「コンボイかく語りき」

 ある朝、出勤前につけていたテレビに突然コンボイが現れてびっくりした。いつの間にやら武道館でやる公演のチケットが、即日完売になるような有様になっていて。あらあらまあまあ。

 まあ、絶対いつかは大ブレイクするし、しなきゃおかしい集団だとは思っていたけど、この盛りあがりはどこか違う世界の話のような気がする。今じゃまるでオヤジ・ス○ップ?ほんのちょっと前まで知る人ぞ知る玄人集団だったんだけどな・・・。でもそれじゃあ、彼らも困ってしまうだろうし、役者なんて売れてなんぼなんだから、もちろんいいことだと思ってはいるけど、少し変な気持ち。

 そう思ったらすごーく久しぶりに、コンボイのビデオを見たくなって休みの日に3年前の、赤プリのサマー・ディナーショーのビデオを作業をしながらかけた。

 彼らの定番キャラに「ポー星人」というのがある。遠い宇宙の星からやってきて、この地球で、最高のエンターテイメントを繰り広げて、最高に輝こうとしているすべき宇宙人達だが、その宇宙人たち、なかなか真の目的に辿り着けないで、あっちにこっちに行ったりバカばっかりやってておかしい。

 後半。まあ、お決まりのコンボイの熱い語りが(苦笑)あるわけだけど、そこで、タテさんがねずみさんに言う。

”宇宙人、やめようかなと思って”

そんなタテさんにねずみさんは気がつかないふりで言う。

”もろキュウ、一緒に食べようよ”

宇宙人=コンボイ。もろキュウを一緒に食う=コンボイでこれからもやっていこうぜってことだと思うんだけど。

 見てる時はただただ大盛りあがりで見てから全然気がつかなかったんだけど、タテさんはこの時、キレイな顔でおちゃらけて、あんなにバカをやってる裏で、この場所の居心地の良さと、自分の求めるものとのギャップで心はすんごく動揺してたんだろうなって感じる。(あの迫真のチョーゼツ下品なオネエ芸は、それの裏返しの開きなおりだったんだっつー気も。しかし、そんなタテさんに、まるでラブレターのようなエールを、舞台の台詞にしちゃってるねずみさんて・・・。(照)

 よく役者は、”みなさんのおかげです、みなさんのためにやってます”なんてことを言うけど、そりゃ何パーセントかは見てくれる人の為にやってるんだろうけど、大部分は自分のためなんだって。まず一番最初に自分が癒されて元気になるために、あんなバカやって歌って踊ってる、って思う。

 ”全部自分のため”なんて、すごく利己的な冷たい言葉に聞こえてしまって、ちょっと前の私だったらこんな言葉は胸に突き刺さりすぎて苦しくなってると思うんだけど、でも、”自分のため”で、一体何がいけないのだろうか、特に表現者の場合。・・・まず自分の究極的な幸せ(好きなことをやって、それが認められて、食って行ける)があって、それが糧になって、見ている人の事を幸せな気持ちに出来ているっていう、気がする。実際、コンボイ見るときは何かしら目に見えない行き詰まりで苦しいときが多いんだけれど、彼らの舞台を見ると楽しく笑って、泣いたあと、不思議に頭の中の霧が晴れたようにすっきりする。彼らのあの「好き勝手」には、一種カンフル剤の作用がある。

 そんな愛すべき自分勝手な人達に、もう一度生で会いたくなったけれど、なかなかもう思い立ってふらっとその日に見に行けるモノではなくなってしまったのよね。(品プリ14,000円のディナーショー。行かれません。っていうか取れなかっただろうけどさ(汗)変りといってはなんだけれど、4月にCONVOY番外編・ペンギン座を楽しんだ。”白鳥の湖”メドレーは、ショーとしてなかなかオツでした。”〜またねずみさんは名倉先生の真似かい!”って思わず心で突っ込んでしまったけれど。でも”ショルダー・ショルダー”の振りに思わずウケてしまう自分が悔しい・・・。(笑)
 
 早速、その週のレッスンの前に、4羽の白鳥の真似をしてみたけれど、当然上手には出来なかった(苦笑)まあでも、こうしてここ久しくなかったくらい、レッスンやる気にさせてくれたので、たとえ番外編でもこうしてCONVOYは、立派にカンフル剤の役割は果たしてくれているのでした。うーん、おぬし、なかなかやるな(笑)

2002.4.29



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