はぁ、はぁ、はぁ……
息が苦しい。
休みなく走り続けているせいか、足がもつれる。
今自分はどこを走っているのかもわからない。
暗闇の中を、ただ夢中で走っているだけ。
後方から近づく、怪しげな奴らから逃げるために。
この子を――レキを、つけ狙う奴らから、守るために。
(……しつ……っ、こい……!!)
自分はそれなりに素早い方だと思っていたのだが、向こうはそれに遅れることなくぴったりとついてくる。
どんなに力を振り絞って引き離そうとしても、その差は離れるどころか縮んでいくばかりだった。
それがクリーオウに不安とストレスを与えていき、逆に体力と気力を徐々にこそぎ取っていく。
金の髪をはためかせ、さらにスピードを上げようとした瞬間、前方に影が現れる。
「!!!」
クリーオウはどうにか自分の足にブレーキをかける……と、横に道が見える。
彼女は迷うことなくそちらへと足を向けた。
そこが袋小路になっていることも忘れて。