タクティクスオウガをやろう

 

「タクティクスオウガがあるんだから、ストラテジーオウガもあるんだろ?」
「カチュアって、マルスに片思いしてるペガサスナイトでしょ?」
「ゴリアテは町の名前じゃない、飛行戦艦の名前だよ」

 ・・・というような『タクティクスオウガ』初心者の方へ。

 2000年現在『タクティクスオウガ』(以後『タクティクス』)は3つのゲーム機ハードから発売されています。スーパーファミコン(以下SFC)とセガサターン(以後SS)とプレイステーション(以後PS)です。

 SFC版の新品を手に入れるのは難しいでしょう。なにせ発売(1995年10月6日)から5年近く経っていますし、SFCが二昔前のハードになってしまったからです。ですが、SFCゲームの書き換え機(コンビニの「ローソン」にあるはず)で『タクティクス』を手に入れることができます。『伝説のオウガバトル』も書き換えられます。この二つのゲームを、一つのカートリッジに収録できるという素晴らしいことができます。書き換えは、ともに1000円という安価です。
 SS版の新品も入手は難しいかもしれません。こちらも発売(1996年12月13日)から4年近く経っていますし、SSが一昔前の「旧世代ゲーム機」になってしまったからです。
 新品を容易に買うことができるのがPS版です。「アートディンクベストチョイス」という廉価版(2800円)がちょっと大きいゲーム屋さんなら売られています。ちなみに、アートディンクとは『タクティクス』のPS版の発売元。オリジナルであるSFC版の製作・発売はクエスト。このクエストが『オウガバトル』シリーズの生みの親です。SS版の発売元はリバーヒルソフトです。
 中古なら売ってるところには売ってるでしょう──当たり前ですが。ただ私は中古の『タクティクス』を発見すると「こんな素晴らしいゲームを売るなんて、玉を捨てて石を拾うようなものだ。どこのバカがこんな勿体ないことをやらかしたんだ!」と憤る人間です。根本的に中古の存在を認めていません。

 プレイするには、自分の持っているゲーム機の『タクティクス』を手に入れなければならないわけですが、この3つのハードを全て持っている人はどれをやればいいのでしょうか。
 私は、SS版とPS版を持っています(無論、新品を買いました)。この両者の相違を見ながら考えてみましょう。
 まず、私の結論を言います。私は、SS版『タクティクスオウガ』が好きです。ですからSS版をおすすめします。しかし、必ずしもSS版がPS版より優れているとは言えません。遊び安さ、というゲームにとって重要な点ではPS版の方が優れているといってよいでしょう。

 とりあえず、私がSS版が好きな理由を述べましょう。声があるからです。
 最近のゲーム(特にロールプレイングゲームやシミュレーションRPG)の多くに声が入っています。キャストに有名声優さんを起用すれば、それが宣伝効果になるほどです。ゲームですから、飽くまでゲームとしておもしろくなければどんな演技のうまい声優さんを起用しても意味がないわけですが。
 SS版『タクティクス』の声優陣はけっこう有名な方が多く実力もあるようで、演技のことはよくわかりませんが「こんなへたっぴじゃ声なんてない方がマシだ」と怒りを感じることはありません。十分に演出効果を引き立たせる役割を果たしています。声優さんがちゃんと『タクティクス』の世界観を理解しているからだ、と誰かがかっこいいことを言ってましたが、演技の素人にはそこまでわかりません。
 私は、SS版をプレイした後にPS版をやっていたのですが、どうも寂しい。その理由はすぐわかります。声がないからです。少なくとも私にとってはSS版『タクティクス』の声は、おもしろさの重大なポイントです。

 それでは、PS版が遊び安さに優れている理由を述べましょう。
 これもただ一点、戦闘中にセーブができる、これに尽きます。SS版は、戦闘中には中断しかできません。セーブと中断の違い、それはデータが残るか否かです。中断したデータは一度ゲームを再会すると、某スパイ映画に出てくるテープのごとく強制的に消去されるのです。
 これがいかに厳しいことか、また、戦闘中にセーブできることがどんなにありがたいことか。それはプレイしていただければすぐに身をもってわかります。SS版の後にPS版をやった私はなおさらです。
<わかりにくい例──『ファイアーエムプレム』で、敵将のカミュを倒した後に格闘場で戦っていたオグマがやられたため、そのマップを最初からやりなおすはめになる(実話)・・・という思わず笑い狂ってしまう喜劇を回避できるわけです。>
 ですから『タクティクス』を初めてやる戦術家一年生の方にはPS版をおすすめします。戦術家として自信がついてきたら、自ら戦闘中のセーブを禁止すればよいでしょう。
 ですが、やはりSS版の声も捨てがたい・・・。
 最後に、SFC版の良いところを。SFCはロムカートリッジですから読み込みが早いのが特徴です。同じCDロムでもSS版の方がPS版よりほんの少し早い、私はそう感じます。
 結局、どのハードでもいいんです。ストーリーやゲームシステム、おもしろさに変わりはないですから。

 ただ、SS版はオリジナルと若干セリフが違います。
『タクティクス』は主人公の名前が自由に決められます。私の中では、デニム以外にありえませんが。他人が、デニム以外の名前でプレイしているのを見ると拒否反応をおこして──。
  私「そんなのデニムじゃないやい!」
  他人「うん、名前変えてるもん。デニムじゃないよ」
  私「私が言いたいのは、そんな表面的なことじゃないんだよ! つまり・・・(以下省略)」
 ──わけのわからないことを口走ります。実にいい傾向ですね。
 名前が自由に決められるため、声の入るSS版は多少セリフが変更されている場面があります。SFC版やPS版で「デニムはどう思う?」というセリフだったとしたら、SS版では「きみはどう思う?」と変わっているわけです。
 小さいことですが、SS版はオリジナルとは異なる、ということです。

 最後に一言。
『タクティクス』は生半可なゲームではありません。はっきりいって難しいです。シミュレーションゲームをやったことのない人には辛い難易度です。それ故、中古品が存在する(と私は確信しています。内容がつまらない、という理由で売る人がいるとは思えません)のです。
 ちなみに、PS版は1枚のメモリーカードに最大15箇所セーブできます。一方SS版は本体に3箇所、バックアップカートリッジに3箇所の最大6箇所。SFC版にいたっては2箇所のみ。
 声が入ってて、戦闘中にセーブができて、メモリーカードさえあれば何箇所でもデータを残せて、読み込み速度が速い・・・そんな『タクティクス』があったらいいなぁ。

 それにしても、最近のゲームはすごいですね。『タクティクス』のように自由に主人公の名前が決められるゲームでも、主人公の名前を呼んでくれるゲームがあるのですから。