2003年12月後半の日々の雑記

2003.12.16.(火)

■うむ

 

 卒論提出間際の最後の直し&製本で忙しいんで、手抜き更新で。でもまあ、俺は提出大丈夫だけど、ここ見てる人は大丈夫?本気でヤバイ人いたら手伝いますよ、印刷とか製本とか。あと字の間違いのチェックくらいなら。
 
■雑想/仮面ライダー555感想
 
 予想してみようかな。
 人間とオルフェノクの和解ラストではなく、オルフェノク側が滅びるラストではなかろうか。
 今週の南の台詞からオルフェノクは種として欠陥を抱えていることが見て取れるのは勿論だし、今週で木場が敵に回った事実。そして平成ライダーの結末は去年の龍騎しかり、なんらかの人間に対する驚異が無くなって終わるというラストが型になっている事実。さらに始まる前から原点回帰ということを制作者サイドは言ってたようにも思う。これらの一応の根拠から導かれる予想は、オルフェノク滅びラスト。最後に残った巧は一人、真理と敬太郎のもとを去っていく…孤独のヒーロー。なんだかそんな絵が浮かびます。
 オルフェノクが自然に人間世界にいる風景。そんな冨樫漫画的ラストも見たい気はしますが、原点回帰、王道を行くなら上記のような展開が無標に思えます。なんで、僕の本命予想はさよならオルフェノク展開ってことで。
 

2003.12.17.(水)

■眠いのでまた明日

 

 ガンダムSEEDファンサイトは数あれど、ラクスと白クマがセットの絵が飾ってあるとこはウチだけのような気がする(挨拶)。

 卒論できた。なんかこう、チェックするたびに細かいミスが見つかって気力が消耗。4回ほど見直してもうイイやと思って印刷、製本しちゃったけど、まだどっかミスってるんだろうなー。でもまあ、製本して出来上がったのを見てみると中々感慨深い。よくやったものだよ自分。

 つーわけでチェックだけで気力が消耗してもう眠いんでまた明日。『ツバサ』3巻買ってきたけどまだ読んでないやー。
 

2003.12.18.(木)

■CLAMP『ツバサ』3巻/マガジンコミック

 

 「庇ったりしない どこを怪我していようが関係ない やると決めたことはやる」

 上の台詞のシーン超カッコいい。ほんとカッコいい。マジカッコいい。三回言ってみました。
 いやマジで本年度最燃え候補。1〜2巻及び『×××Holic』を読んでいればさらにハマる。覚悟と誠意(自分への)爆発。そりゃ侑子さんも見込むよ。
 そこから「それだけだ」でどどーんと見開きで小狼くんの後ろ回し蹴り炸裂。この雄度の高さ。CLAMPに漢が宿ってた説を提唱。

 斉藤くんとの別れに小狼くんが言葉をかけるシーンとか、他にもイイシーン目白押しなんですが、上のシーンが僕的に頂点。カッコいいインフレを制してクライマックスにそれを超えるカッコよさを持ってきてバランスを取ってます。もうワケが分からんカッコよさです。
 ちょっと今カッコ良さ刺激にあてられちゃってるんで、『ピューっと吹くジャガー』でも読んで落ち着こうと思います。ふう。
 
■ふう
 
 卒論提出完了。まあ、またすぐ明日から次の目的に向けて活動を始めなきゃならないんだけど、一区切りと言えば一区切り。宇多田も新曲出すみたいだし、明日からも頑張ろう。
 笹ばっか食べてるように見えて、パンダだって明日を見てる。
 

2003.12.19.(金)

■第08話「夜に惑わされて」/R.O.D-THE TV-感想

 

 「あはは あーん可愛い 今日からウチの妹にならない? そしたら若草物語ごっこができるわ」(ミシェール)

 相変わらず飛ばしてるミシェール姉さん。年下に目がないっていう設定、なんからしくてイイよね。
 それより何より幼なじみの告白にゴメンなさいしちゃった久ちゃん。他に好きな人がいるようだけど、「一緒にいると嬉しくて死んじゃいそうなの……!」の対象は誰?ジュニアに視線を向けるシーンがあったけど、ジュニアと久ちゃんって接触ないよね?少なくとも「一緒にいると…」ってほどの接触はないはず。となると対象はアニタ……?わー、やー、百、わー。
 少 女 の 間 で も 価 値 観 は 多 様 化 !

 どうでもイイですが、最ほのぼの回でした。夜とか明け方に集まるのって楽しいよね。僕らも中学時代やりました。淡いノスタルジー。あの頃のワクワクをもう一度。この歳になって深夜に徒党を組むと、下手すると通報される。
 
■雑想
 
 この日は卒論提出日でした。僕は前日に提出してしまったので余裕だったんだけど、何人かの友人はギリギリチョップで超必死でした。それを傍観する僕。この余裕っぷりは余裕を信条とする僕にふさわしい。
 つーか深夜12時に印刷させてくれーとウチに来る奴一人。印刷した原稿にダメ出しする僕。いくら何でもページ番もふらずに、段落替えもしてないのはマズイだろう。修正にのぞむ彼。寝る僕。明け方六時に再びやって来る彼。一人増えて明け方のギリギリチョッパーが我が家に二人。提出期限は昼12時ジャスト。切れるインク。でもこんな事態を予想して前日に変えのインクを買っておいた僕(クール)。でも間違って原稿一枚上書きで消しちゃった僕。バックアップを取りに自宅まで走る奴一人。その間に製本作業する僕。なんか傍観できてねー。

 結局二人とも無事提出、認可されたんだけどね。お礼に昼はロブスター奢ってもらいました。卒論とロブスター、そんなある師走の一日。師走はまあ「走る」から師走なんですけど、大マジで走ってる奴らを見たのは初めてでした。
 

2003.12.20.(土)

■雑想

 

 今年も残り10日ほどとなって街中にはトナカイが走る今日この頃、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
 僕はと言えば卒論終了後息つく暇もなく、来年受ける諸々の試験勉強に突入で、ちょっとトナカイに殺意を覚える日々です。
 そんな試験勉強も面白いことは面白いんですが、なんか日々の生活にアクセントが欲しいのも事実。で、まったく思いつきなんだけど、今年は大学入試センター試験を僕もやってみようと思い至った

 ここを見てる人にはギリギリチョップの受験生の方もいるかと思いますが、そんなあなたとゆいまさんが試練を共有。一緒に偏差値システムに電撃突撃(ブリッツ)しましょう。多分翌日くらいには新聞なりネット媒体なりで問題公開されるんだよね?多分僕もトライできるはず。

 ただし、科目は英語オンリーで。全教科やってみたいところですが、僕も自分の試験があるんでちょっと全部やるほどの時間創出は無理。よって、僕が受ける試験にも出題される英語でちょっと(ネタ作りに)トライしてみようと思います。

 一緒にトライするという同士募集。一月末日には、こんな問題アリかよ!みたいな話題で語り合えたら幸いです。
 

2003.12.21.(日)

■第46話「新社長誕生」/仮面ライダー555感想

 

 「乗れ!」(巧)

 バッシャー運転するタッくん燃え。ここはBGM的に「Dead or Alive」がハマりそうでした。
 されど数分後には「どけ!」と草加に足蹴にされるタッくん。草加イカス。なんばワイのバッシャーたん運転しとっちょわいやーという感じでしょうか。

 ヤギの人=オルフェノクは運命を受け入れて滅びるべき。薔薇社長=王の力で人間ブっ殺してオルフェノクは生き延びるべし……と、ようやく二大親玉の立ち位置が明らかになりました。ただ木場は今週一言も喋らなかったんで、未だヤギの人と組んでる真意が不明。先週はむしろ人間ブっ殺しの勢いだったんですが、オルフェノクは滅ぶべき派のヤギの人と組んで新社長になってます。
 ただ巧のテルオくんは守る宣言で大分勢力図ははっきりしたように思います。テルオくん=王は危険な存在なんだけど、巧一派はテルオくんを守りたい。ジレンマは終わらないJustiφ's展開とみた。

 どうでもいいけど次週予告ライオトルーパー出たー!ヤギ→木場で「これを使いなさい」の台詞も出たー!これはオーガドライバー出るだろ。去年の龍騎の時もそうだけど、劇場版と繋がっていく展開っていうのは両方見てる人には刺激的だなー。この感覚、丁度一年前と同じだ。龍騎でTV版にもシアゴーストや教会のシーンが出てきたときと同じ感覚。ラスト4話でテンション上がりめです。

 今週のロック:野球のときは強気な三原

 バトル時は慎重に背後からルシファーズハンマーを仕掛ける彼ですが、ベースボールの時は強気です。しまっていこー。
 
■第45話「三人模様・ぐらつく恋心」/明日のナージャ感想
 
 「このままではハーコート家は破産する」(フランシスパパ)

 ナージャの心が選んだ王子様はもうすぐ落ちぶれ貴族でした。

 一番大多数が幸せになるラストとして、ナージャはローズマリーを倒して母親と再会、貴族化→プレミンジャー公爵家の令嬢として障害なくフランシスと結ばれる→フランシスの家も安泰、ノブレス・オブリッジ継続で貧しい人も幸せに……という帰結が予想されるように話が流れています。
 が、ナージャは特に貴族化は望んでいないという伏線、所々に散りばめられていた貴族と平民というテーマ。最後に安寧が裏返るラストもありそうな……

 今週はこの終盤にきて繋ぎの話っぽさが漂っていました。ラスト5のハイテンションに期待。次週のナージャとローズマリーが対峙してる絵は並のバトル作品よりピリピリ感が漂ってます。怖えーなローズマリー。意外と識者であるプレミンジャー公爵がどんな判断を下すのか楽しみ。
 

2003.12.22.(月)

■04・05号/WJ感想

 

 表紙、雪だるまになって前の方に位置してるのが多分まあギャグ漫画なのですよ。で、東城さんは雪だるまになってると……それは正しいとして、テニスの王子様なんかも雪だるま位置でいいんじゃないかなー、菊丸、菊丸を雪だるまにして前面に描くべきだった。
 表紙のカズキ絵がなんだかとても好きです。

●アイシールド21
 相変わらず伏線にうならされる漫画です。日米宴会の後の動物園で酔いつぶれてたセナ&パンサーのオチコマは、普通に読んでればギャグコマとしてスルーするしかないんですが、ここで動物園が「野生の現実(リアル)」というサブタイ、檻の外と檻の中というメタファーにかかってくるとは……最初からこのクライマックスで動物のメタファーを使う気であのギャグコマを入れてたんだとしたら稲垣先生はとんでもないな。伏線王。
 本編は純なスポーツ漫画としてさわやかな感動を読者に届けています。

●ワンピース
 長 い ク マ 最 高 。
 ドラム王国の時のハイキングベアといい、尾田先生はクマを描かせたら右に出る人はいないと思う。なんかもう、尾田先生がクマなんじゃないかと思えるほどイイクマを描きます。

●ブリーチ
 感想は死ぬほど書きづらいんだけど、最近超好き。ルキア兄がど迫力で登場して引きとか超好き。ルキアが前面キャラに復帰すればまた読むテンション上がるし、そこで雛森くんとかも動き出したらワケ分からないテンションになると思います(僕が)。

●銀魂
 三人目結構面白い。やはりジャンプはキャラでアピールせねば。初回の刀云々の比喩、テーマは忘れて、各回完結のギャグ路線で行って欲しいなぁ。

●LIVE
 「出た!鶴田さんの殺人警棒!!」
 やばー、やっぱ好きだ。この頭の悪そうな武器がイイ。殺人警棒て。

●DEATH NOTE
 みっちりとノートの隠し方を説明して、一休みという印象の回でした。一休み繋がりで座禅組んで考えてるLは一休さん風味です。そんなコミカルな感想書ける週は、きっとそんなに無い。

●テニスの王子様
 「守りのエキスパート大石を軸に あえて菊丸を分身させて後ろにすえる」
 僕も分身を前提としてフォーメーションを考えたい。

●いちご100%
 こういう開き直った話は好きです。

●武装錬金
 右から三番目にいた女の超常選民…だよね?<早坂桜花。真ん中にいた一番強そうな学ラン着てたヤツが副会長の秋水くんと無難に予想。いよいよ、雑魚キャラだった金城、陣内とは違って主要キャラとして堀下げられそうなキャラが登場しました。るろうにでは志々雄一派それぞれに数話使って結末を描いたように、サブ主要キャラも掘り下げるのが和月先生の魅力だと思うのでちょっと期待。

●こち亀
 犬可愛くねえなぁ。やっぱ動物は尾田先生、あと微妙にうすた先生。

●ごっちゃんです!!
 大おデブと対戦というシチェーションにノスタルジーを感じる読者はどれくらいいるんでしょうか。個人的な話ですまんが僕もこんな大デブとヤったことがある(柔道でだけど)。重かったなぁ。押さえ込まれたとき死ぬかと思ったなぁ。そんな、大おデブでノスタルジーという超限定マーケティング対象に入ってる自分がちょっと切ない。まあソイツには背負いで勝ったけどな、おらー。

●ジャガーさん
 先週分を補って余りあるオチでした。笑った。
 
■雑想
 
 寒い。寒寂しい。
 

2003.12.23.(火)

■mot×mot的2003年ベスト週間

 

 皆さんもお気づきのとおり2003年がもうすぐ終わってしまうので、毎年恒例の「mot×mot的2003年ベスト」を今日からお送りします。盛り上がっていこー、おー、どんどんどんどん、ぱふーぱふー、ふう(ローテンション)。

 去年からこのサイトを見ていた人にはお馴染みなんですが、まあ「活字」、「漫画」、「映像作品」といった分野でどんな作品が今年もっとも心に残ったか、それをベスト形式でゆいまさんが独断と偏見で選ぶというコーナーです。
 参考までに今はもう過去ログが残ってない2002年分、つまり去年の分を再録してみようか。

2002年ベスト

●小説部門
1位 ネビル・シュート 『パイド・パイパー』
2位 岩本隆雄 『鵺姫異聞』
3位 村上春樹 『海辺のカフカ』

●漫画部門
1位 『少年エスパーねじめ』
2位 『無敵看板娘』
3位 『SWORD BREAKER』

●アニメ部門
1位 『おジャ魔女どれみどっかーん』
2位 『ガンダムSEED』
3位 『シスタープリンセスRePure』

●特撮部門
単独1位 『仮面ライダー龍騎』

●音楽部門
1位 宇多田ヒカル 『嘘みたいなI LOVE YOU』
2位 きただにひろし 『Revolution』
3位 宇多田ヒカル 『光』

 真面目に選んでるのとネタで選んでるのが混在してるのな。シスタープリンセスとか観たこともないし(おジャ魔女は大マジな)。しかし去年は普段ここ観てないヤツに偶然このランキング見られちゃって「なんでSWORD BREAKERが3位なワケ?」って小一時間問いつめられてしまって、あれはウザかった。「ネタ」で選んでるんですとか「ある意味」面白いんですとか説明しても「ネタ」とか専門用語を知らないヤツだったのでえらく大変でした。なんでも真に受ける人っているからなー。

 そういう反省も踏まえて、今年はできるだけ普通に選ぼうと思います
 今年選ぶのは以下の部門。

 「活字部門」
 「漫画部門」
 「映像部門」
 「音楽部門」

 これら四つの部門にかんしてベスト5を選びます。5ね、5。「小説」じゃなくて「活字」としたのは今年Fictionは読んでないからで、特撮とアニメ、映画は「映像」になんとなく統合。「音楽」は今年は宇多田が「Colors」しか出してないからどうしようという感じ。漫画はもう心の中では決まってる。というかいつもこのサイト読んでる人にとっては思いっきり予想可能。

 とまあこんな感じで、今週いっぱい使って一部門ごとに発表していきまーす。苦情は受け付けません。苦情って僕の独断主観全開と名言してるんで苦情は無意味ですけど。
 そんじゃまあ行ってみよー。
 

2003.12.24.(水)
■クリスマスSS
 
 窓外(そうがい)はどこか安堵を覚えるような深い漆黒の闇に覆われていた。見渡す景色は闇ゆえに個々の映像が何であるのか判別がつかない。眼に見える全てのものが実体のようであり、虚構のようでもある。
 「雪……?」
 パンダタは読みかけの本を閉じて窓の外を見つめる。確かに雪が降っている。漆黒の闇の中に鮮やかな白色の雪が映えて見える。闇の中に投げ出された一筋の白色は、さながら不可解な「世界」に投げ出された孤独な実存のようでもある。
 「白と黒の境界は、私という個人とこの世界との境界なのかもしれないな、それは鮮明なようでいて限りなく曖昧だ。それは私の内部においてもそうだ。私の外見は白と黒のコントラストから織りなされているけれど、そこに引かれる厳密でいて曖昧な境目に、きっと人間は興味すら示さない」
 パンダタは凍てつくような窓の外の外界を、暖房で暖められた部屋の中から見つめながら、そんな独想を一人呟いた。
 しかしながらパンダタの哲学的な思考は暖間のドアが開く乾いた音によって遮られた。
 ドアの影から現れた真夜中の来訪者にパンダタはこの上なく優しげな微笑みを向ける。
 「お父さん……」
 半刻ほど前に寝かせた娘が、まだ眠たげな目を擦りながら現れたのだ。あるいは、降り出した宵の雪が彼女を惹きつけたのかもしれない。
 「どうしたんだい、香珠美(かずみ)、眠れないのかい?」
 「うん、なんだか今日はとても寒くて目が覚めたの、そしたら窓の外には雪が降っていて、なんだか眠るのはもったいなくて、そっちに行っていい?」
 パンダタは頷くと愛しき娘を抱き上げ、優しく膝の上に降ろした。暖炉の熱と、パンダタの熱と、香珠美の熱とが合わさり、部屋の片隅に暖かな空間が現れる。
 「ああ、お父さんって暖かい。とてもフカフカしていて、なんだかぬいぐるみみたい」
 「ぬいぐるみっていうか、パンダだからね、実際」
 たわいもない話がこの上ない幸せでもある。パンダタも香珠美もそのことを知っている。
 「ねえ、お父さん、聞いてもいい?」
 「何だい?」
 「サンタさんって本当にいるの?」
 唐突な質問にパンダタは少し困惑の表情を浮かべる。
 「どうしたんだい急に?」
 「私ね、プレゼントに欲しいものがあるの、でもね、今日クラスのみんなに聞いたらサンタさんなんかいないって……」
 パンダタは幼い子供特有のその疑念を微笑ましく感じながら、幾ばくかの間思念を巡らせた後、真実を語ることがこの娘のためだと結論づけた。
 「サンタさんはいるよ、でも香珠美のところに来るのは正直難しいと思う」
 「どういうこと?」
 「サンタさんはね、世界に180人くらいしかいないんだ。イヴの夜は本当に大忙しなんだよ。だから香珠美のところにもやって来る確率は限りなく低いと思う」
  香珠美の眼が大きく見開かれる。
 「嘘、サンタさんは一人よ。それにどんな子供のところにだってやってくるはずよ」
 「香珠美、少し考えてごらん。世界には本当に沢山の子供がいるんだよ。サンタさん一人でイヴの夜に全ての子供達にプレゼントを配るのは時間的に無理だろう」
 「サンタさんは凄い人だから、きっともの凄いスピードで移動できるのよ。昔から赤い服着た人はスピードが3倍って通説で決まっているわ」
 「それはサンタよりもむしろ乗ってるトナカイの凄さのような気がするけれど、まあいい、ちょっと待ってごらん」
 パンダタは手元にあるラップトップPCの電源を入れた。無機質な機動音を立ててOSが立ち上がる。
 「香珠美、このサイトをご覧。サンタのことは何でも書いてあるよ」
 しばし、香珠美はPCの画面に見入る。
 「ほ、本当だ。お父さんの言った通りだわ。『公認』ってサンタさんって認証とかいるんだ。というか日本人のサンタさんは一人しかいないのね、いや、むしろ一人いるのかよ」
 幼少の心理には衝撃的であろう真実は、香珠美をゆるやかな興奮状態に至らせたようだ。
 「お父さんの言ったとおりだろう?ちなみに日本人のサンタさんの趣味は盆栽だそうだ」
 嘘でも「スキー」とかにしとけばいいのにな、パンダタはちょっとそう思ったが、他人の趣味に口を出す道理はない。
 「なあんだ、一人しかいないんじゃ、やっぱり私のところに来るのは無理ね」
 「そうガッカリすることはないさ、だからお父さんがいるんだろう?香珠美の欲しい物、クリスマスにはお父さんがプレゼントに買ってあげるよ」
 途端に香珠美の目が輝き出す。
 「何が欲しいんだい?」
 「私ね、トイザらス限定販売のDXサイガドライバーが欲しいの!」
 微妙にマニアックな趣味だな、パンダタはちょっとそう思った。親としては普通にタっくんや木場くんに燃える娘に育って欲しかったような、そうでもないような。
 「ピーター・ホーの胡散臭い変身は最高だわ!」

 しばしの刻が流れた後、段々と対話の返事が曖昧になってきた香珠美はやがてパンダタのお腹に顔を埋めるように再び眠りについた。
 やれやれ、部屋まで運んでやらないとな。パンダタは香珠美を優しく抱き上げると、換気のために窓を開けた。再び窓の外の漆黒がパンダタの黒い瞳に飛び込んでくる。
 外の世界の闇は相変わらず深く、どこからどこまでが実体で、どこからどこまでが虚構であるのか判別がつかない。それはさながら黒ブチに覆われた自分の顔の、どこからどこまでが本当の瞳であるのかが判別しづらい様子にも似ている。
 それでも僕の瞳は実在するし、僕というパンダも実在している。
 願わくば闇に映える一筋の雪のように、この黒色の闇と関係を結びたい。そしてできることならば、受け入れられない闇を変え得るだけの強さを秘めたい…
 次に来る年が人とパンダにとってイイ年でありますように……世界との関係性を優しく抱きかかえながら、パンダタはそんなことを思った。  <完>

 2003.12.24. 「パンダタの世界」 written by Yuima.
 
■凍てつく季節を吹き飛ばす熱さを秘めた人達ランキング
 
 第2位 雪を物ともしない裸の「カウボーイ」として知られるバークさん

 第1位 クリスマスに48時間リアルタイム更新をやっているQウェルさん  
 
■音楽部門/mot×mot的2003年ベスト
 
 あんまり見てる人が興味なさそうな音楽部門から地味にいってみよー。どんどんどんどん、ぱふー、ぱふー、ふう(ローテンション)。

 すこぶるアバウトなランキングになりました



第5位
宇多田ヒカル「COLORS」&「Simple And Clean」


 「No, I don't think life is quite that simple」

 今年は残念なことに序盤にシングル一枚をリリースしたのみ。充電期間の一年でした。まあリリースが無ければ無いでこれまでの楽曲を繰り返し聴いていたんでランクイン。この二曲も死ぬほど好きな部類ではないですが定期的に聴いておりました。とりあえず来年の全米盤を楽しみに今年を終えたいと思います。



第4位
西川貴教楽曲「Invoke」「Meteor」等


 「降り積もる罪は優しさに 棘は微笑みに変えてゆけるなら」

 前から好きでしたが、ガンダムSEEDで自分の中で再ブレイク。自分的には「Meteor」の比率が高いです。もうダメ、この曲聴くと35話のあのシーンを思い出して心が震える。西川氏は地味に応援してるんで紅白とか出られなくなっても頑張って欲しいです。こんなこと言うとFANの方には怒られるかもしれませんが、カッコ良くないけどカッコいいのがカッコいいです。ワケ分からない。



第3位
仮面ライダー555楽曲「Justiφ's」「Dead or Alive」等


 「今一人一人の胸の中 目を覚ませ The time to go 強くあるために」

 歌詞とか曲とか細かいことはどうでも良く、テンションだけで第3位です。何かもう、俺もExeedChargeしたくなるような楽曲ばかりで、燃えくるってました。特に第二話で「Justiφ's」と「Dead or Alive」が初めてかかった時のテンションの上がりっぷり(僕の)は今でも印象に残ってます。



第2位
ガンダムSEED楽曲「あんなに一緒だったのに」「River」等


 「今なら引き返せるけれども つまらない意地を張り続けている 歩き始めた以上諦めない」

 いい曲ばかりなので一つに選べない。それがSEED楽曲。自分としても衝撃的な事実なんですが、今年純粋に一番多い回数聴いたのがガンダムSEED楽曲のような気がします。全てMP3化して、PCを起動してる時は何かとかかっていました。「あんなに一緒だったのに」だけでも繰り返し聴ける曲なんですが、「River」、「Believe」、その他と立て続けに聴き惚れる楽曲を持ってきたのが凄いです。そのまま作中のイメージ世界に引きこまれるんで中毒性があります。ホント沢山聴いたよ、今年は。



第1位
Angela『ソラノコエ』/アルバム


 「未来はどうあがいてても必ず訪れるから 誰も見たことのない景色を望んでしまう」

 買ったのは12月でつい最近なんですが、今年はコレです。全曲繰り返し聴けるアルバムというのは自分としても珍しい。先日のラジオではアルバムのテーマは「生きる」だとかAngela言ってましたが、そこまで抽象的に漠然としたテーマじゃなくても、純粋な夢追い唄として素晴らしい。アイドルが歌う「夢は信じれば叶う、頑張れ」的なものではなく、夢を追うリスク、必要な覚悟を含めて歌っています。



 まあ音楽部門はこんな感じで、明日は漫画部門いきまーす。
 

2003.12.25.(木)
■漫画部門/mot×mot的2003年ベスト
 
 クリスマスとか関係ない受験生の皆さんいかがお過ごしでしょうか。通念的には受験生と漫画も関係ないけれど、今日は地味に漫画部門をお送りします。ローテンションで行ってみよー。どぎゅーん。

 今年は小説が読めなかった分漫画は沢山読んだなー。



第5位
佐渡川準『無敵看板娘』


 「さー? 死者への考えは国によって違うしねぇ」

 去年から引き続いてランクイン。安定して週一の和みを僕に届けてくれました。ギャグだけじゃなく地味にイイ話を届けてくれるのがポイント。美輝ちゃんとか、ポイントポイントではすっげー良識的な発言してるし。上の台詞なんぞほんと警句(mot)。聞かせてやりたいヤツが世の中溢れてます。



第4位
つの丸『ごっちゃんです!!』


 「じゃなくてごっちゃんだった!!」

 無理して選んだだろとか、そんなこと全然ないですってば!大マジですよ。本当大好きです。今年下半期はごっちゃんが頭から離れませんでした。
 つの丸、今週の巻末コメントで大物、カリスマ募集してましたね。僕かはさみさんでよければいつでも推薦文書くんですが…カリスマじゃないからダメかなぁ。



第3位
一色登希彦『モーティブ MOTIVE-原動機-』


 「お前はしょせん俺の理解から外に逃げられやしねぇよ」

 バイク乗りをmotivateした一冊。バイク乗り限定の楽しさだけじゃなく、とにかく一色登希彦の言葉が熱い。情念、感性に訴えかける言葉で、僕が目指す理詰めで説得する言葉とはベクトルを異にするんですが、ベクトルが違えどここまで熱いと尊敬の念を禁じ得ない。この手の言葉の力強さもいつか身につけたい。
 僕の盗まれた原チャ返ってこないかなぁ。



第2位
CLAMP『ツバサ』&『×××Holic』


 「違う 他人は関係ないわ 自分への、誠意よ」

 二作品一組じゃなきゃ意味がない作品。正直ツバサだけだったらここまでイイ作品だとは思わなかった。Holicを読んでツバサの意味を理解したあの夏。Holicで描かれる哲学をツバサの登場人物達が実践しているという構成を取っています。あとHolicのゲストキャラは作中ネガティブが多いのな(嘘つきの女性、ネット依存の女性、過信する教育実習生)。覚悟も自分への誠意もなく、等価の意味も理解できない連中をHolicの方でネガティブに描いておいて、ツバサでそれらを持ち合わせる小狼くん達を輝かせる。この対比の手法にハマりました。



第1位
和月伸宏『武装錬金』


 「蝶、サイコー!」

 もうこれの1位は最初から決まってました。最初から好きだったんですが、特に蝶野戦の15〜17話は傑作だと思う。自分的にパーフェクトと言ってもいい。誰からも存在を認識されず誰とも心の関係性が得られなかった蝶野に対して、仲間の励ましで立ち上がり斗貴子さんの心も使った二重武装錬金で対抗するカズキ。この対比から結局全員救済の理想が貫けず、斗貴子さんの命を選択する帰結までの流れが最高。
 一番好きなシーンなんですけど、蝶野に対して死んだ後の記憶の話をしながら最後の説得を試みるカズキの場面がイイ。「今のままだったら死んでもずっとひとりぼっちだぞ」の台詞から始まるカズキの説得、死んだ後、自分を覚えていてくれる人がいるかどうか、その点にすごい価値を見出しているカズキ、というか和月先生。このような考え方が僕は昔から好きなのです。自分が死んだあとも記憶を繋いでくれる人がいることに価値を見出す人は、自然と自分も故人の記憶を引き継ごうと過去との関係を大切にするんじゃないかと思って…『るろうに』時代から読んでる人は作者が過去との関係性(ひいては未来への関係性)を大事に描いているというのが分かるので、このシーンは和月信念が感じられて感慨深かったです。また丁度このタイミングでしんかぎん先生への追悼コメントを発表してたのが作中のベクトルと一致していて重みがありました。このシーンで、死、記憶に触れていたからこそ、最後の「嗚呼 俺の名前…」のシーンは深いのだと思います。この3話、るろうに以上に和月作品の一つの終着点を描いてくれたように思います。



 以上、本日は漫画部門でした。明日は映像部門いきまーす。
 
■第09話「闇の奥」/R.O.D-The TV-感想
 
 「動け!働け!」(アニタ)

●だらける姉二人に和んだ
●結婚式のバカ演出に和んだ
●お互いに気づかずに主要登場人物が集合しているカフェテリアのシーンにピリピリした
●ドレイクの主義主張に和んだ
●ミシェールとジュニアの関係に和んだ

 全体として和んでほわわーんとしていたんですが、ラストの黒服の人のおかげでブチ壊されました。むしろブチ撒けられました。
 いまだほわわーんと観るしかない自分がいます。大英博物館とか読仙社とか言われてもよく分からないからなー。
 ほわわん視点からすると、ジュニアと絡むのはアニタよりミシェール姉さんの方がほわわん指数が高いように思います。年下好きのお姉さんと影ながら助ける少年。ミシェール姉さんのほわわんっぷりに感応してカチカチのジュニアが氷解していく展開とかだったら、ほわわん指数高いなぁ。
 
■雑想
 
 現時点でセンター試験にトライすることを表明している同士。まつきっチQウェルさん。あとMネコさん及び尊敬する僕の姉が国語なら…とかなんとか言ってた。
 Qウェルさんも英・国・社三つやってみると言ってるので、僕もせめて国語だけはトライしてみようかな……でもなー、日本語教師の資格持ってて負けたら落ち込むしなー。あ、漢文もあるんだよな、そういえば。漢文、漢文なんて絶対読めないぞ。うーむどうしよう。現代文は興味あるんだけどなー。

 Qウェルさんは早くも「もえたん」で英語対策を始めたらしい。超やる気だ。
 やべー、言語学やってる人か「もえたん」に敗北を喫っしたら落ち込む。落ち込むっていうかそしたら僕ももえたん買うけど

 参加者同士はセンター当日まで募集ですよー。本物の現役受験生は僕らなんぞ無視してちゃんと勉強するように。
 

2003.12.26.(金)
■映像部門/mot×mot的2003年ベスト
 
 良い子の皆さんの所にはちゃんとサンタさんがやって来たかな?サンタって言ってもパラダイス山元さんなんですが、山元さん的にも最近は少子化の上に良い子も減ってきてるんで今年は配るの楽だったかもしれません。
 そんな悪い子だらけの日本の片隅で、今日は映像部門をお送りします。

 我ながらアニメばっかになっちまった。



第5位
『明日のナージャ』


 「団長からは 勇気を貰ったわ」

 スペイン篇くらいでハマりました。フラメンコ初披露の回あたりで、オ、コレは……と思って、それからは本気で視聴。そのままFavorite作品になっていって、ナージャが一座を離れる話では普通に泣けました。僕的に今でも最高映像作品だと思ってるおジャ魔女の後番組として始まったため、最初はどうしても比べてしまって楽しさを発掘できずにいたんですが、今にして思えば最初から気合い入れて観ていればよかったなぁと……そういう作品です。



第4位
『R.O.D-THE TV-』


 「むひゃ むひゃ むひゃひゃ」

 まだ始まってからそんなに経ってないんですけど、とりあえず第01話。第01話のテンションだけでランクインです。あのエンターテイメントのクオリティは凄かった。この後もあのレベルのテンションのエピソードがあり得るというだけで見続けてしまいます。一方でテンション抑え目の日常話はそれはそれで和んで癒されます。ミシェール姉さん好きなんだよ。ダメ人間だけど。



第3位
『宇宙のステルヴィア』


 「窓の外にはティンカーベル そして側には そして側にはウェンディ…」

 これは今、僕がこの時期に観たからこそ好きになった作品。親元を離れての入学から始まり、様々な過程を経て自立へと帰着していくという物語に、少なからず自分の大学入学からこれまでを重ね合わせて観ていました。またサブキャラクターの魅力も魅力の作品でした。むしろ僕的にはこっちがメインというか、町田さんの物語、ラスト2の大、最終話予告のアリサのモノローグとか、うん、良い。



第2位
『仮面ライダー555(ファイズ)』


 「おい知ってるか 夢を持つとな 時々すっごく切なくなるが 時々すっごく熱くなる らしいぜ 俺には夢が無い だが 夢を守ることは出来る…変身」

 壮絶に分かりやすくない作品。反勧善懲悪の極みというか、もう何を守ればいいのやら大変なことになってます。とりあえず主人公も怪人だし。
 僕的ベストエピソードは上の台詞が語られる08話「夢の守り人」。何が正しいか分からないからこそ、守るべきものを宣言するこの回の巧はカッコいい、というか愛しい。東映公式で「いとおしい変身」と表されたこの変身シーン。去年の真司の最後の変身と並んでベスト変身シーンです。このシーンは木場の「知ってるかな 夢っていうのは呪いと同じなんだ 途中で挫折した者はずっと呪われたまま らしい」の台詞が同時に挿入され、未だ出会わない二人が同じ方向を向いていることにひたすら燃えたんですが、ラスト4の現在、木場くんは思いっきり巧の敵に回ってしまい、もう本編ホントどうなるんだという状態です。今年も最後の変身は泣かせて欲しいなぁ。



第1位
『機動戦士ガンダムSEED』


 「でも あなたが優しいのはあなただからでしょう?」

 一年ものの映像作品に全話感想を書くという、凄いんだかなんだか良く分からないことを慣行した、自分としてもとっても想い出に残る特別な作品。このサイト内で一番読まれた文章でしょうし、未だにメールなんかも頂く、motmot的に大事な作品。
 今だから言えますけど、数年前、このサイトが始まるよりも前の話、「個人」について、「依存」について、そして異なる背景を有するもの同士の対話について、僕自身がかなり突き詰めて考えていた時期がありました。その頃いろいろ考えた経験が、ガンダムSEEDのメタフォリカルな部分に僕が目を向けた要因であるように思います。34話のキラとラクスのやりとりを観たときの個人的な感動はちょっと伝えがたい。それまでの話が一気に理解できたのと同時に、視聴以前の自分のもの想いまで想起された、特殊な感動でした。その34話含めて34〜40話は本当良い。映像で観なくても、想い出すだけで胸が熱くなる。
 「私はラクス・クラインです」「言葉は信じられませんか?ならば自分はどうですか?」「ザフトのアスラン・ザラ!」
 カッコええー。

 最終回の話題をふられることが多いんだけれども、僕は時間が経つにつれてかなりあの最終回が好きになっているのですよ。決着つかないんだけれど、あの停戦はうまくいったんだかなんだか全然分からないあやふやなところがイイ。主人公達が驚くほど何もできないのがイイ。ニュータイプのインタビューで監督も言ってましたけど、死んだフレイの言葉はキラには届いてないんですよね。死んでようやく自由になれたのに、普通の人間であるがゆえにフレイの本当の想いはキラには結局伝わらない。その悲しさがイイ。悲しいというか基本的に悲しすぎ、辿り着いた信念も貫けず、何も救えず、存在は否定され、肯定してくれる存在のフレイは守れず、本当何もできない。むしろ全否定を掲げきって死んだクルーゼが勝者の如く。ある意味それが現実。
 でも何も出来ないし悲しすぎるからこそ、最後のカガリがイイ。最後に「死」に依存しようとするアスランを一喝する「逃げるな 生きる方が戦いだ!」が最高にカッコいい。ずっと依存からの脱却を描いてきて、状況が絶望的だからこそ、それでもっ…!というこの台詞は光る。カガリカッコええー。
 というわけで僕は最終回がかなり好きになっているので、今度DVD最終巻に5分間の新作映像が追加されるんですけれど、最終回の象徴性は落とさずに、軽いフォロー(ラクスとかの)くらいにしてくれたらなぁと思っているのでした。正式な続編は大歓迎なんですけれども(^^;)



 以上、本日は映像部門でした。明日は活字部門いきまーす。
 

2003.12.27.(土)
■活字部門/mot×mot的2003年ベスト
 
 あい、今日で最後です。最後の活字部門、さくさくっといってみよー。

 我ながら今年はFictionを読む時間が捻出できませんでした。



第5位
野矢茂樹『無限論の教室』


 「ははは、神よりアリストテレスの方が偉いのにね」

 論理学というひっじょーに難解な学問を、学園モノストーリーの形式を取りながら紹介するという中々画期的な一冊。この難しいことを分かりやすく伝えるという姿勢は常に見習いたい。僕はこのサイトの管理人なんだけど、果たして僕は本当にこのサイトの管理人なのか、とか考えだしたらメタ管理人。メタメタ管理人は、えーとどんなだ?どーん。疲れるよ論理学。無限とは実無限なのか可能無限なのか?そういうの考えるのが好きな人にはお薦め。



第4位
倉田英之『R.O.D』


 「ただのファンなんてものは、新刊だけ読んで勝手に感情移入して、あげくに作家の書くものが自分の趣味と少しでも外れれば、手のひらを返したように飽きて離れていくんだ」

 まだ最初の方しか読んでないんだけど、十分楽しませてもらったから選んでみる。小説版はミシェール姉さんとか出てこないんだけど十分楽しかった。あれだね、読書家なら、それだけで楽しいという。でもって、R.O.Dを手に取る人なんかは基本的に読書家なんで結果皆楽しいと。いい感じのマーケティングで皆が楽しくなって万々歳です。一番作者の倉田先生が楽しんでそうな、そんな作品でもあります。



第3位
サミュエル・ハンチントン『文明の衝突と21世紀の日本』


 「少なくとも基本的な『わずかな』道徳のレベルで、アジアと西欧には共通した特徴がいくつか存在する」

 僕は言語学から入ってこの手の考え方を知ったのだけど、最初から言葉よりも大きい文明のレベルでちゃんと考えてる人がいたことが分かった一冊。今年の発見。相対主義も絶対主義もなんか違うなぁと感じてる人にお薦めの一冊。具体策はともかく、抽象的なレベルで現実の諸問題を解決する道しるべのようなものをちゃんと提案しております。



第2位
J.D.サリンジャー『フラニーとゾーイー』


 「『太っちょのオバサマ』のために磨いてゆけって言うんだよ」

 刊行1968年ですが、とか、そんな声は聞こえません。あくまで僕の2003年ベストだから。
 文学の研究対象となるような名著だから今更読んだ感が強いのだけれど、やはり多くの文学家が指摘しているように、ラストの「太っちょのオバサマ」が何なのか、そこが深い。神とも他者とも自分自身とも取れるし、さらにはそれらが有機的に繋がっているような感覚すら覚える。このラストのゾーイーを通して語られるシーモアの言葉でフラニーが救われるくだりは、やはり抜群にイイ。
 というかサリンジャー、もうグラースサーガの続き書く気ないのかなー。文学界では「謎の沈黙」とか呼ばれているけれど、FANとしてはやはりもう少し読みたい。シーモアという存在にもう一歩踏み込んだ物語とか、他の兄弟の物語とか、まだまだ読んでみたい物語があります。



第1位
マーク・C・ベイカー『言語のレシピ 多様性にひそむ普遍性をもとめて』


 「右目から見た視界は、左目から見た視界に比べて、本質的によいとか悪いとかいうことはない。実際、両目で見た視界も客観的にはそれほど変わらない。にもかかわらず、目が2つあることには大きな価値があり、1つは余計で、なくても済むとは思わないものである」

 コレは選んでいいのかな?ギリギリ学問書ではないとカウントして1位。あー、でもやっぱ少々言語についての基礎知識がある人にじゃないとお薦めできないかな……。言語で考えなくてもいいんです。右目と左目をそれぞれナチュラルとコーディネーター、あるいは人間とオルフェノクに置き換えてみてもイイ。こういう考え方、3位に選んだハンチントンの考え方とも似ているけど、物理法則ほどじゃなくともかなり普遍性が強い言語の法則から考えてみても、かなりの程度真実めいているのであります。 



 以上、一週間に渡ってmot×mot的2003年ベストを選んでみました。これを選んだからって特に世界が変わるわけではないんですが、自分の記録としては中々楽しい一週間なのでありました。来年は、もっとこうFictionを読めたらいいな、そんなことを考えながら、今年も1年という年が終わっていくのでありました。フライングで除夜の鐘でも突きに行ってくっかなー。
 

2003.12.28.(日)
■第47話「王の出現」/仮面ライダー555感想
 
 「だから どんな世の中になっても"小さな幸せ"ってやつを俺は守ろうと思ってる」(添野刑事)

 脇役の添野刑事の口から言わせていますけど、コレが作中正義というか、この作品の正しさの部分なんでしょうね……果たして巧は小さな幸せを守ることができるのか。

●さよなら社長
 澤田といい結花といい、555はしっかりと時間を取って主要キャラの死を描いてくれるのがイイです。去年の龍騎は北岡さん、浅倉あたりの死に様は丸々一話使ってやって欲しいなーと思ってたので。この分だと草加辺りも期待出来ます……と思ったら次週「草加、散華」ギャー。
 ……えー、というわけで一部の視聴者の皆さんにとっては次週が最終回です。うわ、既に泣きそう。散華っぷりによっては「夢の守り人」を超えるベストエピソードになるな…次週予告に漂う悲壮感がたまらん。

●補
 王はアレですよね?たぶんゴールディングの『蠅の王』にかけているんですよね?あー、ちょっと結末が予想できるかも。
 
■第46話「二人のナージャ、対決!」/明日のナージャ感想
 
 「おだまりなさい ヘルマンおじさま」(ローズマリー)

 敬語で凄まじい毒吐いてます。

 日記帳だとかドレスだとかフランシスの証言だとか、次々と証明カードを提出するも片っぱしからローズマリーに斬って落とされるのが凄かったです。法廷サスペンスノリの一話で観ててハラハラ。
 手持ちの証拠で十分論殺できると思うんだけどなー、やはりナージャはまだ子供ってことでおバカなのが見ててはがゆい。

 とにかくこれでキース再登場の舞台は整ったんで満足。最後にもうひと華カッコいいっぷりを見せて欲しい。次週「黒薔薇、散華」の勢いで。
 
■年末年始の気になる番組
 
 観るかどうかはともかく以下列挙。        
29日(月)
NHK総合21:15〜
氷原の王者ホッキョクグマに迫る(再)最高のドキュメント。録画で永久保存決定。
29日(月)
NHK総合深0:05分〜
十二人の怒れる男硬質な法廷もの、延々と議論が繰り広げられるらしい。ロジック物なら燃え。
31日(水)
テレビ朝日8:00〜
仮面ライダーアギトPROJECTG4劇場版。最後のキックはメラ燃え。
31日(水)
TBS21:00〜
K1Dynamite!格闘技イベント目白押しだけど、やっぱ曙VSサップを選択。下馬評通り僕もサップ有利だと思う。
31日(水)
NHK総合深0:25〜
年越しトーク 壁を越えて養老孟司氏出演。『バカの壁』、結局読んでないけど気になる。
3日(土)
テレビ東京5:35〜
怪獣大決戦ヤンガリーいや、よく分からんが怪獣物。
3日(土)
テレビ東京10:00〜
ヒカルの碁スペシャルWJ感想サイトとして押さえておくべきか。
6日(火)
日本テレビ深1:53〜
攻殻機動隊遂に地上波開始。映画版は僕がアニメを見直すきっかけになった傑作。TV版も評判イイし期待。
7日(水)
テレビ東京深1:00〜
マリア様がみてるいやなんとなく。

 暇な人は一緒に見ましょう。とくにホッキョクグマは超お薦め。与力さん情報多謝。
 

2003.12.29.(月)
■雑想
 
 ゆいまさんの年末年始。普通に勉強とバイト。一人
 今年のテーマは社会と関係性の無い年越しです。テーマっていうか僕は別に望んでないんだけど、結果的にそうなった。でもまあ毎年マメに帰省していたんで、一生のウチ一度くらい誰の記憶にも残らない年越しっていうのもイイだろうと地味に思う。
 というわけで、まったく何事もなかったようにこのサイトも更新してるんで、孤独の使徒はふるってメール・書き込みカモン。
 
■あり得ん!
 
 カガリのシーンでは地味に下の会話が好きだ。

 「死なせないからな、おまえ。弟かもしれないあいつも」
 「弟?兄さんじゃなくって?」
 あり得ん!あいつが弟だ!」

 この特に根拠の無い「あり得ん!」が和む。色々使えそうなんで流行らせようと思う。





 ガンダムSEEDの続編はイザークが主人公。

 あり得ん!





 ガンダムSEEDの続編は主人公機がハイゴック。

 あり得ん!





 2004年はつの丸が大ブレイク。

 あり得る!



 ラクガキ↓(すぐ消すけど)

<カガリ絵削除>

 最近カガリ好きだなー。
 
■なんか
 
 今日のヨミウリ新聞にNECが通訳ロボ開発とか書いてあったんだけど、あんましこういうのやって欲しくないなー。語学系の職が無くなる。機械通訳・翻訳の開発を目的としながら、完璧な通訳機を作ってしまったら自分の身を滅ぼしてしまうというのが言語学徒の業。ゴキブリホイホイの会社が完璧なゴキブリ殲滅機を開発してしまったら倒産してしまうのに似ている。
 

2003.12.30.(火)
■雑想
 
 本日購入書籍。

 緒方てい『キメラ』6巻。
 島本和彦『燃えよペン』『アニメ店長』。


●キメラ6巻
 感 動 。
 #40「紅蓮からの脱出」最高。もうこれで最終回でも受け入れられる。#9「決意の剣」を抜いてベストエピソードに。最近異種族融和ものに弱い。

●燃えよペン
 熱 過 ぎ 。

●アニメ店長
 「金でグッズは買えても愛は買えないのよ!!」
 笑った。
 奇しくもコミケやってる日に読んだ。日本のサブカルチャー万歳だよな……だがそのサブカルは内部に国境を越えて人を惹きつける普遍性を有している。誰の言葉かというと、僕の言葉です。
 アニメイトでグッズは買ったことないなー。

 島本作品で年越しというのも乙だ。
 

2003.12.31.(水)
■雑想
 
 Lady to go 風よ〜 仮面ライダーAGITO〜♪
 石 原 慎 一 最 高 。

 劇場版アギト観た(二回目だけど)。やっぱラストのシャイニングモードに転身&紋章キックのところで主題歌がかかるのは燃える。劇場版は555のパラダイス・ロストが一番好きなんですけど、このキックの燃え度はアギトの方が上のような気がする。



 そして新番組「仮面ライダー剣(ブレイド)」の番宣がかかった!

 やべー、カッコいいよコレ。
 トランプをモチーフにしたライダー、ブレイド(スペード)、ギャレン(ダイア)、カリス(ハート)…当然クローバーも出てくるんだろうな……主人公(らしい人)も相変わらずカッコいい系だし。巧のようなクール系じゃなくて、どちらかという真司っぽい親しみやすい系の印象を受けました。ソレ好きだなー、既に変身シーンカッコいいし。

 はやく、キック&EDのシーンを見たい。毎年この瞬間が楽しみなんだよなー。
 
■観念的な雑想
 
 観念的な話なんで読み飛ばしてもらっていいですが。
 今年全体を通して得た知見は、世の中の諸問題の根底に「1=1という普遍的な論理が破壊されている事実」があるのではないかということでした。
 まったく不思議なことなのだけれど、人間の精神には1+1=2、1=1と判断する普遍的な能力が備わっている。これは生理学的、物理学的に言っちゃえば脳に備わっているのだろうし、認知科学、心理学などの視点から考えても、人の認知機能に最初から備わっている普遍的な特質だ。これはもう、リンゴは木から落ちるとか、地球は回るとかいった、物理学的な真実とほぼ同じレベルの、一つの普遍的な真実と言っていいと思う(この考え方に反対してる人達もいるけれど)。
 ところが、世界にはこの1=1をぶっ壊してる人達がいる。10=1だとか、100=1だとか、真実をねつ造してる人達がいる。それはリンゴは木から落ちないとか、地球は三角だとか言うのと同じなので、僕の感覚からすると狂ってるというか、狂気の世界に既に入っちゃってるんじゃないかと感じてしまう。狂気とは、ちょっとばかし専門的な知見から言うならば、心の中の論理機構が壊れた状態であることに他ならないので、10=1だとか言ってる人はやっぱもう心が狂ってるんじゃないかと。
 でも意外なほどこういう人は存在する。例えばテロリスト。まったく関係ない人を100人ブっ殺す彼らは、論理機構がぶっ壊れてる人の代表者。100人殺しますが、私は死にません。1=1の普遍論理からすれば、「人一人の死=人一人の死」のはずなんだけれど、彼らの心の論理機構は破壊されているので、自分の命だけ勝手に100くらいにしている。自分の命は100、関係ない人の命は1。彼らの心の論理機構は100=1。1=1はブっ壊されてしまった。
 もう少し身近な話なら、自衛隊のイラク派遣に関して、「自衛隊なんだから死を覚悟するのは当たり前」という論を傲慢な態度で展開する人達。それでいて「自分が行けば?」と尋ねれば「NO」と答える人達。彼らも微妙に論理機構が壊れている。自分は危険なところに行きたくありません。でも自衛隊は行って下さい。自分だけは安全なところ。彼らも自分だけ勝手に10くらいにしちゃっている。自分は10、自衛隊の人は1。10=1の論理で強弁をふるう。彼らの心の中でも1=1はブっ壊れている。
 形はそれほど深刻じゃなくとも、こういう1=1の破壊は身近なところに迫ってきているような気がする。僕のサイト絡みの話でなら作品批評なんかもそう。個人的な好き嫌いは当たり前にあり得るんで良い。でも作り手に誹謗中傷を加えてる人なんかはどうか。それでいて「自分で作ってみれば?」と問えば「NO」と言わざるを得ない人達はどうか。自分で作れもしないのに、作ってる人を中傷するという行為には1=1の破壊が見え隠れする。自分は10、作り手は1。10=1の立場からの誹謗中傷。なんだか自分が偉くなった気がして気持ちいいのかもしれないけれど、そんな気持ちよさの影で自分の論理機構が壊れてきているというのは中々に怖い。
 そんな、1=1が破壊された世の中は嫌だ。そう思えたことが2003年の観念的な収穫でした。なんで次の課題は、それならどうするかという部分。つまり1=1が壊れている人達に、どのようにして1=1の破壊を自覚させ、それがマズイことだということを悟らせるか、その方法論。これは言葉による説得しかないと思うので、翌年は説得の技法に磨きをかけたい。それが僕の観念的な目標。翌年というか、これは一生ものの目標なような気もするのだけれど。
 
■終わる2003年
 
 今日は午前中にとっとと今日の分の課題を終わらせて、夜はまったり曙VSサップを観る予定。同じく帰省しないで残ってる友人も来る予定。蕎麦でも食べようかな……

 今年motmotを訪れてくれた方、ありがとう。そして来年もヨロシク。
 


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