10月13日(土)  16:15     体育館裏

 

 

「クリーオウ?」

「……あ、オーフェン」

 石段の上に腰掛けたクリーオウがこちらを振り仰ぐ。膝の上には眠ったままのディープドラゴンがいた。

 こちらに向けた視線をまた自分の膝に落として、少女が続ける。

「……レキ、起きないの。いつも昼間は起きてるのに……」

「夜に猫とか虫とか追いかけてたりして、寝てないんだろ」

「ううん。最近ずっとこうなの。休み時間とかも、ほとんど眠ってばっかりで」

 どうやら、クリーオウはわざわざ休み時間ごとにここまで来ているらしかった。

 高等部の校舎からこの体育館裏まで、それなりに距離がある。

 移動教室なんぞあれば、棟が違う為にかなりの労力を必要とするはずである。

(……全く、こいつって奴は)

 心配そうにそっとディープ・ドラゴンの背を撫でる少女の頭に、ぽんと手を乗せ、そして言う。

「大丈夫だ。単に……そーだな、冬眠みたいなもんかもしれねぇじゃねぇか」

「まだ冬じゃないわよ」

「だからそーゆーもんかもしれねぇっつってるだろ。まだディープ・ドラゴンの生態なんてほとんど解明されちゃねぇんだ」

「……」

「だから、そう心配することもねぇよ。何かあるなら、先生とかが気付いて対処してるさ。監視はしてるはずだから」

「……うん」

 小さく頷くものの、それでもクリーオウはその表情から影を消さなかった。

「……」

 

(ったく、どうしたもんかね)

 

 「ほら、帰るぞ」

  「じゃ、俺はもう行くぞ」

注:体験版(何が)なので、↑どちらを選んでも同じです。