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物理の気まま散策

エネルギー周回理論

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#1  (2022.02.14) (最新記事へ)

はじめに ー 目次


目  次

  1. はじめに
  2. -----<エネルギー周回理論>-------
  3. エネルギーとは何だろう?
  4. 内在エネルギーと質量
  5. エネルギー間に働く力
  6. 基本力とエネルギー周回
  7. エネルギー周回間の相互作用

  8. -----<ECTからの宇宙概略>-------
  9. 初期宇宙からの宇宙分離
  10. 4次元球3次元球面の宇宙空間
  11. 空間エネルギーとスペーシア
  12. 見かけエネルギーの伝搬
  13. 基本定数と光速の経時変化
  14. 宇宙膨張は加速していない
  15. 現代物理迷走の始まり

  16. -----------<粒子>--------------
  17. 隠れ次元での運動量
  18. 電荷と電気力
  19. 隠れ-空間次元周回 iS の伸長
  20. 伸長周回 n-iS の回転
  21. 光について
  22. 基本周回と量子粒子
  23. 中性子の構造と安定性
  24. 中性子のβ崩壊:陽子と電子の生成

  25. ---------<量子力学>------------
  26. 実空間での位置を示す波動関数
  27. エネルギー周回の軌道周回運動
  28. 波動関数の特徴と軌道周回の波動関数
  29. 原子中の電子のエネルギー
  30. 原子軌道の量子化と半径
  31. S軌道とP軌道の波動関数
  32. 波動関数を与える波動方程式
  33. シュレーディンガー方程式の矛盾
  34. 新しい量子力学のまとめ
  35. 既存量子力学の問題点
  36. 不確定性原理の虚構

  37. ---------<宇宙進展>------------
  38. 早期宇宙周回の分離と環状分解
  39. 銀河種のエネルギー表示
  40. 銀河種の分離
  41. 銀河種の水平相互作用
  42. 銀河種の垂直相互作用
  43. 銀河種分離に伴うエネルギー放射
  44. ガンマ線バースト
  45. 銀河種からの恒星種の放出
  46. 銀河渦巻円盤での星の周回速度
  47. 宇宙マイクロ波背景放射
  48. エネルギー周回理論と標準宇宙論

  49. ---------<ハッブル図>-----------
  50. 空間エネルギーと見かけエネルギーへの分割
  51. 光速の経時変化1:時間
  52. 光速の経時変化2:光速を示す数式
  53. 赤方偏移
  54. 光伝搬距離と現在距離
  55. ハッブル図1:距離指数
  56. ハッブル図2:K補正
  57. 超新星実測値と理論値のハッブル図

  58. ---------<電磁気学>------------
  59. 孤立電荷および静電力は存在しない
  60. 電流とは何か
  61. 分極エネルギー伝搬のモデル
  62. 分極ポテンシャル
  63. 電流の定義
  64. 電流ポテンシャル
  65. 既存電磁気学との比較
  66. 磁荷
  67. 磁荷密度
  68. 電流に伴う回転磁荷
  69. 磁石

  70. -------<銀河形状の生成>---------
  71. 銀河形状の形成:銀河種の種類
  72. 恒星種放出の種類
  73. 単独銀河種-環状放出
  74. 回転二連銀河種-バーバルジの形成
  75. 回転二連銀河種-環状放出
  76. 回転二連銀河種-外端直線状放出
  77. 隣接銀河種-環状放出
  78. 渦巻二重円盤銀河のバルジ
  79. 隣接から二連に変化する回転銀河種-環状放出

物理学は数学という言葉を使うため論理的と思われがちだが、論証という点では論理的ではない。数学では公理という仮定から始め、論証により導き出される内容を積み重ね、一つの数学が形成される。ある対象がこの公理を満たせば、この数学を適用することができる。
  物理学では、ある法則が提案されそこから数学的、論理的に誘導される内容が実測結果と合致すればその法則は正しいはずとされる。ここには落し穴がある、法則が定義された要素で成り立っているかどうかだ。例えば、ニュートンの万有引力の法則では二つの質量間に働く力を与える。しかし質量は定義されているだろうか。ニュートンの運動法則は力が質量に与える加速度を示す。質量はこの運動法則により力と加速度の実測値から得られる。実は質量は定義されたものではなく、二つの法則の間で自己循環している。一方、相対性理論では質量とエネルギーの等価性がうたわれている。しかし、エネルギーも一義的には定義されておらず、質量、加速度、力などから2次的に誘導されている。
  質量やエネルギーは何となく我々が概念している内容が法則の要素と推測される。従ってこれらの法則は現実の物理事象を示すだろうと推測される。しかし、粒子崩壊などでは最初の粒子状態を未定義の要素で記載している。崩壊した後の状態を同類の要素で記載し、この崩壊過程を規定する力やポテンシャルの法則を提起し、実験結果を導けるのでこの法則は正しいとしている。実はこれは本末転倒で、実験結果が導かれるように法則を得ている。もし状態を規定する要素が実在するものであれば物理的に意味がある。しかし、全く空想的要素を規定すれば、そこから導く法則は、例え数学的に可能てあっても物理法則としてはあり得ないものとなる。
  既存の標準物理では未解決な重大問題が余りにも多すぎる。暗黒物質、暗黒エネルギーだけでなく渦巻銀河の形成やガンマ線バーストも説明できない点が多くある。既存概念を一旦脱ぎ捨て、最初の出発点となる要素の定義から始めて物理法則を考えよう。

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#2  (2022.02.15)

エネルギーとは何だろう?


既存の標準物理ではエネルギーと物質(matter)を別のものとしている。ただし、エネルギーから物質に、また物質からエネルギーに変換できるとし、物質には静止質量を与えている。質量に比べエネルギーがより根源的な要素と思われるがどう定義できるだろうか。
  エネルギーを「存在するすべてのもの」と定義しよう。存在するとはそこにエネルギーがあることでエネルギーに帰着しないものは何も存在しない。エネルギー間に何らかの相互作用があり、多様なエネルギー分布や運動を示す。それらがその他の物理的属性を示す。既存物理とは逆にエネルギーから各種物理属性を誘導してゆく。宇宙空間とはエネルギーが存在する領域だ。
  エネルギーは多次元での振動であると仮定しよう。絶対的な時間は存在せず、多次元の振動の相対的関係で最も周期が長い次元がその他の次元の動きを表す共通のトレーシング次元、即ち共通の時間となり得る。時間の定義については次に記載している: 時間の要約
  ここに挙げたエネルギーの性質と定義は出発点となる仮定だ。次に考察するエネルギー間に働く力と併せて、エネルギー周回理論 (Energy Circulation Theory) と呼んでいる。この理論はあくまで仮定であるが、極めて重要な帰結を与え、既存物理学の未解決問題を成功裏に解決している。この新たな物理体系を気ままに散策しよう。
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#3  (2022.02.16)

内在エネルギーと質量


ニュートン力学では運動エネルギーは質量と (速度)2 に比例する。相対論では物質の全エネルギーは質量と (光速)2 の積となる。エネルギーが多次元の振動とすると、それは内在的なエネルギーの運動とみなせるだろう。エネルギー周回理論は、エネルギーの値は内在エネルギー (intrinsic energy) と (速度)2 の積として表せる事を主要原理(仮定)として主張している。 \[ E=E_0 v^2 \] 内在エネルギーを質量と定義することもできる。ただし、速度は対象とする方向の取り方に依存し、同じエネルギーを異なった内在エネルギーと速度で表示できる E = E1v12 = E2v22 。共通の値の速度を取ると全エネルギーと内在エネルギーは比例関係になる。速度に現在の光速を採用した場合の内在エネルギーを特に狭義の「質量」と定義する E = mc2
  内在エネルギーと静止質量は同義ではない。静止エネルギー Er = m0c2 の粒子に運動エネルギーを加えて直線速度 v になった場合、全エネルギーは両者の和となるが、内在エネルギーの選択により次の様に表示できる。 \[ E=m_0 c^2 + E_k = Mv^2 = mc^2 \] 粒子の静止状態では m0 は速度 c で周回運動する内在エネルギーであり静止質量である。直線運動する粒子は内在エネルギー M が速度 v で直線運動するとも、内在エネルギー m が速度 c で螺旋運動しているとも表示できる。運動エネルギーの追加により質量が m0 から m に増えている。加速されやすさの指標としての質量の側面は、実は静止エネルギーが本質的なものであるが、共通の速度 c で動く静止質量をとることができる。静止エネルギー/静止質量は加速しようとする方向に対して垂直な方向のエネルギー/質量の成分である。

エネルギー周回(粒子)の動力学


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#4  (2022.02.17)

エネルギー間に働く力


二つのエネルギー間にはどのような力が働くだろうか。知られた力として重力があるが、これはエネルギーの大きさに基づき働く。宇宙膨張の制御や基本粒子を与えるエネルギー周回を可能にするには重力はあまりにも弱すぎる。電磁気力や核力の可能性も検討したが、より根源的で普遍的な力が存在すると考えた。
  エネルギーの大きさではなく、その運動、即ち運動量に基づいて働く力があると提唱した。これがエネルギー周回理論のもう一つの主要原理(仮定)である基本力 (fundamental force) で,下記の式で定義した。(運動量はエネルギーと速度から定義 E = pv


力は距離方向に働きプラスは排斥力、マイナスは引力を示す。rp は距離方向に対して垂直な方向の運動量成分を示す。基本力は rp1rp2 の内積に比例し、距離の二乗に反比例する。

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#5  (2022.02.18)

基本力とエネルギー周回


同一平面内で反対方向に動く反平行の二つのエネルギー片は基本力により引き合い、円運動をしようとする。エネルギーの連続で均一な周回をエネルギー周回 (energy circulation) と呼ぶ。内在エネルギー M は局所内在エネルギー m の全円周での和。周回速度 Vc で、エネルギーは E = MVc2 運動量は p = MVc となる。円周内の局所は円周全体から次の求心力を受ける。μ は半径、Δpm の運動量。 \[ _c F_\perp = -K_f\frac{p \Delta p }{2\pi \mu^2} = -K_f\frac{E \Delta E }{2\pi V_c^2 \mu^2} = -K_f V_c^2 \frac{Mm }{2\pi \mu^2} \] この力を「周回内力 (intra-circulation force)」と呼ぶ。この求心力と遠心力が釣り合い円運動をし、半径は全エネルギー E に比例する( 銀河の形成 の p18 参照)。
  エネルギー周回は固有半径の円周上にエネルギーを分散し、更に後述のように他のエネルギー周回と相互作用をする。従って、エネルギー周回は粒子として扱える。「粒子とはエネルギー周回」と定義する。粒子は無限小に収縮することはなく、エネルギー値に応じた拡がりをもつ。標準物理でいうブラックホールは存在しない。観測されたブラックホールとされるものは高エネルギーのエネルギー周回だ。

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#6  (2022.02.19)

エネルギー周回間の相互作用


エネルギー周回は円周上の各点で運動量を持つため、複数のエネルギー周回は基本力により相互作用を及ぼす。これを「周回間力 (inter-circulation force)」と呼ぶ。その同一平面内の作用を「水平相互作用 (flat interaction)」、同軸で垂直方向の作用を「垂直相互作用 (orthogonal interaction)」と呼ぶ。
  周回方向(角振動数)が同じ二つの周回の水平相互作用は、隣接するまでは排斥力、それ以上の距離では引力を生じ、周回を隣接させる。この例が原子核を繋ぎ留める核力だ。

逆方向周回(共役)の対は、隣接までは引力、それを超えると排斥力を示す。例として粒子の崩壊がある。両方を含むいわゆる強い核力はエネルギー周回間の水平相互作用だ。
  垂直相互作用では、逆方向周回の対は引力で引き合い、共役結合対をつくる。核子などの量子粒子は単独の周回(1重周回)や共役結合対(2重周回)を含む。同方向の相互作用の例にはエネルギー周回の垂直分離がある。高エネルギーでは銀河種(銀河形成の種となるエネルギー周回)の二つの銀河種への分離がある(p35 参照)。低エネルギーでは最小量子周回のニュートリノと反ニュートリノへの分離があり、この排斥力がいわゆる弱い核力である。
  標準物理では素粒子の質量(エネルギー)を説明できず実測値を使っている。陽子は3個のクオークから成るとされているがその質量をクオークから説明できていない。エネルギー周回理論では量子粒子の構造と相互作用、更に銀河の形成過程の作用について、働く力とポテンシャルエネルギーの変化を具体的に示している。量子粒子の構造と相互作用 ガンマ線バーストの起源

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#7  (2022.02.20)

初期宇宙からの宇宙分離


標準モデルは宇宙の開闢を高温エネルギーの爆発、ビッグバンとしている。エネルギーから物質と反物質への対生成が起こり、大半は対消滅でエネルギーに戻るが、僅かに物質が多く生成し物質優勢の宇宙が形成される。粒子の加速衝突実験で、本当に物質ではないエネルギーが一旦生成し、そこから別の粒子ができているだろうか?あまりにも都合良く粒子生成や粒子消滅を導入している。
  エネルギー周回理論では宇宙開闢は二つの宇宙への宇宙分離 (cosmic separation) で始まる。初期エネルギーは多 (M) 次元の振動とする。1次元の振動の本質は2次元の周回で \[ \mu [\;\cos \omega t\;\;\; \sin \omega t \;] = \mu (\cos \omega t + i\sin \omega t) = \mu \varphi \] と表示できる。振動数が −ωφ* との共役結合対は一次元振動を示すが周回としては対称だ。初期エネルギーは M/2 個の共役結合周回対と表現できる。
  1次元方向の伸長により、二組の共役結合対が対分離する。伸長方向を含む周回は水平分離で他方は垂直分離となる。計4次元で非対称周回を示す。残りの次元での各周回対は二つに分離しエネルギーは半分になるが分離後も共役結合対を維持する。対称な初期エネルギーは二つの宇宙に分離し、各々は4次元で非対称となる。残りの次元の振動は対対称で4次元空間に対し垂直で内在エネルギーを与えるが運動量はゼロで基本力は働かない。対が解消された4次元は遠心力とのバランスがくずれ膨張し、残りの次元は膨張せず一定の半径を保つ。 \[ \text{Cosmic separation:}\;\;\; E \mu_{pre} (\varphi_{12} : \varphi_{12}^* + \varphi_{34} : \varphi_{34}^*)\;\; \rightarrow \;\; \frac{E}{2}\mu (\varphi_{12} + \varphi_{34}) + \frac{E}{2}\mu (\varphi_{12}^* + \varphi_{34}^*) \]
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#8  (2022.02.21)

4次元球3次元球面の宇宙空間


宇宙分離した二つのエネルギー周回(振動数 ω )は4次元極座標でつぎのように表示できる。 \[ \textbf{x} = [\; \mu_u \;\;\; \theta_1 \;\;\; \theta_2 \;\;\; \theta_3 \;] = [\; \mu_u \;\;\; \omega t \;\;\; \theta_2 \;\;\; \omega t \;] \] これを4次元直交座標で示すと下記となる。 \[ \textbf{x} = \mu_u [\; \cos \omega t \;\;\; \sin \omega t \cos \theta_2 \;\;\; \sin \omega t \sin \theta_2 \cos \omega t \;\;\; \sin \omega t \sin \theta_2 \sin \omega t \;] \] 更に θ1 の周回に対し半径方向に e0 を円弧方向に e1 の基底ベクトルを取ると、エネルギー分布を次のように3次元直交座標で表示できる。 \[ \textbf{x} = \mu_u (\omega t \textbf{e}_1 \cos \theta_2 + \sin \theta_2 (j\cos \omega t + k\sin \omega t) ) \] e1, j , k は3次元直交座標系を構成する。上記の式は宇宙エネルギーが4次元球の3次元球面に分布すること及びその運動を示す。e1 は3次元空間では直線だが4次元では円弧となる。θ2 は 0 から π に連続して広がり、その個別の値は場所を示すパラメータの一つとなる。
  宇宙半径の膨張により、エネルギー周回は連続のエネルギー分布を維持できず、分離や円周上全域で同時に局所周回へ分解する環状分解を繰返す。この時、宇宙の全エネルギーが分離、分解するのではなく、膨張している4次元以外の次元での周回対は宇宙空間に均一に分散する。宇宙エネルギーを全空間で対称な空間エネルギー (space energy) と非対称な見かけエネルギー (apparent enegy) に分ける(p44 に追加説明)。空間エネルギーは3次元宇宙空間に均一に広がり、見かけエネルギーは上記式の初期周回を示し、宇宙膨張に伴い分離、分解する。

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#9  (2022.02.22)

空間エネルギーとスペーシア


空間エネルギーは宇宙エネルギーの静止エネルギー部分で、4次元以外の余剰次元での周回対が3次元空間を満たし静止している。各周回対は共役結合対であり周回運動量がゼロで基本力を受けない。宇宙エネルギーの運動エネルギー部分が見かけエネルギーで、空間エネルギーを媒体とする振動と見做せる。我々が観測するものは見かけエネルギーで、媒体である空間エネルギーは観測できない。(p44 を参照)
  余剰次元での共役結合対を内在エネルギーとし、その4次元空間での運動として空間エネルギーを表記しよう。前ページで説明した3次元球面空間は4次元表記では半径の e0 方向に余剰次元由来内在エネルギーの周回による厚みをもつ。この厚みの単位4次元球領域の空間エネルギーをスペーシア (spacia)と定義する。宇宙膨張に伴い、スペーシアの半径 μ0 は不変で、スペーシアの数が増加する。4次元球の半径方向 e0 を隠れ次元 (hidden dimension) 3次元球面を空間次元 (space dimension) と呼ぶ。空間エネルギーの媒体としての性質および分布を考え、スペーシアを隠れ次元と空間次元でのエネルギー周回の共役結合対として表記しよう。虚数部は隠れ次元 H、実数部は空間次元 X の位置を示す。 \[ \text{Spacia :}\;\;\; E_\mu [\; X \;\;\; H \;] = E_\mu \mu_0 (\varphi_0 + \varphi_0^*)\;, \;\;\; \varphi_0 = \cos \omega_0 t + i\sin \omega_0 t \] 隠れ次元 H にはスペーシアが一層しかないが、空間次元には莫大な数が存在する。上記式の X は3次元空間のどの方向でも、また複数方向に分散してもよい。空間次元全体として H との間でエネルギーが周回している。

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#10  (2022.02.23)

見かけエネルギーの伝搬


前頁に記載の通り、スペーシアは内在エネルギーが半径 μ0 振動数 ±ω0 で周回している。周回速度は vc = ± μ0ω0 となる。見かけエネルギーはスペーシアの内在エネルギーが追加周回することにより与えられる。追加周回は ω0 の整数倍であれば量子化されスペーシア上に静止できる。量子化される最低の追加エネルギー周回を1重周回 (single circulation) と呼ぶ。スペーシアの片方周回の内在エネルギーが追加周回しており、その内在エネルギーを m0 とする。1重周回の周回速度はスペーシアと同じ vc = μ0ω0 となる。周回面は隠れ-空間次元と空間-空間次元の二通りがあり、エネルギーの分布と量は次のように表示される。 \[ E_{(iS)}[\;X \;\;\; H \;] = E_{(iS)}\mu_0(\cos \omega_0 t + i\sin \omega_0 t) \] \[ E_{(S)}[\;X \;\;\; Y \;] = E_{(S)}\mu_0(\cos \omega_0 t + i\sin \omega_0 t) \] \[ E_{(iS)} = E_{(S)} = m_0 v_c^2 = m_0 \mu_0^2 \omega_0^2 = m_0 c^2 \] 虚数単位 i は隠れ次元方向 H または空間次元の方向 Y の単位ベクトルであり、実空間での位置を示している。この周回速度は光速 c に等しい。これらの1重周回 iSS は量子粒子 (quantum particle) の形成要素となる基本周回 (elementary circulaton) で、共役結合対は2重周回 (double circulation) iD , D と呼ぶ。
  振動数が ω0 より小さいエネルギーは周回として量子化できず、隣のスペーシアを回転させ元のスペーシア上の周回は止まる。これが繰り返されエネルギーが空間エネルギー内を伝搬することになる。伝搬速度はスペーシアの周回速度となり、これが媒体としての空間エネルギーの位相伝搬速度になる。振動数が ω0 より小さい隠れ-空間次元の周回は周回が壊れ、空間次元方向に伝搬する、これが光で、光速はスペーシアの周回速度と等しい。
  空間-空間次元の周回の伝搬では、内在エネルギーは速度 c で螺旋運動し、周回成分と直線成分に分解される。最小エネルギーのニュートリノの場合は伝搬速度がほぼ光速に近く、高エネルギーの銀河種の場合は様々な比率が可能だ。

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#11  (2022.02.24)

基本定数と光速の経時変化


時間経過、即ち宇宙膨張に対し変化しない基本定数は何だろう。既存の標準物理では重力定数 G 以外に、光速 c プランク定数 h などがある。これらは本当に基本量で不変だろうか。
  空間エネルギーは宇宙膨張に伴い、体積が増えエネルギー密度が低下、つまり、スペーシアの数が増加し、スペーシアのエネルギーが低下する。その可能性として、内在エネルギーの周回速度が低下する場合と、内在エネルギーが低下する場合が考えられる。しかし、後者には問題がある。内在エネルギーは余剰次元での共役周回対であり量子化されており、連続的には変化できない。宇宙空間はほぼ連続的に膨張しており、スペーシアの内在エネルギーは不変で周回速度が低下していると結論できる。
  スペーシアの周回速度は vc = μ0ω0 で与えられ、μ0 は不変であり角振動数 ω0 が宇宙半径により変化する。宇宙半径が n 倍になると、スペーシアの数は n3 倍になり、エネルギーは周回速度の2乗に比例する為、振動数および周回速度は 1/n3/2 倍となる。従って光速 c = vc は宇宙半径による変化量となる。この光速の変化は、一般的な波動の性質で位相伝搬速度は媒体密度の平方根に比例するという現象と合致する。(詳細は 光の伝搬速度 を参照)(p46 に追加説明)
  基本エネルギー周回 iS , S のエネルギー m0μ02ω02 において、内在エネルギーはスペーシアの内在エネルギーにある比率で対応するもので、やはり宇宙膨張に対し不変だ。スペーシアと同様に量子粒子のエネルギーは宇宙膨張に伴い低下する。
  エネルギー周回理論によると、経時的に変化しない基本定数として、スペーシアや基本周回の半径 μ0 基本周回の内在エネルギー m0 が挙げられる。基本力定数 Kf は内在エネルギーの速度に依存し、周回速度/光速の関数となる。プランク定数は経時的に不変な定数であるが m0μ0 で表記される2次的なものだ: h = 2π2m0μ02光の放射 参照)。電荷素量 em0 と光速で表記される。

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#12  (2022.02.25)

宇宙膨張は加速していない


既存標準物理で最も重要な未解決問題の一つが、宇宙膨張速度の加速だ。膨張を加速する排斥力およびそれを生むエネルギー(暗黒エネルギー / dark energy)の存在が想定されている。しかし、そのようなエネルギーは見つかっていない。
  宇宙膨張加速の解釈は、光速が宇宙開闢から現在まで一定だったとの前提の上だ。前頁で言及したように光速は宇宙膨張により減速している。エネルギー周回理論が示す宇宙半径を変数とする光速の式を用いると超新星爆発等の赤方偏移と明るさの実測データ(ハッブル図)は理論が予知する曲線(現在の宇宙半径が最大値の約 0.7 の場合)と一致した。源時間(多次元の相対的振動周期に基づく)によると膨張速度は減速しており、宇宙半径を時間とした観測時間では宇宙膨張速度は一定となる(ハッブル図 の結論を参照)(p47p51 に説明)。宇宙膨張を加速するものとしての暗黒エネルギー (dark energy) は存在しない。
  標準物理では、光速に異方性がなく不変であることは実験的に証明された事実だとしている。更に光速は絶対的不変量とし経時的にも不変とした。光速異方性に関してはマイケルソン・モーリーの実験および類似実験の結果に基づいている。これらは干渉計実験で、装置が媒体に対して直線運動をしていると、平行方向と垂直方向に分かれた光が各々の鏡で反射され戻ると、方向により位相に差がでる。ここまでは正しいのだが、位相の差を干渉で検出する為、両方のビームを合わせて検出器に向け一方向に導いている。既存の理解では、得られた干渉波の波長が媒体に対する速度の変化で変動するはず、従って干渉縞の間隔や位置の変化が検出されるはずとしている。二方向の共振器を使った近代的装置では差周波(うなり)の周波数変化がでるはずとした。しかし、両方の場合において、干渉波を検出するために同じ方向に光ビームを揃えており、例え位相が異なる二つのビームでも光速は等しくなり振動数は等しくなる。合わさった混合波は、装置の速度の変化で位相変化に基づく振幅(明るさ)の変動はおこるが、振動数や波長の変化は起こらない。マイケルソン・モーリーの実験では混合波が近接した二つのスリットを通って干渉縞をつくるが、垂直方向由来ビームと水平方向由来ビームが別々のスリットを通るのではなく混合波つまり両方が二つのスリットを通る。差周波観測では二つのビームを完全に重ねている。マイケルソン干渉計で干渉波の明るさの日内変動を観測すれば、光速の異方性についての知見が得られる。(マイケルソン・モーリーの実験 を参照)

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#13  (2022.02.26)

現代物理迷走の始まり


前述のマイケルソン・モーリーの実験で干渉縞の間隔や位置の時間経過による変動は見られなかった。干渉縞は不安定で時に消失したり復活したりした。温度変化や振動等の雑音要素によるとされたが、干渉波の明るさの時間変動であった可能性がある。2010年頃の国際会議で「情報伝達速度の日内変動を観測した」との発表があった。衛星とチリ、米国東海岸の3点間の情報伝達で、速度に周期が1日のきれいな日内変動が見られた。残念ながらその後、抄録や学術誌には掲載されなかった。これは光速の異方性を示す日内変動である可能性が極めて高い。
  19世紀末の上記実験結果を受け、物理学者達は実験の観測原理について議論をすることなく、光速は異方性がなく、さらに光に媒体は存在しないと結論付けた。ローレンツは光速度不変を満たすべく時間経過が速度に依存するローレンツ変換を提唱した。これに物理的意味付けを加えたものがアインシュタインによる特殊相対性理論だ。光速度不変と媒体のような特別な座標系は存在しない(相対性原理)との前提から出発している。しかし、エネルギー周回理論では光は空間エネルギーという媒体が存在し、光速も宇宙膨張に伴い変化する。相対性理論は前提が間違っている。相対論を支持すると言われる多くの観測結果は、時間経過は速度で変化せず光速に異方性があると解釈しても合致する。サポートデータにはなっていない。その後、ローレンツ変換不変性が物理法則には必須であるとされ、数学的表示が複雑なものになった。

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#14  (2022.02.27)

隠れ次元での運動量


4次元空間の隠れ次元 (hidden-dimension) H におけるエネルギーの運動は3次元空間と比べ特異的な性質を示す。まず、隠れ次元の大きさは一層のスペーシア分しかなく、エネルギーは半径 μ0 の周回としてのみ可能で、その周回は H 次元内で移動も伸長もできない(空間次元内では移動、伸長が可能)。次に、隠れ次元は3次元空間のどの方向に対しても直交している。その為、H 内の運動量は3次元空間に対してスカラー荷量として扱うことができる。
  荷量 (charge) 間に力が働くとすると、重力の荷量は静止エネルギーの量で、これはスカラーだ。基本力の荷量は運動量であり、ベクトルになる。このようにベクトル荷量であるため基本力は p4 に記載の角度を含む数式で示される。隠れ次元での運動量は空間次元のどの距離方向に対しても θ1θ2 がプラスまたはマイナス π /2 に限定される。H は一次元である為、空間距離と二つの H 内運動量は常に同一平面、即ち、θp = 0 で、基本力は次のようになる。 \[ F=K_f \frac{p_1 p_2}{d^2} \] これは3次元空間内での相互作用として H 次元の運動量はスカラー荷量として扱えることを示している。
  隠れ(H)-空間(X)次元周回の H 方向の運動量が電荷で、X 方向の運動量が磁荷と定義できる。電荷は3次元空間ではスカラー、4次元空間ではベクトルで、磁荷はどちらでもベクトルだ。

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#15  (2022.02.28)

電荷と電気力


隠れ-空間次元1重周回 iS の円周上の局所部位には p5 で記載した式の求心力が働く。空間次元方向 X での力を表示する為に二つの半周分運動量 ph に分け、それらの間に働く力の X 方向成分は次の式で示される。 \[ F_x=-\frac{ 8 }{ π^2 }K_f \frac{p_h ^2}{(2μ_0)^2} = -K_e \frac{e^2}{(2μ_0)^2} \] 前頁で述べたとおり隠れ次元 H の運動量は電荷で、この力は電気力だ。ph の全てが H 方向成分ではないが、利便性からph を電気素量 e と定義し、電気力定数を下記のように定義する。1重周回 iS は空間次元に於いて 2μ0 の距離を隔てて +e と −e の電荷を持つ。 \[ \textbf{電気素量}\text{ / elementary charge :} \;\;\; e = p_h = \frac{m_0 c}{2} = \frac{m_0}{2}μ_0 ω_0 \] \[ \textbf{電気力定数 }: \;\;\; K_e \equiv \frac{8}{\pi^2}K_f \]
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#16  (2022.03.01)

隠れ-空間次元周回 iS の伸長


iS の空間次元方向のエネルギー分布は3次元空間ではどの方向でもよく回転もできる。更には伸長して複数のスペーシア上に分散することもできる。ただし、前頁記載の周回内引力が働くため、伸長するにはエネルギーが必要だ。


見かけエネルギーはスペーシアの追加回転によってもたらされているので、iS は隣接するスペーシアを回転させ、それが順次広がっていく。伸長は奇数のスペーシア上に限定される。周回振動数が図のようなプラス-マイナス交互の伸長ではなく、プラスだけの伸長の可能性はどうか。見かけエネルギーの起源から、ベルトで繋がった回転の様な伝達ではなく、連なった歯車の間で回転が広がる上記図のような伸長だと推察できる。
  n 個のスペーシアへの iS の伸長では、空間次元での位置エネルギーだけが増加し、隠れ次元 H との周回エネルギー m0μ02ω02 は不変で n 個の周回に分割される。運動量も分割され、一つの周回内の力は次式で表される。 \[ F_x = K_e \frac{(+e/n)(-e/n)}{(2μ_0)^2} = -K_e \frac{e^2}{(2μ_0n)^2} = -K_e \frac{e^2}{d^2} \] 周回の接合部では力は相殺されゼロとなり、二つの端だけで上記の力が残る。この力は電荷 +e と −e が距離 d で働く力と等しい。これが電荷の本当の姿だ。電荷は必ずプラスとマイナスの組で存在し、孤立した単独符号の電荷はない。我々が電気力として観測している殆どが、上記に示される伸長した周回内力による引力だ。伸長周回の両端の電荷は別の周回の電荷と周回間相互作用で電気力を示すが、端の電荷は極めて小さく力は極端に小さい。原子内の電子と陽子の場合で伸長の周回数 n は約 104 で、電荷は 10-4 倍になり、力は同距離の周回内力に比べ 10-8 倍になる。電子の電荷 −e は点電荷で存在するのではなく、陽子までの範囲に均等に分散している。陽子のプラス電荷も同様に電子までの間に分散している。既存の電磁気学において電荷で表示しているポテンシャルエネルギー等の属性は電荷ではなく分極で表示すべきだろう。

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#17  (2022.03.02)

伸長周回 n-iS の回転


隠れ-空間次元周回の周回面の回転には回転軸が空間次元と隠れ次元の二通りがある。H-X 面周回を空間次元軸 Z の回りに回転させると、X-Y 面の回転に加え X-H 面も回転する。H 次元では振動数 ω0 で量子化されている為に、追加回転分のエネルギーは Y および H での振動が X 方向に光速で伝搬する。これは電荷とエネルギー位置の振動が伝搬する光だ。隠れ-空間次元周回の力学的回転は光放射(制動放射)を起こし、エネルギーを失う。
  一方、隠れ次元 H を軸とした回転では H 次元では回転しない為、電荷の振動を伴わない。3次元空間のどの方向も H と直交している為、回転面はどの方向にも可能になる。内在エネルギーの速度を光速 c に保ったまま X, Y, Z 各速度成分に分割できる : v2 = vx2+vy2+vz2 = c2。H 軸回りの回転ではエネルギー放射はない。
  伸長周回 n-iSn は ≥ 1 の整数)を「基本電荷対」と呼ぼう。基本電荷対の H 軸回転の例として磁荷の回転と原子内の電子の周回がある。電荷対の両端に何も付加していない場合、電荷対は空間次元内で回転することができ、回転磁荷を示す。
  基本電荷対のプラス端のスペーシアに複数の基本周回が存在するものが陽子で、マイナス端にニュートリノが付加したものが電子で水素原子を形成する。陽子のエネルギーが大きい為、プラス端はほぼ静止し、その周りをマイナス端が周回することになる。回転軸が隠れ次元 H であるため、光放射は起こらずエネルギーは減衰しない。既存物理学では、「電子の周回が量子化され連続的には変化しない」とか「電子は存在確率としての波動関数で示され周回はしていない」などが光放射しない理由として挙げられている。しかし、隠れ次元軸まわりの回転であることが本当の理由だ。(後日言及する予定だが、現行の量子力学の問題点とエネルギー周回理論による修正については 量子力学 を参照)(p22p32で説明)

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#18  (2022.03.03)

光について


前述のとおり光は隠れ-空間次元周回の空間次元軸回りの回転で放射される。仮想的に H-X 面周回の iS の Z軸で振動数 ω の回転を考える。この回転によるエネルギーは ΔE = m0μ02ω2 となる。このエネルギーは1回転分ではなく継続回転での単位時間(秒)当たりのエネルギーだ。3次元空間では Z軸回転で X-Y 平面だけで回転するが、4次元空間ではこれに加え X-H 面でも回転する。X 方向では既に回転前の iS により ω0 で振動して量子化されていて追加振動できない。その為、回転が崩れ X では振動に代わり+X と−X 方向へ直線運動としてエネルギーが2つに分かれて隣接スペーシアに伝搬する。このエネルギーは周回として量子化されておらず、スペーシアの周回速度 c で伝搬する。回転は反対方向への二つの光ビーム放射に変化する。一つの光ビームのエネルギーは追加回転分の半分となる。光の一周期分のエネルギーを光量子(または光子)と定義する。光と光量子のエネルギーは次のようになる。ν は振動数(周波数)ω = 2πν。プランク定数は m0μ0 で与えられる。 \[ \text{Light: }\;\;\; E_γ = \frac{m_0}{2}μ_0^2 ω^2 = hν^2 \;, \;\;\;\; \text{Light quantum / Photon: }\;\;\; E_q = \frac{E_γ}{ν} = hν \] \[ \text{Planck constant: }\;\;\;h = 2π^2 m_0 μ_0 ^2 \]   エネルギーの位置は X では光速で移動するが H と Y では変位が sinωt で振動する。H では振幅が μ0 だが、Y では伝搬速度が光速 μ0ω0 である為、ω0/ω 倍に拡大する。 \[ H = μ_0 \text{sin} ωt \;, \;\;\;\; Y = \frac{ω_0}{ω} μ_0 \text{sin} ωt \] H 方向の運動量が電荷、 Y 方向の運動量が磁荷で、両者とも cosωt で振動する。電荷、磁荷は Y の変位がゼロで最大となり変位が最大でゼロとなる。正確には、この磁荷は Y 方向での磁荷成分だ。空間次元全体での全磁荷はベクトルで X 方向と Y 方向の各成分から成る。 \[ |\textbf{e}_\gamma |=| \textbf{b}_\gamma |= e_\gamma \cos{\omega t} \; , \;\;\; e_\gamma = \frac{\omega}{\omega_0}e \] このように光は電荷と磁荷の変動が X 方向に光速で伝搬しており、電磁波と呼べる。光子は一周期分のエネルギーであり、粒子ではない。また光の位置は垂直方向で振動しながら進行している。(詳細は 光の放射 を参照)

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#19  (2022.03.04)

基本周回と量子粒子


4次元球であるスペーシアには互いに直交する平面が6個存在する:3つの空間-空間次元平面と3つの隠れ-空間次元平面。一つのスペーシアではこれらの平面にエネルギー周回を含むことが可能で、平面に入る周回を基本エネルギー周回と呼ぶ。一つのスペーシア内のエネルギー周回組成を量子粒子と定義する。
  最低エネルギーの基本周回が1重周回 (single circulation) の SiS だ。 SS または iSiS が二つの平面に入ると、下図 (a) のように回転し共役結合対を作る。これを2重周回 (double circulation) と呼び DiD と表記する。2重周回も基本周回として一つの平面に入ることだできる。またそれらの励起体 (振動数が 2ω0) の D#iD# も基本周回となる。


尚、 SiS の場合は共通の軸 X の周りを H-Y の混合方向に回転できない為、図 (b) のように互いの端に引き合う。著名な中間子や重粒子の基本周回の組成は 量子粒子の構造と相互作用 に記載している。
  標準モデルではこれ以上分割できない粒子として17種の素粒子を挙げている。しかし、その存在根拠は希薄で、都合よく各々に荷量を与えている。エネルギー周回理論では素粒子に相当するものは1重周回で、論理の飛躍なく各粒子の組成や相互作用を見事に示している。次回以降に中性子のベータ崩壊を例にその一旦を示す。

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#20  (2022.03.05)

中性子の構造と安定性


中性子は原子核内では安定だが単独では不安定で寿命15分でベータ崩壊し陽子に変化する。この安定性に関する性質は何に起因しているのだろうか。エネルギー周回理論では中性子の基本周回組成を次のように提示している。 \[ \text{Neutron :} \;\;\; n^0 = (D^\text{#}, \;D, \;D, \;iS) \] 何故この組成になるか。それは主要粒子の相対的エネルギー(質量)、電荷、スピン、そして崩壊反応を全て精査し、全てが実測値に最も近くなるように、各々の組成を決定した。D#D の励起体(振動数が倍)でバリオンに共通して含まれる。iS は電気的に分極しているが全体としては中性になる。( 量子粒子の構造と相互作用 を参照)
  2重周回 D は共役周回対 S:S だが、水平分離で一旦隣接する位置まで離れると、そこから排斥力が働き不可逆的に遠ざかる。これが中性子が単独で不安定な理由だ。SS の共役周回で −ω0 の振動数を持つ。陽子の構造は後に言及するが一つの DS に代わり、iS は伸長して電子と基本電荷対を形成する。中性子の D 内の S と陽子の S は水平相互作用で引き合い両者は隣接する。中性子のD の残りの S が二つの S 上を移動することができる。つまり、中性子と陽子は S の交換により入れ替わりを起こし、安定な原子核を形成している。 S と二つの S との水平相互作用の力とポテンシャルエネルギーの距離に対するグラフを下記に示した。右下のグラフが示すように、S はどちらかの核子上にある時にエネルギーは極小をとり、両者の外側に離れるとエネルギーの山を示す。そのため安定に原子核内に留まることになる。


  標準粒子モデルでは、中性子の単独での不安定性や核内での安定性は説明できない。

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#21  (2022.03.06)

中性子のβ崩壊:陽子と電子の生成


中性子はベータ崩壊で陽子、電子そして反ニュートリノに変化する。これは2つの過程で起こる。 \[ \text{(1)}\;\:\: n^0 (D^\text{#},D,D,iS)\;\: + \;\: \Delta E \;\: \longrightarrow \;\: p^+ (D^\text{#},D,\overline{S},iH_+ ) \;\: + \;\: a^- (S,iH_-) \] \[ \text{(2)}\;\:\: a^- (S,iH_-) \;\: \longrightarrow \;\: e^- (H,iH_-) \;\: + \;\: \overline{\nu}(\overline{H}) \] p16 で説明したように iS は伸長して基本電荷対となるが、+e の電荷部分を iH+ と表記し、−e の電荷部分を iH- とする。これらは半分の周回という意味で hemi-circulation と呼んでいる。空間-空間次元の単周回 S は単独では不安定で二つに分離し hemi-circulation の HH になる。これがニュートリノと反ニュートリノで逆方向に直線運動する。内在エネルギー m0/2 は量子化できず、半径 μ0 、光速で螺旋運動する(直線成分がほぼ光速)。p19 で言及したように隠れ-空間次元周回と空間-空間次元周回は引き合う。iH+ 端は S と付加し、陽子を形成する。iH- 端は H と付加し、電子を形成する。各電荷は陽子-電子間に広がっているがニュートリノと電荷のマイナス端を電子の位置としている。電子の電荷 −e は陽子までのマイナス電荷の合計値だ。
  ベータ崩壊の第一段階はエネルギーの付加で D の対分離と iS の伸長がおこる。一旦 D が分離すると排斥力が加わりポテンシャルエネルギーが低下する。この低下は電荷対伸長による電気ポテンシャルエネルギーの増加より大きく、分離後、遠ざかり続ける。この分離で a-(S, iH-) がまず放出される。これを anon と呼んでいる。第二段階は anon 内の S が垂直分離し、ニュートリノと反ニュートリノに分かれ反対方向にほぼ光速で遠ざかる。ここで働く排斥力が弱い核力と言われているものだ。ニュートリノはマイナス電荷端と付加し電子を形成する。
  この崩壊に働く力を整理すると次のとおりだ。D の対分離に働く力は水平相互作用で、重なりがある最初は引力、その後重なりがなくなると排斥力になる。これは強い力にあたる。iS の伸長に働く力は電気力で周回内力だ。S の分離に働く力は垂直相互作用で、弱い力にあたる。
  既存の標準モデルではこのベータ崩壊の本質部分を「d クオークが W- ボゾンを介する弱い相互作用で u クオークと電子、反ニュートリノになる」としている。エネルギー周回理論での本質部と対比すると次の通り。
\[ \textbf{エネルギー周回理論:} \: (D,iS)\; \rightarrow \; (\overline{S},iH_+ ) \; + \; a^- \:,\:\:\ \:\ \: a^- \rightarrow \; e^- \; + \; \overline{\nu} \] \[ \textbf{標準モデル:} \:\: d \; \rightarrow \; u \; + \; W^- \:, \:\:\:\:\:\: W^- \rightarrow \; e^- \; + \; \overline{\nu} \] 一見類似点があるように見えるが根本的に全く異なる。標準モデルではクオークをこれ以上細分化できない根本粒子としている。電荷とは何か、その定義を棚上げにして、各クオークに電荷を割り振っている。しかも d の電荷は−e/3 で、u の電荷は+2e/3 としている。全く根拠もないがこれを出発点として受け入れろと言っている。その仮定の下での物理法則を模索している。更に W- も、この弱い相互作用を媒介する場の量子化粒子で基本粒子の一つとして認めることを要求している。因みに、d の静止エネルギー(質量は c2 で割る)は 4.1 - 5.7 MeV で u の静止エネルギーは 1.7 - 3.1 MeV だとのこと。力を媒介する W- ボゾンは電荷が−e で静止エネルギーは 80 GeV にも及ぶそうだ。ゲージ場の理論に基づいてポテンシャル場が導入され、それに基づく力や場の量子化による力の媒体のボゾン粒子が導入されているが、最初の状態の設定であるクオークに全く根拠がない。一見数学的と思われれるゲージ場理論も最初の状態の定義が明確でないと、決して物理学的に正しいと言えない。現行理論は、全く的外れの前提条件からスタートした現実を無視した仮想的な数学と言える。

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#22  (2022.03.07)

実空間での位置を示す波動関数


既に p10 などで使っているが、エネルギー分布をエネルギー量 E と位置を示す関数 ψ を使い で示す表記法を使用する。静止している空間-空間次元1重周回 S は内在エネルギー m0 が半径 μ0 角振動数 ω0 で周回している。周回面を Y-Z とすると、そのエネルギー分布は次のとおり。 \[ E_{(S)} \; [\;Y \;\;\; Z\;]=E_{(S)}\psi_0=E_{(S)}\mu_0(\cos \omega_0 t + i \sin \omega_0 t) \] 虚数単位 i を使用しているがこれは Z 方向を示している。この粒子にエネルギーが加わり、速度 v で X 方向に動く場合、X 方向を j で示すと、エネルギー分布は次のように表示できる。 \[ E\; [\;X \;\;\; Y \;\;\; Z\;]=E\psi \;, \;\;\; \psi = jvt + \mu_0(\cos \omega t + i \sin \omega t) \] この関数 ψ は Y 方向と Z 方向での振動数 ω の振動が X 方向に速度 v で伝搬することを示しており波動関数である。尚、質量(内在エネルギー)は m に増加し、螺旋運動をしている。m は光速で動いているがその周回成分が Cr=μ0ω で直進成分が v だ。 \[ E=m_0 c^2 + \Delta E = mc^2= m(C_r^2 + v^2) = m(\mu_0^2 \omega^2 + v^2) \]   上記の ψ は3次元の波動関数だが、X-Y 面と X-Z 面の二つの平面波の和として表示できる。X-Z を虚数で示しているが単に X-Y に対し直交しているという意味である。角度部分は速度 v の波の進行を示している kx - ωt = k(x - vt)。3次元表示または平面波表示のどちらであっても同じ波動関数を示している。 \[ \psi = \psi_1 + \psi_2 = \mu_0 \cos (kx - \omega t) + i \mu_0 \sin (kx - \omega t) \;,\;\;\; (k=2\pi/\lambda = \omega/v) \] これは正しく量子力学での波動方程式の解と同じ形の波動関数だ。上述のようにこの波動関数 ψ は例え虚数部を含んでいても実空間でのエネルギー分布を示し、内在エネルギーが螺旋運動をしている。

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#23  (2022.03.08)

エネルギー周回の軌道周回運動


大エネルギーの空間-空間次元周回は直線運動をすると周回の半径 μ は小さくなる。しかし基本1重周回 S やヘミ周回 H は直線速度に関係なく半径は一定で最低値 μ0 を保持する。従って、前述の波動関数は直線運動をしている限りは利用価値は少ない。半径が一定なので速度 v で動いているとの表示で十分だ。しかし、直線運動部分が周回すると新たな制限が生まれ、許容されるエネルギー分布としての波動関数の意義が生まれる。混同を避けるため、元の周回を内部周回と、直線部の周回を軌道周回と呼ぶ。
  前頁に記載の螺旋運動の直線運動部が円形になると、内部周回と軌道周回(半径 r 、振動数 Ω)が量子化され次の条件が課せられる。 \[ \Omega = v/r \;, \;\;\;\;\; \omega = n \Omega \;\;(n: 1,2,3,\;\cdots \;) \] 軌道周回速度 v の増加により内部周回の振動数 ω は減少し、速度 v で一義的に決定される。 \[ c^2= \mu_0^2 \omega_0^2 =v^2 + \mu_0^2 \omega^2 \;, \;\;\; \omega = \omega_0 \sqrt{1-v^2/c^2} \] 更に軌道周回速度 v も制限され、軌道半径と上記量子数 n で一義的に決定される。尚、μ0 に対する相対的軌道半径を R とする。 \[ v=\pm \frac{R}{\sqrt{n^2+R^2}}c \;, \;\;(R=r/\mu_0) \] 原子内の電子の場合、相対半径 R は約 104 で、軌道周回速度 v は光速 c に極めて近い。また、遠心力と電気力による求心力が均衡しており、限られた値の半径だけが許容される。
  隠れ-空間次元 H-Y の周回 iS の場合は、例え直線運動をしても隠れ次元 H の振動は ω0 のままで変化しないが Y の振動はS と同じ ω となる。従って上記および前頁で述べた波動関数とその特徴は Y-Z の周回を Y での振動と読み替えることでそのまま適用できる。また、H での振動数は変化しないので電荷は不変となる。

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#24  (2022.03.09)

波動関数の特徴と軌道周回の波動関数


波動関数 ψ は3次元実空間の位置を示すが重要な特徴がある。それは ψ が速度 v だけで決定され、エネルギーの値 E に対し不変だという点だ。従って ψ は半径 μ0 の全てのエネルギー周回、即ち基本周回に共通する。全ての量子粒子は基本周回の組成物であり、この波動関数は如何なる粒子の如何なるタイプのエネルギーについても共通だ。実は存在位置は、全エネルギー、静止エネルギー、運動エネルギー、内在エネルギー等どんな種類でも同じでエネルギーがその位置にあることを示す。対象としたい種類を使って Eψ,Erψ, mψ, pψ などと表記できる。この特徴は波動関数がエネルギー存在位置を示すことに基づいている為、軌道周回についても成り立つ。
  軌道周回している粒子(エネルギー周回)について我々が知りたい情報は内部周回についてではなく、軌道周回の情報、即ち半径 r と振動数 Ω だ。既存量子力学での電子についてのシュレーディンガー方程式の解も軌道運動の波動関数だ。X-Y 面での軌道周回の波動関数を次のような周回関数 φ を使って表記しよう。 \[ \psi_{xy} = r (\cos \Omega t + i\sin \Omega t) = r \varphi_{xy}(\Omega) \] Ω と r が分かれば、内部周回の振動数 ω も速度 v も前頁で示したように判明する。周回が2次元平面の場合は Ω はスカラー量だ。原子内電子の場合、この軌道周回は更に Y-Z 面で回転することができる。この回転には新たな量子化の条件が課せられる。3次元の軌道運動は振動数がベクトルとなり一般的表記として下記のように表せる。この軌道周回波動関数は X, Y, Z の各々の方向での振幅 rk と振動関数 φk(周回を1次元振動に読み替えた三角関数)の組み合わせで示される。 \[ \psi_{xyz} = R(x,y,z) \varphi_{xyz}({\bf \Omega}) = [\;X \;\;\;Y \;\;\;Z\;] = [\;r_x \varphi_x(\Omega_x) \;\;\; r_y \varphi_y(\Omega_y) \;\;\; r_z \varphi_z(\Omega_z) \;] \]
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#25  (2022.03.10)

原子中の電子のエネルギー


p21 で述べたように電子は伸長した基本電荷対のマイナス端にヘミ周回 H であるニュートリノが付加したものだ。電子のエネルギーは対象とする方向によって二種類ある。軌道周回方向への運動に対しては。そのエネルギーはマイナス端のスペーシア上に限定され、実質的にはニュートリノだけのエネルギーと見做せる。 \[ \textbf{軌道周回方向:} \;\;\; E_{(e)} = \frac{m_0 c^2}{2} + \frac{E_{(n-iS)}}{2n} \simeq \frac{m_0 c^2}{2} \;,\;\;\;\;(n\simeq 10^4) \] \[ \textbf{伸長した基本電荷対:} \;\;\; E_{(n-iS)} = m_0 c^2 + \Delta E \] 半径方向に対しては、伸長した基本電荷対のエネルギーの半分とニュートリノの和となる。 \[ \textbf{半径方向:} \;\;\; E_e(r) = \frac{m_0 c^2}{2} + \frac{E_{(n-iS)}}{2} = m_0 c^2 + \frac{\Delta E}{2} = m_0 c^2 + U(r) - U(2\mu_0) \] 電子に付加されたエネルギー ΔE/2 は電子の電気ポテンシャルエネルギーの差となる。
  上記は全エネルギーだが、静止エネルギーは対象方向に対して直交成分のエネルギーになる。軌道周回方向については、ニュートリノの軌道周回速度 v は光速 c に近く内部周回速度 Cr は極めて小さい。これが一般に電子の質量は 0.5 MeV/c2 と小さい値とされる理由だ。半径方向に対しては全エネルギーが直交成分で静止エネルギーとなる。しかし、原子内電子の半径方向の速度成分は常にゼロで、加速対象として静止エネルギーを扱うことはない。
  結論としての重要点は、遠心力の対象となる周回方向での運動に対してはニュートリノだけを考慮すればよく、半径方向での電気力や電気ポテンシャルエネルギーは基本電荷対だけで距離の関数として決定される。

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#26  (2022.03.11)

原子軌道の量子化と半径


原子内での電子の X-Y 面での軌道周回は更に Y-Z 面で回転することができる。一つの周回では p23 で述べたように内部周回と軌道周回の振動数には ω = nΩ という量子化条件がある。更なる回転も含めた複数の周回では次のような量子化の条件が要求される。m は周回の数。 \[ \omega_{nm} = nm\Omega_{nm} \;\;\; (n=1,2,3 \cdots )(m=1,2 \cdots \leq n) \] 電子の速度 v は例え ω が数倍に変化しても光速 c に近く、遠心力に対しては不変として扱える。 \[ \omega = \omega_0 \sqrt{1-v^2/c^2}\;, \;\;\;\; v=\pm \frac{R}{\sqrt{n^2+R^2}}c \approx \pm c \;, \;\;(R=r/\mu_0 \approx 10^4) \] 軌道周回速度は電子の速度 v を周回数 m で割った値となる。 \[ v_{orb}=r_{nm}\Omega_{nm}=v/m \] 遠心力と電気引力が釣り合うため、電子の静止質量を me とすると次式が得られる。 \[ \frac{m_e v_{orb}^2}{r_{nm}} = \frac{K_e e^2}{r_{nm}^2}\;, \;\;\; r_{nm} = \frac{K_e e^2}{m_e}\frac{1}{v_{orb}^2} \] 上述の軌道周回速度を代入すると、軌道周回半径として次式が得られる。 \[ r_{nm} = \frac{K_e e^2}{m_e}\frac{m^2}{v^2} \approx \frac{K_e e^2}{m_e c^2}m^2 \equiv K_r m^2 \] ここに非常に重要な関係が得られた。軌道周回半径すなわち原子軌道の半径 rnmn に無関係で周回数 m の2乗に比例する。電子の軌道周回では電気ポテンシャルエネルギーは一定に保たれるため、原子軌道半径は経時的に不変だ。
  既存の量子力学では、原子軌道のエネルギーと半径は主量子数 n (上記の n に相当)に依存するとしている。また、電子の速度をほぼ一定とせず、電気ポテンシャルエネルギーと電子の運動エネルギーの変化を相殺させている。上記で説明したとおり、電子の速度変化は極めて小さくほぼ光速で一定だ。また、電子の力学的側面を負うニュートリノは速度変化があっても内部周回速度と相殺されエネルギー変化はない。

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#27  (2022.03.12)

S軌道とP軌道の波動関数


次に原子軌道の具体的な波動関数を見てみよう。量子数 n = 1 では m は 1 に限定され、軌道は 1S となる。n = 2, m = 1 は 2S 軌道で軌道周回振動数は 1S とは異なるが半径は両軌道とも同じになる。 \[ \text{1S orbital :}\;\;\;\; \psi_{1S}=[\;X \;\;\; Y \;\;\; Z\;]= r_s\;[\;\cos \Omega_{11} t \;\;\; \sin \Omega_{11}t \;\;\; 0\;] \;.\;\;\; \omega_{11}=\Omega_{11} \] \[ \text{ 2S orbital :}\;\;\;\; \psi_{2S}=[\;X \;\;\; Y \;\;\; Z\;]= r_s\;[\;\cos \Omega_{21} t \;\;\; \sin \Omega_{21}t \;\;\; 0\;] \;.\;\;\; \omega_{21}=2\Omega_{21} \] Y-Z 面でも回転して量子化された n = 2, m = 2 は 2P 軌道で波動関数は下記となる。 \[ \text{2P orbital :}\;\;\;\; \psi_{2P}=[\;X \;\;\; Y \;\;\; Z\;]= r_p\;[\;\cos \Omega_{22}t \;\;\; \sin \Omega_{22}t\cos\Omega_{22}t \;\;\; \sin \Omega_{22}t\;] \] \[ = r_p\;[\;\cos \Omega_{22}t \;\;\; \frac{1}{2}\sin 2\Omega_{22}t \;\;\; \sin \Omega_{22}t\;] \] \[ r_p = m^2 r_s = 4 r_s \;,\;\;\; \omega_{22}=nm\Omega_{22}=4\Omega_{22} \] このp軌道の式には間違いがあり、将来論文発表後に説明します。訂正後の式は次の通り。 \[ \psi_{2P}=[\;X \;\;\; Y \;\;\; Z\;]= r_p\;\frac{[\;\cos 2\Omega_{22}t \;\;\; \sin 2\Omega_{22}t \;\;\; \sin \Omega_{22}t\;]}{\sqrt{1 + \sin^2 \Omega_{22}t}} \]
半径 r は前頁の式で決定される。軌道周回振動数 Ω も (ωμ0)2 + (Ωr)2 = c2 = (ω0 μ0)2 の関係から得られる。従って n, m が与えられれえば軌道の波動関数は一義的に得られる。電子の電気ポテンシャルエネルギー U(r) は -1/r つまり -1/m2 に比例する。下記にS 軌道、P 軌道の形を示す。(図は削除、将来、訂正後のものを掲載予定)
  既存の量子力学では波動関数を時間を含まない部分と含む部分にわけ、含まない部分(p24R(x,y,z) に相当)を時間を含まない波動方程式から得ている。基本的には上記 1S 軌道と同様であるが、それに球面対象を与えている。エネルギー周回理論での軌道は時間を含む定常波を示しているが、既存量子力学での軌道は単に振幅を示しているだけだ。無条件で解に球面対象を与えることはできない。上述の S 軌道は周回面が低速で回転することはあるが少ない周回数の軌跡は平面だ。P 軌道について既存量子力学は電子の速度 v とその半径方向成分を時間的に可変として扱っている。しかし、既に述べたように v は一定で半径方向成分はゼロだ。

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#28  (2022.03.13)

波動関数を与える波動方程式


p22~p27 で説明したように、粒子の直線運動おおび軌道周回運動におけるエネルギー位置を示す波動関数は直線速度成分 v または量子数 n, m が与えられれば一義的に得られる。従って波動方程式を解く事は必須ではないが、これらの波動関数を解とする波動方程式は種々可能だ。既存の量子力学との比較のために1次元の直線運動を対象とするシュレーディンガー方程式に相当する方程式を得よう。
  波動関数は位置と時間に対する関数で、平面波表示法では p22 で示したように波数 k = ω/vと振動数を使って表示した。オイラーの公式に従い、自然対数の底 e の指数として表示する。これは指数関数では微分が簡潔で、また指数部の和が指数の積として表せる為だ。 \[ \psi (x,t) = \psi_1 + \psi_2 = \mu_0 \cos (kx - \omega t) + i \mu_0 \sin (kx - \omega t) \] \[ = \mu_0 e^{(i(kx - \omega t))} = \mu_0 \exp (i(kx - \omega t)) = \mu_0 \exp (ikx) \exp (- i\omega t) \] この式の前半部は x の各々の位置での振幅を示し、後半の時間部分はその振幅の経時的振動を示している。これは伝搬する波の最も一般的な表示だ。エネルギー周回理論では速度 v と振動数 ω の関係式が得られている。従って上記関数を波数と振動数に代わり速度だけを使った式に変換できる。しかし、既存物理ではこの関係が未知であった為、波数と振動数に代わり運動量とエネルギーでこの波動関数を表示しようとした。ここでも同様の変換を行う。
  運動量とエネルギーの関係として E = pv を使う。この関係が成り立つのは v で動く内在エネルギー m に限定される。内在エネルギーは質量ではない。両者が等しくなるのは速度が光速 v = c の時だけだ。 \[ E=mv^2=pv\;\;\;\;\; (m:\textbf{内在エネルギーに限定される}) \] 次に E = という関係を使う。この関係が成り立つのは、p18 の光で述べたように一波長(周回)分のエネルギーだ。これは光に限らず内部周回の一つの周回当たりのエネルギーを示し、エネルギー量子 Eq と呼ぶ。 \[ E_q=h\nu=\hbar \omega \;\;(E_q\textbf{エネルギー量子に限定}) \; \Rightarrow \;\; \omega = E_q / \hbar \] これら二つの関係を利用できるのは、「エネルギー量子を内在エネルギーで表示する」場合に限定される。その運動量について次の関係が得られる。 \[ p_q= E_q / v = \hbar \omega / v = \hbar k \;\; \Rightarrow \;\; k = p_q / \hbar \] kω を上記の関係で置換すると次の波動関数が得られる。 \[ \psi (x,t) = \mu_0 \exp (i(p_q x - E_q t)/\hbar) \] これを解とする方程式を得る為に、tx による偏微分をとり、両辺に i を掛けるとエネルギーと運動量の演算子が得られる。 \[ E_q \psi (x,t) = i\hbar \frac{\partial}{\partial t} \psi (x,t) \] \[ p_q \psi (x,t) = - i\hbar \frac{\partial}{\partial x} \psi (x,t) \] これら演算子をエネルギー量子の直線運動成分の式に代入すると下記の波動方程式が得られる。 \[ E_q = m_q c^2 = m_q(v^2 + C_r^2) = \hbar \omega \] \[ E_v=m_qv^2=\frac{p_q^2}{m_q} \] \[ i\hbar \frac{\partial}{\partial t} \psi (x,t) = - \frac{\hbar^2}{m_q} \frac{\partial^2}{\partial x^2}\psi (x,t) \] この方程式はシュレーディンガー方程式と比べて決定的な違いがある。右辺分母の mq がエネルギー量子の内在エネルギーである点だ。振動数 ω は速度 v で決定されるので、この内在エネルギーは速度だけて決定される。解として得られる波動関数はエネルギー位置を示しており、エネルギー量子に限らずどのような種類のエネルギーにも当てはまる。
  シュレーディンガー方程式では mq2m となって、 m は個別の粒子の質量としている。従ってエネルギーの大小によって解の振動数 ω が異なる。次回で述べるが、シュレーディンガー方程式は大きな矛盾を抱えている。

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#29  (2022.03.14)

シュレーディンガー方程式の矛盾


1次元運動する粒子のシュレーディンガー方程式は前頁に記載のエネルギーと運動量の演算子を使って下記で示される。 \[ i\hbar \frac{\partial}{\partial t} \psi (x,t) = - \frac{\hbar^2}{2m_r} \frac{\partial^2}{\partial x^2}\psi (x,t) \] シュレーディンガーはデブロイ仮設を受けて、電子のような粒子も光のような波動の性質を持つとし、その物質に付随する波動(物質波)を求めようとした。これは波である為、運動量とエネルギーに次の関係を使った。 \[ (1)\;\;\; E=pv \;\;(=mv^2) \] これにエネルギー量子の E = ℏω の関係を加え、前頁に記載したプロセスでエネルギーと運動量の演算子を得た。ここまではエネルギー量子としての物質波についての議論だ。
  しかし、この演算子を粒子の運動エネルギーを示す下記式に代入して波動方程式を得ている。 \[ (2)\;\;\; E=\frac{1}{2}m_rv^2 = \frac{1}{2}pv = \frac{p^2}{2m_r} \] 物質波の波動関数を得ようとしながら、粒子に対する式 (2) を適用している。これは明らかに矛盾している。方程式にある mr は粒子の静止質量だとしている。物質波は物質に付随しているためその位置と粒子の位置を合わせることには理解できるが、物質波の質量を粒子の質量と同一視するのは完全に間違っている。前頁に記載したエネルギー周回理論による誘導では演算子をエネルギ量子の直線運動成分 Ev = mqv2 = pqv に代入した。
  更に、電子の場合では速度 v はほぼ光速に近く、運動エネルギーについて (2) の近似は使えない。エネルギー周回理論では静止質量 mr を加速した場合の運動エネルギーは次の式で与えられる。( エネルギー周回の動力学 を参照) \[ E_k = - \frac{m_r c^2}{2} \log \left(1-\frac{v^2}{c^2} \right) = \frac{1}{2}m_r v^2 \left( 1 + \frac{v^2}{2c^2} + \frac{v^4}{3c^4} + \frac{v^6}{4c^6} \cdots \right) \]   以上のようにシュレーディンガー方程式は根本的な矛盾を含むが、最も重大な点は式内の質量を粒子の質量としていることだ。

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#30  (2022.03.15)

新しい量子力学のまとめ


ここまでにエネルギー周回理論に基づく新しい量子力学について述べてきたが、その特徴をまとめてみよう。

(1) 静止したエネルギー周回(粒子)

  エネルギー周回は均一の連続したエネルギーの周回で粒子として扱える。遠心力と基本力の周回内作用による求心力が釣り合い、その半径はエネルギー量に比例する。静止できる周回としての最小の半径が単位空間エネルギーであるスペーシアの半径 μ0 となり、基本周回を形成する。基本周回は内在エネルギー m0 が速度 μ0ω0 で周回している。エネルギーの位置は次の周回関数(波動関数)で表記できる。虚数単位 i は実空間での直交座標の方向を示している。 \[ \psi = \mu_0 (\cos \omega_0 t + i\sin \omega_0 t) \;, \;\;\;\; E_r = m_0 \mu_0^2 \omega_0^2 \]

(2) 直線運動する基本周回

  基本周回の粒子にエネルギーが加わり速度 v で直線運動すると、内在エネルギー m が光速 c = μ0ω0 で螺旋運動する。内部周回の振動数 ω は直線成分速度 v だけで一義的に決まる。この運動の波動関数は3次元表示または2つの平面波で表示される。平面波は波数、振動数に代わりエネルギー量子とその運動量でも表示できる。 \[ \psi = jvt + \mu_0(\cos \omega t + i \sin \omega t)\;. \;\;\; \omega = \omega_0 \sqrt{1-v^2/c^2} \] \[ \psi = \mu_0 \cos (kx - \omega t) + i \mu_0 \sin (kx - \omega t) \] \[ = \mu_0 \exp (i(p_q x - E_q t)/\hbar) \] \[ E=m_0 c^2 + \Delta E = mc^2 = m(\mu_0^2 \omega^2 + v^2) \]

(3) 粒子の直線運動に対する波動方程式

  上記の波動関数を与える波動方程式は下記のとおり。mq はエネルギー量子の質量。 \[ i\hbar \frac{\partial}{\partial t} \psi (x,t) = - \frac{\hbar^2}{m_q} \frac{\partial^2}{\partial x^2}\psi (x,t) \;,\;\;\; m_q = E_q / c^2 = \hbar \omega / c^2 \] この方程式の解には振幅が μ0 に限らず全ての値のものが含まれる。しかし、基本粒子の組成からなる全ての粒子は波動関数の振幅は μ0 に限定される。

(4) 軌道周回運動の量子化

  引力がある場合、直線運動部分が軌道周回し、周回面が更に回転することができる。その時の内部周回と軌道周回の振動数の量子化条件は次のとおり。m は回転も含めた周回の数。 \[ \omega_{nm} = nm\Omega_{nm} \;\;\; (n=1,2,3 \cdots )(m=1,2 \cdots \leq n) \] 電子の速度はほぼ光速で、遠心力に対しては一定として扱える。遠心力と求心力の均衡により半径は周回数量子数 m の二乗に比例する。波動関数は3次元各成分での振幅と振動数の三角関数で示される。

(詳細は 量子力学 を参照)


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#31  (2022.03.16)

既存量子力学の問題点


20世紀初め、光電効果の発見を受け光の波と粒子の二重性に注目が集まった。エネルギー周回理論によると、光は直線成分速度が光速で内部周回速度はゼロ、つまり粒子性は全くない。重力レンズ効果は、エネルギーが速度に直交する方向に対しては静止エネルギーとなる為だ。1924年にドブロイは電子を含む全ての粒子が光のように波と粒子の二重性を持つという仮説を提唱した。後に物質波と呼ばれるドブロイ波が粒子に付随するとした。これは光と同様に E = pvE = ℏω の関係があり、この二つから p = ℏk を満たすとした。また、この波の波長/振動数は物質固有のものでドブロイ波長と呼ばれた。粒子の運動エネルギーは E = pv/2 でこの条件を満たさない。
  ドブロイ仮説を受け、1925年にハイゼンベルグが行列形式の方程式で、1926年にシュレーディンガーが波動方程式として量子力学の定式化に成功した。この二つはその後、数学的に同等と証明され、両方とも同じ波動関数を解として与える。この波動関数は物質波を示すものだが、物質波が何かが不明だった。シュレーディンガーは当初、電子の場合この波動関数は現実空間での電荷分布を示すものと解釈していた。しかし、ボーアとハイゼンベルグがこの波動関数は粒子の存在確率を示すという確率解釈を提唱し、広く受け入れられるようになった。波動関数は複素数で虚数部を含む為、現実の空間ではあり得ないとよく説明される。しかし、虚数単位は単に実数表記部分の方向に対し直交する方向での単位ベクトルであるにすぎない。現実空間と存在確率を示す空間をあわせたものをヒルバート空間の一つとして数学的に記述しているが、この数学的記述が存在確率を肯定するものではない。
  p29 で説明したように、シュレーディンガー方程式の間違いは物質波の質量と粒子の質量を混同している点だ。物質波に対する演算子を粒子の運動エネルギー E = p2/2m に代入し、m を粒子の質量とした。これは明らかな間違いで、m は物質波の質量で E = p2/m とすべきだ。しかし「これがドブロイ仮説で、それを受け入れることが量子力学だ」とされているが、この考え方こそが量子力学を迷走させている。エネルギー周回理論では波動方程式内の質量はエネルギー量子の質量で、その直線運動成分は E = pvE = ℏω を満たす。
  波動関数の存在確率解釈は更なる拡大解釈を次から次へと生みだした。どのような振幅の波動関数も波動方程式の解となり、解の一次結合も解となる。ここで「波動方程式が物理法則の本質で、具体的な個別の波動関数は観測することで選ばれる」との解釈に発展し、これぞ量子力学の本質だと広く受け入れられた。粒子は無数の量子状態の一次結合の状態で存在しており、観測でその中の一つが選ばれるとされている。個別の関数の振幅についてその意味合いを、微分方程式の解だからと、無視し、規格化により関数の絶対値 ψψ* を1にしている。こんな無謀な展開が何故受け入れられるのだろう。それは確率解釈に基づくというのであろうが、その前にドブロイ仮説の精査、波動方程式の論理的検証を行うべきだ。p13 で述べた光速の異方性についての迷走と同様の迷走が量子力学でも始まった。

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#32  (2022.03.17)

不確定性原理の虚構


波動関数の存在確率解釈を提唱したハイゼンベルグはこれを支持する背景を模索した。波の性質に着目し、1927年に不確定性原理を発表した。粒子が動く時に、位置の分布の標準偏差と運動量の分布の標準偏差には下記の関係があり、位置と運動量を同時に正確に与えることは不可能とした。 \[ \Delta x \Delta p \geq \hbar / 2 \] 古典的な波の性質で、波束の不確定性関係というものがある。無数の平面波を重ね合わせると静止した波束を作ることができる。波数の広がりを大きくする(多種の振動数の波を合わせる)と波束の位置の広がりが小さくなるが、波数の広がりが小さくなると位置の広がりは大きくなり単独の平面波に近づく。この二つには次の関係がある。 \[ \Delta x \Delta k \cong 4 \] これに p = ℏk を代入すると前の式に相当することが分かる(Δ の取り方は両者で異なる)。
  不確定性関係はエネルギー周回についても当てはまる。内在エネルギー m が振動数 ω で周回している場合、4mω /2 で周回しているとも、m/4 が 2ω で周回しているとも表現できる。更に倍音振動数成分が合わさった波束としても表現できる。従って、構成している波の位置と波数(振動数)の両方を同時に確定することはできない。同じエネルギーに対し、内在エネルギーの取り方によって振動数(速度)が異なる。しかし、エネルギー周回では周回内の位置、即ち周回の位相は特定せず周回全体に均等に内在エネルギーが分布していると扱っている。波動関数が示している位置は、内部周回については半径が μ0 で一定としているだけで円周上の位置は考えず、直線運動成分の位置だけを示している。従って、内部周回に関しては不確定性関係を不問にできる。周回の位置は半径 μ0 の幅を持つが中心で確定している。直線運動位置は vt で与えられ、指定された時間では一点を示す。従って粒子の位置と波数(速度、振動数)は同時に特定でき、不確定性関係は成立しない。波動関数で示される粒子の位置と運動量には不確定性原理は成り立たない。
  不確定性原理は上記の波束での説明以外に、演算の非可換性で説明されている。固有関数 ψ に測定に相当する演算子 A を作用させると固有値 a を与え、同じ固有関数に演算子 B を作用させると固有値 b を与える場合、 ψB を作用させて後に A を作用させた値と、 A を先に作用させてから B を作用させた時の値の差は下記で表される。 \[ A\psi = a\psi \;,\;\;\; B\psi = b\psi \] \[ AB\psi - BA\psi = (ab - ba)\psi = [A, B]\psi \] ab - ba = 0 の場合は演算子 AB は可換であると言い、 AB の測定を同時に ψ に対して行える。しかし、ゼロでない場合は非可換であると言い、同時に測定できない。
  不確定性原理は位置を表す演算子 X と運動量を表す演算子 P が非可換であると言っている。 \[ X\psi = x\psi \;,\;\;\; P\psi = p\psi \] \[ XP\psi - PX\psi = [X, P]\psi = i\hbar \psi \] ここには位置を与える演算子という不思議なものが使われている。運動量など他の測定演算子との兼ね合いではなく、位置を単独で示すにも固有関数に位置演算子を作用させなければならない。これは最初から粒子の位置は一点で与えられないとしている。従って可換性というのは不確定性原理の根拠を与えているのではなく、不確定性原理を記述しているに過ぎない。
  それでは何故このような位置演算子を導入したのだろうか。これは波動関数の確率解釈を正当化しようとする特徴的なものだ。彼らは粒子の存在位置は一点(質点)と考え、存在確率が波動関数 ψ に広がっているとした。その為に位置自体を演算子として扱った。しかし、エネルギー周回理論では粒子はエネルギーの存在位置が円周上に広がっている。位置演算子を導入する必要はなく、強いて言えば常に X = 1 となる。粒子についての不確定性原理は成り立たない。
  一旦、不確定性原理が受け入れられると、更にエスカレートした。位置演算子という身勝手なものを使っているにも関わらず、あらゆる測定の演算子について相互に非可換であれば同時に測定できないとして不確定性の幅を与えた。その一つがエネルギーと時間間隔の測定だ。この不確定性を理由に「非常に短い時間であれば高エネルギー状態を取れる」として仮想的な対生成や力を媒介する高エネルギーのボゾン粒子などが可能とした。エネルギーは完全な経時的保存量で、一時的にも高い値をとることはない。複数のエネルギーがある場合に、一部のものに集中し高エネルギーになることはあるが、全体のエネルギー量は不変だ。都合の良い不確定性原理は、ゲージ場の理論と合わさり、都合の良い荷量、場の量子化ボゾン等を生みだし、標準粒子モデルへと暴走した。p21 で述べたように標準モデルは問題だらけで、決して成功していない。
  一世紀にわたり盲目的に信じられ、今では絶対的と扱われている波動関数の確率解釈と不確定性原理だが、エネルギー周回理論が提唱された今こそ、その妥当性を検証すべきだろう。

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#33  (2022.04.15)

早期宇宙周回の分離と環状分解


p8 で説明したように、宇宙分離直後の見かけエネルギーの3次元空間での分布は次のように示される。 \[ \textbf{x} = \; \mu_u (\omega t \textbf{e}_1 \cos \theta_2 + \sin \theta_2 (j\cos \omega t + k\sin \omega t) ) \] e1 は4次元空間での周回の円弧方向の単位ベクトルで、他の二つの空間単位ベクトル j , k と3次元直交座標系を構成する。宇宙半径の膨張に伴い、初期の見かけエネルギーは図のように周回の分離と環状分解 (cyclic decomposition) を起こす。


(a) の両端は4次元の周回で繋がっている。宇宙膨張で複数のディスクに分離する (b)。一つのディスクは複数の周回に分離する (c)。この時、周回の半径は sinθ2 に比例し、e1 方向への速度は cosθ2 に比例する。θ2 は位置を示すパラメータで 0 ≤ θ2 ≤ π に広がる。そして膨張によりエネルギー不足となり一つの周回が円周上全体で一斉に垂直分離する環状分解を起こす (d)。
  環状分解した各周回は宇宙膨張により更に環状分解を起こし、この過程が何段階も繰り返され、莫大な数のエネルギー周回が3次元空間に広がる。これらの周回を「銀河種 (galactic seed)」と呼ぶ。銀河種はその後銀河を形成し、現在我々が観測する莫大な数の銀河の分布を示す。
  上の図の (c) は (b) のディスクの一つについて表示したもので、(d) は更に (c) の一つの周回についてだけ示している。(c) の各周回の振動数は同じ方向だが、進行方向を向いての周回方向はθ2 の値により左巻きと右巻きが存在する。宇宙全体でのイメージは下図のようになる。

図の丸は超銀河団または銀河団を示し、青の塗りつぶしは左巻き、赤の中抜きは右巻きの螺旋運動を示す。ここに示すように宇宙の大規模構造は均一でなく偏りがあり、またその運動の螺旋度分布も非対称だ。近年、数十億光年という大規模スケールでの超銀河団の回転が報告されている。また、銀河団のフィラメント構造内の構成銀河は全体として螺旋運動をしていることも報告されている。更に、全宇宙の各銀河の螺旋度の分布は非均一で、宇宙全体の規模での回転があることが報告されている。これらの宇宙の大規模運動は既存の宇宙論では全く説明がつかず、これらの原因は不明とされている。しかし、エネルギー周回理論では上に示したように、これらの大規模分布と運動をごく自然に与える。

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#34  (2022.04.16)

銀河種のエネルギー表示


銀河種は空間-空間次元のエネルギー周回だ。内在エネルギー M が半径 R 振動数 Ω で周回していると表示するとエネルギーは下記のようになる。この周回を主周回とよぶ。 \[ E=MV^2 = MR^2\Omega^2 \] 主周回の円周の局所をみると、一段低いレベルの内在エネルギー M1 が半径 μ 振動数 ωで周回している。この周回を局所周回とよぶ。銀河種を内在エネルギー M1 が螺旋運動をしていると表示すると下記のようになる。 \[ E=M_1 (V^2 + V_c^2)=M_1 (R^2 \Omega ^2 + \mu^2 \omega ^2 )=M_1 V_G ^2 \] \[ E\psi \;,\;\;\; \psi = jR\Omega t + \mu (\cos \omega t + i\sin \omega t) \] 銀河種は連続エネルギー周回として量子化しており、次の関係がある。 \[ \omega = n \Omega \;, \;\;\; ( n=1, 2, 3 \cdots ) \] 遠心力と周回内力の均衡から主周回の半径はエネルギーに比例する。 \[ R \propto E \] 環状分解により主周回に対する局所周回の、半径および振動数の比率は次のように変化する。 \[ \mu / R \;\; \Rightarrow \;\; \text{減少} \;, \;\;\; \omega / \Omega \;\; \Rightarrow \;\; \text{増加} \] 環状分解を繰返し銀河種のエネルギーが閾値以下に低下すると、それ以上は環状分解ができなくなる。次に二つの銀河種への分離が始まる。

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#35  (2022.04.17)

銀河種の分離


環状分解が不可能になると、次に銀河種は宇宙膨張に伴い下図のように分離する。


安定な (a) の状態の銀河種が不安定になる場合として二つが考えられる。宇宙膨張により主周回の半径が少し増加すると、その半径に対しエネルギーが不足となる。また、内在エネルギーにはその構成要素として iS のような微小周回も含んでおり周回により放射を起こしエネルギーを放出する。この様に元の半径に対しエネルギーが不足すると、主周回の半径が減少し遠心力とのバランスを取ろうとするが、その時、局所周回半径の増加を伴い、主周回半径と局所周回半径は量子化条件があり飛び飛びの値となる (b)。ここで銀河種が二つに分かれる (c)。二つの主周回には垂直相互用が、局所周回には水平相互作用が働く。全体では (c) - (d) で排斥力、(d) - (e) では引力となる。(e) では局所周回の引力と主周回の排斥力が相殺しゼロとなり、それ以上では排斥力となる。
  (d) からは二つの主周回が水平に離れる水平分離も可能になる。どちらの分離になるかは垂直方向での速度に依存する(後に説明する予定)。

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#36  (2022.04.18)

銀河種の水平相互作用


銀河種が二つに分かれた後の水平分離および垂直分離における力とポテンシャルエネルギーを見よう。p34 に記載のように内在エネルギー M1 が速度 VG で螺旋運動し(主周回成分は V )、主周回の半径 R、局所周回半径 μ とする。二つの銀河種の距離に直径に対する相対距離 x をとる。 \[ x\equiv d/2R \;, \;\;\; x_0 \equiv \mu / R \;, \;\;\; P_h = \frac{1}{2}M_1 V \] 水平相互作用での銀河種間に働く力は下式で表される。尚、周回の運動量を距離方向に対し直交するプラスとマイナスの二つの運動量に近似している。 \[ F_{flat}(G-G) = Q_G f_{flat}(x) \] \[ Q_G \equiv K_f (V_G) \frac{P_h^2}{\pi^2 R^2} \] \[ f_{flat}(x)= \frac{2x}{\left(x^2 + x_0^2\right)^{3/2}} - \frac{x-1}{\left((x-1)^2 + x_0^2\right)^{3/2}} - \frac{x+1}{\left((x+1)^2 + x_0^2\right)^{3/2}} \] 定数部 QG は個々の銀河種によって異なる。基本力定数は内在エネルギーの速度に依存し、半径 R 半周回運動量 Ph も銀河種によって異なる。
  ポテンシャルエネルギーは次式となる(距離無限大でゼロ)。 \[ U_{flat}(G-G) = Q_G \left( \frac{2}{\sqrt{x^2+x_0^2}} - \frac{1}{\sqrt{(x-1)^2+x_0^2}} - \frac{1}{\sqrt{(x+1)^2+x_0^2}} \right) \]
  主周回と局所周回の半径と振動数の比率は種々可能だが、例として次の場合を考える。 \[ \mu/R = x_0 = 0.1 \;, \;\;\; \omega / \Omega = 4 \] 力とポテンシャルエネルギーの距離に対するグラフは次のようになる。x = 1 すなわち二つが隣接したところでポテンシャルエネルギーは極小値をとる。力は x = 0 ではゼロで、その後は排斥力となり離れようとし、x = 1 で再びゼロとなり、更に離れると引力となり引き合う。


  因みに、量子粒子を構成する基本1重周回の場合は、力の関数部は上記の銀河種の場合と全く同じで、定数部が次のようになる。 \[ F_{flat}(S-S) = F_{flat}(\overline{S}-\overline{S}) = Q_P f_{flat}(x) \] \[ Q_P \equiv K_f \frac{p_h^2}{\pi^2 \mu_0^2} \] 銀河種の場合と異なり、この定数部は基本1重周回であれば全てに共通の不変量となる。力とポテンシャルエネルギーの上図グラフは QP と読み替えるとそのまま核子に適用できる。陽子、中性子の核子は x = 1 で S どうしが接合している。

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#37  (2022.04.19)

銀河種の垂直相互作用


前頁の水平相分離では、垂直方向の距離は局所周回の直径 2μ で一定として扱った。垂直分離では局所周回の水平相互作用も考慮する必要がある(p35 の図を参照)。

銀河種の垂直分離: <主周回の垂直相互作用> + <局所周回の水平相互作用>


  主周回の垂直相互作用による二つの銀河種間の力は次のとおり。 \[ F_{ort}^{main}=Q_G f_{ort}(x) \] \[ f_{ort}(x)= \pi \left( \frac{1}{x^2} - \frac{x}{(x^2 +1)^{3/2}} \right) \]   局所周回の水平相互作用による力は次のとおり。 \[ F_{flat}^{local} = Q_{flat}^{local}f_{flat}^{local}(x) \] \[ Q_{flat}^{local} = Q_G \left(\frac{\omega}{\Omega} \right)^{2} \] \[ f_{flat}^{local}(x) = \frac{2x/x_0}{\left( (x/x_0)^2 + X_0^2 \right)^{3/2}} - \frac{x/x_0-1}{\left((x/x_0-1)^2 + X_0^2 \right)^{3/2}} - \frac{x/x_0+1}{\left((x/x_0+1)^2 + X_0^2 \right)^{3/2}} \] 例として、水平相互作用の時と同様の次の値をとる。 \[ x_0 = 0.1 \;, \;\; X_0 = 0.1 \;, \;\; \omega/\Omega = 0.4 \]   垂直分離の合計の力は上記の二つの力の和となる。 \[ F_{ort}(G-G) = Q_G \left(f_{ort}(x) + 16f_{flat}^{local}(x) \right) \] ポテンシャルエネルギーは次式となる。 \[ U_{ort}(G-G)= -Q_G \pi \left( \frac{1}{\sqrt{x^2+1}}-\frac{1}{x} \right) + \] \[ 1.6Q_G \left( \frac{2}{\sqrt{(10x)^2 +0.1^2}} - \frac{1}{\sqrt{(10x-1)^2 +0.1^2}} - \frac{1}{\sqrt{(10x+1)^2 +0.1^2}} \right) \] 銀河種の垂直分離の力とポテンシャルエネルギーのグラフは下図となる。

ポテンシャルエネルギーは x = 0.1 付近で極小値をとり、その後一旦増え極大となるがその後減少してゆく。一旦この極大値の山を越えると二つの銀河種は遠ざかり続ける。この山を越えられない場合は極小値に戻り、そこから前頁で述べた水平分離を起こす。

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#38  (2022.04.20)

銀河種分離に伴うエネルギー放射


前述のとおり、垂直方向に二分された銀河種はそのまま垂直分離する場合と水平分離する場合がある。二つの相互作用を併せて表示すると次のようなポテンシャルエネルギーの変化となる。

  ポテンシャルエネルギーの変化は、内在エネルギーの変化と直線運動速度の変化そしてエネルギー放射で相殺される。ポテンシャルエネルギーが減少すると、放射がない場合は内在エネルギーが減少し移動速度が増える。放射だけの場合は、速度変化はなく、内在エネルギーが減少する。 \[ E = MV^2 - \Delta E_p + \Delta E_p = (M-\Delta M)(V^2 + v^2) + \Delta E \] 内在エネルギー M は様々なレベルの局所エネルギー周回 M1 , M2 , - - m に分解できる。最小レベルのものが m(質量)で全体として光速で動いている。同じエネルギーに対して、内在エネルギーの選択により種々の表記が可能で次の関係がある。 \[ E = MV^2 = M_1 (V^2 + V_1^2) = M_2 (V^2 + V_1^2 + V_2^2) = M_n (V^2 + V_1^2 + V_2^2 \cdots + V_n^2) = mc^2 \] ポテンシャルエネルギーの変化は全ての構成周回でほぼ同時に一斉に起こるために、エネルギー放射はパルス放射となる。
  空間-空間次元周回の場合、放射と速度増加の比率には柔軟性がある。この時の放射が重力波だ。これは重力を媒介しているわけではなく、重力波という名称は不適切だが、測定された重力波と言われているものは空間-空間次元放射だ。種々のレベルのエネルギーが存在し、最小エネルギーがニュートリノだ。
  隠れ-空間次元周回の場合の放射は光となる。隠れ次元が半径 μ0 で量子化され拡張できない為、ポテンシャルエネルギーの変化は空間次元方向の伸長/収縮で行われ、光を吸収/放出する。 \[ prolonged\;iS(x + \Delta x) \rightleftharpoons prolonged\;iS(x) + \Delta E_\gamma \] ポテンシャルエネルギー低下分は速度変化を伴わず光放射のみで放出される。この放射現象が「ガンマ線バースト」だ。

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#39  (2022.04.21)

ガンマ線バースト


ガンマ線バーストは10ミリ秒から100秒という短い時間に銀河に匹敵する莫大なエネルギーが狭い領域から放出される発光現象だ。発光源候補は提唱されているが発光機序を含め最もミステリアスな宇宙現象と言われている。2秒以下のものはショートガンマ線バースト、2秒以上はロングガンマ線バーストと呼ばれている。後者の場合、多くは残光 (afterglow) と呼ばれる X 線から低波長の幅広い波長の発光を伴う。
  ガンマ線バーストは前頁で述べたように、銀河種の分離におけるポテンシャルエネルギーの低下分の一部がエネルギー放射として放出されたものだ。ガンマ線以外に空間-空間次元放射(重力波)も併せて放射されている。銀河種分離が終了するとガンマ線バーストも起こらなくなった。もう発生することはなく、遠方から過去の放射が順次地球に到着している。ポテンシャルエネルギーの谷の近傍ではガンマ線放射によるエネルギー低下の他に、エネルギー谷前後での振動により構成周回である隠れ-空間次元周回の制動放射で発光する。水平分離の谷ではこの振動が特に顕著で、その発光が残光となる。銀河種は後に恒星種放出を開始するが、その開始前から、構成小周回から量子粒子や原子などを放出しており、それらが極めて薄い背景銀河として観測されている。このようにエネルギー周回理論による銀河種分離に伴う放射はガンマ線バーストの特徴と極めて良く合致する。
  エネルギーの速度転化の大小によって、垂直分離か水平分離、およびエネルギー谷での振動の継続時間の大小が決まる。ガンマ線バーストは大きく次の3つのタイプに分けられる。

ガンマ線放射のパターンはあくまで可能性をイメージ化したもので、時により一つのパルスは複数に分離したり、広がったりする。またエネルギー谷周辺の振動に伴う制動放射がこのガンマ線放射に加わる。ロングバーストで残光を示すタイプ3のガンマ線バーストが最も多く、隣接した銀河種は後に棒状渦巻銀河に発展する。
  現行宇宙論ではガンマ線バーストの起源として次の二つが最有力とされている。ショートバーストは二連中性子星、または中性子星とブラックホールの合体が起源。ロングバーストには崩壊星モデルが提唱されている:「大質量の星は超新星爆発を起こしブラックホールに崩壊する。物質のブラックホールへの落下は相対論的ジェットを放出し、それが外縁部と衝突しガンマ線を放射する。」しかし、これらの起源モデルではつぎのような矛盾がある。(1) 1.3 億年前以降に放射された GRB は見つかっていない。現行モデルでは銀河系やその近傍でも起こるはずだ。(2) long GRBs のほんの一部でしか付随超新星が見つかっていない。しかもそれは通常より極めて明るい (hyper luminous)。本当に星に由来する超新星爆発か疑問である。 (3) 付随する超新星は最初の GRB 発光から一日程度遅れる。現行モデルでは超新星は同時か先行するはずだ。(4) エネルギーがあまりにも大きく一つの銀河に相当する。星が起源になりえない。
  エネルギー周回理論ではそもそもブラックホールは存在しない。銀河中心にあるとされているブラックホールは銀河種で、銀河ディスク内の小規模ブラックホールは後述の恒星種だ。完全な重力崩壊の前に連続したエネルギー周回となる。

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#40  (2022.04.22)

銀河種からの恒星種の放出


銀河種分離によって、主周回に対する局所周回の振動数の比 ω/Ω は半分になる。ω/Ω = 1 となると、二つの銀河種への分離は不可能になる。これが「何故 1.3 億年前からガンマ線バーストが放射されていないか」の理由だ。
  ω/Ω = 1 になると、次に銀河種からの恒星種の同時一斉放出が始まる。円周上全てで同時に局所周回の大周回と微小周回への非均等な水平分離が起こる。大周回は銀河種の一部として残るが、微小周回は垂直分離で相互に離れており「恒星種」と呼び、環状の集団を形成する。これを「恒星種環」(ring of stellar seeds) と呼ぶ。この一斉放出は銀河種の部分的環状分解とみることができる。環状分解で生じた恒星種の ω/Ω 比は増加して大きくなる。この恒星種環は連続したエネルギーではないため、宇宙膨張により連続的に膨張できる。また連続周回ではないが環内の周回内力により膨張しても周回を維持する。

恒星種環は銀河種と同じ速度で周回している。恒星種環の放出は宇宙膨張に伴い断続的に繰り返し、同心円状に無数の恒星環が広がった渦巻銀河の円盤構造を形成する。
  上記の恒星種環放出は水平方向に限られている。恒星種放出は垂直や中間方向も可能だが周回全体で一斉に起こるのではなく個別に放出される。これら複数の孤立恒星種の間には周回内力は働かない。この恒星種は下図に示すように銀河種の近傍部位からは排斥力を受け、反対側の部位からは引力を受ける。銀河種の上下方向に放出されたものは中心および垂直方向に螺旋運動しやがて静止する。これらは宇宙膨張により側面から見ると楕円状の分布を示し、バルジと呼ばれる銀河の中心付近の構造を形成する。中間方向に放出された恒星種は直線運動で遠ざかり、互いに重力で集まったものは球状星団を形成し、完全に孤立したものはハローとなる。

  この様に銀河種からの恒星種放出により、中心部にバルジ、その周りに渦巻円盤、さらに円盤の上下方向に密度の低い球状星団を複数有する典型的な渦巻銀河の構造が形成される。中心付近で活発に星形成がなされている銀河は、その中心に銀河種が残っている。
  早期にエネルギーを使い果たし銀河種が消失したものはリング銀河として観察されている。また、銀河種の周回速度が小さいものは、恒星種環としての放出は殆どなく、孤立恒星種の放出により楕円銀河を形成する。

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#41  (2022.04.23)

銀河渦巻円盤での星の周回速度


渦巻銀河の円盤を構成する星の周回速度は中心からの半径に関係なくほぼ一定だ。現行の標準宇宙論では、星の周回は遠心力と重力による引力が均衡しており周回速度の2乗は半径に反比例する、とされている。 \[ m\omega^2 r - G\frac{Mm}{r^2} = 0 \;, \;\;\; v^2 r = GM \] 円盤の回転速度は現行宇宙論における最大の謎の一つで、未知の暗黒物質 (dark matter) が銀河円盤を取り巻くハローに存在すると想定している。
  しかしながら前頁までに述べてきたように、エネルギー周回理論では、恒星種が放出される初速度は銀河種の回転速度と等しくなる。放出が単独である場合は接線方向に直線運動する。放出が一斉に起こり環状になった場合は周回内力が働き、環内の恒星種は引き続き周回する。恒星種環は銀河種から離れると、周回内力と遠心力は均衡していないが、不均衡による半径の拡大速度は周回方向の速度に比べ非常に小さく、半径がほぼ一定の円運動と見做せる。その後、宇宙膨張により環の半径が拡大する。
  宇宙膨張において、4D空間での宇宙半径方向 e0 では位置エネルギーと運動エネルギーの各々の変化は相殺する。3D空間で動くエネルギーは e0 での振動に起因する内在エネルギーの運動と表記できる。この内在エネルギーは宇宙膨張に対して不変となる。全エネルギーもまた不変であるので、3D空間での運動速度は宇宙が膨張しても変化しない。従って、銀河種から放出された恒星種環は宇宙膨張で拡大するが回転速度は初速のまま変化しない。
  銀河種からの恒星種環放出は下記で示されるように内在エネルギーの分離で、放出後も銀河種の周回速度は変化しない。 \[ E = M_0 V_G^2 \;\; \rightarrow \;\; E = (M_1 + M_2)V_G^2 \] 恒星種環放出を繰返すと、銀河種はエネルギー低下により半径は減少するが周回速度に変化はない。そのため、放出される時期に関係なく、恒星種環の回転速度は一定となる。従って、銀河円盤内の恒星(物質)は中心からの半径に関係なく全てで周回速度はほぼ等しくなる。
  このように、渦巻銀河円盤内の星の周回速度が一定であることはエネルギー周回理論によって矛盾なく説明できる。従って、暗黒物質は想定する必要がなく存在しない。
  宇宙開闢から 40 億年後に銀河種から放出された恒星種の 137 億年後の現在までの軌跡のシムレーションを下に示す。v は周回速度で、r0 は放出時の銀河種の半径。

銀河種からの恒星種環放出のドライビングフォースは宇宙膨張だ。上の図は周回している恒星(物質)が宇宙膨張によってどのような軌跡を示すかを表している。(a) は 1 億年当たりの周回速度が銀河種半径の 0.5 倍の場合で、円運動から次第に螺旋運動に変わる。銀河種からの距離(半径)の増加は宇宙の空間膨張によるもので、膨張後も周回速度に変化はない。この図は一つの恒星の右巻き螺旋運動を示している。ある時点で複数の恒星種環におよび中心から放射状に並んだ恒星種の直線整列を考える。これらの恒星種が同じ速度で右巻きに周回すると左巻きの螺旋整列を与える。非均一な恒星種環が放出される場合、右巻きの周回は左巻きアーム構造を複数もつ銀河を与える。
  恒星種はその後、不均等な水平分離で小エネルギーの周回を放出する。放出された周回は環状分解を起こし、最低半径 μ0 の基本周回に分解する。恒星種からのエネルギー周回放出は継続的に次から次へと起こるが、一斉にではなく個々に起こる為、周回内力は働かず、恒星種から遠ざかる。その後は重力により制御される。始めは楕円運動するエネルギー周回の塊は衝突を繰り返し、多くは円運動を示すようになる。こうして原始惑星系円盤が形成される。エネルギーが減少した恒星種は最後に環状分解を起こし基本周回に分解し、原始星を与える。(参照 銀河の形成

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#42  (2022.04.24)

宇宙マイクロ波背景放射


宇宙マイクロ波背景放射 (Cosmic Microwave Background: CMB) は絶対温度 2.7 K の黒体放射とほぼ一致するマイクロ波の放射で、宇宙の全方向からほぼ等方的に観測される。これが宇宙は極めて高温高密度の状態から始まり膨張によって低温低密度になっていったとするビッグバン理論の証拠とされている。CMB の発生をエネルギー周回理論からみてみよう。
  p33 の図で示した宇宙分離直後の初期の周回分離と環状分解はエネルギー周回の垂直分離であり、銀河種の分離によるガンマ線バーストと同様に、ポテンシャルエネルギーの低下により莫大なエネルギーを放射した。放射されたエネルギーは、それらの相互作用や、スペーシアを励起することにより、iS, iD, S, D 及びそれらの励起体等の多くの基本周回を生んだ。それらは陽子、中性子等の量子粒子を作った。また初期のエネルギー周回から、内在エネルギーを構成する要素 iS の周回運動に伴う制動放射により、低量だが広範な波長の光放射があったと思われる。隠れ-空間次元の基本周回 iS は既に述べたように光の吸収により伸長し、伸長周回は光放射で収縮する。 \[ iS(x=1) + \Delta E_\gamma \rightleftharpoons n\text{-}iS(x) \;\; (\text{prolonged}\;iS) \] \[ n\text{-}iS(x) + \Delta E_\gamma \rightleftharpoons n\text{-}iS(x + \Delta x) \] 伸長 iS を基本電荷対と呼ぶが、高エネルギー光の吸収は基本電荷対の分離を起こす。陽子と電子の間の基本電荷対が二つの電荷対に分離した状態が電離したイオン対でプラズマ状態だ。両端に何も付加していない単独の基本電荷対もプラズマ状態と呼べる。
  このように初期段階の宇宙で放射された光はプラズマによる吸収、放射を繰返し平衡状態になる。熱平衡と同様だ。その後は標準理論で言われているように、宇宙膨張によるエネルギー密度低下により、電子が陽子に捕獲され原子を作り、宇宙空間が光に対して透明になり、光が直進するようになった。宇宙膨張に伴い波長が拡大され、現在 2.7 K に相当するマイクロ波分布として観察されている。

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#43  (2022.04.25)

エネルギー周回理論と標準宇宙論


p33 からここまで、宇宙分離直後からの銀河形成を見てきたが、奇跡かと感じるほど成功裏にエネルギー周回理論で導くことができた。それと同時にこの銀河形成モデルは既存の標準モデルを根底から否定することになる。長い時間をかけて作られた標準モデルだが、根本的な事項を不明として放置したり、根拠なく仮定したりしている。この不完全さに対し、未知のエネルギーや物質が存在するとして、その探索にまい進している。言葉上では「我々が知らない全く新しい理論が存在するのかもしれない」と付け加えられることが多いが、既存の物理学の延長線上またはそれを包含するより根本的なものを模索している。これでは本当の全く新しいものを探すことにはならない。一度、全ての既成概念を取り外し、ゼロから検討する必要がある。ここで紹介したエネルギー周回理論は、「エネルギーは多次元での振動」との前提からスタートし、エネルギーの動き(運動量)に基づく力があるとの条件を加え、全く新しい物理体系を構築することに成功した。
  標準宇宙論は次のように主張している:ビッグバン直後は物質は存在せず、高温のエネルギーだけが存在した。そこから対生成で素粒子対が生成し物質が多く反物質が消えた。その後温度が下がり陽子や中性子ができ、さらに宇宙膨張で温度が下がり原子核ができ電子とプラズマ状態になった。更に温度が低下し原子核が電子を捕獲して原子ができた。宇宙開闢直後の量子論的揺らぎが宇宙膨張で広がり、エネルギー密度分布や物質分布に偏りとして現れる。重力により物質が凝集し、星や銀河が順次形成されてゆく。宇宙空間は膨張しているが、物質は凝集して大構造のものがつくられる。これは降着行程 (accretion process) による銀河形成だ。それに対し、エネルギー周回理論では高エネルギーの周回が、宇宙膨張に伴い、分離したり環状分解によってより小さいエネルギー周回を放出し、最後は最小エネルギーの基本周回を与える。つまり、放出行程 (exretion process) による銀河形成となる。この二つは全く正反対の考え方になる。
  近年ブラックホールの撮影に成功したとされるものは、ブラックホールに引き付けられた物質が高速で周回している降着円盤 (acretion disk) だとされている。しかしながら、これは銀河種から放出された複数の恒星種環で、恒星生成が開始される前のものだ。名付けるとすると放出円盤 (excretion disk) ということになる。この後、ブラックホールに落下するのではなく、宇宙膨張にともない外に広がっていく。
  標準モデルでは銀河の構造がどのようにでき、どのように維持されるかが分かっていない。銀河中心に大規模ブラックホールがあり、そこにエネルギーが吸い込まれていくとされている。星を作るエネルギーが減っていくことになる。そこで、ハローに存在するエネルギーが銀河円盤に降着しエネルギーを補給するとの解釈がでている。どのように降着するのだろう。降着とは何と都合のよい現象だろうか。ブラックホールからハローへのエネルギー移動は起こるのか。どう考えても、この説明は根拠あるものではなく、苦し紛れとしか見えない。標準モデルでは又しても銀河構造の生成の詳細は不明としている。銀河中心にあるのはブラックホールではなく銀河種だ。
  多くの未解決問題を解明するには、「現行の現代物理学は正しい」との亡霊を先ずは取り除く必要がある。エネルギー量に対して働く重力の他に、エネルギーの動きに基づき働く力があることを認めると、電気力、磁力、核力を導く事ができ、更に観測結果に合った宇宙進展を成功裏に与えた。

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#44  (2022.05.21)

空間エネルギーと見かけエネルギーへの分割


p8 で宇宙分離直後のエネルギーの分布/運動を示し、宇宙エネルギーを対称な部分である空間エネルギーと非対称な部分の見かけエネルギーに分割した。この分割に不自然さや、分割しなければエネルギー表示はどうなるか、等の疑問を感じた方も多いかと思う。この分割についてもう少し考えてみよう。
  静止している粒子 mrc2 にエネルギーが加わり直線運動をする場合、この粒子単独では静止エネルギーと運動エネルギーに分離することはできない。静止エネルギーの位置と運動エネルギーの位置は同一だ。直線運動をしている静止エネルギーには意味がなく、加速する前の静止エネルギーという意味になる。直線運動する粒子にとって意味があるのはエネルギーの直線運動成分 mv2 と内部周回成分 mCr2 だ。 \[ m_r c^2 + \Delta E = m(v^2 + C_r^2)=mc^2 \] 一方、他の粒子と衝突すると運動エネルギーの受け渡しが可能になる。例えば、同一粒子が複数直列に並んでいるところに更に同じ粒子が衝突すると、運動エネルギーが順次伝達して、最後の粒子が直線運動する。これは「静止エネルギーと運動エネルギーを分割でき、運動エネルギーだけが伝搬した」と捉えることができる。このように空間全体に静止粒子が充満していれば、それが媒体として働き、運動エネルギーを伝搬することができる。 \[ m(v^2 + C_r^2)+m_rc^2+m_rc^2 \rightarrow m_rc^2+m(v^2 + C_r^2)+m_rc^2 \rightarrow m_rc^2+m_rc^2+m(v^2 + C_r^2) \] \[ \Delta E + 0 + 0 \rightarrow 0 + \Delta E + 0 \rightarrow 0 + 0 + \Delta E \]   上述の粒子は見かけエネルギーであるため、その内在エネルギーは光速より大きな速度で動くことはできない。光速は媒体である空間エネルギーの最小単位であるスペーシアの内部周回速度 c = μ0ω0 だ。しかし、分割する前の宇宙エネルギーでは、内在エネルギー速度のこのような制限がなく、光速以上で動くことができる。この点が見かけエネルギーと大きく異なる。見かけエネルギーを持つスペーシアは宇宙エネルギーとしてどう表記されるだろうか。
  スペーシアは内在エネルギー mμ が +ω0 と -ω0 で周回する共役結合対と表現できる(p9 参照)。この内在エネルギーは、空間を形成する4次元以外の次元、つまり余剰次元内だけの周回に起因するため、宇宙空間が膨張しても環状分解することはない。スペーシアは宇宙空間に均等に充満し静止している。宇宙膨張によりスペーシアの数が増える。共役周回結合対であるスペーシアの片方の周回分の内在エネルギーを m0 とすると、その片方周回分のエネルギーは下記で示される。 \[ E_0 = m_0 \mu_0^2 \omega_0^2 = m_0 c^2 \]   見かけエネルギーはスペーシアの直線運動または内部周回の追加周回によってもたらされる。上述のスペーシア片方周回にエネルギーが加わり速度 v で直線運動すると、その宇宙エネルギーは \[ E(v) = m_0 (c^2 + v^2) = m_0 c^2 + m_0 v^2 \] となる。これは内在エネルギー m0 が内部周回成分 c 直線成分 v の速度で螺旋運動している。このエネルギーはスペーシア片方周回が追加周回され、この内在エネルギー m0 の周回速度の2乗が c2+v2 になる場合と等しい。スペーシアは量子化されており静止状態では内在エネルギーの追加周回速度は c の整数倍に制限される。光速より小さい追加速度ではスペーシアは静止できず直線運動をしようとする。しかし、スペーシアが充満した空間では、スペーシアは動けず、内在エネルギー m0 の速度 v での運動に相当するエネルギーを隣接するスペーシアに受け渡すことになる。このように、v で動くエネルギー周回の宇宙エネルギー E(v) は静止した空間エネルギー m0c2 と見かけエネルギー m0v2 に分割でき、見かけエネルギーは空間エネルギーを媒体として伝搬することになる。この時の見かけエネルギー m0v2 の伝搬速度は v ではなくスペーシアの内部周回速度 μ02ω02 で、これは媒体の位相速度、即ち光速となる。
  放射エネルギーとしての見かけエネルギーの伝搬速度は光速に限定される。十分な量の放射エネルギーが周回すると、内在エネルギー m0 が速度 c で周回する基本粒子となる。この粒子が加速され直線運動すると、内在エネルギーは m0 から m に増加し螺旋運動をするが、空間エネルギー(媒体)に対する速度は引き続き c で変化しない。例え見かけエネルギーが粒子となっても媒体を伝搬する性質は失われない。 \[ m_0 c^2 + \Delta E = m(v^2 + C_r^2)=mc^2 \]
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#45  (2022.05.29)

光速の経時変化1:時間


p11 で宇宙膨張に伴う光速の経時変化について述べたが、詳細は 光の伝搬速度 を参照としていた。またそこから得られる宇宙膨張についても p12 で、詳細は ハッブル図 を参照として説明を省略してきた。ここで参照先から要点を抜粋し、光速を示す数式と宇宙膨張が加速していない観測結果を紹介しよう。
  まず時間について考えよう。じつは時間次元とは空間から独立して存在するのではなく、エネルギーが存在する次元、つまり空間次元の一つだ。エネルギーは多次元での振動だと説明したが、A次元でのエネルギー位置の振動数が ω とは、そのエネルギーの別次元Bでの位置でトレースした結果の振動数を示す。他の次元でトレースすれば異なった振動数となる。我々が無意識に感じている絶対的な時間は存在せず、エネルギーの各次元での相対的な位置関係があるのみだ。B次元での値変動に対しA次元では値はどう変化するかが、B次元でトレースしたA次元での動きとなる。このようなトレーシング次元が時間として働くことになる。時間は直接トレースする次元でなくても、一対一対応をする共通のエネルギーの動きを用い間接的にトレースすることができる。これが時計となる。
  エネルギー周回を等速の周回、つまり非変化量 ω を用い ωt と表記できる時間 t を源時間と定義する。具体的にはエネルギーの多次元振動のうち最も周期の長い次元をトレーシング次元とすると他の次元の振動数を相対的に表記できる。源時間の重要な特徴はエネルギー周回を等速周回と表す点だ。源時間と比例関係にある時計は本質的に源時間と同等で、比例定数の違いにより単位が異なるだけになる。
  直接のトレースはエネルギーの存在する位置に限られる。位置の異なる複数のエネルギーを一つの動きで直接トレースすることはできない。共通の動きをする時計で間接的にトレースする必要がある。この共通の動きとして4次元表示での宇宙の半径の大きさがある。これを「観測時間」と定義している。我々が観測する時間スケールでは観測時間は源時間と比例関係にあると扱える。しかし、宇宙膨張のスケールでは観測時間の経過は源時間表記で徐々に遅くなっている。現在の標準物理では時間間隔の定義を原子時計を使って定義している。しかし、同じ原子でも置かれている場所によりポテンシャルエネルギーが異なり全エネルギーも変化する。これを一般相対性理論では重力による時間変動と言っているが、時間が重力で変化するのではなく時計のエネルギーが変化している。
  以上の時間についての詳細は 時間の要約 に記載している。いままでこのコーナーでは時間としてエネルギー周回を等速周回と扱う源時間を使用してきた。しかし、宇宙膨張と光の速度および赤方偏移を扱う場合、宇宙半径である観測時間を使用すると表記が非常に簡便になる。観測時間の使用に違和感を感じる場合は、これを時間と捉えずに単に宇宙半径として扱って問題はない。宇宙半径を変数とする光速の表示や宇宙膨張を次ページ以降で紹介する。

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#46  (2022.05.30)

光速の経時変化2:光速を示す数式


光速はこのコーナーで何度も述べてきたように、単位空間エネルギーであるスペーシアの内部周回速度となる。 \[ c = \mu_0 \omega_0 \] これは現在の光速を示し、経時的には宇宙膨張に伴い、半径 μ0 は不変だが振動数 ω0 が変化する。この振動数は宇宙半径の関数となり、光速もその関数になる。実はエネルギー周回理論を提唱する前から私は「光は媒体である空間エネルギーを伝搬する波であり、宇宙膨張に伴い媒体のエネルギー密度が低下する」と提唱し、宇宙半径の関数としての光速の数式を提起していた。それは音波など波一般について伝搬速度は媒体の密度の平方根に比例するとの経験則に基づいて誘導した。この光速の数式は、後にエネルギー周回理論から導いた数式と全く同じ形だった。ここではエネルギー周回理論に基づく上記の光速の式からその経時変化を示す数式を説明しよう。
  宇宙膨張によりスペーシアの数が増えるが全体のエネルギーは変化しない為、一つあたりのスペーシアのエネルギーは低下する。これは媒体である空間エネルギーの密度低下で、エネルギー密度因子 fD と名付けた。もう一つの光速に作用する要因は、物質と相互作用し散乱を起こし、実質行路が長くなり、見かけ上の光速が遅くなる。物質中の光速が遅くなるのはこのためだ。これを電磁相互作用因子 fEM と名付けた。宇宙の半径として、最大の半径に対する相対値 x をとる。光速は次のように表せる。 \[ c(x) = K\cdot f_D\cdot f_{EM} \;\;\;\;\; (x_0 \leq x \leq 1) \] 真空中では fEM = 1 となる。 fD から見てみよう。半径 x でのスペーシアの数は現在の数の (x/xp)3 倍となる(xp は現在の半径)。エネルギーは速度の2乗に比例する為、光速は次のようになり、半径の 3/2 乗に反比例する。 \[ c(x) = \mu_0 \omega_0(x) = \mu_0 \omega_0 \sqrt{\frac{x_p^3}{x^3}} \equiv K_1\frac{1}{\sqrt{x^3}} \] 宇宙半径の膨張は、宇宙全体の宇宙エネルギー周回に働く周回内力(基本力)により減速されている。詳細の説明は省略するが、源時間による半径の膨張速度は下式で示される。半径の最大値は x=1 で、そこでの速度がゼロであり、定数は K2=1 となる。 \[ \frac{dx}{dt}=\pm\sqrt{\frac{K_f E_U}{\pi}\left(\frac{1}{x}-K_2\right)} \;\;, \;\;\; K_2 = \frac{1}{x_0} - \frac{\pi v_0^2}{K_f E_U} \] \[ \frac{dx}{dt}=\pm\sqrt{\frac{K_f E_U}{\pi}\left(\frac{1}{x}-1\right)} \] 宇宙半径 x を観測時間 T とすると、この観測時間による光速と源時間による光速には次の関係がある。 \[ C(x) = \frac{dL}{dT}=\frac{dL}{dt}\frac{dt}{dT} \;\;, \;\;\; c(x)=\frac{dL}{dt} \;\;, \;\;\; \frac{dt}{dT} = \frac{dt}{dx} \] \[ C(x)=c(x)\frac{dt}{dx} \] これに上記の二つの式を代入すると、観測時間による光速として次の式が得られる。 \[ C(x) = K_1 \bigg/ \sqrt{\frac{K_f E_U}{\pi}x^3\left(\frac{1}{x}-1\right)} = K \frac{1}{x\sqrt{1-x}} = K\cdot f_D \] このように、観測時間(宇宙半径)に対する光速のエネルギー密度因子 fD が得られた。
  次に電磁相互作用因子について考察しよう。音波は水中では空気中より伝搬速度が速くなる。これは水も空気も媒体として働き水のほうが密度が高いためだ。しかし、光は水中では空気中より速度が遅くなる。水や空気は光の媒体ではなく、媒体はあくまで空間エネルギーだ。光が水分子と相互作用し、散乱を起こす。媒体の伝搬速度としての光速は同じだが、散乱により見かけ上の速度が遅くなっている。宇宙分離から暫くはプラズマ状態のエネルギーを多く含み、光が直進できない。標準宇宙論では宇宙開闢の約37万年後に電子が陽子に捉えられ原子を形成し、空間が光に対し透明になったとされる。エネルギー周回理論でもプラズマとの相互作用で直進できず、晴れ上がり直後も高い水素原子濃度により散乱を受けたとした。透明になった時期を観測時間で表記するとどうなるか不明だが Tc として引用する。電磁相互作用因子は次のようになると提唱した。 \[ f_{EM} = 1 - \frac{T_c^3}{x^3} \;\;, \;\;\; (T_c \leq x < 1) \]   ここに観測時間による光速の数式が下記のとおり得られた。 \[ C(x) = K \frac{1}{x\sqrt{1-x}} \left(1 - \frac{T_c^3}{x^3} \right) \] この数式のグラフは次のようになる。いくつかの Tc の値のグラフを示した。非常に小さい x の領域以外では電磁相互作用因子は無視できる。宇宙半径が Tc 以下では光速はゼロで、以降は急激に増加し、エネルギー密度因子に従い変化する。



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#47  (2022.05.31)

赤方偏移


星から放射された光は地球に届くまでに宇宙膨張により波長が伸び、赤方偏移を示す。波長が n 倍になった時、赤方偏移 z は次のように定義されている。 \[ z+1=n \] 標準物理では光速を経時的に不変量としている為、波長を測定しても振動数を測定しても同じ値になる。しかし実際には光速は宇宙膨張に伴い変化しており、波長で比較するか振動数で比較するかで異なる。更に、概念的には測定値を発光時の波長/振動数と比較するものだが、現実には現在の同じ元素の値と比較している。
  時間として宇宙半径である観測時間 T= x を使用し、発光時を TE 観測する現在を TP とする。光速は振動数と波長の積であるため次の関係がある。 \[ C(T_E) = \nu_0(T_E)\cdot \lambda_0(T_E)\;\;\; \longrightarrow \;\;\; C(T_P) = \nu(T_P)\cdot \lambda(T_P) \] \[ \text{Present atom:}\;\;\; C(T_P) = \nu_0(T_P)\cdot \lambda_0(T_P) \] 先ずは、発光時の値からの赤方偏移を見てみよう。波長が n 倍に伸長した場合、これは発光時と現在の宇宙半径の倍数を示す。発光時を現在時間で割ったものを TER (relative time of emission) と表記する。 \[ n= \frac{T_P}{T_E}=\frac{1}{T_{ER}} \] 波長準拠赤方偏移は次式となる。 \[ z_{\lambda}^e + 1 = \frac{\lambda(T_P)}{\lambda_0(T_E)} = n = \frac{1}{T_{ER}} \] しかし、振動数準拠赤方偏移はこれとは異なり次のようになる。 \[ z_{\nu}^e + 1 = \frac{\nu_0(T_E)}{\nu(T_P)} = \frac{C(T_E)}{\lambda_0(T_E)}\frac{\lambda(T_P)}{C(T_P)}= n\frac{C(T_E)}{C(T_P)} = \frac{1}{T_{ER}}\frac{C(T_E)}{C(T_P)} \]   実際の観測は現在の同じ元素の値と比較している。当初、原子のエネルギーは宇宙膨張で変化しないと考えていたが、エネルギー周回理論に基づくと粒子を構成する基本エネルギー周回のエネルギーは光速が変化するように ω0 の変動に伴い変化する。粒子数が増加し、粒子のエネルギーが減少する。従って同じ元素の発光時の振動数は宇宙半径で変化し、下記のとおり光速に比例する。 \[ E_\gamma = h \nu^2 \propto m_0 c^2 \;\;\;\;(m_0,\;h\;\text{は不変}) \] \[ \frac{\nu_0(T_P)}{\nu_0(T_E)} = \frac{C(T_P)}{C(T_E)} \] 現在の同じ元素の原子の値と比較した波長準拠赤方偏移と振動数準拠赤方偏移は下記となり、両者とも同じになる。以降は赤方偏移を単に z と表記する。 \[ z_\lambda + 1 = \frac{\lambda(T_P)}{\lambda_0(T_P)} = \frac{\lambda(T_P)}{\lambda_0(T_E)}\frac{\lambda_0(T_E)}{\lambda_0(T_P)}= n\frac{C(T_E)}{\nu_0(T_E)}\frac{\nu_0(T_P)}{C(T_P)} = n = \frac{1}{T_{ER}} \] \[ z_\nu + 1 = \frac{\nu_0(T_P)}{\nu(T_P)} = \frac{\nu_0(T_E)}{\nu(T_P)}\frac{\nu_0(T_P)}{\nu_0(T_E)}= \frac{C(T_E)}{\lambda_0(T_E)}\frac{\lambda(T_P)}{C(T_P)}\frac{C(T_P)}{C(T_E)} = n = \frac{1}{T_{ER}} \]

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#48  (2022.06.01)

光伝搬距離と現在距離


星の観測において測定されるものは明るさと赤方偏移だ。赤方偏移は発光から測定までの時間と関連し、明るさは光度と距離に関連している。しかし、宇宙膨張の為、星の距離には複数の種類がある。位置Aで時間 TE に発光し、その光が現在 TP に位置Bに到着する場合を考えよう。

上の図は時間経過も含めた光の伝搬の様子を示している。半径方向は宇宙半径で観測時間に等しく、円弧方向が3次元空間になる。AE から BP に光は伝搬するが、時間部分は伝搬距離に含まれず、C-BP が実際に光が伝搬した3D空間での距離となる。これを「光伝搬距離」LD: light propagated distance と名付けた(一般には luminosity distance と呼ばれる)。同じ光度の星の明るさは LD の2乗に反比例する。現在の星の距離は AP-BP で「現在距離」PD: present distance (proper distance at present) と表記する。後に説明するハッブル図では PD と赤方偏移の関係を示そうとしている。発光時の AE-BE の距離を D0 とすると, \[ PD = nD_0 \;, \;\;\; LD = \frac{D_0}{2} (n+1) \] となる。従って、LD から PD へ変換する因子は次のようになる。 \[ \frac{PD}{LD} = \frac{2n}{n+1} = \frac{2(z+1)}{z+2} = \frac{2}{1+T_{ER}} = \frac{2}{1+T_E/T_P} \] この LD-PD 変換因子は非常に重要だ。発光時に l の長さの二点の発光間隔は観測時には nl に伸びる。しかし、一点からの発光の場合は、残っている観測位置Bとの距離が伸長するだけでなく、既に移動した発光位置Aとの距離も伸長する。伸長による増加分の半分が実際に光が伝搬したもので、LD は C-BP となる。現行の天文学ではこの点において混同があるようだ。次ページのハッブル図で説明する。
  光伝搬距離 LD は観測時間による光速を TE から TP まで時間(半径)で積分することで得られる。尚、z<12.8 では fEM は無視できる。 \[ LD(T_E) = \int_{T_E}^{T_P}C(x)dx = \int_{T_E}^{T_P}\frac{K}{x\sqrt{1-x}}dx = K\left( \log \frac{1-\sqrt{1-T_P}}{1+\sqrt{1-T_P}} - \log \frac{1-\sqrt{1-T_E}}{1+\sqrt{1-T_E}} \right) \] このように、今我々が観測している星の光が実際に伝搬してきた距離 LD とその星の現在の距離 PD を与える各数式が、発光した時間(宇宙半径)TE を変数として得られた。

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#49  (2022.06.02)

ハッブル図1:距離指数


ハッブルは星の遠ざかる速度がその星の距離に比例することを見出した。このハッブルの法則はマイクロ波宇宙背景放射と合わせて膨張する宇宙の根拠となっている。地球からの退却速度は光の赤方偏移で測定される。銀河内の回転速度は光源の運動に伴うドプラー効果として観測される。しかし、多くの銀河を含む宇宙レベルでの放射光の赤方偏移は宇宙膨張に伴う波長の拡大による。横軸に赤方偏移をとり、縦軸に距離をプロットしたものはハッブル図と呼ばれている。
  タイプIa 超新星はピーク時の絶対等級(光量)が一定で標準光源として働き、測定した明るさから距離が判明する。先ず、光速が一定だったと仮定した場合を検討しよう。光伝搬距離は次のようになる。 \[ LD_c = c(T_P - T_E) = cT_P(1 - T_{ER}) = cT_P\frac{z}{z+1} \] これは光速に放射から今までの時間を掛ければ伝搬距離になるという単純な関係を示している。光速を一定としているのでこの距離は時間に比例する。この距離に (z + 1) を掛けると赤方偏移に比例する。 \[ (z+1)LD_c = cT_P\cdot z \] 測定した明るさ情報から得られた LDc に (z + 1) を掛け縦軸にとると、横軸 z に対し直線関係になる。この (z + 1) 倍することは time dilation と呼ばれている。これは宇宙空間の膨張率 n に等しく、発光時の距離 D0 から現在距離 PD への拡大率になる。既存の標準モデルでは、この time dilation を光伝搬距離 LD から PD への変換と捉えているようだ。しかし、LD-PD 変換因子は前ページで示したようにこの倍率ではない。これは、時間に対し比例関係にある距離を、赤方偏移を横軸にしても直線関係になるようにしたものだ。いづれにしろ、現実の天文観測データ処理では距離を time dilation として (z + 1) 倍している。
  ここから、宇宙半径により光速が変化する実際の状況に戻して、明るさからの距離指標の取得を見てみよう。光度 L の光が TE に放射され TP に我々に到着している。現在観測する光束(単位面積当たりの明るさ)は \[ F(T_E) = \frac{L}{4\pi LD(T_E)^2} \] となる。通常広範囲の距離を扱う為、底を10とする常用対数を用い、光束のマグニチュードをつぎのように定義する。 \[ m(T_E) \equiv -2.5 \lg F(T_E) \] 星の絶対的明るさ(例えば絶対等級)は、ある一定の距離にあるとした時の明るさを標準の明るさに対する相対値として表す。ここで、同じ光度の星が z=0.05 を示す距離にある場合に対する相対マグニチュードをとる。z=0.05 は TER=1/1.05 に相当する。この相対値は同じ光度を対照としているため距離指数 (distance modulus) の一つとなる。変数として TE に代わり TER を用いて次のように表記する。 \[ DM_{0.05}(T_{ER})\equiv m(T_{ER}) - m(1/1.05) = 5\lg LD(T_{ER}) - 5\lg LD(1/1.05) \] \[ (T_E = T_{ER} T_P) \] 前ページに示した光伝搬距離 LD の式を上記の距離指数に代入すると次の式とそのグラフを得る。

  我々は未だ現在時間 TP の値を知らないので、0.6、0.7、0.8 の場合のグラフを示した。黒の点線は光速が一定の場合を示している(TP に関係しない)。距離指数に対数を用いているので、横軸も対数目盛を使用している。左のグラフの横軸は赤方偏移 z。右のグラフの横軸は z/(z+1) で、発光から現在までの時間の現在時間に対する相対値 TBR=1-TER となる。点線で示したように光速が不変である場合は、時間に対しこの距離指数は直線になる。このグラフは横軸に z を取り、距離に(z+1) 倍の time dilation を行ったものを縦軸に取ったグラフと本質的に同じだ。

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#50  (2022.06.04)

ハッブル図2:K補正


星の観測データのハッブル図作成では、前ページで述べた距離を (1+z) 倍する time dilation の他に、K補正 (K-correction) を行う。K補正とは赤方偏移 z で測定された対象を z=0 即ち膨張していない宇宙座標(静止フレーム)で観測したと仮定した場合のデータに変換するものだ。星の発光エネルギーの測定では、その星が多く放射する周波数帯で観測する。フィルターを使い適した特定の周波数帯(バンド)を使う。大きく赤方偏移した光と発光時の光では使用する周波数バンドが異なる。
  仮想的に膨張していない宇宙、すなわち静止フレームを考え、そこでバンドXで観測したマグニチュードは次のように表記できる。 \[ m_x^0 = M_x + DM^0 \] Mx はバンドxで測定した絶対等級で距離が10pc(パーセク)の距離にある場合のマグニチュードだ。使用する周波数バンドにより基準対象が異なり、若干の違いがある。DM は基準の10pc に対する距離指数で、この式は距離による明るさの変化を示す。尚、これらの要素は対数をとっている為、その和は普通目盛で表示した要素の積を示している。
  この星が実際の膨張宇宙下での観測で、赤方偏移 z を示しバンドy での測定でマグニチュード my を示した場合に、上記の静止フレームでの値との差が K補正として定義されている。 \[ K_{xy} \equiv m_y - m_x^0 \] 従って、次の関係がある。 \[ m_y = M_x + DM^0 + K_{xy} \] 一方、赤方偏移 z を示す実際の観測では my は次式で与えられる。 \[ m_y = M_y + DM(z) \] 従って、K補正は次のようになる。 \[ K_{xy} = M_y - M_x + DM(z) - DM^0 \;\;, \;\;\;\; K_{xy}^D = DM(z) - DM^0 \] 測定バンドの違いによる絶対等級の差はゼロまたは非常に小さく、観測上の調整事項になる。K補正の距離部分は正しく光伝搬距離 LD と現在距離 PD の対数表示の差であり、LD-PD 変換に相当している。K補正は、定義で PD から LD への変換をとっているので、マイナスの値になる。
  K補正を行うとは、測定した光伝搬距離 LD を下記のように現在距離 PD に変換することと同義になる。 \[ PD = \frac{2(z+1)}{z+2}LD = \frac{2}{1+T_{ER}}LD \]
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#51  (2022.06.05)

超新星実測値と理論値のハッブル図


星の観測で赤方偏移が得られると、その星の光伝搬距離と現在距離が一義的に決定される。今までの議論では星は空間エネルギーに対して静止しているとしてきたが、実際には銀河や銀河団は回転している。従って実測値のハッブル図は一つの線分に乗るのではなく、ばらついて分布するが、平均すると理論値に合致するはずだ。ここまで説明してきたエネルギー周回理論による宇宙進化モデルが実際に観測されたデータと合致しているか検証しよう。
  宇宙の広範囲を対象とする一般的なハッブル図は、p49 で述べた time dilation と p50 で述べた K補正の両方を、明るさから得られた光伝搬距離 LD に行っている。現在距離を表記するなら time dilation は不要で、光速が一定の場合に距離を赤方偏移 z と比例関係にしたいのであれば K補正は不要だ。しかし、実際の論文報告の殆どでこの両方を行っているので、比較の為、現在距離 PD に (1+ z) を掛けた調整現在距離を取る。この距離および赤方偏移 z を共通の変数 TER で表記する。 \[ (1+z)PD =(1+z) \frac{2(z+1)}{z+2}LD \] \[ \frac{1}{T_{ER}}PD = \frac{1}{T_{ER}}\frac{2}{1+T_{ER}}LD \;\;, \;\;\;\; z = \frac{1}{T_{ER}} - 1 \] 調整現在距離の標準距離 z=0.05 に対する距離指数を縦軸にとると、赤方偏移 z に対するグラフは次のようになる。

左のグラフは横軸に z の対数目盛を、右のグラフは普通目盛をとっている。現在時間 Tp が不明な為、幾つかの値の線分を示した。点線は光速が一定だったと仮定した場合のものだ。左のグラフでは両対数目盛になっているが、光速が一定であっても直線ではない。
  宇宙膨張速度に一石を投じたのが、タイプ1a超新星の観測を行った Supernova Cosmology Project (SCP) だ。このタイプは光度が一定な為、明るさからだけで距離が判明する。宇宙膨張が加速していると歴史的な発表を行った SCP の1999年の論文のハッブル図が下記となる。この発表でも (1+ z) 倍と K補正がなされている。 z は対数目盛をとっている。赤方偏移が大きくなると比例直線から上にずれることから、光速は一定との前提のもとに宇宙の膨張速度は加速していると主張した。縦軸の距離を不変量の光速で割って光の伝搬時間と捉え、横軸の赤方偏移を宇宙膨張の指標と見做している。標準理論では膨張を加速させるものとして暗黒エネルギーの存在が信じられている。下の図はこの観測結果に上記の我々が提唱する理論値グラフを重ね合わせている。光速が変化する我々のモデルは実測値によく合致する。

  その後、宇宙望遠鏡のデータがどんどん追加され、2013年の発表が次の図となる。これは z に普通目盛を使用しており、片対数グラフとなる。この発表では、暗黒エネルギーが 73%、暗黒物質を含めた物質が 27% のコールドダークマターモデルの予想曲線が最も実測値と合致した、と結論づけた。

図には我々のモデルの理論値を重ね合わせた。現在時間が Tp = 0.7 の曲線(ピンク)は、彼らがベストフィットとするモデルの曲線(黒)とほぼ一致した。見づらいが、ピンクの線の下に黒の線がほぼ重なっている。縦軸の目盛の数字が異なっているのは、相対表示の基準の違いによる。
  このように我々が提唱する、光速が宇宙半径の増加に伴い減少する、モデルは極めてよく実測のハッブル図データと一致しており、これらの観測結果がこのモデルを強く支持している。宇宙の膨張速度は、源時間では減少し、宇宙半径である観測時間では一定となる。宇宙膨張は決して加速しておらず、加速させる暗黒エネルギーは存在しない。ただし、宇宙空間の媒体として空間エネルギーが存在する。また、超新星の観測結果から現在の宇宙半径(現在時間)は最大値の約 0.7 との知見が得られた。

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#52  (2023.07.01)

孤立電荷および静電力は存在しない


標準電磁気学では、電子と陽子が素電荷(電気素量)±eを示し、これは電荷の最小であり、その整数倍が孤立電荷として可能で、孤立電荷の間に静電力が働くとしている。これは電磁気学の基本的概念として受け入れられているが、実はこれは間違いで、孤立電荷およびそれによる静電力は存在しない。
  エネルギー周回理論による電荷の定義および電気力についてはp14p15で説明した。電荷は4次元空間の隠れ次元Hでの運動量だ。素電荷eは基本1重周回iSのプラスおよびマイナス方向での運動量であり、iSが空間次元において複数のスペーシアに伸長しても電荷の総和は変わらない。p16で説明したが、次のように伸長し、周回内の引力を示す。


\[ F_x = K_e \frac{(+e/n)(-e/n)}{(2μ_0)^2} = -K_e \frac{e^2}{(2μ_0n)^2} = -K_e \frac{e^2}{d^2} \] このように伸長したiSを素電荷対 elementary charge pair (eCP)と呼ぶ。内部の接続部分は力が相殺され、両端のみに引力が残る。これは仮想的に±eが距離d=2 μ0n にあるとした場合の力に等しい。このような素電荷対内の力を連結電気力 connected electric force と名付けた。原子内の陽子と電子は、素電荷対のマイナス端にニュートリノが、プラス端にSが付加している。電子と陽子間の力は連結電気力で、強い引力となる。
  eCPの両端の電荷はe/nで原子の場合は約10-4eと極めた小さい。素電荷eは最小値ではなく電荷として最大値だ。別のeCPとの非連結電気力、即ち静電力は可能だが、有効な距離はスペーシアの直径、即ち核子の大きさの数倍程度と極めて小さい。従って、原子核内の陽子間の力を除いて、実質的には静電力は存在しない。
  現行電磁気学では複数の素電荷からなるクラスター電荷が可能で、それらの間に静電力が働くとしているが、実際に観測された例はあるだろうか。一般に帯電と言われるものは、プラスまたはマイナスの電荷が溜まったものではなく、伸長して分極エネルギーが増加した素電荷対が集まった状態だ。素電荷対は全体として電荷はゼロだ。また、個別の分極距離もスペーシアの直径と極めて短い。
  静電力が存在しない事を示す例を示そう。電池は正極にプラス電荷が、負極にマイナス電荷が集まっているとされている。これが正しければ二つの電池の電極間には強い引力または排斥力が働くはずだ。しかし、実際には二つの電池を近づけても力は観測されない。


また、プラスとマイナスの電荷を貯めたとされるコンデンサーの電極間にも力は働いていない。高容量の帯電体でも、放電は起こるが、放電先との間に働く力は観測されていない。教科書等には複数の電荷間の電場の図が実しやかに書かれているが、このような電荷自体が存在しておらず、静電力も働かない。静電力の例として毛髪の静電気よる起毛が挙げられているが、これは毛髪間の電気的排斥力ではなく個別の毛髪内での連結電気力による。素電荷対が毛髪内で直列に並び引力で真っすぐになろうとしている。

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#53  (2023.07.02)

電流とは何か


既存の電磁気学では、「電流とは電荷の流れで電子の移動でなされる」とされている。しかし前ページで述べたように、そのような電荷は存在しない。一般に電流と言われている現象はどのようなものだろうか。現状では「電流は単位時間(一秒)当たりに導線の断面を通る電荷」 I = Q/t と定義されている。しかし、実際には電荷を測定しているわけではない。単位時間当たりに通過するエネルギー、つまり仕事率(power) P = U/t を測定している。電気器具には一般に仕事率がワット(W)の単位で表示される。この仕事率を起電力E(単位はボルトV)で割ったものを電流 I(単位はアンペアA)としている P = IE。仕事率はワットに代わりアンペアボルトAVで表示されることも多い。仕事率は実測値であり正しいが、現状の電流と起電力の理解は間違っており、定義し直す必要がある。
  エネルギー周回理論から、「電流とは電気分極エネルギーの伝搬である」と言える。決して電子が移動している訳ではない。電流を定義する為に、電荷に代わり分極エネルギーを定義しよう。
  前ページで述べたように素電荷対eCPはエネルギー(光)を吸収して伸長する。eCPの長さをxとすると、x=2μ0 のeCPは iS 自身を示す。eCPの分極エネルギーは両端の引力をその距離で0からxまでの積分して得られ、基準の電気分極エネルギーをiS のエネルギーm0c2とすると次式となる。 \[ U(2\mu_0) \equiv E_{(iS)} = m_0 c^2 \\ U(x) = \Delta E + U(2\mu_0) = K_e e^2 \left( \frac{1}{2\mu_0} - \frac{1}{x} \right) \quad (x \geq 2\mu_0) \] この電気ポテンシャルエネルギーを分極エネルギーpolarization energy と呼ぶ。分極はeCPが単位構造となっている。次ページ以降で電流を定量的に定義していこう。

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#54  (2023.07.03)

分極エネルギー伝搬のモデル


分極エネルギーは導体内でどのように伝搬するだろうか。次のようなモデルを提唱している。イメージ図を下に示した。電導体内では逆向きの二つのeCPが共役付加体を形成し、それが直列に並んでいる。共役対は分極が相殺され分極のモーメントはゼロとなっている。そこに入ってきた単独のeCPは垂直面で回転し、そこに留まる。これは、後に磁荷の項目で説明するが、回転磁荷を示す。隠れ-空間次元エネルギー周回の内在エネルギー(質量)は光速で動いているが、3次元空間の各方向成分は柔軟に変化できる。X方向でのeCPの伸長がY方向の伸長に変化しX-Y面での内部周回を形成し、それがZ方向に回転する。 \[ v_x^2 + v_y^2 + v_z^2 = c^2 \\ V_{major}^2 + V_{local}^2 = c^2 \] この回転eCPはエネルギー(光)を放出し半径が短くなり、隣のeCP共役対と対組替えを起こし、新たな共役対と単独eCPとなる。この単独eCPは先に放出されたエネルギーを吸収し、長半径の回転eCPとなる。この過程が連続し、導体内を回転eCPが伝搬していく。こうして単独のeCPのエネルギーが伝搬される。これが電流という現象だ。



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#55  (2023.07.04)

分極ポテンシャル


現行電磁気学では、電気ポテンシャルエネルギーを電荷で割ったものを静電ポテンシャル、いわゆる電位(単位ボルト)としている。しかし、そのような電荷は存在しない。電気ポテンシャルエネルギー(=分極エネルギー)を適切に示す新たな指標として分極ポテンシャルを定義しよう。
  前ページで述べた導線内のeCP共役対が一列に直列接続したものを「単位導線 unit line」と定義する。分極ポテンシャル polar potential Vp を一つの単位導線における分極エネルギーの和とし、厳密には下図内の式で定義する。帯電していない導線では分極したeCPsが共役対を形成して分極のモーメントは相殺しているため、分極ポテンシャルはゼロとなる。


  外部と非接続の導線にeCPを付加すると、そのエネルギーは上図に示したように導線全体に広がり分散する。分極ポテンシャルは導線の長さに依存しない。また、複数の単位導線が並列で接続すると、全ての単位導線で分極ポテンシャルは等しくなる。一時的にある単位導線で高い値になると、その過剰分のエネルギーは他の単位導線に移り全てが等しくなる。導線は複数の単位導線が並列接続された状態にある。導線全体の分極エネルギー(電気ポテンシャルエネルギー)は分極ポテンシャルと単位導線の数mの積となる。 \[ U = mV_p \] これは既存電磁気学のU=QVと類似の関係を示すが、mは無次元数で Vp はエネルギーの次元を持つ。

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#56  (2023.07.05)

電流の定義


電流を分極エネルギーに基づいて定量的に定義しよう。p53 で述べたように、電流を使う本当の意義は、単位時間あたりにどれだけのエネルギーが通過するか、つまり仕事率 power(単位W)を示すことだ。この通過するエネルギーの由来を想像させるようなエネルギーの単位を使うと、分極エネルギーが通過しているイメージが湧きやすい。電荷に代わり、何個のeCPが単位時間当たりに通過したかを示すことが考えられる。しかし、eCPの分極エネルギーは一定ではなく、長さにより異なる。そこで、最小のeCPであるiSのエネルギーを単位として使い、分極エネルギーをiSのエネルギーU0で割ったものを「分極荷 polar charge Cp」として定義する。 \[ \text{分極荷 (polar charge):} \quad C_p \equiv U/U_0 \:, \quad U_0 = E_{(iS)} = m_0 c^2 \\ \textbf{C}_{\textbf{p}} = C_p \textbf{e}_{\textbf{p}} = +C_p \:, \: -C_p \] 分極には方向があり、eCP内の電荷がーから+の方向をプラスと定義する。分極荷も分極がプラスかマイナスかの方向持つ。
  電流は単位時間当たりに導線の断面を通過する分極荷と定義する。 \[ \text{電流 (electric current):} \quad \textbf{I}_{\textbf{p}} \equiv \textbf{C}_{\textbf{p}} / t \] 電流はエネルギーの進行方向が分極荷のプラスかマイナスかの方向を持つ。

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#57  (2023.07.06)

電流ポテンシャル


現行電磁気学では電流による仕事率を電流と起電力の積 P=IE で表し、起電力Eの単位は ボルトが一般に使われる。静電ポテンシャルV=U/Qの単位もボルトが使われる。両者は別のものだが同じ名前の単位が使われている。
  p55 で分極ポテンシャル Vp を定義したが、ここで電流が流れる時の起電力に相当する「電流ポテンシャル current potential Vc」を単位導線当たりの仕事率 (energy/time) と定義する。 \[ \text{電流ポテンシャル (current potential):} \quad V_c \equiv P / m = I_p U_0 / m \] 仕事率は電流ポテンシャルと単位導線の数 m の積となる。 \[ P = U/t = mV_c \\ \left( U = mV_p \right) \] Vpの次元はenergyだが、Vcの次元はenergy/timeだ。

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#58  (2023.07.07)

既存電磁気学との比較


ここまで述べてきたECTによる電流に係わる項目を既存の電磁気学と比較しよう。既存の関係式 ⇒ 新しい関係式の順で下記に示した。


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#59  (2023.07.08)

磁荷


現行の電磁気学では、磁荷は想定せず、磁場の相互作用で磁力が働くとしている。磁場は電場の変動で生じるとしている。しかし、電荷は存在せず、電場も存在しない。ECTでは隠れ-空間エネルギー周回の3D空間次元での運動量を磁荷と定義している。磁荷には方向がありベクトル荷量となり、p4 で示した基本力が働く。二つの磁荷 b1b2間の力は次のようになる(角度要素はp4 の図を参照)。 \[ F = K_f \frac{b_1 b_2}{d^2} \cos{\theta_p} \sin{\theta_1} \sin{\theta_2} \]   静止したeCP(素電荷対)の磁荷は逆方向で相殺されゼロとなる。eCPは隠れ次元Hを回転軸として回転し、各空間次元の速度成分は柔軟に変化できる。p54 で言及したように、下図のように空間次元で回転する。これを「磁気回転 magnetic rotation」と呼ぶ。


磁気回転はeCPが長さの中央を中心に回転している。図に示したように中心から先端まで各半径rk毎に磁荷を示す。一つの半径には位相が0とpi(180度)の二か所があるが、回転磁荷として一つに合わせて扱う。各半径でのエネルギーと回転磁荷は次のようになる。



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#60  (2023.07.09)

磁荷密度


磁気回転の一周期の間に磁荷は円周上を一周する。ここで円周上の微小線分当たりの磁荷を「磁荷の線密度 linear density of magnetic charge」と呼び、下記で定義する。 \[ \textbf{b}_{\textbf{L}}(r_k) \equiv \frac{\textbf{b}_{\textbf{c}}(r_k)} {2\pi r_k} \] 分母の半径は前ページで示した回転磁荷の式の半径を消去し、線密度は半径に依存しない。全ての半径の線密度を足して「総磁荷の線密度 linear density of gross magnetic charge」として定義する。総磁荷の半径をどうするかの疑問がでるが、磁気回転の半径は原子の大きさレベルであり、多くの単位導線が集まった実際の導線では総磁荷が磁気回転の表面に存在するとして問題はない。 \[ \boldsymbol\beta_{\textbf{L}} = \frac{m}{2\pi} \omega \textbf{e}_{\textbf{c}} = \frac{E}{2\pi c^2} \omega \textbf{e}_{\textbf{c}} \]   ここから、単位導線 (unit line) に流れる電流 Ip に伴う磁荷を検討しよう。単位導線の微小な長さΔxを考える。電流の値は一秒当たりに通過するエネルギーであり、継続的に電流が流れている状態でのその領域でのエネルギーは仕事率Pにその領域を通過する時間を掛けたものになる。電流はほぼ光速で伝搬する為、そのエネルギーは次のようになる。 \[ E(\Delta x) = Pt = P \frac{\Delta x}{c} = I_p U_0 \frac{\Delta x}{c} \] 単位導線の長さΔxにおける総磁荷の線密度はつぎのようになる。 \[ \boldsymbol\beta_{\textbf{L}} (\Delta x) = \frac{E(\Delta x)}{2\pi c^2} \omega \textbf{e}_{\textbf{c}} = \frac{I_p U_0 \Delta x}{2\pi c^3} \omega \textbf{e}_{\textbf{c}} \] これをΔ x で割ったものは表面の面積当たりの磁荷密度を示し、「総磁荷の表面密度 surface density of gross magnetic charge」と名付けた。 \[ \boldsymbol\beta_{\textbf{s}} \equiv \frac{\boldsymbol\beta_{\textbf{L}} (\Delta x)}{\Delta x} = \frac{U_0}{2\pi c^3} I_p \omega \textbf{e}_{\textbf{c}} = \frac{m_0}{2\pi c} I_p \omega \textbf{e}_{\textbf{c}} \] これが単位導線に電流が流れた時に生じる総磁荷の表面密度を示す式だ。具体的に面積 Δ s =  Δ x Δ l を掛ければそこでの総磁荷を与える。上の式は単位導線の回りを周回する単位ベクトルecを使って表示しているが、電流方向に対しての回転という表示法を使うと下記となる。 \[ \nabla \times \boldsymbol\beta_{\textbf{s}} = \frac{m_0}{2\pi c} \omega \textbf{I}_{\textbf{p}} \]

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#61  (2023.07.10)

電流に伴う回転磁荷


前ページに示したように、単位導線に流れる電流に伴う総磁荷の表面密度は下記で表される。 \[ \boldsymbol\beta_{\textbf{s}} = \frac{m_0}{2\pi c} I_p \omega \textbf{e}_{\textbf{c}} \quad \text{or} \quad \nabla \times \boldsymbol\beta_{\textbf{s}} = \frac{m_0}{2\pi c} \omega \textbf{I}_{\textbf{p}} \] 導線は実際には極めて多くの単位導線が並列接続されている。表面の単位導線は上記に示した表面磁荷密度を示すが、内部では全ての単位導線で同じ大きさと方向の回転磁荷を示す為、互いに相殺し磁荷はゼロとなる。電流は全ての単位導線での和である為、一つの単位導線での電流は単位導線の数を m とすると Ip/m となる。従って導線表面での総磁荷表面密度は下式で与えられる。 \[ \nabla \times \boldsymbol\beta_{\textbf{s}} = \frac{m_0}{2\pi c} \omega \frac{\textbf{I}_{\textbf{p}}}{m} \quad (m:\: \text{number of unit lines}) \] Ip/m は単位導線一つ当たりの電流だが、複数の単位導線では電流密度になる。上記の式は電流により導線表面に回転磁荷が生じ、その総磁荷表面密度は回転振動数と電流密度に比例することを示している。これは標準電磁気学において次式で示されるアンペールの法則に相当する。 \[ \nabla \times \textbf{H} = \textbf{j} \quad (\textbf{H}: \text{磁場}, \quad \textbf{j}: \text{電流密度}) \]   磁気回転はプラスの電流方向に対して右回りとなる。これはアンペールの右ねじの法則と言われるが何故一方向だけかは不明で経験則だった。エネルギー周回理論 (ECT) では、p7 で述べた宇宙分離により周回方向が非対象なエネルギー周回が生まれた。エネルギー周回は環状分解を繰返しどんどん小さな周回に変化したが進行方向に対する周回方向、つまり螺旋度(helicity)が引き継がれた。これが磁気回転が非対称である理由だと推察している。

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#62  (2023.07.11)

磁石


導線の両端が繋がった円形の閉じた回路を考える。そこに非対のeCPs、つまり分極エネルギーが存在する場合、この回路内に電流が流れ、多くの磁気回転(magnetic rotations)が生じる。p54の図に示したようにeCPはエネルギー(光)を放出して短くなり隣のeCP対と対の組替えをおこし、新たな単独のeCPは先ほど放出されたエネルギーを吸収し新たな磁気回転となる。このようにエネルギーの放出吸収が連続して起こり、外部へのエネルギー放出が殆どない場合、回路の導線は安定した表面磁荷密度を示す。外部からの補給なしで磁性を示し、これは常磁性(paramagnetism) を示す。この磁石の最小構造となる回路を「単位磁石 unit magnet」と名付けた。単位磁石とは電流が流れている閉じた単位導線(回路)と定義する。

  半径が順に大きくなる複数の同心円単位磁石の平面上の集まりを「単位磁石層 unit layer of magnet」 と名付け、上記の図(b) に示した。隣接する単位磁石間には磁力が働き引き合うが、隣接部位の磁荷は相殺されゼロとなる。全体として単位磁石層の表面だけに磁荷が残る。磁荷の方向は中心から放射線状に伸び、層の片面が外向きの場合は残りの面では内向きになる。図の赤線の円は磁気回転を示し、青色の矢印は磁荷の方向を示している。
  図(c)に示したように複数の単位磁石層が直列に繋がり「ブロック磁石 brock magnet」を形成する。構成する単位磁石層の内部電流の方向は等しく、接続面での磁荷は逆方向になる。隣接する層の間には磁力が働き引き合うが隣接面での磁荷は相殺される。ブロック磁石全体として、内部の磁荷は相殺されゼロとなり、表面だけに図(c)に示した方向の磁荷が残る。これが我々が一般に目にする磁石の基本的な構造だ。

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#63  (2023.10.24)

銀河形状の形成:銀河種の種類


銀河の形状には楕円、円盤、渦巻、棒状渦巻など非常に多種の形状がある。しかし、現状の標準宇宙論ではどのようにそれらの形状が形成されたか全く分かっていない。標準モデルでは重力により物質が集まり星が形成され、それらの重力相互作用で銀河が形成されるとしている。銀河の衝突により渦巻銀河などの複雑な形のものが生成されたとしている。この説では極めて初期での銀河の生成が説明できない。更に銀河の衝突による2次形態の生成には時間がかかるはずだが、実際はかなり初期の渦巻銀河が多く観測されている。単一の円盤銀河でも、なぜ薄い円盤状に集積したかも説明できない。都合の良い直前の初期条件を設定しない限り、ほぼ全ての形態の銀河について生成を説明できない。
  ECTによる銀河の形成についてはp40p41で説明したが、その後ECTによるシミュレーションで、観測されている多くの銀河形状を見事に与えた(プレスリリース)。これから何回かにわけて種々の銀河形状の形成について紹介する。先ずは、恒星種を放出する銀河種の種類について整理しよう。
  銀河種分離を繰返すと、それ以上分離できなくなり恒星種放出を始める。最後の銀河種分離の形態により、その後の恒星種放出による銀河の形状が異なってくる。恒星種放出源としての銀河種の分類として、p39で説明したガンマ線バーストと同じ分類を使う。


  Type-1 は垂直分離で十分な分離速度を示し、二つの銀河種は遠ざかり続ける。各々を孤立銀河種として扱える。
  Type-2 は垂直分離直後に水平分離し、再度収縮することなく、距離がほぼ一定になる。二つの銀河種は連星のように回転する。
  Type-3 は水平分離で放射によるエネルギー放出が大きく、エネルギー谷付近で振動後、静止し、二つの銀河種が隣接する。この隣接銀河種は回転を伴う場合と伴わない場合がある。

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#64  (2023.10.25)

恒星種放出の種類


銀河種からの恒星種放出には、直線状放出 (linear release) と環状放出 (cyclic release) がある。


直線状放出は恒星種が個別に放出されるもので、銀河種の円周上からランダムに、そして連続的に放出され直線運動をする。一方、環状放出は銀河種の円周上で一斉に水平方向に恒星種の放出が起こり、恒星種が環状の分布を示す。大きな特徴は放出された恒星種環は、連続体ではないが、周回内力を示し引き続き周回する。更に、連続的には起こらず、断続的に恒星種環が放出される。
  直線状放出の方向は、周回速度が大きい場合は銀河種の平面内が多くなり、水平放出 (flat release) と呼ぶ。垂直方向 (orthogonal release) や中間方向にも放出される。垂直放出の場合、p40で説明したように、恒星種は銀河種から力を受け、螺旋運動し最後は銀河種の上下で静止する。このような恒星種が集積しバルジを形成する。


  単独銀河種(Type-1)から直線状放出だけが起こると、楕円銀河 elliptical galaxy (Type 1-1) を与える。大きな特徴は構成する恒星が周回運動をしておらず楕円(ラグビーボール状)の分布を示す。



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#65  (2023.10.26)

単独銀河種-環状放出


単独銀河種から断続的に環状放出が起こると、多くの同心円が広がった円盤状の分布を示す。中心にバルジ、周辺にハロー構造を伴う。このタイプをType 1-2 円盤銀河 disc galaxyと呼ぶ。典型的な例として NGC 3923 がある。この銀河は一般には楕円銀河と呼ばれているが、詳細な観測により、多くの同心円からなる円盤構造を有し、隣接する同心円の半径の比率が約 1.1 倍であることが報告されている。
  銀河形成のシミュレーションにあたり、環状放出を行う時間間隔として宇宙が 1.1 倍に膨張する指数時間を使用する。T1.1=m で空間は 1.1m 倍に膨張する。T1.1 = - m での恒星種環の半径を rm とすると現在の半径 r0 は膨張し、次のようになる。 \[ r_0 = 1.1^m r_m \:\: \:\:\: (r_m : \text{radius at } T_{1.1}=-m) \] m=24 - 0 間の環状放出は下図(b)の円盤銀河 disc galaxy を与える。この例が NGC 3923 だ。途中で銀河種が枯渇すると下図(c)の金環銀河 annulus galaxy を与える。通常リング銀河と呼ばれるがリングは別の形態で使用する為、金環としている。図(c)は m = 26 - 22 での環状放出の結果だ。この例として Hoag's Object がある。


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#66  (2023.10.27)

回転二連銀河種-バーバルジの形成


銀河種の水平分離で離れた Type-2 の二連銀河種は、同一平面上にあり回転している。この二連回転の半径は短期的にはほぼ一定であるが、長期的には宇宙膨張により拡大する。各銀河種からの環状放出が断続的に起こるのに対し、直線状放出は円周上でランダムに起こっているが、長期的には円周全体で連続的に起こっていると扱える。
  銀河種からの恒星種の水平放出は全方向に起こるが、下図 (c) のように互いに向き合った方向では放出された恒星種が逆方向にすれ違う時に基本力による引力が加わり恒星種の周回を形成する。これは長期で集積され新たなバルジ状構造となる。時間進展により二連銀河種は距離を伸長しながら回転している。右回転の場合は図 (d) に示したように、現在の銀河種の位置から左にずれた楕円状のバルジ構造を示す。これをバーバルジ bar-bulge と名付けた。一般に棒状銀河と呼ばれる銀河の棒はこのバーバルジだ。


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#67  (2023.10.28)

回転二連銀河種-環状放出


回転する二連銀河種からの T1.1=1 間隔の断続的環状放出を考えよう。下図 (a) は T1.1=-18 から現在 T1.1=0 までの銀河種の位置と、放出された恒星種環の現在の位置を示している。恒星種環は銀河種と相互作用をしておらず、銀河種は回転するが恒星種はその場に留まる。両者とも宇宙膨張により中心からの距離が拡大する。二連銀河種の回転角速度は回転半径の膨張に伴い減速する。銀河種の半径はほぼ一定だが、恒星種環の半径は宇宙膨張に伴い拡大する。放出された恒星種環は現在、図 (a) に示したように環状の分布を示す。二連銀河種は両端の二か所に位置している。
  バルジは中央の静止状態の部分は恒星種環上に留まり、周辺部は分散する。結果として、図 (b) に示したように、恒星種環の環状分布と同じ位置に連続した環状分布を示す。更に、前ページで述べたように、バーバルジが中央部に形成され、全体として図 (b) の形状を示す。これを棒状環状銀河 barred ring galaxy と名付けた。この例として NGC 5728 がある。


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#68  (2023.10.29)

回転二連銀河種-外端直線状放出


二連銀河種の回転角速度が大きい場合、各々の外側の端からの直線状放出が顕著になり、断続的な環状放出は起こりにくくなる。この状態が現在まで続くと図 (a) に示した恒星種分布を示す。図は T1.1=1 毎の銀河種の位置変化と、そこから放出された恒星種の現在の位置を示している、但し、実際は連続的に放出されている。放出方向は二連回転の接線方向で等速直線運動をするが、中心からの距離は宇宙膨張により拡張されている。図 (b) はバーバルジも含めた銀河の形状を示している。このタイプを棒状アーム銀河 barred arm galaxy と名付けた。この例として NGC 1300 がある。
  二連銀河種の回転角速度は、二つの距離の膨張に伴い、小さくなる。そして途中で上記の外端直線状放出が不可能になり、断続的な環状放出に移行すると、図 (c) の分布を示す。これを棒状環状アーム銀河 barred ring-arm galaxy と呼んでいる。この例として NGC 2217 がある。


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#69  (2023.10.30)

隣接銀河種-環状放出


水平分離後に二つの銀河種が隣接した Type-3 の銀河種から、断続的環状放出が起こると、二重円盤銀河 double-disc galaxy が形成される。隣接銀河は非回転のものや種々の回転速度のものがある。回転速度がゼロの場合、下記の図 (a) の分布を与える。


非回転隣接銀河種の場合、バルジは銀河種の上下に留まる。この非回転二重円盤銀河の一例が Andromeda Galaxy だ。アンドロメダ銀河の中心部では二つの銀河中心が確認されており、また各種波長での観測で二重円盤の構造が見られている。
  隣接銀河種が回転すると、驚くほど見事に、渦巻構造が現れる。下図 (b)(c)(d)(e) は各回転角速度でのシミュレーション結果だ。これらの銀河を渦巻二重円盤銀河 spiral double-disc galaxy と名付けた。この例として、NGC 5861NGC 6384NGC 3147 がある。



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#70  (2023.10.31)

渦巻二重円盤銀河のバルジ


前ページ図 (c) の渦巻二重円盤銀河のバルジの分布を考えよう。隣接銀河種は回転しかつ距離は隣接したままで変化しない。しかし、垂直放出で形成されたバルジは静止し続け、銀河種から離れる。生成初期に銀河種中央部で静止したバルジは宇宙膨張に伴い分布半径と銀河中心からの距離が大きくなる。バルジ分布のシミュレーション結果を下図 (a) に示した。図内のバルジは断続的な円で表記したが、実際はバルジ形成が連続的に起こる。


  円盤面ではバルジは恒星種の渦巻のちょうど間に位置し、上下には宇宙膨張で広がっている。恒星種とバルジを併せた全体の形状を下図 (b) に示した。バルジを緑色で示している。中心部はバルジの濃度が高いが、周辺部になるにつれて希薄になる。



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#71  (2023.11.01)

隣接から二連に変化する回転銀河種-環状放出


エネルギー周回の半径はそのエネルギー量に比例する。銀河種が恒星種の環状放出をすると少しづつ半径が減少する。今までのシミュレーションでは銀河種の半径は経時的に一定としてきた。隣接銀河種の場合、多少半径が減少しても隣接を維持すれば、半径の減少は無視できる。しかし、隣接銀河種の回転速度が大きい場合は、銀河種の半径が小さくなると隣接を維持できなくなり、途中から離れて回転二連銀河種に移行する。一例として T1.1=-24 から T1.1=-13 までは隣接銀河種で、T1.1=-12 から T1.1=0 は半径が半分になり二連銀河種になった場合の環状放出の結果を下図に示した。
  (a) は環状放出された恒星種の円盤内の分布を示し、二つの赤丸は現在の銀河種の位置を示している。(b) はバルジの円盤面上への投影を示している(上下に広がっている)。(c) はバーバルジも含めたこの銀河の全体の構造を示し、緑はバルジを示している。このタイプの銀河を 棒状環状二重円盤銀河 barred ring & double-disc galaxy と名付けた。この例として NGC 105 がある。