12月11日(火)  20:45     高等部校舎 2階

 

 

 ……はぁっ、はぁっ……

 何がなんだかわからない。

 とにかく、頭にあるのは逃げなければならないということ。

(何なのよ、一体……!!)

 ちら、と胸に抱えている子犬のような動物――レキを見やる。

『人に危害をもたらしたとあっては、処分すると言われても仕方が無いのではないかな?』

 先程の黒づくめの言葉が脳裏に甦る。

(……!!)

 ぶんぶんと走りながら頭を強く振る。金の髪がばらばらと闇に舞った。

(とにかく、逃げなきゃ……!!)

 

 どがしゃぁぁぁん!!!

 

 遠くで、何かが壊れる――というか、爆発音のようなものが聞こえた。

(追ってきた?! そんな……)

 その瞬間、ひゅっ、と耳を何かがかすめた。