件b医買い 魔術学の思考(下)

 

 続き。多分、前回よりはマシなはず。十戒をなんとか八戒くらいにしないと。

 パルメニデスの法則はウソですが、パルメニデスという人は本当にいました。
 この人は、古代ギリシアの人です。彼が犬を飼っていたかどうかは不明ですが、男の愛人をもっていました。古代ギリシアというのは、男同士の愛がけっこう普通だったようです。

 パルメニデスは、変化のみならず、生成や消滅も存在しないと言いました。

 この世に変化するものは存在しないなんて、おかしいと思うのが普通です。この世は変化で満ち満ちています。あの栄華を極めた平家がついこの前滅びましたし、ちょっと前にはスペインの無敵艦隊も敗れました。あんなに強かった阪神タイガースは今や最下位が定位置だし、この前、中国に初の統一帝国がやっと誕生しました。
 世の中は変化や生成、消滅でいっぱいです。
「現に変化は起きているではないか!」
と、誰もが言うでしょう。これに対してパルメニデスは言います。
「確かに変化している」
 彼もバカではありませんから、変化があることくらいわかっいたでしょう。
 ただ、上の例のような変化はパルメニデスにとって「真の変化」ではないのです(哲学者らしいことを言ったものです。こういうこと言うから、哲学者は嫌われるんです)。

 パルメニデスは「無からは何もうまれない」また、「有るものが無くなることはない」と考えていました。これは納得できる人もいるでしょう。ですから、彼に言わせると、宇宙はビッグバンで誕生したのではない。最初からあったのだ、ということになりますね。
 何もない空間から水が現れた。今までコップに入っていた水が消えた。こういうのが、パルメニデス曰くの「真の変化」なのです。なるほど、こういう変化ならこの世にはないかもしれません。ですが、紙を火で焼いたら紙は消滅します。炎に水をかけたら水は蒸発して消えます。
 これは変化ですよね。
 でも、この変化はパルメニデスに否定されます。
「この世に変化はないのだ。変化しているように見えるだけだ」
 つまり、視覚や聴覚といった、感覚はあてにならないということです。
 ただの屁理屈じじいなんじゃないの? という感じです。

「有るものは有る。無いものは無い」
 変化を認めないパルメニデスにとって、この主張は絶対にゆずれません。そのためには、この世界で日常的におこっている変化をも認めるわけにはいかなかったのです。オーバーに言えば、この変化している世界を敵にまわしたと言えるかもしれません。
 彼は感覚をあてにせず、己の論理的思考だけを信じて、世界を敵にまわしたのです。ドンキホーテのようでもありますが、私は大した勇気をもった人だ、と思います。
 自分を信じて世界すら敵にまわす。救いようのない頑固さですが、私は憧れます。

 パルメニデスの考えについてはわかりにくいですね。そもそも書いてる本人が完全にわかってませんから。
 そこで、次回はちょっと補足説明をしてみましょう。パルメニデスの弟子に、彼の「変化なんてありっこない論」を弁護した人がいます。その弟子の意見をみてみましょう。実はこのお弟子さん、今回の文章の中ですでに登場してます。

 ちなみに、これを書いている時点では、阪神タイガースは4位です。