(2001年5月〜8月)
Sorry,Japanese Only



8月


「美少女の逆襲」
<著者>唐沢俊一 <発行所>ネスコ 1600円

 すご〜く、つまらない本だった。笑って読めるほど、大人じゃないんだもん、ワシ。
 まず、「少女(美少女)」の定義が、著者のこじつけ。本の内容は、偕成社やポプラ社から発行された「少女小説」1冊1冊に対する著者の感想文なのだ。半分は少女小説の引用だし。著者は、この本を書くために少女小説を集めたらしい。集めた本100冊以上をどう利用しよう。そうだ、感想文で1冊の本を作っちゃえ。なのでは?どうだ?
 なにが「逆襲」なのか?あとがきを読むまでわからなかった。少女小説を復活させる企画を立てたから、支援の声がほしいのだそうだ。支援が集まれば企画が通る。本当の美少女像を復活させ、今の間違った美少女の定義をひっくりかえしたいのだそうだ。
 昔の少女小説をなつかしく思うかた、賛同したいかたは読んでみて下さい。


「ペットは女の妻である」
<著者>犬丸りん <発行所>ネスコ 1200円

 タイトルに「?」と思ったが、読んで納得。なるほどである。
 イラストもあり、楽しく読める1冊だ。
 女とペットの深い関係。一人暮らしの女性は、なぜペットを飼いたがるのか。人気のペットは毛モノ(目がくりくりしていて、丸くて、小さくて、毛があるもの。たまに爬虫類好きも存在する)が多いのはなぜか。男性の飼うペットとの違い、などなど、解説している。
 毛モノペットは好きだけど、毛深い男はイヤ。
 ペットは家事をしないけど、夫や恋人が部屋でゴロゴロされるとむかつく。
 ペットには甘いが男には厳しい女性。
 ペットには、女らしくふるまったり、見栄をはったり装ったりする姿を見せる必要がないし、だらしなさを見られたからって告げ口される心配がない。適当におバカで助かるのだ。
 ペットを通して、女性の本質、現代女性の置かれている立場や状況が理解できるのではないだろうか。働いている時、女は男になるのだ。女だって養いたい。
 ペットは女の妻になれる。家族になれるのだ。


「ヤキソバパンの思想」
<著者>犬丸りん <発行所>東京書籍 780円

 犬丸りんの本は、イイぞ〜。なごめるぞ〜。ほのぼのしてて、好きだ〜。文章も軽快で、(Sくらももこみたいに)じめじめしてなくてイイ。「何事も楽しんでるよ〜ん」という感じが好き。押しつけがましくて良いんだな。
 どうしてもヤキソバパンを好きになれなかった著者。パンという主食と、ヤキソバという主食をかけあわせた食べ物に魅力を感じなかった。おかずあっての主食じゃないのか。著者の「食」へのこだわりである。
 しかし、自家製パン屋でアルバイトをしていた時、店のおばさんが作る本当に美味しいヤキソバパンに出会い、ヤキソバパンを誤解していたことに気がつくのである。
 ヤキソバパン、サイダー、イモ、シチュー、キュウリ、豆カン、…。食べ物の話は続く。私が爆笑したのは、猫がサクラモチを食べるシーンと揚げまんじゅうをライオンの曲芸にたとえるところかな。


7月


「笑うカイチュウ 寄生虫博士奮闘記」
<著者>藤田紘一郎 <発行所>講談社 467円+税

 コブが動くんだって。
 そのコブは、突然に盛り上がって、しばらくすると、なくなって、何日かすると今度は違う場所にコブができる。それから、14年間かけてへそから首まで移動したオデキがあるんだって。あとは、皮膚の下を走り回って、ミミズバレをつくって、このミミズバレが動くんだよ〜。原因は寄生虫なんだけどー。さっき、美味い蕎麦を食ったばかりなのにスマンのお〜。本だよ、ほ・ん。寄生虫の本。今、読んでいるんだよね〜。おもしろいよ。動くコブは、ユウキョクガッコウチュウ。動くオデキは、マンソンコチュウ。皮下を這う虫は、ガッコウチュウ。
 この本には、ウエステルマンハイキュウチュウ、コウセツレットウジュウチュウ、ジアルジア、トキソプラズマ、などなど、発音しにくい(早口言葉で、どうぞ)寄生虫が、うじゃうじゃ登場する。と、言っても、写真やイラストは一切載っていないので、安心して下さい。見たい人は東京・目黒の「目黒寄生虫館」に行くと良いでしょう。(「徹子の部屋」で、大槻ケンヂさんがここを紹介してから、土・日曜日ともなれば、女子高生でいっぱいだ。館長の亀谷了さんの著書「寄生虫館物語」を読んでみるのも良いかもしれないぞ)。
 日本には寄生虫がほとんどいなくなってしまったように見えたが、どっこい。グルメ、自然食、ペットブーム、海外旅行などによって、急に寄生虫病が日本国内で流行しだしたのである。公園の砂場糞問題、ネコと妊娠と赤ちゃんの関係などは、この本を読めばパニックになる必要はないように思える。
「ドジョウの踊り食いはしない」、「ナネクジの丸飲みはしない」、「ヘビの生血は飲まない」、「クマのルイベは食べない」、…、なかなか勉強になる本であった。
 ホントに、著者は、寄生虫を愛しているようだ。それは、この本を開いて1ページ読めば、よーくわかる!!


「セブン セブン セブン アンヌ再び・・・」
<著者>ひし美ゆり子 <発行所>小学館 533円+税

 数年前、単行本「セブンセブンセブン わたしの愛したウルトラセブン」を、市民図書館から借りて読んだ。今年、本屋で偶然に、この文庫本を見つけた。タイトルが少々違っているのは、改稿し、新原稿を加えて文庫化したからのようだ。もちろん、迷わず買いましたよ。そして、読みました。
 本書のプロフィールに「「セブンセブンセブン わたしの恋人ウルトラセブン」を改稿し…」とあるが、タイトルは、上記だったと思うけどなー。私の記憶違いかもしれません。
 著者:ひし美ゆり子さんは、ウルトラセブンでアンヌ隊員を演じていた女性です。アンヌは、当時、TVでウルトラセブンを見ていた少年たちの永遠のヒロインなのです。
 この本は、アンヌの写真満載!アンヌ誕生秘話、ウルトラセブン撮影エピソード、ウルトラセブンに関わった仲間、ヌード写真事件、成人映画出演…。自称(?)ポンコツ女優が語るあのころの話。
 単行本とは、だいぶ内容が違っているけど(ウルトラセブンにまつわる話は残ってますが、現在の心境などが加わってます)、両方読めた私は、ラッキーでした。この本を読むと、あのころの友達や日が暮れるまで遊んだ公園や風景そして食卓(笑)が思い出されます。
 実は、ひし美ゆり子さんは、アンヌ研究家だったんですね。知りませんでした。
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ひし美ゆり子のホームページ
http://www2.tky.3web.ne.jp/~boshichi/


「新編 ぼくは12歳」
<著者>岡真史(高史明・岡百合子=編) <発行所>筑摩書房 430円
「生きることの意味 ある少年のおいたち」
<著者>高史明 <発行所>筑摩書房 430円

岡真史 様
お元気ですか?君が大空へ飛び立った日を覚えていますか?そう、1975年7月17日でしたね。
君の死の直前まで書き綴った詩と作文と読書感想文が、1冊の本になりました。私は買ってから10年以上たった今でも、手にとっては繰り返し読んでいます。どのページも君のキラキラした言葉で綴られていますね。
なんという透明感でしょう。
君は「ぼくはうちゅうじんだ」と叫んでいますね。私には、到底わからない悩みだったのでしょうね。そして、誰にも解決できない問題でもあったのですよね。
世の中を、テーブルに置かれたコーヒーカップにたとえると、側面・内面・底。君はすでに底の裏面までみつめてしまった。写真の中の君の目が、そう言っているようです。
君の本には、御両親(高史明・岡百合子夫妻)の文章も載っていますが、「自殺」なんて言葉は、どこにもなかったんじゃないだろうか。私も、君は、投身・自死だと思っています。
私は、君のお父さんの本「生きることの意味」を、君の本に出会う数年前に読んでいました。お父さんは、むすびのページに、このような事を書かれています。
<人の生きる過程には、多くの困難があり、そのなかには、容易に解決できない困難もあるといえるでしょう。でも、人はその困難に向かって、せいいっぱい生きることはできるのです。そしてせいいっぱい生き抜くなら、きっと大声で叫べるときがくるものです。生きるって、なんてすばらしいんだろう!>
君は読んでみましたか?お父さんの、お父さん自身の、生きた素晴らしい言葉ですね。私は君のことだから、きっと読んでいるばずだと思っています。
それでも空を舞ったのは、なぜですか?
今でも君の自死に対して「なぜ?」という気持がなくなりません。わかったところで君が生き返るわけでもなく、このまま人々の心に「なぜ?」だけを残すのでしょうか。
君は12歳でした。
ちょっとわがままで、聡明で、心優しい君のことだから、きっと姿を変えて今でも御両親の側にいるのでしょう。
                            7月17日
君の詩のファンの1人である 峰 より



6月


「グロテスク・ジャパン」
<著者>井上章一 <発行所>洋泉社 1600円

 海外には「殿様」というレストランがあったり、「将軍」というバイクが売られていたり、「スモウ」という車が製作されていたり。ベトナムでは「みぶー百万遍」と書かれた(京都)バスが走っていたり、モンゴルでは「佐川急便」と書かれたトラックが目撃されたり。招き猫、だるま、盆栽、俳句、禅などのエキゾチック・ジャパンを集めた本である。
 全日空の機内誌「翼の王国」に連載された文章をまとめた本である。全て著者が目撃したのではなく(一部は著者が調査したようだ)、聞いた・見たという情報(資料としての写真あり)を元に書かれた本なのだ。私好み、ど真ん中の本であった。
 そうそう、映画「ブラック・レイン」で、高倉健がアパートで(盆栽が、やけに目立つ部屋であった)、厚さ20センチはありそうな座布団に正座して書道してる姿に、(思わず)笑ってしまったなー。1人暮らしなのに、あんなでかいアルマイトやかんを使っている人はいないと思う。学校のだるまストーブにしか乗せないぞ〜。とつっこみを入れてしまった。作業着にヘルメット姿で自転車を必死にこいで通勤する団体さんに、この映画を作るにあたって「そんな日本人は、おらん!」と注意してやる(勇気ある)ヤツはいなかったのか?
 私はエジプトで日本料理を食べたことがある。ツアーに組み込まれていたのだ。内装が中国と韓国がごっちゃになってるし、料理は天ぷらとキムチだし。インドのホテルで食べた日本食はチャーハンだった。「日本=アジア」なんだよね。
 私が「仙台から来ました」って自己紹介すると、仙台(が、日本のどこにあるか)を詳しく知らない人は、「仙台=東北(みちのく)=北国=雪国=豪雪地帯」と思うみたいで、「雪、大変でしょう?」って聞くんだよね。おいおい、仙台は、ほとんど雪が積もりませんぜ。
 実は、変な「日本風」は、日本国内にもあるのだ。「京風○○」。店内は朱色の氾濫で民芸風。店員は着物風でBGMは琴。京都の人が見たら、これのどこが京都?と、せつなくなるであろう。うんうん。
 ま、国内でも、そんなもんさ。笑うしかなかろう。
 すると、日本の「インド風」も「中国風」も、実は目茶苦茶で、インド人や中国人から見たら、日本人が海外で見かける「ニッポン」と同じような感慨かもしれない…。と思えば、興味深くないですか?


「馬鹿が止まらない」
<著者>堀井憲一郎  <発行所>双葉社  1165円

 今回は、調査本ではなく、エッセイ集である。エッセイも、おもしろいじゃないか。
 どういう文体にするか、迷いがあったようだが…。中島らも風、丸谷才一風、原田宗典(+東海林さだお&椎名誠)風と変化する。調査本よりは、勢いが足りないように感じた。残念。
 挿し絵もホリイ氏が描いているようだ。マンガも上手いじゃないか。


「この役立たず! ホリイのずんずん調査」
<著者>堀井憲一郎 <発行所>文芸春秋 1429円+税
 
 こういう本、大好きだぁー!パワフル!アクティブ!あこがれるぅ!
「シンデレラエクスプレスでキスしているカップルの数」、「エスカレーターが苦手な人の数」、「ヘソ出し娘はどこにいるのか日本列島縦断調査」などなど。
 著者は、なんでも調査する。計るし量るし測る。読者の人生において、きっとなんの役にも立たないであろう調査。誰もが知りたいと思っているいないにかかわらず、今日も、著者(&助手)は、調査のため全国を飛び回っているのであろう。ありがとう!お疲れさまです!
 この本で、私が気に入っているのは、「東京と大阪のたこ焼きの違い」である。1個のたこ焼きに入っているたこの重さまではかり、たこ焼き1個あたりの値段まで出す。とても参考になった。実は、この本を持って浅草に行ったのだが、どこのたこ焼き屋さんかわからず、むなしく帰ってきた。閉店してしまったのでしょうか? また東京に行った時、探してみたいです。
 この本のカバーを見たら、ちゃんとカバーの紙の種類とナンバーまで調査してあった。さすが! う〜む。イイぞー!



5月


「ホリイの調査」
<著者>堀井憲一郎 <発行所>双葉社 1165円

 ホリイ氏の部屋は、すごい。資料だらけだ。写真に写っているのは、ほとんどがビデオテープだけど。この部屋以外にも資料があるのであろうから、まさしく「発掘」するのだろう。
 今回の調査は、「電話する」が多い。東京23区に電話して、マークの由来と区のキャッチフレーズを聞く。文京区の「ねじれたタイツ」マーク。大田区の「M78星雲にむかうウルトラマンと、その足の間から見える星」マークには、爆笑。
 スキー場に電話をして、「クマは出るか」教えてもらう。スキー場の人は、「クマ」と言ったとたん笑い出すパターンが多いが、海水浴場の人は、「サメ」だったら、笑わない(笑えない)と思うなー。
 ローカルスキー場に電話をして、自慢とセールスポイントを聞く。「自慢なし」「雪なし」「リフトなし」って言うスキー場があるのね。
 動物園に電話をして、珍しい動物がいるか聞く。
 政党に電話をする。
 映画館に電話をして、映画館名の由来を聞く。
 大使館に電話をして、国歌を教えて(唄って)もらう。
 百貨店に電話をして、屋上に何があるか聞く。
 私は、好きだぞ。こういうデータ。


「安野光雅の異端審問」
<著者>安野光雅・森啓次郎 <発行所>朝日新聞社 620円

「下剤と下痢止めをいっしょに飲むとどうなるか」
「タヌキのきんたまは何畳敷か」
「フグを食ったサメは死ぬか」
「アリは乾電池で感電死するか」
「アリを2階から落とすとどうなるか」
「一升升には米粒が何粒入るか」
「刑務所の塀の高さと棒高跳びの世界記録ではどちらが高いか」
「ふだんベール(チャドル)をつけているアラブの女性のパスポートの写真はどうなっているか」
「自分の家の前にさい銭箱をおいてお金を集めてよいか」
「豆腐を郵便で送ることができるか」
 …、などなど。
 気になる人は、この本を読んでみて下さい。


「オーケンの私はあなたが好きでした アイドル偶像列伝」
<著者>大槻ケンヂ <発行所>学習研究社 1500円+税

 オーケンが、元アイドル13人と対談しました。あ、1対13ではなく、1対1の対談です。
 巨乳アイドルの元祖:榊原郁恵から、現役アイドル:釈由美子まで迫ってくれました。アイドル好きで、アイドルと(できれば)結婚したいと願う(?)オーケンだからできた、この企画!誰もが知りたかった当時の秘話など、上手に聞き出してくれました。って、皆、オーケンを警戒していないから、しゃべってくれたかな?オーケン、それってラッキーか?しくしく。
 次々と姿が消えていった(落ちていった…とでも言おうか)アイドルの中で、今でも現役で活躍されている元アイドルたち(中には、今でもアイドルだと思っている人もいました)。上手にアイドル脱皮できた人もいれば、アイドルに執着せず自然にまかせた人も、アイドル転落に苦しんだ人も、用意周到に根回してアイドルを辞めた人も。
 アイドル、…、短い時間では語り尽くせない苦労もあったと思うが、ここであかされた秘話全てが真実だとも思えないな。なにも考えてなかったけど、ここまできちゃった、あたしってラッキー!…って、うそこくでねぇだ!だって、人気が命のアイドルなんだもん。(元アイドルとしての)プライドあるんだし、飾った自分を、さらけ出すことはしないんじゃない?誰にも、真実をあかすことは、ないと思う私であった。古くさい言葉で言うならば、「みんなに夢を与える」のが、アイドルってやつでしょ?
 でも、この本、おもしろいっすよ。




みねがとおります