2004年08月後半の日々の雑記

2004.08.16.(月)
■雑想
 
 『冬のソナタ』より『春のソナタ』(三田誠広の)の方が面白いんじゃん?なんて、恐ろしくて一般人の前では言えない。(挨拶)

 むしろ、僕が『夏のソナタ』を作る勢いで。主演は、ぺ・ヨンジュにお願いする、と見せかけて、サモ・ハン・キンポに眼鏡をかけてもらって出演してもらおうと思います。アクションものかよ!


 先日、本日とで、

 綾辻行人『十角館の殺人』
 CLAMP『東京BABYLON』1〜5巻
 士郎正宗『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』
 今野緒雪・長沢智『マリア様がみてる』1巻


 と、ゲット(古本屋メイン)。


●綾辻行人『十角館の殺人』
 『空の境界』の奈須きのこ氏がニュータイプ8月号の記事にて、ミステリにハマるきっかけになった作品と語っていたのを読んで購入。僕的には小学生の時読んでいた偕成社の子ども向けミステリ以来のミステリとなります。本格と新本格の違いもよー分からない状態ではありますが、とりあえずコレからはポツポツとミステリも読んでいきたいと思います。

●CLAMP『東京BABYLON』
 CLAMPを開拓しだしてからずっと探していたのだけど、都合良く古本屋に文庫版5冊が置いてあったのを発見してがっちり購入。星史郎さんが出てくるヤツの模様。ツバサとHolicから入ったにわかCLAMPファンなので、こうやって過去作を開拓していくのはスゲー楽しい。

●士郎正宗『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』
 コレも、ケチって古本で探してたのをようやく見つけたので購入。コレは漫画版ですが、アニメ映画の方は、子ども時代の卒業と共に卒業したアニメの世界に僕をもう一度引き戻した鬼作。漫画、小説、STAND ALONE COMPLEXとメディア展開していますが、媒体を問わずボチボチと集めていこうと思ってる作品です。あー、STAND ALONE COMPLEX観たいんだけどな。関東圏離れちゃったからなぁ。レンタルで観ればいいのだけれど、いつかDVDで揃えたいと思えるほどの作品なんで、一時的にレンタル代を出すのが微妙にはばかられてしまう。

●今野緒雪・長沢智『マリア様がみてる』1巻
 2巻の方を先に買ってた漫画版の1巻。再入荷してたんで購入。小説→漫画の順で展開した漫画にしては、上手く原作の魅力を捉えてる漫画じゃないかと。

 この他に研究の方で読まねばならない専門書なんかもあるんで、とにかく読みまくりですな。
 

2004.08.17.(火)
■雑想
 
 母パンダが読んでた藤堂志津子さんの文庫本を見て、エ!?藤堂志摩子さん?と素で作者名を読み間違えたわけですが。(挨拶)

 重傷だ……。


 本日購入は、

 CLAMP『ツバサ』7巻
 佐渡川準『無敵看板娘』9巻

 あー、来月から刊行の『CLAMPのキセキ』も欲しくなってきたなー。月一刊行ならなんとか購入できそうな気が。


 この先十日あまり、また執筆作業。論文ではないので負担はそれほどでもないのだけれど、公に刊行されるモノなので手が抜けない。脳の、文章作成中枢をしばらくピリピリさせてる感じ。
 
■CLAMP『ツバサ』7巻/マガジンコミック
 
 「推測も大事だけどそれは真実じゃない 考えても答えが出ないなら出来る限りの資料と物証を集めて少しでも確信に近づく 父さんがそう教えてくれた」

 小狼くんの、こういう建設的な思考をしてるところが好き。ほんと、この主人公は好き。

●黒鋼
 小狼とファイに比べて、今ひとつ行動の理由が弱かったように思えるんですが、モコナの「ファイも、黒鋼も、小狼も、どこか寂しいの」の台詞や、「骨も残さず、生きながら」の台詞と共に顔に影がかかるコマから察するに、黒鋼にも何かしら黒鋼の行動に影響を与えてる過去がある模様。黒鋼過去編に期待。それとも他作品でもう説明されていたりする?

僅かな可能性でもあるならそれに賭けます
 の見開きの抜剣ゴマはかなりの燃え度。3巻の後ろ回し蹴りシーンに通ずるものがあります。本当の本当に少年漫画だな、コレ。

 小狼くんがしっかりと成長型の主人公だと明らかになったので満足。黒鋼、星史郎さんといった高みにいる連中を踏まえて、以後建設的に努力し、成長していく話になりそうです。やっぱし、無敵主人公タイプよりもこっちのタイプの方が好きだな。
 

2004.08.18.(水)
■雑想
 
 アイデアが二つほど閃く。ホント、閃く時は一瞬。コレ、上手く論文化できれば査読通るレベルのモノになるんじゃ?ってくらいの勢いを今は感じてるんだが……今の研究早めに終わらせて先生に相談してみよう。
 今日は、ずーっと引用したくても手に入らなかった海外のDissertation(博士論文)が手に入ったりで、満足度数は高い一日。


 本日購入は、

 『ファウスト』Vol.3

 本屋に残り二冊だけになっていたので勢いで購入。まだ、綾辻のミステリ途中なんだけどね。


 わりと多忙だったんだけど、明日はまるっきり趣味の研究のための書籍を閲覧しに他大学の図書館に行ってみたりする予定。本日は激しく活動したんで、明日はそれくらいまったりでOKってことで。
 

2004.08.19.(木)
■雑想
 
 西尾維新って同い年だったのか!

 いや、ファウストVol.3を読んでて初めて気づいたんですが。コレは興味あるなぁ。どういうの書いてるのか今度読んでみよう。


 本日読了は、

 綾辻行人『十角館の殺人』

 ミステリの感想って書きづらいな。コアな部分は反転を織り交ぜて書く感じで。ネタバレ反転の部分は普通に犯人に言及してたりするんで、未読者は読まないように。


 午前中は他大学の図書館に行って、連絡を入れて取り置きしておいたもらった資料をひたすら閲覧。中々いい資料だった。1万3千円。今度ウチの研究室で買ってくれないか助手の人に頼んでみようかなぁ。
 
■綾辻行人『十角館の殺人』/講談社文庫
 
 『十角館の殺人』は、ラスト間近のたった1行のことばでそれまで積み上げてきた世界がぐるりとひっくり帰ってしまうんです。

 とはニュータイプ8月号に載った奈須きのこ氏のコメントですが、なんというか、これが壮絶に決まってます

 つーか、スゲ。この衝撃、これが綾辻行人ですか。限られた道具だてから論理を展開させて一つの解答(まあ犯人)へというミステリのメインもまあ勿論踏まえてるんですが、ミステリ云々よりもそれ以上にラストのサプライズに作り手の気迫を感じます。普通レベルの思考力、構成力、筆力ではこの衝撃は生まれない。そういった尋常ならざる心的労力を、ただただラストに読み手を驚かせるための一点に注いでる感じが熱い。人驚かせることに命賭けてるよこの人!

 自分の読書傾向がミステリに傾きそう。それくらい、純に、面白かった。

----------<以下ネタバレ>----------

 犯人、島パートの方は当たりました。論理的にパズルを解いたとかじゃなくて、ほぼ勘で

 ただ、コレは他のミステリ一般に使える技かは分かりませんが、「7人のウチ主観視点で書かれる文章が出てくるかどうか」というのを一つの指標にして犯人を予測しました。犯人は内面で当然全てを知ってるワケなので、内面がもろに読者に伝わるような主観視点の文章は犯人に関しては作者も書きづらいだろうという予測のもとです。結果、早い段階で犯人はエラリィ、ポゥ、ヴァンの三人に絞られます(この三人の主観視点の文章が出てくるのはかなり物語の後半)。で、その中だったら7人を島に招くきっかけを作ったヴァンが一番怪しいかなと、そんな程度で犯人当てました。ただ、しかしながらそのヴァンが本土の守須と繋がるというラストは全然予測できなかった。普通に、本土パートは事件の背景を語らせるためだけの説明パートだと思って読んでた。ラストの「ヴァン・ダインです」の1行で、完璧に、な、なんだってーと驚き狂わせられた。スゲー。文章の芸術と書いて文芸なのだと思いました。ちょいとばかし、ほかの綾辻作品もポツポツ読んでいこうと覚悟完了しました。


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2004.08.20.(金)
■雑想
 
 近くの川辺で行われた花火大会を自宅(マンション)から鑑賞。

 やはり散り際が美しい。明らかに僕も花火系の人生を生きているので、何か、共感。


 本日読了は、

 岡田淳『二分間の冒険』


 購入済み未読本を崩しにかかることにしました。一冊未読本を読んだら一冊新しいのを買ってよいという自分ルールを設定。コレで、年末までには何とかなるだろ。
 
■岡田淳『二分間の冒険』/偕成社文庫
 
 児童文学でありますが、僕の小学校時代NO.1の1冊。ホント、偕成社には世話になった。

 小学時代もわりかしコアな本読み小学生だったので、学校全体から見ればマイナー層だった本読みのお子様同士でどの本が面白いとか一番だとか当時からやってたわけですが、皆が『はてしない物語』あたりを一番に挙げる所を、僕は当時から既にマイナー路線でコレを一番に挙げていた記憶があります(ちゅーか、皆『はてしない物語』を挙げていたのは、当時、映画『ネバーエンディングストーリー』が流行ってたからなわけですが)。

 どことなくホワホワとしたファンタジーなのにも関わらず、さりげなく入ってるメッセージがエラくディープなのがツボでした。イヤ、マジで、大人になってから読んでもグサリとキますぜ?お薦め。

 物語の骨組は、二分間の不思議世界に迷いこんだ主人公が、元の世界に戻るためにその世界で「もっとも確かなモノ」を探すというもの(もっとも確かなモノを抱きしめれば元の世界に帰れるという設定なのであります)。

 色々と確からしきモノを見つけはするんですが、ことごとくハズレ。果たして、「世界でもっとも確かなモノ」とは何なのか?
 この手の話を聞くと、「この世界に確かなモノなんてないのさ」とワリかしニヒルな解答があり得そうで、それはそれで文学っぽくまとまってしまうように思えるんですが、この『二分間の冒険』ではきっちり解答を提示してるのが熱いです。

 さて、ラストに主人公が見つけた「世界でもっとも確かなモノ」とは!?↓

----------<以下ネタバレ>----------

 解答は、ズバリ、「自分自身」。

 最後は主人公が自分自身を抱きしめるという衝撃のラスト。

 ぐあ。小学生にこの解答を叩きつける岡田先生はロックです。当時、小学生だった僕、「そうか!この世で信じられるのは自分だけか!」と大盛り上がり(←間違ってメッセージを受け取ってる)。この辺り、その後も今現在も僕が非常に個人的に生きていることに影響を与えたような気がしないでもない。

 なんて言ってみましたが、今回読み返してみたら、ちゃんと「一人でできないことはみんなで力を合わせた方が良い(竜の退治シーン)」とか「自分が特別な存在だなんて思い上がってはいけない(選ばれし剣のエピソード)」といった、自分が最も確かだとは言っても、あまり自分自分とばかり言うもんでもないよという、自分主義のネガティブ部分への牽正もやんわりと入ってる物語でした。そういう点では子どもに安心して見せられる良書でした。

 そんな感じで、自分サイコーイケイケ的な気分を子どもに味合わせたい人も(イヤ、別に味わいたい大人も)、ちょっと自我肥大気味の我が子に牽正を入れたい人も、やんわりと娘息子に薦めてみてはいかがでしょうか。ちょいとばかし小学生レベルでは高めの読解力を要求する本ではありますが、とりあえずお薦め。


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2004.08.21.(土)
■雑想
 
 前情報がまったく入手できていなかったのだけれど、本日アマゾンを覗いていたら、9月30日に岩本隆雄の新刊@ソノラマ文庫『夏休みは、銀河』(1)が発売との記述が。
 (1)ってことは、何、シリーズモノを書いてくれるってことなの?それは歓迎なんだけど、とりあえずどんな感じなのか情報が欲しい。『星虫』シリーズと関係してるのかどうかだけでも、知りたい。
 村上春樹の新刊情報の時といい、最近は新刊の情報が一番速いのはアマゾンなのかもしれん。


 本日読了は、

 トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の彗星』

 ムーミンかよ!(一人つっこみ)
 
■トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の彗星』/講談社青い鳥文庫
 
 「そうだな。こいつたちは、家へかえったほうがいいだろう。そして、スノークのおじょうさんも、足輪のあるほうが、ないよりはましだろう。彗星がこようと、くるまいとな」(スナフキン)

 や っ ぱ り ス ナ フ キ ン は カ ッ コ い い な !

 幼少の頃の僕の、こういう人間になりたい対象ナンバー1でした。大マジでこういう人になりたかった(スナフキンは人じゃないがな)。現在の自分に思いを馳せるに、どちらかというとじゃこうねずみさんになってる感じですが。無駄じゃ、無駄じゃ。

 物語は、平和なムーミン谷に彗星がせまってきて地球滅亡の危機が!どうするムーミン!?という感じの、最近の地球滅亡モノパニック映画を先取りするような内容になっています。
 そんな中でムーミンらの取った行動は、彗星に乗り込んで内部から彗星を爆破とか、バスターライフルで大気圏を突破する前に打ち落とすとか、そういうアクティブなものじゃなく、いたって普通に生きること
 いや、本人(ムーミン)らは結構必死なんだけど、結果的にそうなってる。その辺り、まあ滅亡するっていってもそうするしかないよねという趣旨の達観した台詞を、少し集団から身を引いている達観者スナフキンに言わせてるのが熱い。地球が滅びるにあたっての人間の行動に関しての解答としては、ネビル・シュート『渚にて』に近い感じです。

 その他、何故かムーミンVS謎の食虫植物というバトルシーンまで挿入されて、エンタメ指数が高い内容となっております。アレ、ムーミンってこんな話だったっけ?ムーミン、めっちゃナイフ持って闘ってるし。バッサバッサと食虫植物切り刻んでるし。

 ノンノンが一貫して「スノークのお嬢さん」と呼ばれていて、名称が出てこない。日本版アニメムーミンでは途中から名前がノンノン→フローレンに変更になったのですが、原作者のトーベ・ヤンソンとしてはなんて名前をつけていたんだろう。あと、挿絵がステキだなーと思ってたら、挿絵もトーベ・ヤンソンなのね。シュールだけどファンタジー的なステキ絵。多才だ。
 

2004.08.22.(日)
■第30話「失われた記憶」/仮面ライダー剣(ブレイド)感想
 
 「オレは何をやっていたんだ 今まで」(始)

 まったくです。


 されどやっぱり今週も橘さんが熱い。橘さんが出てくるだけでブレイドの楽しさが2割増しになります。

「烏丸所長からチベットからの小包が送られてきたって!?」
 満面の笑みです。超嬉しそうですこの人。
 そして、そのあと繰り広げられた主人公サイドの会話が熱い。

 「橘さん、クイーンを封印して最高のコンビになりましょう!」

 「そう言えば、この前戦ったのがカテゴリークイーンだったんじゃない?」

 「そうだー!丁度イイ!

 怖いよこの人達!

 上級アンデットの人権完全無視。みゆきさんの時の葛藤や、嶋さんも上級アンデットだった事実とか、忘却。人間が自然を淘汰する種族だという真実が滲み出ていました。ゲーム感覚でカード集めてる睦月とかに文句言えないじゃん、この人ら

●それにしても
 今週の蛇女アンデットの扱いはさんざんです。上記の人権無視の会話にさらされたまま、なんの活躍の場もなく一人ブチ切れのカリスに封印されてしまいました。んでもって速攻ギャレンに譲渡。もうこの人のレーゾンデートル(存在証明)はなんだったのか。笑いまくってた印象しかありません。美人でもテンション高すぎる女性はちょっと……という作り手のメッセージでしょうか。

●そしてギャレンジャックフォームが熱い
 クジャク形態になり、銃にブレイドが生えてきた時は、オッ?と何かしら変化的な必殺技に期待が膨らみました。剣使うの?みたいな。そしてそのまま上空に上昇し、何をやるかと思えば、やっぱり銃です。遠距離から鬼のような銃撃。それでこそギャレン。上空に飛んで距離を取るあたり徹底しています。肉弾格闘?犬にでも食わせろ!みたいな超現実的な反ヒーローチックな闘いっぷりが燃える。


 次週は再びレンゲリャーの話の模様です。睦月の話は人間としての更正物語なので楽しみ。金八先生役が、橘さんです。
 
■第29話「嵐の夏祭り!カミナリ様は超コワイ!?」/ふたりはプリキュア感想
 
 ほのかの浴衣姿だけで今週はOK。

●今週のポイント
 ・藤P先輩。この前巨大ミミズと格闘を強いられたりしましたが、サバサバとした性格なので気にしてない模様です。
 ・院長先生。カミナリでスパーク。髪型がスパーク。
 ・ほのかパパ。娘の浴衣姿に毎年号泣して感動する大人が、一人。

 次週、サブタイからして新必殺技登場の模様。精神的な昇華と掛け合わせて欲しいなぁ。

 今回の三人組の敵との間にはキリヤ−ほのかであったような人間ドラマはないんでしょうか。レギーネだけ人間体は憂いを帯びた眼をしてるのがちょっと気になるあたりですが。
 
■雑想
 
 今ひとつ集中できなかったんで研究室を早めに撤収。
 帰りは道中の古本屋に寄ってみたり。購入予定リスト作ってるんで参照しながら探すんだけど、中々目当てのものは見つからない感じ。マイナーなのが多いのかのう。
 

2004.08.23.(月)
■39号/WJ感想
 
●武装錬金
 一周年。パピヨンが弾けた辺りから面白くなったという人が多そうだけど、去年の自分のWJ感想読むまでもなく僕は第01話目から好きでしたな。とりあえず和月氏の描く漫画が好きだったんで(るろうに大好きだし、GBWも当時WJ離れしていたにも関わらずコレだけは立ち読んでたほどには好きだった)。ストーリーの話ばかりしてるような気がしますが、絵も好き。バトル時の構図とかがスゲー好き。今週もチャージ時の三段コマ割とかスゲー好み。

 人気投票は、単行本の和月氏コメントから推測、そのコメント掲載時から特に順位が変動しそうなイベントは作中で起こってないってことで、斗貴子さんの圧勝のような気がしますが。というかホムンクルス蛙井とか、ギャグ以外で入れるヤツいないだろ。

 本編は、これまた単行本での和月氏コメント、「ブラボーは主人公のいつか乗り越えなければならない対象としての大人キャラに再チャレンジしたもの」って辺りが滲み出てる話ですな。届け→ブラボーの笑顔が入って→届けェェ、とか、深読みすると深いのかも。

●藤崎竜先生次号から新連載
 僕としては『PSYCHO+』(面白かった)しか読んだことがない漫画家さんだったりします。普通の人は『封神演義』、通な人は『サクラテツ対話篇』を挙げそうですが、どっちも読んだこと無し。『PSYCHO+』だけって我ながらヒドイな。なんでかなー。丁度その頃WJ離れしてたんですな。なんで、がっつり読むのは初めての藤竜作品になります。地味に楽しみ。予告絵見る限りはオーラ(面白そうな)あるよね。

●ONE PIECE
 オオ、ルフィがメンタルなイベントで泣いている。
 ラスト2ページの台詞の役回りはゾロしかいない感じ。やっぱゾロだけ仲間ウチでも重要度のヒエラルキー(階層)が高い模様。要所要所でのルフィが一番信を置いてる描写とか、今回のこういう役回りとか。

●DEATH NOTE
 ちゃんと監禁中に報道された犯罪者も死んだ事実を説明する可能性は、

 1:誰かを操って(DEATH NOTEの断片を持たせて)殺させている。
 2:レムが直接、あるいは第三者にノートを渡して殺している。

 の二つが考えられそう。でも、1は、単行本公開の設定で「第三者を巻き込んで殺すようには操れない」というのがあるらしいので、無さそう。
 なんで、僕は2の可能性を予想します。コレは検証可能な予想なんで次号を楽しみに。ハズレても何もしませんが。

 「凄いことになってきたな」の三分割モニターがちょっとウケた。トリプル監禁かよ。

●切法師
 読みやすいし良くまとまってるけれど、この読切でこれだけはアピールしておきたい!っていう作者のコアが感じられなかった感じ。『プルソウル』は信念以上に大事なものもあるかもしれないぜ?ってなメッセージ性、『タカヤ−おとなりさんパニック!!−』は渚ちゃんハァハァ!(コレは作者の意図と違うかもしれぬが)、『BULLET TIME!!』はガンアクション!、『ムヒョとロージー』は(被害者を)全肯定しない怪奇譚、とこれまではそれぞれコアがあったように思えるんですが。

 とりあえず金未来杯、僕的に一つ挙げるなら『タカヤ』かなぁ。魅力的なヒロインが存在したというその一点だけで。でも、どれも高水準で読める漫画ばかりだったんだけど、連載で読みたいと思うほどのは無かった。やはり、新連載は遠藤先生の『PMG-0』が掲載された付近の読切から出して欲しいってのが今んとこの本音。

●BLEACH
 何度も書いてますが、ルキアのメンタルな課題の部分はタメにタメてます(今回でも)。ルキア救出プラス、このルキアのメンタルな課題の昇華の部分がこの漫画のクライマックスです。

●こち亀
 今週エラく面白かった。一般人になじみのないネタ(スポーツ、おもちゃ、メカ、仕事、なんでも)を上手く紹介しながらネタにするパターンのステキな一話。裸のパラシューターオチの下界の反応が笑えたっス。

●スティール・ボール・ラン
 さりげなく、僕的に非常にスティール・ボール・ランが好きになった一話。ジャイロの行動背景が「納得するため」っていうのが、なんだか非常に共感できた。うん、やっぱし自分にとって大事なことに関しては納得して行動したい。

●ぷーやん、シャーマンキング、ミスフル
 僕の主観的面白さ度数では、この三作がぶっちぎりで現在のWJの中では低いので、この三作が掲載位置ラスト3を独占というのは非常に納得できるものがあります。でも打ち切りとなると、シャーマンキングはまとまるまで続けさせてあげたかったり。ぷーやんより先にシャーマンキングが終わるってのはちょっとなぁ。今回の改変期の新連載は藤崎先生だけなのだろうか?少し、今回は変則で読みづらい。ぷーやんが終了して、交代で藤崎先生ってのならかなり僕的には理想かなぁ。

●ジャガーさん
 ハマーは、コイツよりは自分はマシ…って感じで優越感に浸って楽しむには危険なキャラです。読者が自分と比べるにしては、ハマー、底辺にいすぎるんで。
 

2004.08.24.(火)
■雑想
 
 本日、先日との読了は、

 奈須きのこ「D D D JtheE」
 小林弘利『ナディアストーリーズA不思議の森のマリー』

 ナディアは、いつ買ったんだろうか、自分。とりあえず未読コーナーに置いてあったので読了。アニメ版が好きだっただけに普通に楽しめましたけど。アニメ、今再放送やってるんですが、全然観れてないですな。
 
■奈須きのこ「D D D JtheE(Decoration Disorder Disconnection J the E)」/『ファウスト 2004 SUMMER vol.3』収録
 
 そう、弱者は一生弱者だ。
 だからこそ 一生弱いままだと気付いた人間は、せめて、救われたいなどと思わない。それが弱者の精一杯の誇りの筈だ。弱者は弱者なりに、自分の弱さを誇って生きろ。同じ弱者として、それを捨て去った人間に、見出すべき価値などない。


 このラストバトルで出てくる思想が強烈。

 普通は強者から弱者へとかける言葉は上から見下ろしたもの言いになってしまう、弱者に届く言葉をかけれるのは弱者の立場に立って同じ高さの目線から言葉をかけられるものだけってな感じで、弱者は弱者同士で助け合うという弱者の立場からの弱者の救済が描かれるものなんですが、コレのラストは弱者の立場からの弱者の否定

 コレがインパクト大だった……弱者同士の助け合いは勿論、強者でも弱者の気持ちは忘れずに(弱者を否定すんな)ってな思想を伝える物語がよくあるだけに……
 分相応を享受できない弱者の自我肥大(力がないのに強者だと勘違い)。それを強者が上から叩きつぶすと、爽快な中にも強者の傲慢がチラついたりしてしまうことがあります。その辺り、弱者の立場からの叩きつぶしで爽快感を出すってこの話の骨組は、かなりこころニクい。

 他、全般に硬質ながら萌えキャラを出してしっかりマーケティングを見据えてる所とか、テーマとして現実と非現実の境界の問題があったり(コレはファウストの企画でそういうモノを書くのがテーマだったのだけれど)、自殺という現象への衒学的な言及があったりで、ああ、確かに『空の境界』の作者が書いてるなぁという感じ(特に自殺への思慮は『空の境界』の「俯瞰風景」よりも深まってるような印象を受ける)。

 ラスト間近の一行でそれまで読者が抱いていたあるイメージをひっくり返すところなんかも、ミステリに傾倒した時期があるという奈須氏らしい。

 中々に、ハマれる短編でした。
 

2004.08.25.(水)
■雑想
 
 クイズヘキサゴン(初めて観た)に綾辻行人が出てましたが。(挨拶)

 結構、面白い人じゃん!


 本日は、アマゾンに頼んでた品(本)が届いたと思ったら、中身が間違って発送されていた罠。再発送にはまた3、4日かかるらしい。
 しょうがないんで、その間に読む用の書籍を古本屋で購入。

 京極夏彦『妬獲鳥の夏』
 山田風太郎『魔界転生』上・下

 と、購入。


 でもって、本日、先日との読了は、

 『Kanon&AIR SS 茜空編』
 CLAMP『東京BABYLON』

 KanonSSは……いつ買ったんだろう、自分。というかなんで買ったんだろう、自分。まー、ぶっちゃけ楽しかったが(^_^;

 『東京BABYLON』は、噂通りの名作。これ多分XXXHolicの原型だね。つーか今週のHolic、なんか急展開じゃない?敵とか、いる話だったのか!
 
■CLAMP『東京BABYLON』1〜5巻/新書館ウィングス文庫
 
 こいつは名作です。『B'TX』みたいに全話感想書きたくなったくらいに(時間の都合上諦めたけど)。

 現在ヤンマガで連載中の『×××Holic』の原型的なモノだと思いました。現代的な「歪み」を抱えてる登場人物が毎回ゲストキャラとして出てきて作中のネガティブ要員として描写され、それらと真正面から(読者視点で?)向かい合うキャラとして、昴、四月一日がいると、でもってラスト付近に出てきて、ちょっと普通人の感覚からすると強力な解答を「既に知ってる者」のポジションからゲストキャラ(と昴ら、というか読者)に叩きつけていく存在として、星史郎さん、侑子さんがいると……その辺りの物語構造が非常に類似しています。

 他、「普通」に対する懐疑、「1=1」の思想の見え隠れ(本当に特別な人は一人に一人という話とか)、全体的に価値観を相対的に捉えている辺りなど、今のCLAMPがそこはかとなく描いてるメッセージの原型が読みとれます。発表されてから大分年月が経ってる漫画ですが、今読んでも全然色あせてないんで、お薦め。

----------<以下ネタバレ>----------

 昴にとって愛情の対象として「特別な人」になりそうに描かれていた星史郎さんが、最後に殺意の対象としての「特別な人」に裏返るってラストはスゴいな。

 というか、区切りはつけながらも、まだこの話はテーマとして続いてる模様。『ツバサ』に出てきてる星史郎さんがどういう結末を迎えるのか、俄然楽しみに。

 あと『X』にも星史郎さん出てくるみたいなんで、そっちもチェックしてみよう。


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2004.08.26.(木)
■雑想
 
 ラクスの新規映像に満足。(挨拶)

 2年後ですよ。18歳ラクスですよ。

ゼロアタック配信中/ガンダムSEED DESTINY公式サイト

 ミリアリアも出ますか!

 つーかアレだ、既にカオスガンダムとガイアガンダムの造形にノックアウト気味なんですが特に変形後

 今回はステラ・ルーシェとルナマリア・ホークが最初から女性MSパイロット設定なのがステキですな前作は終盤のカガリだけだったのに

 公式サイトのステラ紹介の

 「普段は普通の少女だが戦闘時には尋常ならざる強さを見せる」

 の一文に既にステキな響きが。

 もっとも、放映前の公式サイトのキャラ紹介はアテにならないが

 既にフライングで僕のPCの壁紙、インパルスガンダムになってたりするし。
 WEB上で見つけたものだけど、世のガンダム絵描きども、フライングで燃えすぎコレが凄まじいクオリティーなのであった。


 他は、山田風太郎『魔界転生』の序盤をポツポツと読書中。
 

2004.08.27.(金)
■雑想
 
 本日は読了と購入物だけ軽く。


 本日読了は、

 山田風太郎『魔界転生』上

 血湧き肉躍る感じ。イヤ、山風はほんと天才作家ですな。


 でもって本日購入は、

 秋月亮『宇宙のステルヴィア』2巻
 
■秋月亮『宇宙のステルヴィア』2巻/メディアワークス
 
 いや、良かった!町田さん(僕の一番好きなキャラ)がエラくピックアップされててめちゃめちゃ満足だった!最終巻なのに、半分が町田さん(とやよい)の話というのがステキ過ぎ。というか、何?書き下ろしカラーイラスト、町田さん、(やよいの)胸揉んでない?気のせい?ぐわしっと揉んでない?

 アニメ版ではグレートミッション後に町田さんの激しい落ち込みから復活までの熱い話があるんですが、漫画版はグレートミッションまでということで、別の形で町田さんの物語を消化。今回はケントらと一緒に鍋を囲むまでの心境の変化という形で描いてくれました。最終話の「たいした意味はないわ、ただ気づいたの 急いで生きても仕方がないって」の部分の3ページはスゴく良い。漫画版の方が町田さん物語は好きかも。こっちは完全にイイ人のまま終わってるんで(アニメではエラく邪悪ベクトルに一時入る)。

 町田さん中心に読んでますが、ラストのクライマックスも普通に別ヴァージョンとしてステキだった。アニメ版のラストはプログラムに乗せて志麻が音山くんに応援メッセージを届けるという、志麻と音山くんの関係を中心にして、かつギミックを効かせたモノだったんだけど、こっちはもっとストレート。主人公志麻の口から、これがクライマックスだッ!と言わんばかりの感動台詞を3ページかけて直接語らせることで盛り上げてます。つーかラスト2のこのシーン、雑誌掲載時立ち読んでてウルっとした。

 友人関係のホワホワ描写による和み目的と、少し入った上昇志向のスパイスによるやる気転化を目的として、繰り返し読みたくなるタイプの漫画です。
 

2004.08.28.(土)
■雑想
 
 『魔界転生』下巻、145Pまで読了。

 面白くなってきましたよ?

 アレですな、個人的に選ぶ、今年の特殊能力ベストみたいな企画があったら、忍法魔界転生は第3位には入るインパクトですな。あと選ぶとしたら、2位が直死の魔眼で、1位はCOOLドライブ。


 本日購入は、

 エラリー・クイーン『Xの悲劇』
 山田風太郎『山田風太郎明治小説全集F 明治断頭台』

 凄まじい傑作ばかりを連日読んでるような気がしますが、幸せなことですな。


 研究関係が一区切りついたので、数日はゆったりとできそう。何しようかなー。
 

2004.08.29.(日)
■雑想
 
 黙々とPCの前に座って統計処理作業。

 統計作業、ひたすら単純作業なので、音楽鑑賞タイムでもあります(この辺りが、仕事としてPCに向かってる一般の職業人よりは気楽な部分)。
 今日は、ひたすらT.M.Revolutionアルバム巡礼の旅に旅立っておりました。確認したのは、やっぱし『the force』はかなり好きだな自分ということと、発見したのは『SEVENTH HEAVEN』なら速い曲調の「Zips」と「ウルワシキセカイ」がハマれて繰り返し聴いてしまうな、と。そんな感じの日曜日。


 本日読了は、

 山田風太郎『魔界転生』下
 
■山田風太郎『魔界転生』/角川文庫
 
 壮絶

 いや、もうホント読み手の体力までも奪うぐらいに、濃密でかつ壮絶です。山田風太郎スゲ。

 それはそうと、本編の感想に入る前に、ずっと思ってたことを一つ。


 山田風太郎小説が好きな人は板垣恵介漫画も好きという法則ってない?


 いや、前々から気になってたんですが、僕がWEBで見かける山田風太郎ファンの人はことごとく板垣漫画のファンでもあるという現象がありまして……なんか、かなり有意な傾向があるように前から思っておりました。

 で、今回初めて山田風太郎小説を読んでみて、なんとなく分かった気がしました。両者の作品とも、なんつーか登場人物が人間の根元を追ってる感じが共通しています。剣術であったり忍術であったり、板垣漫画なら格闘術であったり、そういったものに命賭けで取り組むことで、なにか根元を追ってる感じの人々がよう出てきます。

 あと、構成も似てるよね。『バキ』の死刑囚編なんか、最初に戦うことになる敵を濃密に描写してから、それと戦う味方サイド……という順番で話の流れを構成してるのなんか、まんま今回の『魔界転生』にそっくりです(山田風太郎の方が先でしょうが)。

 その後、敵サイド、味方サイドに別れてのバトル編となるのも、非常に山風的でかつ板垣的と言えそうです。そしてどうやら僕もかなりこの山風くささ、板垣くささが好きらしい。なんで、本日をもって上述の山田風太郎ファンかつ板垣恵介ファンに、僕も仲間入り。やっぱ、山田風太郎も板垣恵介も面白いよ!

----------<閑話休題>----------

 で、本編の方ですが、

 最初から、女体の内部から女体をブチ破ってムキムキの男が登場!……とか、山田風太郎テイスト全開で飛ばしていくことになります。

 その忍法魔界転生を使って復活する面々がスゴい。天草四郎・荒木又右衛門・田宮坊太郎・宮本武蔵・柳生但馬守・宝蔵院胤舜・柳生如雲斎……この歴史的に超メジャーな強者どもが復活します。それも敵として

 敵として復活するという展開もスゴいんですが、それ以上にスゴいのが、山田風太郎、この敵の復活描写に、実に物語の四分の一の200ページあまりを割いていることです

 敵をしっかり描写してこそそれを倒した時の爽快感が出てくるというのはバトルモノの基本ですが、山田風太郎やり過ぎ。なんて熱い人なんだ、山田風太郎。

 で、この敵の紹介、復活過程が邪悪さ全開、憎悪全開でイッパイイッパイの濃密さ、もう僕、最初の200ページを読み終えた頃にはぐったりしてました

 

 前半200ページを持って怨怨とした邪悪描写を濃密に描いたからこそ、その後出てくる主人公、柳生十兵衛の飄々たる描写がエラく映えます。もう、邪悪に満ちてた読み手の精神を洗い流してくれるかのように、十兵衛が出てきたところで精神的な負荷がぐっと軽くなります。もう、その時読者が思うのは、

 十兵衛カッコイイ!

 の一念のみ。あー、ホント十兵衛出てきて、読んでて助かった(僕が)。

 で、その後はまあ上述の濃密に描かれた敵達と十兵衛が戦っていくバトル小説になるんですが、このバトル編が血が沸騰しそうなくらいに熱過ぎ!板垣ネタがらみで烈先生風に言えば、今世に出てるバトル小説の多くは、山田風太郎がはるか昔に通過した場所なんじゃないかと思えるほどに激烈に今読んでも輝くバトル描写です。

 情景描写として天守閣をタメにタメておいて天守閣で決闘となる柳生如雲斎とのバトルなども捨てがたいですが、なんと言ってもラストバトルのVS宮本武蔵がヤバ過ぎる。

 かの有名な佐々木小次郎VS宮本武蔵の巌流島での決闘をリフレインさせたシチェーションでの、柳生十兵衛VS宮本武蔵。太陽を背に背負い、巨大な木剣を振り上げる武蔵を十兵衛はどう攻略するのか?

 この壮絶なシチェーション、決闘に山田風太郎が与えた解答に衝撃するべし

 背筋に電流が走ること請け合い。僕的に、カ、カッコイイ……と唸るしかない決着シーンでしたぜ?死ぬまでに読んでおくが良し。
 

2004.08.30.(月)
■40号/WJ感想
 
●ワークワーク

 も の 凄 い 面 白 い と 思 い ま し た 。

◇二種族相克と正義の相対化

 少しWJを離れた話から入るので、WJオンリー読者には分かりづらいかもしれないんですけど、僕がここ二年あまり好きになり、かつ世間的にもヒットした映像作品の物語の型に、「二種族相克型」と「正義の相対化型」の二つがあります。前者の「二種族相克型」の代表例は『ガンダムSEED』と『仮面ライダー555』、後者の「正義の相対化型」の代表例は『仮面ライダー龍騎』。

 「二種族相克型」の大まかな物語の形は、相反する二つの種族(ナチュラルとコーディネーター、人間とオルフェノク)が存在し、それらがお互いに争い合っている図式から物語りが始まり、主人公が両種族をシャッフルさせた立ち位置に立って物語が展開し(コーディネーターなのにナチュラル陣営に属するキラ、オルフェノクなのに人間のために戦う巧)、最終的に二つの種族を分かつカテゴリーを無化する形で帰着していく(ガンダムSEED第3クール、仮面ライダー555ラスト)……という形の物語。

 一方、「正義の相対化型」の大まかな物語の形は、何かしら絶対的な「願いを叶える力」が一つだけ存在し、その一つの力をめぐって、それぞれに正しい正義をかかげる複数の主人公がお互いに争い合うという形で物語が展開する……という形の物語(龍騎だけじゃなく、僕は未プレイですが、今年ヒットした、『空の境界』の奈須きのこ氏脚本のTYPE-MOONゲーム、『Fate/stay night』もあらすじを見る限りはこの型の物語っぽいです。もっともこっちはSEEDや龍騎に比べてそもそも18禁ということもあり、マーケット対象が大人オタク層に偏ってるかもしれないけれど)。着地点は、とりあえず、正義が相対的だとしても、だからこそ、「個人的に」叶えたいと願う願いは尊い……というような帰着。

 で、ワークワークを読んで何が面白いと思ったかといったら、藤崎竜先生、このエンタメ指数が高い二つの物語の型を、今回二つ一気に入れてきたんじゃないかということ

 まず、「二種族相克型」の方ですが、すぐ分かる通り、このワークワークでは「人間」と「機械」の二種族が相反する形で争っている物語構図なのが見て取れます。で、「二種族相克型」のキモは主人公が「両種族にまたがる特性」を持っているという部分なんですが(両方の特性を持ってるがゆえに、立ち位置が一方の種族に固定されない)、その点もばっちり「人間」であるアル(受け継がれてシオ)が、防人の武器としてアールマティという「機械」の力を使っている点で、既に燃える形で両種族にまたがる特性を持っている図式となっております(さらに、既に人間でありながら「人間」のカテゴリを絶対視しない主人公を描くが如く、機械に対しても黙祷を捧げるシオなんて描写が入っている)。
 これだけで既に二種族相克型の鋳型を踏まえた燃える序盤なんですが、さっきも言った通り、それに加えて「正義の相対化型」の構図も同時に絡み合わせて入れてきてるのが期待感を加速させます。

 「此処においておまえは全能 そしてその全能の力を得るため世界に七人いる防人たちが神(おまえ)の奪い合いをするだろう」

 の部分から、もろストレートに「正義の相対化型」の構図も絡んできてるのが見て取れます。

 今回の「正義の相対化型」の何が熱いかっていったら、奪い合う対象となる「力」が、(ヒロインらしき)少女という点じゃないかと思います。もう、これは、第一回から大胆に帰結を予想してしまえば、さっきも言った通り「正義の相対化型」の物語の帰結は相対的な正義を超克した形での「個人的な」願いを描くというものなので、少女と関係性を結んだシオが、万能の力云々を無視して、「個人的に」少女を守るというのがこの物語の正義の相対化部分のテーマの帰結なんじゃないかと思います。

◇箱庭世界における世界のあらましの謎

 で、もう一つの軸として面白いと思ったのは、「そもそもこの世界とは何なのか?」という謎解きの要素が濃密に入っている部分。
 これ、少女は神様じゃないんだよね?

 「さぁ 醜く争うがよい わが子らよ」

 の辺りから、本当の意味で神的なポジションにいてこの世界を掌握しているのは、この黒い影の方。どうにも、この世界そのものが黒い影の人が作った箱庭世界の如き雰囲気を第一話から出しているのが非常に燃えます。少女から見て未来にあたるというこの世界は何なのか?黒い影はなんなのか?この世界のあらましは何なのか(この辺りが人間−機械の二種族相克にも関わってくると思われる)?そういった惹きつける謎が第一話から散りばめられています。さらに熱いことに、この神的なポジションの黒い影が、邪悪な感じに描写されているのが熱い。もう、また第一話から展開に期待しちゃえば、箱庭世界の物語のラストは、やっぱし箱庭を統べる創造者に対しての反抗じゃん?なんて今から燃えてしまうんですけど。

 という感じで、『サイコ+』以来久々に藤竜作品を読んだんですが、第一話目は非常にツボでした。どういう漫画家さんなのか全然知らないんですが、これは、実質月1掲載とか、ブツ切れ最終回とかにはならずに、真摯に続けて欲しい漫画だなぁと思いました。

●BLEACH

 「鈴虫終式 閻魔蟋蟀」

 あー、大げさでカッチョいい。良く考えるなぁ作者。

 知覚を剥奪されるというのは、聖闘士星矢のシャカ戦、サガ戦辺りの「第4感剥奪!」とかを思い出しましたな。となると、攻略方法としては「セブンセンシズに目覚める」が有効かな。

 と思ったら、何に目覚めるでもなく剣八さん攻略してるし……剣八さん強っ。

●DEATH NOTE
 検証可能な予測検証。先週の感想での予測どおり、監禁中に報道された犯罪者が死んでいた理由は、レム絡みでした。レムがこのままフェードアウトはおかしいなぁとずっと思ってたので、個人的に満足。
 というか、もう面白過ぎる。このキラキラ純真な目をした月が、再びノートを手にして邪悪スマイルを復活させるという絵に、今から燃えてしまう。

●シャーマンキング(最終回)
 エーッ!と驚きました。こういうの、アリなんだ、みたいな。

 アニメ化もされたんでファンは多数なはず。今でも決着を信じて単行本を楽しみに買い続けている読者が多数いるであろう作品を、こうやってブツ切れにするの作者&編集者的にアリなんだ、みたいな。

 むしろ、そういうことをできる立場にいる人達に憧れる感じ。何千人楽しみにしてる人がいようが、オレが終わりっていったら終わりなの!みたいな。そういうこと、一度くらいやってみたいわ。

 なまじ、今回の最終回が結構まとまってて普通に面白いだけにファンの人悔しそう。ハオが倒すべき対象じゃなくて救済すべき対象だっていうテーマの帰結は、もう十分想起させられるだけに描いていたから、確かに終わりって言えば終わりなんだけど、やっぱし実際に救済にいたる過程と救済後のエンディング絵を見せて欲しかったよなぁ。

 まあ、普通に打ち切りなのでしょう。改めてWJ怖いと思ったわ。僕が好きな武装錬金だろうがDEATH NOTEだろうが、アンケートが取れなきゃきっとこういう風にブツ切られるんですね。怖……。

●テニスの王子様
 仕合い中ほどの爆笑度数はなくなった感じだけど、「むろん王座を奪回する為に!!」→「イエッサー!!」の辺りは面白かった。「むろん〜」の所は今更だけど、中学生の顔じゃないだろって感じで、あと武士なのに「イエッサー!!」かよ、みたいな。

●リボーン
 「普段から死ぬ気の人には死ぬ気弾が効かない」っていう理屈は面白かった。もの凄い死ぬ気になる、とかじゃなくて、効かないんだ(^_^;

●いちご100%
 これ、ほんとスゴいな。前半まるまる使った向井さんの告白が、微塵も後半に繋がるということなく、ラストは西野と逃避行というのが本当スゴい。ラストの西野の笑顔が、河下先生の頭の中を想像しながら読んだらなんだか不気味に見えた。

●武装錬金
 石ノ森章太郎の系譜リスペクトの武装錬金からすると、十中八九「たった一つの命を捨てて 生まれ変わった不死身の体」のデビルマン展開じゃないかと思いますが。簡単には死ねない辺りの悲哀も入れてくる可能性があります。
 あんまり大きな展開はありませんでしたが、新キャラの剛太くんが魅力的になってきた感じ。編集さんとの間で、「そろそろ変態じゃない男キャラでも人気取って欲しいんですが」→「うん」みたいなやり取りがあったんじゃないかと想像。

●未確認少年ゲドー
 今週良かった。大好きだった1クール目以上にイイ話だった。「ボクたち未確認生物に理解と友情を示してくれる 大切な友だちなんです!」からゲドーくんと讃良ちゃんの会話への5ページ余りじーんとキた。巻末コメントより打ち切り回避したみたいなんで、これからもたまにこういうイイ話を入れていって欲しい。

 新連載予告がないんですけど、ぷーやん終わらないんだろうか。それだと、ぷーやんの代わりにシャーマンキング切ったみたいで体裁が悪いと思うんですけど。
 

2004.08.31.(火)
■雑想
 
 「台風でもくりゃいい」なんて歌った稲葉浩志をちょっと呪った日本列島。(挨拶)


 えー、8月も終わりです、恒例の自分への記録用読了カウント。

 8月の読了、10冊

 多っ。

 3日に1冊読んでるよ自分。なんか、最近色々とちょっと空いた時間に読むという読みの技術が向上してきてるようで、いい具合にスピードが上がってる感じ。

 本年度の読了総数は既に44冊。目標の年間50冊は既に射程内に。やりゃできるんじゃん、自分。ほぼゼロ冊だった去年とかなんなんだろう。

 内容的には、奈須きのこ氏の文章にハマったり、ミステリを読み出したり、前から気になってた山田風太郎作品をついに一つ読んだりと、今までの月にも増して充実していた感じ。次は既に買ってある京極夏彦『姑獲鳥の夏』、エラリー・クイーン『Xの悲劇』、山田風太郎『明治断頭台』のミステリ傑作連を読むつもり。我ながら、スゴいラインナップだ。


 でも、その前に、なんとなく今日は奈須きのこ『空の境界』の「俯瞰風景」を再読。 
 
■奈須きのこ「俯瞰風景」/『空の境界』収録/講談社ノベルズ
 
 章題でもある「俯瞰風景」という概念をみっちりと一章全部に絡めているのがステキ。で、もう一方で「自殺」に関する考察というもう一つの軸があるんだけど、これら二つがラストの橙子さんの台詞の一文でがっしりと手を繋ぐ感じがまったくもって最高。

 自殺するような思想をぶった切ってる側面もある一編です。

 人間の知覚には地図を上から見つめるような知覚(本編でいう俯瞰の知覚)と、身の回りの小さな現実を見つめる知覚(本編でいう箱の中の知覚)の二つがあるんだけど、

 「肥大した精神ほどより高みを目指すだろう。だが、それでも自らの箱を離脱することはない。人は箱の中で生活するものだし、箱の中でしか生活できないものだ。神さまの視点を持ってはいけない。その一線をこえると、ああいった怪物になる。幻視(ヒュプノス)が現死(タナトス)に変わり、どちらがどちらなのか曖昧になって、結果判別がつかなくなる」

 の橙子さんの台詞から、俯瞰の知覚の方を自我肥大のメタファーとして使っているんだと思います。度を過ぎた(箱の中から離脱するほどの)俯瞰の知覚を持ってしまう、すなわち自分が神様の視点を持ってるかのごとく自我肥大してしまうと、うっかりタナトスに魅入られてしまうことがある。なんとなくですが、言ってることは分かります。

 されど、基本的には自殺するのは分相応をわきまえられなかった自我肥大人間と捉えられているので、あくまで自殺者には冷たい感じで結ばれてるのがイカす。このあたり、自殺するなんてかわいそうと、自殺者に同情を一途に向ける人も世にはいそうですが、奈須氏は最近の「D D D JtheE」なんかを読んでも、弱者に対してちょっとばかしキツいような解答を叩きつけてぶった切るのが好みのようです。

 正直、余り興味はなかったからだ。

 から始まる、ラストの自殺者に対してひたすらどうでも良さそうな橙子さんの態度がゾクゾクものです。

 ラストの一文、

 自殺に理由はない。たんに、今日は飛べなかっただけだろう

 あー、最高。一般人に言ったら暴力的だと捉えられそうなもんなんですが、通しでこの章を読んだ後に限り、強く頷かされる一言です。
 


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