「分数÷分数」は小学校6年間の「数と計算」領域のまとめでありながら、指導すること
が難しいと言われます。原因としては、「割る」ことの意味が十分に理解されていないこと
が原因の一つだと考えられます。以下に、指導のポイントを述べます。
1 まず、「わり算の意味」をくり返し教える。
(1)わり算の意味
x÷yとは「yを1と考えると、その1に対してxがいくつになるか」を求める計算で
あり、割合を求める計算ということになります。要するに、x÷y=a÷1
となるaを求める計算がわり算ということです。わり算には「等分除」と「包含除」
の2つありますが、「等分除」は「一当たり量」を求めることなので「わり算の意味」
に直結しています。
わり算は3年生から学習しますが、わり算とは「1時間」「1皿」「1人」「1分」「1u」
「1dl」・・・当たりを求める計算ということを「等しく分ける」という言葉と共に、3年生
からわり算が出るごとに子どもに何回も教える必要があります。
(2)包含除をどうみるか
わり算の意味が「一当たり量」を求めること(等分除)とすれば、包含除は「いくつ
分」を求めることです。もともとかけ算の意味は「一当たり量」×「いくつ分」=「全体の量」
なので、意味は一つですが、これからわり算の意味づけを行っていくと2通りできます。
@「全体の量」÷「いくつ分」 =「一当たり量」・・・等分除
A「全体の量」÷「一当たり量」=「いくつ分」・・・・包含除 したがって、@をわり算の意
味だとするとAが落ちてしまいます。そこで、指導する際にはAの意味も取り上げる
必要があります。
2 分数÷分数の指導の実際
6年の「分数のわり算」の単元ではわり算の意味や計算の方法を考えるのに「等分除」
を使っています。包含除では 3/4÷1/4 のように被除数、除数の分母が同じで除数
の分母が単位分数の場合は包含除で説明できますが、そうでない場合は難しいのです。
分数のわり算を説明するには「等分除」を使いますが、それを分かりやすく説明するに
は式の変形だけではなく、単位分数をうまく使い、面積図を活用したいものです。
(1)式の変形で
2/5÷3/4=2/5×4/3÷3/4×4/3=2/5×4/3÷1
除法の意味は x÷y=a÷1 となるaを求めることだから除数を1にするために
3/4 の逆数の 4/3 を 2/5 と 3/4 にかけます。分数でわる計算で、
分数の分子と分母を入れかえてかけるということは除数を1にすることにつながっています。
(2)面積図を用いて
2/5÷3/4
2/5uのへいをぬるのにペンキを3/4dl使います。ペンキ1dl当たり何uぬれますか。
図 省略 図から単位分数は1/15になります。これが全部で2×4=8あります。した
がって答えは8/15になり、分母の15は5×3=15であり、分子の8は8=2×4です。
このことから除数の分母と分子を入れ替えて除法を乗法にしたことが分かります。