十進位取り記数法について
十進位取り記数法は算数「数と計算」領域を6年間に渡って貫く重要な考え方です。
この考え方の最大のポイントは,目の前に存在する「モノ」をどのように区切り,分類,
整理するかということです。
例えば,ここに同じ大きさのミカンが多数あり,その個数を把握する必要があるとし
ます。そのためには,ミカンにある記号(数字)を1対1に対応させていきます。
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○・・・
1......2......3.....4.....5......6.....7.....8......9.....a......b....
c......d......e.......f......g.......h......i ・・・
このようにしていくと,ミカンの分量だけ,記号(数字)が必要になってきます。これで
は大変です。(何種類もの記号(数字)を作り出すのは大変です。)そこでうまい方法が
必要になってきます。日常的にも洋服などが部屋中に散乱している状態では使い勝手
が悪いものです。そこで,どうするかといえばタンスや引き出しに種類ごとに整理して
仕舞うわけです。数の場合も同じです。例えば十進位取り記数法では10ごとにまとめ
て一つ上の位に移すわけです。移すことで一つ下の位と相対的に違う位置取りができ
十の位,一の位というように単位の違いも示すことができます。
例えば,これまでの話を分かりやすくするために十進位取り記数法で表された25を
六,七進位取り記数法で表現してみましょう。そうすることによって区切る,分類,整理
というn進位取り記数法の意味や良さが分かりやすくなると思います。
まず,十進位取り記数法の25をブロックで表現すると(但し,ブロックは10個で1本
となり十の位に移動します。参考:十進位取り記数法の原理説明教具その2)以下の
ようになります。
25個の内の20個がブロック2本分です。
次に,25個の内の5個が文字通りブロックが5個です。
したがって,25をブロックで表現すると2本と5個ということになります。
では,七進位取り記数法で表現するとどうなるかというと,まず,25個のブロックを1本
当たり7個ずつに区切ると 25個÷7個/本=3本 あまり 4個 となります。
したがって,25を七進位取り記数法によるブロックで表現すると3本と4個ということ
になります。
次に,六進位取り記数法で表現すると,まず,25個のブロックを1本当たり6個ずつ
に区切ると 25個÷6個/本=4本 あまり 1個 となります。したがって,25を六進
位取り記数法によるブロックで表現すると4本と1個ということになります。
すなわち 25=34(7)=41(6)となります。
(但し,34(7)は七進数を,41(6)は六進数を表しています。)
このように,見てくると結局はn進位取り記数法というのは数の区切り方(n進)と数字
の位置の相対的な違い(位取り)を生み出すアイディアということができます。日常生活
では十進位取り記数法がよく使われ,コンピュータ関係では二進位取り記数法や十六
進位取り記数法がよく使われています。