「……いたか……?」
「いや、いなかった……」
肩で息をしながら、お互いの結果を報告しあう。
どちらも、芳しくない結果だった。
「もう一回、家に連絡してみろよ……」
「……ああ、そうだな……」
と、手近の電話機に走ろうとすると、ハーティアがこちらのシャツを掴んできて勢いそのままに前につんのめる。
「って何するんだハーティア!」
「……コレ、使え」
差し出されたのは携帯電話だった。
「あ、ああ悪い……」
受け取り、手の中の小さな機器をじっと見つめる。
「……どうした、番号でも忘れたのか?」
「い、いや……」
「じゃあ早くかけろよ。時間ないだろ」
「わかってる! ……」
「……キリランシェロ…………まさか、とは思うけど」
「…………これ、どーやって使うんだ?」
ずしゃぁっ、という音に顔を上げると、派手にに砂埃をたてて、その場でハーティアが顔面からスライディングをしていた。
……意味もなく突然ギャグ落としに走ってみたり。
つーか奴は貧乏だから携帯なんてものとは縁が無いハズですよきっと。というか、私もいきなし携帯渡されたらすぐには使い方わからんし(え)