歯周病

歯周病は気付かないうちに進行しています

歯周病は、初期には歯肉の炎症だけで治療・予防をすれば病気にかかる前の状態に戻りますが、 ある程度進行すると歯を支える骨の吸収を起こし、治療をしても完全に元に戻らなくなって しまいます。

また、骨が吸収し始めてもほとんど症状がなく、かなりの骨が無くなってから歯が動くとか 硬い物が噛めないとか、時々腫れるといった症状が出始めます。これらの症状が出てからでは 完全な治療には多大な労力を要し、治療後の経過が思わしくないことも出てきます。完全に 治療ができた場合でも歯肉の形を病気にかかる前に戻すことはほとんどできません。気付いた ときには歯を失うことになる状態になっていることもあるのです。

ですから、「時々血がでるな」とか、「最近口の中がネバネバするな」などのちょっと気になる 程度のうちに歯科医院に受診することが必要です。また、かかりつけの歯科医院による定期的な 健診も歯を失わないですむためには有効でしょう。

         初期    骨吸収の始まり         重度の歯周炎

(図は日本歯科医師会資料より引用)

歯周病は生活習慣病です

生活習慣病といった言葉は今では一般的になっていますが、生活習慣病という言葉からイメージ する病気は一般的には糖尿病・高脂血症・高血圧などではないでしょうか。歯科で対処する病気の ほとんどは生活習慣病だってご存知でしたか?歯周病はその中でも生活習慣病の代表選手です。

生活習慣病の治療・予防には食生活の改善が重要・不可欠ですし、歯周病の治療・予防でも歯肉の 抵抗力を増すためになくてはならないものですが、医科の分野での生活習慣病と違い栄養のバランス がとれていれば良いといったものではありません。調理された食品は微生物にとっても最高の食べ物 です。ですから、食事を摂った直後から口の中では歯周病の原因となる細菌が猛繁殖を始めます。

野生の動物には歯周病は見られませんが、ペットには歯周病が数多く見られるそうです。これも 調理された食品を食べているからでしょう。人間もペット化されているといっても良いのかも 知れません。バランスの取れた食生活だけでは歯周病の予防は難しいのです。調理された食物の残骸 をできるだけ早く完全に取り除くことが必要です。通常の生活ではブラッシングにより口腔内の 清掃を十分に行なう必要があります。そして、それが適切に行なわれているか確認するための 歯科医院による定期的なチェックが必要です。

この方の年齢はいくつだとお思いですか?
この方は今年90歳になられますが、まだ40代といっても良いぐらいの若々しい歯肉です。 ブラッシングにとても熱心な方で口腔内の清掃状態が非常に良く、その結果健康な状態を保って いるのです。
上の向かって右側前歯部の補綴をしてから23年になりますが、若干の歯肉の退縮が認められる 程度でほとんど問題がありません。(向かって左側の前歯部は現在治療中で仮歯の状態です。)
バランスのとれた食生活と口腔内の清掃を適切に行なえば、年齢に関係なく健康な状態が 保たれるのです。今回の来院時には下の前歯に少し問題がありますが、定期的にチェックを行なえば 重篤な状態にならなくて済みます。


歯周病の原因はバイオフィルムです

バイオフィルムとは細菌の集団がフィルム状に繁殖し、細菌の生存に害となる外部からの攻撃に対しバリア能力を 持ったものを言います。抗菌剤なども内部に到達しにくく、その結果薬も効きにくくなってしまい ます。これを取り除くためには専門家による定期的な機械的清掃(PMTC)が欠かせません。 特に歯周治療終了後のメインテナンス時には3ヶ月毎のPMTCと検査が不可欠です。


定期健診・検査の期間

初めから問題がなく健康な方と治療が終了し健康になった方では、健診・検査の頻度が違います。 治療後のメインテナンスは良好な状態を保つために重要ですから、短期間でいらしていただきますが 安定すれば長期に移行します。大まかな目安は次のようになっています。

歯周治療終了後の方 : 3ヶ月

歯周治療終了後安定している方 : 半年

治療は必要ないが疾病予備軍と思われる方 : 半年

健康な方 : 1年


治療費

通常保険診療内ですから、通院ごとに数百円〜数千円です。病状・治療法によっては保険外の 治療が必要になる場合もありますので、詳しくは当医院にお問い合わせください。

神沢歯科医院 TEL : 048-768-4065

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