが、おれは4巻のを支持。

・シュールに走るのを止めたか止められたみたいで、また原点回帰なドタバタやってる4巻です。これもまたよし。
・どうして我が子は、マツリちゃんみたいにならなかったんだろうかと。(答え:おれのコだから)
(12:56:26)amazon

「拝み屋横丁顛末記」4巻 宮本福助(一迅社)

・最高。エンジェルさん最高。
・ということで、新キャラであるところのオカマの幽霊「エンジェル」さんがとてもとても最高でした。
・オカルトな商売をしてる人ばかり集まってる横丁の人情ドタバタ幽霊コメディ。
・基本的に押しの強い人が多いマンガですけど、その中にあって最強に押しが強い。

・もともとはホストに憑いていたんですよね。で、商売がうまくいかない(エンジェルさんがジャマをする)から、祓ってくれと横丁にきて、エンジェルさんはこっちのほうが気に入って住み着いて準レギュラー化してしまうと。

・理屈を越えたインパクトがあり、ナツカシのフレーズですが、「必笑」ですよ。奥さんもまんまとハマってゲラゲラ笑ってましたから、ストライクゾーンは広いといえそうですよ。
・ただ、強力すぎて使いどころが難しそうですけどね。

・本作は3巻あたりから、テンポとドタバタ重視になり、かなりいい感じです。

・そいでもって、本作のキモは、実は、最初のオバケ屋敷ネタでオバケ屋敷に閉じ込められて、大騒ぎするご隠居3人組を扉を押さえながらゲラゲラ笑うってギャグのように「いたずら」にあるんじゃないかと思われるのです。ガキのいたずらね。ご隠居3人組がいたずらをしてしっぺ返しをもらって「うへえ」となる展開が多いと思いますが、そういうガキのいたずらのわりに本当のガキがほとんど登場されていないってのがミソなんですね。

・とてもいいですよ。笑いたい方にとくに。
(13:32:33)amazon

「ピューと吹く! ジャガー」9巻 うすた京介(集英社)

・戸惑うくらいおもしろいんですが。
・最長記録にしてジャンプ巻末という指定席を完全キープしてる感じですよね。ジャンプはもう「荒野の少年イサム」から読んでないのでよくわからないんですが(ここで「リングにかけろ」くらいにしておくとギャグとしては効果が上であろうと思われます)。

・もう、なにがなんだかよくわかりませんが、ジャガーとピヨ彦とその他ユカイな仲間たちが繰り広げるギャグマンガですね。

・やっぱりハマー最高。次にビューティー田村最高。あと、ハマーとビューティー田村にからまれるピヨ彦も最高。

・動物園でクマ山のクマがふりかぶってクソをピヨ彦にぶつけるシーンで5分間息がつまる。
・メス豚Tシャツで1分。「横山暴郎」。ガンニョムの霊。描き下ろしガンニョムピンナップ。「…ってオイ…!」。あたりがツボったか。

・なんでこんなおかしいのだろう? いやたしかに「なにこれ?」ってのはコミックにも1話2話は必ず混じってるんですよ。かなりクールダウンしてしまうの。9巻でいうと、ハミィのや「そぉい!」あたり。

・ここいら外してるところがあるからこそハマったら大きいのかなあ。だから、手堅くコツコツ当てていくんじゃなくて、バット長めに持って振りぬいてる感じ?

・この「おれにとって」のホームランがこれからもあるといいなあと思います。
(13:48:59)amazon

「野獣社員ツキシマ」1巻 大和田秀樹(講談社)

・えーと、「たのしい甲子園」の太田がジャパニーズビジネスマンになったようなマンガです。というと、大和田ファンにはよくおわかりいただけそうですね。

・そうじゃない方には今から説明させていただきますよ。
・とてもできるビジネスマンのツキシマが世界をマタにかけて商売してるマンガです。
・たとえば、アフガニスタンの地雷原でジャコウを探しにいったり、エルサルバトルのゲリラに捕らえられてる人質を救出しにいったり、CMキャラクターをやってるアイドルをボディガードしたり、沈みかけてるメガフロートに閉じ込められている船長を助けたり、1回の接待に1億2千万使ったりと、そういう感じで豪快にビジネスマンしていくわけですよ。

・これが従来の大和田マンガ的ではあるんですが、主人公が「ヴァカ」じゃないので一見したギャグは少なめです。あと女子も少なめな配合ですね。

・それでいて初講談社。つまり、かなりガチなところで、新展開を試みた、野心作であるんですね。普通にスケールの大きいサラリーマンマンガとして読んでいる人がいそうです。というか、「ヤンマガ」読者で、大和田未体験読者は、そうでしょう。
・そして、ギャグ抜きの「熱い漢」マンガとして若者言葉でいうところの「かなりアリアリじゃ〜ん」って思いましたよ。

・通用してます。そして、「たのしい甲子園」などの大和田体験済み読者にも「アリかもじゃ〜ん」と思わせるクオリティはありますよ。

・でも、おれは大和田マンガで一番好きなのは「熱い漢でヴァカ」なキャラなので、ヴァカキャラクターを挿入していただきたいなとも。
(14:27:17)amazon

「彼岸島」11巻 松本光司(講談社)

・大河吸血鬼やっつけマンガになってます。どないやねんと思うくらい、スケールが広がってます。

・兄が吸血鬼の手に落ちた。谷での長い戦いが終りましたよ。

・いや、こうやってどんどん1回1回の戦いが長くなるってのがパターンですよね。これがスポーツマンガだったら試合ですけど。そういう意味じゃ、王道ですね。もはやホラーとかじゃないじゃん。戦争マンガや格闘マンガじゃん。

・そろそろ終って。まだダメってほどじゃないけど、これ以上ぐだぐだになる前に終ってほしいかな。
(14:33:39)amazon

「賭博墜天録カイジ」3巻 福本伸行(講談社)

・まいった。もしかしたら、福本氏にハメられてるのか?

・イカサマありの2人麻雀勝負をしてるカイジです。で、相手がイカサマをしてるのを知り、じゃあ、こっちもあえてそれを受けて、逆にイカサマで勝ってやろうじゃないかと。
・でも実はそれがワナじゃないかと、これまで「カイジ」を読んでいればたいてい推測がつきますよね。もしかしたら福本氏はそれを見越した上で、読者がビックリするような仕掛けを用意してるんじゃないか?って気がしてきた。
・なんだか、そういうのをわかってもなお不安で読んでいられない3巻だったんですよね。いつカイジが騙されてどん底に落ちるかと思うと全然安心できない。
・いみじくも「ジェットコースター」が登場されました。先の読めないスリリングな話のときによく表現されるものです。最初のカイジはまさにそれでした。
・ところが、実際、ジェットコースターとは、落ちるぞ落ちるぞと思いつつ降りていって、実際に落ちるわけで、ホラー映画の手法でもある、「そろそろそこにジェイソンがくるよ?」って本当にくるのと同じですよ。そういった点じゃ、今の墜天録〜のほうがよりジェットコースターな気はしますねえ。

・さて、でも、現状では推測です。それが本当かどうかは4巻以降にわかりますよ。こわいねえ。
(15:00:17)amazon

2005年/6月/4日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「PS羅生門」8巻 矢島正雄&中山昌亮(小学館)

・強烈だったなあ、初っ端の「立て籠もる男」

・ある日、コンビニに男がやってきて、客を全員帰し、店員2人だけを人質として立てこもります。1人は19歳の美女のバイト、もう1人はオッサン店員。
・男はなにも要求しません。そして、いろいろと調べていくうちに、男の妹が元コンビニでバイトをしており、強盗に殺されていたことがわかります。店員が2人いたのに妹だけ殺されました。犯人はまだ捕まってません。
・そして、事件とはまったく関係ない若者たちが無責任に喋ってるのを聞きます。「おまえなら、店員が美人とブスだったらどっちを刺す?」って。
・そう、男の妹はブサイクだったのです。そして、若者もブサイクだから刺されたと。彼にはそれが許せなかったので立てこもったわけです。

・では、絵心のある方で未読の方に問題です。この妹を描いてみてください。

・このハードルが途方もない高さだということに気がつかない人は、「絵心」がない人だと思います。美人ではない、そして、ギャグにもならないブスを描くというのは非常に難しいことです。

・まあ、つまり、いつものように中山氏の絵がすごいってことを書きたいだけなんですけどね。これは感服したよ。この画力がないと成立しない原作だもんよ。ミゴトにコミック化。なおかつかなり名作でした。きちっとその顔で存在する女性なんだもんよ。

・8巻はけっこうムラがあったと思います。でも、この「立て籠もる男」だけで名作の巻になります。これだけでも読んでほしいですね。

・もうひとつ。ラストの「河の中の捜索」。これはサブの扱いになるストーリーですが。本線は、失踪した中学生女子を探す話。

・借金の取立てをしてるチンピラがいる。アパートの一室。いつも金策に走り回ってる両親に置いていかれて、ひとりで留守番してる小学生低学年くらいの少年。チンピラもいつしか、軽く情が湧いてきて、なにげにゲームソフトをわたし、「これおもしろいらしいから遊びなよ」と。でも、少年は借金のためにゲームハードはオヤジがうっぱらったと寂しそうに語る。
・チンピラは別に同情ということでもないが、ゲームハードとソフトをアパートのドアの前にそっとおく。年末だしね。
・だけど、それすらオヤジは借金のカタに売ってしまい、今月分の返済として、そのチンピラに渡す。
・そのときのチンピラの表情は実は隠してます。なぜか? それはそのエピソードのラスト近くにわかります。この巧さ。

・ということでとてもおもしろい刑事人情マンガなんですが、次で終わりだそうですよ。残念ですね。
(13:52:55)amazon

「犬神ゲル」1巻 ゴツボ☆マサル(スクウエアエニックス)

・いろいろな理由で手が出なかったのですが、おれにとっては初ゴツボ☆マサルです。
・で、初体験してみて、手が出なかった理由もわかりましたが、それよりも「おもしろい」ってのが勝ってました。だから、予想外のおもしろさがあったと。

・金こそ全ての少年探偵犬神ゲルと父親に売られたような形で探偵助手をつとめる安川マリーとが次々と難事件を解決…しないで、地味に金になる事件をこなしていくマンガです。

・空が高いマンガです。「痛快! 跳躍&格闘系探偵アクション!!」とカバー裏のあらすじにも書いてあるとおり、主人公はクールなメガネくんキャラな外見なのにとてもDVな武道の達人でして、なおかつ、飛び跳ねる、ジャッキー系でもあります。ジャンキーじゃないですよ? チェンのほうです。
・空がみえるシーンが多くてね、こう、スケールがでかくてダイナミックな感じがしていいよね。っても、毎回「空」のスクリーントーン貼ってるだけですが、これは白いのが多い、よしもとよしともチックな画風からのいいアクセントになってますよね。

・でもって、ニューウェーブ以降、かなり重要な「3吉田(秋生、戦車、聡)」をキッチリ受け継いで消化されており、テンポも随所に挟み込まれるギャグもバッチリいい感じです。

・ただ、そのシンプルな線が、多少「なにが起こってるのかわからない病」を患ってるということもありますし、なんとなく、おれが距離を置こうとしていた「なれなれしさ」的なものも感じられます。この「なれなれしさ」って非常に微妙な表現なんですがね。苦手というかね。おれ、人見知りだし。ああ、「暗黙の了解」を強いるというかな。ほんのちょっとだけ、「ゴツボ☆マサルを知らないと100%は楽しむことができない」ニオイがするというかね。そういうマンガ家多いじゃん? とくに「ガンガン」とか「エース」とかのほうに。

・ただ、思ったより全然少なかったし、全然楽しかったんですね。だから、結論として「おもしろい」と。

・おもしろかったですよ。マリーさんがかわいらしいわ。あと、女も容赦なく殴られるあたりが男女平等のニオイがしていいなあと思いました。
(15:18:04)amazon

「山手テレビキネマ室 テレキネシス」1巻 東周斎雅楽&芳崎せいむ(小学館)

・民放最大のテレビ局山手テレビの旧社屋地下にある「山手テレビキネマ室」の番人の物語ですね。
・小学館ビッグコミック18番のやつです。「映画」の「美味しんぼ」です。作者でいうなら、映画の「イリヤッド」であり、映画の「金魚屋古書店」ですよ。

・悩んでる人がいます。彼の悩みを映画で解決するってやつ。これが食い物なら「美味しんぼ」です。後省略。

・いや、おれは映画知らないなあと思いましたよ。あと、みたい映画も多かったですね。やはり「古典」中心ってことになってます。「風と共に去りぬ」「サンセット大通り」「愛と青春の旅立ち」「アスファルトジャングル」などなどね。
・これがすばらしいところは、いわゆる「知る人ぞ知る」映画じゃないことにあると思います。つまり、端的にいいますと、すべてDVDで買うことができるわけです。「幻の」名画とかじゃないんですね。
・それでいて、だれもがスジを知ってるような超定番や超名画でもない。
・このスキマの映画に絶妙に業界ネタをかませて話を膨らませる。

・かつての名プロデューサーが左遷させられる。それをなにもかもなくしたスカーレットオハラになぞらえて「風と共に去りぬ」をみせたり。
・恋愛もののバラエティ企画がうまくいかない新米に「愛と青春の旅立ち」のラストを参考にしろって渡すけど、彼は、鬼教官が主人公をいじめぬくシーンに感動するとか。

・映画から元気をもらうってやつですよね。こう考えると人間は偉大ですよね。あらゆることから快楽を引き出すことができる。

・芳崎氏はスピリッツ連載ってことで、ちょっと女子をかわい目に描いてるんかしら。とまれ、原作も作画も問題ナシな方ががっつりと描いてるので読み応えはかなりなもんです。

・グルメやらマンガは意外に手に入れるのに骨が折れるかもしれません。その点、映画ならそのままTUTAYAでサラリと借りたり、amazonで買ったりが楽なんでいいですよね。レンタルにはないかな。マンガを楽しんで映画も楽しむと。そういった意味じゃかなり極上の映画ガイドでもありますね。

・こういう映画をノンビリ眺める休日が送りたいわ。
・あと、個人的には、「大いなる勇者」「アスファルトジャングル」あたりをみたいかなと。
(16:19:53)amazon

「デビル17 〜放課後の凶戦士〜」2巻 豪屋大介&西条真二(角川書店)

・2巻ですよ。人気小説のコミカライズです。
・アホほど強い高校生が殺したりやったりする豪快なマンガです。
・個人的には2巻にしてすでにインフレ気味かもしれないな。ここいらは小説とマンガのちがいなんでしょうかね。ビジュアルでみると、残虐なアクションも、エロも、いっしょというかね。
・だいたい、無敵すぎる主人公だからして、「ピンチ」を演出するのは、どうしても絡め手になってしまいがちです。2巻では、大事な片腕を探すためにピンチになるって「奪還」になってますからね。

・あとまあこの手のアクションにとってもありがちなパターンとして、エロとアクションだと、どうしても、後者のほうががんばるんですよね。バリエーション豊富ですしね。

・ただ、まあ、これまたよく聞く「理屈ぬきの」ゴラク作として、オタッキー(死語)のための勝目梓として、ヤングのためのウルフガイとして楽しませていただきましたよ。
(16:58:21)amazon

「アガペ」2巻 鹿島潤&石黒正数(メディアファクトリー)

「無償の愛」が武器の交渉人である少女は1巻のおわりに、みのもんた(をモデルとした感じ)が息子を撃ち殺したのをみて、ココロの病になりました。
・2巻ではそれから立ち直るサマでした。ものすごい展開ですね。

・というより、2巻にしてすでに「応用」だと思うのですよ。主人公がココロの病になるのも、同じスタッフ(刑事)が犯罪者になるのも早すぎ。
・意表をついたのだと思いますが、突拍子もない意表はギャグにもならないと思うのですよ。街でいきなり殴られて「ウケた?」っていわれても、突拍子もなさすぎて「痛い」すら思わないでしょ。それからムカついてくるんですけどね。
・なんか、2巻の展開はそういう「応用」がすぎている気がしました。作者ほど読者は物語をわかってないんですよ。雑誌で読んでるでもないし、月刊ペースのマンガで1巻出てからけっこうあっての2巻で、なおかつ、おれの都合で読むのも遅かったしね。
・そういうオチコボレな読者まで気にかけてくれとはいわないまでも、読者の話に獰猛にくらいついてるエリートばかりを相手にしたマンガはいろいろな意味で脆いものが多いので注意されたし、ですぞ。

・けっこうエッチなシーンが多いけど、ビックリするくらいそそらなかったなあ。ああいうココロの病をかかえた女性の胸元をみても興奮せんよ、わしゃあ。なんか気の毒でさ。あと、作画はモブシーンとかに中途半端なギャグをいれなくてもいいんじゃないかな。あのテレカ盗まれて激怒するババアも無駄にキャラ立ってたし。

・個人的に、「ついていけない」警報が高目です。
(17:34:16)amazon

「最強伝説黒沢」6巻 福本伸行(小学館)

・もし、来世も人間になれるとしても、福本伸行のマンガキャラだけはなりたくないなあ。みんなひどい目に遭ってるYO!

・ということでオタク族(死語)に人気の「黒沢」も6巻でござるよ。
・5巻の終わりで、それまで敵だったやつに「アニキ」呼ばわりされて、水着の女性がたわむれるようなところに連れてこられましたが、テンパりすぎて大失態を犯しました。そして、また闘うことになりました。今度は現役プロレスラー3人とですよ。

・正直、5巻の終わりぐらいの展開はダメでした。「ああ、こんな感じか」みたいな感じがありました。6巻の最初もダメ。なにがダメって福本氏の描く女性がダメなんだな。どこかちがうんだよなあ。みんな人間離れしたキャラなんだけどさ、結局、コトバがリアリティというか、説得力を生む大元なんだなと思わせる、重みのあるセリフでそこで生きてるんだけど、女性はダメだなあ。そういや、オヤジ狩りに出ていた黒幕っぽい女子高生はどうしたんだ?

・男は戦わないととばかりの後半のVSプロレスラー編は最高でした。黒沢は男気があるところとチエがあるところ、本文中にもあったいざとなると「ソンができる」ってのがそこいらの44歳とちがうような気がするなあ。

・今回もしみるコトバが多かったですが、おれにとっては「普通」におもしろいマンガの位置付けになりましたね。
(18:04:37)amazon

「おうちでごはん」1巻 スズキユカ(竹書房)

・読んだあと、仮説を持ったデスよ。で、それをたしかめるべく、奥さんに読ませたですよ。で、読み終えた後に仮説を証明するために質問しましたよ。

「やっぱ、こういう風に、料理ができるボウヤほかの、いい男たちに囲まれて住むってのは女性にとって一種の夢的なもんですか?」

「いやべつに」

・あれ〜?仮説証明失敗ですよ。

・でも、ボカァそういう女子にとっての萌えマンガかと思ったのでそのラインで紹介していきたいものですよ。

・料理が好きで毎日自炊して男子大学生。それにたかってる友人。同じアパートの亀が好きなメガネ&クール。モテ男だけど、スィーツ作りの名人。ただ1人住んでるOLと、そのアパートでのレシピは載ってない料理マンガ。

・かわいいって感じの少年らしさがバリバリ残ってる主人公が「汚れなくていいんだよ」と割烹着姿で料理してるのをみて女子たちは子宮が震えてるのだろうと推測したのです。ブロロロロロロロロロ(子宮が震える音)。

・ということで、「こんなやつぁあいねええ!」と怒鳴りたくなるくらいテッテ的にアク抜きされた男子(ダンスィと読む)がテンコ盛りで料理を作ったり食べたりしてます。

・まあ、主人公のは「THE男の料理」ってんじゃなくて、「炊事」ですよね。そこがまたいいんじゃないかなと。特別なイベントとしての料理じゃなくて(そういう話もありますが)、毎日の生活の一部としての炊事。それでいて所帯じみてないんですけどね。そこにたまらないキュートが潜んでいるんじゃないかと。

・だから、逆の立場ですよ。いわゆる「萌え」マンガやアニメで、「こういうところが萌え!なんだな」と女子が推測するのと同じ感じで、本作を読んだのです。それは合ってるのかどうかわかりません。というか奥さんに否定されてました。

・とても美麗な絵を描く方で、男子も女子もとてもいいですが、食べ物はちょっと美味そうじゃないかな。ただ、この日々の流れ的な話はとてもいい感じです。
「好き嫌い」は脳が学習することで変わるってのは目からウロコ。つまり、好き嫌いが多いってのは脳が幼いってことで、妙に説得力があるなあと。たしかに好き嫌いが多い人は幼い人が多いね。ガンコというか。

・おもしろかったです。みていて安心できる絵。読んでいて安心できる話です。「黒沢」の対極にあるような。
(18:30:41)amazon

「マシュマロ通信」9巻 山本ルンルン(JIVE)

・相変わらずの横綱相撲です。危なげがまったくないですね。
・ただ刊行ペースが速すぎで、なにげに値段も上昇気運にあるんですが、もしかして、ディアゴスティーニ商法なんでしょうか。創刊号は480円!的な。
・1巻では599円でしたが、9巻は767円ですもんね。まあ、いいんですけど。おもしろいから。

・9巻では、「人形たちの逆襲」でクラウドが泣いたし、「バジルの恋の大作戦」では美人バジルがキュートだったし、「注文の多い店屋さん」ではホラータッチでビビるクラウドとか拝めたし、みどころは豊富です。

・なかでも最後の「ジャスミンのおかしな友人」がすごかったですよ。久しぶりにダークるんるんワールドが炸裂。なんか、いやーな後味が広がる名作ですよ。
・ジャスミンの家に宇宙人が漂流するというよくある話でしたし、展開は王道のそれですが、ラスト近く、「おや、これはいいのか?」と思ったりな。あんなブラックにしなくてもいいんじゃないかなあって。
・しかも、その狂言回しをジャスミンにするあたりが絶妙。
(18:48:35)amazon

「がんばれみどりちゃん」1巻 唐沢なをき(講談社)

・さて、なぜか刊行が続いてる「イブニング」でなぜか連載が続いてる、唐沢版「クレヨンしんちゃん」げな幼児4コマです。

・唐沢味が濃厚でね、最初は、薬屋のみどりちゃん(幼稚園児)ってネタで、栄養ドリンク盗み飲みして鼻血をたーってたらすネタが多かったです。唐沢なをき氏の実家が薬屋ということを知っておくといいかもしれない。
・その後は、おかしな幼稚園と先生と幼稚園児のダークほがらか4コマになりまして、もんまりもんまりと続いております。

・ヤリマンのヤヨイ先生、ジャンキーの幼稚園児の親は過度の自然崇拝で、ムツゴロウ氏みたいな園児は動物から蛇蠍のように嫌われていて、オタクの園児は親もオタクで、おっぱいマニアの園児とか、ショタコンの園児とか、変態の先生、社会不適格者のおじさんなど、ユカイな方がたくさん登場される病んだマンガです。まちがってもアニメ化はないでしょう。

・そのキャリアに寄り添うように4コマもたくさん描いておられる、唐沢氏ですが、なにげに、本作くらいバリバリのストーリー4コマははじめてじゃないのかしらね。その病気具合も既存の唐沢マンガに比べるとほがらかなほうですしね。主人公美少女幼稚園児ですしねえ。モテモテですし。

・ということで、唐沢氏も安定期に入って長いですよね。もはやなにを描いても「唐沢なをき」ブランドがねえ。
(19:20:30)amazon


メールケージバン