スピードを殺さないように足でグリップをきかせながら、廊下の角を壁すれすれで曲がる。
何か悪い予感がしていた。
それは、そこに近づくにつれどんどんと膨らんでいく。
(……ち……間に合えよ!)
予感が膨れ上がり、破裂寸前になった瞬間――
それが、視界に飛び込んできた。
俺はその光景の意味を理解するのもままならないまま、反射的に叫ぶ。
「やめろっ!!!」
次の瞬間、本能――これまで培ってきた全ての能力――が即座に行動を起こしていた。
「我は紡ぐ――」
広間に向かい全力で走り込みながら、編み上げた構成を解き放つ。
「光輪の鎧!!」
そして、広間は光に包まれた。