今週は色々と大ゴマ&見開きにやられた感じのある53号です。
●ムヒョとロージーの魔法律相談事務所
スッゲー、良かった。以下、過剰書きですが。
◇読切から続く、人間に責任の一端を、霊に一抹の救いを与える勧善懲悪ではない話の構成
読切当時から、この話の型が好きでした。
◇視覚的な見せ方が上手すぎ
・冒頭のリエちゃんが扉を開けるシーンでページをめくると、なにやら大仰な開かれた扉の前に立つムヒョとロージーという絵でカラー表紙。扉繋がりの演出がステキ。
・タエコちゃんの化け物の登場シーンの大ゴマで最初のインパクトを与えておいて、さらにそこからその大ゴマで登場したタエコ化物さえも飲み込む構図での「冥王の晩餐」の見開き燃え。1話内で、衝撃をインフレさせています。
・手を繋ぎたいがために手をいっぱい生やしたタエコ化物が、最後に自ら手を離すシーンの構図が視覚的に凝っててステキ。何かが残留しているような切なさがあります。
◇そしてこれもまた反社会的な物語
ONE PIECEしかり、BLEACHしかり、DEATH NOTEしかり、既存の社会に何かしら主人公の信念で反逆する話が多い今のWJですが、ムヒョも法の条文が全てみたいな感じに表紙から盛り上げておいて、なんだ、社会の規律(法)を遵守する物語&主人公なのか?と思わせておいて、ラストにリエとタエコの絆を買ったムヒョが主観的に法に背いて減刑しているのがカッコいい。
予想以上に面白かったです。これは今後も期待。霊に一抹の救いを与えるのがこれまでの話でしたが、本当に救えない霊の話なんかも読みたいかも。
●BLEACH
良かった。砕蜂を掘り下げるだけの話じゃなく、そんな砕蜂を置き去りにしてまで夜一は行かねばならなかった。そこまでする夜一と喜助の目的、行動原理は何なんだ?と夜一サイドをも掘り下げています。
●D.Gray-man
エンディングが強烈に良かったので、前回感想で書いたリナリーが口にした「仲間」の言葉が何か唐突だったなーという不満は帳消し。
このエンディングは美しすぎだろ。閉鎖から開放された街で、自分から引き払うことを決めたアパートで、幸せそうな夫婦とすれ違いながら別方向へと一人歩いていくミランダ。職を転々としていた女が、初めて自分で選ぶ過酷な再就職先。ラストのミランダの表情の絵と、開け放たれた扉から漏れでる陽光の描写が出色。ミランダの表情、よくキャラを崩さないままこれだけカッコよく描けたなー。素直に、良かった。
●武装錬金
「守りたいものが同じなら きっと必ず戦友になれる」
物語当初から「守る」を連呼してきたカズキだからこそ重みがある、というかカッコいい台詞です。守れたものや守れなかったものもあったなぁと読者はしみじみ。
人食い断ちという変化を見せるパピヨンと、ホムンクルス・即・斬の斗貴子さんを組ませることで、斗貴子さんのホムンクルス認識改変エピソードにもなってます。ますます、敵−味方、人間−ホムンクルスの境界をシャッフルしてくる感じ。
●アイシールド21
高さ勝負で長身が売りの水町と筧は屋上から夜景を見下ろし、背が低い小回り、スピード勝負のセナ、モン太、小結らは地面でネズミ花火……という対比が見事。決戦前の盛り上げ描写としてはこれ以上にない演出だったんじゃないかと。
●テニスの王子様
これこそ今週の大ゴマにやられた漫画です。やたらめったらの大ゴマ、見開きの連発が凄いです。さらに凄いのは、そんな見開きで突如登場した手塚を普通にカッコいいと思う自分がいたことです。僕、途中から読んでるんでこの手塚という人がどういう人か分からないんですが、なんか、カッコよかった。この感じが、テニスの王子様をカッコいいと感じる人の感覚なんだと思いました。文脈とかいらない。何か知らない人だけど、大仰に登場したんでカッコいい!みたいな。
●未確認少年ゲドー
い、生き残ったー。(驚きと喜びと)
フェニックスは個体を超えて種全体を愛することのできる愛に満ちた生物なのです
この台詞でまとめて最終回でも良かったように思うんですが、何やらラスボスが登場してきました。これ、どうすんの。大ゴマで登場のドラゴンめっちゃ強そうですよ。頭ドリブルとかで太刀打ち出来る相手じゃないですよ。
催眠が効かない讃良ちゃんがキーになりそう。結局、人間の讃良ちゃんと未確認生物のゲドーくんが出会って、関係性を深めていく話だったと思うんで。
●いちご100%
ついに東城言ったー。さつきの告白、西野の告白、向井さんの告白と変遷してきて、ついに一番言えなそうな性格の東城が演技のアドリブというフィルターを駆けながら告白。普通に感慨深い。時に温かく、時になま温かくいちご100%を見守ってきた甲斐がありました。そうか、ついに東城がみたいな。これも大ゴマで今週やられました。ラスト見開きの東城、普通に感動した。
●ワークワーク(WaqWaq)
「じゃ もれはもれの願いのために あなたの戦いを止めるために」
この話が『仮面ライダー龍騎』に似ているということは第01話の感想から言ってますが、本当に、藤崎先生龍騎見てたんじゃないの?ちょっとオマージュとか入ってるんじゃないの?と思えるほどに似てきました。闘わなければ成就しない相対化された正義、願いの中で、主人公の願いが「闘いを止めること」だという点、だけどそのためには主人公にとって大事な人であるヒロイン(神様、龍騎では由衣)を犠牲にしなければならないという点がまったく同じです。
この構造に決着をつけた「仮面ライダー龍騎」の49話は衝撃にして感動にして最高でしたが、ワークワークはどうなるのか。龍騎と同じも良し、藤崎先生独自のものでも良し、とにかく、帰結を描ける所まで連載が続いてくれれば良し。
●当ブログでは
「Comments」欄↓にて幅広く閲覧者の皆さんのコメントを募集しています。僕の感想と関係なくてもWJ関連の話題だったらなんでも構わないので、お気軽にどうぞ。トラックバックも積極的に受け付けております。
|