第51回全日本吹奏楽コンクール
平成15年11月1日(土)/普門館

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中学・前半の部

1
東北 福島県 小高町立小高中学校 (指揮/北野英樹) ※2年連続2回目
失格

1/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より 夜明け、全員の踊り (M.ラヴェル/須藤研太)

Trpソロはちょっと音程が危うい感じでしたが、なんとか吹ききりました。序奏部分では音楽の推進力が弱く、またサウンドが薄くなるとピッチの不安定さが露呈したのが残念。コントラバスの音が豊かに響いていたのが印象に残っています。自由曲では「夜明け」の冒頭の低音群の旋律にもっと歌いこみがほしいと思いました。「全員の踊り」はテクニカルな部分はよく吹けていましたが、ジェットコースターのようで「踊り」という雰囲気がもっとあれば…と思いました。タイムオーバーということで残念ながら失格。


2
九州 福岡県 北九州市立沼中学校 (指揮/武田邦彦) ※2年連続2回目
銀賞

1/「GR」より シンフォニック・セレクション (天野正道)

Trpソロ、難しい部分を成功させ気が抜けたでしょうか、最後がちょっと惜しかったですね。序奏部分では音楽の流れもスムーズで良い演奏だったと思います。特にブラスセクションのアタックが明瞭で気持ちいいですね。GRは冒頭のブラスセクションがよく吹ききりました。しかし中学生にはこの部分難しいですね。続くOb、Flのソロも秀逸ですし木管群のピッチがよく合っていて素晴らしいです。終曲部分も練習の成果がでてたようで、ラストの盛り上がりも見事でした。全体の構成もしっかりしており、音楽の輪郭が明瞭な秀演だったと思います。金賞でも十分かなと思いましたよ。

3
北陸 福井県 鯖江市立鯖江中学校 (指揮/佐々木和史) ※19年ぶり3回目
銅賞

4/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より パントマイム、全員の踊り (M.ラヴェル/仲田守)

音が客席に飛んでこなく、ステージ上でこもっているような感じがしました。冒頭はTrp&Trbのアタックが滑ってしまい不明瞭で、しかも全体のピッチが悪くハーモニーが決まりませんでした。フレーズの受け渡しがぎこちなく流れが今ひとつといった感じで平坦なマーチになっていたようです。自由曲ではパントマイムのフルートソロが秀逸!その実力を十分に発揮され見事なソロを披露してくれました。「全員の踊り」はよく練習されているのが分かりましたが、各パートの歯車が少しずつ噛み合わないようで、全体的な一体感が今ひとつという印象です。

4
西関東 埼玉県 飯能市立美杉台中学校 (指揮/磯崎政徳) ※2年連続2回目
銅賞

2/ロッシーニの主題による組曲「ソワレ・ミュージカル」より 
マーチ、カンツォネッタ、チロル風舞曲、タランテラ   (B.ブリテン/C.ブラウン)    

本日最少人数22名の編成(Fl2、Cl3、Sax3、Hrn2、Trp3、Trb2、Euph1、Tub1、Perc5)です。奏者一人一人の音がよく出ています。編成的なデメリットは感じませんでした。課題曲ではすっきりとしたサウンドで曲の雰囲気をよく表現できていたと思いますが、中音域のピッチが多少不安定でした。自由曲はとても明るいサウンドで好演。カンツォネッタのフルートソロも秀逸でしたし、全体の構成もよく出来ていたと思います。ただ管楽器の音量に比べて打楽器が少々叩きすぎかなと感じました。

5
北海道 札幌市立厚別北中学校 (指揮/木田恵介) ※2年連続2回目
失格

1/「アルプス交響曲」より
日の出、頂上にて、雷雨と嵐・下山、夜 (R.シュトラウス/八田泰一、木田恵介)

どっしりとして大らかなマーチでしたが、金管群のタンギングがちょっと荒く、音色の統一感が足りないように思います。しかしこの難しい課題曲をよく吹ききりました。自由曲は冒頭「日の出」の部分はもっと密やかさが欲しかったですね。個々の奏者はよく吹いているようでしたが、Tuttiでのバランスがもう一歩という感じ。ホルンは非常に好演でしたが、管楽器群と打楽器群が分離して聞こえ全体的なまとまりに欠けていたのが残念。各楽曲のブリッジ(カットのつなぎ目)部分が唐突過ぎて全体の流れが悪かったように思います。残念ながらタイムオーバー失格です。

6
中国 岡山県 津山市立北陵中学校 (指揮/稲生 健) ※初出場
銅賞

4/喜歌劇「小鳥売り」より (C.ツェラー/鈴木英史)

フレーズの受け渡しが乱れたのが残念ですが、素直な良い音でハツラツとした元気いっぱいのマーチとなりました。自由曲でも個々の奏者の素直な音がうまくブレンドされ、爽やかなサウンドで楽しい演奏だったと思います。伸び伸びとした心地良い響きとメリハリのある構成で聴衆を魅了しました。銅賞ではありましたが、初出場ながら好演だったと思います。Tuttiは安定感があり今後が楽しみなバンドですね!

7
東関東 千葉県 柏市立酒井根中学校 (指揮/犬塚禎浩) ※2年連続2回目
金賞

4/「交響曲第5番」より 第2楽章、第4楽章 (M.アーノルド/瀬尾宗利)

大変美しくまとまったオープニングでした。各音符を長めに演奏しているので、マーチにしては「流れすぎ」な感もありましたが、それ以上にTuttiでの美しいサウンドが秀逸だったと思います。自由曲は本日の白眉。バンドのサウンドがこの曲に非常に合っていましたし、中学生でアーノルドの5番をここまで演奏できるバンドはそうないでしょう。オーボエのソロをはじめ、木管セクションが本当に美しいと思いました。第4楽章・冒頭のTrpソロにソプラノSaxを重ねていましたが、やはりここは完全なソロでやってほしかったですが…。後半にかけた盛り上がりも感動的でしたし、ラストのppもそつなくまとめた名演です。サウンドが本当に美しく優雅で、前半の部では一番印象に残っているバンドです。初の金賞受賞おめでとうございます!!

8
九州 福岡県 志免町立志免東中学校 (指揮/白土直也) ※3年連続4回目
金賞

4/交響詩「スパルタクス」 (J.ヴァン・デル・ロースト)

33名(Fl3、Cl5、Sax4、B.Cl2、Hrn2、Trp5、Trb2、Euph2、Tub3、Perc5)の編成。クリアなサウンドで軽快なマーチでした。多少ピッチが危うい部分などがあって不安定なところもありましたが、全体としては好演。自由曲ではシャープなサウンドで人数の少なさなど微塵も感じさせない演奏です。中間部は大変美しくまとめられていて感心しました。ラストはもっともっとアツくなってもいいかなと思いましたが…。3年連続を金賞で締めましたね。おめでとうございます。

9
東関東 神奈川県 横浜市立樽町中学校 (指揮/水上英士) ※初出場
金賞

4/ウィズ・ハート・アンド・ヴォイス (D.ギリングハム)

明瞭なタンギング、ピタリと合ったアインザッツで見事な出だしとなりました。各セクションがクリアに聞こえ、それでいてTuttiでのまとまりが良く魅力的なサウンドです。躍動感に溢れた非常に安定感のあるマーチで、前半の部における「ベストフレンド」の中では一番良い出来だったと思います。自由曲でも音楽の流れがスムーズでした。管楽器と打楽器のバランスが良く全体的なまとまりが秀逸です。緩やかな部分も各楽器ともよく歌えているし、スケールの大きい立体感のある演奏でしたね。初出場で金賞受賞、しかも横浜市のバンドとしては初の金賞バンドです。おめでとうございます!

10
東海 長野県 千曲市立屋代中学校 (指揮/山岸浩) ※5年ぶり2回目
銀賞

4/歌劇「トスカ」第3幕より (G.プッチーニ/飯島俊成)

若干リズムが重いマーチでしたが、サウンドは柔らかくバランスも良いと思いました。セッティングの関係でしょうか、シロフォンとバンドが分離して聞こえていました。トスカはホルンが良く頑張りましたね。強奏になっても音が荒くならず、耳に心地よく聞くことができました。ただ好みの問題ですが、「トスカ」を吹奏楽で演奏することの限界を感じたような気もします。

11
四国 愛媛県 松山市立椿中学校 (指揮/高岡英二) ※3年連続4回目
銀賞

2/三つの交響的素描「海」より III. 風と海との対話 (C.ドビュッシー/石村新吾)

アナウンスから演奏開始まで数分ほど間が空いてしまいましたね。課題曲は骨太なサウンドでしっかりアナリーゼされた見事な出来だったと思います。各セクションがきちんと整理され非常に良いマーチになったと思います。自由曲は全体的に「急ぎ過ぎ」な感じを受けました。冒頭の低音群はもっと雄大な感じがほしいですね。随所に出てくるTrpソロは非常に良い音で響いており秀逸。全体的にはドビュッシー特有の雰囲気を醸し出すまではもう一歩という感じであり、大味な演奏に終わっていたのが残念です。

12
東京 東京都 玉川学園中学部 (指揮/土屋和彦) ※3年連続8回目
銀賞

3/喜歌劇「小鳥売り」より (C.ツェラー/鈴木英史)

明るく爽やかなマーチ! しなやかな木管とシャープな金管、小気味良い打楽器がうまく整理されており見事な合奏体となっています。メリハリも効いていましたし非常に安定した演奏でした。自由曲も生き生きとしたサウンドで色彩感に溢れた演奏でした。中間部もたっぷり歌いこまれ余裕たっぷり。終曲への盛り上がりも素晴らしく、聴衆をどんどん引き込んでいったような気がします。感銘度の高い良い演奏でした。金賞でも十分だと思いましたが…。

13
東北 山形県 米沢市立第四中学校 (指揮/加藤公一) ※2年ぶり3回目
銀賞

4/リバーダンス (B.ウイーラン/C.ストロメン)

丁寧でしたが多少おとなし過ぎるオープニングでした。フレーズの取り方、受け渡しがスムーズで音楽の流れが秀逸です。上手な低音群の上にメロディが心地よくのり爽やかなマーチとなりました。自由曲では、フルートソロが好演で、合唱も加わって非常に美しく作られていました。後半は一転、打楽器がよく頑張り、躍動感に溢れた見事な一体感をみせましたね。各セクションの輪郭が明瞭で、特にソプラノSaxをはじとする木管群が見事。ラストはもっともっとアツくなってもいいかなと思いましたが快演でした!!

14
関西 大阪府 大阪市立市岡中学校 (指揮/南 由賀) ※初出場
金賞

3/交響詩「ローマの祭」より チルチェンセス、十月祭、主顕祭 (O.レスピーギ/森田一浩)

全員譜面台をよけて暗譜での演奏でしたね。課題曲はスムーズな出だしですっきりしています。トリオのメロディはファゴットがよく響いており、ピッコロソロも素晴らしかったです。全体的にもビート感が明瞭で秀逸なマーチでした。自由曲、チルチェンセスではステージ上手前方でバンダのTrp3人が頑張りました。良く鳴っていましたがちょっと雑然としていたように思います。十月祭、主顕祭も重量感のあるサウンドでしっかり響かせていたのが印象的です。ラストの盛り上がりも十分! 初出場金賞は、大阪の中学バンドとしては97年の関西創価中以来6年ぶりです。

15
西関東 埼玉県 久喜市立久喜東中学校 (指揮/吉里達哉) ※初出場
銀賞

3/歌劇「トスカ」第3幕より  (G.プッチーニ/飯島俊成)

すっきりと整理され各セクションの音が明瞭に聞こえます。若干速めのテンポのためか、音の処理が時々汚くなる部分が見られました。トスカはホルンが好演。弱奏時でもしっかり吹けているので音楽が生きており、さらには強奏時でもバランスが非常に良いですね。トスカはよく研究された跡がうかがえましたが、吹奏楽でのトスカは難しいですね。皆さんよく吹けていました。

金賞4、銀賞6、銅賞3、失格2という結果。金賞は酒井根中(東関東)樽町中(東関東)市岡中(関西)志免東中(九州)。昨年金賞無しに終わった東関東でしたが、今年は2団体とも金賞で激戦区の面目を保ちました。傾向としては大きく豊かに響かせたバンドに高い評価が集まったようです。酒井根の中学生離れした美しいサウンドが非常に印象に残っています。北九州・沼中、玉川学園中も十分金賞に値する演奏だったと思います。残念だったのはタイムオーバー失格が2団体も出てしまったこと。中学の部において失格は87年(足立十四中)以来のことですが2団体も出てしまったのには驚きました。

※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。