ジロジロと好奇、嘲笑、嫌悪感、色々な目で私は他人に見られた。
しかし、今、ジャケットの持ち主に会いに行くには、この視線を、この苦行を乗り越えねばいけないのだ。
なんのこれしき。
一瞬の私しか知らない他人の視線など、気にするものか!
「あ、やだァ…変な格好…。」
グサッと心に刺さったけれど、負けるもんか!
・・・ハッ!?
なんか妙な気配に斜め後ろを見ると、半笑いの女性が携帯のカメラを構えていた。
「ちょ…ちょっと!写真はやめて下さいッ!好きでこうなってる訳じゃないんですッ!」
「・・・チッ。」
・・・勝手に撮影しようとした挙句、注意されたら舌打ちだとぅ!?
よーし。赤い縁の紐、切っといてやろう。私の女難になると困るからねッ!(怒)
※注 最終回で、私怨を見せる最低な主人公。
私は、人目を振り切るように走り出した。
疲れで頭の中がいっぱいにならない内に、私はあの人に会わなくちゃいけない。
私の目に映る、左手の指についている赤い紐。
これを辿れば、あの人に会える。
私は、紐の先にいた人物の名前を呼んだ。
その人の名前は・・・
→ 烏丸 忍
→ 阪野 詩織