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                    関数指導の一考察

1 平成15年度教育課程実施状況調査から

  この調査の中の意識調査の結果,生徒も教師も関数の学習に対して否定的な意識を持って

 いることが明らかになったとあります。また,学習の実現状況についても他の指導内容よりよく

 ないとのことです。歴史的に見て,関数は連続量の依存関係を表現するために生まれてきまし

 た。今日の学習指導要領数学の第3学年内容の数量関係には以下のように書かれています。

  具体的な事象の中から二つの数量を取り出し,それらの変化や対応を調べることを通して,

 関数 y=ax について理解するとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を伸ばす。

  ・事象の中には関数 y=ax としてとらえられるものがあることを知ること。

  ・関数 y=ax のグラフの特徴と関数のとる値の変化の割合について理解すること。

 さて、この内容を生徒に理解させるにはどうすればよいのでしょうか。


2 関数とは何か

  関数はもともと複数個の数量(ここでは中学校で教える内容なので二つの数量で考えます)

 の依存関係を表現するために生まれてきました。例えば、 y=axを考えた時、ここにある関数

 は「xを2乗してa倍する」とyになるという働きのことなのです。(関数式からは直接見えてこない)

 y=axはあくまでも関数式(等式)であり、この場合の関数はあくまでも「xを2乗してa倍するとい

 う働き」ということになります。関数の英訳は「function」で「機能」とか「働き」という意味です。

 「function」の方が関数本来の意味をうまく伝えているように思います。関数は式で表現したり、

 グラフで表現したり、表で表現することもできます。関数本来の意味が理解できていればこれら

 の異なった表現方法も理解しやすいでしょう。

  例えば、「xを3倍し、1を加える働き=関数」は式で表現すれば等式を使って y=3x+1 と

 表すことができ、グラフや対応表にも表すことができます。


3 関数指導のポイント

  関数の中学教科書での定義に「xの値を決めると、それに対応してyの値が1つに決まるとき、

 yはxの関数である。」というものがあります。 この定義は社会や自然界の因果関係を数学的に

 捉えるという関数指導の観点からは何の問題もなく、「ある原因に対して、一つの結果が常に対

 応する」という因果律を表すものです。ただ、この定義とy=bx+cやy=axの関係把握ができず

 に生徒は関数が訳の分からないものと感じてしまいます。教える側としては、関数の定義の扱い

 については十分に工夫や配慮をして教える必要があります。「定義だから覚えなさい」では生徒の

 混乱は深まるばかりだと思います。

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