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サクラ大百科Finale 第一巻

Volume 1

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4/21 収録
 
 
 
 大神総司令、誕生
・初仕事は報告書

日本男児さんのご投稿
 
大神: 命短し恋せよ乙女
紅き唇あせぬ間に
熱き血潮の冷めぬ間に
明日という日はないものを

命短し恋せよ乙女
黒髪の色あせぬ間に
心の炎消えぬ間に
今日は再び来ぬものを♪


(トントン)
かえで: 大神君、ちょっといいかしら?
大神: かえでさん。どうぞ。
かえで: 大神君、今日は気分良さそうね。隣の私の部屋まで聞こえるわよ。
大神: あ…すみません。
かえで: 大神君、流行には敏感なのね。
大神: まあ、太正のヒットソングですから。
かえで: 『ゴンドラの歌』ね。
大神: ところで、かえでさん何のご用ですか?
かえで: あ、そうそう。肝心なことを忘れていたわ。
大神総司令、初仕事として先の戦闘の報告書の作成をお願いします。
大神: いきなり総司令の任についたものだからいろいろ不手際があると思いますけど、かえでさん、よろしくお願いします。
かえで: もちろんよ。それじゃ、報告書がんばってね。
 
大神: よし、それじゃ、まず、敵についてまとめよう。
大久保長安。猿楽師金春七郎喜然の子。はじめ父と同様に猿楽衆として、武田信玄に仕えたが、のちに年貢の課徴・金掘りを司る蔵前衆に抜擢され、武士となった。天正十年(1582)、武田氏滅亡後、駿河に移り、大久保忠隣の庇護を受ける。この時、大久保姓を与えられ、忠隣の推挙で家康へ出仕した。天正十八年(1590)、家康が関東に移封されると、地方巧者としての手腕を買われて代官頭の地位を与えられた。長安は武蔵国多摩郡柚井領横山村(小門宿)に陣屋を置いて、いわゆる関東十八代官を統括し、武蔵を中心とする関東周辺の幕領支配にあたった。

関ヶ原の合戦後の慶長六年(1601)、東海・東山・北陸など五街道に一里塚を設け、伊奈忠次・彦坂元正らとともに、幕府直轄領の検地に従事した。同八年、石見銀山・佐渡金山奉行となり、さらに同十一年、彦坂元正に代わって伊豆代官を兼任した。長安は幕府直轄鉱山の開発で功績をあげ、いずれも増産に成功し、徳川政権の財政基盤を確立させた人物と伝えられている。慶長十八年(1613)四月に没した。享年、六十九歳。

しかし、長安没後、生前の不正が摘発され、遺子七人は切腹させられた。下代らも諸大名に預けられ、長安の所領・金銀はすべて没収され、大久保家は改易された。この仕置には縁座法が適用され、奉書加判に列していた青山成重、信濃深志城主石川康長も改易された。さらに、翌十九年、長安を推挙した大久保忠隣も改易に処された。この事件の背景には、忠隣と本多正信との対立があったと伝えられているが、真偽は不明である。

http://member.nifty.ne.jp/gongen/ieyasu/kashin/nagayasu.htmより抜粋

大神: よし、次は中ボスキャラだな。
顰(しかみ)
多くは獅囓と書いた。この顔の表情から、しかめ面の語源となる。しかみの面は顔中の筋肉をしかめて極端に怒った相貌である。能では、鬼神の面として用いる。
鬼神系は一般に邪悪、悪霊、汚れ、邪心等を追い払う怒りの表情をしている。天狗や神の化身を表し、鬼神でありながら牙がないのが特徴。

白式(はくしき)
「翁(おきな)」は能の中でも特別に神聖視された演目。翁面は、昔、神が老人の姿で舞った(翁舞)姿をあらわし、翁面をご神体とした神社もあり、能面の中では最も発生が古いといわれている。
使用される面そのものがご神体で、役者は面をつけることにより神格を得る。上座のご神体の面が「白式尉(はくしきじょう)」と呼ばれ翁で使用される。下座の方が「黒式尉(くろしきじょう)」で三番叟に用いられる。
形は違えども、この式三番は中央の能・五流等でも行われている。能から転じて歌舞伎にも取り入れられている。

 
大神: う〜ん、シカミはともかく、俺たちは白式尉という御神体と戦ったということか…。
それじゃ、最後の長安の神体とは一体…。謎だ…。

最後に敵の戦術について報告しておこう。
 

大久保長安は広井王子ではないのかという噂が流れている。その証拠に攻撃の中心は蒸気機関の暴走によるものである。TV最終話での帝都中の蒸気機関を暴走させようとしたときと同じなのである。
しかし、事件が解決してしまった今ではその真偽は定かではない。
 
大神: これでいいかな? かえでさん、チェックお願いしまーす。
かえで: ていうか、全然戦闘報告になってないじゃないの…
 

 マロニエ大百科に続き、第一稿を飾るのは日本男児さんからのご投稿です。まいど精力的なご投稿ありがとうございます(・▽・)ゞ
 それにしても、金春や長安が実在の人物だったとは思っていませんでした。「こんぱる、かっこわるー(^。^)ぷぷぷ」とか笑っていたのですが… 今回の戦いの鍵となる「銀座文書」ってのも、何だかそのへんの古本屋さんで50銭で売ってそうなほどスケールが小さい名前に感じられて、今回の敵さんはどうも物足りなく感じる私なのでした。そのぶん、最後の戦闘が楽ちんで助かってますけどね(・▽・;)/

 
 
 
 
 ガガーリンもびっくり
・リボルバーカノンで宇宙に行けるの?

 
紅蘭:ウッチやあっ! 大百科では久しぶりの物理化学ネタですねん(◎▽◎)
さくら:(大神さんっ。科学情報はあたしと大神さんの二人で担当してきたじゃないですかっ。紅蘭が出てきたらすぐ爆発するからって…)
大神:(さすがに宇宙科学は俺だけではどうにもならないんだ。紅蘭に応援を頼むしか方法が…)
紅蘭:大神はんは、リボルバーカノンが帝都まで届くっていうのは知ってはったんやろ?
大神:あ、ああ。いざという時は巴里華撃団に出撃を命令せよ、と聞いていたからね。しかしまさか、宇宙まで飛び出すとは…
紅蘭:霊子甲冑を宇宙まで打ち上げるなんて、とんでもないと思てる人も多いかもしれへんけど、実はそうでもないんや。光武Fは重そうに見えて、実際の乾燥重量は1機あたり800キロもない。
さくら:たしかに、神武やアイゼンクライトと比べるとずいぶん軽いですよね。
大神:あれだけの武装をして日産マーチより軽いっていうのが納得いかないが…
紅蘭:それに、スペースシャトルとか人工衛星のロケットと比べたら、弾道飛行のロケットのほうがはるかに楽や。て言うても、大陸横断できるICBMクラスになったらほとんど同じやけどな。
さくら:リボルバーカノンからの発射で、ある程度の初速も得られますよね。
大神:しかし、燃料タンクがほとんどないあの小型のブースターユニットでは、どうやったって…
紅蘭:そこは責めんといたってえやあ。まあ、パリから見て日本が東側やったのはラッキーや。地球の自転速度がそのまま飛行速度にプラスされてお得なんやね。ほら、てぽ○んも東向きに打っとったやろ?
さくら:わわわわーっ!(て○どんネタはまずい) と、ところでその宇宙を飛ぶスピードって、どのくらいなの、紅蘭?
紅蘭:それがや。何かの運動方程式を解くことになると思うんやけど、あれはノイギーア社の独占技術らしいてなあ。ウチにもさっぱり…
大神:ミサイルの弾道方程式がプログラム付きで解説されたページがあるけど、これは使えないかな。
紅蘭:…大神はん、こりゃすごいやないか! さっそく蒸気演算機にかけてみますわ。巴里と帝都の緯度経度をインプットして、もっとも経済的な飛行プランを算出…ぽちっとな!

 しゅうしゅう、がりがり… ちーん
 
紅蘭:でたででたで〜。半射程角44.0004度、最適弾道は射角23度で秒速7157メートル、最大高度1320キロで秒速5458メートル、飛行時間31分10秒…
さくら:えっえっ? わかるように説明してよ、紅蘭。
紅蘭:ちょい待ち。いま絵にして出力したるからな。
 
とんでとんでとんでとんで(・0・)
図1. ブースト速度最小の最適弾道(巴里-帝都間)
 
紅蘭:これがいちばん効率のいい飛びかたや。発射するときの地面との角度は23度。この状態でマッハ20まで加速したら、あとは惰性で飛び続ける。サイドスラスターを噴射して軌道を修正しながら、シベリア上空1320キロをマッハ16.5で通過。発射から31分と10秒で、東京上空にマッハ21で到着や!
さくら:マッハって音の速度でしたよね。信じられないスピードですよ、大神さん。
大神:時速2万キロ以上の世界だもんなあ。どうりで巴里から30分で到着できるわけだ…
紅蘭:ロケットの性能に余裕があったら、もっと低い高度を一直線に飛んで所要時間を縮めることもできるけどな。
さくら:でも、たしかリボルバーカノンのシーンで「角度限界、超えます!」とか言ってませんでしたか? 23度ってちょっとおかしいような…
大神:地上から直接23度で打ち上げたら、空気抵抗ですぐ落ちてしまうだろう。加速しながら上空でだんだん水平にしてゆくのだと思うよ。
紅蘭:そやね。あと空気抵抗といえば、東京に着いてからの減速やけど…
さくら:『アポロ13』みたいに、カプセルが火に包まれてました。すごい迫力でしたね!
紅蘭:甘いなさくらはん。アポロ着陸船は、中の人間がつぶれんように数分間かけてゆっくりゆっくり降りていくんや。けどICBM型の弾道飛行はそうはいかへん。マッハ21のまま高度40キロまで突っ込んで、そこから丸焦げの急減速や。
大神:またしても、すさまじいGがかかりそうだ…
紅蘭:空気抵抗の式は難しいから、グラフからの近似計算でかんにんしたってや。ぽぽんのぽん…

 がりがり… ちーん
紅蘭:でたでた。33Gが10秒間。
大神:地上の33倍の重力…光武に乗ってなかったら命はないな…
さくら:巴里撃の皆さん、こんなすごい思いをしてまで帝都に駆けつけてくれたんですね。あらためて感激しちゃいます!
紅蘭:ほんまほんま。けど、リボルバーカノンの発射のほうが厳しいような気がするんやなー。大神はんもそっちは経験済みやろ?
大神:ああ。一瞬心臓が止まるかと思ったよ、あれは。
紅蘭:ちょっと待ってや。50mの砲身で、秒速800mまで加速するとして… ぽぽんのぽん。

 がりがり… ちーん
紅蘭:0.125秒間で、653G…
全員:……………
 

 いやはや。『巴里撃はリボルバーカノンで帝都に来るのでは』という予想はサクラ4発売前からいただいていたのですが、まさか本当にやってしまうとは… サクラ製作陣の奇想天外性には毎度のことながら脱帽です(ばく)。
 もちろん、ロケットの性能的に言って不可能なのは間違いないのですが、それ以外の描写はなかなか丁寧に作ってあるのが心にくい演出です。ただ、カプセルが日本列島の真上から落ちてくるように見えるのだけはちょっと妙ですね。ロシア側からの視点では日本地図がひっくり返ってわかりにくいため、あえて正確さより演出を重視したのかもしれません。
 ぜひ、実際に宇宙旅行を体験した巴里撃のみなさんにも感想を語っていただきたいところですが… 続編、書けるかなー(^^;

 
 
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