+2005年02月の週刊少年ジャンプ+

■10号/WJ感想
 

●いちご100%

 相変わらずのバカシチェーション作りが楽しめました。背後からバケツ持った女生徒が歩いてくるコマからして、あー、東城水かぶるんだろうなーみたいな。そしてコードに引っかかって東城に倒れ込む真中とか。物理ギミックで密着エロシチェーションを作っていくのが(バカバカしくて)とても楽しい。

 そして、かすっただけで「すりっ」の擬音と共に稲妻トーン。もう、河下先生は神ではないかと。東城、「きゃああああああああっ!!!」ってリアクション凄すぎ

◇真中の浪人確率120%

 「いちご100%」より高いです。ゲームなんかも発売されてほどよくプッシュされてるのを見ると、真中浪人編みたいな形で続いていくんじゃ?なんて妄想してしまいますね。あ、でも意外とそういう話は面白いかも。やるせなさ全開から物語りが始まってついに真中が成長していく……みたいな話。

◇ライト百合状態のカラー絵の西野と唯

 いや、確かに西野と絡む唯はほわほわして好きだ。

◇PS2『いちご100%ストロベリーダイアリー』

 しばらくギャルゲーやってないんでやってみたいかも。

●劇場版『テニスの王子様二人のサムライ』全国95館で絶賛公開中

 「手塚の技は宇宙と恐竜が出現!?

 ああ、超観たい。

●ONE PIECE

 ヨコヅナのクロールに海列車。ウォーターセブン編の最初に見せたあの光景にはこんなドラマがあった!って感じで号泣もの。

 地道にクロールの練習を積むヨコヅナ、薄皮を張り合わせていくように10年後に完成するであろう海列車を造り続けるトムとその仲間達。そこで描かれてるのは「造る」こと、「生産する」ことの魅力と尊さ。台詞無しの4ページ&ラストページ、マジで感動した。これだからONE PIECEの過去編はやめられない。しかもトムがロビンを気にかけてた伏線やフランキーサイボーグ化の伏線が消化されてないので、まだ過去編は序章ですよ。めちゃめちゃ期待。やっぱONE PIECE大好き。

●新連載、ほったゆみ・河野慶「ユート」&松井優征「魔人探偵脳噛ネウロ」

 ヒカ碁のほったゆみ先生には勿論期待。再び、綿密な取材に裏付けられた上での、読者に馴染みの無い分野の魅力を伝える技術、炸裂させて欲しいです。

 「魔人探偵脳噛ネウロ」も歓迎。読切の時、スッゲー面白いと思って「とても面白かった」に○つけてアンケート出しました。本格ミステリじゃない、ミステリの体裁をとったお気軽エンタメっていうのを最初から押し出しているのが良い。DEATH NOTEなんかは本格ミステリ路線でいくのか?と最初誤認させられて、後から普通のサスペンスエンタメなんだって気付かされたんだけど、脳噛は最初からライトなんだという雰囲気が全開なんで好感が持てます。この漫画は、細かいトリックの矛盾点とかをついて不満を口にするのはおかど違いな漫画としてスタートするんだと思います。

●家庭教師ヒットマンREBORN!

 「雨」をキーにした構成は面白かったです。所々に挿入されるツナの家の概観のコマ、何なのかなーと思っていたら、ある時点から雨が降ってるというのが一つのギミックだったという。このオチと絡んでのギミックは面白いなと、感心してしまいました。

●DEATH NOTE

 死神入れ替えの意味が十分に判明しましたね。ライトはミサが目の取引に出る所まで計算していて、そうなるとミサに好意的なレムでは反対されてしまうんで、リュークの方に死神を入れ替えておく必要があったという。

 サプライズが魅力のDEATH NOTEですが、続く今後のサプライズとしてミサの死があるような気がしてきました。寿命半分の半分って、初期寿命が80歳だったとしたら20歳で死亡ですよ。サプライズに使ってくるんじゃないかなぁ。

●ムヒョとロージーの魔法律相談事務所

 魔女っ娘の系譜の物語だーと思わされました。魔女界と人間界を行き来しながら魔女試験を受けて主人公が成長していく『おジャ魔女どれみ』を思い出したり。

 そうなると成長キャラとしての主人公はロージーなんですね。タイトルにロージーの名前も入ってることだし、今回微力ながら力も付与されたことだしで、ロージー主人公視点が今後は燃えで。温かく見守りたくなるようなキャラとしては描かれていると思うので、今後の成長物語に期待です。

●銀魂

 「胸の真ん中にぶっささった記憶は 魂に刻んだ記憶は何があって消えねーって……俺はそう思いたいね」

 の言い回しが、「心臓より大事な器官」の言い回しで銀魂のテーマが炸裂した回を思い出させつつ、その「記憶」がやっぱり「花火」なのか……と思わせといて「妻」に裏返る。泣けました。イイ話でした。

●未確認少年ゲドー

 ずっと他者(他生物)との理解、共生をテーマにしてきたゲドーですが、最初の最初の「ゲドーくんとガーくんは共生している生物」という設定からしてこのテーマを担っていたんだなーとしみじみ。

 「合体します! ガーくんと…一つの体にして下さい!」

 のゲドーくんの笑顔にこの作品のポジティブ要素が凝縮されていると思いました。

 個体と個体の融合。フェニックスの衒学的な解説が入ることで、別別の個体だと相争ってる現実とかバカバカしいなと思えるような、スケールのデカい話に持っていっています。

 やっぱゲドー好きだなぁ。そろそろ終わりっぽいけど……

●武装錬金

 珠玉の1話

 今シリーズでは「敵−味方」の概念のシャッフルが一つのキーとして描かれていたんですが、それ以前にも武装錬金では立場は敵なんだけど、その敵をカズキは救いたいというシチェーションでのラストバトルが描かれてきました。

・VSパピヨン
 →蝶野をも救いたかったけど、斗貴子さんとの命の選択を迫られ、救えず
・VS早坂姉弟
 →蝶野の時は救えなかったけど、今度は桜花を救えた!

 と来て、最初の蝶野を救えなかった時にブラボーがカズキにかけた言葉が例の「善でも悪でも 最後まで貫き通せた信念に 偽りなど何一つない」なわけですよ。

 この「信念」の言葉が、今まさに三度目の「立場上は敵だけどカズキはその敵(ブラボー)を救いたい」という状況にあってかかってくるのがひたすら熱い。

 サブタイ「大事な存在を死守せんとする強い意志」が何度も使用されつつの、カズキの、

 信念 なんだ」

 の言葉。「信念」という言葉に二十三重の深みが加わって熱いことになっております。

 そして、救いたいブラボーがために咆吼するカズキ。次週最終回か!?ってな感じのクライマックスです。

●当ブログでは

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■11号/WJ感想
 

 管理人のやる気がイマイチ出ないため、今週のWJ感想は休ませてもらいます(『武装錬金』が休載だったというのが大きいかも)。

 でもちょっとだけ、↓

・ユート

 面白かったです。主人公の少年がこれから東京という逆境をどのように乗り越えていくのかが普通に楽しみです。それ以上に、こういうマイナーな題材を漫画という媒体を通して紹介してくれるというだけで、知識欲が満たされる快感が得られる自分がいます。これからも、へー、スピードスケートの世界ってこんななんだーと色々新鮮な知識を届けて欲しいです。

・ワークワーク

 メラめっさ燃え。神様があんまり出てこなくなってから大分経ってるんだけど、序盤のシオと神様の関係性描写がまだ生きています。ここで神様のために咆吼するだけの関係性がシオと神様にはある、そこを感じられるとメラ燃えです。超クライマックス。ここから帰結までの数週はこの漫画に注目です。

・未確認少年ゲドー

 車田見開きの「全員合体!!」は良かった。ああ、ゲドー、この漫画のこういうバカな所大好きだった。



 来週は普通に感想書きたいと思います。
 
■12号/WJ感想
 

 今週号は衝撃展開の作品が多かったため、ネタバレ注意です。感想は必ず読了してから読むのをお勧めしておきます。

●魔人探偵脳噛ネウロ

 混乱した状況、それをもたらす謎を否定的に捉えてる弥子と、謎が大好きなネウロという、相反する属性の二キャラが冒頭に出会うというのがまずは素敵でした。異なる属性の二人がタッグを組むというのは、まずは相棒モノの王道の面白さなんじゃないかと。

 そして相棒のネウロ、「謎を欲すること」が行動原理というのがカッコいい。謎を解決する快感、色んな所に溢れていて、それに入れ込んでる人種って世の中にも沢山いると思うんですよ。学問やってる学者とか、企業でシステム作りやって働いてる人とか、基本的には「混乱」を整然と整理する魅力、謎を解く魅力に誘因されて活動してる面があると思います。

 なので、ネウロが天才タイプの主人公にもかかわらず、鼻につかず魅力的に思えるのは、そんな謎に賭けている、一途に謎を追い求める姿勢が最初から全開で、その部分に少なからず共感できる(僕のような)人種が現実世界にもいるからなのかなと思いました。「謎が欲しいから」にはONE PIECEのロビンの「歴史が知りたいから」に通ずる、シンプルな探求心を行動原理にしてるカッコよさがあります。

 また謎を解いた瞬間に対象に興味を無くしてるあたりがステキ。小川洋子の『博士の愛した数式』で、博士が数式を証明した瞬間にその数式に関しては興味を失う……みたいな下りがあるんですが、それと同じで謎は解くまでが華という部分が、作者、分かってるなとニヤリとさせられます。やっぱ学者キャラに通じるものがあると思いますよ、この謎に尋常ならざる執着を見せる主人公というのは。

●アイシールド21

 ウィッシュボーンとか、複雑な高等戦術で攻めていたヒル魔が、ラストの勝負所では単純な1オン1の勝負に賭けるという部分に燃えるものを感じました。

 そして第01話の三兄弟抜き去りシーンをここにきて絡ませてくるという、個々人の特性の魅力を描いてるアイシールド21としては最高の展開でセナ、筧を突破。

 ……と、ここで逆転でも文句のつけようがないスポーツ漫画の名勝負だったと思うんですが、ここからさらに裏返して窮地へ、残り2秒のタイムアウトですよ。これは、マジでどうなるんだろう。『YAWARA』では残り8秒で時計が止まって、そこから勝利というのを読んだことがありますが、それは一瞬で決着可能な柔道だからだし、何より残り2秒で時計が止まる状況というのは初めて読みました。アメフトがここから逆転可能なスポーツなのかどうかがまず知識として僕は知らないんで予想とかできないんですが、2秒はキツいよなぁ。

●DEATH NOTE

 サプライズとしてミサの死があるんじゃ……なんて先々週書いてたのには月−Lの頭脳戦は連載終了まで続くという前提が僕の中にあったワケですが、ご存じの通りそんなサプライズを吹き飛ばすようなサプライズで、L、死す

 コレはやられた。読んでてエー!!としか言いようが無かった。郭 海皇みたいに実は生きてるんじゃ(バキネタ)って思いも巡らしたけど、レムがしっかり灰になってるんで本当に死んだっぽい。

 もう、これからの展開に期待を馳せるくらいしか感想書けないじゃないですか!

◇展開予想

 →新たな視点キャラを投入して仕切り直し。

 連載が続くという前提があってですが、これくらいしか思いつかない。

 「体制−反体制」からすると「反体制」に属するのが圧倒的にWJ漫画の主人公には多く、ライトも究極に「反体制」な主人公だったワケなんですが、敵がいなくなり「新世界の神」になってしまうと、今度は「体制」側に回ることになります。なんで、主人公は「反体制」というセオリーからすると、今後は「体制」側に回ったライトに抗うサイドの「反体制」の新視点キャラが登場してくるというのはそんなに突飛な予想ではないのではないでしょうか(そのキャラがもう少し真っ直ぐな少年主人公型のキャラだったりしたら、なお面白いのではないかなんて)。ライトは「新世界の神」と明言してるんで、そんな「神」に抗う者のストーリー。神に抗う物語は王道といえば王道だし、DEATH NOTEはそもそもデスノート自体が主役……みたいな雰囲気を随所に醸し出していたので、ライト=視点キャラにして主人公という構図を崩して新視点キャラを登場させるというのは個人的にはかなり有りだと思います。

 ……

 なんて書いてみたけどまったく先が読めないんですけどね。本当どうなるんだ、コレ。

●ユート

 ノーマル/スラップなんていう、スピードスケートにまつわる(僕にとっての)新情報を届けてくれるだけでかなり満たされています。しかも、そういう一般読者は知らないような新情報のノーマル/スラップを、ドラゴンボールにおける「重い胴着」みたいな感じで主人公の制約にしちゃってる辺りが上手い。主人公に制約をつけるのは少年漫画の王道の面白さだと思うんで、マイナーな題材を扱いながらちゃんと少年漫画してるなって感じで好感。巻末コメントからも一昨年の初夏から綿密に取材した上で制作されてる漫画であることが伝わってます。そういった努力と克己の時間。是非、良作へと転化して欲しいと思います。

 あと吾川ちゃんは、既に技術がある瀬尾に対して成長物語を担うキャラになりそうな雰囲気が既にホクホクと出てるんで、今から楽しみにしたいと思います。

●D.Gray-man

 エリアーデはアクマ、クロウリーはエクソシスト、そこでエリアーデが口にする、

 「連れてなんて行かせるもんか…っ」

 の場面から、多分異種族恋愛風味な物語なのだと思います。

 この前のロード……「人間」だけど悪。
 エリアーデ……「アクマ」だけど一抹の正しさ……

 って感じで、テーマ的に続いてる人間−アクマの二項対立では終わらない……という部分を今シリーズでも描いていくんじゃないかなと。目が戻ったアレンの、

 「また戻ってきた 白と黒の世界」

 の台詞の「白と黒」という言い回し辺りに、二項対立へのハテナマーク、そしてそのテーマの渦中で未だ迷走中のアレン……という命題がにじみ出てるように思います(アレン、この前のロードの時の逡巡といい、その後の軍服の覚悟の話といい、このテーマに関しては現時点では迷走中という感じがするんで。物語の進展と共にアレンがこの問題に折り合いをつけていくという流れだとイイと思うんですが)。

●こち亀

 よく異文化理解話なんかで否定的に指摘される、日本人は謝ってばかりで、納得してなくてもとにかく謝ってなぁなぁですませようとしてる……なんて話を素材にあつかっての笑い系話で楽しめました。最初面白可笑しく描写されてた「謝り」も、段々やみくもに謝るのはどうよ?な感じに話が展開してきてたんで、オチの両津ブチ切れオチは、ああ、そうだよなという爽快感がありました。やっぱり両さんはこっちの方が「らしい」ってのが読者にもあると思うんで。

●武装錬金

 作戦、知略型バトルだった斗貴子、剛太バトルの次がコレだったんで、ギャップで小細工無しの真向勝負展開は燃えました。カズキとブラボーは、この真っ向からの衝突が「らしい」ってのは武装錬金読者には十全に分かってると思うんで。

 でもって、

 「届け… 届けッ」

 のシーンが前回ブラボーと戦った時の第51話の「届け… 届けェェ!」のリフレインになってるのもファンにはたまらない。

 勿論物理的にSUNLIGHT HEARTがブラボーの本体に「届け」というだけじゃなく、尊敬すべき大人としてのブラボーに「届け」の意味合いも入ってるんでしょうな。

 和月先生が単行本コメントにて早くからコメントしていた、ブラボーはいつか越えるべき大人キャラ……というコメントに由来する物語、今話にてひとまず昇華です。

●いちご100%

 今回は甘酸っぱさ全開でした。ちょっと普通にドキドキさせられました。強引な密着エロ入らなくても、普通に恋愛漫画の機微を描く時があるのがいちごです。

 西野との恋人関係再開という回でしたが、逆に西野エンドはこれで無くなったかなぁという印象を抱いています。一つはこの作品のファイナルは「卒業」と重なる可能性が高いため、作中時間の現時点での西野とのカップル成立は早い気がする、言うなれば破綻するだけの時間がまだあるように感じられる点。二点目は西野は夢への不安、真中は東城に彼氏がいたという誤解からの逃避という、双方逃避チックに結びついた感があるため、この結びつきはネガティブチックに後で裏返されるという可能性が物語の王道としてはあり得るという点。

 自信を持って夢へと歩みだせるかが克服すべき最後の障害である西野のラスト、夢云々じゃなく真中に想いを伝えられるかが克服すべき最後の障害である感がある東城のラスト……という現時点での雰囲気からすると、それぞれのヒロインが問題を克服して帰結するには東城エンドが一番収まりがいいように思えます。

●ワークワーク

 ヨキの願いが「赤き血の神の抹殺」ということが明らかになり、赤き血の神、神様を抹殺することで何かしら「世界」の方はプラスに働くという事実が次回明らかになる可能性が高くなってきました(ヨキの願いにも正しさがあるという展開)。

 その真実を聞いても果たしてシオは「神様を守る」と「願う」ことができるのか。

 次号予告の「ヨキが語る世界の真実!!二千年前に起きた出来事とは!?」が最高に惹きが強いです。次号必見です。

 神様が最後どうなるにしろ、やっぱ神としてじゃなく個人として扱われてシオに下の名前を呼ばれるシーンが入るというのが理想の予想だなぁ。

●未確認少年ゲドー

 幽遊白書やレベルE型のラストだったと思います。幽遊だったら人間と妖怪、レベルEだったら地球人と宇宙人、そういった種族の対立ではなく、無化というラスト。

 人間と未確認生物の壁がずっと描かれてきた相互理解努力によって今後無化されていく、最後の沢山の未確認生物が讃良の所にやってくるという風景は、そんな続きを連想させて、残留感があるイイ終わり方だったと思います。

 先週の全員合体攻撃とか、今週の眼力目玉乱舞!とか、あくまで子ども向けのバカエンタメを入れて子どもを楽しませることに徹しながら、時に素晴らしい物語構成力で深みのあるテーマを伝えるなど、実に良心に満ちた作品だったと思います。

 大好きでした。そのうち単行本揃えようと思ってます。

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■13号/WJ感想
 

●ONE PIECE

 過去篇序盤の「何を造りたがろうが構わねェが、造った船に男はドンと胸を張れ」のトムさんの台詞がやはりキーでした。その船の使われ方はともかく、船大工は作った“船”に誇りを持たねばならないという。

 この過去篇は「船大工」という職業の矜持を描く意味合いが強いんじゃないかと思いました。麦わら海賊団の「仲間」らは、皆「剣士」、「航海士」、「コック」、「医者」、「考古学者」という己の専門職に対する矜持が描かれるエピソードが必ず入っています(その点で「砲撃手」という職業に対する矜持がまだ描かれていないウソップが、やっぱ一時抜けるんだとしたら一番可能性が高いんじゃないかと僕は思ってるんですが)。今回のトムさんの生き様、言葉が、ワンピ作中の「船大工」の矜持ってことじゃないかと。

 しかし、上のトムさんの台詞に繋がる、

 「“善”も“悪”もねェもんだ……!!この先お前がどんな船を造ろうと構わねェ…」

 の辺りから、今後フランキーがプルトンを造るという展開も考えられるようになってきたんじゃないかと。多分この過去エピソードを踏まえて現在のフランキーは解体屋に甘んじてるんだと思うんですが、そこから踏み出して“善”に使われるか“悪”に使われるかは分からないけど、船大工として誇りをもってプルトンを造る……というのが展開としては熱そう。

●魔人探偵脳噛ネウロ

 すごく面白いです。

 前提として、王道推理漫画として読む漫画ではないということはやはり踏まえておかなくてはと。

 読切載った時の作者コメントでも、ミステリを題材にした気楽に楽しめるエンターテイメントにしたいみたいなことを仰ってました。読者への推理題材提示が滅茶苦茶だったり、魔界の力で謎解決という推理もへったくれもない設定だったりと、その辺りは頭を使って楽しむ王道推理モノの楽しみ方じゃなくて、演出だとかミステリ的雰囲気だとかを楽しむ、どちらかというとあんまり頭を使わない楽しみ方をする漫画だということが分かると思います。この漫画に本当の推理モノじゃない!と文句をつけるのは、テニスの王子様に現実のテニスはあんなんじゃない!と文句をつけてるようなモノです。

 それらを踏まえて、演出がやはりイイ。

 前回は動機パートぶっ飛ばしのネウロというのが描かれてたんですが、今話で弥子の方は、

 「この家の「日常」を 誰が何の理由で壊したのかを知らないと もう戻れない気がするの…「日常」に」

 と、動機、理由を気にしてるような発言をしてるんですね。

 前回の感想でも書いたけれど、このネウロと弥子の属性がイイ具合に違っていて、その二人が組むことで楽しさが増している感じがとても好きです。

 今後、一押し期待の漫画です。

●BLEACH

 いよいよ市丸絡みの謎パートの解決篇の模様です。ポイントは、以前日番谷は市丸が雛森を殺そうという気配をみせたのを察知して雛森を助けてるんですね。なんで、実は日番谷の方が黒幕、日番谷の殺気察知能力は稚拙……の二点の展開が無い限りは、今話ラストで雛森がピンチなのは確かです。

 雛森−日番谷物語がBLEACHで一番好きなので、次回以降のこの二人の帰結には期待です(今度の過去篇はこの二人でお願いしたかったりしてるんで)。

●DEATH NOTE

 前回の感想での予想通り、新視点キャラ投入で仕切り直しということに。しかもさらに予想通りに少年キャラですよ!かなり、体制的な不条理な大人に子どもが子どもパワーで反逆していくタイプの少年漫画らしくなって面白そうです。二人というのがイイ。やはり、子どもパワーの王道は友情パワーだと思うんで。

 図柄無しのパズルを黙々と組み立てる描写とかイイですね。ただの少年じゃない感を演出する絵としては最高です。再開が楽しみです。

●ユート

 お母さんが名前を書いてくれたノーマルだから……という理由が子どもらしくて良いです。この年頃だとまだ反抗期にも入ってなくてお母さんの存在はとても大きいと思うので。

 普通に引き込まれる漫画です。

 まだ早い話ですが、物語が進めばそんなお母さんの想いを踏まえつつも、タイムのためにスラップを履く時が来る……なんて展開がありそうです。

●ミスフル

 良かった。今シリーズラスト数話は普通に感動した。ずっと根津の仲間に対する想いを描いていたので、ラストは三振ではなくキャッチャー猿野によるタッチアウトというのが、「仲間パワー」していて良かった。

●D.Gray-man

 やっぱり、人間−アクマの二項対立へのハテナマークがキーになりそう。

 この前の団服の話は、ネガティブな意味合いに裏返るのもありそう。「仲間と同じ覚悟をしたんだ」と、アクマなら倒す覚悟をしたというアレンに対して、マナなる人物の「ならばより深く より白黒の世界へ墜ちてゆけの言葉が挿入されます。白−黒のような二項対立の捉え方は「墜ち」てるんだとも捉えられます。

 ここのマナなる人物の声が聞こえてくる所とか、この漫画の心理演出の描写は結構好きです。

●ムヒョとロージーの魔法律相談事務所

 エンチューは救われるキャラのような気がします。ムヒョ、威圧的に魔法律絶対主義っぽくみせて、実は主観で救いを与えたりしちゃうキャラだってのが魅力だと思うんで。

 エンチューに関しても凡人は嫌いとか罵りつつ、敵対したりしつつも、最後はピコっと救いを与えてやるという展開を予想&期待します。

●武装錬金

 最高話。

 和月哲学が凝縮された一話です。

 当人が死んだ後も、想いを継ぐ者がいれば……という、古くは「るろうに」の巴と剣心の死者と生者という関係性で描いたテーマ、今作では序盤の犠牲者の墓にカズキと斗貴子が手を合わせる描写から始まって、蝶野戦の時の「もしもお前が犠牲者に償うと誓うなら……」から始まるカズキの最後の説得の場面で描いたテーマ。

 なので、「死んだ人間のコトなんかとっとと切り捨てろ!」という火渡に対して、ブラボーが(というか和月先生が)頷くはずがない。「この子達を守るためならば――…」に凝縮されたブラボーの「守る」という信念(この言葉もこれでもかと深く掘り下げられてきました)、その想いを受け継ぐ者としての、ブラボー越えを果たしたカズキ。最後にカズキと斗貴子を「おれの過去の希望と…そして未来の希望…」と評した所で涙腺にキました。今話10回くらい読みました。死者と生者の垣根を越えるほどの過去から未来への想いの受け継ぎ。和月漫画の普遍テーマの一つが凝縮されていたと思います。

●ワークワーク

 感動の予感。なんだかんだいって、裏では「赤き血の人間」−「黒き血の人間」−「機械」という「括り」に捕らわれていてる参賢者に対して、それらを無化してる神様……でエンディングじゃないかなぁ。既に無化してもらったレオらと、神様を個人としてみてるシオとで最後の困難に立ち向かうという構図が熱い。

●当ブログでは

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