分数の加法の指導について
1/2 + 2/3 = 3/5
上の分数の計算は明らかに間違いですが,下の白丸と黒丸を用いた説明を見てください。
説明
1 ○● は白丸1つと黒丸1つなので,白丸の全体に占める割合は1/2です。
2 ○○● は白丸2つと黒丸1つなので,白丸の全体に占める割合は2/3です。
3 ○● と ○○●を合わせた ○○○●● の白丸の全体に占める割合は3/5
になります。
4 これを式で表すと, ○● にあたるものは 1/2
○○● にあたるものは 2/3
○○○●● にあたるものは 3/5 と書けそうです。
5 したがって, ○● + ○○● = ○○○●●
1/2 + 2/3 = 3/5
しかし,上記の足し算はどこかおかしい!! どこがおかしいのでしょうか?
正解は・・・
結論から言えば,足し算のできる分数は量分数です。この例の場合は割合分数であり,
割合分数は内包量なので,足し算はもともとできないのです。
これが外延量である量分数なら足し算はもちろんできます。
例 1/2m + 2/3m = 3/6m + 4/6m = 7/6m
また,内包量同士は足し算ができません。例えば,40℃ のお湯 1gと 50℃ の
お湯 1g を混ぜると,90℃ のお湯が 2g できるのでしょうか。
この場合,1g は外延量なので 1g + 1g = 2g のように足し算はできま
すが,温度は内包量なので足し算はできません。
内包量はさらに,分類できて”度”と”率”の2つがあります。
・度には速度や温度,密度などがあります。
100km ÷ 2時間 = 50km/時 (これは速度です)
・率には円周率や確率,打率などがあります。
円周(cm) ÷ 直径(cm) = 円周率
割合分数は内包量であり,足し算はできません。割合分数と量分数が子どもの頭の中
で,ごちゃごちゃになっていると,分数指導はうまくいきません。子どもは混乱するばかり
です。「割合分数」と「量分数」この2つの違いをきちんと教えることが大切です。