秋深く、銀杏が色づく本郷キャンパスを一台の蒸気バイクが猛然と白煙をあげて走り来る。そう、われらが帝撃花組稀代の大発明家、李紅蘭嬢が筆者の研究室に来てくれることになったのです。どちらも同じ技術者同士、いろいろと共通する話題も多いこととは思いますが... はてさて、どうなりますことやら。 |
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拙文作者(東京帝國大學 工學科) 李紅蘭(帝國華撃團 花組團員) |
李紅蘭(以下紅蘭) えーっと、五階の北側...っと、この部屋でええんかな。まいどー、お邪魔しますでー。
拙文作者(以下筆者) やあ、こんにちは。本郷キャンパスへようこそ。いやあ、わざわざ紅蘭がこんなとこまで来てくれるなんて、感動だなあ。
紅蘭 ええのええの、うちも大学の研究室っちゅうのがどないなもんか、一度見てみたかったしな。...けど、研究室っていうわりには、何やら字やらグラフやら映ってる箱がようさん並んでるだけやな。ふつう研究室ゆうたら、もっと試験管やらフラスコやらがずらーっと並んでて、白衣着た人らがうろうろしてて、時々そこらここらで煙がどかーんと...
筆者 君の発明みたいに爆発ばっかりしてたら身がもたないよ(笑)。うちは無線通信とか、画像処理とかが専門の研究室だからね。パソコンとかワークステーションが主要な実験の道具なんだ。
紅蘭 なんやそれ? ちょっとまってや、それ英國語やな...《働く駅》? なんやかわった機械やな。
筆者 そーいうわけではないけど... ほら、帝撃の地下にも蒸気演算機があるだろ? これもあれと同じ演算機の一種だよ。手元のキーボードで命令を打ち込んで、結果はこのディスプレイに表示されるわけだ。
紅蘭 ふむふむ、なるほど。ってことはこの表示機の下にあるうすっぺらーい箱が演算機っちゅうわけか。へえー、ふーん。...あれ、蒸気供給管が全然見えへんけど、箱にボイラーも内蔵されてるんかな?
筆者 ま、まさか。これは蒸気で動くんじゃないよ。僕たちの世界では演算機は電気で動くのさ。ほら、後ろに電気コードがあるだろ。
紅蘭 で、電気? 電気って、あの、電球つけたり電動機まわしたり、あとラジオつけたりする、あの電気やろ? あんなもんでどうやって演算機動かすんや?
筆者 ...こっちこそ、どうやって蒸気で動くコンピューター作るのか聞いてみたいもんだよ(笑)。
紅蘭 さてと。作者はんがこのページを始めはったいきさつみたいなもんを聞きまひょか。
筆者 「私とサクラ大戦」のコーナーにも書いてあるけど、発売当時僕の部屋にはサターンがなくて、寮の先輩の部屋にお邪魔してサクラをやらせてもらってたんだ。もう初日からすっかりはまってしまって、先輩も毎日快く迎えてくれたんだけど、でも部屋に帰ってくると、サクラがない。
紅蘭 あたりまえやないかい。買(こ)うてもないもんが部屋にあるかいな。
筆者 そりゃそうなんだけど... さっきまでプレイしてた興奮と感動の余韻が残ってて、ああ、なんでおれの部屋にはサクラがないんだ...って。
紅蘭 ...(へんなおっさん)。
筆者 ま、まあ、もし自分で買ってたりしたら、もはや回復不能なまでにはまって本業の研究の方が壊滅的になってただろうから、今から考えるとその方がよかったのかもしれないけどね。とにかく、何かサクラに関連したことをやってないと気が済まない、と。
紅蘭 それで、いっちょホームページでも手がけよか、みたいな?
筆者 うーん、当時僕はまだ他のサクラページのURLを知らなくて、検索エンジンを使っても全然ヒットしなくて。あーサクラホームページ見てえ、はやく誰か作ってくれないかなー、とか思ってて(笑)。でもまさか自分でページ作るとは思ってなかったなあ、まあちょっとした感想くらいは書こうかなとは思ってたけど。
紅蘭 ほんなら、その後なんで自分でやろうと?
筆者 その三日後くらいかな、風邪ひいてしまって。大学からふらふら帰ってきて、早くなおそうと思って夜10時頃に横になっても全然眠くなんない。で、ぼやーっと天井を眺めてて、ふと、「なんで戦闘装を着るのは一瞬なんだろう、留め金かマジックテープ? ってことはそれが外れたら...」てな考えが浮かんできて。
紅蘭 ああ、「やって楽しむ...」の一・二話に書いてあるやつやな。
筆者 そうそう。一度は「だから何だってんだ、バカなこと考えてないで早く寝よう」って忘れかけたんだけど、その後すぐに「そうだ、これを登場人物たちにしゃべってもらえば!」と思いついて。もうどうしようもなく考えが膨らんでいって、気がついたら「ピポッ」(98特有の起動音)ってパソコンの電源入れてた。
紅蘭 ほんま、めちゃくちゃなきっかけやなー。ほんであの雑談形式の文章が出来上がったと。
筆者 そういうわけ。1・2話書くのに結局2時ごろまでかかったかな。そのせいか、結局風邪にはあと2週間苦しむことになっちゃったけど。
紅蘭 パジャマのままで3時間も起きてたらそら冷えるわな。で、最初は一・二話だけで公開しはったわけやな。
筆者 うん、でも最初は皆さんに公開して読んでもらうなんてことは全然考えてなくて、寮の友人とか後輩のサクラファンに向けたごく私的なページにする予定だったんだ。皆さんの鑑賞に堪えるような文章を書いていく自信は全くなかったし、それに他のサクラページをひとつも知らないんだからリンクをお願いする術もなかったしね。
紅蘭 そやけど、リンクも張ってもろてなかったら誰も見にけーへんのとちゃうんですか?
筆者 そう。一週間で8人(笑)。そりゃそうだよね。僕のURL知ってる人数なんてそんなもんだから。しかも知人でサクラファンなのはせいぜい二人くらいだから全然張り合いがない。
紅蘭 じゃあ、残りの人はただ意味も分からんと見ただけかいな。そりゃ作者はんも浮かばれへんわな。
筆者 うん。で、そのころようやく帝撃MLの存在をニュースで知って、喜んで加入したんだ。で、届くメールの中に「サクラリンク募集中!」の一通があった。双羽さんのリンク集だったんだけど。
紅蘭 で、リンクをお願いしたっちゅうわけやな。
筆者 そう。思わず。身の程知らずな行動だよなあ(笑)。で、リンク集のURLもわかったんで、晴れていろんなサクラページにお邪魔できるようになったわけだ。既に秀逸なページが数々あって、特にサクラ大戦 on WWWさんの情報量のすごさには敬服したなあ。皆さんのサクラに対する愛のすごさを感じ取ったよ。
紅蘭 で、肝心の作者はんのページは、リンクはってもらはった後どうなったんですか?
筆者 それが、翌日、学校に来てみたら...
紅蘭 ...きてみたら?
筆者 カウンタが、...260。もうたまげたのなんのって。もちろんすごく嬉しかったんだけど、でも、予想外だったからねえ...こいつはえらいことになった、と。なにしろその後のお話の進め方なんて何にも考えてなかったもんだから。
紅蘭 それで、あわてて続きを書き始めはったと。
筆者 うん。いつの間にかここまできちゃったもんなあ、もう後にひけなくなっちゃったな(笑)。
紅蘭 さてと。このお話の中で、作者はんの一押しっちゅうキャラクタは誰ですのんや?
筆者 そりゃもう、順当にさくらくんかな。なんといってもヒロインとなるために完全武装された設定を持つキャラだからねえ。剣術家、大和撫子、黒髪のポニーテール、やきもちやき、ジト目、目の幅ナミダ((c)帝國笑劇團さん)...(笑) このお話でもさくらクリアが前提となって話が進んでいます。
紅蘭 なるほどなあ。さくらはんにその話聞かしてやったら喜ぶやろなあ。ほんなら、その他のキャラはどないですか?
筆者 僕のお気に入りがマリアとすみれくんだからねえ。特にすみれくんはお約束すぎるキャラだから、行動が予測しやすくてお話にも出しやすいよね。
紅蘭 そうやそうや、すみれはん、第四話くらいから連続で引っぱり出されて「軽々とこう何度も何度も、この神崎すみれをなんと思ってらっしゃるのっ!」て、えらい剣幕でしたで。
筆者 ...や、やばいな。で、アイリスはかわいいやんちゃ娘って感じで登場してもらってるし、カンナは...かわいそうだねえ、いつまでたってもキリ丸扱いで(笑)。隣の研究室の友人が、カンナクリアの時にメールで「少しおいしいところを食い過ぎてしまったので、ここで、漬物のような役割を果たす彼女に...」ってすさまじいことを言ってたな。
紅蘭 ...ちょっと、それは、カンナはんには言われへんなあ... ほんで、うちはどないですのん、うち!
筆者 紅蘭かい? そうだねえ、僕と同じ関西言葉だからかな、なんだか親しみを感じるキャラだね。周りの人にいろいろと気を配る性格にも好感がもてるし。読者の方から「紅蘭、嫌いなんですか?(^^;」というお叱り(?)のメールを頂いたことがありますが、決してそんなことはありません。どちらかといえば一緒にしゃべってて飽きない友達みたいな感じかな。
紅蘭 おおきに! そないゆうてもろたらうちも元気でるわあ。...けど、同じ関西弁とかゆうときながら、さっきから全然方言でてこーへんなあ、作者はん。
筆者 そら、文章で大阪弁しゃべれっちゅう方がむちゃやで。それに二人ともこんなしゃべり方やったらなんややりにくいしな。
紅蘭 ...やめとき。なんか雰囲気こわれるわ。
筆者 さて、「やって楽しむサクラ大戦」もいよいよ第十話を残すのみとなったわけだけど...
紅蘭 そうや、それそれ。今後どないにお話が進むんかとか、そのへんの予定を聞いときたいんやけど。
筆者 予定? ...ないよ、そんなの。
紅蘭 な、ない!? そやけど、どんなあらすじにするのかとか、ちょっとしたプロットみたいなんは普通考えてから話つくるもんやろ。
筆者 うーん、創作小説じゃないからあらすじは基本的に本編を踏襲してるし、ネタはいつも更新ぎりぎりまでうんうん頭ひねっていきあたりばったりの話書いてるし ... 更新予定もあわせてすべて未定としか言いようがなくて... 読者の皆さん、ごめんなさい。一応最後に次回予告は書いときますんで。
紅蘭 そんなことやってたら、おもしろいサクラ小説いっぱい公開してはるお人がたのページにお客さんもっていかれてまうでえ。
筆者 そうだね、最近はサクラ小説のページがどんどん増えてきて、しかも秀逸なお話がとても多いよね。作者さんも大学時代に執筆経験のある方とか、小説家希望の方などそうそうたるメンバーが揃ってて。ほんと心強い限りです。僕も読みふけってます、はい。
紅蘭 ...自分でもちゃんと書かんかいな、逃げたら許さへんでえ。
筆者 ぎく。そ、そりゃ、始めた仕事は、最後までやり遂げないとなあ、はははははは。
紅蘭 ...なんや、うさんくさい笑い方が気になるな...
筆者 い、いや、ご心配なく。なんとか時間見つけてやりますから。でも、卒論は壊滅の危機のような気がするし、しかも、問題はこのハードディスクだよな...
紅蘭 なんですのんや、またその変な英國語。
筆者 要するにデータの記憶装置なんだけど、ああ、このマシンの横にある外付けSCSIが僕のホームの入ったやつだ。ちょっとさわってみな。
紅蘭 ほー、どれどれ。のわっちいいっ!! なんやこれ、遮熱板なしの蒸気ボイラーむきだしかいな。
筆者 ...これも電気だってば。でも、どだい電子機器が普通に動く温度じゃないんだよな。いま正常に動いてるのが不思議なくらいだよ。さらに最近は同僚の動かしてるシミュレーションで100Mbytes単位の書き込みの連続だからなあ。これが飛んじゃうと...
紅蘭 ホームページが、壊滅。
筆者 それはサーバ移せばどうにでもなるけど、これまでの研究がそれこそ...ね。もう「ほな、さいなら〜」って逃げ去るしかないよな。卒論のホーム担当の吉川くん、まめにバックアップよろしくお願いしますね。
紅蘭 まあ、そうならんことを祈って...さて、うちもそろそろおいとませなあかんのやけど、なにか最後に一言あれば、お願いしますわ。
筆者 このようなテキストばっかしのページを訪れてくださる読者の皆さん、いつもほんとありがとうございます。更新も遅くてご不満のこととは思いますが、時々思い出した頃にでもこのページにアクセスしてみてくださいね。で、ぜひご感想をメールでお寄せ頂けたらと思います。どのようなものでもいいですから、もうそれだけが作者の心の糧なもので、はい。
紅蘭 読者の皆さん、よろしくお願いしますでー。
筆者 さてと、せっかく来てくれたんだから、記念に写真でも一緒に一枚撮らせてもらえるかな。
紅蘭 うちはかまへんけど...でも、写真機、あらへんで。
筆者 大丈夫大丈夫。僕の専門は画像処理だよ。写真なんてそこのCCDカメラでちょちょいと取り込めばすぐさ。
紅蘭 カメラ? これが? へー、電気で写真も撮れるんかいな!
筆者 ま、そういうことかな。そのビデオカメラで撮影した画像が、ケーブルをつたってこのシリコングラフィックスのワークステーションに入ってくるわけだ。
紅蘭 ほうほう。
筆者 そしてこの画像取り込みソフト、「IRIS CAPTURE」を立ち上げる。ちなみにこのアイコンをダブルクリックする時「イリス・カプチュール!」と声に出して言うと実験のはかどり具合が違うんだ。高らかに二回繰り返せばなお結構、「きゃは♪」を付け加えればなおさら結構。
紅蘭 ...あんた、いっぺん頭オーバーホールした方がええんとちゃうか。
筆者 ぐ。ま、まあ、これで用意できたから、じゃこっちの方に来てくれるかな。ピントはリモコンであわせて、と。
紅蘭 よっしゃよっしゃ。このへんでええな。
筆者 そうそう。じゃ、撮るよー、3,2,1,はい、キャプチャー!
で、こうしてせっかく紅蘭と撮った写真なんですが、昨日とんでもないミスコマンドであっという間に消え去ってしまいました。せっかくここに貼ろうと楽しみにしてたんですけど...
(山崎真之介少佐の声で)