+2005年05月の週刊少年ジャンプ+

■21・22号/WJ感想
 

●ONE PIECE

 世界政府、第1巻のコビーとゾロの話の辺りから、ONE PIECE内では「海賊」であるルフィ達の「敵」として描写されてきた存在ですが、いよいよ大きい話で世界政府と対立する物語になっていくみたいです。これは燃えます。
 前にも書きましたが今になって青キジとのバトル編が物語にスゴい効いてきてますよね。連載当初はなんで突然新キャラとバトル?しかもルフィ敗北?と思ったものですが、ここで青キジを通して、その所属する世界政府をルフィが敗北するほどの強敵であると印象づけておいたからこそ、今回のそれでも仲間(ロビン)のために世界政府の中枢に乗り込むんだというルフィ達の覚悟を際だたせます。

◇エニエス・ロビーについて詳しく知ってて解説役に回るのがナミだというのが良い

 所々によく本を読んでて博識な描写がありますんで自然です。こういう解説キャラになっても自然なように描かれてないキャラが突如都合上解説キャラになって、「お前は雷電か!」とつい突っ込みたくなってしまうパターンの漫画もあります。何にせよ自然に読ませてくれるのはありがたいことです。

◇「じゃあ船は奪っていく!!」の所の波ドパーン演出がステキ

 映画的手法っていうんでしょうか。強い台詞に動きがある波をかぶせて強調。漫画という媒体での演出方法にも幅があるよなーとしみじみさせられます。

●DEATH NOTE

 第2部の感想を書くのは初めてになります。なんで、今週号の感想というより第2部開始にあたっての感想なんですが、とりあえず相変わらずライト視点で物語が進行する形式だったのが僕の予想と大きく外れましたね。もっとこう、ライトはラスボスの座に居座って、視点はメロ&ニアの少年コンビにあって、ふたりが少年漫画テイストにライトに立ち向かっていく形に物語の型をチェンジするものかとばかり思ってました。

 が、実際フタを空けてみればいつものDEATH NOTEで、ライトはライトで、物語の形式も、あ、いつものDEATH NOTEだ、みたいな。

 一部のラストでパズルに没頭しているシーンが入り、ちょっと人間味に欠けるかな?というのが既に描写されていたニアはともかく、メロの方はもっとこう人間味があって、読者が感情移入できるような視点キャラになるのかな?なんて淡い予想をしていたんですが(あるいは成長キャラとか)、実際は感情移入キャラどころか、ガンガンマフィアと結託して黒いことも辞さない黒キャラだったという。

 やっぱDEATH NOTEはDEATH NOTEで、努力シーンであるとか、それによる成長のカタルシスだとかを味わえる路線に変更したりはしなかったんだなと。登場人物に感情移入して読者が一喜一憂しながら読むというよりは、よくできたパズルが出来上がっていく過程を鑑賞するような感覚で読む漫画といいますか。熱い少年漫画路線変更という勝手な予想が当たらなくてガッカリな反面、やっぱいつものDEATH NOTEが安心してこれからも楽しめて良かったかなと、そんな第2部序盤の感想です。

●ムヒョとロージーの魔法律相談事務所

 魔具士のビコ(我孫子 優)は魔法モノの定番キャラって感じですね。魔法関係の道具のお届け人。『おジャ魔女どれみ』で言う所のララです。そして、主人公らに何かしらイベントを持ち込んでくる役割のキャラというのも定番。
 そしてイベントが持ち込まれた結果、主人公達はホームポジションの街を離れてちょっとした非日常の異界へと旅だっていくんですね。この日常パートと異界パートを使い分けるのは物語の起伏を生み出すテクニックだと思います(この前の魔法律の街へ行ったエンチュー編なんかが異界パート、その他日常の街で紡がれる物語が日常パート)。『おジャ魔女どれみ』でもうまく日常パートと魔女界パートを使い分けていました。そのウチ、おジャ魔女同様、僕は日常パートが好き、私は異界パートが好き……と読者の嗜好も分かれてくるんじゃないでしょうか。両方のパートの魅力を上手く止揚していけたらとてもイイ作品になると思います。

◇「うんっ!今からドーナッツ持って遊びに行くとこだけど……」のコマのナナちゃんが

 異様に可愛い!

●アイシールド21

 ポセイドン戦のときはこれでもかと「身長差」というテーマを試合前に掘り下げてたんですが、今回の西部戦はワリと試合前の因縁の掘り下げがあっさり目の印象。セナVS陸、キッドVSヒル魔、ショットガン封じにキッカームサシは?って所でしょうか。
 怒濤のオープニングはがっつりエンターテイメントしています。試合前云々じゃなくて試合中の勢いで魅せて欲しい所です。

●魔人探偵脳噛ネウロ

 鷲尾さんの殺人時の顔が魔人モードのネウロチックなのは、地味に人間のアクマ性、どっちが魔人よ?的な演出の一部なのだと思いました。

 簡単に言えば「能ある鷹は爪を隠す」なんですが、相手に応じて本性を見せるかどうかを使い分けているネウロは普通に天才系のカッコ良さを感じました。やっぱいつでも自分の100%を見せつけちゃって生きてるのは色々と不利益も多いです。ここは自分の能力を見せる場面か?そう問いながら場面場面で頭を回転させてる人はやっぱ賢くてステキです。

●D.Gray-man

 この漫画のテーマに「白と黒の二項対立への懐疑」と、「主人公らの帰る場所探し」があると思うんですが、今回は二番目の方の話でしょうか。今の所アレンにとってもリナリーにとっても帰る場所である教団が、どエラい痛手を負ってる場面から、ラストのアレンとリナリーのシーンに移るのは上手いと思いました。アレンの帰る場所としての「仲間」云々の話、リナリーの「兄」しかなかった帰る場所……といった描写で、このテーマはタメられております。帰る場所たり得る教団も現状では危ういかもしれない、それでもアレンとリナリーは行きます。そんな感じで繋がってるのが良かったと思います。

●HUNTER×HUNTER

 「デジタル音……!?頭の中から!?」

 の冒頭からメンタルな怖さ全開です。

 つーか最近雑魚戦にも関わらず、HUNTER×HUNTERマジ面白いです。やっぱバトルが面白い漫画は読みやすいです。今回もほぼ回避不能という絶対絶命な状況を頭脳派のキルアがどう打開するのか?というシンプルなバトル構造だけで、お腹いっぱいいっぱいの充実度です。「まだ…だ まだ…!!!」とラストに策アリのキルアが熱い。設定上どうにかして最後の一投を外させるんでしょうが、素で素人考えには対処法が思いつかない。次号への引きがめちゃめちゃ強いです。

◇今回の能力(「死亡遊戯(ダツDEダーツ)」)は『幽遊白書』の刃霧要の「死紋十字斑」のアレンジでしょうか

 アレも抜本的な攻略法は提示されないまま終わった能力でした。今回どう決着つけるのか超楽しみ。

●ユート

 この物語における雄斗の大きな障害は「家庭の貧乏」と「父親の不理解」という描写ですよね。お父さんは典型的な貧乏父さん描写で、ジンギスカンの食材の買い物シーンを入れてる辺りに、「食費」のキーワードを連想させて「貧乏」描写に拍車をかけます。
 あとは近しい課題ではショートトラックの新メンバーとの溝をどう埋めていくかでしょうか。本当はロングで北海道が目標というのを隠しながら雄斗が子どもなりにどうコミュニケーションを取って関係性を発展させていくのか、その辺りは普通にほのぼのと楽しめる点ですね。

◇和也は

 ライバル視していた主人公の方がちょっと違う方向に行っちゃって、それでもそいつをライバルとして追いかけるというのは『ヒカルの碁』の塔矢と同じ感じですね。塔矢とかぶさりつつ、和也オリジナルな主人公との関わり方を期待したい所。

●武装錬金

 残念無念の打ち切り最終回。

 詳しくは別記事で感想書きました

●いちご100%

 一線越えたかどうかはまだボカされてる描写ですよね?

 でもラストの幸せそうな西野の表情から、とにかく幸せなイベントが迎えられたのは確か。良かった良かった。いざコトに及ぼうと思ったら親父が現れて「喰らえ!!」とアドバイスされたり、終わってから外に出てみたら死刑囚に声をかけられる……といったシチェーションの男女よりははるかに幸せです。
 
■23号/WJ感想
 

 武装錬金もWaqwaqも終了したことですし、これからはかなり力を抜いて軽めに感想を書いていこうと思います。更新日時も週の後ろの方にズレ込むことが多くなると思います。ご了承下さい。

●ONE PIECE

 今週でウォーターセブンからロケットマンで出航ということでウォータセブン編は一区切り、次はエニエス・ロビー編とでも呼ぶべきシリーズに連続して入っていくと思うんですが、このウォーターセブン編、始まった当初と、今週のフィナーレではキャラクターのネガポジが完全に裏返っているのが熱いです。序盤はガレーラカンパニーの職人達の方がどっちかというと味方サイドでポジティブ描写、フランキー一味の方が敵サイドでネガティブ描写。ところが今週のラストを迎えてみれば、ガレーラの仲間達は実は偽りの仲間でネガにCP9として敵サイドに裏返り、実際に本当の仲間を形成していたのはフランキー一味の方だったということで、ポジティブ要素としてフランキー一味の方が味方サイドに裏返るという。無言のアイスバーグさんと、「!」の1コマでフランキー一味の意を汲んで「乗れ!!!!」と言うルフィのシーンは熱かった。

◇Tボーン大佐

 デカい剣を持ってるんで、組み合わせとしてはVSゾロが燃えるんですが、このままだとVSサンジになっちゃうんだろうか。

◇先端が尖ってるロケットマン

 これはもう、「突っ込みます」と言ってるかのようなフォルムです。敵本部なり、敵船なりに頭から突っ込むシーンを期待するしかないでしょう。

●BLEACH

 藍染のピンチなんですが、鏡花水月の完全催眠能力は能力的に面白いんで打開っぷりで楽しませてくれそうな期待が持てます。藍染を囲んでる人達はほとんどが完全催眠の発動条件である鏡花水月発動の瞬間を観てそうなので、まだまだいくらでも挽回できます。マガジンの『奪還屋』の邪眼描写みたいな描写とか出るんじゃないかなぁ。今のピンチも完全催眠でごまかされたピンチだった!みたいな。
 さらにはこの鏡花水月の能力の破りっぷりにも期待しています。力押しの派手な斬り合いがバトルの主だったBLEACHなんですが、この藍染戦に限っては能力バトルを読む楽しさを味あわせてくれそうです。

●アイシールド21

 前回はセナVS陸を描いておいて、今回はヒル魔VSキッドを。順調に試合前に張っておいた対決要素を消化していってます。ヒル魔VSキッド初戦は電撃突撃でヒル魔がキッドを出し抜いたと見せかけて、更なる早撃ち披露でキッドの勝利。
 こうなった以上、投手としてヒル魔がキッドに勝つ展開も描かれるんでしょうな。相変わらずの作戦&頭脳プレーでキッドに一撃与えるヒル魔の絵に今から期待です。

●テニスの王子様

 「ど、どうなってんだ!残像拳じゃねえ!みんなホンモノだっ!!」(悟空)

 「ふふふ……その通りだ。四身の拳!!!」(天津飯)

 <『ドラゴンボール』15巻より>

 って解釈でいいんでしょうか。

●大宮ジェット

 主人公とヒロインの対立から最初始まって、お互いの行動動機を知ったりで最後には「焼き肉お前もこ来いや」に落ち着くまでの流れが丁寧に描かれてて面白かったです。最初ハチャメチャなギャグキャラに描かれてた主人公が実は度量がある奴と言う風に徐々に裏返っていく展開とか、普通に楽しめました。適度にギャグ系で読みやすいんで、今のジャンプに結構ハマるんじゃないかなと思いました。独特のヒーロー観の「語り」が入ってる辺りも、もう少し色んな角度からこのヒーロー観を描写するのを見てみたいなと、続きもアリかなと感じさせられる読切でした。

●魔人探偵脳噛ネウロ

 おそらくはまったく作者の意図とは違う所で、個人的に開業プロセス描写を楽しんで読んでました。僕もある意味開業準備中なんで。

 前回の引きの、

 「そして間もなくこの事務所と探偵桂木弥子は一躍その名が知れわたってしまうことになる。一人目の依頼人の訪問によって」

 より、既に今回の事件をきっかけに探偵事務所が有名になることは分かってるんで、今回の事件は単なる謎解きパートだけじゃなく、いかにしてネウロが探偵事務所の知名度を上げるかの戦略パートも楽しめることになりますな。既に視聴率を取れれば知名度が云々と伏線入ってますが。今回の事件はメインの謎パートよりこっちの方が楽しみかな。

●いちご100%

 バカシチェーションでの密接エロとパンチラを封印して普通の恋愛漫画クライマックスモードに入ってからのいちご100%はめちゃめちゃ面白いですな。今週も、高校生活の楽しみが過ぎてあとは終幕へ向けての受験勉強モードという、誰もが体験する哀愁シチェーションが上手く出てました。それぞれがそれぞれの進路に向かい始めるどことない切なさとか、誰もが通過した青春の一風景です(僕は高校卒業時よりも大学卒業時にそれを感じましたが)。

 本筋のストーリーも一応連載開始当初からのテーマであった「夢」に収斂していく感じ。真中、東城エンドになるにしろ西野エンドになるにしろ、少年漫画的にすがすがしく終わるためには相手の夢を尊重してそれぞれの道へ的になるしかないんだよな。夢よりも真中を選ぶ形で進学を決めた中学の時との対比で、今回はそれぞれの夢へ的に東城物語は落ち着きそうです。最近いちご本当面白いな。

●Waqwaq

 機械だとか、黒い血の人間だとか、赤い血の人間(神)だとか、そういう「括り」を如何に無効化するかというのが序盤から描かれてきたテーマだったので(顕著なのは神様の血でレオが解放されるシーン)、今週ラストの、

 「コト…おまえは確かに赤い血をしている だがきっと神でも そして人間ですらなかったのだ」(キク)

 という帰結は、美しくまとめたなぁという感じです。

 広義の「人間性」とか「神性」とかは、血の色であるとか表面的なモノを無化した所にある。クライマックスで描かれたシオに血を分け与える神さまの行動と対比させてのコトのネガティブな結末でしょう。打ち切りの側面もあったんでしょうが、キレイなラストで良かったです。

 結局下の名前を明かさないまま訪れたラストシーンの神さまの帰結も良し。下の名前が明かされる=神じゃなく人間へ……と解釈していたので、ラストシーンの現代ではおそらく下の名前で呼ばれ「人間」として生きている神さまも、Waqwaqの世界では下の名前が明かされない「神」だったのだと個人的に解釈して、この作品の感想を終えたいと思います。
 
■24号/WJ感想
 

●カイン

 読切時は軍事知略モノだったと思うんですが、今回は主人公も特殊能力を備えていて、バトルはどちらかというと知略の全体戦じゃなくて1VS1が基本の能力バトルになりそうな感じです。WJ読者は『ジョジョ』や『HUNTER×HUNTER』で能力バトルに関しては目が肥えてそうなので、競争過多な分野で生き残れるだけの面白バトルを見せてやる!と頑張ってくれるのに期待です。

 第1話では達観してるような印象を受ける主人公ですが、「まだ体に慣れてない」などと制約をにおわせてるあたり、無敵型主人公が活躍するだけではなくて色々と苦戦する様が楽しめそうなのは僕好みです。でも僕の好きな努力修行型は期待できないかな。何しろ強くなる方法がロボ化なんで。修行して強くなるというよりも、改造して強くなる感じです。鬼傀領域100%になって主人公完全ロボ化とかの展開に今から期待です。

 笑顔をキーにして描いてちゃんとラストを笑顔シーンで締めてるのはステキでした。

●ONE PIECE

 飲酒運転上等のココロばあさんが熱い。何気に飲酒してるゾロも熱い。

 前回も色々と仲間がロケットマンに集まってくる様が熱かったんですが、今回さらにチムニー、ゴンベ、ガレーラのデカい人とメガネ(名前忘れた)らも参戦。一時は対立したり、片方は仲間に裏切られ、もう片方は仲間を信じと色々あるんですが、それでも共通の目的に向かって結託する様には王道の燃え要素があります。是非とも全員に見せ場が欲しい所。

●BLEACH

 「高みを求めて」、「私が天に立つ」という、ラスボスとしてはわりとオーソドックスな目的なんですが、「護る」がキーのBLEACHのラスボスとしては一護の行動動機と対照的でいい感じかも。「一護」という名前もそうですが、母親を護れなかった一護が今度こそ護るとルキアを助けにいく、そういう身近な大事な人を「護る」のが一護側の行動動機なんで、スケールのデカい目的のためには身近な犠牲をいとわずVS身近な人は護る……って感じで、マクロVSミクロな対立で丁度イイんじゃないかと。

●DEATH NOTE

 スゴイ序盤にあった「家族をも殺すことになる」の伏線をようやく今生かしてる感じじゃないでしょうか。序盤から新世界の神としてのライトと、一人間としてのライトとの相克なんて話を読みたかったんで、今の家族を生かせるか殺せるかな展開は面白いです。

 今話では「警察官として、人間として、親として」とパパの方の葛藤に焦点が当たってますが、これはそのままライトにも向けられる問いになっているという構造を取っていると思います。警察官としてはともかく、ライトは「新世界の神」としていざという事態には粧裕を殺せるのか、それとも「人間」として妹は殺せないのか、自然とそこに焦点が移っていく感じです。

 現段階ではライトが実際粧裕を殺す可能性まで考慮してるのか、ライトは粧裕を殺せるほど冷酷なのかそうではないのか、その点までは読者に伝わらないように描いているのが上手い。その辺りのライトの真意が明かされる回を、ミステリの解答回相当を楽しみに待つ感じで待ちたいと思います。

●テニスの王子様

 結局の所、分身現象に関して具体的に言及しての作中での説明は無し。残像拳の原理でもの凄く速く動いてただけなのか、はたまた四身の拳の如く実際に分身してたのか。僕としては菊丸の始解だった説を取りたいと思います。藍染と同じ能力です。テニス会場の全員が菊丸の始解により共同幻想に落ち込んでいたため、菊丸が二人に見えていた。これでどうよ?

●魔人探偵脳噛ネウロ

 脳ネタ…キターー(>▽<)、な状態です。そう言えばタイトルに「脳噛」ってついてましたね。

 謎関係では無敵なネウロも脳に対しては敬意を払ってるかのような態度なのが良い。

 僕が個人的に脳科学を含む認知科学を専門に勉強していた時期があったからこそという個人的な反応なんですが、

 「『謎』の住み処である脳…その構造は『謎』以上に複雑だ」(ネウロ)

 は今週号一番の燃えポイントでした。

 認知科学でよく言われる言い回しなんですが、「脳は人類最後のフロンティア」ってヤツです。現代において究極の謎を求める者は、自然と脳に行き着くのですよ。

 勿論、科学的な脳にまつわる衒学云々を期待してこの漫画を読むワケではないんですが、ネウロの魅力であるはったりを効かせた演出、言い回しで脳ネタを扱ってくれれば、非常にこの漫画、僕にとっては楽しいモノになると思います。

●HUNTER×HUNTER

 脳ネタ連続でキタ!って感じです。

 「死亡遊戯(ダツDEダーツ)」の攻略方法はルートを読んで滅茶苦茶速いスピードでガードという至ってシンプルなものだったんですが、最後にピコっと入った手に直接電気信号を送って動かしたという説明で、オオ、やはりシンプルながらひと味入れてくるなと思いました。キルアが電気使いという設定を生かして脳の電気信号まで絡めてくるとは思いませんでした。この作者も脳ネタ好きそうなイメージがあります。歓迎。

●いちご100%

 記号性が高い(笑)いちごパンツをまた持ってきて、中学の時のあのシチェーションをリフレイン。されどあの時は一緒に頑張ろうという結託のシチェーションだったのに対し、今回は自分一人の力で頑張るんだという別離のシチェーション。なんか、エラく文学的なクライマックスを見せております。最近のいちごスゲー面白いです。

 この自分一人で自分の道を行くという帰結はかなり好きなんですが、終盤にもう一回共同して頑張る型に裏返るのかな、コレ。共同型は映像研究部の活動で沢山描いてきておいて、ラストは一人旅立ち型っていうのが美しいと思うんだけど、まだラストまで時間ありそうなので分かりません。とりあえず久々に唯を見てビビった。

●ユート

 こういう体を使っての修行描写は好きです。BLEACHみたいな抽象的な修行描写よりも、初期『ドラゴンボール』やマガジンの『はじめの一歩』に代表されるような地道な体使っての修行描写が好き。読んでて自分も体動かしたくなるくらいに描いてくれればイッパイイッパイです。

 生意気な吾川も目的のためには一生懸命努力するヤツなのが好感。「トレーニングも毎日やるけどスケート場も行くぞ!」のバイタリティー溢れる目的指向な思考が好き。すぐに「わかった!」と答える雄斗との、目的を共有するがゆえのほのかな絆の始まりも感じられて、このシーンは凄く好き。

 あとは雄斗の滑りの卓越さを読者に伝えるために、「大型バイクがゆっくり走ってる時みたいな感じだって!」という脇キャラの台詞を入れてくれたのが良かった。さすがに絵だけでは上手さが伝わらなかった。大型バイクがゆっくり……なんかスッゲー卓越さが伝わってくる表現です。
 
■25号/WJ感想
 

●タカヤ−閃武学園激闘伝−

 読切の時よりも、大幅に渚ちゃん仕様になって進化してると思いました。

 基本構成は読切版と同じ第1話なんですが、微妙な変更点が更なる渚ちゃん仕様になってるというか。

 「…あててんのよっ」

 を決め技め持っていくために、中盤で渚ちゃんがコークスクリューNAGISAスペシャルを披露するシーンで、

 「何言ってんの、最初から当てるつもりなんてなかった

 なんて台詞がワンクッション入れるために入ってます。

 パンチはあてるつもりないけど、胸は意識的にあてるのかよ!みたいな。

 破壊力2割増し。渚ちゃん仕様の進化点その1です。

 その2は、閉鎖された学園空間を舞台設定に持ってきた点。

 最近のポピュラーな漫画の事例だとマガジンの『ネギま!』の麻帆良学園だと思うんですが、世俗から隔絶された学園空間を舞台にする目的っていうと、世俗と離れた所でヒロインと(ネギま!の場合はヒロイン「達」と)イチャイチャできるという、そんな感じの閉鎖された環境ゆえの密着感の高さを演出するためだと思うんですよ。親の目が無いというのも単純に「私たちの世界」を作りやすいですし。なんで、よりギャルゲーチックというか、ヒロインとの蜜月ベクトルに、つまりは渚ちゃん仕様に進化。望む所だ!って感じです。

 読切の時からの売りだった、まったく頭を使わずにすらすらと読めるという読みやすさ、気軽さも健在なんで、デザート位置づけに連載陣の中に一つこういうのがあっていいかなという漫画です。何か美形になってしまったお兄様ともども期待です。

●ONE PIECE

 「108を2つでいくつだ」(ルフィ)

 とか、こういう何気なくルフィがゾロを買ってる様を描く部分は好き(「空島」編の「お前がいて何で…こんなことになってんだ……!!」とか)。ゾロも108なら自分も108ととりあえずゾロを互角の男と認めてる語りです。

 「そげキング」は狙撃キングってことで、前々から言ってる職業矜持を描いてくれる展開に期待。ついに、ウソップの狙撃手、砲撃手としてのヤマが描かれるのでしょうか。フランキー一味が大砲を大量に持ってきてるので、狙撃、砲撃展開に期待です。

●アイシールド21

 ラリアット牛人現る!な展開。

 ラリアット系の横円心打撃に対しての上段回し受け→中段突き(心臓バンプ)は格闘技の王道って感じで燃え。本当はそのまま手を取って一本背負いが一番効果的だと思うんですが、さすがに反則なのかな。

 昔、マガジンでやってた『Jドリーム』って漫画でサッカーの試合中にやってましたが、一本背負い。

 セナVS陸、ヒル魔VSキッド、モン太VS鉄馬、三兄弟VSバッファロー牛島……の個別対決で1話づつ使って序盤戦を消化って感じでしょうか。こっからどういう風に試合が展開していくのかに期待です。チーム戦になるのか、あくまで結末では個別対決の勝敗も描かれるのか。

●DEATH NOTE

 第二部は完全に推理モノ的なエンタメから、はったりインフレバトルエンタメ(ただし頭脳戦)に移行したんだなと強く感じた1話でした。第一部はまだバトルエンタメの中にも制約があって、その制約の中でライトが(あるいはLが)どう切り抜けるのか……というのを予想したり一応ちゃんと推理したりという楽しみ方もアリだったDEATH NOTEなんですが、今回の唐突に地下空間が出て来たと思ったらそれを上回るミサイル登場のインフレで盛り上げるという手法は、後期ドラゴンボールの超サイヤ人3スゲーと思ったらそれを上回るポタラ合体でインフレ!に通じる、後出しインフレ衝撃で引っ張っていく手法に通ずるものを感じました。よりジャンプバトル漫画的になって第二部に帰ってきたという感じなんでしょうか。

 その分、「家族を神として裁けるのか?」ネタはまだ引っ張ってるモノと思って期待。「ここで粧裕が死んだらキラは数人に絞られる……」とやっぱり殺せるかの如き台詞が入りながらも、ラストの粧裕解放では普通に「粧裕…父さん…」とほっとしたかのような表情を見せております。この辺りをより突きつけられる展開が今後訪れるモノと思って期待。というか訪れて欲しい。

●ムヒョとロージーの魔法律相談事務所

 「僕にはリオ先生のフダがあるんだ!!」(ロージー)

 ってことで、おそらく依存のマイナス描写。

 ここからロージーが奮起してキーマンになりそうだという構成は、この前のエンチューとのバトルの時と共通してますな。頼りないキャラがまんま落とされてクライマックスで復活する話は好きなので歓迎ですけど。

 また、仲間同士の不和描写に今回1話割いたので、不和解消で協力型へ移行の展開も今から楽しみですな。

●テニスの王子様

 今回は最高に面白かった。

 執拗な眼鏡ネタに爆笑。こんなきっちり構成を練って笑わせてくれたのはステキでした。

 とにかく木手永四郎の眼鏡を強調して最初に描いておいて、木手解説その1を、

 「木手永四郎…沖縄比嘉中を発の全国へ導いた立役者だ」(乾)

 と、同じく眼鏡強調のの乾に言わせ、木手解説その2を、

 「偉く物騒な異名を持ってますね、その沖縄の部長は……」(紳士)

 と、同じく眼鏡強調の紳士に言わせ(ここでオマエの異名の「紳士」は逆に偉く物騒じゃなさ過ぎるな!でもテニスと関係無いのは同じな!と突っ込みが入るのも笑いのツボを押さえてます)、ラストシーンはそういえば手塚も眼鏡だった!って感じで、見開きで眼鏡対峙で締めるという、眼鏡乱舞な構成。

 許斐先生は澤井先生と違って計算で笑い取るタイプなのかもしれない。

●魔人探偵脳噛ネウロ

 「あなたじゃ無理よ、だって、あなたがそばにいても…私は歌えるもの」(アヤ・エイジア)

 この台詞は推理材料ですよね。意外と今回は推理モノしてる?

 孤独だから歌える=孤独じゃなくなると歌えない……の公式が自然と導かれるので、今から新キャラ犯人を出すのでなければ、現時点では歌うことを選んだアヤが自ら孤独じゃなくなるほどに親しい関係性を持ってしまったマネージャーらを「孤独を守るため」に殺したというのが無標な推理に思えるんですが。ミスリードかなぁ。

●HUNTER×HUNTER

 タコの存在は冨樫漫画的にはスゲー重要だと思ったり。『幽遊白書』は人間界に自然と妖怪も住むようになるというラスト、『レベルE』も異星人が普通に地球にとけ込んだ世界になるというラスト……という感じで、冨樫漫画のラストは異質な存在と人間との境界が無化される……というラストが多いんですよね。そう考えるとキメラアントのいいヤツを描くことで、キメラアントと人間との境界無化ラストもあり得るような気がしてきました。

 キルアの新技伏線も楽しみ。体を動かす電気信号を直接操って超速を実現……とかじゃないかと予想しておきます。

●ユート

 熱い。

 序盤からスケート靴に関する色々な描写を入れておいたのがここで効いてきて、吾川もスケート靴の大切さに目を開き始めるという展開。「生意気だけど真っ直ぐさを持ってるヤツ」というキャラ描写が掘り下げられてた吾川なので、レース後にどういう反応を示すのかは楽しみ。

 一方で「Go to the start!」でスイッチが入ってしまった雄斗。子どもっぽさ全開と思いつつ、じゃあ大人な透くんが収めてくれるのかと言えば、普段は穏和に過ごしてるからこそ自分にとって大事なスケートに関しては譲れないワケで、透くんも大人げなくダッシュ!

 各々本気を出すきっかけが子どもならではなのがイイ。子どもはこうでなくっちゃ。

 「瀬尾くん」→「瀬尾!」と呼び名を呼び捨てに変化させて透の気持ちを描いてるのもステキ。スケートに関しては透くんとしても譲れないのですよ。
 
■26号/WJ感想
 

 時間が取れなかったため今週は簡易感想で。

●ONE PIECE

 Tボーン大佐の車両が切り離されたってことで、追ってきてるゾロとの剣士対決が見れそう。でもって、サンジの方は「お料理格闘家」ワンゼと対峙。どうやらこのシリーズで「仲間」のテーマと共に掘り下げてる、「職業」テーマの方がゾロとサンジに関してはバトルで描かれそう。「船大工」は海列車製造の過去編でもう十二分に掘り下げられてる気がするんで、あとは本命ウソップの「狙撃手」と、荒波のシチェーションでナミの「航海士」辺りが掘り下げられたら満足かな。「医者」はいくらでも出番作れそうだし。

●魔人探偵脳噛ネウロ

 ストーカーの男が犯人、アヤ本人が犯人、第三の新キャラが犯人の3択だったんですが、特にミスリードもなくアヤが犯人でした。シンプルでしたが孤独ネタ脳ネタが絡んでたんで結構楽しめました。

 もう一つのネウロがどうやって弥子の事務所を有名にするかという戦略パートの方は、視聴率マックスの所で乱入というシンプルなものでした。序盤パートで、視聴率に興味を示すネウロが描かれていたんでとりあえず伏線通りでした。

●タカヤ−閃武学園激闘伝−

 渚ちゃん、師匠ポジションも兼ねてるってのが中々美味しい型なんじゃないかと。サンデーでは『ケンイチ』、マガジンでは『ネギま』辺りがこの型で、主人公にとって師匠+ヒロインにあたる女性キャラを使って上手く楽しさを作り出しています。主人公のタカヤを地味な成長キャラに置きつつ、それを取り巻く師匠&ヒロインキャラのキャラ魅力で引っ張っていく漫画にしたらアンケート取れるんじゃないかなぁ。次は面白師匠か第2ヒロインか、あるいはその両方を兼ね備えたキャラを追加する方向でどうだろうか。

●ムヒョとロージーの魔法律相談事務所

 さらに仲間チームの不和描写が続行中。四人のウチの誰かがソフィーの可能性も示唆させてさらにギクシャクするような展開に。でも誰がソフィーだ?っていうミステリ的な引っ張りで魅せるというよりは、普通に不和解消で協力型に移行する所で盛り上げてくれそう。

 少年漫画には主に天才型と努力(修行)型と協力型の基本形があると思うんですが、天才のムヒョに凡人のエンチューっていうこの前のエピソードで入ったテーマなんかからも、ムヒョは天才型のムヒョと努力型のロージーを基本に、最終的には協力型に展開していく魅力を描く話なんじゃないかなぁと思ってます。

●テニスの王子様

 修行の末の縮地法とかで地味に頑張ってる沖縄勢が、人間分身だとかスーパーサイヤ人2だとかで理不尽に蹂躙されていくのがステキ。『はじめの一歩』的に努力で技術を身につけたのに、うっかりドラゴンボールのZ戦士達に闘いを挑んでしまったみたいな。

 木手永四郎くんは僕的に最近のスマッシュヒットキャラなんですが、先週の怒濤の眼鏡構成は伏線だったりしないのかな。実は逆手でレフティ!のノリで、実は視力イイのに度が入った眼鏡をしていた!みたいな感じで実力を隠してるとか。

●HUNTER×HUNTER

 「境なんてあってねェようなもんさ」(メレオロン)

 これは楽しみ。異形と人間の境界をテーマにした話は最近『武装錬金』と『Waqwaq』でも描かれてましたし、今でも「D.Gray-man」で描いてたりしますが、それらの作品の遙か昔から『幽遊白書』や『レベルE』でそのテーマを描いていた先行者である冨樫先生がこの最新作でどのように描き、どう結末を描くのかは非常に楽しみ。

●いちご100%

 作中でクリスマス商戦の時期まで来てるってことで、真中の大学進学エンドはもうなくなったのではないかと。東城は既に推薦で別の大学へ進学することが描かれてますし、作中で描写されてる真中の学力では今から猛勉強しても合格は難しいっぽいってことで、中学卒業時をリフレインでの真中、東城、同じ大学(当時は高校)へ進学オチはもうないんじゃないかと。

 そうなると真中的には明としての映画業界入りエンドか、暗としての浪人エンド……が可能性としてはあると思うんですが、どう描くのかなぁ。夢を一つのテーマにしてきたからこそ、夢は叶う!とハッピーハッピーなメッセージを送って締めるのか、現実の厳しさを滲ませて、浪人するんだけど夢は諦めないぜ!的に締めるのか、そんな感じかなぁ。
 

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