1 「幼児における数概念の発生」(ピアジェ)の中で、ピアジェは幼児がどのようなこと
が分かれば、数というものの考えをつかんだかについて以下のことを述べています。
(1)分割に対する不変性
ある決まった個数のものをどのような分け方をしても、全体の数は変わらないことが
わかる。
(2)1対1対応に対する不変性
ある2つの集まりの要素が1対1対応した場合には、2つのものの集まりは同じ数に
なることがわかる。りんごをひとつ、ふたつ、と数えることはりんごの集まりと、頭の中に
ある1,2,3・・・という数のことばとの間に、1対1対応をつけている。
(3)順序に対する不変性
あるものの集まりを数えるとき、右から数えた場合と左から数えた場合で数が違って
いたなら、おかしいと思う。
(4)集合数と順序数の結びつき
例えば、りんご1個の集まり、2個の集まり、3個の集まり・・・と集まりの少ない方か
ら順に並んでいる時、りんご3個の集まりが3番目にくることがわかる。
以上のことから、1年生初期段階の指導のポイントはある程度分かってきます。(特に、
1年生段階で数の概念が十分に身についていない児童に対して)以下にその指導のポイ
ントを挙げます。
(1)10までの数を数えるときは、具体的物を数える。(右からも左からも)
(2)10までの具体物の集まりを、適当に分けて、全体を通して数える。(分け方によらず
数は不変)
*(1)(2)の操作で、具体物と頭の中の1,2,3・・・という数詞を具体物がおかれてい
る状況の変化に関わらず、きちんと1対1対応させる。
(3)具体物と半具体物(タイルやブロックなど)を1対1に対応させる。(具体物の下に半
具体物を過不足なく置いていく)
(4)0はお皿や容器の中に、何もない状態を表していることを理解させる。(実際に、お皿
の中のお菓子を3つ、2つ、1つと食べ、最後に全てが無くなった状態を0と理解させる。)