一般の部 |
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1 | 関西 兵庫県 尼崎市吹奏楽団 (指揮/辻井清幸) ※4年ぶり24回目 | |
4/「交響曲第5番」より 第2、第4楽章 (M.アーノルド/瀬尾宗利) |
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比較的おそめのテンポ設定でしたが、非常に重厚なサウンドでスタートです。オープニングの後のクラリネットは非常に美しい演奏で素晴らしいですね。毎回思いますが、弱奏においてここまで聞かせられるバンドは貴重ですね。バスドラムとシンバルが良い音でサウンドをしめていました。自由曲でもpp〜pの巧さが際立っており、それだからこそTuttiでの強奏も実に生きていたと思います。第二楽章での冒頭ではダブルリードを中心にしたサウンドを作っていましたが、あまりブレンド感がなかったように思います。 |
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2 | 九州 佐賀県 佐賀市民吹奏楽団 (指揮/南里隆弘) ※2年ぶり11回目 | |
5/交響詩「ドン・ファン」 (R.シュトラウス/本図智夫) |
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よく揃ったファンファーレで気持ちよいスタートでしたね。大編成ですが強奏になっても破綻することなく、よくまとまっていました。ソリストは奏者それぞれでニュアンスが揃っていなかったのが惜しいですね。木管セクションがしなやかで艶のある表現でバンドをよく引っ張っていたと思います。自由曲では難曲にもかかわらず、非常にスムーズな流れの音楽を聞かせてくれました。よく整理できていたと思います。特に中間部でのアンサンブルは繊細且つ伸びやかで魅了されました。 |
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3 | 西関東 埼玉県 川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団 (指揮/福本信太郎) ※3年連続13回目 | |
5/エクストリーム・メイクオーヴァー 〜チャイコフスキーの主題による変容〜 (J.デ=メイ) |
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非常に美しく揃ったファンファーレで、ソロ群も見事でした。特に艶のある木管セクションが光っていました。洗練されたサウンドで、この曲を格調高く仕上げていたと思います。自由曲は冒頭でサックス四重奏がスタンドプレイ。若干キズはあったものの、印象的な幕開けでしたね。いわゆるチャイコフスキー作品の有名どころをコラージュした作品であり、聞く側としては非常に楽しめました。途中でのジュースのビンを使ったアンサンブルはなんとも不思議なサウンドを醸し出していて聴衆を魅了したと思います。相変わらず打楽器が上手ですね。管楽器とのアンサンブルも見事。おもちゃ箱をひっくり返したようなキラキラ&ワクワクした音楽で感銘度の高い仕上がりでした。3年連続10回目の金賞となりました。 |
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4 | 北陸 石川県 百萬石ウィンドオーケストラ (指揮/安嶋俊晴) ※3年連続8回目 | |
3/レッドライン・タンゴ (J.マッキー) |
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すっきりしたサウンドで、オーソドックスなマーチでした。小細工をせずにまっすぐに取り組んでいるようです。表現が平板で躍動感や推進力に欠けた感がありました。自由曲は話題曲ですが、全体的にスピード感のある演奏で楽しめました。ただ課題曲と同様に表現がおとなしい傾向にあり、この曲を演奏するには中途半端な印象を受けました。ソリストはもっと弾けてほしいと思います。バンド全体の一体感に欠け、Tuttiでのサウンドも分散気味になったのが残念です。 |
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5 | 東北 秋田県 秋田吹奏楽団 (指揮/佐藤正人) ※2年ぶり8回目 | |
4/「竹取物語」より (三善晃/天野正道) |
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非常に音ぬけの良い爽快なマーチでした。強奏でのバランスもよく、どっしりとした骨太なサウンドを聞かせてくれました。隅々までアナリーゼされ計算された演奏は聴く側にも安心感を与えてくれますね。自由曲では幻想的で且つ緊張感のある曲を高い集中力で披露してくれました。ピッコロソロも秀逸。全体的な流れが素晴らしく、スピード感・推進力に長けた名演だったと思います。この曲をライブで聴けたことを嬉しく思います。6年ぶり3回目の金賞おめでとうございます。 |
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6 | 東関東 神奈川県 相模原市民吹奏楽団 (指揮/福本信太郎) ※2年ぶり2回目 | |
3/ウインドオーケストラのためのマインドスケープ (高昌帥) |
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課題曲の冒頭はオルガンのような豪華なサウンドで見事でした。マーチに入っても軽快なテンポで、ノリの良い躍動感のある表現も素晴らしいと思いました。中間部での若干もたつきがあったようにも感じましたが、全体的にも申し分ない出来だったと思います。自由曲はめまぐるしく変化する音楽ですね。緩急の変化も多彩でジェットコースターのような雰囲気ですね。pp〜ffまで広いダイナミクスレンジにおいてサウンドの美しさが際立っており、特にダブルリード楽器のアンサンブルは秀逸でした。 |
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7 | 東北 秋田県 大曲吹奏楽団 (指揮/小塚類) ※3年連続12回目 | |
5/「交響曲」より (矢代秋雄/根本直人) |
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骨太なマーチでした。小塚氏のちょっとした味付けが色々と散りばめられた個性的な仕上がりになっていたと思います。(余談ですが、このバンドで他の課題曲も全部聴いてみたいと思いますね…。) 自由曲は隅々までしっかりと構成された大人の演奏でした。一般バンドによる矢代作品を聞くのは初めてでしたが、期待通りの自在なアンサンブルとスピード感溢れるサウンドがこの曲をより魅力的にしていたと思います。木管低音がもう少し充実しているほうが好みですね。例年、圧倒的な技術力というよりも「音楽全体の世界観」で勝負してくるバンドという印象がありますが、技術力も十分にアピールした快演だったと思います。金賞でも十分と感じましたが、おしくも3金を逃しました。 |
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8 | 西関東 埼玉県 川越奏和奏友会吹奏楽団 (指揮/佐藤正人) ※3年連続9回目 | |
3/左手のためのピアノ協奏曲 (M.ラヴェル/天野正道) |
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オープニングの重厚で華やかなサウンドは見事。躍動感にあふれた心地よいマーチですね。この日の課題曲3では一番好みの演奏でした。自由曲は恥ずかしながら原曲を聴いたことがないのですが、何よりもTuttiで醸し出すサウンドの美しさに圧倒されました。よくブレンドされていて実に色彩豊かなサウンドです。非常に高い技術力と指揮者の音楽性が高いレベルで融合しており、素人離れした演奏となったのは言うまでもありません。独自のレパートリー開拓の姿勢も一般バンドの中においては稀有な存在でしょう。2年連続7回目の金賞受賞、さらに佐藤氏は秋田吹とのW金賞です。 |
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9 | 九州 鹿児島県 松陽高校OB吹奏楽団 「緑」 (指揮/眞邉省至) ※2年連続3回目 | |
4/ハンガリー狂詩曲 第2番 (F.リスト/石川喬雄) |
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70〜80人の大編成バンドが主流を占める全国大会において、50人ほどの編成は逆に新鮮ですね。木管を主体とした美しくすっきりとしたサウンドで、耳にも心地良い演奏でした。期待通りの木管セクションのクオリティの高さは特筆。端正な作りのマーチに仕上がっています。自由曲でもふくよかで豊かなサウンドがより発揮されました。クラリネット群の充実はこの曲を作り上げるには十分であり、落ち着きのある演奏を聞かせてくれました。音楽は音量ではないことを十分に伝えてくれる演奏でした。 |
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10 | 北海道 札幌地区 ウインドアンサンブル ドゥ・ノール (指揮/仲田守) ※2年連続5回目 | |
3/歌劇「ローエングリン」第3幕より (R.ワーグナー/仲田守) |
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B.saxが準備できていないのに指揮者がタクトを振り始めてしまいました。そんなに急ぐ必要もなかったと思うのですが残念。Tuttiのサウンドは非常に明るく音抜けが良いですね。マーチは雑然とした感じで、なんとなく浮き足立った演奏で落ち着きがありませんでした。時間に余裕がなかったのでしょうか、自由曲への準備も非常に慌しい印象です。「第三幕への前奏曲」からスタートしましたが、サウンドが分散しておりTuttiでのまとまりに欠けました。Trpのバンダも演奏効果はもう一つという印象です。2曲通して、どこか落ち着きがなく慌しい音楽に終始してしまったように思います。 |
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11 | 東京 東京都 リヴィエール吹奏楽団 (指揮/佐川聖二) ※初出場 | |
4/大いなる約束の大地 〜チンギス・ハーン (鈴木英史) |
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正統派で端正なマーチでしたが、Trpが3人と非常に少なくTuttiでのバランスにも影響していました。全体的には美しくまとまった演奏なのですが更に力強さがほしい気がします。旋律の表現も平板な部分が多く一本調子な印象を受けました。自由曲は一転してバンドの色が変わりましたね。フルートのソロは秀逸。木管セクションも情感豊かな表現で、指揮者の音楽作りによく応えていたと思います。奏者を見ても全体的に非常に若いバンドのようでしたが、輝かしい実績を誇る佐川氏のもと、どのようなバンドに成長していくのか興味深いですね。 |
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12 | 四国 高知県 鏡野吹奏楽団 (指揮/弘田靖明) ※2年ぶり16回目 | |
5/光は大宇(そら)に満ちて 〜シンフォニックバンドのために〜 (田中賢) |
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打楽器のセッティングが終わらないままアナウンスが終わってしまいました。学生ならあせるところではありますが、慌てることなく落ち着いてしっかりとセッティングに集中したのは流石大人のバンドですね。課題曲はテンポにゆらぎがあり、マーチとして安定するまで時間がかかりました。旋律の歌い方が自然で、流れの良い演奏でした。自由曲の冒頭は大変美しいアンサンブルでしたね。オーボエ、サックス、フルートのソロも名手揃いで秀逸。美しいメロディが幾重にも重なっていき、幻想的なサウンドを醸し出していたと思います。 |
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13 | 中国 島根県 出雲吹奏楽団 (指揮/金本克康) ※17年ぶり11回目 | |
5/「ハリウッド組曲」より (F.グローフェ/仲田守) |
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50人ほどの編成でしたが、重厚なサウンドで安定感がありました。とても表情豊かで、アナリーゼの行き届いた演奏だったと思います。17年もの間全国大会から遠ざかっていたとは思えないほど堂々たる演奏でした。自由曲ではファゴットソロが魅せましたね。全体的にも自在な演奏で、この曲のもつ楽しさが十分に伝わります。メリハリも十分あり、弱奏になっても音楽がよく流れています。クラリネットソロはソツなくこなしましたが、もっと弾けても良かったですね。銅賞ではありましたが、印象に残るバンドの一つでした。 |
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14 | 東海 愛知県 春日井ウインドオーケストラ (指揮/桐田正章) ※9年ぶり2回目 | 失格 |
5/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」 (R.シュトラウス/小久保大輔) |
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骨太なマーチでした。旋律の歌い方は表情豊かでしたね。音は明るくて輝かしいものを持っていますが、バンドが強奏になると音が開いてしまってサウンドのまとまりに欠けました。自由曲は冒頭の木管アンサンブルも美しかったですね。ホルンソロはやや精彩を欠きました。ホルンセクションが木管群の後ろに弧を描くように配置したため、3〜4番奏者のベルの真後ろにマリンバやビブラフォンの共鳴管にぶつかってしまったようでバランスがよくありませんでした。全体的にも音楽の流れが重く荒さが目立つ演奏でした。残念ながら一般の部では22年ぶりのタイムオーバー失格となりました。 |
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15 | 関西 滋賀県 大津シンフォニックバンド (指揮/森島洋一) ※2年連続9回目 | |
3/パンソリック・ラプソディ (高昌帥) |
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大編成であることを感じさせないほどクリアなサウンドでした。冒頭のコードは重厚で秀逸。躍動感もあり小細工の無い正統派な演奏です。単純な構成のマーチですが、しっかりアナリーゼされたスキの無い仕上がりでした。自由曲では冒頭のソプラノサックスソロが実に見事で印象的。ソロを支える伴奏群も艶のある音色で素晴らしいです。終始、緻密なアンサンブルをこれでもかと聞かせてくれました。複雑に絡みあるセクションが見事な一体感を見せたのは、高い技術力があってこそでしょう。昨年の雪辱を果たし、3年ぶり7回目の金賞です。 |
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16 | 東関東 神奈川県 グラール ウインドオーケストラ (指揮/佐川聖二) ※6年ぶり5回目 | |
4/ファントム・ドゥ・ラムール (天野正道) |
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ステージから溢れんばかりの大編成バンド。金管を主体とした重厚なサウンドで各セクションがよく整理されていました。マーチとしては躍動感に欠ける部分や雑な部分も見受けられましたが、それよりもTuttiでの音楽に勢いがあり、申し分無い演奏だったと思います。自由曲は委嘱作品ともあり、曲がバンドの手中にありました。次々と表情を変えるサウンドは、時にはは力強く、また甘美的でありホールの空気さえ変えてしまったようです。7年ぶり2回目の金賞。成績発表のときの代表者二人の爆発的な喜び方が印象的でした。おめでとうございます。今年度のコンクール大トリを飾るに相応しい秀演でした。 |