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「kyositu.comは,魔法の刀(磁石の学習で)」
小川義一@活法研
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神奈川県横須賀市にある鴨居小学校の3年1組。みんな意欲的な子供たちである。普段から、教科書で授業を進めるのではなく、教科書を活用して授業に生かしている。3学期に入って、「磁石につけてみよう」という単元に入った。
事前に教科書を見ている子供たちにとっては、教科書に書かれている通りの実験をなぞるのでは、ただ書いてあることを覚えるだけで終わってしまう。それではいけないと考えた私。
学習指導要領や教科書、教科書会社の指導書をいろいろ調べてみたのだが、納得がいかない。しかし,図書館に行くには、時間が遅すぎる。そんな時、インターネットで検索してみたらどうかとひらめいた。
さっそくパソコンの前に座りインターネットに接続。検索エンジンは「kyousitu.comのHP検索」である。
http://www.kyositu.com/ にアクセス。
教科を理科、学年を3年、キーワードとして「磁石」と入力、「検索」を。すると、「マグネットワールド」
http://www.26magnet.co.jp/ の紹介が。
探していたページは、これだと思いすぐにアクセス。 その中に「キッズルーム」というコーナーがある。このサイトを作った二六製作所によると,
「近くの小学5年生が8名ほど課外学習で工場見学に行った際、工場内を案内され機械や製造工程の説明をうけたのだが、なんだか「しらーーー」としていて、つまらなさそう。しかし、最後に強力な磁石を見せられるとみんな目を輝かせ質問もしてくれるようになった。やっぱり磁石は『人を引きつける不思議な魅力があるな!』とあらためて感じ、こどもたちのために何かできることはないか?と、このページを作った」というのだ。
なるほど専門家が子供向けに作っているので、とてもわかりやすく、私が今まで知らなかったことがたくさん載っている。
中でも,磁石スライムには驚いた。子供達もびっくりするに違いない。そこで,磁石スライムをこの単元の導入に使うことにした。
そして、さっそく単元案を。
(1) 磁石スライムであそんでみよう
(2) 磁石につくものを探してみよう
(3) 砂鉄であそぼう
(4) 磁石には、N極とS極が
クーロンの法則
どうしてN極とS極があるの
(5) 磁石は本当に北をさすの
地球も磁石
(6) 磁石を作ってみよう
いよいよ授業。教卓の上に磁石スライムを取り出すと、
「何だ。これ。」
「ぐにゃぐにゃしているみたい。」
「あれは、スライムじゃない。ぼく、触ったことがあるよ。」と。
そこで,さらにかくしていた磁石を取り出し,磁石スライムに近づけると,磁石スライムはぐにゃぐにゃと引きつけられたり,反発したりしながら動き出した。すると,子供達は大興奮。
「わー、何これ。きゃー楽しい。」
「何で、このスライムがつくの。」
「あれって磁石なのかな。」
と。すかさず、グループで一つのスライムと磁石を渡すと
「ウヒャー。楽しい。」
「すごく面白いよ。」
「何、これ。」
子供たちは、磁石スライムに引き寄せられるように、磁石を手に取り実験をはじめた。
「他のものも つけてみたいな。磁石っていろいろなものがつくんだよね。」
「磁石は、砂鉄もつくんだよね。砂鉄もつけてみたいな。」
「砂鉄をたくさん、とってみたいな。」
「NとかSとか、かいてあるけど、どんな意味があるのかな。」
「なんでNとかSとか、あるのかな。」
「磁石ってどうなっているんだろう。」
「磁石を作ってみたいな。」と、子供たちの反応は、今まで以上に教材に興味・関心がわき、自分たちから課題がどんどん出てくるではないか。
その後の課題に向かって調べる子供たちは、まるで「水を得た魚」のようではないか。
おかしな言い方かも知れないが、教師にとって、教材研究は、武士の刀かも知れない。刀が錆びていては使い物にならない。いつも研ぎ澄まし、いつでも使えるようにしておく。
しかし、使わなくてすめば使わない。いざというときに活躍する物。
それが武士の刀である。
「kyousitu.comのHP検索」は、私たち教師にとって魔法の刀かも知れない。
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小川義一 E-mail→ yosikazu@mx6.ttcn.ne.jp
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義一のページ→ http://www1.ttcn.ne.jp/~ogawa/