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ポトチャリポラパ/コミック/2006年
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2006年/10月
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2006年/10月/31日
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「マカイど〜」 2巻 大和田秀樹(角川書店)

・やはり大和田マンガにはバカがでないとダメだなあ。厳密表記は「ヴァカ」ですが。

・かなりのヴァカが未来の道具を己の欲望のためだけに使ったら?というギャグマンガです。

・モテるパンツを履いて世界中の女性からモテモテ。格闘技ロボをアタマにつけて世界王者。未来の燃料製造装置を悪用して大金持ち。

・と、ベタなくらいに己の欲望に忠実に暴走していって最後にしくじって失敗失敗で終る感じです。ああ、ダメなクセにアグレッシブなのび太なんですよ。1巻のときも書きましたが。
・ひみつ道具自体は「ドラえもん」より、ドラえもんと同じくらい永遠の名作である「おまかせ!ピース電器店/能田達規」の「**くん」ってのに似てるかね。その発展してドタバタするスケールも似てるか。

「たのしい甲子園」からはじまって、「ヘブンイレブン」で「ヴァカ」を発明して「機動戦士ガンダムさん」でブレイクってのがどうなのかとおもいますが、おれはガンダムさんよりこっちのほうが好きだなあ。

・修学旅行の風呂上りの女子をみるって浪漫はすばらしいですよ。そういわれればそうだよ。入浴中をみることに気をとられてますが、風呂上りの同級生ってのはこういうときじゃないとみることができないのです。それに気づかせていただきました。ありがたいありがたい。
(18:05:54)amazon

「ディアスポリス 異邦警察」 1巻 リチャード・ウー&すぎむらしんいち(講談社)

・おお、すぎむらしんいちが「モーニング」に描いてるとな。

・密入国で東京に住んでいる人のための都庁に勤務する警察の話です。新宿の大久保とかあそこらへんの日本だか韓国だか中国だかわからんところです。三池崇氏のヤクザ映画の世界であり、クレイジーケンバンドの世界にも通じるものがありますね。そういうとこが舞台ね。

・ラブホテルに連れ込まれ、睡眠薬で眠らされるうちに、腎臓を摘出される事件。ターゲットは警察や医者に駆け込めない密入国の中国人。
・主人公の警察は久保塚早紀。松田優作チック。まあ、名前(異邦人って歌がヒットした人をもじってるでしょ?)もそうだけど、そういう遊びが随所に混入されている。原作はだれ?と思ったけど、どうも著名な方の変名だそうで。

・この主人公が強くなかったりするのがいいですね。ああ、「事件屋稼業/関川夏央&谷口ジロー」のオマージュもあるのかしらね。

・日本でいながら日本じゃないイメージってのは、意外にずーっとすぎむらしんいち氏のテーマなのかもしれないとふと思ったり。「東京プー」での寒々とした東京。「ホテルカルフォリニア」でのどこ?ってリゾートホテル。「スター学園」はすべてがウソくさい。「クローン5」も「サムライダー」もそうだ。本作はまだわかりやすいほうなのか。

・おもしろいです。70年代の22時からやってる「探偵物語」とか「大都会part2」とか「おれたちは天使じゃない」とか、ああいうニオイがしますね。
(18:26:30)amazon

「おいちょカブ」 後藤イチオ (講談社)

・んー「シリウス」ってのは「こういうの」けっこう連発してますね。


セクシーシーン満載のアクションコメディ


・これにココロ奪われたボクです。

・未来の世界では、1人の天才が作り出したネットゲームで現実の世界に戻れずに廃人になってるものが多数います。だから、過去にタイムスリップしてそのゲーム発明家を殺してしまえという、「なにミネーター?」なスジです。

・で、チビッコな殺し屋さんが天才プログラマーの少女を殺そうとするけど失敗。以後、その家に居候という、「ナニニ軍曹?」な居候設定。

・とはいえ、線が太く明るくカワイイ絵で、チクビをこねくりまわしたりとか、けっこうきわどい下ネタ。テンポもいいし、アキハバラを舞台にドタバタのスケールもでかいし、「理屈ぬき」ってやつをタンノウできますよ。

・しかし、「シリウス」というか、「マガジンZ」もそうかな、エロコメの単巻が多いですね。

・あと、JARSACには「そのうちなんとかなるだろう」も登録しなきゃダメなんじゃない?(読んでないとわかりませんね)
(18:38:44)amazon

2006年/10月/30日
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「モーレツ!イタリア家族」ヤマザキマリ(講談社)

・イタリアでイタリア人の夫とその家族(7人家族)と住む日本人マンガ家のエッセイコミック。
・外国人との結婚マンガったら「ダーリンは外国人 / 小栗 左多里」なんてのが有名ですね。あんな感じだと思っていただければ。

・本作はタイトルどおりってのがすばらしいです。情熱のモーレツ家族です。「愛してる」に該当する「アモーレ!」が止むことなく家中に響き渡っているわけです。

・夫が日本食好きで太っていないことを危惧して、毎朝ニワトリをしめては豪勢な食卓。「出されたものはできるだけ食べるのが日本のマナー」と逆らった作者に対して、子羊の脳みそのフライをふるまう姑。義妹は恋人の不倫現場を押さえ、丸太でぶん殴り、浮気相手を馬乗りで殴る。2人の祖母は、90過ぎてなお若ぶろうとはりきり、年越しパーティーでは全員が動けなくなるくらい騒ぎ、本場のバレンタインでは恋人同士がお互いにプレゼントするわけです。

・本作の個人的に好ましいところは、「あったことをそのまま描く」というところです。実は、それでおもしろいのが1番おもしろいんですよね。もっとも作者のカバーみかえしのあいさつでは「これでもおとなしめ」とのことらしいですが。
・作者のサービスだったり、演出だったり、脚色が、多すぎるエッセイコミックは、かなり好みが偏る傾向にあると思うのですね。少なくともおれは全く受け付けないとか、苦手なエッセイコミックはあります。そして、それは前記のとおり感性の不一致によるところが大きいです。
・とくに、こういう異文化に触れるようなマンガは作者の観察眼と的確な描写力があればそれだけでおもしろくなるものです。つまり、お刺身のようなもんですね。素材を活かした味。ヘタな人は刺身に生クリームをかけるようなことをするんだわ。
・こういう描き方だと地のマンガがおもしろくないと思われそうですが、そんなことはないんでね。刺身だからこそセンスと腕が必要ですからね。本作の場合、観察眼と着眼点がとりわけすばらしいとお見受け。

・そして、白眉が、姑とそのユカイなイタリア仲間との日本旅行。これが逆説的に、日本文化の特異なところを浮かび上がらせたりするわけです。そのまま、日本にいることでのイタリア民族性みたいのもよくわかるという傑作シリーズになってます。

[Amazon.co.jp: La quinta camera: 本: オノ ナツメ]

・このイタリアの下宿を舞台としたラブストーリーのあとがきに「本書を読んでイタリアに行きたくなったらうれしいです」みたいなこと書いてありましたが、おれ的には、「モーレツ!イタリア家族」のほうがイタリア人への親近感を持ったり、イタリアに行きたくなりましたね。イタリアいったことあるんですけどね。あと登場キャラもいいですね。愛すべき方々です。
(19:00:11)amazon

2006年/10月/29日
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「それでも町は廻っている」2巻 石黒正数(少年画報社)

・いいですね。ちっともそそらない入浴シーンが逆に好調であることを知る2巻です。

・商店街の一角にあるババアが経営してる平凡な喫茶店がある日突然メイド喫茶になる。といっても、ババアとバイトの近所に住む女子高生である歩鳥さんがメイド服着てる「だけ」の変化によるメイド喫茶ですがね。(オムライスをたのむと、今1番考えたくないコトバを書いてくれるサービスがあったりしますが)

・本作はどんどん進化しています。とくに絵の進化が目覚しいです。

・マンガにおいて、他の物語メディアよりすぐれた表現方法ってなにかわかります? まあ、いろいろとあるんですが。絵において。
・その筆頭に上げられるものはデフォルメだと思われます。「これじゃマンガじゃない」という悪口が逆説的にその優位性を物語ってます。

・デフォルメでもとくに表情が大きいです。人間の表情描写。これはマンガにかなうメディアはないような気がします。それはアニメにおいてより止め絵であるマンガのほうが効果が大きい場合があります。

・本作、1巻当初からどんどん表情がよくなってきている。マンガの「表情」がとくに優れているのは、現在の心境や状況で、顔そのものが完全に別人になっているくらいの変化が可能ってことです。もともとが記号のカタマリであるメディアの功罪で、たとえば8頭身が2頭身になろうとも「同じ髪型なんだから同じ人」的な認識が可能。まあ、マンガ的なお約束になれていない人は混乱するところですが、日本はケータイ電話の普及よりもマンガの普及が目覚しいから無問題です。

・本作の主人公であるメイドの歩鳥さん(メイド服シーンは少ないけども)は、基本、好きで好きでたまらない八百屋のせがれがいたりと、美少女ではあります。だけど、ズッコケキャラであるんですよ。だから、「美少女」と「ズッコケ」の間を推移するのです。この際に、最重要なのは表情であります。
・喜怒哀楽もそうですが、マンガにおける表情は、ほかに、冷や汗などの汗描写やうなだれたときの口からよだれや煙などの、いわゆる「漫符」においても重要です。これも見違えるようによくなっていきます。

・そして、それはちょっとだけ逆の効果も生み出しているのですよ。

・1巻のときに、本作「ポストネオほのぼの」とでもいうべき新しさを感じたのです。

・かつて「ほのぼの」ワクは雑誌に1〜2コ必ず用意されてました。人情モノ、アットホーム、ほのぼのコメディ、ほのぼのギャグ。現存するものとして「サザエさん」に近いものがありますね。
・そこからカウンターとしてのラジカルな要素があるギャグが混入されました。「こち亀」なんかとてもわかりやすい例ですね。グータラでチャランポランのお巡りさんってギャグマンガだったんですね。やたら銃も発砲してましたしね。
・ということで急速にほのぼのは廃れていきました。ただ、勢力を弱めただけで、あちこちに生息はしてました。なんとなればラジカルなギャグマンガの中にも生きてます。「こち亀」でいえば両さんの子供のころの話とかね。

・で、ほのぼのはいきなり復活したのよ。それは「萌え」付きで。カワイイ女子を配することでほのぼのを成立させる。「萌え」はあらゆるものに通用する無敵の武器なのです。「あずまんが大王」がその筆頭になるんでしょうかね。

・そして本作。本作は上記のとおり、歩鳥や、そのクラスメイトのメガネ+巨乳というカワイイどころを配し、メイド喫茶という舞台のわりに萌えがなかったんですよね。それが実は、狙ったものか、なんらかの原因でそうだったのかの判断が難しいところでした。

・2巻読んだ結論としては、上記のとおり表情が固いのを最大要因とする至らなさでしたのよ。2巻ではずいぶん萌えますからね。そうなったのは、作者の中で歩鳥がよく動くようになったからじゃないかなって。

・結論としてとてもよくなったのです。そんなどうでもいいところにこだわってるのはひねくれものだけでさ。いやだって新しいと思ったんだもんよ。

・町内旅行会の泊まりの温泉ネタ。前後つづく歩鳥死す!のネタ。生き返った歩鳥の入院ネタとたたみかけ、弟と夜の街を散歩するネタがとてもよろしい。ああ、おれも7歳くらい年上のお姉さんが欲しかった。ま、その後はそこまでのレベルからちょっとダウンですがね。

・続刊楽しみランキングで10くらいランクアップです。もしかしたらベスト10入りしてるかもしれません。
オススメ
(19:48:35)amazon

2006年/10月/28日
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「未来日記」2巻 えすのサカエ(角川書店)

・最高最高。
・1巻にして相当ダイナミックに展開してるからして、失速するかと思ったらなんもなんも。2巻はさらにヒートアップするという。

・未来が書いてある日記を持っている12人が次期の神の座をかけて殺し合う話。2巻では新興宗教の教祖とストーカー女との三角関係を軸に信者がゾンビとして徘徊する道場を舞台にナタを振り回し殺し合うという展開です。

・ポイントは「未来日記」という、使い古されたそれこそドラえもんやらテレビ番組のバラエティに登場しそうでいて、近年あった「DEATH NOTE」とかぶってるような小道具をあえて使用して、考えられないくらいの爆発をもたらしているところです。
「枯れた技術の水平思考」という名言があります。ファミコンの十字キーほかを発明した横井軍平氏の言葉なのですが、このように使い古された技術、この場合、「未来日記」を最大限にふくらませているのが本作ですね。

・で、本作。1巻では微妙だったけど、この2巻ではっきりしました。正直、1巻の絶賛はやや不安でした。だけど、その絶賛は正解だったと今は自信をもっていえます。

・現実の世界に1つ(以上)の現実にない要素を混ぜ込んだマンガはいろいろあります。上記の「DEATH NOTE」もそうです。「バトルロワイヤル」も「カイジ」もそうです。「サトラレ」などもそうですね。
・この手の「ルールありき」のマンガにおいて、主人公は1番の勝者になります。最後まで生き残りますからね。また、往々にして、そのルールを破ることもします。
・と、主人公目線で考えるなら、ルールマンガに限らず、たいていのマンガは主人公に有利にコトが進む場合が多いですね。
・主人公はピンチの状況を「ご都合主義」という武器で乗り越えます。そういった点でご都合主義じゃないマンガは世に存在しません。
・その構造を「ルール」の目線からサイドいい換えると、主人公はルールを破ることができるということです。

・本作、そういった点で画期的です。「ルールを破ったものが勝者」ということです。
・考えてみましょう。未来を知るもの同士の決闘。「矛盾」というコトバの語源そのものですよ。どんな盾も突き抜けられる矛と、どんな攻撃も受け付けない盾。これらをぶつけたらどうなる? そして盾にも矛にもなる未来を知る日記。お互いが未来を知っていて闘うとどうなるか?

・その矛盾がぶつかりあうことで、プラスマイナスゼロになるか、大爆発が起こるかということになるんですね。本作は後者を採用したわけです。

・そして、矛盾に打ち勝つためにご都合主義を積極的に採用したのです。通常、隠そうとする「ご都合」を前面に出します。

・未来を知る日記に「あなたは死ぬ」と出ます。それを書き換えるわけですよ。ルール上では死ぬことは確定です。未来が書いてある日記において死ぬと書いてあれば死ぬってことですからね。それをねじ曲げるための戦いです。ルールマンガの主人公が持つ「ルールを破る」という特技を得るために戦うという、かなりの横紙破りが本作には仕込まれていたのですね。
・本作では「奇跡」とシンプルに表現されてます。主人公は2巻で2回目の奇跡を起こしました。ただし、2回目の奇跡は地獄への門を開いた奇跡ですけどね。

・ということで、いわゆる「お約束」が通用しそうでしてない世界での先のみえない物語は今後どうなるのでしょうか。今1番気になることになってしまいました。
・よって「底が浅い」「矛盾ありまくり」的な1巻での論評はまちがいです。そう書いた人の未来日記には今「DEAD END」の文字が出ました。さようなら。

オススメ
(20:07:47)amazon

2006年/10月/23日
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「恋愛ディストーション」5巻 犬上すくね(少年画報社)

・4年ぶりの続巻だそうです。そんな経つか。まあ、その間も充実の仕事ぶりでしたからね。
・カバーめくったら文字ばかりの表紙に4年のデキゴトが記されてましたが、かなりいろいろとあったみたいです。

・でもって本編自体もけっこう怒涛の展開になったりとか。

・大学生バカップル2組の恋愛物語。「ラバーズ7」とか「ういういdays」とちがって肉体関係ありだし、ベッドシーンもある。ま、「ビュクンビュクンいってるぅ」って感じではないのですが。
・少女マンガ文法における事後にベッドの布団の中の2人とか、キスのあと夜景描写とかそういったレベルです。

・と、実はこれがいい感じだったのですね。とくに後半の童貞斬りの年上お姉さまな読みきり2編がとてもよろしい。そうか、実は、エッチなのが重要な犬上作品だったのかとイマサラ思いあたったり。

・登場キャラはは男女ともに「かわいい」のが犬上マンガの特色ですが、男キャラ女キャラでは「かわいい」の意味合いがちがうような気がしますのよ。
・女性の発するかわいさに目がくらんだりひるんだりしてる男キャラのひるみっぷりがかわいい。と、かわいさの連鎖になっていますが、その発端は女性側の場合が多く、それだからこそ、女性側からのアプローチでベッドインにいたるのがエッチくてなおかつピースフルでナイスなわけですよ。

・たとえば、恋人に気を使ってベランダでタバコを吸ってる男のフトコロにムリに入り込む。
・初対面の男のアゴヒゲをさする。
・マンガ家(男)と担当編集(女)という間柄、ガマンしていたのが、最終回の原稿を紛失ってことで、セキをきって号泣&抱擁&キス&ベッドイン。

・なんか「エロ!」てんじゃないけど、いいよねえ。男女の間に生じるドキドキな感じをうまくラッピングしてお届けされてる感じ。

・ということで、やはり本作は時間がかかってもきちんと終らせるべきマンガなんだなと思ったのでした。6巻で終りそうですが。
(17:43:50)amazon

「鬼堂龍太郎・その生き様」4巻 田中圭一(集英社)

・完結巻。
・なんだかインフレやらエスカレーションも過ぎると逆に笑えなくなるんだなと思いましたよ。かなり全力であさっての方向に走り出した末に壁に激突&大爆破なマンガ。

・あらすじを書くのが大変なのですが、鬼堂龍太郎というサラリーマンが野望をもってのし上がっていくサクセスストーリーです。

・4巻はハルカたんの膣内から物語がはじまりますけどね。

・で、神奈川県と千葉県を独立国家としての最後の戦いがはじまって、東京湾が精子でカピカピになって、あとドンドンパフパフと終るわけです。

・最後まで「バカ」でフルスロットルだったのですが、エスカレートするだけなら、いつも最後は宇宙を舞台に神と悪魔の大戦争で終るダイナミックプロみたいなもんでカンタンです。だからこそサジ加減。それがちょっと雑に感じられた4巻でした。

・ただ、4巻で重要なポイントになる、分子1個分の厚さのコンドームってのはスゴイですよね。薄すぎて肉眼で目視できないんですよ。そんなものをどうやって着用するのか?って問題はあるけど、すごいよね。ってギャグマンガで感心してどうする。
(18:05:10)amazon

「軽井沢シンドローム SPROUT」7巻 たがみよしひさ(秋田書店)

・最終巻。あとがき近況マンガ(と書くにはすさまじすぎる近況だったけど)によるとズタボロの状況での執筆だったようで、終ったこと自体がすごいですが、やはりトータルではたいしたことなかった「軽シン」の続編でした。「続編に美味いモノなし」の膨大な蓄積の1つになりましたね。

・2世代分ボーダイなキャラが登場するので正直なところ個々のキャラ設定や物語上の関わりとかはかなり吹っ飛んでしまいましたし、毎巻増減してる始末。死別なキャラも多い。読み込めばたぶん、あのキャラのコがこうなってこうか!ってヨロコビやシカケがありそうです。ただ、読み込むほどのことか?ってね。「NERVOUS BREAK DOWN」のときはコーフンとともに「おお!」と感動してましたけどね。

・前作キャラはフケ過ぎてるし、今作でのキャラ。まあ、2世キャラは、魅力が薄すぎる。誰1人「いい」と思えない憎たらしく野蛮なガキどもにしかみえない。

・で、耕平ちゃんはやはりカッコいいってことか。

・そして、これで、過去の遺産ストックは切れた感じですね。次はどういう展開になるんでしょう。あと、ぬめぬめしたトーンの多いシリアスの顔はあれでOKということになってるのか。一過性のものか。りんかくが丸すぎないか?

・ますますたがみから目が離せる! ということで、一時期ファンクラブにも入ってましたが、しばしさようなら。とりあえず病気を治して復活されたらいいなあと思われます。
(18:40:00)amazon

「臨死!! 江古田ちゃん」1巻 瀧波ユカリ(講談社)

・アフタヌーンで連載中ってのが最大のギャグじゃないか?の4コママンガ。

「女性読者の圧倒的支持を誇る」とありますが、「アフタヌーン」は男性読者が圧倒的なんじゃ?ってことで、これと「カラスヤサトシ」が連載されているアフタヌーンは現在どうなっているのだ?という気持ちでいっぱいです。こわいものみたさで買いそうです。

・江古田ちゃんという水商売やってる女性が主人公の4コマ。とっても内田春菊臭。内田春菊氏の初期の4コマに似てるなと。女性視点の「あるある」なスタンス。

・バカのバンドマンが、2人で飲みにきているのに、将来の夢を雑誌のインタビューチックに語るのを内心ツッコミを入れつつ聞き流したけど、最後にちょっとみせる笑顔に「カワイイかも」とときめいてる。
・行きつけの男の部屋に自分のモノがなくなっていることを知らぬ存ぜぬで逃げ切ろうとしてる男に幼児言葉で内心ツッコミ。
・腕まくらしてくれない彼氏は、自分に情が移るのがイヤなのだということを捨て犬を触ろうとして止められた幼いときの記憶がよみがえり知る。

・なんかそういうの。連載2回4コマ約30本に1本の割合で「ほお」とヒットします。おれの場合、爆笑はないです。

・あ、でも、電車内でケータイがかかり、やむを得ず焦りながら出て話たら、立っていたオッサンに説教されて、「母から久しぶりの電話で」と言い返したら、「母っぽくなかった」と、論点がずれていくってネタはよかった。

・あと、北海道が実家らしい作者が話と話の間に書下ろした1ページネタで絶賛してた「カツゲン」はやはり1度飲んでみたいもんだなと。
(18:58:15)amazon

2006年/10月/13日
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「カテキン」1巻 オジロマコト(講談社)

・地味で暗くて頭のいい童貞の厨房と家庭教師のうれしはずかしエロコメ。
・奔放な女子大生家庭教師の奔放部分に厨房がひそかにドキドキしてるって感じで、「私のオッパイで円周率を求めて!」とかルナ先生っぽいのではありません。
・時間中、ベッドに寝転んで、雑誌を読みふけってる先生。先生が帰ったあとの残り香に包まれて「ええ匂いや」って感じのエロですよ。

・ということで非常にウエット&日陰。それが新味になるんでしょうかね。描写も割合と古い感じで余計にそういった感じがします。

・ところが、どうも講談社というか、編集部からは大プッシュしてる感じが。この感じは、往年の「BE FREE! / 江川達也」のときの持ち上げ方を連想させたり。
・エロコメとしての切り口が新鮮っぽいからなんでしょうか。

・中学生だからエロいといっても「オッパイさわりたい」ってことで、そこだけに集中して思いがいったりするんですよね。そういうところよく描けてると思います。

・ただ、なーんか、ウエットすぎておれ好みじゃないです。各キャラも好きになれないし。みんななんかたくらんでそうで。
(13:16:22)amazon

「ボーイズ・オン・ザ・ラン」4巻 花沢健吾(小学館)

・3巻でかなりあきれてて、4巻の展開次第じゃサヨーナラだなと思っていたけど、4巻は予想の斜め上をいってたなあ。

・軽くあらすじを書くと、好きな女が遊ばれて捨てられて妊娠して堕胎したのでその遊んだ男に宣戦布告をした主人公がボクシングを習い、そして殴りこみにいった。

・いやでもまさか4巻丸々使って牛歩的展開とは思わなかったな。いや「じっくり」描くってのはそういうことなんだろうけど、その「じっくり」がなんつーかあまりよろしくない感じで、中での温度が高まり、それにつられそうになるけど、どうもそれはウソの錯覚なんだよね。自分に似たボクサーが奮闘してるのを延々と描写したり、なんつーかな、対決のために「がんばって」ないんですよね。いわゆるベタな特訓をしてなくて、日々の生活の中で、「なにをバカなことやってるんだ」って思わせたり、対決すべき相手にいわせたりと、相変わらずよくわからん演出を施して、どこに着地させるべきかうやむやにしてる印象を受けるんですよ。「じっくり」描いてるていで実は酔っ払いの蛇行運転的な展開がどうにももやもやするんですよ。

・それなのに、4巻ラストのパンチには興奮してると。そういう自分がまんまと策にハメられているようでイヤ。

・だから、前向きに撤退しようかと。

・5巻以降すごくおもしろくなり、マンガ史に残ることになったらおれの負け。そうじゃないとしても、もともとおれの勝ちはないんで4巻までの金と読んだ時間分の負けで抑えるということで。
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「ブスの瞳に恋してる」2巻 鈴木おさむ&漫*画太郎(秋田書店)

・もう破綻したか。

・芸人の森三中の大島美幸氏との爆笑結婚ライフを描いたベストセラーでドラマ化もされてますよ。そいでマンガ化ですよ。

・って、1巻ではかろうじてあった原作の痕跡が跡形も無く吹っ飛んだ2巻です。原作は読んでいないのでわかりかねるところもあるんですが、あるいは、「フリ」だけは使っているのでしょうか。でも、家庭科の授業で作った料理をまずいといった先生を包丁で刺してないだろうし、ヤクザの親分の前でジョッキにショウベンをあふれるほどしてないだろうし、バイキンの入ったチンコでつかれてエレファントマンみたいになってないだろうし、ドラゴン桜の先生似を殺してないだろうしね。

・と、本作、キモはすぐにマックスまでいってしまう作風の画太郎クオリティを抑え目で展開するところに面白みがあったのですが、すっかりいつもの漫*画太郎でした。3分で1冊読み終えます。
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「御石神落とし」5巻 永久保貴一&増田剛(白泉社)

・昔の人になりてーと思わせる、「茂介編」がまたありましたね。明治初期の農村でのすばらしきセックスライフですよ。夜這いがあり、村の衆が若者にきちんとした性の手ほどきをし、されると。そして、すっかり身体が出来上がったところで最高の快楽を得られ、明日への活力へとつなげると。そういう世界を描いてるわけですよ。とても理に適ったユートピアだ。と、まあそれだけじゃねえんだろうけどね。

・前のもいいなと思っていたけど、やはり人気があったんですね。わかる気がする。あとエロいしね。新鮮だしね。今のほうがどう考えても恵まれてそうな気がして、実はちがうってね。

・安定してますね。しかし、うらまっく氏は家族ごと沖縄に移住されたのですね。昔の沖縄のエロ事情とかもおもしろそうではありますね。ま、原作の人は逆に北海道に移住しようかとかいっておられますが。これが実現すると日本のハシッコとハシッコで描かれてるエロマンガってことになりますね。(ともに巻末のエッセイコミック参照)
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「迷彩都市 カモフラージュ・シティ」1巻 我孫子武丸&中山昌亮(竹書房)

・あの「かまいたちの夜」の原作者である我孫子氏と、あの「PS羅生門」の作画者である中山昌亮氏がタッグを組んで描く「本格巨編ミステリー」です。

・ところが、すげえ残念なところがあります。「本格巨編ミステリー」の本格と巨編の間に「麻雀」が入り込みます。すなわち、「本格麻雀巨編ミステリー」になるんですよ。

・連続殺人事件勃発。死体のソバには麻雀牌がおかれている。で、かつての敏腕、今は麻雀ばかりしてるグータラ刑事、その刑事にかつての活躍を取り戻してほしい後輩刑事。ヒソカな趣味として麻雀をしてる交通課の婦人警官の3人がチームを組んで殺人事件を調査していくとそこには深い闇が待ち受けていた。

・ツカミはOKで、奥も深い。謎解きのテンポもすばらしい。それでいて作画もバッチリ。だけど、麻雀がとっても重要ってのがネック。もったいないよなあ。だって、いわゆる「闘牌」シーンがあるんだもん。そら、麻雀劇画誌に連載してるんだもんね。

「**について知りたかったらおれから麻雀で勝ってみろよ」的な。こういうベタなシーンをはさむわけです。しかも負けたら身体で払うのです。そう、交通課の婦人警官が勝負に挑むのですよ。また、そのシーンがかっこいいんだ。

・ということで、麻雀知らない人にすすめられないのがはがゆいミステリーです。もうすぐ完結編の2巻が出るはずです。
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2006年/10月/12日
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「惑星のさみだれ」2巻 水上悟志(少年画報社)

・1巻ではオススメしたのですが2巻はちょっと残念なデキになりました。

・ある日地球の危機が訪れます。それを救う姫に従える騎士になれと、トカゲにいわれまして、その姫はトナリの娘で、って感じのご近所冒険ファンタジー。

・2巻での新キャラが割合ととってつけたように登場&退場だったのがどうも拍子抜けな感じでね。おれの心に住まう前にいなくなった感じで好きになれなかったし、そのわりにそればかりな2巻だった気がするし。
・いや、そのキャラの存在意義や目的とするところはよくわかりましたし、それに至る意味みたいなものもわかったつもりですが、どうにもこうにも、風のように現れて去った感が。
・いい言葉を思いつきました。素っ頓狂。なんだか1巻までの物語にうまくつながってないような。というか、おれが1巻のストーリー忘れたのかしらとも思いますが。1巻の終わりに登場したそのキャラが2巻の終わりにかなり大きな存在になっているそのスピードが解せないというかね。そして2巻の終わりに新キャラ登場。そのキャラのためのキャラだったんかなーって感じが強すぎるんですよね。

・いや、なんか展開急いでるよね。3巻で終るから? 熱湯で5分なのに、カップヌードルといっしょで3分かと思ったらカチカチだったカップうどんのような感じ。もうちょっと定着させるためのページがほしかった。それがシミジミ惜しい。ダシはいつもどおりで美味しいし。

・と、素っ頓狂なキャラの登場&退場以外はおもしろかったですが、姫や他の女性キャラが薄かったかなとも思ったので、露出も含めて3巻での巻き返しを期待したいところです。1巻でのなんともいえない色気も気にいっていたので。
(18:23:28)amazon

「エンジェルお悩み相談所」水上悟志(芳文社)

・公園のベンチで「天使さまお助けください」を3回繰り返すとホンモノの天使が現れてあなたのお悩みをきいてくれる(かなえてくれるわけではない)という1回読みきりの「日常ファンタジー」というかコメディ。

・後半レギュラーが増えてきますが、毎回、コンパクトにほのぼのを展開してる手腕はたしかですね。ホロッとくる度は高いし、バリエーションも豊富。
・萌えってんじゃないし、書き込みが多いわけでもないし、どっちかというと今風の絵でもないし、エロいというより色気がある女性描写もいい。なんでか知らんけどいいんだよね。ライバルの悪魔の弟子のコがかわいかった。

・水上作品に共通してうっすらと漂ってる独特の空気。万人は好まないような気がするし、気がつかない人が多い気がする。おれももっと具体的にコトバにできないのがもどかしい。なんていうかな、絶対温度が低い感じ。「寒い」じゃないけど、熱狂とかコーフンとかから一歩ひいたような感じ。そういったのは本作品でも健在。シニカルとかニヒルってんでもないんですよね。なんだろうねこれ。意外とこういうの持ち合わせてる作家は多いよ。ま、ものすげーわかりやすい区切りでいうと、メジャーかマイナーかって感じかも。この空気を描ける人は基本マイナーだよな。

・ということで、楽しく読ませていただきました。もっと女性を前面に出した、ちょいエロなのを描いてみられるといいんじゃないでしょうか。どうしても男のほうに肩入れしたいようですが。
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「デビルエクスタシー」4巻 押見修造(講談社)

・最終巻。本来2巻までだったのを4巻までにしたそうです。そのおかげなのかスケールの大きな話になりましたね。ハリウッドクラスまではいきませんが、日本の超がつかない大作くらいか。

・女性になりすましてサキュバスという種族が人間社会に入り込んでます。彼女らは超美人で巨乳で身体能力は人間のそれを軽く凌駕しておりますので、様々な分野に入り込んでいます。彼女らは生殖器が人間のそれとはちがうために、特殊な能力で人間のオスからザームというものを搾り出して摂取することで妊娠出産が可能です。そいでザームを吸い取られた男はほどなく死亡します。

・という2種族での愛を描いた大作でした。

・2巻まではエッチだったんですが、いつのまにか、「ヴァンヘルシング」とか「バイオハザード」チックな感じになってきて、4巻では、死屍累々の新宿にザームの川が流れてるってな状況でね。

・まあ、1番すごいのはすべて終った後日談ですけどね。「街はすっかり落ち着きを取り戻した」じゃねえだろ? それで片付けていいのか?って。

・トータルではそういう粗さも含めておもしろかったです。次回作を期待してます。
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2006年/10月/8日
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「芸能グルメストーカー」泉昌之(コアマガジン)

・企画ありきのルポマンガです。その企画がとにもかくにもすばらしい。
・女性芸能人がインタビューなどで推薦してる店に行き食べることでその女性芸能人に思いを馳せつつ、店と料理と、それを選んだ芸能人を批評する。

「好物には必ずその人の本質が現れる」

・けだし名言だと思います。まあ、やってることはミーハーの極みなんですがね。

・ということでルポマンガなれど、そこは東京シャイネスのお二方。「本郷」というトレンチコートの彼らの分身に料理を食べさせており、作者を消しておられます。

・以前にも久住昌之(原作)氏の本で、「自分が風俗にいくのははずかしい」ということで、トモダチでそういうのが好きなやつにいかせて、その後、話を聞くという、かなり異色の風俗ルポを発表されてました。今回はそれよりもさらに作者を消しておられます。

・杉田かおる氏の推薦天丼のタレが甘いことに彼女が小さいときから子役としてがんばっていたため、普通の子供のように甘ったれてなかったことを想起したり。
・上戸彩の推薦オムライスがベタで見た目どおりの甘くてくどいことに彼女が粘着質でつきあってるとうわさされているV6の森田くんを「大変だろうな」と心配したり。
・YOU推薦の黒豚酢豚のさりげない上品さに彼女の女としての手練手管ぶりに感激したり。
・矢田亜紀子推薦のエビマヨの子供味に彼女がつきあってる押尾さんと重ねてみたり。

・と、まあ、とっても余計なお世話のこじつけが展開されているのです。それがとても下世話で楽しい。断定具合がスポーツ新聞の玉門占いくらいテキトーなのもまたいい。
・しかも料理店は実名だし、有名店が多いのでそのまんまグルメ批評にもなります。
・あんまりにも似てない似顔絵もまたご愛嬌ですしね。

・オビにある「泉昌之感」とは、観察の細かいところと下世話なところですが、それもまたいいね。つけ麺屋のボロボロののれん、工藤静香の絵のセンスを推薦の焼肉屋に見出したり、「半個室」を芸能人が好むんだろうという推測(やたら多い)とかね。

・で、くやしいんだけど、1番美味そうだったのが、渡辺満里奈推薦の天ぷら屋だったりね(ま、池波正太郎氏もいきつけの超名店だそうだからな)。

・おもしろかったですよ。
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「実録脱力麻雀戦記 ヘボからの脱出」かかし朝浩(桃園書房)

・エロマンガ家のかかし朝浩氏の麻雀マンガです。


なかなか無いよ? 素人が描いた麻雀戦術の本


・ということで、麻雀戦術の本にはなってます。「**と戦った。*万負け」みたいな西原チックなやつではないですね。

・毎月宿題が与えられるのです。それをクリアするという、ゲームでいうと「ミッションモード」的な感じですか。
「テンパイまではドラ牌を切るな」からはじまり、「オカルトを信じろ」ってのもあり、「誰かをトバせ」とかね。

・もちろん、この位置で書くことではないんですが、麻雀知らない人はいっそ清々しいほど無用。

・そして、おれはイマイチ存じ上げませんでしたが、実在のエロマンガ家がたくさん登場されます。じゃみんぐ氏(唯一知ってるか)、天崎かんな氏、森田なゆた氏、海野やよい氏、生駒一平氏などなど。

・あと、プロ雀士の方や編集の方など、あらためて書き出してみると、あまり華やかじゃない面々が登場されて、かかし氏のミッションにつきあってます。メンツが揃わないときは東風荘とか使用しております。

・麻雀戦術としては役に立たないような気がします。データ取りが少なすぎない? あと、分析も少ないし。あと、タイトルとおり、おれなんかみたいなもう実際の麻雀は10年以上、東風荘も3年近く遊んでない身にも、ヘボだよなあ。3万と9万の捨て牌でリーチしてて初牌に6万切るかね? 当然一発くらってるし。かと思ったら、裏表でドラを7つのせて数え役満をあがったりね。なかなかアップダウンが激しい打ち手ではあります。

・麻雀の打ち方もそうですが、マンガのほうもややクセがあるんだなとイマサラ発見してみたりしましたよ。「?」と理解するのに時間がかかる表現があったり、わからなかったりがたまにある。端折るポイント、ひっかかるポイントが人とはちがうみたいですね。ページ数が少ないんだからしょうがねえだろ!っていわれるとそれまでだけどさ、このエピソードを1コマで、ここを3コマかよ?とかそういうのが散見されました。とくにゲストで4コマを描いていた天崎かんな氏のネタとかぶっているところの差異が興味深い。

・ちなみに、すかいらいん氏(多分女性)がかわいらしかったね。彼女ともっと打ってほしかった。

・あと、エロ要素はゼロですので。アマゾンはかわいそうなので18禁モードにしないであげてください。
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2006年/10月/6日
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「ネコサス:シックス[完全版]」塩野干支郎次(ワニブックス)

・塩野氏のことは未だによくわかってませんが、「ブロッケンブラッド」 塩野干支郎次(少年画報社)という作品に出会いまして、それがおもしろいので、ギャグマンガ家として本作を手にとりました。鬼才のデビュー作が"幻の最終回"や商業未発表作品も収録して「完全版」として発売されたものです。以前のはアマゾンでアホみたいなプレミアがついてます。

・未来の世界からきた猫耳アンドロイド(女)とダラダラしてるギャグマンガです。

・引き出しのないパソコン机の下に現れて、見栄を切ろうとしたら机の天板に後頭部をぶつけて悶絶してるアンドロイドをみた瞬間、もうツボに入ってしまいました。

「ブロッケンブラッド」のときのような著名人の似顔絵ギャグってのはなく、ほんのちょっとのドラえもんなんかのパロディネタ以外は、ノホホンとした萌え系のネタが多いかもしれないね。
・今でも余裕で通用する女の子のかわいさや、あまり時事や深いパロディがないことも古びない要因になっていて、2006年にはじめて読んだのですが違和感はなかった。
・ただ、完成度が高いギャグというより、ヌルイのをニヤニヤしながら楽しむタイプで万人向けではないよなと思う。猫耳が取り外し可能とか、それがブルブル震える。アンドロイドがキーボードを怖がるとか、よくわからないし正直生きてない設定もいろいろあるしなあ。
・ただ、そういう不条理交じりのオタクギャグに必須の条件である「なんか楽しい」ってのはバッチリ保証されておりまして、なんか楽しいまま、幻の全力で投げる最終回をタンノウできますですよ。

・ギャグマンガ家としての塩野氏はこれからも注目していきたいなと思いました。
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「おりんちゃん」1巻 川島よしお(双葉社)

・まだ若くいらっしゃると思うけど、すでに老成されて、いい意味で「なに描いてもいっしょ」な感じになられているのがステキな川島氏の最新作です。
・0歳のおりんちゃんが、たよりないママのめんどうをみつつ、親娘2人でアパートの四畳半でたくましく生きていく4コマ。

・部屋を汚しているママに、「橋の下に捨てまちゅよ」とおどかして、掃除させるおりんちゃん。
・ママが描いたまま昼寝した、りんちゃんとママの絵に涙するおりんちゃん。
・ホステスをしているママのかわりにメールを一斉送信したり、ブログを連載してるおりんちゃん。
・先生編では女子高の担任になっているおりんちゃん。0歳なのに。

・ピースフルな空気がただよってます。4コマでは基本ですけどね。でも4コマでは法外なくらいの書き込みです。しかも、ローアングルが多いのがめずらしいですよね。だから、いろいろなところの天井がきっちり描いてあります。

・初期のころのような、エッチというか、お色気な感じのネタはもうやらないんでしょうかね。ここしばらくは「ほのぼの」が強いような気がします。
(18:18:37)amazon

「団地ともお」8巻 小田扉(小学館)

・毎度毎度ですが、8巻はとりわけ表紙が最高。なんの絵だ?って感じですが、中に答えがあるところがいい。
・8巻はひょっとしたら過渡期かって思いました。これまでもそういうところがありましたが、もっとも「ともお」が薄いような気がした8巻でした。
・団地に住まう、小4のともおとそのユカイな仲間たちのストーリーですが、今回は主人公ともおがメインで活躍する話よりもユカイな仲間の話のほうがおもしろかったです。

・なにしろ初っ端に双子の小学生の話とバイオ部の熱血男子と強烈なのを繰り出しますからね。

・あと後半にも母校を探している老人とか、魔法の杖を持ってる男子高校生とか登場します。

・ともおメインにしても「あくまで1人旅をする」ともおや、1日が長くて長くてたまらないともおとか、ちょっとねじくれ度が高い話が多いです。

・んまあ、それらをして過渡期かなと。

・個人的に大好きな話も8巻ではともおメインじゃないな。走りながら小説を書く少年。まわりから知り合いがどんどん減っていくともおのじいさん。この2つがとてもツボった。

・一筋縄でいかないキャラが多いマンガではあります。
(18:33:52)amazon

「華中華」2巻 西ゆうじ&ひきの真二(小学館)

・そういや、小学館には「ラーメン発見伝」というラーメンネタの「美味しんぼ」マンガがあるね。本作はそのラーメンがチャーハンになったマンガです。なにげにマンガ界初なんじゃないか?チャーハン専門マンガって。

・横浜中華街の名門レストランで下働きをしているハナちゃん。ところが彼女はひょんなことから店の休憩時間に老夫婦が営む小さな中華料理店でナベを振ることになったのでした。14時から16時までのチャーハン専門店。いつしか、店は評判を呼んで、毎日行列ができる店になったのです。

・という基本に、いろいろな人がからんでくるという例の「美味しんぼ」パターン。

・くわえて、「蔵の宿」のネバーネバーエンディングの、ループループなストーリーの原作者パワーが炸裂で、小学館の「人情+ウンチク」の黄金パターンにがっちりはまり込みました。小学館は何本そういうマンガを抱えているのだろう。

・そいで、チャーハンです。ぶっちゃけ、2巻にしてチャーハンネタは破綻してるようにお見受けしました。1巻はいろいろと本職のものとしても参考になることが多かったのですが、2巻はもはや「チャーハンどうでもいいじゃん」って感じの展開が多かったですね。
・餃子の皮の話とか、チャーシューを焼く話。松茸、トマト、タマゴなど、食材メインで進行して、それをチャーハンに混ぜるってパターン。

・絵は相変わらずスゴイです。かわいくて親しみやすいのに精緻だったりするんですよね。ベテランの職人絵師の円熟のワザといったオモムキです。

・ただ、ネタ的にはどうでもよくなったので3巻以降はいいかな。どうも西ゆうじ氏の原作はループまるわかりで飽きるわ。
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2006年/10月/3日
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「電波の城」2巻 細野不二彦(小学館)

・古瀬絵理氏がオビで推薦してますよ。スイカップですよスイカップ。「フリーアナウンサーって大変なんです!!」ってコメントに胸を大きく開いた服の写真付き。ああ、とても大変だってことを伺えるしとてもスイカップであることも伺える。ありがたいありがたい。オビの背表紙にまでいる・ありがたいありがたい。おっぱいもみたい。

・ということで2巻。久しぶりの非1話完結の細野作品というオモムキがするボクですよ。「全部読んでいるのか?」と問われると微妙な気がするのですが、こんなにつながって延々とつづきになってるのは「太郎」以来じゃないかしら?

・弱小プロダクションに突如現れた謎の美女詩織。お天気キャスターをめざす詩織のマネジメントをすることになる。そしていよいよオーディション。そして「史上最悪災厄」といわれた札幌のFM局アナ時代も描く。

・と、まあ、ポイントはこの詩織ってキャラクターですね。タイトルがダブルミーニングになっているワケですね。電波業界を舞台とする話であり、彼女自体がいわゆる「電波」なんですね。
・2巻にしても謎は深まるばかりです。1巻ほど派手な動きをしてませんが、「コワイ」のは同じですね。なにかしでかしそうな得たいのしれない怖さ。

・これまでの1話完結の作品に比べて、かなり腰を据えてじっくりやるぞって意欲がビシビシ感じられます。細野氏の職人魂はすさまじいものを感じます。修羅の道を歩んでいる感じ。
・いつも細野作品に触れ、そのストイックなまでの完成度の高さをみるにつけ、同じ細野作品の「あどりぶシネ倶楽部」を思い出します。
・大学生のシネマ研究部のマンガなんですが、ある日、SF映画を撮ろうとして、オタクグループに協力を要請します。とくに宇宙船によるバトルシーンの美術をまかせたのですが、当時も今もよくある「内輪ウケ」に終始したおちゃらけ世界にダメ出しをするんですよ。「ケチやなあ、頭かたいなあ」とノリの悪さに憤慨するんですが、そのオタクの中の1人が個人的にコツコツと組み上げていたジオラマを使いコトなきを得るという話。
・いや、「クラッシャージョー」のコミカライズからはじまり、お色気忍者ギャグの「さすがの猿飛」など、実はイマドキのマンガ家のパターンの超先取りだったりするんですよね、細野氏。角川書店とかメディアファクトリーとかたくさんいるじゃん、その手の。「萌え」なマンガ家だったんですよね。ただ、そうしながらも、徐々に路線変更していったわけですよ。

・本作のみならず、初期の「GU-GUガンモ」あたりにもう散見できたのですが、どうも細野氏はキャラにヘンなアクセントをつけたがるクセがあるようです。通常、キャラにつけるアクセントは、そのキャラを立たせるものですし、マンガにおけるキャラを「立たせる」というのは、ベクトルとして、実際にいるように思わせる、転じて、現実味を持たせるためって理由が大きいと思いますが、細野氏の場合、それが逆に、「そうか?」と読者にイメージ合わないと乖離してしまう効果があると思うのです。あくまでおれはそう感じることが多いのです。
・カンタンにいうと、「なーんかちがわね?」ってことですよ。
・たとえば、本作品での詩織のおもしろくないときのクセとしてクチビルをブルブル振るわせる、ブーイングの音。ちがわね?

・でも、その「ちがわね」は本作品がマンガで虚構であることをガッツリと意識させるという利点もあり、「この女こえー」というマンガをマンガのラインで楽しむことができるってのも大きいんです。ゴラクのラインで留めているというか。最近だと、「わにとかげぎす」あたりの不安に苛まれ将来が不安になるようなことはないんですよ。だから、もしかしたら「あえて」なのかもしれないか。あえてファンタジー化。あえて架空化。そこいらはよくわかりませんが。

・ひとついえるのは本作は近年の細野マンガの集大成になるかもしれない重要作品だということです。とりあえず3巻での札幌の過去編をみてオススメを出したいです。現状でも限りなくオススメです。
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「ぬいぐるみっくす」1巻 泉ゆうじ(ワニブックス)

・例のエロバカギャグマンガですよ。日本はエロバカギャグマンガがたくさんある国で本当に助かってます。諸外国では悶々とした少年期はどうやってやり過ごしているのでしょうか。

・ドキドキすると意識が遠くなり、その意識がヌイグルミに入り込んでしまう少年のエロバカギャグマンガだよ。

・たいてい、入った先のヌイグルミでは女子が裸になったり、オッパイをおしつけながら抱きしめてたり、中には、等身大のヌイグルミに身体全部を押し付けてオナヌィしてたりしますよ。
・ヌイグルミってのがミソで、女子が無防備になったりするけど、手は出せないってことです。だから、つまり、裸でムギュー程度で終ってます。
・ま、ヌイグルミとかカンケイなくどんどんエロなのであまり設定が生きてはいない感じではあります。三角関係ラブコメのていをなしてます。

・どんどん絵柄が変わります。アカラサマに頭身が上がっていくので別人で別の話かと思ったくらいです。で、後半ほどアカラサマにエロになっていきますし、キャラも増えていきますが、内容を鑑みると頭身が低いカワイイ絵柄のほうが合っていたのではないかと思えるのです。「エロ入って魂入らず」って。

「$」みたいな感じのポニーテールの髪がほぼ地面に届きそうなキャラの髪の毛が気になってしょうがありませんでした。フィギュアかよ!って。

・あと、キャラの裸体でのメリハリをもうちょっとつけたらどうだろうと思った。

・でも、エロではあるなと。これで青少年は何人か助かってるなと。
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「ハクバノ王子サマ」5巻 朔ユキ蔵(小学館)

・5巻ですぜ。5巻のクライマックスが手をつなぐシーンですよ。江ノ島の洞窟で手をつなぐのです。

・女子高に30歳過ぎの独身美人教師がいました。そこに20歳台の独身の男の先生が赴任してきました。ただし、彼は遠距離恋愛でフィアンセがいました。
・その2人ですがお互いに惹かれあってるのですね。でも理性が勝っている(人のものだからって)。そして、最近では、男教師のほうがグラグラになってきているワケです。美人ですしね。向こうもまんざらじゃないですからね。

・で、5巻にしてクライマックスが手をつなぐシーンなワケです。すげえですよね。牛歩でいうと、「カイジ」とかの比じゃないくらい進展しないし、おめえら何歳じゃ!って感じですが、逆なんですよね。「大人」だからこそ、踏み込めないところにお互いじわりじわりと侵入していく感じがとてもエロいんですよ。だから、手をつなぐシーンで、本当ドキドキする。
・このドキドキは「はじめて」のドキドキとはちがうドキドキです。たとえば、ビルとビルの綱渡りを2人で行っているときに、揺らしてみたりする感じのドキドキが近いかもしれないね。つまり、やったら終わりなワケですよ。お互いの立場として終るわけです。だけど、接近しなくてはいられないわけですよ。

・後半、彼女を忘れられない男がつないだ手から、ベッドの下にいる彼女と手と手をつないでるシーン連想して、頭が真っ白になるシーンが端的です。その後、彼は学校から彼女に電話をかけるわけですよ。

・と、女性用のエロだなと思いました。まちがったらいってください。昨今では作者名を見る限り、おめえ、それはパッケージがファンシーなだけでコンドームじゃねえかって感じの女子用エロマンガがかなり普通に買える感じなので、もしかしたらちがうかもしれませんが、その女子用のエロを男にもわかるように変換してお届けしてるところに朔ユキ蔵氏の凄みがあるわけですね。
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・[ケージバン]