+2005年03月の週刊少年ジャンプ+

■14号/WJ感想
 

●ONE PIECE

 ヨコヅナが海列車に挑む理由(トムさんを連れてっちゃった列車だから挑んでるんだよね?多分)、及びフランキーが現在は解体屋をやってる理由が感動的なテイストで明かされて大満足。この伏線を(感動的な)新情報で回収という物語の作り方、良質な過去篇のお手本のような話だと思いました。ONE PIECEの大きいエピソードには必ず入る過去篇です。尾田先生、そろそろ過去篇の巧(たくみ)になってきてます。ウォーターセブン篇の最初にギャグテイストでヨコヅナが登場した時にまで物語が回帰してるのが凄い。綿密に計算していたというよりは最初は面白い設定どんどん出しちゃえって感じなのかもしれないけれど、それをしっかり回収してるのが凄い。こういうのを読まされると、大きい話の方で無数に広げられている伏線の方も、しっかり畳んでくれるんじゃ、だとしたらONE PIECE100巻まで読まなきゃ、という気にさせられてしまいます。

 トムさんに「夢」を語らせて、さらにフランキーの「おれもいつか夢の船を造りてェから……!!」で終わってるのもONE PIECE的でステキ。前回の感想では今シリーズでは船大工という「仕事の矜持」を描いてるなんて書きましたが、一方でやっぱり「仲間」と同格のONE PIECEの大きい物語でのテーマ、「夢」もこの一遍にからめてるんですね。それでもやっぱり捨てきれない夢を叫ぶんだけど、現在のフランキーは解体屋に甘んじているというのが、泣ける話です。フランキーの船造りとしての夢は尾田先生のもの造りとしての夢もブチ込んで描いてそうです。「おれもいつか夢の漫画を描きてェから……!!」みたいな。

●BLEACH

 日番谷間に合わなかった!

 前回雛森がピンチなのは確かとか書いておいて早速のこの展開ですよ。藍染−雛森カップリングで同人誌とか描いてた人達は絶叫してそうな展開です。

 僕としてもBLEACHで一番好きなヒロインだったのでこれは痛い。唯一死んだ藍染さえ生きていたということで、BLEACHは基本的に主要キャラは死なない漫画ってことで雛森が完全に死ぬことは無いような気がするけれど、一線からドロップアウトするのは確か。主人公級の主要メンバーと絡んでガンガン活躍して欲しいと思ってた自分としては残念無念な展開でした。

 日番谷間に合わなかったのは間に合った一護と対照的ですな。

●魔人探偵脳噛ネウロ

 「ファウスト」の評論辺りで取り上げ甲斐がある漫画だなぁなんて思ったり。東浩紀氏の現代創作に関する評論辺りの、現実を忠実に切り取った自然主義的な物語と、現実軽視の荒唐無稽な物語と、現代の読者はどっちにより「リアル」を感じているか……みたいな部分辺りで。

 簡略に言ってしまうと、現実VSはったり。

 その視点から見ると、ネウロはかなりはったりベクトルの漫画ですよね。現実にも通用しそうな限定状況、推理条件、動機描写なんかは丁寧にやる気がさらさらなくて、魔界の力で解決とか、視覚的演出で読者を惹きつけようとか、はったり重視で探偵物エンターテイメント。

 武装錬金の単行本コメントで、和月先生が火渡の登場シーンのバックに炎を描くか(はったりをキかすか)、現実を取るか(炎描かない)で迷ったなんて記述がありましたが、ネウロははったりで炎燃やしまくりと……そんな漫画。

 でも今のWJってはったり傾向の漫画が多いような気がする(メイン読者層にも好まれてる)のですよ。綿密に取材して、現実のスポーツ選手も使う技術を描き、現実のスポーツ選手も経験するような葛藤を描く漫画よりは、「テニスの王子様」みたいな荒唐無稽ではったり重視の漫画の方が好まれる。

 そう思うと、新連載の「ユート」は興味深いですね。はったり全盛のWJにおいて、綿密に取材してわりと「現実」ベクトルでスピードスケートを描く漫画として始まったのが「ユート」だと思います。

 二つの新連載として、現実ベクトルの「ユート」とはったりベクトルの「ネウロ」が始まったのが非常に興味深い。打ち切りレースの結果に興味津々です。これで「ユート」が打ち切られて「ネウロ」が読者に支持されるようなことになると、いよいよWJははったりベクトルの漫画の全盛期なんだぁと、そうなるワケですよ。

●HUNTER×HUNTER

 ハンター協会が一枚岩じゃない、様々な軋轢のためにフラットに動けない組織のマイナス面を抱えてるという設定が挿入されたのは凄い面白いと思いました。組織の縛りなど微塵もなくあっさりとキメラアントを掃討してみせた幻影旅団との対比だと思いました(唐突に挿入された感もあった幻影旅団エピソードが生きてくる)。なんで、今後は組織の軋轢ゆえに後手に回って犠牲者を出すハンター協会をしり目に、幻影旅団のような自由人的ハンター達が活躍してキメラアントと戦っていくという展開を希望。最終戦にフリーなヤツらが各々の意志で戦いに参加、結果結集していくという展開は非常に燃えるんで。

●武装錬金

 エーっ。ブラボー生きてたー。

 ……と、この感覚を味わうのは武装錬金で二度目です。

 一度目は、無論対蝶野戦。あの時も和月死生観が炸裂しつつ感動的に蝶野死んでおいて、次の週には「蝶、サイコー!」で復活だったという。

 なんで、武装錬金はこういう漫画なのかなと、先週の感動は何だったの?感を再び味わいつつも納得。勿論文芸的なベクトルでは死んだままの方が明らかに「深い」話になるんですが、現にエンターテイメントとしてはパピヨンが生きてたおかげで武装錬金は何倍も面白くなった点は中々否定できない所。ブラボーも、生き残ったことによって作品がエンタメベクトルで面白くなってくれれば結果OKということで。何だかんだで傷ついた体を押してピンチの時に颯爽と助けに来るブラボーという図は想像すると燃えてしまいますしね。

 ただ先週はブラボー生存の伏線が無いなんて書いちゃったんですけど、実は微妙にありましたな。先週冒頭に出てくる黒服の男。この男にもうちょっと注目するべきだった。照星部隊という名称に、ブラボーらよりエラそうな黒服の男が描写されていたという伏線。強力な新キャラ登場でブラボーが助かるという展開は、そこから読もうと思えば読める展開でした。一応、作りは丁寧になっています。

●怪盗銃士

 最初に封印した看板をクライマックスで使うというのはベタながら、そこに書いてある文字「I's MIRACLE」までギミックに使うというのは小粋だなと思いました。

 主人公の自己陶酔ハイテンションな性格が、実は姉を失った哀しみの防衛規制ゆえ……と明かされる流れも、中々味があって良かったんじゃないかと。

 もう1話くらいさらっと読切で読んでみたい、そんな感じの漫画でした。

●こち亀

 今週は爆笑でした。

 「海限定というルールは無い!ゴールへ行けばいいのだ!」

 から、

 「両津!陸上は無理があるぞ!

 までの流れで笑った。そりゃ無理あるよ!と思いっきり心の中でつっこんでた。こういうバカ話のこち亀は大好きです。

●ワークワーク

 「キミは神の血を受けたことのある少年だね?」

 の部分、キク→レオで何か授けたっぽい?(深読みし過ぎ?でもキクが直接レオを攻撃した描写が無いのは意図的なようにも思えるし)。

 参賢者の思惑が一様でない伏線、尺が無さそうなのにわざわざ一話かけてシオ−レオの絆確認話を挿入した藤崎先生の意図から、レオがラストのキーマンになって活躍する展開に一票。

 「護神像にこのような機能はないはず!」のシオ完全融合は、実はシオは……みたいな設定回収回で説明される現象というよりも、少年主人公特権のミラクルパワーとして解釈しちゃってよさ気な印象。親子愛がもたらす奇跡。感動するじゃぁないですか。

 シオも自分の死を覚悟、神様も「私はもういいから!!」と、ここまで仮面ライダー龍騎エンドまっしぐらな展開なんですが……。レオが頼りです。何とかシオと神様(と読者)に幸せな結末を……。

●当ブログでは

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■15号/WJ感想
 

 管理人多忙につき、今週号の感想はお休みさせていただきます。

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◇ピコ感想

・BLEACH

 絶体絶命のピンチの所で藍染とギンが助けに来るというラストだった雛森世代の過去篇までが布石だったというのに感心。ヒーローとして描かれていた登場人物が一転ダークサイドのラスボスという裏返りっぷりは燃えるものがあります。

・ワークワーク

 キクの離反、レオの活躍でラストじゃないかなぁ。赤い血の人間(神様)、防人(シオ)、黒い血の人間(レオ)、機械(キク、プラ)が協力し合うというラストでばっちり帰結するし。
 
■16号/WJ感想
 

●ONE PIECE

 ウォーターセブン篇は凄いです。今までの物語、描写が後になればなるほど全て意味を持ってくるのが凄い(しかもサプライズつきで)。全ONE PIECE中ベストエピソードじゃないだろうか。

 まずロビン、

 「一度捨てた命も……!!失った心も 途絶えた夢もみんな掬い上げてくれる こんな私を信じてくれる仲間ができた……」(ロビン)

 の感動指数が高いのは、台詞の隅々が今までの物語で描写されてるからですよね。

 「一度捨てた命も……!!」→僕的アラバスタ篇のメインだった、ルフィがロビンを助ける場面。

 「失った心も……」→ロビンがナチュラルに笑えるようになるまでのそこかしこにちりばめられた描写。

 「途絶えた夢も……」→アラバスタで「私の夢には敵が多すぎる」と命を絶とうとしていたロビンが、主に空島篇を通して歴史をラフテルへという夢を再獲得するまでの物語(今回の台詞にて、空島篇の内容、テーマがロビン物語では外せないくらい重要だったのが分かる)。

 そしてバスターコールの脅威から麦わら一味を守るためゆえの離脱だったという今回の種明かし。ロビンがこういう行動を取るにあたっての理由づけとして、青キジの話が効いているのだと思います。青キジの話は挿入された時は結構唐突なバトルで、しかもルフィが負けるというビックリ展開だったのですが、ロビンがひどく狼狽していた描写が何気に重要だったのですね。それゆえに青キジの脅威からロビンが今回こういう行動を取るに至るためのタメだったとすると、あのタイミングで青キジとのバトルが挿入されたのが適切だったのが分かります。

 最後に、「引き金を引けなかった……」というアイスバーグさんとかね、この前までの過去篇で仲間と共に海列車を作るアイスバーグさん、フランキーを始め仲間の尊さを知るアイスバーグさんだからこそ、仲間のためというロビンに対して引き金を引けなかったという。過去篇のタイミングもバッチリだったことが分かります。

 これまでの物語をこれでもかと使い切ってます。

 そして、あらゆる物語で王道の、「バラバラになった仲間が再集結する」パターンの物語にこれからなっていく展開です。これだけ熱いテイストで「仲間」をテーマに掘り下げた上でこの「再集結」パターンをやる物語も無かったんじゃないだろうか。

 これ、今年の僕的ナンバー1漫画候補です。

●BLEACH

 藍染激強です。「完全催眠」。最初に解放の瞬間を見せておかなきゃならないという弱点さえのぞけば、最強能力です。そりゃ日番谷も負けるわという能力です。完全に誤認させておいてから藍染はゆっくりと斬りつければいいわけですから、『ジョジョ』の各部のラスボスの能力に通じる最強加減です。これはラスボスにふさわしい。全ての謎が、「完全催眠」によって瀞霊廷内が一種の「共同幻想」に落とされていたというのも、京極夏彦『姑獲鳥の夏』チックで個人的に燃え。

 あとは日番谷、雛森の再起イベントですよ。今話ラストでルキアの前に藍染らが現れて、一護とも因縁が形成されそうな展開ですが、今まで張ってあった因縁描写からすると、日番谷、雛森が再起して打倒する展開こそがふさわしい。一護らには別に敵作って、藍染には日番谷、雛森が対する展開にならないものかなぁ。

●ユート

 お父さん非道い。今のとこ大人がカッコ悪く描かれてる漫画です。腐った大人が作った世界に対して真っ直ぐ子どもパワーで子どもが立ち向かっていくという意味では清々しいくらいに少年漫画です。真っ直ぐ子どもパワーを色濃く担ってるのが吾川くん。「おまえは出るのか?出ねェのか?出ねェんなら横でガタガタ言うな!」の啖呵は気持ちよかった。あれこれ理屈やら可能性やらをこねくり回してからやるかどうか決めようとして、結局あきらめてしまうのが大多数の大人。まずやると決めて行動から入るのが子ども。ストレートに子ども賛歌を描いてるこの漫画は気持ちいいです。

●魔人探偵脳噛ネウロ

 やはり犯人探しがメインの推理モノではなくて「謎」にまつわる演出や雰囲気重視のエンターテイメントってことで、犯人が最初から明かされてるパターンの話も余裕で持ってきます。

 それにしても成功を呼ぶ料理がステキ過ぎ。

 「コカイン、ヘロイン、覚醒剤、モルヒネ、ペンタゾシン……」

 って、なんか成功を呼ぶどころか廃人を量産してきたんじゃないかって気がしますが、成功を呼ぶ料理として名声を得るまでにはどんな裏物語があったんだろうか。客が全部ジャック・ハンマーだったとかだろうか。

●いちご100%

 切ねー。これも、真面目ベクトルでいちごベストエピソードに入りそうな1話です。

 告白の時も映画の撮影だからと偽り、告白が「西野と出る 俺達またつきあってんだ」と実質NOで返された涙も「映画に感動して……ごめんね」と偽ってしか答えられない東城が切ない。

 そもそも、映画での告白シーンをバックに、その告白に対する解答を現実世界でNOとして解答してるというシチェーション作りが切ない。おそらくは映画の方はOKで恋愛成就のエンディングなんでしょう。ところが現実の方は……という。

 今回の河下先生は素晴らし過ぎの一言。

●RARE GENE 4

 普通に強化系(力自慢だけどちょっとバカ)と変化系(頭脳派)のコンビのエンターテイメントで楽しめました。

 何気に序盤の

 「ハハ 風水は特別寒がりだからねぇ」

 の台詞に

 「ナニ平然と爆裂にサワヤカにあたしの正体バラしてんのよ!?」

 とやりとりする場面が二重の意味を持つ伏線だったのがニクい。表面的に風水という名前=怪盗という正体をバラしてるという意味と、寒がりだから=ティラノサウルスのRARE GENEという正体をバラしてるという意味で。

 ラストの、

 「あたし達の憎しみの熱に較べりゃ屁でもねーんだよ!!」

 も、設定的、理屈的には意味不明だけど、ずっとウィークポイントとして描写されてた「寒さに弱い」を克服してるラストという意味ではカタルシスがあって良かった。

●ワークワーク

 僕的には超序盤から予想していた通り、第01話から真の意味での神ポジションにいた黒い影(コト)がラスボスになり、ゲームマスターに反逆するタイプの物語になったので、個人的には満足。

 あとは神様が「本当の意味での神様的な行動を取る」or「神ではなく本当の意味で人間的な行動を取る」でラストその1(「願い」のテーマ的には後者希望ですが)、人間−機械のカテゴリー二項対立の方のテーマは「黒い血だから抹殺」というどっぷりカテゴリー依存のコトを、ヨキ(黒い血の人間)、キク、プラ(機械)、神様(赤い血の人間)、レオ(赤い血を受けた黒い血の人間)、シオ(?)のカテゴリ無化の共生パワーで撃破して美しくエンディングでラストその2だと思います。

 シオのために手首を自らかみ切る神様の絵が良かった。この「血を分け与える」という描写を色々と記号的に使っただけでこの作品は勝利という気がします。レオに血を分け与えた時の感動とイイ、どうにも心を揺さぶられる描写です。

●武装錬金

 少し前から描写されてきましたが、今話にて火渡が悪役からほぼ肯定的なポジションに移行。再殺部隊篇はいたる所に敵−味方の概念のシャッフルがテーマになってましたが、これはカズキの仲間サイドを作り上げるためのシリーズの意味合いがあったためだったのかもしれません(ヴィクターへの仕打ちの伏線があるので、まだ錬金戦団全部が仲間になるとは思ってませんが)。毒島とか、既にギャグキャラでイイヤツキャラ化してきてるし……。

 ここで、いつだかの

 「守りたいものが同じなら きっと必ず戦友になれる」(カズキ)

 のカズキの台詞や、カズキが無闇に再殺部隊の命を奪わなかった描写が伏線として効いてくるワケですね。

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■17号/WJ感想
 

●寒月に咲く/BLEACH

 BLEACHは番外編の使い方が上手いです。この前の雛森世代の3人の番外編の時は、雛森、イヅル、恋次がやがてそれぞれ別の道を行くというような暗示で締められていたんですが、ご存じの通り現在では事実そういう展開になりました。なんで、今回のラストも何かしら今後の展開への暗示が含まれていると考えた方が自然です。

 「昇り、輝き そして必ず散り散りになって離れていく」

 という日番谷のモノローグなので、雛森、日番谷、松本、藍染の4人も今後離れていく展開への暗示と取れます。既に藍染は離れていってしまったワケですが、日番谷−松本、日番谷−雛森も離れるっぽい。ただ、

 「ならば せめてその時が来ても 俺達は花火のように消えることなく 輝いていよう」

 で締められているので、離れるといっても、どちらかというとポジティブな離れって感じ?藍染にべったりだった雛森の再起は自立がテーマになると思われるので、離れても輝いていようという暗示は中々燃えるものを感じます。

●BLEACH

 「天挺空羅」は、物語を作る技術上の裏技って感じ。群像劇で複数の登場人物が別々の場所で行動する物語の場合、それぞれの登場人物間で持ってる情報に格差があり、その情報格差が原因ですれ違いバトルへ……って感じの作り方が王道だと思うんですが(現にそれでBLEACHこれまでやってきた)、あまりに登場人物が入り組み過ぎてきたためか(誰がどこまで何を知って行動してるのか、とかを考えるのが大変になったのか)、魔法的な能力で一瞬にして全登場人物間の情報格差をゼロにするという裏技を使っちゃいました。

 使っちゃうのは構わないんですが、ちょっとこの凄まじい能力を使うにしては物語の段階がまだ早いような気がしました。もう使っちゃうんだ、みたいな(それとも実はもう最クライマックスなんだろうか)。勇音さん何気に凄すぎです。裏技的な能力なので、色々な作品でクライマックスのキーで出てくる大技のような気がするんですが。『ドラゴンボール』のラストの界王様の能力とか、『ダイの大冒険』のラストのゴメちゃんの最後の力とか。

◇そしてまたボス級と対面しちゃう恋次

 これだけ前座的にバトルさせられる役のキャラになると、逆に真に勝利する熱い展開がいずれ訪れるという希望を抱きたくなってきます。

●ONE PIECE

 ルフィまたハサまってました。これはただ単にまたハサまっちゃったよ!というギャグ描写なのか。
 繰り返し今シリーズでハサまっちゃった描写を入れてるというのは、何かしら今シリーズのバトル辺りでハサまっちゃったギミックを使うんじゃないか?なんて考えるのは深読みし過ぎでしょうか。空島篇の腕に黄金付いちゃったのがギミックに使われたような感じで。

 パウリーの「――もうあんな思いするのは おれとあなたで……充分でしょ」も熱い。結果としては仲間(ロビン)に裏切られなかったのはルフィ達で、仲間に裏切られたのはパウリーとアイスバーグさんだったという対比。「仲間」をキーに掘り下げまくってるなぁ。

●D.Gray-man

 ミランダ編と同じく、エンディングを結ぶ視覚的演出がキレイ。ミランダ編もラストの幸せそうな夫婦とミランダがすれ違ってアパートから出て行く演出がステキだったけれど、今回の御祖父様の所有物しかなかった城を炎上させて旅立つという演出もステキ。この漫画は登場人物がエクソシストとして生きていく決意する回が美しいです。

 そして、クロウリーに決意を促したアレンの言葉が、「アクマだから壊す→エリアーデもアクマだから壊した」という「理由」のために生きていけというように、前の白黒云々の比喩だったら、「黒だから壊す」を正当化した、現時点では二項対立な答えなのが熱い。これはそのウチ本当に白黒で割り切っていいの?という展開になっていくタメだと思いますが、現時点では白黒割り切ってます。そう考えると、主人公特権の設定がその白黒を見破れる能力というのは、かなり熱いもののように思えます。

●魔人探偵脳噛ネウロ

 ドーピングコンソメスープは笑った。最後は犯人とバトルになるという展開で、推理モノ云々の型を余裕で破ってるだけじゃなく、犯人がバトル漫画ばりにドーピングで巨大化というのが面白かった。この面白ければOK的なこの漫画のスタンスは大好きです。

 弥子を利用してるだけのネウロが、たまに弥子の内面を適切に代弁してる辺りがピコ深い(「食べる事はそれ自体が幸せだ」と そんな事はこの僕でも分かるというのに……の辺りとか)。

●銀魂

 銀さんが神楽を引き留めなかった理由が感動的なテイストで回収されて良かった。親父燃え。カッコいいハゲ親父というのを描ききってくれたのが良かった。身体的特徴云々と過敏に反応する人も世にいますが、こうやってネタにしつつカッコよく描いたりすることでこそ差別感とか無化されていくんじゃないでしょうか。

●ユート

 登場人物をほぼ瀬尾と吾川にだけ絞った1話。対照的な二人の掛け合いは面白いです。今の所スケートの方の物語より、雄斗の家庭の、父親が遅くなって自分でご飯炊いてレトルトカレーという描写とかの方が気になる。今の所雄斗の家庭の描写はネガティブ描写だよなぁ。そこから抜け出すようにスケートに打ち込んでいくんでしょうか。しんみり家庭描写に吾川からの電話が鳴る所は良かった。これは陽気をいっぱいに詰め込んだ吾川がこのしんみり家庭から雄斗を引っ張っていく展開かな。

●いちご100%

 美鈴のキャラクターとしての役割が完結したって感じがしました。尊敬する東城先輩の想いを間接的に真中に伝える今話が美鈴物語の最ヤマのような気がします。もう、最終回まで特に美鈴にスポットが当たらなくても納得できるくらいです。そして、そんな一登場人物的には最大の見せ場を、シリアスビジュアルじゃなくてエロメイドコスプレでこなさなくてはならない辺りがいちご100%です。

●武装錬金

 「ごきげんよう」は『マリみて』知っててやってるんだよね?宇宙から降り注ぐアイデア波(吼えろペンネタ)が和月先生と今野先生を同時に直撃してたとかじゃないよね?『ネウロ』の「俺の料理は至高にして究極だぁ!」の台詞とか(美味しんぼネタと思われる)、多作品ネタが結構見つかった今号でした。

 本編の方は久々のギャグパートで面白かった。斗貴子さんがいないと御前様がメイン突っ込み役にならなきゃならないのが面白かった。

 そして登場した少女は脇キャラにしては髪を凝らしてみたりで「立っている」ビジュアルをしてる点に、意味深な「そう――なんだ…」のコマに一人何か気付いたっぽいパピヨンのコマが挿入された点とで、結構重要キャラっぽいですよ。 まひろが抜けた分のヒロイン補強でしょうか。次回楽しみです。

●ワークワーク

 ヨキの使い方が効果的。2ページ目からワイワイ集まってくれるプラちゃんらをしり目に、冷めた表情してて、そこから後半の「私達は滅びたのだ」までの語り。奇跡なんか起きないという諦観した思考で絶望気味のヨキを描いたからこそ、だからこそ、ラストの「私は…あなたにどう報いればいいのでしょう… …せめて せめて命をかけて」の神様のシーンが、それでもっ!って感じで感動的だった。

 シオと神様お互いが命をかけたここ数話のクライマックスだけでも第1話から追いかけてきた甲斐があったなーと思っております。

●当ブログでは

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