インドから絵葉書をエアメールで日本に10人に出した(内、1枚自分宛)。なぜかいまだに両親に届かないのだ。自分に送った葉書は届いたのに…。他に届いていない葉書があるかもしれない。Air Mailって書いたし、JAPANと書いたはず。アグラのホテルから出した葉書だけが届いていないと私は思うな。インド人もびっくりするほどぼったくるアグラだし。

 私は旅行の時だけは早起きになる。朝5時すぎに目がさめて、6時にはホテルの庭を散歩をする。その街の1日が始まろうとする朝が好きなのだ。明日、私は違う街にいる。この街の朝の光と風には2度と出会えないのだ。
 誰もいないホテルの庭で、友達のおみやげ用の石を拾っていた時、背後に何かの気配を感じた。振り向くと、なんと、そこには犬が!尾をはたはたと振っている。ガイドブックに「インドの犬はほとんどが狂犬。犬には注意」と書かれてあったのを思い出した。げげげ。もしも、ガブリなんて怖い。ケガをした足で私の後をどこまでもついてくる。痩せていて、優しい目の犬だった。「ごめんね。食べ物、何も持っていないんだよ」。

 ジャイプールで、丘の上のアンベール城まで、ここの名物、象のタクシーに揺られて行く。象の背中に乗れるチャンスは少ない。15分位だそうだが、私の乗った象は、少し小さかったようで、なかなか進まない。どんどん他の象に追い越されて行く(その分、倍の30分間も象に乗れたからラッキー!)。坂道の途中で象が歩くのをやめてしまった。なぜかしら?「その象、うんこしてるよ〜」大きい象タクシーに乗ったおばちゃんが、私達を追い越しながら教えてくれた。うんこか。うんこじゃーしょうがないな〜。のんびりうんこに集中してくれ。

 ジャイプールからアグラへ221Km。約5時間のバスの旅だ。ツアー客用に窓がある冷房がガンガンきくバス。運転席と私達の座席には仕切りがあって行き来できないようになっている。全然見えないようになっているのではなくて、床から半分位の高さには窓のようなものがついている。そこから運転手さんが用意してくれたミネラルウォーターを買ったりするのだ。彼らは窓(運転席の脇の窓)を開けて運転していたので、冷房は私達だけのためにあったのだと思う。運転手の他にもう1人男性(少年)が乗った。ハンドルは右。もう1人の男性は左に座る。途中、運転を交代するのかと思っていたら、そうじゃないんだな〜。左折する時、左側にいる彼が窓から手を出すのだ。そう、ウインカー代わりなのだ。
 トラックなどを追い越す時がすごい。クラクション鳴らしっぱなしなのだ。追い越す前にクラクションを鳴らす。鳴らされた車は減速して左側に寄るように走る。ブブブブブブブブブー。鳴らしながら追い越す。道路は車線がなく、ロバが引く荷車もいる。いや〜、クラクションが、うるさいうるさい。

 追い越しに失敗したのか?スリップしたのか?横転したトラックを何台も見た。トマトがドバ!穀物がドバ〜!散乱している。これは絶対に過積載とみた。道端では人々が、うつろな目で座りこんでいる。誰も片付けようとしない。おいおい、なんとかしろよ〜と私は思うんだけどね〜。暑くてぼお〜っとしてるのか?道路のまんなかにトラックが横倒しになっていなかったから良かったものの、バスの行く手をふさぐ形になっていたら…。諸事情により日程は止むを得ず変更だな。はははは。
 別グループのバスはパンクして、途中の村で休憩したらしい。「村の人達と色々と話ができたよ」と楽しそうに教えてくれたおじさんがいた。お、これはラッキーだったね。ハプニングは旅につきものだもん。楽しまなくっちゃね。
 バスやトラックのフロント部分のナンバープレートの下あたりに、靴を片方だけぶらさげている。「なぜ?」と運転手助手クンに聞いたら「知らない」と言われてしまった。交通事故をおこさないように、お守りみたいなものなのかな?

 バスの旅では、孔雀を見た。死んだ牛に群がるハゲタカも見た。羊の群れ。ユーカリの並木。畑なのか?植えているのか?ただの雑草なのか?わからない土地で畑(?)仕事をしている女性。道端で散髪している男性。熊の曲芸を見せてチップや食べ物を要求する子供達。どこまでも、しつこく追いかけてくる土産売りの男性。「ジャパーニー?(Japanese)」と、人なつっこく声をかけてくるから、「No、韓国人だよ。カムサハムニダ(ありがとう)」と、からかうと、けらけら笑いながら逃げていく女の子。
 この国の全てが、一生懸命に生きているのだと強く感じた。



 私が飲んだインドのビールは「Black Label」「Kingfisher」の2種類。同じツアーの人から、ちょいと頂いて飲んだのだ。レルトランでビールをたのんでも、ぬるいのを持って来たり、冷えていたり、ラベル紙がなかったり…。おじさま達は「Black Label」の方が美味いと言って飲んでいた。う〜ん、どちらかが、酸味があったような気がする。あぁ、覚えていない。すまん。
 ガイドブックによると、値段は大ビン1本30〜50ルピーと書かれてあるが、ホテルのレストランでは 120ルピー以上だったと思う。インドのおみやげにビールを買って来たかったが、売っている店がどこにあるのかわからなかったのだ。ホテルのレストランで買えば良かったな〜と後悔している。が…、だってホテルは高かったんだもん。日本の酒屋でインドのビール「Golden Eagle」・350ml 位(ビン)を見つけた。\600〜700だったと思う。安くないよね〜。
 インドは全面禁酒国ではないが、イスラム教は酒を禁じているし、ヒンドゥー教もあまり好まない(インド人の83%がヒンドゥー教徒、11%がイスラム教徒)。ビールは買って来れなかったけど、レストランで栓(王冠って言うんでしょうか?)をもらって来た。ビールの栓を抜こうとしているウエイターさんに「栓ちょうだい」って、手を差し出したら、変な顔されちゃった。栓だけでも持って帰りたかったのだ。
 インドでは、缶ビール工場を造っているらしい。95年の夏頃にはインドに缶ビールが登場するみたいだよ。

 インドの某ホテルで、マッサージ(有料)や色々なサービスが書かれてある紙を友達が見つけた。『マッサージは19時30分まで』となっている。その時間から私達は夕食なのだ。ベッドメイクの男性従業員に聞いてみると、「19時30分までになっているけど、何時でも大丈夫だ」と言うではないか。
 インド人ガイドのクラナさんに聞いたら「このホテルのマッサージさんは男です。女の人だから女のマッサージさんが来るとは限らないですよ」なのだそうだ。「インドのマッサージってどんなもんか興味ある〜。マッサージやってもらおう」。
 夕食後20時30分頃マッサージを頼もうと電話(内線)してみるが、通じない。廊下にマッサージの事を教えてくれたさっきの従業員がいたので声をかけたら、「マッサージさんは帰った」と言うではないか。話が違うぞ。そしたら「私がマッサージしてあげよう」と言うのだ。「チップは、あなたの好きなだけ払ってくれれば良い」と、なんて謙虚なんだ!(ぼったくりや、しつこいお土産屋にうんざりしていたので、感動してしまった)。
 彼は、このマッサージをきっかけに、女性の身体に触れるという下心があったかどうかわからない。あったかもしれない。だが、ベッドにうつぶせになった友達を一生懸命にマッサージしている(つもりらしい。私もやってもらったけど、ただ押すだけ。手のひらで押すだけであった)。マッサージ風景を写真に撮りたかったが「写真に撮らないでくれ」と彼が言うんで、やめた。そうだよね〜。マッサージさんじゃないホテルの従業員が、客にマッサージをしてチップもらっているなんて(「地球の歩き方」に書かれて)ホテル側に知られたらマズイのかもね(大丈夫バレないと思うんだけどな〜)。
 彼は、冷房が効いている部屋で、汗をかきながら真剣な表情でマッサージをしてくれた。ありがとう。チップを、はずんでしまった私達であった(ほんとのマッサージさんは、1人30分で250ルピー)。彼は「妻子がいる」って言ってたから、みんなでおいしいものを食べてくれれば良いな〜。「マッサージさんいなかったけど、かくかくしかじか…、従業員さんにマッサージしてもらったよ」と、ガイドのクラナさんに教えたら、「今夜は私がマッサージしてあげたいな〜」と言って、(私達の身体を触って、チップをもらった)従業員さんをうらやましがっていた(?)。キケンだ〜。

 あれま。観光地について何一つ書いてなかったね〜。旅行記というより、インド観察記であった。それじゃー観光地について最後に1つだけ書こうかな。
 7月19日は朝から雨。ずぶぬれになって見学したアグラ城とタージ・マハ−ルは忘れられない。晴天のタージ・マハールは写真や本で見る事ができるが、どしゃぶりのタージ・マハールは見たいと思っても見れないと思うよ〜。貴重な体験であった。タージ・マハールとは、マハール(宮殿)と呼ばれているが、墓なのだ。白大理石の圧倒的な美しさと重量感。遠くから眺めていて、『大理石の模様』のように見えていたものは、白大理石全体にはめこまれた美しい貴石だったのだ。

 食器が汚れていたり、雨もりする某ホテルのレストラン。宝石屋がサービスで出してくれた、油のようなものが浮いていた紅茶。「オレを写真に撮れ。ナゼ撮らない?」と、せまるインド人のおじさん(写真を撮る場合や、一緒に写真に撮る場合はチップを払うんだよ)。ディスコの場所をインド人2人に尋ねたら、2人とも違う道を教えてくれた。砂のようなものが底に沈んでいるペットボトルのミネラルウォーター。お〜い、このミネラルウォーター大丈夫かぁ?飲んじゃったけどさ。友達は、紅茶屋のおじさんに何やら怪しげな精力茶をしきりに勧められた。ははははは。

 私はインドに行って良かったと思っている。また、いつか機会があったら、インドに行ってみたいと思っている。
(おしまい)



その1

日本酒

おまけ