第49回全日本吹奏楽コンクール
平成13年9月30日(日)/普門館

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高校・後半の部

1
西関東/埼玉県  埼玉県立伊奈学園総合高等学校  (宇畑知樹) ※3年連続6回目
銀賞

3/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」より   (M.ラヴェル/森田一浩)

吹き過ぎず、それでいてしっかり響いているマーチでした。大会前から話題になっていた「ダフニス〜」は、よく演奏される第1組曲からの抜粋と、第2組曲から「全員の踊り」を演奏しました。合唱も取り入れていましたが、高音になると若干フラット気味だったのが気になりました。しかし、各ソロも非常に安定しているし、各セクションも安定感があるのでバンド全体に揺らぎがありません。終わった後も大きな拍手と歓声に包まれましたが、惜しくも銀賞。3年連続出場を3金で飾ることはできませんでしたが素晴らしい演奏でした。


2
九州/福岡県  精華女子高等学校  (藤重佳久)  ※3年ぶり9回目
銀賞

3/交響詩「アルプスの詩」 (F.チェザリーニ)

パワフルなオープニングの後はスムーズな音楽運びで好演でした。Tuttiのサウンドはやや硬めでしょうか。自由曲は初めて聞きましたが、R.シュトラウスのアルプス交響曲の現代版とでもいった感じ。ホルンソロの掛け合いは「やまびこ」担当の方が、舞台上手後方に移動して吹いていましたが、「違い」を表現しきれていないのがちょっと残念。しかし、ホルンセクションはパワフルで凄かったです。バンドとしては、弱奏部分にもっともっと繊細さが出てくるといいですね。2曲を通して「鳴らしすぎ」という印象でしたが、技術力も表現力も十分にあるバンドだと思います。

3
西関東/埼玉県  埼玉栄高等学校  (大滝 実)  ※お休み明け13回目
金賞

3/交響詩「アルプスの詩」 (F.チェザリーニ)

マーチではピッコロソロの後半を2本で吹いていましたね。このソロ、最初は伴奏よりも際立って聞こえるのですが、後半になると伴奏に埋もれてしまうのです。音も低くなってくるので仕方ないですね。今回課題曲3を演奏したどのバンドも同じでした。しかし、埼玉栄はその所を、敢えて2本で演奏してメロディが埋もれずによく響いていました。 さて、自由曲。こちらはスケール感があり奥行きのある演奏。例のホルンソロの掛け合いは、「やまびこ」担当がステージ下手に下がり、オフステージで演奏です。それが成功して、よく雰囲気がでていたと思います。強奏になってもバランスを崩すことなく素晴らしい演奏だったと思います。

4
東京/東京都  江戸川女子高等学校  (佐野直樹)  ※初出場
銅賞

1/歌劇「トスカ」第3幕より  (G.プッチーニ/飯島俊成)

力強いマーチでしたが、金管セクションの荒さが目立ちました。タンギングばかりが目立って、音の響きを損なっていたように思います。トスカは冒頭、ホルンセクション頑張りましたね。ちょっとキズはありましたがなかなか良かったです。Tuttiになるとバランスが崩れて、バンドの音が沈んでいくのが残念です。トランペットソロは美しくてカッコ良かったですね。

5
九州/福岡県  都築学園福岡第一高等学校  (清水万敬)  ※2年連続6回目
銅賞

1/歌劇「ファウストの劫罰」より (H.ベルリオーズ/仲田守)

前奏はアッサリという感じ。全体でもちょっと肩の力を抜いた軽めのマーチでした。自由曲では、冒頭から美しく素朴なサウンドが広がり、室内楽のような響き。各パートがよくアンサンブルしていました。強奏になると荒いかなとも感じましたが、全体を通して秀演。銅賞というほどではなかったように思います。

6
東関東/千葉県  習志野市立習志野高等学校 (石津谷治法)  ※2年連続18回目
金賞

4/アルプス交響曲より 日の出、エレジー、嵐の前の静けさ、雷雨と嵐・下山、夜 (R.シュトラウス/八田泰一)

「奇麗」という表現が一番でしょうか。指揮者が代わっても習志野のサウンドは健在でした。自然な流れと小気味良い打楽器のリズムが素晴らしいと思います。 自由曲のアルプス交響曲。習志野の「奇麗過ぎる」サウンドがこの曲想にはちょっと合ってないような気がしました。奇麗に美しくまとまっているんですが…。2年連続15回目の金賞受賞、おめでとうございます。

7
北陸/石川県 金沢市立工業高等学校 (幸正勤也) ※お休み明け6回目
銀賞

1/「スペイン狂詩曲」より 夜への前奏曲、祭り  (M.ラヴェル/森田一浩)  

力強さと荒っぽさが紙一重で見え隠れするようなマーチでした。高校生のパワーには感心しますが、ちょっと頑張りすぎでした。自由曲は難しい曲を手堅くまとめていました。ピアノでの代用ではなくて、ハープが欲しいところですね。演奏技術としてはかなり高いレベルにあると思うのですが…。

8
北海道/札幌地区  東海大学第四高等学校  (井田重芳)  ※2年連続22回目
金賞

1/交響詩「ローマの祭」より チルチェンセス、主顕祭 (O.レスピーギ/磯崎敦博)

マーチはよく歌いこまれた前奏と美しく力強い金管が印象的。一本調子で終わってしまうバンドが多いなか、メリハリのしっかりついた課題曲でした。 そして、聴衆の期待が高まる中で始まった自由曲。「チルチェンセス」ではステージ上手前方の3人のトランペット・バンダが一糸乱れぬファンファーレを披露し、ひな壇に残っている3人も立奏でした。立体的な演奏がホールいっぱいに広がります。「主顕祭」では金管の荒さ・疲労がちょっと目立ち、打楽器もちょっと頑張りすぎでうるさく感じましたが、最後は見事な高まりをみせました。大歓声と拍手が起こり、スタンディングオベーションをする人もいましたね。2年連続10回目の金賞です。

9
東北/秋田県  秋田県立秋田南高等学校  (阿部智博) ※3年連続22回目
銀賞

2/組曲「クープランの墓」より  (M.ラヴェル/天野正道)

冒頭のテーマはサックスをメインで演奏。ホルンとのアンサンブルも見事でカッコイイです。続くピッコロのソロもバッチリ決まったし、トランペットとトロンボーンの旋律もよく揃っていました。「上手さ」を感じさせる演奏でした。 自由曲では大人のサウンド。木管の細かいパッセージも練習されていますね。曲の組み立てが良く、変化に富んだ色彩豊かな演奏でした。私はこういった演奏が非常に好きです。金賞でも十分だと思ったんですけどねぇ…。残念。

10
関西/京都府  洛南高等学校  (宮本輝紀)  ※3年連続11回目
銀賞

1/「アメリカの騎士」より 選ばれし者 (S.メリロ)

チューバ4本と弦バス2本がひな壇の最上段にセット。弦バスがひな壇上段というのは初めて見ましたね。とても個性的・独創的な課題曲で「やっぱり洛南」と変に納得。 自由曲、サックスのソロは上手舞台袖に下がってのオフステージ演奏。なかなかクールなソロでした! また今回も洛南名物の楽器持ち替えがありましたね。。確認できたのは、トロンボーン⇔フルート、ホルン⇔打楽器、クラ⇔打楽器、トランペット⇔打楽器。(きっと他にもあったはずだ…) 打楽器のある下手側でめまぐるしく奏者が走り回っている光景に目を奪われ、「間に合うのかな…転ぶなよ…ぶつかるなよ…」と勝手にハラハラしてました。動き回る奏者には拍手ですけれど、あそこまで持ち替えをするメリットが私には感じられなかったのですが…。演奏には影響無くても、落ち付きが無いように感じるのです。

11
中国/広島県  鈴峯女子高等学校  (宇根岡俊二)  ※3年連続4回目
銀賞

3/バレエ組曲「火の鳥」より  (I.ストラヴィンスキー/R.アールズ、F.フェネル)

クリアでTuttiもすっきりした感じ。過去3回の演奏は全部聞いていますが、聞くたびに上手になってきます。ドライブ感があるマーチで聞いていて気持ち良いです。「火の鳥」では「王女たちのロンド、カスチェイの踊り、終曲」を演奏しました。美しいロンド、スピード感溢れる中盤、安定感のあるラスト等、変化に富んだ良い演奏だったと思いますが、カットの仕方に難ありと思いました。唐突すぎるカットが音楽の流れを妨げていたと思います。

12
関西/大阪府  大阪府立淀川工業高等学校  (丸谷明夫) ※3年連続25回目
金賞

1/大阪俗謡による幻想曲 (大栗裕)

明るいサウンドで華やかなマーチでした。マーチの終曲部分は丁寧で落ちついた感じで、面白かったです。自由曲は4回目の大阪俗謡。十八番だからなぁと安心して聞きました。過去の演奏よりも洗練されてきているようですね。3年連続出場を3年連続金賞で飾りました。

13
東海/静岡県  東海大学附属翔洋高等学校  (榊原 達)  ※2年連続18回目
金賞

2/米国コロンバイン高校 銃乱射事件を題材にした
    「神が愛なら、どうしてこんな悲劇が起こるのか?」 (D.ギリングハム)

課題曲は、冒頭のホルン&サックスが揃わなくて残念。各セクションが分離して聞こえ「まとまり」に欠けていたと思います。自由曲は、支部大会までは「And Can It Be?」という題名しか公表されていなかったので、いったいどんな曲だろうと不思議でした。全国大会のプログラムには邦題名が表記されて納得。題意を頭に置きながら聞くのとそうでないのとでは、この曲の魅力が分からないままだったでしょうね。コンクールには向かない選曲かなと思いましたが、審査員には「思い」が届いたのでしょう。2年連続4回目の金賞。

14
四国/香川県  香川県立観音寺第一高等学校 (松繁哲朗) ※13年ぶり12回目
銅賞

1/3つの交響的素描「海」より 第3楽章 "風と海との対話" (C.ドビュッシー/藤田玄幡)

課題曲の前奏は不安定なまま曲が進んでいきました。マーチに入ってもなかなかサウンドが安定せずに終わってしまったという感じ。自由曲はフレーズの受け渡しがスムーズでなく、こじんまりとした演奏。サウンドに奥行きや広がりが無く、平坦な演奏になってしまったのが残念でした。トランペットソロは緊張しましたかね…。要所要所でピッチが合わずアンサンブルも乱れがちだったのが残念でした。


【後半の部】
金賞5、銀賞6、銅賞3。金賞内訳は北海道1(東海大四)、東関東1(習志野)、西関東1(埼玉栄)、東海1(東海大翔洋)、関西1(淀川工業)と超常連バンドが名を連ねましたね。そのほかでは秋田南が非常に良かったと思います。今年で、伊奈学園総合、秋田南、洛南、鈴峯女子、淀川工業が3年連続出場です。

※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。

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