……はぁっ、はぁっ……
何がなんだかわからない。
とにかく、頭にあるのは逃げなければならないということ。
(何なのよ、一体……!!)
ちら、と胸に抱えている子犬のような動物――レキを見やる。
『人に危害をもたらしたとあっては、処分すると言われても仕方が無いのではないかな?』
先程の黒づくめの言葉が脳裏に甦る。
(……!!)
ぶんぶんと走りながら頭を強く振る。金の髪がばらばらと闇に舞った。
(とにかく、逃げなきゃ……!!)
どがしゃぁぁぁん!!!
遠くで、何かが壊れる――というか、爆発音のようなものが聞こえた。
(追ってきた?! そんな……)
その瞬間、ひゅっ、と耳を何かがかすめた。