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                  算数・数学の分析

  子どもが算数・数学への関心・意欲・態度を持続させるためには,導入段階で子ど

 もが興味を持つような素材を提示することは大切ですが,これだけでは時間が経て

 ば飽いたりして,ついてこれない子どもも散見されるようになります。目先の珍しさや,

 面白さだけで引きつけることなく,指導内容全般について主体的に関わらせるため

 には,教える側の「子どもの思考活動の分析」「算数・数学の分析」が必要です。今

 回は「算数・数学の分析」について述べたいと思います。ただ,「算数・数学の分析」

 と言っても,具体的に何をどうすればいいか分かりにくい面もあります。そこで,拠り

 所にするのは学習指導要領解説算数編です。一つの例として「十進位取り記数法」

 について考察します。これは解説算数編の中の数カ所に記されています。

  学習指導要領解説算数編p34から十進位取り記数法の記述について抜粋します。

 「前略−ふつう,十進位取り記数法が用いられる。これは10個のまとまりができたと

 き,それを新しい一つのものと置き換えて表すという考えである。−中略−この十進

 位取り記数法は,ものの集まりを分類整理して数えやすくするという発想から考えられ

 たものとみることができる。したがって,具体物を用いた活動などと結び付けて,数の

 表し方について理解できるようにすることが大切である。」とあります。では,ポイントを

 一つずつ見ていくことにします。

 ◎「10個のまとまりができたとき,それを新しい一つのものと置き換えて表す」

  これについてはこのままの形で子どもに伝えようとしても難しいので,例えばブロック

 などを使って,10個集まるとそれが一つ上の位(左側)に移動する場合,必ず「一つ

 のものに置き換わる」訳ですが,子ども向けの表現としては「10個が1本になる」とい

 うように示す事が大切です。この部分が曖昧で1本が10個に見えたりすると,混乱の

 元になります。これは十進位取り記数法の原理説明教具その2を参考にして下さい。

 視覚的で分かりやすいと思います。

 ◎「ものの集まりを分類整理して数えやすくする」

  これについては,どのような区切り方(分節の仕方)をするかと言うことです。例えば,

 n進位取り記数法の場合はn個のまとまりができたら,一つ上の位(左側)に移動す

 るということです。ここでも大切なことはn個が1本になるということです。例えば十進

 位取り記数法での25は八進位取り記数法では,8個のまとまりが3本と残りが1個

 できるので3本と1個すなわち31ということになります。この辺りがしっかりと分析で

 きていれば,子どものつまずきやすい所も予想できるし,なんと言っても子どもを授

 業に引きつけるための様々の工夫も生まれてきます。考える楽しさを味わわせるこ

 とが可能になります。位取り記数法の根本原理さえ理解させることができれば,例え

 ば七進数の46+35や43−15でも直接計算することができるはずです。ここでは,

 十進位取り記数法を例にして算数や数学の分析について述べましたが,学習指導

 要領解説算数編,数学編を熟読して算数・数学の分析に役立ててください。これが

 きめの細かい指導につながり,ひていは子どもの思考力を鍛えていくことになります。

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