●チュニジアの旅1日目=11月29日(日)
夜勤明け。準備にいま少し不安があったため、いったん自宅に戻ったが、寝坊が怖いので眠るわけにはいかない。午前10時、関空行きの南海ラピートに乗る。飛行機は午後0時55分アリタリア航空795便ミラノ行き。座席はもちろんエコノミー。乗客の多くは日本人で満員だ。離陸してしまうと、あとは到着するまでの13時間は眠るのみ。しばらくは窓の外の景色を眺めていたが、陸地が雲に遮られて見えなくなってしまうと、仕事の疲れもあってすぐに寝入ってしまった。
約2時間後、機内食が配られだしたため目が覚める。隣の若い女性から毛布とイヤホンを渡される。私が眠りこけていたためにそれまで預かってくれていたようだ。彼女には失礼だが、乗務員には、新婚旅行に出かけるカップルと見えたかな。そんなわきゃねーか。礼を言い、話が始まった。島根大学の4回生だそうだ。何人か島根出身の知り合いがいるが、彼らに比べると随分さばけているという感じ。「国立大の女子学生」のイメージが輪をかけるから、なおさらだ。臆せず、よくしゃべる(もっとも最近の若い人はみなそうかも知れないが)。不況の昨今、就職が思うようにいかないため、ミラノに3週間語学留学するという。その歳ですでに何度も海外旅行は行っているようで、英語の発音も私に比べると随分達者でさすがと思わせる。「チュニジアに行く」というと「そんな人、初めて見ました」と妙な感心をされたうえ、「どんなところですか」と質問されるが、実はまだ私も「地球の歩き方」買ったばかりで読んでないんよ。
8時間の時差を飛び越えて、午後6時ミラノ着。ローマ行き1045便に乗りかえる。およそ1時間の行程だ。ローマではホテルは予約はしてあるのだが、出発前、正確な位置を確認するのを忘れていた。確かテルミニ駅の南西側だったと思うが、大きなホテルではないからすぐに見つかるかどうか。とにかく早く宿に落ち着いて、どこかで食事でもしよう。5年前に行ったあの店でもいいかも知れないなと、思いを巡らすが、どうしたことか飛行機がいつまでたっても離陸しようとしない。やっと流れた機内放送によると、どうやらパイロットが現れないらしい。何てこった。さすが、お気楽イタリア人、というと叱られるか。この飛行機も乗客は日本人が多いのだが、これが日本だったら、きっと文句を言って暴れ出すおっさんが出てくるぞ。今は異国にいるので薄笑いを浮かべているだけで、おとなしくはしているが。1時間以上遅れてやっと離陸した。
ローマでは、5年前にはなかった国鉄の空港線(ローマ版「はるか」と申しましょうか)に乗ってみるのも目的のひとつ。「ホテルが分からないんだったらタクシーで行けばいいのに」と思われる方もいらっしゃいましょうが、悪名高きローマのタクシー(もちろん正規に運行している方が多いと思いますが)で夜中に日本人が1人だけ。大丈夫かも知れないが、ひどい目めに遭うかも知れない。それに外国に行くと、なるべく公共機関に乗ってみたくなるのが旅の神髄?というものなのです。連れがいないかぎりは、けちくさくなるのです。9時20分発のテルミニ直通の終電には何とか間に合いました。テルミニまで約30分、15000リラ(1500円。円もほんと安くなったものだ。前は75円で1000リラだったと思う)。スピードはあまり速いとは思いませんでしたが。
ホテルは割と簡単に見つかった。一筋ぐらい行き過ぎて、おぼろげな地図の記憶でも「こんなに離れていないはずだ」と引き返したら、筋違いにあった。それよりも参ったのは寒さ。夕方、ミラノの気温が5℃だったという。荷物を少なくしたいがために、「何とかなるだろう」とシャツに秋物のブルゾンしか持っていってなかったので、てきめんに風邪をひいてしまった。10時半ごろチェックイン。日本時間ならもう月曜の朝だ。まる2日横になっては寝ていない。長い一日だった。翌日もチュニス行きの飛行機は早い。夜遅いし食事はあきらめすぐ寝ることにした。