12月11日(火)  20:10     高等部校舎 特別棟 3F

 

 

 はぁ、はぁ、はぁ……

 息が苦しい。

 休みなく走り続けているせいか、足がもつれる。

 今自分はどこを走っているのかもわからない。

 暗闇の中を、ただ夢中で走っているだけ。

 後方から近づく、怪しげな奴らから逃げるために。

 この子を――レキを、つけ狙う奴らから、守るために。

 

(……しつ……っ、こい……!!)

 自分はそれなりに素早い方だと思っていたのだが、向こうはそれに遅れることなくぴったりとついてくる。

 どんなに力を振り絞って引き離そうとしても、その差は離れるどころか縮んでいくばかりだった。

 それがクリーオウに不安とストレスを与えていき、逆に体力と気力を徐々にこそぎ取っていく。

 金の髪をはためかせ、さらにスピードを上げようとした瞬間、前方に影が現れる。

「!!!」

 クリーオウはどうにか自分の足にブレーキをかける……と、横に道が見える。

 彼女は迷うことなくそちらへと足を向けた。

 そこが袋小路になっていることも忘れて。