和菓子の意匠

大半の和菓子のデザインは過去にその原型があります。
天保10年(1839)の「古今新製菓子大全」には、200種の菓子の図示と製法が
記され今日の和菓子の基本はほとんど完成されました。


明治、昭和に入り、さらに数々の素晴らしい意匠が生まれました。
本当の意味で新たな、美しいデザインを生み出すのは至難の業です。

ただ、私のような見習でも過去の図案を参考に模倣することは、それほど難しい
事ではありません。

それを見てもらうために、下記に3種の例を掲載しました。
基本図案は定番意匠として広く知られていますが、それを元にバリエーションを付けました。

色×型×素材×プラスα(飾り、素材の組合せ)で実に何種類も出来る訳です。
それと自分の表現したいスケッチを合致させる訓練で、ある程度は作れます。
全てに共通の変わらないもの、それは、素材と味です。

「形は3年も和菓子職人をやっていれば、そこそこ出来るようになる、
しかし、味を出したり素材を見極めるのはそれ以上の長い年月がかかる」と
聴かされています。

味と意匠が備わった和菓子作り、頑張ります!
(^^ゞ

「本葛流し」3

同じ型と葛を使い色々と表現しました。 
本葛100%使用ですが、寒天を使った琥珀羹や吉野羹でも作れます。

「うず潮」                      「岩清水」
                                                        
道明寺粉をまぶしてあり、水泡               苔ものイメージを薄い緑色で。
の感じをだしています。
大納言小豆は小船のつもりです。


「湧き水」

   

                           白餡を使って、色を染めたり、小豆の変わりに
中に漉し餡を入れて味に変化を        大徳寺納豆を入れても面白いです。
つけ、道明寺粉で岩の間から          あるいは、黒砂糖仕立ての琥珀羹もどこかの
湧き出る水の泡を表現しました。        茶会で美味しくいただきました。

渦巻きは、時や無常を表すことも
出来ますので、時間や永遠、命など
との関連でイメージする場合もあります

<付録>
葛について

本葛は独特の弾力の中にも、柔らかいとろみがあります。
琥珀仕立てになれば、寒天の弾力感が増した食べ口になります。

最近では、葛粉を1〜2%入れてその他は「水饅頭」の素のような
調合されたゲル化剤(寒天やでんぷん質を配合したもの)での「葛流し」
も出回っているようです。

本物ではないと言うつもりもありませんが、本葛と勘違いしておられるお客様
からの問い合わせも多いので一言。

ただ冷凍保存に都合が良く、本葛が冷蔵庫に入れておくと硬くなりすぎるのに
対して調合粉の場合は柔らかさが保てるという利点があります。
(寒天などで出来ているので当たり前ですが)

 

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