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ポトチャリポラパ/コミック/2007年
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2007年/5月
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2007年/5月/20日
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「よりぬきピータン!!」伊藤理佐(講談社)

・伊藤理佐氏には微妙な評価を続けている。あるいは「いた(過去形)」
・下ネタを描くマンガ家として登場し、あけすけでストレートな下ネタギャグをトクイとする反面、男女のクスリと笑えるコメディ要素の強い恋愛事情も描くことができ、なおかつ、エッセイマンガもおもしろいと。「やっちまったよ一戸建て」なんてのは、エッセイコミックの殿堂入りを果たしていると思います。

・基本、「おもしろい」人です。ただ、非常にもうしわけないですが、金を出して買うって感じがあまりしない人なんですよね。正直、おれもエッセイコミックをタイミングが合うと買うくらいで、あとは、「ブックオフ」で105円コースってのが多いです。

・いや、本作も中古で買ったのです。ずっと買おうか買うまいか悩んだ末にそのヘタレな決断でした。すみません。

・そう、あやまらないと気がすまないくらいおもしろかったです。

・けっこういっぱいマンガを買っていると思います。読みきれないで積み上げているマンガも多いとは思います。そんな中、5回くらい通して読んでいるってのはセールスにつながるコピーになりますかね。

・食に関するオムニバスショートコミックです。メインとなるキャラは、デブの男前で、食のこだわりが強い「ピータン」というそこそこの役職についてるサラリーマンと、その同僚で恋人。あとそこの親類や、まったくカンケイない人も含めて、「食」をテーマにしてユルユルとニヤリとできるショートが続きます。

・本作は「基本編」ということで、有名キャラを中心に構成されているし、キャラ同士のカンケイも把握しやすいエピソードを並べ、なおかつ、読者人気投票の1〜10位の話も入ってるという、まさに「基本編」です。と、エラそうに書くことはできないんですよ。まだほかの読んでないんですから。

・そうだ、本作は、エッセイコミックでも散見される下ネタがかなり抑えられているんだな。少なくとも基本編ではほぼ皆無かもしれない。1話目はベッドシーンからはじまるけどさ。

・とにもかくにもキャラメイクが最高。基本、「いい人」が多い伊藤理佐ワールドではありますが、ここにいる人は、いい人+かっこいい人が多いか。とくにピータンが最高。「デブの男前」ってキャッチが本当にいいえて妙だなあ。

・いっこ話を書きます。
・ピータンの部下(OL)が、出入りの業者にセクハラ(尻を触られる)されて殴りました。それを翌日ピータンとあやまりにいきます。OLはあやまります。ピータンもあやまります。OLもフォローしてくれると思っていたのに全面的に非をみとめているピータンにがっかりしてます。もちろん大人だから心の中でです。
・そして、機嫌のよくなった業者にピータンがたずねます。「ここらへんでおいしいラーメン屋ってどこですかね?」と。
・そこにいきます。並びます。食べます。OLは怒りやらなんやらで味がわからないです。
・食べ終わったピータンはいいます。「アイツ(業者)、きってもいいから」

・ピータンいわく、うまいラーメン屋を知ってる人なら気が合うってことでガマンできるけど、あの程度のラーメン屋(を美味いとする)じゃあガマンする必要がないって。そこでOLさんはちょっとホレそうになります。

・いや、かっこいいわ。奥さんもガキどもも読ませると「そうかあ?」といってました(おもしろいとはいってました)けど、ピータンいいわあ。ホレるわ。

・そのほかのピータンが登場しない話もまたいいんだわ。「今晩なに食べたい?」に答えない娘とダンナにキレる母親の話とか、週末に行くフレンチをタンノウするために脂抜きコッテリ抜きをしてるOLの話とか。こういう「食」に関するキメの細かさに目からウロコがドバドバ落ちます。ひょっとしたら感動の涙も落ちてるかもしれない。そう、感動してるんですよ。「カレー心」なんてすごくよくわかるんだ。おれも彼のように周期的にカレーが食べたくて死にそうになるときがあるから。このラストには真剣にぐっときて泣けたんだ。

・いやね、「あたしンち」と同じだなあと思った。けらえいこ氏の作品もそういった感じでつかず離れずだったんだけど、「あたしンち」のおもしろさにふと気がついて、まとめてドバドバとコミックをそろえて今やリアルタイム買いどころか、毎週日曜日の読売新聞を楽しみにしてる感じですからね。

・おもしろかった。自分内の伊藤理佐氏のランキングが大幅にアップしたし、たぶん、本作、アマゾンのレビューでもそうしてる方が多かったけど、ある点での最高傑作かもしれない。下ネタ部門やエッセイコミック部門もあるからね。それらを抜いた純粋コミック部門か。

・既刊コミックそろえるぞ! 10巻(既刊は9巻まで)はリアルタイム買いするぞ!

・なんだか、久しぶりにベストアルバム買って気に入ったからアルバムを追いかけるって気分になってる。なんとなれば、未読の全作品をそろえようとの思いもよぎるけど、それをすると伊藤理佐破産するので自粛。

オススメ
(16:16)amazon

「ヒャッコ」1巻 カトウハルアキ(フレックスコミックス/ソフトバンククリエイティブ)

・Yahoo!コミックで連載してます。Yahoo!コミックってなに?

[Yahoo!コミック]

・これです。IEで読むことができるみたいですね。というWEBのアレですね。最近はこういうのからコミックが発売されたりもあるのでますます書店のコミック棚がワケわからない状態になってますね。いっときの(今もか)文庫本の混乱を感じさせます。

・基本4人の女の子がドタバタする学園コメディです。学園コメディってなに?それは、「あずまんが大王」みたいなやつだよ。ああなるほど。
・まあ、4コマじゃないんですが。

・ということで、こういうのはキャラが命。もっといえば、キャラや雰囲気がかもす空気がスキかキライかが命。つーか、とどがつまるとポイントはそこになる。「萌え」を語るのが難しい原因だよね。雰囲気一発だから。

・で、本作、おれは好きだ。以上! いやいやいや。

・タイトルの意味がよくわかりませんが、4人さんのキャラも立ってるし(名前がもうひとつオタクくせえ凝ったやつでオレ内に浸透してねえけど)、続々増えるゲストも一発ギャグかと思うくらいわかりやすくキャラが立ってるので(キャラ)見失い注意報は現在のところ出ておりません。

・共学の高校でありながら、男性にはほぼフォーカスしてない感じは「あずまんが大王」以降のノリではありますが、4話目から毎回ゲストキャラが登場するのは、実はけっこう古いマンガのスタイルですよね。わかりやすいのでいうと「天才バカボン」とかまでさかのぼったり。ま、ジャストなたとえは「アンパンマン」なんですけどね。テンドンマンやらハンバーガーキッドやら。

・ということで、基本4人は、破天荒、お嬢様、おっとり巨乳、不思議ツルペタという感じで、ユリとかヤンキーとかナニワ商人がゲストです。アタリマエですがみんなかわいいです。

「ちょっと」がモットーですか。お色気も破壊力のあるギャグもちょっとのサジ加減です。その「ちょっと」加減がまた好みの分かれるところですが、いい具合です。ヌルすぎずアツすぎず。キャラもそうですね。非常識のラインがまた絶妙。たとえば、「あずまんが大王」のときのトモちゃんのように、これから入る別荘のカギを草むらに投げ込んだりはしませんが、2階から飛び降りて足を捻挫したり、1時間目が体育だからって体操着(下はブルマ)で登校したりしますよ。

・ときおり不安になるくらい荒い線のときもありますが、概ねカワイイまま駆け抜けてます。

・そいでなにがすきかって、ムダな設定がないところですかね。最近、「滑り止め伏線」みたいなのをあちこちにちりばめているマンガが多すぎだからね。

・楽しむことができました。7月には評価が高いそうな「夕日ロマンス」ってのもでるみたいで、それも楽しみにしてようと思いました。
(19:11)amazon

2007年/5月/17日
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「じみへん 中濃」中崎タツヤ(小学館)

・毎度毎度の「スピリッツ」での2p連載で18年だそうです。ソフトカバーになってから巻数表示はなくなりましたが、9巻目にあたります。

・2つのオドロキがありました。

・オビによる「じみへん」の新しい価値観の提示。

「寝る前推奨 おやすみコミック」

・なるほど、そういわれてみれば、このオフビートというか、単調ともとれるシンプルなリズムと、激しく感情を揺さぶらない内容は入眠を妨げるものではないですね。
・睡眠薬じゃなくて、最近、CMでやってるような、睡眠導入補助って感じのね。

・まあ、ずっとファンのものとしては「そうか?」とも思いますが、こういう新たな価値観に釣られるやつが登場するのは新規ファン開拓という点で有意義だといいなと思う。とくに女が引っかかればいいなと思った。「なにこれ?」と思われる可能性も高いけどさ。それはそれでユカイ。まあ、ムダのきらいな男が、下着ドロはマタの当たるところだけ切り取って盗めば収納にベンリじゃない?って提示してるマンガを好むのは限られてくるだろうよなあ。

・もうひとつ。これはかなり驚いたのですが、作者のあとがき。


ここに収録されているほとんどはパソコン描きました。


・なんだかすごく意表をつかれた。そういわれてみれば前の「じみへん たたき売り」あたりから、「ん?」と思っていたんですよ。なんだか、線が「堅く」なったなあって。まあ、あとづけで今思ってるのかもしれませんが、端的に、絵が下手になったのは、加齢によるものかなあっと思っていたのです。まさか、PCだからとは。そう思ってみると、トーンワークとかけっこう微妙に手が入ってるなあと。

・ま、それで本質的には「変化ナシ」と思っていたし、本人さんもあとがきでそのようなことを書いてるのがすごくおもしろい。なおかつ、やめたのがさらにおもしろい。「やっぱり紙にペンのほうがいい」んだそうです。中崎氏がその結論にいたった経緯をすごく知りたいと思った。

・内容は、少しだけ「達観」の領域につま先の1部だけ入ってるというサジ加減が絶妙ですね。どこにも似たものがないラインにずっといますね。中崎氏はマンガ自体をほとんど読まないそうです。そういう孤高ぶりが最大に効果を上げている作風ではありますね。とくに674話が最高でした。この間やオチは世界中で中崎氏にしか出せない領域だろうなあと思います。

・ということで、次巻は紙にペン100%になるようで、それと本作を比べてどうなのかってのは楽しみです。
(16:12)amazon

「チュニクチュニカ」水谷フーカ(司書房)

・オール描き下ろしの、「心震えるファンタジー」です。

・作者についてはよくわかりません。作者の名前と、タイトルで気になっており、書店で手にとってみました。

「ファンタジー」なので年代とかは例によってあやふやですが、世界史でいうところの大航海時代くらい。どうもヨーロッパくさいところが舞台で、そこから新大陸「チュニク」からはじめて1人の人間をつれてくることに成功する。少年だった。少年は「チュニクチュニカ」を探していた。

・演劇的だなと思いました。話はすごくよくできている。キャラクターもいい。でも、セットが書割。そこを想像力で補う力を試されるような感じさね。

・ネタバレになるので詳しくはいえないけど、チュニク大陸の描かれ方がねえ、漫才でのシチュエーションコントで、2人がクルリとその場で回転して、「さあ着いた。ここがチュニク大陸かあ…」って場面転換みたいなのがどうにもこうにも解せないんだよなあ。

・チュニク大陸の広さやら大きさやら遠さがまったく描かれてない。いやまあホント、きわどいところなんだけどさ、別に大阪と淡路島でも成立する話のような気がするんだよねえ。「大陸」じゃなくて島でいいじゃん?って。

・それが筆頭で、とにかく、「大きさ」「広さ」「遠さ」がまったく描かれてないファンタジーだったのです。
・まず、主人公たちがいる国について、情報があまりにも少ない。そこがわからない状況でチュニクがどうとかまったくわからないんじゃ、Wでわからない。そして、チュニクからきた少年はその国の人とみかけがまったくいっしょってのもよくわからない。パターンとして、白人に対する黒人、あるいは黄色人種とかねえ。服装とかもな。
・国をあげての探検にしてはそれを感じさせない狭さも気になるところ。

・ファンタジーでもっとも大事なのはそこだと思うんだけどね。だって、現実にない「ナンデモアリ」な世界を描くんだもん、ナンデモアリな分、「ナンデモ」をちゃんと描いてあげないとキャラクターたちはどこに足を置いてストーリーを進めているのかが、わからなくなるじゃない。それだとファンタジーにする意味がないじゃない。それはただたんに、現代日本じゃないどこか作者にとってのみ都合のいいテキトーなところなだけじゃない。それは逆にファンタジーに真摯に向かい合っている先達に対して失礼じゃない。

・いやあでもホントそこいらもなんもかんも含めてネタバレに抵触するようなデリケートな問題なんですよねえ。いやもうおれのツッコミが無粋なところってのも重々わかってるんです。すごくなんかこう言及しづらいんですよね。少しづつ工夫すればもっとよくなるってのがたくさんあるんですよね。いっそ、本当に大航海時代のスペインあたりを舞台にしたらよかったんじゃないか?とか。せめて、チュニクへの遠さとかねえ。あと、そこいらに無数に存在する謎とかね。

・ま、だから、最大の弱点はスケールのはき違いですね。大きいんだか小さいんだか。それをちゃんと描けてないって純粋に技術の問題もありますし。描いたシーンのいくつかにナットクがいくことができませんでした。話の美しさはわかっていると思います。たしかに心震えるファンタジーなんです。

・単純にページ数の問題なのか?それとも題材のチョイスの失敗か。描き下ろしってのは難しいものですね。

・おれはそういうことで入り込めなかったのかもしれないです。残念です。作者の次回作は期待してます。リメイクとかあっても買うかもしれないなあ。この話は惜しいよ。
(19:37)amazon

2007年/5月/14日
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「かよちゃんの荷物」1巻 雁須磨子(竹書房)

・不思議な感触。

・かよちゃんという30歳独身1人暮らし彼氏ナシの女性の日常を描いたショートコミック。

・これが妙なとっつき辛さを感じるんですね。マンガ全体からか、かよちゃんというキャラクターからかわかりませんが。

・タイトルは、かよちゃんは心配性でどこに出歩くにもでかいバッグを持ち、大荷物を抱えているというところからです。かといって、かよちゃんはすごくいい人かというとそういうことはないし、すごく悪い人かというとそうでもない。かわいいけど、行動には生々しさがあったりと、いい意味でも悪い意味でもそこにいそうなリアルさを感じ取れるんですよねえ。
・マンガ的なわりきった収まりのいいキャラ設定じゃないんですね。これが不思議な存在感をかもし出していて、「かよちゃんカワイイ」というマンガキャラに対しての無責任な評価を拒んでいるというかね。

・たとえば。
・大荷物は「いざというときに役立つ」と思っていました。実際、電車に乗っているとき、イケメンサラリーマンが腹痛で苦しんでいて、持ち合わせていた下痢止めをあげるとすごくすごく感謝されました。「おかあさんみたい」といわれました。それにガックリして、小さいバッグに替えました。でも、すぐに容量が足りなくなって「サブバッグ」を持ち歩きます。

・30女は、ミシンで部屋着を縫う昼下がりだ!と、トモダチと生地を買いましたが、高い高い生地を買い、それを破ってしまい、なおかつ、その行動を男にたとえ、落ち込んだりします。

・自分の卒業アルバムの写真はすべて切り抜いたりシールを貼ったりしてまで、他人にみられることを拒否してますが、当時の日記とかはセーフって感覚。

・構成も不思議で、2話目で、10歳下の弟が結婚します。3話でOL業を辞めます(すごい理由で)。その反動で太っていきます。4話目、5話目とデブなかよちゃんになります。かと思うと6話の1p目でちゃんと痩せます。そして、7話目で別の仕事に就きますと、目まぐるしい展開。まあ、それからは落ち着くんですが。

・7話目から、またギアチェンジというか、ドタバタ風味が増しますね。かよちゃんの口が1970年代の少女マンガのコメディのような、「ひょうたん形」の口になります。「ゴレンジャー」のアカレンジャーというか。こういう口の表現はなんだかなつかしいです。

・さりげなく深かったり、重かったり、雁須磨子クオリティはまんまですが、なんだかつかみどころがない感じはこれまででもっとも大きい気がします。ってほど全部は読んでないんですが。
(15:47)amazon

「DEATH GOD 4 デスゴッドフォア」1巻 さとがねしょう(マッグガーデン)

・突如、人類はみえない敵に襲われます。
・なすすべもなく死んでいきます。ただ、みえる人には虫のようなものが人間を食らっているのがみえます。そして、その虫を退治してる4人もみえます。

・と、その4人が、化け物や、化け物を操る人と戦うマンガです。タイトルでネタバレなので書きますが、4人は死神と呼ばれるものたちです。といっても人を殺すのではなく、死んだ人の魂を管理する神様としての死神だそうです。そのバランスが虫によって崩れるので出張ってるという具合。

・モーレツなイキオイで設定を説明しつつ展開していくのですが、それにも追いつかないほど謎があります。
・なんつーか、ここはちゃんと絵で描いたほうがいいってところまで設定の説明のほうに充ててるようで、読者に脳内補完を促しているシーンが多い。「見せ場」というコトバが意味どおり機能してない感じか。

・どんどこ人が死んでいき、ほぼ廃墟に近い中、戦う、黒衣の4人と、敵対する謎の集団、魔法や肉弾戦を使った派手なアクションなど、お膳立ては美味しいはずなんですが、「でかい」アクションは描画が追いついてないです。魔法の効果がよくわからない。その結果どうなったかもわからない。
・話も同様に「でかい」のですが、もうひとつみえそうでみえないです。これはまだ2巻以降で評価が変わってくるでしょうが。

・1話目、人間を食べた虫が共食いをして、でかい1匹になりました。それを退治するのに、死神のカマを持った男が、ビルを切り、虫の上に倒し、動きが取れなくなったところにトドメを刺すなんてシーン。
・おれはこの描写が「正しい」のか自信がありません。なぜなら「多分、そういうことなんだろうな?」と推測するしかない描画なんですよねえ。おれの推測が正しいのなら、ビルの瓦礫が化け物の上にふりつもり、動けないという状況をもっと確実に描くべきだと思いますし、なんとなれば、キャラクターの1人でセリフとしていわせてもいいと思う。そのどちらも説明的でワザとらしいと思うのかしら。ただ、わからないのよりはワザとらしいほうがマシだと思うんだけどね。

・動きを絵で魅せるって姿勢はえらいと思いますが、純粋な技術が伴っていないのでしょう。とくに敵が登場しての団体戦になるとなにがなんだかわからなくなるところ多数。

・廃墟美があるでなし、虫けらのように死んでいく残虐に重点をおいてるでなし、謎の展開がそんな魅惑的な謎ってことでもないし、キャラももうひとつ把握しにくいしなあ。そもそも性別がよくわからんわ。味方の拳銃と魔法使いは女でいいんですよね。

・あと、登場する「人間」がゲストなのか、レギュラーなのか、まあ、せめて次のコマで死ぬ人をきっちりと描く必要はねえと思うんだけど、そういう重要度みたいのが絵によってわからないのは不親切かと。

・ここで突然ですが予言します。この後の、おれのコトバにあなたは「なにいってんの?」とツッコミをいれることでしょう。

・そして、それでも、このマンガはおもしろい。

・そうなんですよね、2巻も読もうかなと感じてる自分がここにいるんですよね。なににどう魅力があるのか分析しきれないところの奥にある、マンガ力というかねえ。思いついたことを書いていくと、かようにマイナス評価ばかりぼこぼこと出てくるのだけど、なんだか読んでしまうんですよね。
・もちろん、これがホメていないことは承知してます。でも、この奥底にある得たいの知れない「魅力」を確かめるために2巻も読んではみようと思ってます。

・ちなみに、後半にあったプロトタイプといえる短編はおもしろかったです。こっちから膨らませて本編になったのでしょうが、膨らませ方をまちがえたんじゃないかい?
(18:00)amazon

「式神x少女」1巻 くぼた浩(マッグガーデン)

・式神をあやつる少女が、呪術界のトップを目指す、オカルトコメディ。

・最大の弱点をまず書いておきます。少女があまりかわいくないんだよねえ。タイトルにもなっているし、表紙にもデカデカと描いてる主人公の少女があまりかわいくない。

・かわいくないというか、影が薄いんだよね。絵柄としてかわいいけど、キャラとしてまったく立ってないし、他のキャラが立っていて、なおかつ、少女を盛り上げようとしないので、結果、画面の真ん中にいて、物語の中心に少女は据えてあるけど、印象に残らないのです。ドーナツみたいな現象。

・絵はかなり血反吐モノの苦労を感じさせますし(背伸び率120%って感じ)、設定もごちゃごちゃしてる(リクトウ集め云々はあとで話しに加えるべきじゃね?)けど、わかりやすく紹介することに血反吐モノだし、話の派手さをかもし出す演出の盛り上げも血反吐だし、アクションシーンや泣かせるシーンでの苦労もすごいものを感じさせまして、まったく血まみれの1巻という凄惨さはあります。「ムリしやがって…」って感じ。描き下ろしなのか、連載時もあったのか知りませんが、毎話あとに後日談4コマもありますしねえ。

・でも、設定ゆえに、少女をプレーンな感じにし、それを補強するためにほかににぎやかしを加えたのが裏目に出て、さらに少女の影が薄くなった感じがしてすごく残念。

・補強でエロってのもちがう感じがするし、テコ入れは難しい気がしますね。そうなると、なぜ小学生?って気がしてくるんだよなあ。

・縁があったら2巻も買おうかなあって。
(18:40)amazon

2007年/5月/11日
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「ナルミさん愛してる その他の短編」山川直人(エンターブレイン)

・本書は1999年から2002年まで連載され、単行本化され、絶版になったものの再刊です。再刊にあたり短編を2編くわえましたと。

・アタリマエに買っていると、アタリマエに買えない人のことがわからないものですが、本書も手に入れるのに苦労された方が多いそうです。そして、今回、手に入るわけです。これまたアタリマエのことですがおもしろくもうれしい話ではありますね。

・本書と、同時発売の、「コーヒーもう一杯」を買った書店では新刊コーナーに平積みでした。エンターブレインのこのシリーズになるまでは、新刊コーナーでも、「タコシェ」などのショップで同人誌を探すときも、「背表紙」で「山川直人」の文字を探していたものには、今のそれはアタリマエのようであり、アタリマエではない、不思議な気持ちにはなります。

・ナルミさんという1人暮らしの女性を、ナルミさんと暮らしているUFOキャッチャーで元彼にとってもらったヌイグルミ視点で描いているショートコミックです。
・いつも部屋をキレイにして、身なりもちゃんとして、モノに名前をつけて、やさしく明るく前向きに生きようとしているナルミさんをヌイグルミのドミノが見守っているのです。

・考えてみれば、山川氏の作品での大きな特色である「一人暮らし」というのをけっこう強く意識したのは本書かもしれません。

・一人暮らしをしていると、しんしんと降り積もる夜の雪のような「さびしさ」に少しづつやられていくような気がします。それは老若男女や環境はわりとカンケイはないと思います。「寂寥」とでも書くと気分がでますか。

・ナルミさんの表面上の明るさは、「ナルミさん愛してる」という視点が「本当」はだれからのものか?と考えると、ちがった意味が透けてみえてきます。

・シンプルな、写実的とはいえない、絵柄のナルミさんがふとみせる「リアル」な表情の奥がすごく共感できるし、そらあ、作者同様、ナルミさんが愛しくて仕方がなくなるよなあと思う。

・たとえば、5話「夜のお散歩」。電気も点けずにイスに座り窓の外を眺めているナルミさんをドミノが心配してる。ふと、ナルミさんは思い立って、ドミノをつれてコンビニに出かけるのです。それまでいっしょに夜の散歩をしゃれこむと。

・これ、ナルミさんが、ドミノに心配されたからという「てい」で、立ち上がり、コンビニで買い物することでのリフレッシュを図っているという視点でみることもできるのですね。

・実家には弟夫婦が同居しているから、ナルミさんの「家」はこのドミノと暮らしているアパートしかないと思う気持ち。
・そして、ラスト。新装版で読み直して気づく、すごくヘンなラスト。ナルミさんの行動の意味は、わかりそうでわからない。そして悲しむ人がだれもいないのにハッピーエンド感が非常に少ない不思議。

・それは、わりと山川直人氏の作品全体の作風にもつながるかもしれないなあ。ハッピーエンドをもうしわけながるキャラクターみたいのが多いよね。本書の「その他の短編」に収録されている「コートと青空」の主人公の、いつでもバツが悪い感じ(たぶん、昔の自分に対してだと思う)とか、「ふたり暮らし」での父と息子のお互いの妙な気遣い。

・そして読後気づくのですね。「ナルミさん愛してる」と。ベタなまとめでもうしわけないけどさ。

・作風にはブレはあまりない山川氏ですが、本書での、底から染み出すような夜の暗さと静さは、実はわりと全作品中でも1,2を争うものがあるような気がします。

・一人暮らしをされてる方や、経験者にはけっこうコマの隙間とか、背景とかから、感じ取れるものがあると思いますよ。
オススメ
(17:29)amazon

「コーヒーもう一杯」3巻 山川直人(エンターブレイン)

「コーヒー」しばりの、オムニバス読みきり短編集3巻目。

・とはいえ、3巻にして、しばりがユルくなってきた感じではあります。それは別に長所でも短所でもないのではありますが、3巻はこれまでで1番バラエティに富んでいたのかもしれません。「山川直人」クオリティで一番幅広いかも。

・織田作之助と、妻一枝との出会いと別れと、作之助の生涯を描いた「一枝と作之助」
・ハラがユルくていつも下痢気味の男の「虹の彼方に」
・ハラーという萌えロリ美少女が登場する「月とハーモニカ」
「いまはむかし」と「常連」と、ビジュアルでシカケがある短編も楽しい。

・本シリーズの特長は毎月描かれていることですね。よって、マンガ内のテンポもやや早い気がするんですよね。軽いとか、薄いとか、ラフっていうと、語弊があるかもしれませんが、2ちゃんねるでの有名なフレーズ「この速さならいえる〜」って感じで、毎月くる締め切りの「おかげ」で逆にいろいろな表現にチャレンジされるんじゃないかなと思ったりするんですよね。それは読者としてはとてもありがたいことではあります。定期的にいろいろな切り口の新作を読むことができるんですからねえ。

・ちなみに3巻でのマイベストは「運命の人」。山川女性キャラでは定番の小さくてはしこくてやや不思議ちゃんなコがカワイイねえ。「遅刻の理由」の彼女もそれに近いか。

・別に本書に限らず、山川直人作品はどれも再読性が高いのでオトクですよ。何度も何度も楽しむことができます。
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「デトロイト・メタル・シティ」3巻 若杉公徳(白泉社)

・本当は好きじゃないけどデスメタルをやってる男のギャグマンガ。3巻目。

・たぶん、作者はものすごくマジメな丁寧な人だと思うのですよ。で、丁寧に丁寧にキャラや話やギャグをつむいでいらっしゃるのがよくわかります。

・3巻では、メタルバンド同士でトーナメントバトルという、定番の展開が起こります。バンドマンガの定番でもありますし、バトルマンガの定番。

・とりあえず、3巻までみてみましたが、「ちゃぶ台かえし」な展開はないということがみてとれましたので、これでおれ的に本書を見切ったと判断します。

・この先、物語が大きく展開することはないですし、同様に大きく破綻することも無いような気がします。ということは、これからも、クラウザーさまだとなにやっても「伝説」になるし、根岸のときはヘタレ丸出しのままで、いい湯加減で展開していくんだなと。

・それが悪いわけではありません。むしろ最善です。3巻もすごくおもしろかったですし。エアセックスで爆笑しました。いや、ウソです。

・そう、だから、トドにつまっていくわけです。つまり好き嫌いですよね。おれはこのスタイルは好きではありません。「うっそーん」とすべてをひっくり返すタイプが好きです。本作でそれやると最終回になりますね。

・ギャグのセンスも3巻にしてわりと決定的にちがってきましたねえ。エアセックスとかね。

・3巻までにちゃぶ台返しほかのパターンがあるかと思ったので3巻まで買ってみたのでした。

・ということで、ボクはもういいですが、つまらないわけではないです。クオリティは高いし、すごくツボの人が多い(オビの木村カエラ氏とか)のもうなずけるおもしろさです。
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2007年/5月/8日
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「わにとかげぎす」3巻 古谷実(講談社)

「おぉい!」

・おれはアニマル浜口ばりにツッコミをいれたい気持ちになりました。

・3巻です。実は1〜2巻って単なる布石だったの?と思うような展開の3巻です。

・ネタバレ上等で1〜2巻のあらすじを書きますと、人と接してこなかった男がいました。彼は気がつくと30歳を超えるまでトモダチはおろか誰もまわりにいないことに気がつきました。そしてかなり遅ればせながら神に祈りました「トモダチがほしい」と。すると、彼のまわりにはトモダチになれそうな男2人が現れました。あまつさえも彼を好いてくれる女性まで「トモダチ」候補として現れました。でも、トモダチになれそうな男2人はしくじったのです。そして、彼はせっかくできたトモダチになれそうな2人を助けました。

・そして、3巻、「結局」、彼女が、「彼女」となり、物語が進行しました。「おぉい!」と、おれはツッコミをいれたわけです。

・壮大で陰惨で凄惨なボーイミーツガールが1〜2巻だったのかよと。そして、3巻からは彼氏彼女としての2ndステージって感じになってます。わりと、「なかったこと」になりつつ展開してるのがなんだかすごいです。そういう目もあるんだろうなと思っていたけど、思ったよりもしれっとそういう感じだったので逆に驚きましたし、逆にリアルな感じもします。

・考えようによっちゃあ、30歳過ぎるまでトモダチの1人もいない男に彼女ができるんだから、人も4人くらい死ぬし、億という金も動くわなってことですよね。

・しかし、古谷マンガに出てくる彼女は変わりものの主人公を好きになる変わりものな女性が多いですが、それがそろいもそろってかわいく美人に描けているところに、古谷氏の好みのタイプが透けてみえるようでおもしろいわ。

・ああ、「ワニトカゲギス」ってのは深海魚の名前で、彼がそれまで深海のそこを蠢いていたソレにたとえられているのでしょうかね。3巻23pに「それ」がカットインされてましたが。


(つきあうってことに対して)
オレ多分 君の光いっぱい奪っちゃうよ!?
君は恒星でオレ かなりブラックホールだよ!!?


・ということですね。これがまた彼は深夜の警備員を1人でって仕事をずっとやっていたのでこういう感じを強く持ったって見方もあります。

・と、かように、今回はわかりやすいところが多いんですよね。おれごときがテキトーな分析できるくらいあえて主人公をわかりやすいところにおいている。


深海にいた生き物がね / 急激に…海面に引き上げられると
水圧のギャップで / 内臓や目ん玉が飛び出てしまうそうだ

知ってます…だから/ダイバーもゆっくり調整しつつ浮上するんですよね

そうです…

オレもね/破裂しないよう… / ゆっくり上がります


・ということですが、けっこう、早めに海面にあがってしまい、「意外と大丈夫だった」って感じにはなってますね。だって、この後、やってるし。

・というか、3巻から、ひょっとして、主人公が変わった? 3巻までの無精ひげ&トンガリアゴから、3巻から登場したゆずの女装してないほうに似てる人に移ったのかしら。

・そして、いろいろあってまたヌル目になってきたんだけど、これってまた4巻でキューって読者のキモを冷やす展開になるのかしら? 緊張と緩和ってね。
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2007年/5月/3日
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「夏の魔術」上下巻 田中芳樹&ふくやまけいこ(講談社)

・田中氏の小説のシリーズのコミカライズだそうです。小説は未読でございます。

・ふくやま氏は好きなマンガ家ではありますが、本作はあまり好きになれませんでした。ふくやま氏のいいところがあまり出てないです。まあ、原作があってのコミカライズですから当然でしょうが。そういわれてみればオビにあった田中芳樹&ふくやまけいこタッグの「アップフェルラント物語」の新装版の前の版も読みましたがピンとこなかったことを思い出しました。いや、正確に書くならば「(内容もなんもかんも含めて)思い出しませんでした」。

・大学1年生の耕平は1人旅をして、家出してきた来夢という小6の少女と出会った。駅に謎の蒸気機関車がやってきて冒険がはじまるわけです。

・正直、よくわからないまま進行し、よくわからないまま終わってます。原作&作画の方の名誉のために強調していっておきます。100%おれの理解力が足りないからです。

・おれは全てのメディアでわりにそういう傾向がありますが、とくに小説におけるファンタジーが苦手です。その描写にピンとこないことが多いからです。

・たとえば、本作だと、列車からみえた禍々しい像に来夢さんが非常におびえる。列車を降りて道中、巨大な黒猫に襲われるシーンなど、「ああ、小説っぽい描写やなあ」と思ったりします。
・この感じは共有しにくいなとも思いますが、小説のファンタジーな表現ってのは一種独特のものがあり、それをビジュアル化するのって普通に難しいことだよなあと思うのです。それをファンタジーが好きな方は脳内で補完し、楽しむことができますが、ファンタジーの免疫が薄いおれとしては「うーむ」と思ってしまうのです。

・すべてのシュールでホラーなデキゴトはあとで考えると周到に用意されているし、かっきりと話につながるのですが、まあ、おれの理解力が足りないのでよくわかんねーやとなってしまうのです。

・あと、来夢さん、小6?って描写が随所にあるのがさらにピンときませんでした。少なくともふくやま氏のマンガには登場しないようなキャラではあるよなあ。イイコだとは思うのだけど。

・ま、クライマックスのセリフの多さもちょっとマンガ向けじゃないよなあと。小説をコミカライズしたときの居心地の悪さを感じるんですよね。

・ということで、口はぼったいですが、イマイチでした。
(13:32)amazonamazon

「ナエガユル」2巻 琴義弓介(少年画報社)

・完結巻。「ディザスターサバイバル」ってコトバを知った本作でしたが2巻ではびっくりするほどディザスタらなかったですね。

・東京に大地震が起こりました。肘が故障して野球をあきらめがちだった高校生の主人公が地震被害に遭ったボインのねーちゃんを偶然助けました。で、ボインをおんぶしながら混乱している東京を歩いているうちにボインは二重人格でしたからさあ大変。

・ということで、2巻ではボインのねーちゃんの二重人格のところにフォーカスがあいましてね。ま、たしかに地震でぐじゃぐじゃになったところで二重人格が動いたらえらいこっちゃだけど、そんな「えらいこっちゃ」を足さなくても別いいんじゃないの?って感じはあるんですよね。地震だけで十分大変なんだし。「大変」を重ねる方法はいっぱいあると思いますが、そこに二重人格ってのは大変すぎるような気がします。

・まあ、その姉ちゃんと主人公はお互いに助け合って壁を乗り越えましたよ。ハッピーエンドですよ。もちろん、描ききれてるとは思いません。どんなマンガ家でもこの題材で名作をつくるのは難しいでしょうや。

・うーん、すごいイヤなたとえになるかもしれないですが、目玉焼きしか作ってこなかったヒトが、オムライス作っているような感じかしら。
・この場合、目玉焼きが「エロマンガ」、オムライスの薄焼き玉子が「二重人格」、ケチャップライスが「大地震」あたり。エロマンガのヒトだし、そういうところを多少は求められていて、それを主人公に背負われるボインのねーちゃんのボイン描写(みえそうでみえない巨乳)ということで表現されてましたが、いっそのこと、オムライスじゃなくて、チキンライスに目玉焼き添えにすればよかったんじゃないかなと思うんですよね。

・すなわち、大地震下のエロって感じはできなかったんかなーって。「彼女を守る51の方法」 3巻 古屋兎丸(新潮社)ってディザスターサバイバルでは極限時の男性の性衝動のようなものを描いてますしね。しらんたかし氏が地震で地下駐車場に閉じ込められたオタク男と普通の女子がいたすってエロマンガを描いてます。
・あと、まあ、シチュエーションはちがいますが、大変な状況でエロ描写の追及ってことでは、「学園黙示録 HIGH SCHOOL OF THE DEAD ハイスクールオブザデッド」 1巻 佐藤大輔&佐藤ショウジ(角川グループパブリッシング)ってのもありますね。

・つまり、いろいろな極限時で、「まあ、とりあえずやることやるか」とエロをするようなスタイル。そっちのほうが作者には合ってる気がしたなあ。

・そうじゃなかったら、むしろ二重人格のほうをとって、二重人格の彼女とやりまくるってマンガにしたら、まあ、すごくあちこちにあるものになったからダメか。ひとつ有名なところだと、[Amazon.co.jp: 猫じゃ猫じゃ 1: 本: 魔訶不思議]とか。でもさ、少なくとも今よりはすっきりしていたような。

・次回作はロコモコ(ハンバーグ丼目玉焼き添え)あたりを作者には期待したいところかな。ま、エッグマフィンでもいいんだけどさ。
(13:55)amazon

「未来日記」3巻 えすのサカエ(角川書店)

・本作も、まあ、前作の「花子と寓話のテラー」にも共通するところがあるんだけど、えすの氏のウィークポイントはネーミングセンスだわな。

・実際問題、簡素であるからこその恐怖とは思うのですが、「未来日記」ってタイトルはちょっと買おうとか読もうって気を削ぐよね。
・たとえば、「DEATH NOTE」が「死んじゃう帳」みたいなドラえもんの秘密道具よりダサいネーミングだったらあそこまで売れなかったと思うしさ、もうちょっとなにか上手いネーミングがなかったのかと思うんですよね。

・とはいえ、2巻からブレイクされたみたいで、ネット上でもみるし、書店でも山積み。前作も山積み。ポップもあるし。出版社もフェアしてるしね。

・未来を知ることができる日記を所有している12人による次の「神の座」をかけての殺し合いマンガ。
・未来を知る日記を持つってあたりからして論理遊びっぽい、トリックでだまし合ったりするのを想像しがちですが、実は、美少女が燃えさかる新興宗教の道場でナタを振り回して信者をぶち殺すってマンガです。

・でも、3巻ではそこいらわりと静かでしたか。1巻2巻の派手派手な展開から打って変わって、舞台が家の中という地味な殺し合い。ここいらのスカし具合こそが、えすのサカエ氏の真骨頂なのかもしれないけどね。わざと多くのヒトが望んでない方向を向いているというか。

・ということで行き詰る心理戦と殺人ゲームという3巻でした。逆ホームアローン的ではありますね。小さい子供が家にくることで起こることだし。

・んで、この子供が持っている未来日記が「はいぱーびじょんだいありー」だからな。やっぱりネーミングは一考の余地があるのではないでしょうか?

・この人気が持続され、うまくつづくことを期待。別にアニメ化とか映画化は期待してませんが、実写の場合、由乃は堀北真希さんあたりがハマるんじゃね?
(17:48)amazon


・[ケージバン]