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4月25日(金) 仙台市若林区・森民酒造本家 「純米酒 森乃菊川 仙臺荒町」 若干高めのアルコール度数によるものなのだろうが、酒がグイグイ押してくる感じがする。純米酒の繊細さと原酒のような強い味わいが、上手に入り交じっているというか、かなり飲み応えがあり、他の酒にはない独特の個性を感じる。それにしても、アルコール度数のマジックというか(度数は16〜17度)、ほんの1,2度の微妙な加減により、これほどの味わいになるとは、びっくり。またひとつ、日本酒の奥深さを知ることができました。 山形県西村山郡河北町・朝日川酒造 「本醸造 朝日川(あさひかわ)」 蔵のある地元の酒店の棚に堂々と並んでいるのを見て、そそられたので買い求めました。とにかく、ほっとする味。日なたのにおいがするというか、気取らずに安心して飲める。休みの日であれば、昼間から瓶を抱えて、グイグイ飲みたくなるような気軽さがあり、とてもうれしくなる。その土地に行って偶然出逢うような一期一会の酒といったような趣があって、とても好感が持てました。 京都市伏見区・山本本家 「純米酒 神聖の純米」 精米歩合が70%という純米酒のお手本のような造りにより、米の旨味が強調されており、やや辛口の中に単調ではない味わいがある。香りは穏やかで、味を惑わせるような感じはない。やわらかな中にも背筋がピンと伸びている印象があり、とても清々しい。奇をてらうことなく、純粋に醸されているといった潔さが伝わってくる。 岩手県西磐井郡花泉町・磐乃井酒造 「本醸造 生貯蔵酒 磐乃井(いわのい)」 米の香りが芳ばしく、味にふくらみがある。スッキリしているものの、米の旨味がしっかりしており、純米酒のような味わいがある。甘辛のバランスがよく、気取らない雰囲気もあり、安心して飲める。巷では、桜の盛りで名所では、にぎやかな酒宴が繰り広げられているようだが、この酒には、静かな山里に人知れずひっそりと咲く桜の木を眺めながら、しみじみと飲みたくなるような佇まいがある。 山形県寒河江市・千代寿虎屋 「笹にごり純米生原酒 豊国」 一見すきとおった色沢のようだが、かすかにオリが沈んでいる。いや、酒瓶に近づいて、よーく見てみると、振ったわけではないのに瓶の底のほうから、上に向かって立ち上っている(ように見える)。これだけでも、充分楽しめるのだが、さて、味はといえば、生酒としてのフレッシュさと、しっとりと落ち着いた雰囲気をもった旨口の酒といった感じ。 使用米の「豊国」を酒の名に冠していることからも、蔵元のこだわりが感じられるが、60%の精米歩合も個人的にはうれしいところ。米の持ち味が、あますところなく充分に引き出されている逸品だと思う。 三重県上野市・森喜酒造場 「特別純米酒 るみ子の酒」 なぜか酸味を感じるような香りなのだが、どちらかといえば、味の主体は辛さだろう。すっきりしているが、コクのある味は、米焼酎にも似ている。女性が中心となって造った酒とのことで、やわらかい味を想像したのだが、純米酒の力強さが備わっており、しっかりした味わいが感じられる。どの酒にも似ていない香りと味が、この酒の個性となっていると思う。 山形県酒田市・菊勇 「純米酒 栄冠 菊勇」 清らかに澄んだ色沢から、やさしい味わいを察したのだが、いやいや、なかなか力強い。たしかにクリアな印象はあるものの、米の味が際立っており、純米酒としての存在感は、申し分ない。きらびやかさや派手さを追い求めることなく、淡々とした酒造りに携わる蔵の人々の姿が目に浮かんでくる。 スッキリとした味は、料理との相性もよさそうだ。 |
3月27日(木) 宮城県名取市・佐々木酒造店 「波の音 しぼりたての生原酒」 猪口に注ぐと、溶けきらないもろみが酒の中でふわふわと踊っていて、とてもそそられる。淡く色づいている色沢もよい。フレッシュな感じと高めのアルコール度数から、ぐいぐい押してくる感じは、さすがに生原酒だけのことはある。味わいには、ちょっと甘さがあり、とてもしみじみとした気持ちにさせてくれる。この佇まいは、ありそうでなかなか出会えない酒だと思う。 文句なし、おいしいです。 石川県江沼郡郡山中町・松浦酒造場 「純米吟醸酒 無濾過 獅子の里 ホロホロ(穂路穂路)」 スッキリした酸味があり、ほどよくまるみのある味。無濾過ながら、とてもクリアが印象がある。とはいえ、米の旨味は強く、独特の余韻が残る。原料米(五百万石と山田錦)や精米歩合が50%と聞けば、この味わいは十分うなずける。穏やかでありながら、他に類しない存在感があり、それをさりげなく主張している感じがする。 宮城県黒川郡富谷町・内ケ崎酒造店 「本醸造原酒 鳳陽(ほうよう)しぼりたて生酒」 鳳陽さんといえば、透明といってもいいほどに、きれいに澄んだ酒を醸す印象があるのだが、この酒には自然に色づいた水飴のような淡い色沢がある。何度か飲んではいるものの、とても新鮮な感じがする。とにかくフレッシュ、特に酸味がさわやか。今までに飲んだ味を想像していたので、よい意味で裏切られたというか、蔵元の酒造りに対する幅の広さを感じることができる。 この酒が、夏から秋にかけて、どのように移ろっていくかが、とても楽しみ。 3月17日(月) 岩手県東磐井郡千厩町・横屋酒造 「吟醸酒 玉の春 生貯蔵酒」 甘さ辛さのバランスがよく、まろやかな味。強い個性ではないが、そこはかとなく伝わってくるものがあり、春の柔らかなほの暖かく優しい空気に包まれているような気持ちになってくる。 なによりも、ネーミングがよい。いつ飲んでも、春を感じることができるような、うれしい酒。やっぱり日本酒は良いなぁ、と思わず口に出してしまいました。 3月14日(金) 福島県喜多方市・清川商店 「特別純米酒 清川」 澄んだ色合いと味がぴったりくるというか、米ときれいな水だけで造られたごまかしのない味がする。さらりとしていながらも、コクがあり、余計なものは何もいらない、シンプルイズベストといった感じがする。食事と合わせてもよし、この酒だけとじっくりつきあうのもよし、さりげない主張があってとても好感がもてました。 富山県砺波市・若鶴酒造 「純米吟醸酒 苗加屋(のうかや)」 辛く感じるが、よく味わうと、ほのかな甘さが余韻となる。酸味はわずかに…などと言っていながら、飲むたびに味わいが移ろって、なかなか正体をつかませてくれないというか。たとえば、空を舞う蝶を捕まえたと思うと、手の内からヒラヒラと逃げられてしまうようなことを、何度か繰り返すうちに、結局は逃げられてしまうのだが、その後で、なぜか清々しい気持ちになるといったような不思議な感覚をおぼえてしまう。そんなことまで想像させるほどの力が、この酒にはあるということなのだろう。 おいしいです。 岡山県倉敷市・中田酒造 「純米吟醸酒 朝日 袋吊り」 口に含むと、まず、さわやかな酸味を感じるが、ほどなく甘味と穏やかな苦味、渋味がやってくる。味がバラバラというわけではなく、口の中で上手にまとまって、まろやかになる。生の原酒とはいえ、とても優しい印象があり、フレッシュな感じも申し分なし。色々な料理と合わせても違和感がなく、とてもおいしく飲めました。 岩手県紫波郡紫波町・月の輪酒造店 「大吟醸 宵の月」 穏やかな香りと、ほどよく熟成が進んだなめらかな味わいがある。スッキリとしてクセがなく、米の旨味が凝縮されている。全体に漂う雰囲気は、とても優しく、ゆったりとしており、大人の酒というか、一人で静かに飲みたいときに、ぴったりくるような感じがする。 とにかく良い酒を醸したいといった造り手の気持ちが伝わってくる酒です。 |
2月24日(月) 石川県松任市・吉田酒造店 「本醸造 手取川 しぼりたて生酒」 やや辛口ながら、とてもまろやかな味。アルーコル度数が高いのに、穏やかで、さわやかな感じがするのは、仕込水のなせる技か?しぼりたての荒々しさがやわらいで、かつ、しっかりした味がある。後味のかすかな苦味が、とても心地よい。 この時期だからこそ味わえる酒だと思うと、愛おしささえおぼてしまう。 栃木県那須郡湯津上村・天鷹酒造 「純米吟醸酒 天鷹心(てんたかこころ)」 スッキリとしていながらも、まろやかな味わい。やや辛口だが、おいしい甘酒を飲んだときに感じる甘さと、適度な酸味がある。土の匂いがするというか、なんとなく懐かしい朴とつとした雰囲気が感じられる。 おいしい酒は数多いが、しみじみとした気持ちにさせてくれる酒は、とても貴重だと思う。味はもちろんのこと、それ以外にも、酒の個性があるのだということを考えさせらる。 宮城県古川市・寒梅酒造 「特別本醸造しぼりたて 宮寒梅 生酒」 口に含むと、かすかにピリピリとする感じがある。高めのアルコール度数にもかかわらず、抵抗なく、スウーっと入ってくる。口当たりは、ちょっと甘く、でもスッキリとしていて、色沢が物語るようにとてもきれいに澄んだ上品な酒といった印象がある。 飲むたびに、味わいの深さに感動して出てくる言葉は「うーむ…」のみ。何度もつぶやいてしまいました。 秋田県平鹿郡平鹿町・舞鶴酒造 「純米吟醸酒 月下の舞(げっかのまい)」 トロリとした飲み口、落ち着いた雰囲気の中に、しっかりした味があり、さすが米どころの酒といった感じがする。米の旨味が凝縮された深いコクは、純米酒ならではのもの。重すぎず軽くならず、ほどよく熟成が進んでおり、もちろんこのままでもおいしいが、古酒にしてみたらどうだろう?と思わせる。 石川県江沼郡郡山中町・松浦酒造場 「純米食中酒 獅子の里 旬」 ドライな白ワインほどではないものの、独特な辛さと酸味が味の柱にある。やや低めのアルコール度数だが、香りとコクは、しっかりとしており、物足りなさはない。使用米は山田錦。50%の精米歩合で、とても贅沢な感じさえする。 白身系の魚の刺身に合うように造られているとのことで、一口飲むと「なるほど!」と思わず驚いてしまうような、とてもきれいな味わいが楽しめました。 愛知県北設楽郡設楽町・関谷醸造 「特別純米酒 蓬莱泉(ほうらいせん) 可。(べし。)」 香ばしい上立香から、なんとなくほんのりと枯れたような趣が漂ってくる。辛口の酒と思うが、飲み進むうちに、軽妙かと思えば重厚といった、まるで正反対のものがひとつにまとまっているような不思議な印象をうける。それだけ単調ではない味わいがあるということなのだろう。とても飲み応えがある。 なかなか出会えない類の酒のひとつかもしれない。 |
1月27日(月) 福島県西白河郡矢吹町・大木代吉本店 「純米吟醸酒 自然郷 生酒」 しぼりたての荒々しさを残しつつも、味わいはとても柔らかな感じがする。米の味が、しっかりとしており、とても香ばしい。フレッシュな感じと、なぜか枯れた感じがするから、不思議。色づいた自然な色沢となめらかな味は、寝かせた酒?と思わせるが、こんなに味わい深いのだから、つべこべと言うことはない。一言、おいしいです。 新潟県新発田市・菊水酒造 「純米吟醸酒 音瀞(INTRO)」 すっきりとして、とても優しい味わい。くせがなく、穏やかな酸味があり、控えめな米の味がする。若干低めのアルコール度数なので、あっさりした味の料理に合うかもしれない。 ビンがすっぽりと紙で包まれているのだが、そのオモテとウラに、びっちりとこの酒についての詳しい解説や、いくつかの料理のレシピが書かれているのも、斬新な発想でおもしろいと思う。ネーミングもユニーク。 山形県天童市・水戸部酒造 「弐千参年壱月壱日」 特別なことは何も記されていないが、高めのアルコール度数と、かすかにオリが入っているところ、そして、なによりもフレッシュな味から、しぼりたての生原酒だと思う。甘く感じる酸味が心地よく、マイルドな味わいで、とてもおいしく飲める。 もっと早く出合っていれば、元旦の朝に飲めたのになぁと、ちょっとだけくやしくなりました。 宮城県栗原郡高清水町・はさまや酒造店 「桂泉(けいせん) にごり生酒 涼うさぎ」 昨年の夏季に販売されたものを買い求めて、今まで寝かせておいた、うすにごりの酒。糖類添加のため、米以外の甘さも感じるが、くどさはない。懐かしい味というか、飾りがなく、飲み進むうちに酔いも手伝ってか、なんとなく楽しくなってくる。 晩酌というよりも、休日であれば、昼間から、いや、朝から飲みたくなるような酒。 石川県江沼郡山中町・松浦酒造場 「超辛純米 獅子の里」 超辛と銘打ってはいるものの、とても穏やかでマイルドな感じがする。口に含むと米の旨味がじんわりと広がってくる。たしかに辛さが味の中心だと思うが、かすかな苦味が味に複雑さを加えている。 とはいえ、全体からうける印象は、とてもクリア。色沢も清澄で透明に近く、繊細な酒といった趣がある。 山形県山形市・寿虎屋酒造 「本醸造 無ろか槽前原酒 三百年の掟やぶり」 21度というアルコール度数と、+11の日本酒度が、しぼりたての荒々しさを一層強くしているというか、一口飲むたびに生まれたばかりの酒の生命力に圧倒される感じがする。まさに、酒蔵の槽場でしぼりたてを飲んでいるような雰囲気になってくる。 ラベルの表書きに、酒の名について解説めいたことが記されているが、「掟」をやぶってまで、このような酒を飲み手に提供したいという蔵元の真摯な姿勢が伝わってきて、とてもうれしくなりました。 岐阜県岐阜市・白木恒助商店 「達磨正宗 1992年醸造酒」 純米の10年古酒。 古酒を飲む機会は滅多にないのだが、正月ということもあって、封を開けました。色、味共に枯れ具合がとてもよく、日本酒とは思えないほどの味わい。まるで紹興酒。たまたま、カラスミ(台湾産)があったので、つまみながら飲んだら、とても合う。古酒に関しては、味うんぬんよりも希少さのほうが先にたつような気がするが、10年の歳月によって、よくぞここまで化けられるなぁと感心してしまいました。 岩手県二戸市・南部美人 「南部美人全麹純米仕込み」 造られたのが一昨年、買い求めたのが昨年の5月で、今年の正月に飲もうと思って寝かせてました。 掛米を一切使わず、麹だけで仕込まれているだけに、一般的な酒とは当然一線を画す味わい、独特の甘さ、酸味がある。 酵母が活きているにごりビールのような味もする。とにかく、ぐいぐい飲む類の酒ではなく、小さい猪口でちびちびと飲むのが似合う酒。 正月なので、御屠蘇のつもりで大切にいただきました。 |