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                    観点別学力とコンピュータ

1  はじめに

   これまでも観点別学力について,述べてきましたが観点別学力の意味や,観点別学力間の

  関連性をパソコンの機能と関連づけて考えてみようというのが,このページの趣旨です。ちょっ

  と奇抜すぎるかもしれませんが,ある意味では,観点別学力を言い表している かもしれません。  


2  観点別学力の4つの観点

 (1)関心・意欲・態度

    これは,パソコンでのキーボードやマウスなどにより入力をすることです。とにかく,これがな

   ければ何も始まりません。子どもにとって意味のある活動は入力がはかどっている状態です。

   逆に,子どもにとって意味のない活動は入力がもたついている状態です。

 (2)数学的な見方・考え方

    ハードディスクから必要なデータ(既習の知識等)を幾つかメモリー上に呼び出してきます。こ

   れらのデータを使って、試行錯誤しながら新しいデータを作ったり、編集したりします。この新し

   いデータを作ったり、編集したりすることを 「算数的・数学的活動」 と呼びます。さて、これらの

   一連の作業はメモリー上で行われているので、このままでは電源を切ると新しく作られデータも

   メモリーから消えてしまいます。    


  (3)表現・処理

    ここでは、メモリ上で作成された新しいデータをハードディスクに記録する作業を行います。

   いくらすばらしいデータをメモリー上で作っても、そのままでは消えてなくなります。そこで、

   パソコンを操作し、一定の手順に従い、ハードディスクにデータを記録します。これは、ちょう

   ど学習したことを定着させるために繰り返しドリルを行ったりすることと同様です。

  (4)知識・理解

    これまでの手順を経て、新しく作成されたデーターは生きて働く知識としてハードディスクに

   記録されました。いつでも、好きな時にハードディスクからデータ(知識)を取り出すことがで

   きます。あくまでもハードディスクに記録されたデータは知識と考えます。この知識は内容知

   も方法知も含んでいます。そして生きて働く知識です。

3  まとめ

 (1)そして、次の何らかの必要感から、キーボードやマウス等を操作し、ハードディスクから必要

   なデータをメモリー上に取り出し、それらを加工したり、くっつけたりしながら新しいデータを作

   っていきます。(試行錯誤・ひらめき・直観)これは算数的・数学的活動を通して、既習の知識・

   理解から新たなものを創造している、すなわち数学的な見方・考え方を培っていると言うこと

   です。この様に、4つの観点別学力はサイクリックに循環しながら、進展していくのです。ちょ

   うど、螺旋階段のようにです。コンピュータは人間の作った機械で、ある意味で人間の思考や

   知的進化のパターンに模倣して作られている部分もあるのではないかと思います。

 (2)平成15年度教育課程実施状況調査結果を踏まえた指導上の改善点の一つに計算技能と

   意味理解を結びつけるというものがありました。子どもたちは形式的に計算をして,答えを出

   す問題は得意だが,数や文字式の意味を問う問題のできはあまり思わしくなかったということ

   です。やはり,数や計算の意味や活用の仕方を,しっかりと教えその後,計算の習熟を図る

   ことが必要です。また,そうやって,覚えた計算方法は簡単には忘れないと思います。

 (3)よく習熟度の低い子どもは計算方法などをすぐに忘れるというようなことが言われますが,

   それは,数や計算の意味も分からず,単に機械的に憶えさせようとするからです。これは

   パソコンの例で言えば,メモリー上での操作を抜きにして,すぐにハードディスクに記録させ

   ようとするようなものです。これではうまく機能しないでしょう。すなわち,メモリー上での操作

   (試行錯誤,数学的活動)が必要になってくるのです。習熟度の低い子どもに数学的な見方

   や考え方を身につけさせるのは難しいと思われがちで,その部分を飛ばすようなこともあり

   がちですが,その子に合った試行錯誤,数学的活動のさせ方はあると思います。この手順

   をきちんと踏んではじめて,生きて働く知識を獲得できるのだと思います。

 (4)数学的な考え方の学力を伸ばすには「算数的・数学的活動」を十分に保証する中で,試行

   錯誤をたくさん行わせる,子どもにとって意味のある活動を行わせる,一人で考える時間と

   グループで一緒に考える時間を設ける,子どもの算数的・数学的活動への指導・助言を個

   に応じて適切に行う,などが必要だと思います。

    子どもがパソコンを使って,ある事柄について数学的な事象を調べている時,その時は

   メモリー上の操作を実際に行っているわけでまさに,数学的な考え方を鍛えていることが,

   パソコンの画面上に投影されていることになります。画面の図形やグラフがどのように動

   いているかで,ある程度は子どもの頭の中で起こっている内的活動を推測することができ

   ると思います。また,そうであればこの観点の評価もしやすくなります。これはパソコンに

   限らず,パソコン以外の教材を用いての算数的・数学的活動を見ることによっても,ある

   程度は判断できるものだと思います。パソコンの場合はLANで繋がっていれば,集中して

   教師が見ることができるので,その分指導や評価が有利かもしれません。

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