9月17日(月曜日)
電車を降りたら違う駅。。。
お世話になりました。

朝から予定は狂いっぱなし

トリノ近郊に点在するサヴォイア家のお城・・・一つ二つ見て、あとは買い物でもしよう。
そんな簡単な予定だったからか、今日はとうとうホテルの朝食にすら間に合わない始末。それでもコーヒーがないと一日が始まらない。カフェでカプチーノ+サンドイッチの朝食を摂りながらガイドブックを見ていると、なんと! ほとんどの城が月曜休館ではありませんか!! いつもなら、こういうことも調べて日程を決めておくのに。
急遽、電車で25分、さらに駅から10km(タクシーが便利)というサクラ・ディ・サン・ミケーレ修道院へ行くことにしました。時すでに11:00近く。

駅の窓口で往復の切符(3,600Lit×2)を買い、次の出発時刻も聞いておきました。11:45発。あと50分もある。幸いトリノは始発駅なので早くから列車がホームに停まっています。
"乗って待てばいいや"
時刻表で私が乗るのはMODANE行きであることを確認し、それが何番線かボードに表示されるのを待っていました。ところがいつまで経っても表示が出ない。時刻表を何度か見返すも、「休日のみ」とも「月曜運休」とも書いてない。そもそも切符売り場でも次は11:45と言っていたし・・・。結局、出発時刻になっても案内は表示されないままでした。そして次の列車はさらに50分後。
わけが解らないけど仕方がありません。売店を見たり外のベンチに座ったりして時間つぶし。最後にエスプレッソを立ち飲みし、12:35発に乗り込みます。
そしてとうとう。。。

発車間際には車内は学生たちでイッパイになり、ワイワイガヤガヤ。そんな様子と窓外の景色を交互に眺めているうちに、一つ目の駅からずいぶん時間が経過したとは感じていました。次の駅に入ったことに気付いて時計に目をやると、はや目指すAVIGLIANA駅の出発予定時刻ぴったり、13:01。駅名が見えなかったことに一抹の不安を抱きながらも、慌てて飛び降ります。そしてホームに立ってからキョロキョロ見回すと・・・さりげなく上品に表示されていた青地に白抜きの文字はALPIGNANO

"があぁーーーん!! そういえば中途半端なところで長いこと停車していたような"
穴のあくほど時刻表を見ておきながら、間に駅がいくつあるかチェックしておかなかったのは不覚でした。後悔先に立たず。列車は呆然と立ちつくす私を残し、悠然とホームを離れて行くところです。駅舎の時刻表で再確認すると、ここはまだ2つも手前でした。次の電車は15時台。ほわぁ〜。
地元の人もあまり知らない

それでも何かしらの手はあるはず、と駅を出ました。ロータリーのバス停にいたオジサマにアヴィリアーナへ行くバスはないかと尋ねてみます。
「あの運転手に聞いてみよう」 そう言って、近くに停車していたバスの運転手さんに聞いてくれました。
「うーん、よく知らないけど、プルマン(中・長距離バス)で行けるんじゃないかな。フェルマータ(停留所)はこの先の広場にある。コレと同じ青いバスだよ」
単語と、身振りと、火事場の馬鹿力の親戚みたいな力(?)で理解した私は、お二人に御礼を言って指さされた方へと向かいます。
お世話になりました

小ぎれいな公園になっている住宅街の広場。昼下がりのせいか人気はほとんどありません。一周しても停留所が分からなかったので、今度はただ一人、植え込みの端に座って休憩していた若い男性に聞いてみました。
広場にあった古い教会

「プルマンならあそこが停留所だけど、アヴィリアーナに行きたいの? ちょっと待って」
彼は通りを隔てて数十メートル離れた停留所までわざわざ出向き、時刻表を見てくれました。後からついていった私に、
「直通はないみたいだ。このリヴォーリ、ここまで行って乗り継ぎだろうな。ここならアヴィリアーナ行きがあるとは思うけど、ゼッタイ大丈夫とは僕には言えない。次のリヴォーリ行きはこれ、13:45だね。あそこのバールの人たちなら良く知っているんじゃないかな。まだ時間はあるし聞いてみたら?」
なんて親切、かつ理路整然としたアドバイス! と大感激しながら、そのバールへ。
"それにしても今のは全部イタリア語だったよな〜。なぜこんなにちゃんと理解できたんだろう"

結局、バールの人も何も知りませんでした。停留所へ引き返したものの、思い返せばプルマンって一回ぐらいしか乗ったことがなかった気がします。途中なら切符ナシでも乗れるだろうけど、町から乗る時は・・・? そこへやって来た中年女性に車内で切符が買えるか、尋ねてみました。
「だめよ。切符はこの横のタバッキか広場のあそこで買うの。でも今、両方とも閉まってるわね、残念ながら」
そうは言っても頼めば乗せてもらえるんじゃないかという期待も残ってはいました。でも、あと15分以上待っても乗れない可能性が大、しかも乗り継ぎがどうなるかも分からない、そんなことに賭けるわけにはいかない・・・。
さらにお世話になりました

こうなったらタクシーしかないでしょう。ところが広場にも駅前にもタクシーはおろか乗り場らしきものさえ見当たりません。駅のキオスクのお姉さんに何処でタクシーに乗れるかと尋ねると、
「電話で呼ばないと来ないのよ」 そう言ってタクシーの名刺を(束から1枚ちぎって)渡してくれました。
「電話 !?」
「電話ならあの店にあるわ」

お姉さんの指の先にあったバールに入ると、確かに公衆電話が置いてある。でも、どーすりゃいいのぉ〜。イタリア語で電話なんて出来ないよぉ〜。とにかくカウンターの中にいたお兄さんを呼び止めました。
「ここに電話をかけたいんですけど」
「テレカは持ってる?」
「いいえ、それに、イタリア語わかんない」
彼は「話してるじゃない」なんて冗談は言わずに納得。
「じゃあ、こっちへ来て」
そして導かれるまま店の奥へ行きました。
「どこまで行きたいの?」
「アヴィリアーナ」
そばで聞いていたお客さんが口を挟みます。「それなら電車で行けるだろ」
お兄さん「この時間はないよ」
お客さん「そうか、そうだな」
そして彼はカウンター内で電話を掛けてくれました。
「呼んだよ。5分ぐらいで着くそうだ」
御礼を言って電話代を渡そうとしましたが、「いいよ〜」と笑い飛ばし、受け取ってはくれませんでした。
小さな町のタクシー

表で待つこと5分弱、タクシーがやって来ました。フロントガラスの内側(日本なら空車の表示があるところ)にTAXIと書かれただけのベンツです。
「ボンジョルノ」 にこやかに降りてきた運転手は、外からドアを開けてくれます。
「アヴィリアーナって言っても広いけど、どちらへ?」
「ボンジョルノ。駅へお願いします」
一瞬、修道院の往復も頼んでしまおうかとも思いましたが、向こうの町のほうが慣れた運転手がいるでしょう。

15分でアヴィリアーナ駅に到着。45,000リラ(約3,000円)でした。実は先に帰国したKuroから前日メールがあり、ノヴァーラというミラノの手前の駅からマルペンサ空港までのタクシー代が91,000リラだったと報告を受けていたので、これはまあまあ妥当な線でしょう。あとで道路地図でも再確認しましたが、やはりアルピニャーノ>アヴィリアーナが約13km、ノヴァーラ>マルペンサ空港は2倍強ですから。
まだまだお世話になりました

まず駅で帰りの切符を購入。念のため時刻ももう一度、確認。それから駅前のバールでエスプレッソをひっかけ、出がけにTAXI乗り場を聞きました。ここのお兄さん(写真・左)もまた親切で、外へ出て教えてくれましたが、さらに何か長々と説明している。でも私にはちんぷんかんぷん・・・あまり来ないってことかな?
とりあえず行ってみたけど、やはりタクシーは居ません。バールに戻って、またまた助けていただくことになってしまいました。電話を代行してくれたのは、先程とは別のお兄さん。通話中にチョコチョコ私に質問してきます。
お兄さん「ペラペラ・・・、中国人?日本人?」
私「日本人」
お兄さん「日本人女性だ。・・・ペラペラ・・・。何処に行きたいの?」
私「サクラ・ディ・サン・ミケーレまで。そして1時間。そして戻る」 文法も何もあったもんじゃない。
お兄さん「・・・かくかく・・・しかじか・・・なんだかんだ・・・」
しばらく話し込んだ後、また私に顔を向けます。深刻そうな顔でした。
「プロブレーマ(問題)がある。ここに来られるのは1時間後だそうだ。それにもうひとつ。サクラ・ディ・サン・ミケーレは閉まってるって。外から見て戻るだけなら出来るそうだ」
"キウーゾ(閉まってる)ですってぇ〜!?!? ガイドブックには夏(9月いっぱいまで)は月曜も開いているって書いてあったのに"
でもそんなこと言ってもどうにもなりません。それに今更、何もしないでトリノに帰るなんて考えられません。
「ヴァ、ベーネ(OK)、行ってすぐ戻るでも・・・」
電話を切った彼は再度、「タクシーが来るのは1時間後、つまり3:50ごろになるね」 と説明。
「ここで待たせて下さい」 英語になっていたのに通じたようです。
「もちろん、いいよ」
「電話代」と言って、拒絶するお兄さんにムリヤリ1,000リラ(66円、ホントに単なる電話代。もちっと多くても良かったか?)を渡し、スプレムータ・ディ・ポンペルモ(グレープフルーツ・ジュース)を頼み、席につきました。

「タクシーが来たよ〜」
二人のお兄さんが大声で知らせてくれました。ぴったり3:50。
「ホントにありがとう、さようなら〜」
ああ、大勢の人の助けを借り、ようやく念願のサクラ・ディ・サン・ミケーレ修道院に行くことができます・・・(うるうる)。



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