テッカマンブレード監督ねぎしひろし氏インタビュー


てっかまんかわら版VOL.2(平成5年5月21日発行)より抜粋



Q1:「テッカマンブレード」、を監督していて一番つらかった時期は?(おお、いきなりだっ)
A:テッカマンブレードCD3枚目でもコメントしたように、一昨年の9月から11月にかけての企画・構成の作業が地獄でした。やはり何もない状況で全ての世界観(全49話分)を補うには時間がなさすぎたと思います。
スポンサーの皆様、製作会社の皆様、企画は大事です。もっとゆとりのある制作を目指しましょう…。



Q2:御自身の好きなエピソードは? 又、傑作と思えるエピソードは?
A:みゆきが自爆する26話とDボゥイが自分の家に戻る46話が気に入ってます。
みゆき編のラストはかなり前から構成は決まっていてラストシーンのエンディング曲とのシンクロは、シナリオ時点から何度もイメージを作ったせいか、出来上がった時は自分でも興奮してしまいました。
46話は演出、構成、PDと三者三様の意見で、この話が必要か否かでかなりもめました。結果としてはこの話がなければ49話へとつながる事はなく、まるでウルトラセブンの最終話“史上最大の侵略”は“ノルマントの使者”がなければ、成り立つことのないような作品のテーマの核と位置づけた話数でした。



Q3:好きなキャラクターは? 御自身で書き込みが不足したと思えるキャラは?
A:アキです。企画が決まったときから彼女にはつらい人生を宿命づけました。それでも彼女自身は強く生きていけるという事を視聴者に感じてもらえるように細部で印象づけさせたと思うのですが…。
描き込みが不足したと思えるキャラはミユキとミリーです。この2人はDボゥイに対して思い入れが強く、アキ同様、彼女たちもDボゥイを愛しているのです。何話かに分けて伏線をはっているのですが、ちょっと甘かったような気がします。僕自身の考えとしてはミユキはDボゥイを愛していたと解釈しています。でなければ自爆など出来るわけはなく、アキに対する感情も嫉妬に似たものであったはずです。愛を表現するときには裏の感情も描かねばならず。それが深い愛情であればなおさらこだわらなければならなかったと反省しています。


Q4:「テッカマンブレード」の監督を引き受けたきっかけとその理由をお聞かせ下さい。
A:監督を依頼された時期は自分でもかなり仕事がつまっていて、かなり無理をして受けてしまいました。自分の愚かさを反省することしきりです。ただ、その頃、自分が前に監督をやっていた「ラムネ&40」が異常なほど火がつき、OVAでも人気作品となっていました。監督としてこれほど嬉しいことはありません。しかし、作品としてのボルテージというのは、+(プラス)志向と−(マイナス)志向があります。人間というのは嬉しいときには感動し、また悲しいときにも感動するんです。これが今回“テッカマンブレード”という作品素材で試してみたかった最大のテーマだったのです。自問自答した結果、このような形で監督を引き受けたわけですが、今考えると“俺って馬鹿だなぁ〜”の一言ですね。


Q5:LDを買って下さったお客様へ何か心のこもったお言葉を下さいまし。
A:ボロボロの制作状況の中でなんとか放送までたどりつき、気がつけば一年…。無事終了した作品をLD化、しかもそれが売れているという、監督としては感涙の思いです。演出、作画的に力が及ばなかったことは否めません。反省することは多々あるなかでファンの皆様がこの作品に興味を持っていただけるなら全49話という本数の中で登場人物達の感情の流れを読みとってみて下さい。地球を救うという壮大なアクションヒーロー作品が小さな小さな人間愛のドラマになっている事が理解してもらえると思います。平成4年度の作品として“テッカマンブレード”が皆様の思い出に残ると信じつつ、一年間、応援ありがとうございました。


Q6:今後の予定がありましたら何でも(ハート)
A:今年は東宝、キング、ムービックの3社スポンサーによる、ハード、SF、メカ、アクション、OVA“バウンティドッグ(仮)”を企画制作中です。OVAではここ数年、ギャグものばかりを製作してきたせいか、その反動もあって、ハードな男の美学、ラブストーリー、プラス、メカアクションに飢えておりまして、それらを全て含んだお約束アニメを創ってやろうと意気込み高くとりかかっております。ファンの皆様にはまたかと思われるかもしれませんが、自分としては自分としてはTVシリーズの延長上にOVAがあるわけで、TVシリーズで描ききれないドラマをビデオというジャンルを借りて作品を創っているつもりです。
という事で、テッカマンファンの皆様、彼等が名を変え、例の場所を舞台に活躍する物語と思って下さい。But、今度は明るいぞ!!(笑) 次回作の宣伝でした。



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