私流太極拳練習メニュー

 私が補助講師を務める厚別さわやか会太極拳クラブで,新しい練習メニューを試しています。
 1回2時間の練習時間を次のように割り振ってみたのです。先輩諸氏からご意見をいただければ幸いです。

練功十八法 (約15分)
柔軟(手→肩→腰→脚部) (約10分)
站椿(並歩,虚歩,弓歩,伏歩,独立歩) (約10分)
定歩功(並歩,虚歩,弓歩) (約10分)
套路(入門,初級太極拳×2) (約10分)
ー休憩ー (約5分)
歩行・単式練習(起勢,野馬分髪,単鞭,etc) (約20分)
24式,総合各1式単式講習(用法も) (約20分)
套路(24式,総合×2〜3) (約20分)

■ 説明
 1 練功十八法は,中国で開発された健康体操である。ゆっくりと身体各部をストレッチする。
 2 柔軟は,手首,肩を壁に添えてゆっくりと伸ばすもの,伸脚を中心に行う。
 3 站椿は,立禅ともいい,腰を落とした姿勢でじっと立っているだけである。これにより,体の余分な力や無意識に入っているこわばりを取り除く。大腿部の筋力もつく。呼吸も自然に腹式呼吸となり,集中力も増す。
 4 定歩功とは,定式の歩法で前後左右に体重を移動したり,腰を手の動きと協調一致させる練習。動きに粘りが出てくる。
 5 音楽に合わせて,気持ちよく動く。
 6 歩行は,脚のみ。単式は,手法も入れて代表的な技を何度も往復して繰り返す。複数回進んで転身すると,同じ場所で何度でも繰り返して練習できる。套路では,多くても4回程度の繰り返ししかないが,技の完成を目指すなら,10回,20回以上の繰り返しが効果的ではないかと思う。
 7 これまでもやっている1つの式(技)の講習。
 8 音楽に合わせて(ときには無しで)気持ちよく動く。

 このプログラムを試みたのは,これまでの套路(空手でいう型)中心の練習では,功夫(クンフー…内面の力)を強くすることが難しいと考えたからです。功夫のない動きは「華拳繍腿」(かけんしゅうたい…見かけは華やかだが,実際には使えない)と言われます。日本の太極拳も華拳繍腿になりつつあるのではないかと感じていたので,どのような練習メニューがよいかを考えたのです。
 太極拳は,健康法としての要素,空間芸術としての要素が強調されているようですが,やはり武術としての要素があってこそ,健康法にも芸術にもなるもので,功夫を強くする練習をもっと取り入れたいと考えました。
 そうは言っても,このクラブの生徒さんは,ほとんどが中高年の主婦であり,ハワイで盛んだと言われる推手や散手中心のメニューは無理です。そこで,多くの人に無理なく功夫が身に付くものとして試しているのですが,どうでしょうか。
 また,生徒さんのニーズとしては,辛く苦しい練習に耐えることより,楽しく気持ちよく太極拳の動きを楽しみたいというところもあることと思います。そこで,ゆったりとした音楽に合わせて動くことも欠かせないのではないかと思います。
 このメニューをまず自分で試してみて,同じ時間練習しても,運動量がかなり套路中心の時より多いことを実感しました。また,全身の血行がとてもよくなり,気持ちがよいのです。厚別さわやか会でも,やってみて感想をいただいたのですが,今のところ「今まで,無意識に通り過ぎていたところが意識的に練習できていいわ,これ。」と好評です。


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