●ONE PIECE
ヨコヅナが海列車に挑む理由(トムさんを連れてっちゃった列車だから挑んでるんだよね?多分)、及びフランキーが現在は解体屋をやってる理由が感動的なテイストで明かされて大満足。この伏線を(感動的な)新情報で回収という物語の作り方、良質な過去篇のお手本のような話だと思いました。ONE PIECEの大きいエピソードには必ず入る過去篇です。尾田先生、そろそろ過去篇の巧(たくみ)になってきてます。ウォーターセブン篇の最初にギャグテイストでヨコヅナが登場した時にまで物語が回帰してるのが凄い。綿密に計算していたというよりは最初は面白い設定どんどん出しちゃえって感じなのかもしれないけれど、それをしっかり回収してるのが凄い。こういうのを読まされると、大きい話の方で無数に広げられている伏線の方も、しっかり畳んでくれるんじゃ、だとしたらONE PIECE100巻まで読まなきゃ、という気にさせられてしまいます。
トムさんに「夢」を語らせて、さらにフランキーの「おれもいつか夢の船を造りてェから……!!」で終わってるのもONE PIECE的でステキ。前回の感想では今シリーズでは船大工という「仕事の矜持」を描いてるなんて書きましたが、一方でやっぱり「仲間」と同格のONE PIECEの大きい物語でのテーマ、「夢」もこの一遍にからめてるんですね。それでもやっぱり捨てきれない夢を叫ぶんだけど、現在のフランキーは解体屋に甘んじているというのが、泣ける話です。フランキーの船造りとしての夢は尾田先生のもの造りとしての夢もブチ込んで描いてそうです。「おれもいつか夢の漫画を描きてェから……!!」みたいな。
●BLEACH
日番谷間に合わなかった!
前回雛森がピンチなのは確かとか書いておいて早速のこの展開ですよ。藍染−雛森カップリングで同人誌とか描いてた人達は絶叫してそうな展開です。
僕としてもBLEACHで一番好きなヒロインだったのでこれは痛い。唯一死んだ藍染さえ生きていたということで、BLEACHは基本的に主要キャラは死なない漫画ってことで雛森が完全に死ぬことは無いような気がするけれど、一線からドロップアウトするのは確か。主人公級の主要メンバーと絡んでガンガン活躍して欲しいと思ってた自分としては残念無念な展開でした。
日番谷間に合わなかったのは間に合った一護と対照的ですな。
●魔人探偵脳噛ネウロ
「ファウスト」の評論辺りで取り上げ甲斐がある漫画だなぁなんて思ったり。東浩紀氏の現代創作に関する評論辺りの、現実を忠実に切り取った自然主義的な物語と、現実軽視の荒唐無稽な物語と、現代の読者はどっちにより「リアル」を感じているか……みたいな部分辺りで。
簡略に言ってしまうと、現実VSはったり。
その視点から見ると、ネウロはかなりはったりベクトルの漫画ですよね。現実にも通用しそうな限定状況、推理条件、動機描写なんかは丁寧にやる気がさらさらなくて、魔界の力で解決とか、視覚的演出で読者を惹きつけようとか、はったり重視で探偵物エンターテイメント。
武装錬金の単行本コメントで、和月先生が火渡の登場シーンのバックに炎を描くか(はったりをキかすか)、現実を取るか(炎描かない)で迷ったなんて記述がありましたが、ネウロははったりで炎燃やしまくりと……そんな漫画。
でも今のWJってはったり傾向の漫画が多いような気がする(メイン読者層にも好まれてる)のですよ。綿密に取材して、現実のスポーツ選手も使う技術を描き、現実のスポーツ選手も経験するような葛藤を描く漫画よりは、「テニスの王子様」みたいな荒唐無稽ではったり重視の漫画の方が好まれる。
そう思うと、新連載の「ユート」は興味深いですね。はったり全盛のWJにおいて、綿密に取材してわりと「現実」ベクトルでスピードスケートを描く漫画として始まったのが「ユート」だと思います。
二つの新連載として、現実ベクトルの「ユート」とはったりベクトルの「ネウロ」が始まったのが非常に興味深い。打ち切りレースの結果に興味津々です。これで「ユート」が打ち切られて「ネウロ」が読者に支持されるようなことになると、いよいよWJははったりベクトルの漫画の全盛期なんだぁと、そうなるワケですよ。
●HUNTER×HUNTER
ハンター協会が一枚岩じゃない、様々な軋轢のためにフラットに動けない組織のマイナス面を抱えてるという設定が挿入されたのは凄い面白いと思いました。組織の縛りなど微塵もなくあっさりとキメラアントを掃討してみせた幻影旅団との対比だと思いました(唐突に挿入された感もあった幻影旅団エピソードが生きてくる)。なんで、今後は組織の軋轢ゆえに後手に回って犠牲者を出すハンター協会をしり目に、幻影旅団のような自由人的ハンター達が活躍してキメラアントと戦っていくという展開を希望。最終戦にフリーなヤツらが各々の意志で戦いに参加、結果結集していくという展開は非常に燃えるんで。
●武装錬金
エーっ。ブラボー生きてたー。
……と、この感覚を味わうのは武装錬金で二度目です。
一度目は、無論対蝶野戦。あの時も和月死生観が炸裂しつつ感動的に蝶野死んでおいて、次の週には「蝶、サイコー!」で復活だったという。
なんで、武装錬金はこういう漫画なのかなと、先週の感動は何だったの?感を再び味わいつつも納得。勿論文芸的なベクトルでは死んだままの方が明らかに「深い」話になるんですが、現にエンターテイメントとしてはパピヨンが生きてたおかげで武装錬金は何倍も面白くなった点は中々否定できない所。ブラボーも、生き残ったことによって作品がエンタメベクトルで面白くなってくれれば結果OKということで。何だかんだで傷ついた体を押してピンチの時に颯爽と助けに来るブラボーという図は想像すると燃えてしまいますしね。
ただ先週はブラボー生存の伏線が無いなんて書いちゃったんですけど、実は微妙にありましたな。先週冒頭に出てくる黒服の男。この男にもうちょっと注目するべきだった。照星部隊という名称に、ブラボーらよりエラそうな黒服の男が描写されていたという伏線。強力な新キャラ登場でブラボーが助かるという展開は、そこから読もうと思えば読める展開でした。一応、作りは丁寧になっています。
●怪盗銃士
最初に封印した看板をクライマックスで使うというのはベタながら、そこに書いてある文字「I's MIRACLE」までギミックに使うというのは小粋だなと思いました。
主人公の自己陶酔ハイテンションな性格が、実は姉を失った哀しみの防衛規制ゆえ……と明かされる流れも、中々味があって良かったんじゃないかと。
もう1話くらいさらっと読切で読んでみたい、そんな感じの漫画でした。
●こち亀
今週は爆笑でした。
「海限定というルールは無い!ゴールへ行けばいいのだ!」
から、
「両津!陸上は無理があるぞ!」
までの流れで笑った。そりゃ無理あるよ!と思いっきり心の中でつっこんでた。こういうバカ話のこち亀は大好きです。
●ワークワーク
「キミは神の血を受けたことのある少年だね?」
の部分、キク→レオで何か授けたっぽい?(深読みし過ぎ?でもキクが直接レオを攻撃した描写が無いのは意図的なようにも思えるし)。
参賢者の思惑が一様でない伏線、尺が無さそうなのにわざわざ一話かけてシオ−レオの絆確認話を挿入した藤崎先生の意図から、レオがラストのキーマンになって活躍する展開に一票。
「護神像にこのような機能はないはず!」のシオ完全融合は、実はシオは……みたいな設定回収回で説明される現象というよりも、少年主人公特権のミラクルパワーとして解釈しちゃってよさ気な印象。親子愛がもたらす奇跡。感動するじゃぁないですか。
シオも自分の死を覚悟、神様も「私はもういいから!!」と、ここまで仮面ライダー龍騎エンドまっしぐらな展開なんですが……。レオが頼りです。何とかシオと神様(と読者)に幸せな結末を……。
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