算数・数学の学力向上のために
1 平成15年度教育課程実施状況調査から
この調査の中で,形式的に計算をして答えを出す問題については,数の計算,文字式の計算,
方程式の解法において前回の調査結果を上回る問題が多く見られたとのことでした。しかし,数
や文字式の意味を問う問題については,思わしくない結果だったようです。
このことから算数・数学指導の問題点が浮かび上がってきます。当然のことですが,計算がき
ちんとできることは,算数・数学を学ぶ上での絶対条件です。したがって,その習熟のためには
十分に時間を取る事が必要です。しかし,それだけに終始しているわけにはいきません。数や
文字式,計算の意味についてしっかりと理解させる必要があります。なにぶん,意味も分からず,
繰り返し繰り返し計算練習をするのは子どもに取って,苦痛なことです。指導する教師の側にも
「とりあえず,計算さえできればなんとかなる」との意識から,計算の技能,習熟に目が行きがち
です。また,観点別で言うと「数と式」領域等では「表現・処理」や「知識・理解」の観点の指導や
評価に重点が置かれがちです。しかし,内容研究や教材研究を十分に行うと,「数と計算」「数と
式」領域では「関心・意欲・態度」や「数学的な見方・考え方」について指導することができます。
(指導せざるを得ない状況になるということ)
「数と計算」や「数と式」領域を分かりやすく,かつ興味深く教えようとすると自ずから,「関心・
意欲・態度」や「数学的な見方・考え方」の観点別学力を伸ばすことになります。大切なのは教師
の情熱と指導力の向上だと思います。