「数学的な考え方」と「数量や図形についての知識・理解」の関連について
この2つの観点の関係を示すために,1つの例を考えてみます。
四角形の内角の和を求めるために,既習事項として三角形の内角の和は180°であることを使います。
ただこれだけでは四角形の内角の和は求められないので,1つの方法として四角形を対角線で2つに分
けます。この2つに分けるアイディア(直感,ひらめき)が「数学的な考えかた」になります。次に,形の違う
四角形の内角の和を求めるために,対角線を引いたとすれば,それは「数学的な考え方」というよりは,
すでに経験したことを使っているので,「知識・理解」を使って対角線を引いたということになります。ただ,
五角形の内角の和を求めるために,1つの頂点から対角線を引き3つの三角形に分けるということは,
「四角形の時には,対角線を引いて2つの三角形に分ける」ということを拡張して五角形の時にも同じ方
法を適用しようとしているので,これは「数学的な考え方」をしていると考えられます。このように「数学的
な考え方」はある時間を経て,「知識・理解」として頭の中に蓄積されていきます。(方法知として)そして,
次なる未知の問題に直面した時に,これまでの「知識・理解」を使い,また,それらを組み合わせて「数学
的な考え方」を行います。ここでは,触れていませんが「算数への関心・意欲・態度」や「数量や図形につ
いての表現・処理」も含めて考えれば,最終的に生きて働く知識(死蔵された知識ではない)は「関心・意欲
・態度」→「考え方」→「表現・処理」→「知識・理解」→「関心・意欲・態度」→「考え方」→ ・・・・というように
サイクリックに進展していくものと考えられます。ちょうど、らせん状の階段をくるくる回りながら少しずつ
上昇するようなものです。